2020年度 第2四半期 決算説明会 トピックス

川邊健太郎氏:Zホールディングスの川邊です。いつもみなさま大変お世話になっております。期末と中間期に関しては私から説明させていただいておりますので、今回は川邊から全般的に決算の説明をさせていただきます。

決算説明会のトピックスを最初に説明させていただきます。第1四半期は、コロナ禍の影響がある中で、あらゆる契機を見ながら操縦桿を握り、慎重に経営をしているとお話ししました。

また、不要不急の経費は極力抑えて、何があっても大丈夫な体制を整えて第1四半期を進めてまいりましたが、第2四半期も基本的にはその基調で経営させていただきました。結果的に、さまざまなサービスあるいはグループ会社がコロナ影響を受けた中での相殺効果が生じ、結果はプラスの方向に業績を出すことができました。

第2四半期は前年同期比での売上収益が15.4パーセント増、営業利益が20.5パーセント増になりました。

その中で、事業的に特にトピックスとしてあげているのは、サービス・デジタル、eコマース、いわゆるO2O事業です。ここは、第1四半期で緊急事態宣言や自粛要請等で大変落ち込んだ分野でしたが、第2四半期は政府の「Go Toキャンペーン」と連動するかたちで、取扱高が51.2パーセント増と大変伸びました。

また広告事業は、必ずしも市場の状況はよくないですが、メディアサービスのトラフィック増や、さまざまな商品の工夫などを行った結果、なんとか2パーセントのプラス成長に持ち込んでおります。

これらの第2四半期および上期の実績に関しましては、我々は90パーセントの社員がオンライン、リモートワークをしながら達成することができたということで、組織的にも大きく成長できたと考えております。

後ほど詳しくご説明いたしますが、やはり今は全般的にデジタルオンライン市場拡大のチャンスだと捉えておりますので、積極的な投資を再開しようと考えております。

2020年度は、積極的な投資をしながら、売上収益は8.3パーセント増の1兆1,400億円、営業利益は5.1パーセント増の1,600億円を通期で目指すガイドとさせていただければと考えております。

2020年度 第2四半期 連結業績

ここからは連結業績の詳細について説明いたします。まず、第2四半期の連結業績です。売上収益で15.4パーセント、営業利益で20.5パーセントの増収増益となっております。

2020年度 上半期 連結業績

半期でも同じような基調です。売上収益は15.1パーセント、営業利益においては30パーセント弱増益することができました。

2020年度 上半期の総括

どのような状況下で増収増益がなされたのかです。左側が市場全般のコロナのさまざまな影響です。我々の事業領域は広いものですから、それぞれの分野でその影響を受ける中で、右側のように、伸びるものもあれば下がるものもあったという状況でした。

2020年度 上半期の総括

そういった中でも、Yahoo!を中心としたサービス、ビジネスモデルの幅の広さ、あるいはZホールディングスグループに入ってくれているグループ企業の事業の多様性によって、ポートフォリオ経営が奏功し、さらに経費をコントロールする経営力が加わることによって、上期の強い増収増益を達成することができたのではないかと考えております。

とかく株式市場においては、コングロマリット・ディスカウントというものが株価に対して出がちではありますが、私としてはやはり、歴史の中でも最も混乱期にある状況下において、なんとかこういう実績を出せたのは、むしろコングロマリットと言いますかポートフォリオ経営の賜物だったのではないかと考えております。

オンライン上でさまざまな事業を持つというのは、既存の事業に比べると効率もいいと考えておりますので、引き続き、ある程度のサービスのラインナップ、ビジネスモデルのラインナップを持って経営をしていくことが、こういった混乱期にも安定的に収益を出せる経営力につながっていくのではないかと考えております。

ヤフー(株) 10月1日より 「オンライン前提の新しい働き方 」に完全移行

事業ポートフォリオ上のリスクヘッジが1つの特徴としてあったことに加えて、このコロナ禍の中で、実に90パーセント以上の社員がリモートワークでこの業績を出すことができたという組織的ケイパビリティも上半期は非常に充実したのではないかと考えております。

この半年は、一部の個人情報を取り扱うカスタマーサポート業務以外の社員のほとんどがリモートワークで事業を行いました。これで生産性が落ちてしまうと大変問題なわけですが、毎月、生産性に絡むアンケートや計算を行なっている中で言いますと、以前のようにオフィスに通勤していたときと同等以上のパフォーマンスが出たという結果が出ております。

あらためて10月1日からオンラインに引っ越しますことを社内外に強く宣言させていただき、リモート環境に適した新しいセキュリティ対策などを導入しながら、基本的には、特にYahoo!を中心としたZホールディングスの会社はオンライン前提企業にアップデートしていきたいと考えております。

そういった組織のケイパビリティの上昇、成長にもぜひ注目していただければと思います。

2020年度 第2四半期 コマース事業 主要指標

続いて事業別トピックスです。まずはコマース事業に関してですが、eコマースの取扱高はZホールディングスの連結全体において29.8パーセント増となりました。物販の取扱高が24.4パーセント増、そしていわゆるサービス・デジタルの取扱高は先ほど申し上げた要因で51.2パーセント増と、大幅に回復しております。

また、物販の取扱が順調だったことに連動して、クレジットカードの取扱高も延びています。オフラインにおいては、やはり外出自粛などのコロナの影響はありましたが、オンラインにおいてカード取扱高は大変順調で、26.6パーセント増を出すことができました。

「Yahoo!ショッピング 」と「PayPayモール 」の状況

その中で、具体的な取り組みのYahoo!のeコマースの状況です。コロナ禍における半年間で、eコマースの市場全体が伸びたと捉えております。

その伸びているeコマース市場の中で、我々の主要なeコマースサービスである「Yahoo!ショッピング」と「PayPayモール」も、新規の購入者、新規出店数を30パーセント以上伸ばすことができました。

せっかく新しいお客さまや新しいお店が加わってくださったので、こういう方々に継続的に利用いただく、もっとたくさん利用いただく施策をどんどん追加していきたいと考えております。

ロイヤリティプログラム「PayPay STEP」の拡大

そのうちの1つが「PayPay STEP」の拡大です。「PayPay STEP」自体は「PayPay」の利用者に、すでに提供しておりました。

「PayPay」を使えば使うほど、付与されるポイントが増えます。その付与の条件にYahoo!のeコマースを加えたり、クレジットカードを加えたりして、最大20パーセントの付与を実現していく取り組みを「PayPay STEP」に加えていくことになりました。

ロイヤリティプ ログラム 「PayPay STEP」の拡大

ロイヤリティプログラム「PayPay STEP」拡大の要点です。やはり、たくさんのユーザーの方々に複数のサービスを利用していただきたいということです。

せっかくeコマースの市場が拡大していますから、さまざまなグループ内のeコマースのサービスを使っていただきたいと考えています。その代わりと言ってはなんですが、たくさんご利用いただいている方々には「PayPayボーナス」がたくさん付与される施策にしていきたいと考えております。

目下、最も伸びている我々のサービスは「PayPay」ですので「PayPay」の新規利用者に対してYahoo!のeコマースをたくさん使ってもらうことが、我々の経済圏の最大の拡大につながっていくと考えております。

X(クロス) ショッピングの進捗

そのほかにも、新しい利用者の方に継続的に使っていただくような施策を「Yahoo!ショッピング」と「PayPayモール」の中で追加していきたいと考えております。

まずこのコロナ禍において、各小売店舗さんにとって、実店舗に加えてeコマースの販路を持つことの重要度が一層増しております。すでに「PayPayモール」上では実店舗に在庫確認ができるような、いわゆるクロスショッピング的な機能をリリースして、大変注目いただいております。

11月からは、実店舗の商品の決済もオンラインで済ますことができるようになります。お店の視点で言いますと、新たな販路を拡大できることに加えて、ユーザーが事前決済することで、店舗におけるレジでの支払いオペレーションを簡素化することができるほか、商品をピックアップする際にユーザーの「ついで買い」の効果が期待できます。

またユーザー視点で言いますと、今までeコマースでものを買うと基本的には郵送でしたが、それ以外の選択肢……例えば、仕事や学校の帰りに商品を取りに行くことができることなどに加えて、リアルでの買い物でも「PayPayボーナス」の付与ができたり、先払いが済ませられるなどのメリットが生じることになります。

実店舗の在庫を連動させていくことで、オンラインのB2C市場だけではなくて、オフラインのB2C市場をeコマース化して我々の取扱高に中長期的に取り込んでいきたいと考えております。

物流 ・配送の強化

継続的にご利用いただくために、eコマースの売り場の魅力を上げるためにも、物流・配送面でも新たな施策で強化していきたいと思っております。

3月に発表したヤマトホールディングスなどとの連携では、将来的に翌日配達率の向上を見込んでおりますが、これまで課題だった物流機能が大きく前進しております。

これらの拡充した物流機能を最大限に活かして、ユーザーにとって利便性の高い配送を「優良配送」として新たに定義し、「優良配送」を行うストアは、UI/UX上でわかりやすくアイコンを付けるなどしてユーザーの利便性を高めて、継続利用につなげていきたいと思います。これを2020年度中に追加していきたいと考えております。

O2O事業の実績

いわゆるO2O事業に関してです。先ほどから何度か申し上げておりますとおり、第1四半期は緊急事態宣言および自粛要請の中で、O2O事業は非常に落ち込みました。

前年比で売上は55.7パーセント減と非常に深刻な状況でしたが、第2四半期は「Go To Travelキャンペーン」などの影響により53.3パーセント増となりました。

「Go To Travelキャンペーン」にいち早く参画し、それらの割引率を加味した料金表示をするなどのUI上の工夫を行ったこと。また、今回の 「Go To Travelキャンペーン」に関して言いますと、パーセンテージで割引がかかってきますので、なるべく高級なホテル・旅館に泊まりたいというニーズが生じた結果、 「一休.com」ではもともと高級なホテル・旅館を扱っていたことから、非常に予約が寄りまして、大幅なV字回復をしております。

10月1日から「Go To Eatキャンペーン」も始まっておりますので、第3四半期以降も、なるべくそういった政府の景気対策にいち早く対応しながら、通期でも成長を遂げられればと考えております。

「シナリオ金融 」構想の進捗

「PayPay」および金融についての取り組みをご紹介します。まず金融についてです。すでに我々は、金融サービスは「シナリオ型金融」を提唱していくことを表明しております。

Yahoo!の上では、ユーザーがさまざまなサービスでアクション行っておりますが、ユーザーが各サービスでアクションを行う際に、非常に文脈のあるかたちで金融商品をおすすめする手法を取っていくことが、我々の金融サービスにおけるビジョンとなります。

具体的なサービスがすでに提供されております。1つは「ヤフオク!」のスマホ・家電修理保険、もう1つは「Yahoo!トラベル」の宿泊キャンセル保険となります。

「ヤフオク!」で中古のスマホや家電を買ったとき、壊れるのではないかという不安がある瞬間に、「このような保険がありますよ」とご案内させていただいたり、「Yahoo!トラベル」ですと、まさに「Go Toキャンペーン」で旅行の予約をする場合、もしかしたら予約した時期にコロナがまたひどくなって、キャンセルするかもしれません。そのときに、キャンセル料を取られたくないというユーザーのニーズに対して、その瞬間に「キャンセル料を肩代わりする保険がありますよ」とおすすめさせていただいております。

結果的に、そういうコンテキストに沿った提案が非常にユーザーのニーズに合致いたしまして、付保率が10パーセントという人気商品になっております。

2商品合わせて今年度中に20万契約を達成したいと思っております。金融サービス事業者としては後発ですが、こういった「シナリオ型金融」で、我々は金融事業の垂直的な立ち上げを目指しております。

KPI

決済の「PayPay」です。コロナ禍においてキャッシュレスが浸透したという感触を持っております。したがって、「PayPay」の各種KPIが加速しております。

一番こだわっているのは決済回数で、1ヶ月で約1億6,000万回に成長しております。また、ユーザー数は約3,300万人を突破しております。

全体のさまざまな小売の取扱高におけるモバイルペイメントの比率は、まだまだ成長余地がありますので、市場を牽引していくNo.1サービスでありたいなと思っております。

PayPayとの連携効果

そんな中で「PayPay」の規模が大きくなっていくことによって、マネタイズ、黒字化についても展望が早まってくるのではないかと考えております。

1つは当然、決済手数料になるわけですが、「PayPay」において重要なのは、その上で金融サービスをユーザーに提供することによって収益化していこうということです。

それにあわせて、我々としては各種の自社で持つ金融サービスについては「PayPay ○○」と名称変更したいということを、すでに発表させていただいております。

そんな中でも、来年4月に名称変更予定の「PayPay銀行」、現在のジャパンネット銀行に関しては、図にもあるとおり、個人・法人の新規口座開設は、すでに相当数「PayPay」の上からなされるようになっています。

また、個人ローンの申し込みについては、「PayPay」のミニアプリとしてローンのサービスを提供している件数関係上、ほぼすべて「PayPay」の上から申し込みが起きており、着実に「PayPay」という基盤の上に金融サービスで収益化できるようになっていくのではないかと考えております。

マルチパートナー戦略

「PayPay」の金融サービスです。決済サービスである「PayPay」の視点から言いますと、「PayPay」のサービスだけではなく、既存の金融機関さまのさまざまなサービスも取り扱うことによって、全体の金融サービスのラインナップを増やしていきたいと考えております。

証券、クレジット、銀行等の各種金融サービスで、「PayPay ○○」というオリジナルサービスに加えて、日頃からみなさまがお使いの金融機関のサービスも「PayPay」で使えるようにします。これによって、ユーザーには選択肢を豊富に、また金融事業者さまにとっては「PayPay」の上で、さまざまなサービス機会を提供することができるようになります。

「PayPay」はこのような金融プラットフォームに成長していくということで、今後も事業開発を進めてまいります。

以上が第2四半期のコマース、決済、金融事業についてです。

2020年度 第2四半期 広告関連売上収益 実績

続きまして、メディア事業です。まずはメディア事業の数値関係です。広告関連売上収益は2.0パーセント増となりました。引き続きコロナの影響を受けて、クライアントさまの財布の紐が硬い中で運営しております。

検索連動広告においては、引き続き広告主の出稿減が続いている状態です。その中でも、一部旅行等の業種では広告の回復も見込めております。

この期で一番成長したのは、ディスプレイ広告の中の運用型広告です。この要因としては、引き続きコロナ影響においてメディアサービスのニーズが高いものですから、トラフィックが増加したこと。あるいは、巣ごもり消費等でeコマースが伸びて、取扱高が増加する中で、連動するかたちでショッピング広告も拡大しており、20パーセント弱成長いたしました。

それらを差し引きするとなんとか増収で、2.0パーセントの成長を遂げることができました。次のページ以降で詳しい内容を見ていきたいと思います。

(株)マイベストの連結子会社化

Yahoo!の取り組みです。28ページをご覧ください。今回初めて説明させていただきますが、6月に株式会社マイベストというベンチャー企業にグループ入りしていただいて、連結子会社化しております。

このサービスは、ユーザーが商品やサービスを選択する際に、その意思決定をサポートするような商品別比較の記事コンテンツを提供するというもので、特にスマホのユーザー体験に優れたサービスです。

インターネットのユーザーが何かの商品やサービスを検索して、購入を検討する際に、1つの領域に特化したメディア、いわゆるバーティカルメディアを利用する傾向が、特にスマホ以降、一層強くなってきております。こうしたバーティカルメディアを持つことは、当グループの総合的なメディアパワーの最大化につながると考えて、今回グループ入りしていただきました。

また、この買収を契機として、我々が持つ検索やコマース分野に対しても、マイベスト社とのシナジーを多方面で発揮さしていこうと考えております。マイベストをぜひお見知り置きお願いします。

統合マーケティングソリューション 全体像と進捗

もう1つは、今年必ずやり遂げたい注力領域と表明している統合マーケティングソリューションの進捗についてです。

統合マーケティングソリューションは、あらゆるYahoo!のマルチビッグデータと「Yahoo! JAPAN ID」を紐付けてストックし、それらを活用して新たなマーケティングソリューションを提供していく全体構想です。

前回までの決算で「PayPayコンシューマーギフト」と「PayPayリテールギフト」の2つのマーケティングソリューションを発表しておりましたが、それぞれの拡大展開について、30ページ目以降でご紹介します。

販促ソリューションの拡大展開 – PayPayコンシューマーギフト

まず、「PayPayコンシューマーギフト」についてです。「PayPayコンシューマーギフト」という商品は、例えば、飲料などの商品に「PayPay」向けのQRコードのシールが貼られていて、それを「PayPay」で読み取ると、「PayPayボーナス」がもらえるという取り組みです。Yahoo!上の広告におけるキャンペーン認知から、実際に商品を「PayPay」で決済したところまで、一気通貫で可視化する販促ソリューションです。

広告の出稿だけではなく、販促予算をユーザーへの還元原資としてクライアントから拠出いただいております。このようなメーカー販促予算は、店頭での棚取り予算に代表されるように、これまではオフラインで使われることが多かったんですが、この分野も今後はデジタルシフトが進むと、我々は見ております。

当初の構想どおり、クライアントの販促費のデジタルシフトの受け皿になっていきたいと考えております。今、それがかなり増えてきているわけですが、マーケティングツールとしてのユーザー数、決済回数の魅力、価値が高まっていることに起因しているのかなと分析しております。

還元原資は「PayPayボーナス」に変換されてユーザーに還元されるため、現状では我々のP/Lには計上されておりません。一方で、本ソリューションによって、Yahoo!の広告価値が相対的に向上し、この図にもあるように、すでに関連の広告出稿が2.6倍にもなっております。

このように広告売上拡大に寄与することは当然として、このソリューションの魅力が一層高まれば、販促収益部分の費用が今はユーザーに直接流れていますが、ユーザーに流れる手前で一部を手数料としていただくビジネスにつながるのではないかと思います。いずれにしても、メーカーの販促予算のデジタルシフトにつながっていくと考えております。

販促ソリューションの拡大展開 – PayPayリテールギフト

もう1つが、「PayPayリテールギフト」という商品です。「PayPayリテールギフト」は、商品を問わず、ある小売のお店の中で何かの商品を買えば、必ず「PayPayボーナス」として返ってくる性質の、お店と連動するかたちでのマーケティングツールです。

第3四半期には、購入者に絞って効率的にターゲティングを行って、リピート購入を促すような新しいサービスを提供する予定です。「PayPayリテールギフト」で実施したキャンペーンで過去に購入実績のあるユーザーにターゲティングをして、「Yahoo! JAPAN」上のメディアなどで広告やクーポンを配信するサービスとなっております。

クライアント目線で見ると、このサービスによって、自社サービスを購入した顧客に絞って効率的かつ継続的にアプローチすることができるということで、大変コンバージョンが高くなる、有用なマーケティングソリューションが提供されることになるので、2回目以降のリテンション目的の追加のソリューションを、大いに販売していきたいなと思っております。

ソフトバンク(株)との広告営業連携

以上が統合マーケティングソリューションにおける商品や販売数の拡大でしたが、それ以外にも広告売上を伸ばすための努力をいろいろと行っております。

代表的なものがソフトバンクとの営業連携で、左側にあるようにさまざまな営業連携を行っておりますが、それらが効果を発揮するかたちで、上期は68億円のソフトバンクとの連携シナジー売上がございました。

検索広告とYDNの今後の見通し

そういったかたちで、いろいろと努力を行って2パーセント成長となった広告売上ですが、下期の展開は、市況の回復基調があるものの、当面は検索広告とYDNともに厳しい状況が続くと考えております。

コロナ禍における市況もそうですが、いわゆるプラットフォーマーによるさまざまなポリシー変更などの影響もございますので、当面厳しい状況が続くことは、あらためて見通しを述べさせていただきたいと思います。

以上が、第2四半期において我々が取り組んだ内容およびさまざまな市況の状況についての説明でした。この後、下期はどのように事業を展開していくのかについて説明をさせていただきます。

コロナ禍や政府・官公庁のDX推進等により 企業活動、消費者行動のデジタル化がこれまで以上に加速

まず全体感です。上期はいわゆるコロナ禍において巣ごもり消費といったものが生じ、オンラインに人の構造がかなり寄っていくことが起きました。その基調が続いている中で、下期はさらに、コロナ禍においてデジタル化が進んでいない公共部門や、既存の産業分野のデジタル化が、菅政権の誕生と呼応するようなかたちでどんどん促進されていくのではないかと考えております。

基本的にはデジタルやオンライン、インターネットに関係する分野がどんどん大きくなっていくわけですから、Zホールディングスにとっては、非常に大きな市場成長の機会であると考えております。

したがいまして、当社グループの中長期的な事業成長の観点からも、上半期のように不透明な状況下で費用を抑制するスタンスだけを維持するのではなくて、下期は場合によっては「攻め」の姿勢で注力分野をどんどん伸ばしていきたいと考えております。

事業コンディションの現状認識

特にショッピングに連動するようなクレジットカードの分野に関しては、我々は2020年度前半にeコマース日本一になるということを標榜しております。そのeコマースの分野が、さまざまな状況下によって市場拡大の機運に満ち満ちているわけですから、我々はここで止まってはいけないと考えております。

したがいまして、一位になることをむしろ加速させるような投資をこれから下期において行っていきたいと思います。

下半期における注力 ・投資領域

その中で、具体的にはeコマース物販、クレジットカード事業を下期の有力な注力領域と定めて、中長期的な事業成長を実現できるように、積極的な投資に転換していきたいと考えております。

また、そのほかの領域についても、デジタル化が進む市況下ですので、我々が「この分野は未来がある」と判断したものに関しては、機動的かつ大胆に投資をしていきたいと思います。

下半期における投資の具体例

下期の目先の施策で具体例なものをいくつかお示しします。1つは、「PayPayボーナス」の付与特典を変更しております。

今まで、日曜日はソフトバンクユーザーにとってプラス5パーセント、10パーセントというようなことがあったんですが、10月1日から、ほかのキャリアユーザーにも「PayPayボーナス」付与を5パーセント、eコマースにおいてやらせていただいております。

今までは、11月11日を中心として「いい買い物の日 」として行っていた販促キャンペーンを「超PayPay祭」と改称して、さらに10月17日からかなりお得なキャンペーンを「Yahoo!ショッピング」と「PayPayモール」上で展開しております。このあたりが上半期にはなかった新たな投資項目となっております。

また下期に、先ほど説明申し上げました「シナリオ金融」という新たなサービスも続々と出てくる予定ですので、そういったものの垂直立上げに必要なプロモーションや、機能追加もしていきたいと思っておりますし、コロナ禍においてさまざまな分野がオンライン化して、一気に市場を広めようとしておりますので、そういった領域にも我々は大胆に投資をしていきたいと考えております。

せっかくの市場拡大の機会ですから、我々の悲願であるeコマース日本一を中心に、下期は積極的に投資をしていきたいと考えております。

2020年度の投資方針と通期業績ガ イ ダンス

そういった内容を踏まえまして、あらためて今年度の数字面での方針について説明させていただきます。

上半期はコロナ禍で先行き不透明な中で、慎重な経営姿勢を保ち、費用対効果の見通しづらい投資案件については極力抑制して、利益をあげられた半年間でした。いわゆる「守り」の姿勢を大事に経営してまいりました。

この不透明なコロナ禍の中でポートフォリオ経営を発揮して、このようなかたちで展開していけば、きちんと事業を成長させ、そして増収増益も果たせるという、ある程度の見通しがついてまいりましたので、下期に関しては公的・民間を問わずあらゆる分野でDXが進んでいる中で、その需要を取り込み、中長期的な成長を再加速させるチャンスだと我々は捉えております。

したがいまして、下期は攻めの姿勢で積極投資を実行してまいりたいと思います。そういった積極投資をしていく中で、売上収益はコロナ影響はまだまだ不透明な部分はありますが、前年同期比で8.3パーセント成長の1兆1,400億円の増収を果たしたいと考えております。

また、営業利益に関しては、下期は将来に向けた投資を積極的に行うことを前提に、それでもなお5.1パーセント増の1,600億円増益で、コロナ禍にあってもきちんと事業を成長させながらの増収増益と、1兆1,400億円と営業利益1,600億円を1つのガイドとして、きちんと経営していきたいと考えております。

LINEとの経営統合:進捗

最後になります。LINEとの経営統合の状況です。LINEとの経営に関しては、8月に公正取引委員会における企業結合審査を完了しまして、2021年3月頃の経営統合完了を目指して、さまざまなプロセスが進捗中です。

特に何の支障もございません。来年3月の想定である経営統合を果たしたあとに、完了に合わせた統合後の新戦略説明会、事業戦略説明会を新たなZホールディングスのメンバーで行いたいと考えています。これに関しましては、時期等決定しましたら、またご案内申し上げます。

Zホールディングスにしか創れない 大きな未来を創る

最後のページをご覧ください。ここに掲げている3つの項目を必ずやり遂げたいと説明いたしました。そこにコロナ禍が訪れて、非常に不透明な状況下に陥ったわけですが、実際には今日ご覧いただいた通り、この3つに関しては、このような状況下でもきちんと進捗できているのではないかと考えております。

2020年度はあと半年ありますが、3つの事業目標を必ず達成し、かつ今回初めてご提示した通期でのガイドを守りながら、我々にしか作れない大きな未来を作ってまいります。

引き続きのご理解・ご支援を、投資家のみなさまには賜れればと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。ご清聴、ありがとうございました。