2020年度第2四半期 連結決算概況①

杉山美邦氏:本日は日本テレビホールディングスの決算説明会にご参加を賜り、ありがとうございます。

日本テレビホールディングスの第2四半期決算は、コロナ禍で大きな影響を受け、中間期としては12年ぶりの赤字決算に陥りました。売上高は前年同期比で16.8パーセント減の1,744億7,800万円、営業利益は46.7パーセント減の91億1,900万円、経常利益は46パーセント減の111億9,900万円、四半期純利益は56億5,600万円の赤字となりました。株主のみなさまにはご心配をかけ、誠に申し訳ございません。

決算のポイント

決算のポイントについて説明いたします。コロナ禍の影響による広告環境の悪化などから、スポット収入が大きく減少しました。イベントの休止などにより、事業収入も減少しています。

さらに、連結子会社でフィットネスクラブを展開するティップネスが休館を余儀なくされ、減収減益となりました。ティップネスののれんを含む減損損失、そしてコロナ禍による損失を特別損失に計上したことなどから、リーマンショックのあった2008年度第2四半期、中間期以来の最終赤字に陥ったものであります。

連結業績予想及び配当予想

次に、通期の業績予想についてご説明いたします。コロナ禍の影響で、業績を見通せない状況が続いていますが、消費が一定の回復傾向にあり、広告市場にも戻りが見られ始めたことから、通期では売上高3,760億円、営業利益200億円、経常利益230億円、当期純利益は10億円と予想しています。

大変厳しい経営環境の中にありますが、これまで継続的で安定的な配当の支払いを基本としてきた当社といたしましては、当期の中間配当を1株10円とさせていただきます。また、期末は25円、年間配当は35円を想定しています。

新しい成長戦略について

決算の詳細につきましては、後ほど石澤取締役よりご説明いたしますが、私からまず新しい成長戦略についてご説明いたします。

この成長戦略は、先ほど触れましたように、12年ぶりに赤字決算に陥ったという大変厳しい経営状況を受けて、今後、日本テレビグループがどういう方向を目指すのかを内外に明確に示していこうという狙いから作成したものであります。これまで、経営計画は3年ごとに中期計画を策定し、お示ししてきましたが、今回の新しい戦略は、より長期の視点に立っています。

日本テレビグループはこの戦略を推進していくことで、「2020年代にグループを飛躍的に発展させていく」という意気込みを示しています。当面の脅威であるコロナ禍を乗り切っていくとともに、コロナ禍が収束した後でも業界をリードしていこうという、高みを目指そうという方策です。

それでは、具体的に中身を説明いたします。成長戦略は3つの柱で構成されています。まず第1の柱が、「デジタル領域の飛躍的拡大」です。2つ目の柱は、「コンテンツへの戦略投資と収支構造の見直し」です。3つ目の柱は、「グループ事業の強化」です。この改革を強力に推進します。これによって、グループ全体の収益を抜本的に強化していこうという取り組みです。

Ⅰ.デジタル領域事業の飛躍的拡大

まず、第1の柱である「デジタル領域事業の飛躍的拡大」ですが、1番目としまして、最も成長が期待できるデジタル領域を最重要課題として取り組みます。2023年の日本テレビ開局70年に、デジタル領域事業の連結売上高1,000億円を目指していきます。

2番目は、有料動画配信サイト「Hulu」を筆頭に、広告付き無料動画配信サイト「TVer」などの、動画コンテンツ配信事業の拡大です。

3番目は、イベント等のオンライン化を加速し、リアルとオンラインの融合による新しい事業を創出していきます。また、IT関連事業のM&Aに積極的に取り組むとともに、専門性の高い人材を獲得することによって、デジタル領域を地上波等の放送領域に次ぐ、第二の収入の柱に成長させていきます。

Ⅱ.コンテンツへの戦略投資と収支構造の見直し①

2つ目の柱に移ります。「コンテンツへの戦略投資と収支構造の見直し」です。1番目は、地上波放送にとどまらないコンテンツを制作していくために、200億円の戦略的投資枠を新しく設けます。これによって、マルチプラットフォームに展開する戦略コンテンツを生み出していきます。

Ⅱ.コンテンツへの戦略投資と収支構造の見直し②

2番目は、視聴率データに加え、各種マーケティングデータを収集・分析することで、コンテンツ価値を増大させ、広告収入を最大化させていきます。

3番目は、地上波放送では支出構造の抜本的な見直しを行い、今年度は総制作費を、過去20年間で最も抑制する改革に踏み切ります。この水準は、今後も維持していく方針です。設備や諸経費はDX(デジタルトランスフォーメーション)の深化によって、さらなる効率化を図ってまいります。

Ⅲ.グループ事業の強化

3つ目の柱は、「グループ事業の強化」です。1番目は、グループ内の不採算事業の整理と、経営効率の見直しを断行します。コロナ禍による深刻な打撃を受けている、生活関連事業については、先ほどティップネスの話をしたが、これについては店舗戦略の見直しを実施するなど、収益性の回復を目指していきます。

2番目は、グループ各社への対話の促進と、新しい評価制度を導入することにいたします。それによって、グループ各社の経営責任を明確化させるとともに、ガバナンスの一層の徹底を図ってまいります。

3番目は、グループの総合力の向上を目指し、デジタル領域やEコマースなど、事業分野ごとに再編・統合を検討していきます。

今述べた3つの柱で構成される、新しい成長戦略を強力に推進することによって、「日本テレビグループは飛躍的に発展していくんだ」ということを、ぜひみなさんに訴えていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

2020年度第2四半期 連結決算概況②

石澤顕氏:続きまして、第2四半期決算の詳細についてご説明いたします。決算の概要につきましては、冒頭に杉山社長がご説明申し上げたとおりですが、私からは、売上・利益の増減要因などについて説明させていただきます。

売上高の前年同期増減内容

まず、売上高351億600万円の減収分析です。日本テレビ放送網の放送収入が203億7,000万円の減収、放送以外の事業収入で26億5,300万円の減収となりました。コロナ禍によりスポット収入が落ち込んだことや、イベントの中止・延期などが影響いたしました。一方、「Hulu」のHJホールディングスは、巣ごもり需要により会員が大幅に増え、20億8,700万円の増収です。

ティップネスはコロナ禍の直撃を受けたかたちで、4月、5月の休館が響き、103億500万円の減収でした。「アンパンマンミュージアム」のACMも同様に、休館などの影響により10億1,100万円の減収。バップも音楽パッケージの発売延期などで、11億5,400万円の減収となりました。

経常利益の前年同期増減

続いて、経常利益です。日本テレビ放送網の放送事業で68億800万円の減益でしたが、放送外事業収入では14億8,300万円の増益となりました。映画『今日から俺は!!』の大ヒットや、巣ごもり需要による通販事業の好調が、主な要因です。

「Hulu」は3億7,700万円の増益。バップは、旧作ドラマなどの映像パッケージの売上増加や、制作費の減少により、12億4,800万円の増益となりました。

一方、ティップネスは45億2,600万円の減益。持分法による投資損益では、ネットワーク局におけるスポット減収などにより、16億3,300万円の減益となりました。

設備投資・減価償却費(連結)

設備投資と減価償却の状況です。引き続き投資を抑え、平準化を進めているところです。

日本テレビ放送網 決算概況

続きまして、主なグループ会社の状況です。まず、日本テレビ放送網単体の決算概況です。

番組制作費の減少があったものの、放送収入の大幅減により、営業・経常利益はともに減益となりましたが、政策保有株式の売却による特別利益の計上により、純利益は増益となりました。

日本テレビ放送網 放送収入

放送収入は、去年のラグビーワールドカップの反動減もあり、タイム収入が前期比3.2パーセント減。スポット収入が31.7パーセント減となりました。

日本テレビ放送網 番組制作費

番組制作費用は、コロナ禍の影響で、イベントや海外ロケの中止などにより、15.6パーセント減、419億5,200万円となりました。

日本テレビ放送網 事業収支

放送以外の事業収入については、通販は健康器具の販売、映画は『今日から俺は!!』のヒットなどで、大幅な増収となりました。

その他グループ会社の状況①

その他連結子会社の業績につきましては、主だったものをご説明いたします。まず、ティップネスはコロナ禍の影響で、101億2,900万円の最終赤字となりました。現在、コストの大幅抑制等の施策を講じている段階ですが、今後は収支構造の抜本的な見直しを進め、業績の改善を目指します。

現状ですが、この度、『カラダWEEK』をオンエアしたことの影響もあり、総合店の加入が増加。また、オンラインフィットネス「torcia(トルチャ)」の登録も増加していまして、こういった動きが業績の回復につながっていけば、と考えているところです。

その他グループ会社の状況②

「Hulu」のHJホールディングスは、会員が大幅に増えて、5億8,100万円の最終黒字でした。コンテンツ投資やPRに、引き続きコストをかけていく方針です。補足資料がありますので、ご参照いただければと思います。

ACMは10億9,800万円の最終赤字となりましたが、7月以降、来場者は回復傾向にあり、この状況が続けば、と期待しているところであります。以上です。

2020年「7月クール」 視聴率トピックス

小杉善信氏:続きまして、視聴率の動向および編成方針、上半期の日本テレビコンテンツのマルチプラットフォーム展開について、ご説明いたします。

編成の状況についてご説明申し上げます。まずは、7月クールの視聴率ですが、個人視聴率・コアターゲットともに3冠を達成しています。年間でも個人視聴率3冠で推移しています。

2020年度「上半期」個人視聴率

上期も同様の状況で、すべての時間帯で個人・コアともにトップです。また、コロナ拡大中も、他局に先駆けてリモートトークなど工夫を凝らして番組制作を続けたことが評価されたものと考えています。

2020年「7月クール」 視聴人数ランキング

7月クールの視聴人数ランキングを示しています。全国にこれを換算いたしますと、全国32地区の個人の番組平均視聴率に、全国の推定人数をかけると、例えば、『24時間テレビ』全体の全国到達人数は8,145万2,000人と、かなりすごい数字になっていますが、実数で到達人数あるいは平均視聴人数が出たことにより、クライアントへの数字のデータが、より正確になったということであります。

2020年度 編成方針

2020年度の編成方針ですが、まず、「個人視聴率をベースにした『三冠制覇』」ということで、世帯の視聴率は今や指標にはせず、個人視聴率を指標にするということを2年前から宣言しています。

その中身ですが、「徹底した『コアターゲット戦略』」ということで、コアターゲットは、13歳から49歳までの一番消費に敏感な世代で、全体の46パーセントくらいを占めている層です。その中でも、将来の視聴者開拓ということで、T(ティーン)・F1・M1という若い層を重視した戦略をとっていきます。

4番目の「『マルチプラットフォーム戦略推進』の最大加速」に関しては、また実例を示してご説明いたします。5番目の「『レギュラー番組』の更なる強化・リブランディング」に関しましては、改変は少ないですが、改変しなくても、レギュラー番組は自己変革を続けていると認識し、また、それが番組にも表れていると感じています。

「日テレ系ライブ配信」 10月3日(土)スタート

続きまして、今年(2020年)10月からは、地上波プライムタイムを中心に、「TVer」により全32番組の無料ライブ配信のトライアルを開始いたしました。

コンセプトは、テレビを持っていない若者やテレビを見ない生活者に、新しいテレビコンテンツを提供することです。これに関しては、権利者団体・クライアントさま・ネットワーク各局を含めまして、3ヶ月のトライアルが終了した時点で、迅速にデータをまとめ、それを提供していこうと思っています。

日本テレビのマルチプラットフォーム展開の実践例①

続きまして、マルチプラットフォーム展開の実践例です。これは従来から取り組んできましたが、いくつか実を結んでまいりました。

まずは、コロナ禍で大ヒットした映画『今日から俺は!!』ですが、もともと2018年10月期の日曜ドラマでした。それを映画で展開し、さらに映画公開前には『金曜ロードSHOW!!』でも放送して、「Hulu」のオリジナル配信もかなり多くの会員増につながっています。

日本テレビのマルチプラットフォーム展開の実践例②

また、別の取り組みとしましては、「Nizi U」というアイドルグループのオーディションを最初から手掛けまして、これも地上波『スッキリ』でのオンエア、そして「Hulu」での完全版配信等によって社会現象になり、「Hulu」の大幅な入会動機につながっています。

また、ジェジュンというアーティストのライブ復活も、非常に多くの会員の増加につながっています。

「有吉の壁」 マネタイズ&マルチプラットフォーム展開

番組から収益を生む例として、『有吉の壁』のマネタイズ、そしてマルチプラットフォームの展開例です。これに関しては、出演したお笑い芸人が番組で生み出したネタを元に、オリジナルCMを作ったり、未公開の反省会の部分を配信したりというかたちで、マネタイズをしています。

クリエイター自らが、考査を踏まえた上で挑戦することで、「全員ビジネスクリエイター主義」を掲げて、クリエイターも収益向上を自ら考えるということであります。

10月の人事異動では、制作のトップクリエイター2名を営業局兼務にいたしました。クリエイターにとっては大きな刺激になっています。

2021年1月の新番組

また、2021年1月の新番組の中で注目していただきたいのが日曜ドラマです。これは「Hulu」との共同制作で、「Hulu」の大幅な会員増加が見込まれる取り組みです。Season1は地上波で、そしてSeason2全6話を「Hulu」オリジナルとして配信するという戦略です。

以上、編成状況・マルチプラットフォーム展開についてでした。以上で日本テレビホールディングスの第2四半期決算説明会を終了とさせていただきます。本日はありがとうございました。