決算概要 (連結)

西村善治氏:本日は日比谷総合設備グループの決算説明会にご参加いただき誠にありがとうございます。説明に入る前に、まずはお詫びを申し上げます。すでに5月22日に発表させていただいていますが、当社の元従業員が取引先従業員と共謀の上、架空発注により当社に多額の金員を支払わせていたことが判明しました。

当社はこの事態を真摯に受け止め、内部監査機能の一層の強化などにより再発防止に努めていきます。株主、投資家のみなさまをはじめ、関係者のみなさまに多大なご迷惑とご心配をおかけし、心よりお詫び申し上げます。

それでは決算の説明に入ります。まず決算概要です。ご覧のとおり、受注高については主にNTTグループからの受注増により、前期比3.4パーセント、26億円増加しました。売上高は大型工事の進捗等により、前期比8.4パーセント、58億円の増収です。利益率の改善等もあり、営業利益、経常利益、当期利益ともに対前期で大幅な増益となりました。スライドの右に、第6次中期経営計画3ヶ年の目標数値と2020年3月期の財務目標を掲げていますが、概ね達成したと考えています。

受注高 分野別・顧客別 (連結)

受注高についてです。全体的にこの3年間は順調に推移していきました。2020年3月期においては、5G需要の高まりやデータセンタ・リニューアル工事の増加などがあり、NTTグループからの受注が順調に増加しました。その結果、400億円台を確保しています。

売上高 分野別・顧客別 (連結)

売上高も3年間で順調に拡大してきました。2020年3月期は、民間の大型工事が進捗したことやNTTグループ関連工事も回復したことなどから、前期比で大幅な増収となっています。

主な完成工事と繰越工事の状況

続いて、主な完成工事と繰越工事です。主な完成工事については、後ほど3ヶ年の振り返りを含めて写真でご紹介したいと思いますが、写真に出てきていないものがスライドの表の中にあるため、少しご説明します。

「パークハイアット ニセコHANAZONO」の写真は、許可をいただけませんでしたので、写真はありませんが、ニセコエリアの分譲型の高級マンションです。また、テルモ山口株式会社の3号館は工場です。官公庁の国立病院機構の埼玉病院の新棟も手掛けました。NTTグループのNTTコミュニケーションズ南房総ランディングステーションは、海底ケーブルの陸揚げ基地というものであり、国内のケーブルと繋ぎ込む施設です。

繰越工事高についても3ヶ年で順調に推移しており、期末では519億円となっています。民間工事が非常に多い状況です。

損益計算書(連結)

続いて損益計算書です。決算の概要は冒頭にご説明しましたが、ここでは売上高総利益率をご覧ください。売上高総利益率は工事の予算管理の徹底などにより大きく改善しました。また、この期間のROEは6.1パーセントまで回復しました。

株主還元施策の状況

続いて株主還元施策の状況です。第6次中期経営計画においては、中期経営計画の利益目標をベースとして株主配当に重きを置きつつ、株主還元の一環として機動的に自己株式を取得するという方針で取り組んできました。

株主配当金については、2020年3月期は80円の計画です。すでに中間期で40円の配当をしていますが、期末も40円を計画しており、計80円とする予定です。この3ヶ年においても順調に伸ばしてきたということです。

自己株式取得ですが、第5次中計では50万株程度を目標に取り組んできました。6次中計においては、2018年の3月期に大きな自己株式を取得し、その後30万株程度で推移してきました。こちらも概ね順調に消化したと理解しています。

第6次中期経営計画(2017.4〜2020.3) 基本方針・基本戦略

第6次中期経営計画が2020年の3月で終了を迎えたため、この3ヶ年の取り組み状況を復習してご説明したいと思います。第6次中期経営計画については、「長期的かつ安定的な事業の継続と発展を目指した『企業体質変革の定着と強化』」ということで取り組んできました。その柱は、「人財とICTへの投資による働き方改革」「LCトータルソリューションの高度化」という2つです。

第6次中期経営計画(2017~2019年度実施状況)

まず、「人財とICTへの投資による働き方改革」のいくつかのポイントをご説明します。1つ目は“ICTの活用”による「業務の効率化」です。2つ目は、“ICTの活用”と“現場状況のヒヤリングとフォロー”という両方の体制で、現場の効率化とリスク対策体制強化です。

3つ目は、女性キャリアデザインプロジェクトを促進させ、女性活躍に資する取り組みを行なうことです。4つ目は、会社全体の働き方改革の取り組みとして、WGグループを使いながら取り組んできた成果と協力会社との関係強化の取り組みです。

“ICTの活用”による「業務効率化」

まず、“ICT活用”による「業務効率化」です。現在、全社でクラウド型の仮想デスクトップサービスを使って業務を行なっています。昨今の新型コロナウイルス感染に対しても、すでに準備ができていたため、スムーズにテレワークに移行することができました。また、クラウド型の経費精算システム、クラウド型人事システムにより、投入手間の簡略化や二重入力をしなくて済むということも含めて、年間2,500時間程度の作業時間の削減ができたと考えています。

協力会社との間で「Hibiya–EDIシステム」を作ることによって、請求書と注文書のWeb化を行なうこともできました。これらによって書類の行き来をなくすことができ、紛失のリスクがなくなってきた上、当社の作業時間の削減や取引先から見た業務の削減ができたということで、協力会社からも高評価をいただいている取り組みとなっています。

“ICTの活用”や“現場状況のヒヤリングとフォロー”で現場効率化とリスク対策体制強化

次に現場における取り組みです。1つは現場の作業をデスク側からフォローする取り組みとして、アプリやカメラを使って現場にアドバイスするということを始めています。回線が途切れるといった問題もあり、まだまだ工夫や改善の必要がありますが、現場からも非常に助かるという声をいただいています。大きな現場になると、作業員への指示が非常に煩雑になってきますが、これもスケジュール管理やチャットアプリを活用することにより、効率的に進めてきました。

また、事故防止を目的として、VRを使った体験型の研修も行なってきました。ヘルメット状のモニターを使いながら、実際に足場の上に立って危険な作業を経験することで事故防止に繋がってきています。現場の進捗状況なども、直接デスク側の人が出かけていくことによって早めに抽出をして対処ができるということで、今年度の工事採算性の改善にも繋がってきました。

女性キャリアデザインプロジェクトの促進

続いて、女性キャリアデザインプロジェクトです。女性の活躍しやすい環境をつくるということを目的に、産休・育休者のフォローアップや女性のリーダーを育成しようというリーダー育成オリエンテーションなどに取り組んでいます。採用計画においても、この3ヶ年で女性採用数の目標20パーセントを超える24.3パーセントを達成することができました。「えるぼし」と「あいち女性輝きカンパニー」をそれぞれ取得しています。「えるぼし」は2段階目、「あいち女性輝きカンパニー」は愛知県の認定です。

働き方改革WGグループの取り組み・協力会社との関係強化

働き方改革WGグループという取り組みを進めています。建設業働き方改革セミナーという研修を行なったり、現場作業を効率的に進めるために、協力会社との間のコミュニケーションを円滑することによって効率性に繋がるのではないかということで、コミュニケーション研修も行なっていきました。

日比谷マイスター制度は、優秀な協力会社の担い手に当社の現場にきていただいて、次の工事も担当していただこうということで、優秀な方にマイスターを差し上げることにしています。また、協力会社との間でポータルサイトを開設をし、当社からのお知らせや安全に関わる書類、研修のスケジュールなどをあげ、随時見ていただくという取り組みをしています。時々、タイムリーに協力会社と意見交換会を行ない、当社が頂戴したクレームも技術的に改善していけるような共同の講習会を開催して、技術の改善に努めています。

第6次中期経営計画(2017年~2019年度実施状況)

続いてLCトータルソリューション営業の実績に関して少しご説明します。リニューアル案件を拡大するために、ストック提案を増やしていこうということと、アライアンスを使っていろいろな新しいビジネスを探していこうということが大きな取り組みでした。

ストック提案は、お客さまの建物をストックと呼び、それに対する提案をビジネスに繋げるという意味で使っていますが、目標のご提案の数字はしっかり管理しながら取り組んできています。

省CO2事業の実績を生かし、公共建物のZEB Readyを目指した案件を受注

省CO2事業ということで、既存の公共建物の改修でZEBを目指そうという案件を受注しました。残念ながら100パーセントのZEBではなく、ZEB Readyという50パーセントの削減を目標とした建物ですが、既存の建物でZEBを目指す取り組みというのは初めてではないかと思っています。補助金を使いながら、兵庫県赤穂郡上郡町の庁舎の外壁や空調設備、照明設備などを改修し、エネルギーの消費量を50パーセント削減するという取り組みです。当社のご提案を採用いただき、受注に結び付いた案件です。

自治体ニーズ(防災・省CO2等)へアライアンスで対応し、リニューアル工事を受注

同じく自治体の案件です。奈良県三郷町での、複数の建物のカーボン・マネジメント強化事業と自立分散型エネルギー設備導入事業です。補助金を使えるシステムで設備の省エネ化を進めるということと合わせて、災害時には本庁舎で蓄電池等から給電するシステムをつくり、避難所ないしは災害時の災害対策本部としてお使いいただいても、しっかりした建物機能を発揮できるようにと工夫したプロジェクトです。

ポテンシャル診断事業の補助金を活用したリニューアル工事を受注

民間の養護老人ホームの案件です。ポテンシャル診断事業の補助金があり、こちらも結果的には設備を更新して省エネに繋げるというものです。ご提案から補助金の申請も含めてすべてお手伝いして、最終的に受注に繋げていった案件です。

LCサービスセンター新設により“ストック提案”の深化を図り、受注拡大を実現

LCサービスセンターの取り組みです。弊社のゴールドカスタマーである住友不動産向けに竣工後のサービスを一元化しようということで、子会社が取り組んでいた案件を当社で巻き取りました。当時は空調設備や衛生設備などの管工事しかできない体制でしたが、電気工事もできるような体制に組み換え、電話でやり取りしていたご注文をメールで受付し、クラウドサーバーに情報を上げ、担当者ではなくても一定の対応ができるように工夫して取り組んだ案件です。その結果、受注が34パーセント増加しました。

これを手本に、ほかのお客さま向けにも順次この体制を拡大していきたいと思っていますが、人手がかかりますので、少し拡大のスピードは緩やかになると思っています。以上が3ヶ年の取り組みのポイントとしてのご説明です。

2020年度業績予想と株主還元

続いて、2020年度の業績予想と株主還元についてご説明します。2019年度については、これまでご説明してきたとおり、受注売上利益面で一定の成果が出せたと思っていますが、今年度については新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、世の中の環境が非常に厳しいだろうと想定しています。いろいろなストレスをかけて社内でシミュレーションをした結果、受注高620億円程度、売上高680億円程度、営業利益20億円程度、当期純利益15億円程度と予想します。これを目標にして取り組んでいきたいと思っています。

すでにホテル案件が延期になったりなどの動きが伝わってきていますが、このようなことも含めて、需要が少し低迷するだろうということで、受注環境悪化の要素を加味しました。また受注済みの案件も含めて、工期が延伸になる恐れもあるだろうということで、少し進捗が遅くなるというストレスをかけて算定しました。さらに、資材価格等が上昇するだろうということも含めて、利益率を少し下げて計算しました。いずれにしても、現時点での想定ですので今後の事業環境の変化に対しては機動的な対応を図っていきたいと考えています。

株主還元策については、長期的かつ安定的に配当を継続していこうということで取り組んできています。その方針は変えずに、今期についても1株につき年間80円を維持していきたいと考えています。一方、自己株式取得については現時点で未定としていますが、状況を見ながら年度の途中で判断する場合もあると現時点では考えています。

第7次中期経営計画について

続いて、第7次中期経営計画についてです。本年の3月で第6次中期経営計画は終了しました。本来であれば、本年4月から第7次中期経営計画をスタートさせるところでしたが、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、事業動向が非常に不透明だと判断し、現時点では2020年度の第2四半期の決算に合わせて発表する予定としています。

注力領域での受注状況

続いて、3ヶ年の主な施工物件を簡単にご紹介したいと思います。当社注力領域ということで、受注状況を5つ設けていますが、その領域ごとの受注高の3ヶ年の実績です。ご覧のとおり、順調に推移してきたと思っていますが、2020年3月期においてはデータセンタ関係の受注が非常に伸びてきており、これが特徴だろうと思っています。

オフィス/ホテル①

2017年度に「三井不動産御成門タワー」、「箱根小涌園 天悠」という新しいホテルを竣工しました。

物流施設

日本郵政の京都エリアの新しい郵便局で、集配が中心の物流拠点といっていい郵便局です。また同じく物流施設である「GLP吹田」の16万平米にもおよぶ巨大な物流倉庫です。

医療施設/発電施設

続いて医療施設です。藤田保健衛生大学は現在名前が変わり、藤田医科大学となっています。後ほど関連する施設もご紹介します。また、福島県の飯館で非常に大きな太陽光の発電所を手掛けました。

オフィス

続いて2018年度です。田町駅前にあります「msbTamachi 田町ステーションタワー」です。東京ガス、三井不動産、三菱地所の3社合同のプロジェクトということで、三井不動産と三菱地所がオフィスのプロジェクトを組まれた最初の案件とうかがっています。また、「住友不動産渋谷ファーストタワー」は「abema Towers」と呼ばれており、サイバーエージェントが一棟買いしている建物です。

オフィス/ホテル②

「NTT西日本新三番町ビル」は四国のコールセンターとしてお使いの建物だとうかがっています。京都の京阪ホテルの新しいブランドのホテルである「THE THOUSAND KYOTO」は、京都駅を降りて北に向かってすぐ右手にある建物です。非常に素晴らしいデザインのホテルを担当させていただきました。

物流施設/教育施設

物流施設「DynaBASE」は東京の京浜トラックターミナルの中にある新しい物流施設です。また、学校法人追手門大学院大学の「大阪茨木総持寺キャンパス」は、表も断面も三角形という非常に変わった特徴のある建物です。

ホテル

続いて2019年度竣工です。「THE HIRAMATSU 京都」は京都の室町通りに面した町屋をリノベーションした建物です。また、新しいホテルオークラ「The Okura Tokyo」の高層棟のホテル部分の衛生設備を担当しました。

ホテル/複合施設

神宮外苑の新国立競技場の北側にある、三井ガーデンホテルの「神宮外苑の杜プレミア」は、非常に個性的なデザインのプロジェクトです。また、「渋谷スクランブルスクエア」もランドマークとして我々が手掛けさせていただいて非常にうれしかった建物です。

医療施設/その他施設

続いて「藤田医科大学 岡崎医療センター」です。3月末に竣工しましたが、まだオープン前でしたので、ダイアモンドプリンセス号で新型コロナウイルスに罹患された患者さまが、一時的にこちらに収容されたとうかがっています。また、函館の「ガーデニア松蔭Ⅳ」というマンションを施工しました。当社はマンションはあまり施工しないのですが、久しぶりに北海道で担当をさせていただきました。

株式の状況 [株主構成]

現在の株主数についてです。2019年3月には3,235名の株主さまがおられましたが、今年の3月では3,178名ということで同程度の水準かと思っています。

省CO2事業への取り組み

すでにご紹介したことがあったかと思いますが、主に警察の建物を中心とした長野県全域の照明設備をLED化して、結果的にCO2の排出を削減しようというプロジェクトで、当社もリース案件として手掛けました。

自治体ニーズ(防災・省CO2等)へアライアンスで対応し、リニューアル工事を受注

神奈川県真鶴町の案件です。「情報センター真鶴」を災害時にも使えるようにしようということで、ガスエンジンを使った発電機を設置することによって発電して、一定の量の電気が使えると空調も使える、というものをご提案して採用いただいた案件です。

人財の確保に向けた取り組み

継続して取り組めるかどうかわからないのですが、金沢工業大学からお話をいただき、ベトナムの越日工業大学とタイアップして授業を行なっています。越日工業大学の学生お2人を当社にインターンシップとして受け入れ、建築設備を施工する実務を体験していただきました。

BIM活用事例について

BIMの活用事例をご紹介したいと思います。とあるゼネコンの下での案件で、ゼネコンから今回の案件はすべてBIMで行なうというご指示をいただき、我々は空調設備の部分を担当させていただきました。取り組んでみますと、BIMの状態で干渉や施工上の問題点のすべてが確認できるということで、現場に入ってから手戻りがなく非常に淡々と施工ができたということで、BIMの威力をあらためて感じた案件です。

データセンター構築技術

先ほど少しご紹介したように、最近の弊社はデータセンターの受注が非常に多くなってきています。トータルでこれまでに85万平米ほど施工しました。その間、発熱量が非常に増えてきてるということで、いろいろな空調機を納めるという経験をしています。

これまでの水冷式の空調に加えて、非常に大型のすだれのようなところに水を通して、気化熱を奪うことによって空調するという間接蒸発式の空調機、サーバーのすぐ後ろのドア部分に冷媒が通っていて、直接サーバーの素子を冷やすタイプのリアドア空調機があります。

また液浸ということで、素子自体を液体で丸ごと冷やしてしまうやり方も出てきています。すべてに対応できるように経験を積んできていますので、このデータセンター関係の取り組みは引き続き伸ばしていきたいと考えています。以上で私からのご説明を終わります。ご清聴ありがとうございました。