新型コロナウイルス感染症への対応
佐藤英二氏:大和証券グループ本社の佐藤です。本日はお忙しい中、当社テレフォンカンファレンスにご参加いただきまして、誠にありがとうございます。発表日の変更に関してのご理解をいただき、御礼申し上げます。それでは、本日公表しました2019年度第4四半期決算について、決算説明資料に沿ってご説明します。
まず3ページをご覧ください。初めに、新型コロナウイルス感染症による影響を受けられたみなさまに、心よりお見舞い申し上げます。新型コロナウイルス感染症対応として、当社グループでは危機管理対策本部を設置し、スライドに記載しているような取り組みを実施しました。
従業員に対しては、テレワーク制度の本格導入を進めました。オフィス出社時と同様に業務ができる環境を整えたポータブル端末を大和証券の全社員に配布し、在宅勤務時においても各種情報の収集、社員と部署間のやり取り、お客さまへの電話、Web面談、そして商品の受発注まで行なうことが可能となっています。
お客さまにおいては、安全を考慮し、全店舗の店頭業務を一時休止していますが、電話・Web面談を通じてのコンサルティングを提供するとともに、コンタクトセンターではスプリット体制により、お客さま対応を継続しています。当社グループとしては、同感染症がもたらしている社会的混乱の1日も早い収束を願い、社会経済の回復および、さらなる発展にむけてグループ総力を挙げて取り組んでいきます。
2019年度第4四半期 決算サマリー(前四半期比)
それでは、決算の内容について説明します。5ページ、連結決算のサマリーをご覧ください。数値の増減率は2019年度第3四半期比となっています。2019年度第4四半期の純営業収益は1,106億円、マイナス1.4パーセントとなりました。リテール部門の収益は横ばいです。エクイティ収益や投信募集手数料が増加した一方、債権収益や投信代理事務手数料が減少しました。ホールセール部門は減収となりました。グローバル・マーケッツはエクイティが増収となるも、FICCが減速しました。グローバル・インベストメント・バンキングはエクイティ引受けが減少し、減収となりました。
経常利益は202億円、マイナス8.9パーセントとなりました。特別損失に投資有価証券の評価損を計上しているため、法人税が増加しており、親会社株主に帰属する純利益は112億円、マイナス28.3パーセントの減益となりました。ROEは年換算で3.7パーセント、BPSは796円33銭となりました。
損益計算書の概要
11ページ、損益計算書についてご説明します。受入手数料は683億5,200万円、マイナス0.1パーセントとなりました。日本株・外国株ともに取引が増加したことから、委託手数料は174億円、プラス24.4パーセントとなっています。引受け・売出し手数料は、エクイティ引受け案件が減少し50億円、マイナス46.3パーセントとなりました。株式投信の販売額が増加し、募集・売出し手数料は58億円、プラス8.3パーセントとなりました。M&A関連手数料は83億円、プラス10.5パーセントとなりました。トレーディング損益はエクイティが増加しましたが、FICCが減少したため減収となりました。
販売費・一般管理費の内訳
12ページをご覧ください。販売費・一般管理費の状況についてご説明します。販売費・一般管理費は、人件費、不動産関係費等が増加し942億1,600万円、プラス1.1パーセントとなりました。人件費は業績に連動する賞与等が、不動産関係費では研修所の修繕工事費用等が増加しています。
海外部門の経常収支
14ページ、海外部門の経常収支についてご説明します。海外部門合計の経常利益は92億2,600万円、前四半期比プラス105.6パーセントとなりました。16四半期連続で経常黒字となり、過去14年間で最大の経常黒字です。
地域別で見ますと、欧州はM&Aの収益が増加したものの、FICCが苦戦しました。アジア・オセアニアは、ウェルスマネジメントビジネスの貢献に加え、エクイティ収益が増加し、増益となりました。米州は、FICCの主要プロダクトであるトレジャリー、MBS、レポ取引のいずれも好調で、四半期ベースの利益は過去最高となりました。
リテール部門
続いて、セグメント別の業績についてご説明します。まずリテール部門の収支について、15ページをご覧ください。純営業収益が412億4,800万円、マイナス0.2パーセント、経常利益が15億5,200万円、プラス49.4パーセントで減収増益となりました。
エクイティ収益は、日本株・外国株ともに取引が増加したことから増収となりました。債権収益は仕組債の販売額が減少し、減収となりました。株式投信販売額が増加し、投信募集手数料が増加した一方、投信代理事務手数料は減少しました。その他の収益は、投資顧問・取引管理手数料および保険販売手数料が増加しました。
リテール部門 大和証券
16ページは、大和証券のリテール部門における商品募集・販売額の状況と、当四半期のトピックスです。ラップ口座サービスでは、マーケットの下落に伴い評価額が減少しましたが、純増額は前四半期比で増加しました。株式投信では、マンAHLスマート・レバレッジ戦略ファンドが、マーケットに比べ安定的なパフォーマンスで推移しており、販売が堅調でした。
ホールセール部門 グローバル・マーケッツ
17ページのホールセール部門についてご説明します。まずグローバル・マーケッツですが、純営業収益は311億900万円、マイナス11.2パーセント、経常利益は68億1,800万円、マイナス39.8パーセントとなりました。
エクイティは、日本株の顧客フローが期末にかけて増加したほか、ポジション運営が奏功し、エクイティ収益が増加しました。FICCは国内で減収、海外で増収となりました。国内はJGBが増収でしたが、ポジション運営で苦戦しました。海外は米州が引き続き好調でした。
ホールセール部門 グローバル・インベストメント・バンキング
次に、19ページのグローバル・インベストメント・バンキングについてご説明します。純営業収益は132億1,800万円、マイナス3.3パーセント、経常利益は22億7,900万円、マイナス31.4パーセントとなりました。
エクイティ引受けでは、グローバル案件を含む、複数の不動産投資法人によるPO案件の主幹事を獲得しました。デット引受けでは、普通社債・ベンチマーク債で主幹事案件を積み上げ、M&Aでは、国内外で多数の案件を遂行し、収益を牽引しました。
アセット・マネジメント部門
20ページのアセット・マネジメント部門についてご説明します。純営業収益は124億4,600万円、マイナス1.7パーセント、経常利益は67億7,100万円、マイナス3.8パーセントとなりました。
大和アセットマネジメントでは、資金純増を確保したものの、マーケットの下落により公募株式投信の期中平均残高が前四半期比で減少し、減収となっています。その他、不動産アセット・マネジメントでは、大和リアル・エステート・アセット・マネジメントの運用報酬が増加したほか、大和証券ロジスティクス・プライベート投資法人の運用を開始しました。
アセット・マネジメント部門 運用資産残高・資金純増額
不動産アセット・マネジメント2社の運用資産残高は、1兆690億円となりました。
投資部門
22ページをご覧ください。投資部門の純営業収益は42億1,800万円、プラス96.1パーセント、経常利益は32億300万円、プラス102.5パーセントとなりました。大和PIパートナーズの金銭債権投資による収益と、大和エナジー・インフラにおける売却益が増益に寄与しました。以上、2019年度第4四半期決算についてご説明しました。
今後の取り組み
2019年度は、リテール部門の収益の落ち込みをホールセール部門で補うことができず、減収減益となり、アベノミクス開始以降最も厳しい1年となりました。リテール部門では、ブローカレッジ収益中心のビジネスモデルから、ストック収益中心の資産管理型ビジネスへの移行を図ると同時に、収支構造改革によるコスト削減を強力に推し進めており、一定の手応えを感じていました。
しかしながら、年度末のコロナショックによる株式市場の大幅な調整、そして、お客さま訪問を自粛したことによる面談機会の減少などもあり、厳しい事業環境となっています。4月以降は、政府による緊急事態宣言を受け、支店の店舗業務を一時休止するなど、営業活動にさらなる制約が生じています。
一方で、多くのお客さまは先行きに不安を抱えており、専門家のアドバイスを求めています。このようなときこそ、お客さま一人ひとりに寄り添い、資産運用、資産形成に関する悩みや課題を解決していくことが、当社の社会的使命であると考えています。
先ほど繰り返し申し上げましたとおり、当社は、オフィス出社時と同様に業務ができる環境を整えたポータブル端末を、すべての社員に配布しています。このアドバンテージを生かし、在宅勤務時においても、電話・Web面談を通じて付加価値の高いコンサルティングを提供し、ビジネスの拡大に取り組んでいきます。
また、ホールセール部門のグローバル・マーケッツにおいては、前期はマーケットの動向を的確に捉え、エクイティ、FICCともに高水準の収益を確保することができました。4月に入っても顧客フローの獲得は好調であり、第4四半期の平均と比較して、エクイティ、FICCともに好調となっています。とりわけFICCは大きく増加しており、順調な滑り出しとなっています。
当社グループとしては、現在取り組んでいる収支構造改革、ハイブリッド型総合証券への変革の手綱を緩めることなく、今般のコロナショックを契機とした環境変化に迅速かつ的確に対応し、自らの改革を図り、サステイナブルな成長を目指していきます。どうぞ、みなさまのご支援、ご協力をよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。