2020年12月期第2四半期決算説明会

齋藤和弘氏:では、齋藤から上期の振り返りをご説明します。まず、本日はお忙しい中、お時間を賜りまして誠にありがとうございます。始める前に、このたびの令和2年7月豪雨により被災されたみなさまに対し、心よりお見舞い申し上げます。

現在も甚大な被害が各地にて続いている状況ですが、1日も早い復旧復興をお祈り申し上げます。また新型コロナウイルス感染症についても、罹患されましたみなさまと関係者のみなさまに心よりお見舞い申し上げます。

あらためまして、感染拡大防止に努力いただいておりますみなさま、感染者の診断や治療にあたられている医療関係のみなさまに心からの敬意を表したいと思います。本日は上期の実績を報告し、その後、当社を取り巻く環境と当社の今後の戦略に関してご説明します。

2020年度 第2四半期累計(1-6月)実績

3ページをご覧ください。2020年度上期の業績結果をご報告します。6月以降全リージョンで、ロックダウン、営業・外出自粛要請が緩和され、人の動きや流れが活発化してきたことに伴い、事業は回復傾向にあります。

他方で、売上収益は3月から5月にかけての影響が大きく、為替中立で10.6パーセント減の5,525億円、レポーティングベースでは12パーセントの減となりました。既存事業ベースの営業利益も同様に6月以降は回復傾向にありますが、3月から5月における売上の減少が大きく影響しました。

とくに利益貢献度の高いチャネルである日本の自販機、欧州の業務用などは、屋内外を問わずに人の動きや流れの停滞を受け、為替中立で28.5パーセント減の361億円、レポーティングベースでは29.9パーセントの減となりました。

なお非経常的な要因も含めて計算した営業利益は、為替中立で28.5パーセント減の357億円、レポーティングベースでは29.8パーセントの減です。親会社の所有者に帰属する当期利益は209億円、為替中立で33パーセントの減、レポーティングベースで34.1パーセントの減となりました。

全体 当社への影響

4ページをご覧ください。当社事業の状況について詳細をご説明します。先ほどお伝えしたとおり、6月以降は人の動きや流れが活発化し、市場トレンドは急速に回復しました。

当社事業も一部チャネルが完全にシャットダウンしてしまった4月、5月と比べると大きく反転しています。全世界的にスーパーを中心とした家庭用チャネルは、ロックダウン以降でも家庭内消費の高まりがあり伸長しました。

6月以降も備蓄需要の減少などがありますが、堅調に推移しています。先ほどお伝えしたとおり、人の動きや流れに最も影響を受けたのが、日本の自販機チャネル、欧州を中心とした業務用チャネルです。

日本とヨーロッパの4月から5月のパフォーマンスはその影響を大きく受けています。他方で、6月以降になりますが、日本においてはオフィスに人が戻りつつあること、レジャー関連、学校等が再開されたことによって、自販機チャネルも回復傾向にあります。

また欧州の業務用においてもソーシャルディスタンスを維持しながらの業務店の営業が再開しています。アジア、オセアニアの飲料事業は、ロックダウン解除が相対的に早かったためより早い回復傾向にあります。

全体 当社を取り巻く環境

5ページをご覧ください。まとめになりますが、我々の事業はお客さまの動きや流れに大きく影響を受けることをあらためて実感したことが、この段階でのラーニングです。

一方でコモディティ価格は下落しており、コスト削減に寄与しているというリージョンもあります。今後の先行きを考えた時に、テレワークの常態化、人数制限を伴う業務店の営業、渡航規制継続による観光客の減少など、いわゆるニューノーマルは間違いなくある一定規模継続します。

加えて日本も含む感染者数が再び増加に転じているエリアもあることから、お客さまの動きや流れがどのように変容していくのか、非常に読みにくい状況になっています。

中期方向性並びに下半期に向けて

6ページをご覧ください。このような状況下で、我々の事業をどのように進化させるのかについてですが、キーワードはアジリティとレジリエンスの2つです。すべての変化、進化の起点をお客さまに置くことに変わりはありません。

今まで以上に人の動きや流れの変化、すなわちお客さまの行動、買い場、飲み場での変化を早く捉え、そちらをビジネスチャンスに変えるアジリティの力をより高みに引き上げたいと思います。

同時に、企業としての強靭な体質を作るためのレジリエンス力に磨きをかけていきたいと思います。具体的にはコアブランドにイノベーションを行なうこと、構造改革のスピードアップ、ゆるみなきコストベースの見直しなどです。

変化はチャンスです。この状況下ではデジタライゼーションなどの大きな社会の変化が従来よりも3倍速で進むと言われています。そのため、我々は5倍速で変化していきたいと思います。

戦略の柱

7ページをご覧ください。戦略の柱は2月にご説明したとおり、「First Mover」と「Game Changer」から変わっていませんが、さらに加速させていきたいと思います。イノベーションを通じたコアブランド活性化が今まで以上に鍵を握ります。

日本ではこのような状況下でも大型リニューアルを成し遂げた「伊右衛門」が極めて好調に推移しており、日本事業が市場を上回る成長を成し遂げ、マーケットシェアを拡大する原動力となりました。

欧州では「Lucozade Energy」や「Schweppes」が家庭用需要の取り込みに成功するなど、厳しい環境下でも手応えを強く感じています。アジア、オセアニアでは「Tea+」、エナジードリンクの「V」が好調に推移し、米州では炭酸カテゴリが極めて堅調です。

これらは我々の財産であるコアブランドへの集中投資を継続した結果のみならず、そのコアブランドにイノベーションを起こし続けた結果といえます。今後も家庭用需要やオンラインチャネルなどの伸長するチャネルに対しても、お客さま起点の変化に対し、積極的に取り組んでいきたいと思います。

他方で、先ほどお伝えしたとおり人の動きや流れに大きく影響を受けた日本の自販機事業や欧州の業務用事業の構造改革は、スピードを上げて取り組んでいく必要があります。

日本の自販機チャネルがお客さまとのダイレクトな接点であり、いわゆるラストワンマイルを担うという点での我々にとっての重要性はまったく変わりません。環境変化をよい機会と捉え、自販機構造改革をさらに加速していきます。

欧州における業務用チャネルにおいても同様で、新しい生活環境下でのイノベーションを通じたコアブランドの活性化はもちろんのこと、業務用営業活動の変革が必要になってきます。この取り組みはすでに開始しています。

最後になりますが、6月以降の業績は回復傾向にあり、北半球は夏最盛期を迎えます。ただし、昨今のコロナのリスクと天候不順等の不確実性は否めません。年間で見た場合、売上収益では対前年と比較して1桁後半の減少、営業利益は場合によっては10パーセントから20パーセント程度の減少もあり得るのではないかと考えています。

そのため、現時点では年間の業績見通しについては一旦取り下げます。今後は引き続き精査に努め、具体的な見込みが明らかになった場合にはあらためてご報告したいと思います。

中間配当は前年同額の39円です。通期の配当予想に関しては今後の状況に応じてあらためてご報告しますが、現時点での配当予想は一旦据え置きとします。私からの説明は以上です。続いて、三野が詳細をご説明します。

2020年度 第2四半期(1-6月)実績 (セグメント別)

三野隆之氏:三野です。では私から今期の決算について補足説明をします。9ページをご覧ください。セグメント別の業績です。以降は為替中立でご説明します。

売上収益は、日本、欧州で2桁の減収となるなど全リージョンで前年を下回り、全体として約1割の減収となりました。セグメント利益はアジアリージョンで増益となりましたが、全体で3割近い減益となりました。次ページより、セグメントごとにご説明します。

日本 第2四半期累計(1-6月)実績

10ページをご覧ください。日本です。飲料市場は3月後半からの外出自粛要請の影響に伴い、人の動きや流れが停滞した結果、4月から5月に大きく減速し、1月から6月で10パーセント減少したと想定されます。

当社も同様の影響を受けましたが、「伊右衛門」のリニューアル等、主要ブランドの活動が貢献し、販売数量が8パーセント減少となり市場を上回ることができました。売上収益は6月以降回復傾向にあります。

他方で、4月から5月において人の動きや流れが停滞したことを受け、自販機、コンビニチャネルを中心に販売数量が減少した結果、11.1パーセント減の2,987億円となりました。

セグメント利益は「伊右衛門」リニューアルによる売上増分効果、SCMコスト改善活動及びあらゆるコストの抑制が利益増分に寄与しました。一方で、利益貢献度の高い自販機チャネルの販売減に加え、市場急変に伴う緊急減産など、突発的なSCMコストの悪化も重なり、51.2パーセントの減益となりました。

下期は中期構造改革をさらに加速していきます。「伊右衛門」に代表されるコアブランドや、健康系の高収益商品にさらに集中して取り組んでいくとともに、SCM革新によるさらなるコスト削減を進めていきます。

自販機チャネルは重要なチャネルであることに変わりありません。収益性の改善に向けて、構造改革にスピードを上げて取り組んでいきます。

欧州 第2四半期累計(1-6月)実績

11ページをご覧ください。欧州です。売上収益は6月の本格的な市場再開により、家庭用を中心に大きく回復しました。人の動きや流れの活発化に併せ、業務用も回復基調にあります。4月から5月のロックダウン期間中はとくに業務用比率の高いスペイン、フランスが影響を受け、1月から6月で17.6パーセントの減収となりました。

セグメント利益はマーケティング費用の効率化、原材料市況の改善が寄与したものの売上減少の影響を受け、25.2パーセントの減益となりました。フランスは6月以降は回復傾向にありますが、業務用の厳しい影響もあり、主力の「Orangina」「Oasis」が前年を下回って13.5パーセントの減収です。

英国は「Lucozade Energy」が好調を維持したものの、スポーツイベント自粛の影響を受けた「Lucozade Sport」等の販売減に伴い12.3パーセントの減収です。スペインは「Schweppes」が家庭用で健闘しましたが、厳しい業務用市場の構成比が高く、38.7パーセントの減収となりました。

下期は家庭用需要をさらに取り込むべく、コアブランドに集中して活動を強化していきます。加えて業務用においては、業務店へのサポート継続、現状に合わせたポートフォリオの見直し、営業活動の効率化といった構造改革により取り組んでいきます。

アジア 第2四半期累計(1-6月)実績

12ページをご覧ください。アジアです。飲料事業は他リージョンによりロックダウン緩和が早かったことを受け、5月から回復基調にあります。一方で健康食品事業は、タイにおける「Bird‘s Nest」の回復に時間を要しており、売上収益は7.6パーセントの減収となりました。

原材料市況の改善、マーケティング費用の投入時期の見直し等によるコストマネジメントを徹底した結果セグメント利益は17.3パーセントの増益となり、収益性が改善しました。

ベトナム飲料事業は4月にロックダウンの影響を大きく受けたものの、5月以降は回復基調にあります。「Aquafina」と「Tea+」が前年を上回ったことも寄与し、5.8パーセントの減収となりました。

タイ飲料事業はロックダウン解除以降の経済の回復及び、昨年夏の値上げ効果もあり2.2パーセントの減収にとどめました。ベトナムと同様、5月以降は回復傾向にあります。

健康食品事業は主力の「Essence of Chicken」が比較的堅調でしたが、中国観光客の購買に牽引されていた「Bird‘s Nest」が、とくにタイにおいて大きく減少し、11.9パーセントの減収となりました。

下期は、飲料事業ではコアブランドへの投資、市場の回復基調を捉えながら、反転攻勢を継続していきます。健康食品事業は「Essence of Chicken」に徹底注力し、挽回を図っていきます。

オセアニア・米州 第2四半期累計(1-6月)実績

13ページをご覧ください。最後にオセアニアと米州ですが、オセアニアからご説明します。全体としてロックダウン緩和以降とくに大きく影響を受けていた業務店、コンビニの販売トレンドが改善傾向にあります。

売上収益は、とくにコアブランド「V」がマーケットシェアを拡大するなど、0.8パーセントの減収にとどめました。他方でセグメント利益は、業務用、コンビニチャネルの低調による影響が大きく、21.7パーセントの減益となりました。

米州PBV(ペプシ・ボトリング・ベンチャー)については、6月以降、スーパーは堅調に推移し、コンビニの販売トレンドは緩やかに回復しています。業務用も本格回復には至っていませんが、足元では回復トレンドが見て取れます。

売上収益は堅調な家庭内需要に支えられ、1月から6月で1.7パーセントの減収にとどまりました。セグメント利益はオセアニア同様、チャネルミックスの影響により20.7パーセントの減益となりました。

以上、上期の業績をご報告しました。財務状況ですが、財務体質は健全で手元流動性も十分に確保しています。引き続きキャッシュフローマネジメントに注力していきます。

最後になりますが、各リージョンにおける反転攻勢をスピーディーに進めるとともに、構造改革を加速させ、持続的成長を目指して取り組んでいきます。私からは以上です。ありがとうございました。