2021年3月期 第3四半期 決算のポイント
松井靖氏:デンソーの松井でございます。どうぞよろしくお願いします。本日は、2021年3月期、第3四半期決算説明会に参加いただいて本当にありがとうございます。早速ですけれども、決算報告の概要を説明させていただきます。
2021年3月期、第3四半期でございますけど、ポイントは2つになります。1点目に、当期の実績になりますけど、車両販売の回復に伴って売上収益は順調に回復しておりますが、第1四半期がだいぶ減っていましたので、第3四半期までの累計で言うと、前年比で減収となりました。
営業利益は、売上収益の増加と止血・体質変革等の効果によって、第3四半期累計で黒字域に突入することができました。なお、第3四半期、3ヶ月間の売上収益は1兆4,339億円で、利益が1,363億円になっていて、ともに四半期単位で過去最高の売上利益になっています。
2点目は、通期の予想です。1点目で申し上げたとおり、第3四半期は極めて好調でしたので、売上収益を4兆7,400億円、営業利益は1,000億円でしたけど1,500億円と、今回上方修正させていただきます。
2021年3月期 第3四半期 連結決済
それでは、次のページに移りまして、連結決算の概要を順を追って説明します。売上収益は3兆5,086億円で、前年比マイナス3,864億円、9.9パーセントの減収となりました。
第1四半期が終わった時にどうなることかと思いましたけど、10パーセントに満たない減収で推移しており、かなり回復が速いと思います。
営業利益は666億円で、前年比マイナス961億円、59パーセントの減益です。合理化や止血・体質変革を加速しているものの、第1四半期の売上減も大きくて、操業度差損によるものです。当期利益は431億円と、マイナス930億円、68パーセントの減益となりました。
四半期 売上・営業利益推移(前年比)
累計の話をするとよくわからないと思いますので、第3四半期までの四半期ごとの売上と利益の推移を説明します。
第1四半期はコロナの影響で車両販売も大きく落ちましたので、その操業度差損の影響から、売上収益ともに大きく落ち込みました。第2四半期に入って、売上は前年を超える水準まで回復しました。営業利益も止血・体質変革によって黒字化を果たしています。
第3四半期については、売上が1兆4,339億円、営業利益は販売回復と止血・体質変革によって1,363億円で、くどいですけど、ともに四半期単位で、どこの四半期と比べても過去最高ということになっています。それから、第3四半期累計で黒字域に突入という状況です。
通期予想は後ほど説明しますけど、その前提として、第4四半期がまだ先がわかりませんから、前回の通期の見込みで出した第4四半期をそのまま据え置いています。そういう中で1,500億円の利益と置いています。
2021年3月期 第3四半期 売上収益(得意先別)
次に、売上収益について得意先別、製品別のご説明です。得意先別ですが、第4四半期累計では、コロナの影響によって対前年で減収であるものの、上期と比較すると、すべての得意先で減少幅が縮小しています。
トヨタグループ向けは販売が好調だったことから、第4四半期の3ヶ月の物量ベースは対前年で増加となりました。
減少幅が比較的小さい得意先としては、トヨタ自動車向けは広瀬工場のマージ、それから電動化関連製品の中国向けの増加によって増えています。またホンダは、日本・中国での好調によって、スバルは拡販によって、スズキは日本・インドでの好調によって、それぞれ減少が抑えられています。
2021年3月期 第3四半期 売上収益(製品別)
次に製品別について言いますと、第3四半期の3ヶ月で見ると、すべての事業体で対前年増加を果たしています。
エレクトリフィケーションシステムは、コロナの影響があるものの、累計でも対前年で増加していて、電動化進展の波に乗れていることや広瀬工場のマージなど、経営の打ち手が当たっていると言えるかと思います。
広瀬工場の売上の他で言うと、エレクトリフィケーションでは、中国でのEPSや北米でのインバータの販売増加が寄与しています。一方で、サーマル、パワトレについては、トヨタ以外の比率が比較的高いので売上がやや弱くなっているという状況になります。
2021年3月期 第3四半期 営業利益増減要因(前年比)
続いて、営業利益の増減要因を説明します。一番左の前年同期1,627億円を出発点として、右方向に増減を示しています。昨年から引き続き経費の抑制を進めていて、前年比増となった労務費や償却費も合理化努力でこれをすべてカバーできている状態です。
さらに止血に加え、ソフト開発ツール導入による研究開発の効率化といった体質変革を加速していますので、コロナ影響などを除くと営業利益は前年を大きく上回る状況です。
コロナを含めると前年比では減益となります。しかしながら、内部努力、市場回復に伴う操業度損の縮小により、第2四半期累計での赤字から、第3四半期で黒字に転換、第4四半期3ヶ月では、過去最高の営業利益を上げたというのが現在の状況です。
2021年3月期 第3四半期 所在地別セグメント情報(前年比)
次に、売上収益と営業利益の状況を地域別で説明します。為替があるとわからないため現地通貨ベースで説明します。売上については、全地域で車両販売の回復が進んだことによって、連結で前年比だいたい9割ぐらいまで回復してきています。
営業利益は、コロナ影響で第2四半期は赤字だった北米・欧州が順調に回復して、体質変革の効果もあって、黒字に突入しています。
日本だけ赤字ですが、日本は第2四半期に痛恨のの品質引当、約400億円やっていますので、日本で品質引当全部引き受けますから赤字になっていますけど、それを除くと一応黒字というのが実力値だと思っています。
設備投資・償却費・研究開発費の推移
次に、設備投資の実績は2,894億円で、進捗率が76パーセントぐらいです。通期予想は3,800億円と、前から据え置きたいと考えています。それから、注力する環境・安心分野での投入は緩めない一方で、規律をもってコントロールしていくということをやっていきます。
これは入荷ベースでやっていますので、今年の発注ベースで言うともう少し下のレベルで落ち着くだろうと。3,000億円前半で発注は絞りきれている状態なので、来年の入荷が少し落ちていくかなと思います。
それから、研究開発費の実績は3,627億円で、74パーセントの進捗です。コロナの影響がありますけど、リモートワークなんかも活用して順調に開発を進めています。通期予想について4,900億円で据え置き、将来の成長に向けた研究開発に注力するために効率化を一層推進していきます。
当社、何度も申し上げますけど、技術が競争力の源泉ですので、ただやめたりとか伸ばしたりということではなくて、デジタル化や標準化、コア&カスタマイズ戦略を進めて効率を上げ、品質を上げて、投入の成果は出力を一定にしながら効率を上げて抑制していくというのが研究開発費の考え方になります。
2021年3月期 通期予想
通期の予想になりますけど、第3四半期3ヶ月が好調だったんで、売上収益を2,000億円、営業利益を500億円上方修正して、売上は4兆7,400億円、営業利益は1,500億円とします。
なお前提として、第4四半期の3ヶ月は、今コロナ影響が再拡大していて、今日も非常事態宣言が伸びるかなという話ありますけど、そんな話があったり、ヨーロッパもロックダウンがあるとかないとかがあるし、それからあと半導体の不足などその他の不透明要因もありますので、第4四半期は売上も利益も前回公表値のままで織り込んでいます。
【公表差】21/3期予想 中間公表時点との差異
次のスライドで、年間予想の営業利益の増加について中間の公表値の差を説明します。第4四半期はなんら差がないということになります。まず表の上から4番目、第3四半期の操業度が、計画に対して550億円上振れしています。
次に、5番目のその他の要因として、会計処理と、それから素材によるマイナスが110億円発生しました。素材は排ガスを浄化するためのロジウムなんかの高騰が影響しています。
それから、為替はプラス60億円。年間予想は、こうした第3四半期の結果を反映させて500億円、上方修正としています。
2021年3月期 通期予想 営業利益増減要因(前年比)
通年の営業利益になります。上期までに発生したコロナ影響による操業度損や品質費用について、止血・体質変革の手を緩めることなくやりきって、上方修正した目標を確実に達成していこうと思います。
最後に、現在の経営環境を受けた弊社の対応・取り組みについてお話します。一部報道されています半導体の不足についてですけど、弊社においては、各半導体メーカーと良好な関係を構築ながら調達していて、いろんな震災とかいろんな災害を乗り越えてきていますので、そのためのBCP対応もしっかり当社はやっています。
やると約束した在庫対応は全部守っていますので、当社は直ちに切れるという状況にはありません。ほかでは切れて車両メーカーに迷惑かけているようですけど、当社は直ちには切れません。
各社と連携を取りながら影響を最小限にできるように対応をしています。今後も動向を注視していきたいと思います。
きっと今年の夏ぐらいには、半導体メーカーの能力増強も追いついていって需給は緩んでいくだろうと今思っていますので、この半年、あまり何か起こらないようにしたいと思います。当社は切れることはないと確信は持っています。
現在弊社では、事業環境の大きな変化に対応をすべく、年末に社長のインタビューでも出たんですけど、「Reborn21」をスローガンに抜本的な変革を進めています。
この中で、地球に優しくすべての人が安心と幸せを感じられるモビリティ社会の実現のために、当社の理念である環境と安心分野での貢献について、時代や社会の変化を捉えてより大きなチャレンジを進めていく所存です。
中でも環境については、2035年にCO2排出ゼロを達成するために、モノづくりのエリア、それからモビリティ製品を通じて、あるいはエネルギー利用の3つの領域で、CO2の削減と回収、再利用を進めてカーボンニュートラルを目指すことを宣言しています。
詳細については、IR Dayをまたちゃんと開いてご説明させていただきたいと思っています。以上で2021年3月期、第3四半期決算の説明を終了します。ありがとうございました。