2020年12月期決算説明

八嶋大輔氏:みなさま、こんにちは。株式会社船場、代表取締役社長の八嶋でございます。本日は当社の2020年12月期の決算説明をご視聴いただき、誠にありがとうございます。

2020年12月期の決算状況ならびに2021年12月期の方針及び業績見通しについて、私からお話しします。まずは、2020年12月期の決算についてご説明します。

2020年12月期の事業概況

ご覧のように、2020年12月期の事業概況は大幅な減収減益となり、大変残念な結果で終わりました。もともとは前年を上回る予算を組んでいましたが、コロナ禍の影響でプロジェクトの延期や中止が相次いだためです。下期になり、その影響はさらに拡大することとなりました。

事業概況(連結売上高:地域別)

国内外ともに苦戦しました。昨年までは海外も順調でしたが、この期は売上を約10億円落としています。私どもの海外事業は日系のクライアントが多く、各地のプロジェクトがコロナ禍でサスペンドとなったことが要因です。

事業概況(売上高:海外連結子会社)

各地で売上を落としているわけですが、特に香港、シンガポール、上海といった、観光需要の大きな大都市での物件の滞りが目立ちました。

事業概況(連結売上高:市場分野別)

市場分野で分けると、ショッピングセンターなどの大型の商業施設の分野で売上の落ち込みが激しく、前期比で61.4パーセントとなっています。一方で、私どもが中期経営計画で注力分野としている商業以外の機能空間である、オフィス、金融機関、医療機関、教育機関などの物件は若干ながらも伸長を見せています。

注力分野 実績紹介①

次に、物件例をいくつか紹介していきます。まずは金融機関ですが、このスライドの写真は地方銀行の北都銀行秋田駅前支店です。銀行店舗のスペースは1階にありますが、2階は健康や保険の相談など、地域の方がいろいろ相談できるコミュニティセンターとなっています。

注力分野 実績紹介②

医療の空間も変わってきました。これは獨協医科大学病院内の複合店舗エリアですが、「邸宅」をコンセプトに落ち着いた雰囲気に仕上げました。ゆったりとした気持ちでコーヒーが飲めるような空間となっています。

実績紹介①

幕張メッセで行われた「教育総合展」に、空間・インテリアのデザイン会社として初めて出展しました。教育がオンライン化していく中、高校や大学、専門学校のコミュニティスペースの提案を数多く進めています。今回の出展では、サステナビリティをテーマに、学校の机などの廃材でカフェをデザインし、大きな反響をいただきました。

実績紹介②

また、感染症対策のためのアイデアを社内で公募し、のれんや扇など、和風なパーティションを商品化しました。「Instagram」などのSNSで多くの人から反響を得ています。

実績紹介③

いわゆるエキナカのお店も、便利なだけでは消費者に訴求しない時代になってしまいました。エキュート日暮里では、繊維などの地場産業の街にふさわしい茶店をイメージするものを作り上げました。

連結決算の状況(連結損益計算書)

連結損益計算書はご覧のとおりです。有価証券売却などの特別利益が2億6,900万円あり、当期利益は3億5,700万円となりました。

事業概況(販管費)

昨年3月より、テレワークを本格的に導入しました。コミュニケーションのオンライン化や社内書類の電子化を進めたことにより、業務効率が上がりました。また、出張などの移動を最小限としたことで旅費も抑えられています。

連結決算の状況(連結貸借対照表①)

連結貸借対照表はご覧のとおりです。

連結決算の状況(連結貸借対照表②)

売上減により債権、債務が圧縮されています。

連結決算の状況(連結キャッシュフロー)

連結キャッシュフローはご覧のとおりです。現金は期末で2億3,900万円の積み増しをしています。

中期経営計画(2019年〜2021年)

それでは、ここからは2021年12月期の方針及び業績見通しについてご説明します。今年は中期経営計画の最終年度となっています。この中計では、「Brand-new SEMBA」をスローガンとし、収益構造改革として3つの重点施策を掲げ、企業価値の向上と企業ブランドの確立に取り組んでおります。

2021年12月期の方針①

今回、その流れをさらに勢いづけるものとして、企業改革の重要テーマ「デジタルとエシカル」を掲げ、DX本部とエシカルデザイン本部の2つの本部を新設しました。

2021年12月期の方針②

少子化による人口減少や環境問題などで引き起こされる変化はコロナ禍で急加速しはじめており、これに対応していくためには経営陣も社員も今すぐに「働き方と考え方をTransformする」必要があると考えたからです。

デジタル

まずはデジタル、DX本部についてです。デジタル・トランスフォーメーション(DX)をさらに推し進め、社員による情報共有のスピードを上げ、当社サービスを向上させるものです。

デジタル(重点施策との相関)

ご覧のように、当社の中期経営計画の3つの重点施策をデジタル化することにより、加速が可能となります。

デジタル(DX戦略2021)

すでに「DX戦略2021」として発表していますが、スライドの一番上の段のBIMに代表される技術は、内装業界ではまだ馴染みの薄いものです。これを他社に先駆けて導入することにより、クライアントとのコミュニケーションを変え、バリューチェーンの中で新しい価値を提供できると考えています。

デジタル(BIMの活用)

BIMは「Building Information Modeling」の略語であり、コンピューター上にすべての形状データを取り込むものですが、百聞は一見に如かずです。ここで1分間程度のショートムービーをご覧ください。

(映像が流れる)

ご覧のように、手書きのパースやCGとは違い、どの角度からでも正確なビジュアライゼーションを提供することができます。修正なども瞬時にでき、プロジェクトがスピードアップします。

今のところは主に企画段階での使用がメインですが、一度データを取り込むと、実際の図面や施工、あるいは竣工後の維持管理までデータを活用できるため、新しいバリューチェーンができると思っています。

エシカル

もう1つの重要テーマはエシカルです。エシカルデザイン本部を新設しました。内装業界では改装需要が多くなってきており、これに伴う廃棄物をいかに減らし、再利用していくかが喫緊の課題となっています。脱炭素社会を目指す日本において、我々は何が出来るかを考え、空間の再生と継承を軸としたデザインにより新たな価値創造を追求していきます。

エシカル(エシカルポリシー)

当社の企業理念である「SUCCESS PARTNER」は、どちらかというとクライアントのビジネスの成功に重みを置いた理念です。この理念にエシカルな長期的視野での価値を加味していくものです。

エシカル(エシカルデザイン思考)

そのために、デザインの軸をエシカルとします。「Semba Ethical Design Thinking」。空間創造で培ってきた人への配慮や思いやりの姿勢を、地域や環境まで広げることで、循環型社会の構築をめざします。

エシカル(エシカルデザインプロセス)①

実は、内装業でできることは沢山あります。スライドの図を見ると、右側の「CREATION」は主に企画の段階、左側の「CONSTRUCTION」は主に施工の段階ですが、什器や資材の再利用を前提に考えれば、このような循環型のプロセスができます。これを常に俯瞰しながら空間やインテリアのデザインを「Rethink(再考)」していきます。

エシカル(エシカルデザインプロセス)②

まずは廃棄物処理です。当社の業務で出る産業廃棄物年間約6,000トンのうち、大部分は再利用されていますが、混合廃棄物となる一部分が環境に負荷をかけてしまっています。今年からこれらに関する数字を開示して削減目標等を掲げ、全社を挙げて取り組んでいくことにしています。

エシカル(エシカルデザインプロセス)③

また、クライアントのみなさまと一緒に再生しやすい、環境負荷の少ない資材を使っていくために、当社独自のマテリアルを峻別し、ライブラリーやデジタルカタログを作ります。お店のデザインも、見た目だけではなく実際の環境負荷が問われる時代になっていくと考えているからです。

働き方改革の推進

「デジタルとエシカル」をテーマに考え方を変えていくためには、働き方も変えなければいけません。この業界は昔から残業が多く、仕事がきついイメージを持たれていますが、当社は昨年よりテレワークを本格化し、ご覧のように東京都からも「テレワーク東京ルール」の実践企業として認定を受けています。これによって社員にも考える時間が増え、新しい発想が出てきています。BIMなどのデジタル技術とエシカルデザインシンキングによって、他社にはない価値をお客さまに提供できる会社となれるよう、これからも努力していきます。

業績見通し

今年の業績見通しですが、足元の状況は昨年後半から引き続き改善していません。今期業績も今のところは苦戦する見通しです。目下のところ、売上高220億円、営業利益5億円を予算として、そのための物件獲得に奮闘しているところです。

配当計画

2020年12月期は減収減益により減配となってしまいましたが、2021年度は増配を達成できるよう、強い信念をもって事業改革を進めていきたいと思っています。本日は最後までご視聴いただき、誠にありがとうございました。