2021年3月期第1四半期連結損益概要
岡本昌彦氏:本日はお忙しい中ありがとうございます。みなさまには日頃から当社の経営ならびに事業活動にご理解をいただいていることに、あらためて御礼いたします。これより2021年3月期第1四半期決算の概要と、2021年3月期業績見通しについてご説明します。
なお今年度より国際財務報告基準IFRSを適用しており、以降のページはIFRSに準拠した数値となっています。1ページの目次に沿ってご説明します。はじめに第1四半期決算の概要です。3ページをご覧ください。当第1四半期の売上収益は3,976億円と前年同期比で22.5パーセントの減収となりました。事業利益は125億円と63.7パーセントの減益、四半期純利益は95億円と63パーセントの減益となりました。
非経常項目
4ページは非経常項目です。当四半期の非経常項目はマイナス30億円と前年同期比で21億円悪化しました。
資産・負債・資本、フリー・キャッシュ・フロー
5ページはバランスシート、キャッシュ・フローの要約です。6月末の資産合計は2兆7,243億円、売上債権の減少を主因に前期末比で93億円減少しました。
負債合計は1兆5,205億円と買入債務の減少を主因に、前期末比で121億円減少しました。資本合計は1兆2,037億円と前期末比で29億円増加しました。
自己資本は1兆1,206億円、有利子負債残高は1兆258億円となり、D/Eレシオは0.92倍となりました。なお、フリー・キャッシュ・フローはプラス252億円となりました。
設備投資額・減価償却費・研究開発費
6ページは設備投資額・減価償却費・研究開発費についてです。当第1四半期の設備投資額は292億円と前年同期比で24億円増加しました。減価償却費は293億円と1億円減少、研究開発費は150億円と前年同期比で13億円減少しました。設備投資の今年度の見通しは新型コロナウイルス感染拡大による需要減などの事業環境の変化や、工事の進捗遅れを受け、見直しを行ない、期初見通しの1,630億円から1,430億円に変更します。減価償却費も期初見通しの1,200億円から1,170億円に変更します。なお研究開発費は期初の見通しから変更ありません。
事業利益増減要因分析
7ページのグラフは、当第1四半期の事業利益が前年同期に比べて220億円となった要因を分析したものです。数量差は新型コロナウイルスの影響による販売量、生産量の減少を主因にマイナス344億円、価格差は原料価格が前年同期に比べ下落したことからプラス49億円、費用差他は営業費などのコスト削減に取り組み、プラス83億円となりました。
セグメント別売上収益・事業利益
8ページではセグメント別売上収益・事業利益の実績をお示ししています。
セグメント別業績(繊維)
9ページ以降はセグメント別の状況をご説明します。最初は繊維です。繊維セグメントの売上収益は1,450億円と、前期比で25.9パーセントの減収、事業利益は72億円と、50.3パーセントの減益となりました。原料価格の下落により、価格差はプラスとなりましたが、国内外ともに新型コロナウイルスによる生産活動・消費行動停滞の影響を受け、数量差が大きくマイナスとなりました。
衣料用途においては、各国でのロックダウンや販売店舗の閉鎖から需要が減退、産業用途も主力となる自動車関連用途において、自動車メーカーからの稼働停止や生産台数低下の影響から販売数量が減少しました。医療用白衣地やマスク用途での不織布需要の増加はありましたが、総量の減少をカバーするにはいたりませんでした。
セグメント別業績(機能化成品)
10ページは機能化成品セグメントです。売上収益は1,556億円と前年同期比で21.2パーセントの減収、事業利益は81億円と、51.9パーセントの減益となりました。
新型コロナウイルスによる生産活動停滞の影響を受け、数量差が大きくマイナスとなりました。国内子会社では商事子会社が貸倒引当金を計上したため、その影響を業績に反映しています。
それぞれの事業は次のページでご説明します。まず樹脂事業は、国内外で自動車用途および一般産業用途の需要が減少しました。
ケミカル事業は、基礎原料の市況下落の影響を受けました。フィルム事業は、内食需要の高まりから包装材料用途が堅調に推移したものの、リチウムイオン二次電池向けバッテリーセパレータフィルムやポリエステルフィルムの各用途において、需要が低調に推移しました。
電子情報材料事業は、有機EL関連の生産稼働低下の影響を受けました。
セグメント別業績(炭素繊維複合材料)
12ページは、炭素繊維複合材料セグメントです。売上収益は454億円と、前年同期比で26.2パーセントの減収。事業利益は17億円と、73.4パーセントの減益となりました。
グループ全体でコスト削減に取り組み、また一般産業用途では、風力発電翼用途や筐体用途が堅調に推移しましたが、航空宇宙用途において、大型旅客機のビルドレートが減少した影響を受けました。
炭素繊維複合材料のサブセグメント別売上収益
用途別の状況は、次のページでご説明します。まず航空宇宙事業は新型コロナウイルスの影響に伴う大手顧客の生産機数引き下げや、工場稼働停止の影響を受けました。
スポーツ用途は、新型コロナウイルス感染拡大に伴い中国を中心としたアジア生産拠点における稼働率低下の影響を受けました。
一般産業用途のうちレギュラートウは圧縮・天然ガスタンク用途を始めとする環境・エネルギー関連向けや、欧州超高級自動車用途が新型コロナウイルスの影響により低調に推移しました。
ラージトウは、風力発電力向けの出荷が引き続き堅調でした。コンポジット事業はパソコン筐体が堅調に推移したほか、新型コロナウイルス肺炎診断用の医療機器関連部材の出荷が拡大しましたが、海外のコンポジット子会社は新型コロナウイルスの影響に伴う需要減少により、販売が減少しました。
セグメント別業績(環境・エンジニアリング)
14ページの環境・エンジニアリングセグメントの売上収益は372億円と、前年同期比11.2パーセントの減収。事業利益は8億円と、前年同期比40パーセントの減益となりました。水処理事業は一部地域への出荷において新型コロナウイルスの影響がありましたが、逆浸透膜などの需要はおおむね堅調に推移しました。
国内子会社では、建設子会社が新型コロナウイルス感染予防として工事中断の影響を受けたほか、エンジニアリング子会社でエレクトロニクス関連装置の出荷が減少しました。
セグメント別業績(ライフサイエンス)
15ページはライフサイエンスセグメントです。売上収益は116億円と、前期比7.5パーセントの減収。事業利益は1億円と、87.5パーセントの減益となりました。医薬事業は、経口そう痒症改善薬「レミッチ®」において、後発医薬品発売の影響を受けたほか、本年4月の大幅な薬価改定の影響を受けました。
医療機器事業は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、医療機関での不急の手術先送りの影響がある中「ダイアライザー」は国内外で堅調な出荷となりました。
主要子会社・地域の収益状況
16ページでは、主要子会社、地域の収益状況を示しています。東レインターナショナルは、繊維、樹脂、フィルム、ケミカル、炭素繊維複合材料の販売が低調に推移しました。東レエンジニアリングはエレクトロニクス関連装置の出荷が減少しました。
東南アジアの子会社では繊維事業は新型コロナウイルスの影響により、医療用途、産業用途ともに低調に推移しました。機能化成品事業も樹脂やフィルムで新型コロナウイルス感染拡大に伴う需要低迷の影響を受けました。
中国の子会社でも繊維事業は新型コロナウイルスの影響により、医療用途、産業用途ともに低調に推移しました。
韓国子会社では、繊維事業は市況悪化の影響を受けましたが、新型コロナウイルスの影響によるマスクの需要増を背景に、不織布用途が堅調に推移しました。また原料価格の下落に伴いスプレッドも改善しました。
機能化成事業はリチウムイオン二次電池向けバッテリーセパレータフィルムの需要が低調に推移しました。
2021年3月期連結業績見通し
2021年3月期連結業績見見通しについてご説明します。18ページをご覧ください。
2021年3月期連結業績見通しについては、新型コロナウイルスの感染拡大が第2四半期にピークアウトし、第3四半期以降年度末にかけて、国内外の経済は緩やかな回復基調を辿る前提で見通しを作成しています。
第1四半期の業績動向に加え、医療環境の変化などを踏まえ、5月28日に公表した業績見通しのうち、売上収益を1兆8,400億円に修正します。事業利益は700億円、当期利益は400億円に据え置きます。なお7月以降の為替レートは105円1ドルを前提としています。
セグメント別連結業績見通し
19ページでは、2021年3月期の連結業績見とおしをセグメント別にお示ししています。
セグメント別事業利益の期初見通しとの差異
20ページでは、2021年3月期通期の事業利益の期初見通しと今回見通しとの差異を、セグメント別にブレークダウンし、その要因を表の右側にお示ししています。新型コロナウイルス感染拡大の影響はありますが、需要が拡大する市場での拡販と徹底的にコスト削減を推進します。ご説明は以上です。