2021年3月期 第2四半期 決算説明会

田川智樹氏:社長の田川でございます。本日はよろしくお願いいたします。ただいまから、アリアケジャパン株式会社2021年3月期第2四半期の決算説明会を開催いたします。本日は、新型コロナウイルス感染防止のために電話会議となりましたので、皆様方には本当にご不便をお掛けいたしますが、ご理解のほどをお願いいたします。

それでは、詳細はのちほど藤田のほうからご説明しますが、会社の現況について簡単にお話します。第2四半期を終了した時点で、第1四半期よりも明らかな回復が見られており、売上高は回復基調です。

また、営業利益率も18.9パーセント、約19パーセントということで、20パーセントに近い数字を維持できています。国内の需要も戻りつつあり、特に落ち込みが大きかった外食関係も一応の回復を示唆していますが、その他の加工食品向け、あるいはコンビニ等の売上で落ち込みをカバーしています。引き続き全カテゴリにおいて、努力して売上を上げるようにしていきたいと考えています。

海外関係は、台湾は6月から前年度を超えました。中国も9月以降、売上は前年に比べて上向きとなり、増加しています。インドネシアも国内売上が上がっており、今年、黒字化できるよう頑張っています。欧州は、特にフードサービス向けの不調があったのですが、全体として好調を維持できており、今のところ、今後も維持できると考えています。

今後の問題として、会社として既存事業の拡大策、新規事業への開発、投資を積極的に行い、このコロナ禍の中でもきちんとした対応をし、一方で、将来に向けての商品開発を怠らない、その両輪に取り組んでいます。このため、通期においても、今期のチャレンジとして掲げた目標の達成に向けて、とにかく引き続き努力していく覚悟です。

以上のように、第2四半期が終わり、全体として非常に回復基調にありますので、この状況を維持して目標に近づくよう、これから先も頑張っていきたいと思っております。私のほうからは以上です。

第2四半期 売上高推移(単体・連結)

藤田和裕氏:はい、ありがとうございます。経営管理室の藤田でございます。これから、2021年度第2四半期決算について、決算説明会資料に基づき約20分ほどご説明させていただきます。

皆様ご高承のとおり、当会計年度においては、年度の初めより世界規模で広がった新型コロナウイルスの感染拡大による、国内および国外経済の下振れリスクの影響が顕在化しました。その結果、国内においては、昨年度の最後の月の3月より影響を受けました。

また、連結子会社の海外子会社は12月決算のため、当会計年度においては2月から下振れリスクが顕在化し、影響を受けた結果、単体および連結とも減収減益となりました。

2ページをご覧ください。連結と単体の売上高の推移を棒グラフで示しています。今年度の中間決算の実績はグラフ一番右です。右側の濃い緑色の棒グラフで示す連結の売上高は226億6,600万円で、対前年マイナス10.9パーセントです。左側の薄い緑色の棒グラフで示す単体は179億4,600万円で、対前年マイナス11.1パーセントです。

対前年で落ち込んだ単体および中国を、他の拠点で十分にカバーできませんでした。連結の売上高の約80パーセントを占める単体の売上高の落ち込みは、対前年マイナス22億円です。巣ごもり需要を背景に、加工食品メーカー向けは前年を上回りましたが、外食向けおよび中食向けは下回りました。その結果、4月をボトムとして回復基調に推移してきたものの、9月まで前年割れが続きました。

通期 売上高推移(単体・連結)

3ページの棒グラフは、通期の売上高の推移をお示ししています。今年度の通期予想は、単体、連結とも据え置いています。

第2四半期 営業利益の推移(単体・連結)

次に、4ページの営業利益をご覧ください。同じく、一番右のグラフが今期の実績です。連結の営業利益は42億8,700万円で対前年マイナス21.6パーセント、利益率は18.9パーセントです。一方、単体の営業利益は31億9,600万円で対前年マイナス23.4パーセント、営業利益率は17.8パーセントです。これら利益の対前年マイナスについては、のちほどご説明します。

第2四半期 経常利益の推移(単体・連結)

6ページは経常利益です。経常利益については、連結は46億1,400万円で対前年マイナス18パーセント、利益率は20.4パーセントです。一方、単体は37億1,000万円で対前年マイナス17.1パーセント、利益率は20.7パーセントです。

第2四半期 親会社株主に帰属する 四半期純利益の推移(単体・連結)

次に、8ページの純利益についてです。連結は31億8,300万円で対前年マイナス16.7パーセント、単体は25億9,100万円で対前年マイナス17.1パーセントとなりました。以上、売上高から純利益についてです。

【前期比較】単体業績の概要

では次に、単体の実績の前期との比較について、10ページと11ページに渡りご説明します。まずは、10ページの単体業績の前年との比較についてです。先程お話ししたとおり、単体の売上高は対前年マイナス22億4,400万円となりました。

これを3ヶ月ごとで見ると、4月から6月の3ヶ月で対前年マイナス11億8,000万円、7月から9月の3ヶ月で対前年マイナス10億6,000万円と、減収額は減少しているものの、これはコロナの影響を受けた外食向けの減収が大きかったことが最大の要因です。また、CVS向けも昨年が好調であったことに加えて、今般のコロナの影響もあり、対前年を下回りました。

一方、加工食品メーカー向けは、巣ごもり需要を背景に対前年を上回りましたが、外食やCVSの落ち込みを十分カバーできるほどではありませんでした。

【前期比較】単体業績の概要〔利益変動要因〕

利益の減少の要因については、11ページをご覧ください。営業利益の減益9億7,600万円の主な要因は、売上高の減収による減益がマイナス9億1,500万円、また、原材料比率の高い製品の生産が前年に比べ多かったことによる原材料コスト増もありました。一方、固定費の減少として、労務費や支払手数料等、トータル1億3,700万円のコストの減少がありました。

次に、経常利益7億6,600万円の減益についてです。利益押し下げ要因として今ご説明した営業利益の減少9億7,600万円を、配当金や為替差損益の増加で一部吸収したかたちとなりました。

第2四半期 売上高(対前年実績)

さて、次にアリアケグループの海外事業について見ていきたいと思います。12ページと13ページです。地域別の売上高および営業利益の概要です。ご存じのとおり海外は12月決算ですので、第2四半期の対象期間は1月から6月までの累計です。

お示ししている海外地域の数字は、従来同様、6月末の為替レートを適用した円建てベースの連結調整後の数字です。前期と比べて、台湾ドル以外の通貨で円高となっていますが、それぞれの為替差はそれほど大きくなく、中立で見た場合でも、さほど大きなインパクトはありません。

第2四半期 営業利益(対前年実績)

なお、米国については既に売却しているため、売上高には数字はありませんが、利益のほうは昨年度の第1四半期に一過性の未実現利益1億円の計上がありますので、その分は米国の利益項目に記載しています。

では、まずアジアです。中国、台湾、インドネシアの3つの国がここに含まれます。アジア合計で減収減益です。中国は対前年マイナス6億円と、大きく落ち込みました。加工食品メーカー向けは好調でしたが、売上高の60パーセント強を外食向けが占めており、中国国内の売上は1月を除いてあとの5ヶ月は前年割れが続きました。3月がボトムであり、その後4月から徐々に回復し、6月累計で78パーセントまで持ち直しました。利益についても、減収による減益を余儀なくされました。

台湾は、コロナの影響は軽微です。半年の間で、台湾国内の売上が前年割れだったのが3ヶ月で、それも対前年マイナス10パーセント以下の減少です。6月累計ではプラス3パーセントと増収となりました。利益もほぼ前年並みです。

インドネシアは、日本向けエビ原料の輸出は順調に推移しており、また、インドネシア国内の外食向けの販売も、コロナの影響は「無し」とは言いませんが、徐々に増えてきています。工場の稼働率も向上しており、前期に比べ赤字が減ってきています。

次に欧州です。ここは、フランス、ベルギー、オランダが含まれます。3つの国の合計で、増収増益です。3国合計で見ると、総売上の約90パーセントが産業向けの加工食品メーカー向けで、巣ごもり需要を背景に増収基調にあります。

特にベルギー、オランダは産業向けの売上が寄与しています。フランスは産業向けの中でもレストランチェーン向け、また一部直接外食サービス向けに販売していますが、ロックダウンや外出禁止令の影響で、この外食向けは落ち込みました。

欧州の利益については、工場の稼働率も向上した結果、コスト構造も前年に比べて改善してきています。引き続き、日本への原材料の供給強化のため、ベルギーおよびフランス工場の再整備を継続しています。日本国内の原材料不足を補うために、アリアケジャパンは戦略的な原料調達力の強化を進めています。

また、欧州市場でのさらなる事業拡大のため、フランス工場のスプレードライヤー設備の導入を進めています。その完成はコロナの影響で少し伸びますが、2022年前には稼働の予定です。現在の液体のエキス製品に加え、スプレードライヤー設備が完成した暁には、パウダー製品の拡販も図っていきます。

設備投資の推移(連結・単体)

では次に、設備投資と減価償却費について、16ページと17ページをご覧ください。第2四半期までの設備投資額は、全体で6億1,500万円です。その内訳は、国内の九州第2工場を中心に計2億5,100万円、海外は合計で3億6,400万円です。海外は主にベルギーの抽出タンクの増設で、3億2,000万円になります。

今後、引き続き、国内の九州工場において新製品の生産に伴う設備増設計画があり、今年度の単体の設備投資総額は計画値の範囲内で収まる見込みです。海外の下期においては、フランス工場でのスプレードライヤー関連や、ベルギー工場での上期から継続している抽出タンク増設等の工事の遅れが出ています。したがって、下期に計画してる6億円の投資の一部は、来年度に回る可能性が高くなりました。

減価償却費の推移(連結・単体)

一方、減価償却費ですが、昨年度の年間では、連結で15億9,700万円です。その内訳は単体で9億6,400万円、海外で6億3,300万円でした。本年度、通期の計画としては、単体は10億4,200万円、海外は6億3,600万円、合計の連結で16億7,800万円を予定しています。

事業と社会の持続可能性を追求するビジネスモデル

では、最後になりますが18ページです。コロナの時代になった今、世の中がコロナの前に戻ることはありません。ニューノーマルの定着による市場環境の変化や、消費者動向の変容による新たな食に対する需要を的確にとらえるため、弊社に求められるのは、持続可能な経営のもと、新たな価値観に基づくイノベーションを進めることであると考えます。

したがって、地政学的リスクが高まる今日、恒常的な社会課題やパンデミックなどの突発的事象に対して、ビジネスモデルの強みを生かした事業展開で社会に貢献し、イノベーションによる持続的な成長に挑戦していきます。

社会には、さまざまな課題が山積しています。少子高齢化や衛生意識の高まり、一段と高まる健康志向により、人工ではなく、健康的な天然調味料を調達する需要が高まっています。これらの恒常的な課題に加えて、新型コロナウイルスのような、世界的に拡大する伝染病や、毎年発生する大規模な自然災害に代表される突発的事象など、人類を取り巻く環境の不確実性が増す中、食の安定供給の問題も顕在化しています。

アリアケグループは、畜産系天然調味料のパイオニアとして構築してきたビジネスモデルの強みを発揮し、課題解決やリスクの低減に日々貢献しています。1つ目の強みとして、高度な生産能力、技術力が挙げられます。最新鋭のコンピュータで制御された工場で、おいしく、健康的で、高品質、安全な食品を大量に生産し、その安定供給を実現しています。

2つ目の強みとして、高度な品質や衛生管理能力が挙げられます。品質マネジメント認証「ISO9001」、環境マネジメント認証「ISO14001」、米国農務省の衛生基準に基づく生産設備の整備、農業生産工程管理の国際認証「グローバルGAP」の取得など、高度な管理体制を構築しています。2019年には、さらに高度な食品安全マネジメントシステム認証を取得し、品質・衛生管理能力を常に高度化し、食の安全へ貢献しています。

3つ目の強みとしては、グローバルな生産体制が挙げられます。日本を含む世界7か国に生産拠点を有し、良質な原料の安定調達により、国内外のニーズに対応した製品の製造で食のグローバルな安定供給を実現しています。これら3つの強みのシナジーにより、高品質、安全、安心な約2,500種類の天然調味料を製造し、世界に安定供給することで、社会に貢献しています。

また、持続的な事業基盤の構築のため、環境や社会との共存関係の発展にも取り組んでいます。自然の恵みを原料とする食品会社として、原料の仕入れから製品の出荷まで、事業の全工程が環境への配慮から成り立っています。主力製品のスープの原料には、畜産のガラを有効活用しています。

つまり、事業の起点そのものが天然資源の有効活用であり、循環型社会プロセスの主役を担っています。その他にも、残渣の有効活用、エネルギーの有効活用、温室効果ガス排出削減、廃棄物の削減などにも取り組んでいます。また、豊かな自然を共有する地域社会や、人材等の共創にも注力しています。

事業所の近隣社会の振興、就学支援などによる健全な人材の育成により、社会との共生を発展させることで、持続可能な事業基盤を構築し、結果的にESGやSDGsと深く関わっています。アリアケグループは、これからも社会的利益に寄与するイノベーションを追求し、持続的な成長に挑戦していきます。

以上にて、駆け足ではございましたが、2021年3月期第2四半期決算の説明をさせていただきました。ご清聴ありがとうございました。