決算の概要
飯盛徹夫氏:みなさま、弊社に対し平素より格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。2020年4月1日付で社長に就任した飯盛です。
この度はご多用のなか、当社の決算説明動画にアクセスいただき誠にありがとうございます。本動画においては、2020年3月期決算説明会資料に沿って説明します。
まずは2020年3月期の決算内容についてご説明し、その後に3ヶ年の中期経営方針の初年度としての2020年3月期の取り組みをご説明します。
3ページをご覧ください。2020年3月期は3ヶ年の中期経営方針の初年度でしたが、増収増益決算となり、全体としては順調なスタートを切ることができたと考えています。
中身をご説明します。決算の概要です。営業収益はカードショッピング、個品割賦が伸長して2,431億円となり、前年差プラス97億円、4パーセントの増収となりました。
営業費用は2,186億円と前年差プラス72億円で3パーセント増加となり、中身としては一般経費、貸倒関係費等が増加しましたが、プロセスイノベーションの取り組みにより増加額を抑制しています。
この結果、経常利益は244億円、前年差プラス24億円で11パーセントの増益となりました。なお、当期純利益は206億円で、前年差マイナス82億円となりましたが、これは前期に繰延税金資産を追加計上したこと等による影響です。
表の右側に2019年5月9日公表の業績予想との対比をお示ししていますが、概ね業績予想どおりの着地であり、2020年3月期末配当は期初予想どおり普通株式1株当たり3円とします。
営業収益の状況
4ページをご覧ください。営業収益の状況について内訳をお示ししています。中期経営方針では、カード・融資、決済・保証を「成長事業」、個品割賦、銀行保証を「基幹事業」としています。
成長事業では、カードショッピング、決済・保証がともに増収となり、成長事業合計で前年差プラス4パーセントとなりました。
基幹事業では、銀行保証が減収となりましたが、個品割賦の増収がカバーし、合計で前年差プラス2パーセントの増収となりました。
中期経営方針では成長事業の年平均成長率を5パーセント以上、基幹事業を2パーセント程度としていたので、概ね予定どおりの進捗と言えます。
右側に事業別の営業収益推移を3ヶ年分お示ししていますが、濃い青色のカード・融資事業と、薄い青色の決済・保証事業を中心に着実に収益が増加していることがお分かりいただけると思います。
2020年3⽉期の振り返り
続きまして、経常利益の四半期別での進捗とともに、2020年3月期を振り返りたいと思います。5ページをご覧ください。
棒グラフが金額、折れ線グラフが進捗率で、それぞれ左軸・右軸に対応しています。
上期の進捗率は65パーセントと好調な結果となり、続く第3四半期も消費税増税後の反動減の影響を受け、やや鈍化したものの堅調に推移しました。
しかしながら、第4四半期においては新型コロナウイルス感染症による影響が顕在化し、反動減から回復しつつあった業績が下押しされる結果となりました。
このような推移ではありましたが、先ほど決算の概要でご説明したように、通期では増益で着地しています。
新型コロナウイルス感染症による影響
ここで先ほど2020年3月期の振り返りで言及した新型コロナウイルス感染症による影響についてご説明します。6ページをご覧ください。
折れ線グラフにてカードショッピング、オートローン、ショッピングクレジットおよび決済・保証の4事業について取扱高の前年同期比をお示ししています。
カードショッピングは、商業施設の休業や外出自粛要請等による個人消費の落ち込みなどにより、第4四半期の伸長率が鈍化しています。
オートローンにおいては、第4四半期において消費税増税後の反動減から緩やかに回復しつつあったところで、来店客の減少や販売フェアの中止などが影響し、前年同期を下回る結果となりました。
ショッピングクレジットは、主に住宅リフォーム業界においてサプライチェーンの停滞に伴う納期の遅れが響き、第4四半期は前年同期を下回る水準での着地となりました。
最後に決済・保証ですが、こちらは家賃決済保証の市場拡大を背景に拡大基調が継続しており、2020年3月期においては先の3事業のような新型コロナウイルスによる影響は顕在化していません。
なお、係る状況下、将来発生する損失を見積もり、貸倒関係費を2020年3月期決算において追加で繰入れしています。
事業別の状況 成⻑事業
次に事業別の状況についてご説明します。7ページをご覧ください。
カード・融資事業です。まずはカードショッピングについて、左上の青色の棒グラフが取扱高で、ピンク色の棒グラフが事業収益をお示ししています。2020年3月期の取扱高は2兆4,192億円となり、前年差12パーセントの増加となりました。これは右隣の棒グラフでお示ししているように、プロパーカードである「Orico Card THE POINT」、ビジネス系カードの取扱いが好調に推移したことなどによるものです。
次に、融資についてご説明します。右上の青色の棒グラフが融資残高で、ピンク色の棒グラフが事業収益をお示ししています。2020年3月期末の融資残高は2,932億円と減少しました。引き続きローンカードの稼働促進策を継続し、安定した収益の確保を目指します。
続きまして、決済・保証事業です。左下の棒グラフをご覧ください。2020年3月期の取扱高は1兆1,970億円となりました。家賃決済保証については、保証ニーズの高まりも背景に既存提携先への取り組み強化、新規提携先の開発などによって取扱高は順調に拡大しており、前年差でプラス11パーセントとなりました。
売掛金決済保証についても堅調に推移しており、2020年3月期の取扱高は前年差プラス9パーセントと伸長しました。
家賃決済保証については、2020年3月期を通じてオリコフォレントインシュアへの営業部門の移行を上期に、事務部門の移行を下期に完了し、オリコフォレントインシュアとの一体運営を図っています。また、オリコのWeb商品をオリコフォレントインシュアへ本格展開していくなど、一体運営による更なる事業採算性向上とシナジー拡大を目指します。
事業別の状況 基幹事業
8ページをご覧ください。まずは個品割賦事業です。
オートローンの2020年3月期の取扱高は8,871億円となり、前年差155億円増加しました。中古車専業店の取扱いが増加したことに加え、オリコオートリースやタイでの取扱いが好調に推移したことによるものです。
次に、ショッピングについては、2020年3月期の取扱高は4,271億円となりました。中央下段のショッピング取扱高の内訳のグラフにあるとおり、住宅リフォームと住宅リフォーム以外のいずれも増加しました。住宅リフォーム以外は、主に家電市場の取扱いが牽引しています。
続いて、銀行保証事業です。2020年3月期末の保証残高は1兆2,593億円と、与信管理厳格化の取り組みなどもあり減少しました。スライド右下にトピックスを掲載していますが、トマト銀行をはじめとした金融機関とのコンサルティング営業は着実に進捗しており、実績も顕在化しています。
営業費用の状況
続きまして9ページをご覧ください。営業費用の状況です。
2020年3月期の営業費用は前年差プラス72億円の増加となりました。一般経費については、基幹システム稼働に伴う電算償却費が45億円増加しましたが、プロセスイノベーションの取り組みにより増加額は33億円にとどまりました。
貸倒関係費については、先ほど新型コロナウイルス感染症による影響で触れましたが、将来発生する損失を見積もり、追加で繰り入れたことなどにより、貸倒引当金繰入額は9億円増加、利息返還損失引当金繰入額と合わせて18億円増加しました。
なお、過払金返還額については、右下のグラフで四半期ごとの推移をお示ししています。2020年3月期は86億円となり、前年差マイナス24億円の減少となりました。
中期経営⽅針の進捗状況
次に、初年度である2020年3月期の結果を踏まえた中期経営方針の進捗状況をご説明したいと思います。11ページをご覧ください。3つの経営目標の進捗状況をそれぞれグラフでお示ししています。
中期経営方針では、経常利益350億円以上、営業収益一般経費率60パーセント未満、ROE10パーセント以上の経営目標を掲げており、その最終年度の目標に向けて2020年3月期は概ね順調なスタートとなったと考えています。なお、I種優先株式に関しては、2019年11月に一部償還を実施し、残高は350億円となっています。
中期経営⽅針の進捗状況
続きまして、12ページをご覧ください。中期経営方針では“Innovation for Next Orico”を基本方針に掲げ、「デジタルイノベーションの実践」「プロセスイノベーションの実践」「アジアへの事業展開の拡大」「オリコグループのシナジー拡大」「コンサルティング営業の強化」「サステナビリティ取組み強化」の6つの基本戦略に基づくアプローチを徹底し、強固な収益体質の再構築と新たなビジネスモデルの創出に向け、全社一体となった取り組みを進めています。
現在に至る各戦略の主なトピックスを時系列に沿って並べていますが、取り組みは着実に進捗しています。次のページから各戦略についてご説明します。
デジタルイノベーションの実践
13ページをご覧ください。まずは「デジタルイノベーションの実践」です。異業種企業や、先進技術を有するスタートアップ企業との協業を通じて、新規事業領域の拡大、当社企業価値向上を目指しています。
2019年5月に、オリコデジタルファンドを活用して出資したLINE Creditにおいて、LINE Scoreをベースとした個人向け無担保ローンサービスである「LINE Pocket Money」をリリースしました。また、回収業務を当社グループ会社である日本債権回収が受託しており、グループ一体となった取り組みにより、さらなるシナジーの拡大を図っていきます。
その右側に記載のとおり、複数のスタートアップ企業に出資を行っています。そのなかで、アルバイトマッチングアプリの開発運営を行うTimeeや総合人材サービスを提供するneocareerに関しては、報酬をチャージできるプリペイドカードの発行など、決済分野における協業を進めています。こうした取り組みをさらに加速させることで、当社企業価値の向上を目指していきます。
プロセスイノベーションの実践
14ページでは「プロセスイノベーションの実践」についてご説明します。スライド上段でお示ししていますが、オペレーション業務の効率化や、お客さま応対業務の高度化、業務体制の再構築や、ITコストの最適化といった取り組みにより、トップライン拡大による経費の増加を抑制するなど、コスト最適化を図るとともに、捻出した経営資源を成長領域へ投下しながら、営業収益一般経費率60パーセント未満を目指すものです。
スライド下段の「主な取り組み」にありますとおり、WebやAIツール、RPAを活用し、申込み受付や審査、入力業務など、業務の自動化を進めており、着実に進捗しています。
プロセスイノベーションについては、中期経営方針の最終年度の2022年3月期に約100億円の利益貢献を目標としています。2020年3月期では、約50億円の利益貢献の実績となっており、郵送物デジタル化の取り組み等によるさらなる積み上げを引き続き図っていきます。
アジアへの事業展開の拡⼤
15ページをご覧ください。「アジアへの事業展開の拡大」です。スライド左側にタイの状況を記載しています。タイの営業拠点はこれまで都市部を中心に拡大してきましたが、2019年5月と10月に新たに郊外に2拠点開設しました。タイの取扱高推移をグラフでお示ししていますが、ご覧のとおり、営業網の広がりとともに順調に拡大しています。引き続きタイ事業の持続的成長に向け、強固な事業基盤の確立を図っていきます。
スライド右側をご覧ください。既に公表しているように、タイに次ぐ進出先としてフィリピンへの進出を決定し、2019年9月にオートローン事業会社Orico Auto Finance Philippines Inc. を設立しました。また2020年1月には、インドネシアの地場ファイナンス会社の買収を決定し、同国を3番目の進出国としています。
しかしながら、これら3ヶ国においても新型コロナウイルス感染症拡大に伴う非常事態宣言などが発動されており、政府当局も含め経済活動に規制がかかり、予断を許さない状況となっています。各国の事態を見極めつつ、リスク管理にも注力し、今後の対応を慎重に検討していく方針です。
オリコグループのシナジー拡⼤
続きまして、「オリコグループのシナジー拡大」です。16ページをご覧ください。大きく2つの軸による収益の拡大を目指しています。1つ目の軸は連結経営の強化によるグループシナジー拡大、もう1つの軸はみずほとの連携強化、及びアライアンスの推進を通じた事業領域の拡大です。
グループシナジー拡大においては、オリコフォレントインシュアへの家賃決済保証事業の移行による一体運営や、グループ会社であるオートリとホロニックの事業再編による事業ポートフォリオの最適化等を実行しています。
また、事業領域の拡大では、みずほとの連携強化の一環として、みずほMMCカードの商品ラインナップ拡充など、クレジットカードビジネスの拡大に向けた取り組み等に注力しています。
コンサルティング営業の強化
17ページをご覧ください。「コンサルティング営業の強化」です。ここではオリコグループの機能、ネットワークを最大限活用し、徹底したマーケットインによる決済・金融サービスの重層的な提供を目指しています。
スライド下段にお示ししていますが、トマト銀行との国際ブランドデビットカードの取り組み、地域企業との提携カードの新規取り組み、カード加盟店開拓における信金・信組との連携など、マーケットインの徹底によるビジネスチャンスへの迅速な対応を通じた、安定した収益基盤の強化、事業領域の拡大を引き続き図っていきます。
サステナビリティ取組み強化
続きまして、「サステナビリティ取組み強化」です。18ページをご覧ください。スライド中段にお示ししている5つの重要テーマに則り、各種取り組みが進捗しています。当社を取り巻くすべてのステークホルダーにとって持続可能な社会の実現と企業価値の向上を着実に具体化していきます。
スライド下段にお示ししているとおり、当社の取り組みはすでに政府をはじめ社外機関によって高い評価をいただいています。
業績予想、配当予想について
前ページまで、中期経営方針の進捗を6つの基本戦略に沿ってご説明しました。冒頭でも申し上げましたとおり、初年度である2020年3月期は順調なスタートと総括することができましたが、今年度はまったく余談を許さない状況です。
スライド19ページ上段にお示ししているとおり、新型コロナウイルス感染症の収束について見通しが立たない現時点においては、2021年3月期の業績予想、配当予想を未定としています。もちろん合理的な算定が可能になった段階で、速やかに公表する方針です。
係る状況下、当社としては危機管理を最優先としつつ、状況の変化に柔軟かつ適切に対応していきます。
また、新型コロナウイルス収束後に想定される消費行動の変化を見極めつつ、今回ご説明した6つの基本戦略に沿った取り組みを着実に進めていきます。
特にプロセスイノベーションの取り組みを一層推し進めることで、より筋肉質な企業体質を目指していきます。
スライド資料のご説明は以上です。
質疑応答:新型コロナウイルス感染症拡大による難局を如何に乗り切るか
ここで、決算発表後にいただいたご質問に対して直接私の口からお答えしたいと思います。
1つ目のご質問は「新型コロナウイルス感染症の拡大により大変厳しい環境のなか社長に就任されたが、社長としてこの難局をどう乗り切るのか、お聞かせいただきたい」というものです。
このご質問に対する私の回答を申し上げます。新型コロナウイルス感染症拡大による影響については、緊急事態宣言が延長されるなど、収束時期および先行きが不透明な状況が続いています。
係る状況下、当社は緊急対策本部を設置し、社員の安全確保を最優先とし、経済産業省から要請のあった事業継続体制の構築などに留意しながら、本社ならびに営業店の出勤制限を行なっています。
日々国内外の拠点と連携を図りながら、経済活動において重要となる金融インフラを担う当社の役割を果たしていく考えです。
2020年3月期は、中期経営方針の初年度として概ね順調なスタートを切ることができました。2021年3月期においては、新型コロナウイルス感染症の拡大により、トップラインだけでなく貸倒関係費用の増加や調達環境の悪化による金融費用の上昇など、事業全般に影響を受けることが想定されます。
トップラインの大幅な拡大が困難な状況下においては、現在進めているプロセスイノベーションによるコスト最適化の取り組みを一層押し進めることで、より筋肉質な企業体質を作り上げたいと考えています。
新型コロナウイルス収束後は、消費行動の変化を見極めながら、需要を取り込み利益を最大化すべく、現在できる取り組みを着実に進めていく方針です。
なお、当社では2020年3月11日に新型コロナウイルスの影響によるお支払いに関するご相談窓口を設置し、お客さまからのお問い合わせやお申出に対して丁寧な対応も行なっています。
質疑応答:みずほとの連携をどのように強化していくのか
2つ目のご質問は、みずほとの連携についてです。「みずほとの連携については、あまり進んでいないように見受けられる。みずほ信託銀行から社長に就任され、みずほ連携を今後どのように強化していくのか」という質問です。
私の回答を申し上げます。中期経営方針における6つの基本戦略の1つである「オリコグループのシナジー拡大」を先ほどご説明しましたが、本戦略においてみずほとの連携強化は極めて重要です。
足元の連携としては、みずほ店頭でのMMCカード獲得強化に加え、みずほ・UCカードとの間でJ-Coin Payで協業しているほか、みずほと共同で出資するLINE Creditにおいて、スコアリングサービスやローンサービスの展開を開始しています。
以上に加え、インドネシアでオートローン事業を展開するPT.Mizuho Balimor Financeの株式取得を決定し、2020年2月に公表しています。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症拡大の影響によってその進捗は止まっています。事態の推移を見極め、慎重に対応していきたいと考えています。
今後、当社が発行しているMMCカードのラインナップ拡充など、各種施策の実現に向けて、みずほとの多面的な連携強化に取り組んでいきます。
最後に一言申し上げます。当社の2021年3月期の業績予想、配当予想を未定とする判断に至ったように、現在、新型コロナウイルス感染症によって経済活動に深刻な影響がもたらされています。
足元では、緊急事態宣言解除の検討や厚生労働省による治療薬の特例承認など、新型コロナウイルス感染症収束に向けた兆しが少し見えてまいりましたが、未だ予断を許さない状況です。
当社は中期経営方針の達成に向けて“Innovation for Next Orico”の基本方針に則り、新型コロナウイルス感染症収束後に想定される消費行動の変化に柔軟に対応しつつ、持続的成長と企業価値のさらなる向上を目指していきます。
今後とも引き続きご高配を賜れば幸甚です。私からの説明は以上です。ご視聴いただき誠にありがとうございました。