スマレジの事業内容
山本博士氏(以下、山本):株式会社スマレジの山本でございます。本日はお忙しいなか、ご来場いただきまして、ありがとうございます。株式会社スマレジの第15期、2020年4月期第2四半期の決算説明会を開催させていただきたいと思います。よろしくお願いします。
まずはじめに、簡単に当社の事業の説明をさせてもらいたいと思います。お手元の資料で4ページになります。
写真のとおり、タブレット、とくにiPad等を使ったお店のレジのシステムを開発して販売しています。データはすべてクラウドにアップされ、お店のオーナーはスマホやPCを使って、リアルタイムに売上等を確認することができるという、タブレットを使ったクラウド型のPOSレジサービスを展開しています。
もともとは、レジやPOSレジというものは大手電機メーカーが作ってこられた市場で、基本的にはハードウェアのビジネスでした。私たちはソフトウェアだけになるのですが、汎用的なコンピューター、とくにタブレットやスマホといったものを利用して展開するかたちで、業界の中では違った切り口で開拓しているという立ち位置になります。
資料の中央の三角形と、右側の2つの丸印についてお話しします。右側の丸2つですが、スマレジが想定しているメインターゲットが小売店と飲食店になり、小売店と飲食店でお客さまの8割ぐらいを占めています。なお、日本全国で小売店がだいたい90万店から100万店ぐらいあります。そして、飲食業とサービス業を一部加えると、だいたい110万店ぐらいあると言われており、合わせて200万店ぐらいの店舗が存在します。
左側の三角形に移ります。200万店のすべての店舗がスマレジを導入している店舗かというとそうではなく、お客さまのビジネスの規模を店舗数でスライスした時に、三角形の一番下が小規模店舗で、個人商店のような1店舗の店舗がだいたい半分ぐらいを占めています。
ピラミッドが上にいくほど多店舗展開されていると解釈していただけたらと思うのですが、上になるほど、だんだん店舗数が大きくなっていくということです。スマレジは、青く塗ってある中央エリアの2店舗から40店舗ぐらいのお客様にとって使いやすくなっているということで、スマレジのメインターゲットが77万店ぐらい存在すると考えています。
スマレジの機能
既存の電機メーカーと、私たちソフトウェアメーカーとのシェアの取り合いというところもあるのですが、その一方で、今は「◯◯レジ」というかたちで競合他社がたくさんあります。
スマレジとその他の「◯◯レジ」との違いが何かということを記載していまして、とくに多機能であるということを一番強く推しています。
例えば、小売店の場合はレジ機能だけではありません。小売店は流通の末端になりますが、メーカーや卸業者から商品を仕入れる必要があります。発注したり、商品を仕入れてくる時に、まず発注履歴を取る必要があります。そして発注した商品が、そのとおりに正しく入ってきたかを検品する必要がありまして、スマレジはそのような機能を備えています。
商品を発注して、その発注どおりに商品が入ってきたかどうかをチェックして、商品が入ってきたあとに値段や商品名を付けて、商品をきれいにして各店舗に振り分けていくという機能があります。各店舗に振り分けて、そこで商品を陳列したりバックヤードに戻したりといったかたちで商品を動かすこともできます。
そして、商品が陳列棚に並んで消費者の方に手に取っていただき、初めてお会計の機能が動き出すわけです。お会計をしたあとも、今度はお店と消費者の方とを繋ぐ顧客管理の機能も存在するということで、レジの機能だけではなく、商品を仕入れるところからお客さまの手に渡るところまでをトータルで管理していくといった、店舗運営システムとして機能するところが一番大きな特徴になります。
また、店舗数であったり、今の状況はのちほど説明させてもらいたいと思います。それでは、6ページ以降で、第2四半期の業績について説明させていただきます。
2020年4月期 2Q業績ハイライト
田川良行氏(以下、田川):2020年4月期第2四半期の業績ハイライトです。ご高覧のとおりですが、 消費税増税に伴いまして、軽減税率への対応で駆け込み需要等がありました。こちらで新規獲得の件数が増加しています。
売上高は、前期比208.6パーセントの18億2,500万円と大きく成長しまして、業績見通しで109.3パーセントで着地しています。
営業利益は、前期比299.1パーセントの5億2,700万円と大きく成長しまして、業績見通しは126.1パーセントで着地しています。6期連続増収と4期連続増益に向けて、業績は好調に推移しています。
また、上場による認知や信頼性の向上によって大型案件の受注も増加しています。大型案件の定義に関しては、また後ほどご報告させていただきます。
業績ハイライト
業績ハイライトですが、こちらはご高覧いただいていると思います。先ほど申し上げた内容とほぼ同一です。
貸借対照表
貸借対照表は第1四半期とあまり変わりはなく、現預金が若干増加しています。現預金は上場後、少しずつ使っているものの、営業キャッシュが多いためにプラスが出ている状況です。
損益計算書(累計期間)
損益計算書の累計期間は、ご高覧のとおりです。
売上高・営業利益・営業利益率の推移
売上高、営業利益、営業利益率の推移です。2020年4月期の計画に対して、第2四半期時点の売上高進捗率は59.2パーセントと半分以上達成しています。営業利益進捗率は82.1パーセントと、予算に対して8割方達成している状況です。
下期は、スマレジ4.0の開発や広告費用へ投資資金を使っていく予定ですので、今後の業績予想は現時点ではまだ変えていません。
四半期 損益計算書
四半期の損益計算書です。ご覧いただきやすいように会計期間ごとに置かせていただいています。特筆すべきが2019年4月期第4四半期で、だいぶ売上が上がります。お店の開店に合わせて、常にこのようなかたちになっています。
販売費及び一般管理費ですが、最終四半期に人件費等を投下していますので若干増加しています。第1四半期と第2四半期は、今期に関してはご高覧のとおりです。
売上高・営業利益・営業利益率の四半期推移
売上高、営業利益、営業利益率の四半期推移です。軽減税率の特需もあって売上高が拡大していますので、直近ですと営業利益率が30.2パーセントで過去最高となっています。
通常の状態ですと、だいたい20パーセント前後になっています。こちらは直近では軽減税率の特需の影響が強くなっています。
売上高内訳の推移
売上高の内訳の推移です。消費税増税に伴う軽減税率への対応による駆け込み需要の影響により、関連機器販売が増加しています。サブスクリプション型ストック売上となる月額利用料にも好影響を与えています。
グラフの下段の濃い青色がストック売上で、2019年4月期第1四半期で2億2,300万円となり、その上のクラウドサービス関連機器販売等で付随させていただいているレシートプリンターやiPad等の機器で1億7,700万円となっています。
直近の業績で大きく異なる部分についてです。今までは、売上の半々ぐらいのイメージでしたが、直近ではクラウドサービスのソフトウェアが3億8,000万円、機器等の販売が6億6,900万円となっています。
軽減税率の影響等もあり、第2四半期は関連機器等の売上高が通常よりもかなり多くなっている状況です。
営業利益の増減分析(対前年同期比)
営業利益の増減分析です。前期の営業利益が1億7,600万円でしたので、今期は5億2,700万円となっています。
売上高に関しては、有料契約の増加に伴い有料店舗率が向上しており、こちらによる増加となります。解約率の低さも継続して低い水準となっていますので、ストック売上が着実に伸びている状況です。また、軽減税率によるレジ入れ替え需要の増加もありまして、売上高が9億5,000万円増加しています。
内訳ですが、売上原価については技術の会社のため技術関連の人件費がかかっており、そちらの構成が高くなっています。また売上高に対してサーバー費用等もかかってきますので、サーバー費用、また人員も増加しています。
販管費は非常に低く抑えられています。役員、従業員等の増加による人件費の増加と、大阪本社を前四半期から移転しており、そちらで若干の固定費の増加があります。また、その他の広告費用等であまり大きな変動はないかたちで、最終的な営業利益は5億2,700万円となっています。
販売費及び一般管理費の四半期推移
販売費及び一般管理費の四半期推移です。ご高覧いただいているとおりですが、大半が人件費となっています。人件費は少しずつ増えていますが、販管費率は売上高が高くなっていますので、若干低くなっています。
社員数の推移
社員数の推移です。幅広い年齢層を採用しており、新規採用の平均年齢は32.6歳となっています。
採用計画自体は順調で、今後もこのペースで新規採用を継続していきますが、平均勤続年数は現在で2年5ヶ月となっています。第2四半期時点では、社員数100名です。
続きまして、事業の状況を代表の山本からご報告させていただきます。
2020年4月期2Qのトピックス
山本:事業の状況です。2020年4月期第2四半期のトピックスですが、とくに大きなものを3点ほど挙げますと、やはり一番最初に記載の消費税増税と軽減税率制度が始まったという点が、一番大きなトピックスでした。
2つ目の決済機能の強化についてですが、「◯◯PAY」というサービスがたくさんラインナップされました。こちらは、連携しているサービスを通じて実現しています。
スライド中央の少し下に記載がありますが、累積取扱金額が2兆円を突破しました。後ほどまた詳しくお話ししますが、スマレジのサーバーに溜まっているデータが2兆円分を超えたということで、データがたくさん溜まっています。
もう1つ、100店舗超と600店舗超の大型導入がありました。スマレジのお客さまが、だいたい1店舗から40店舗(の規模のところで)、とくに多いのは1店舗から10店舗ぐらいのスモールビジネスのお客さまです。
50店舗や100店舗を超えて、600店舗ということで、これは異常値かもしれないのですが、大型の引き合いがかなり多くなってきている傾向がありました。
トピックス - 軽減税率制度による影響のまとめ1
一番影響が大きかった軽減税率制度による影響のまとめを記載しています。8月から9月にかけて、軽減税率対策補助金の申請が激増しました。業績に与えた影響が、だいたい24パーセントぐらいじゃないかと推定しています。
スライドの左側のグラフは、軽減税率に関する商談数の比率です。グラフで示していますが、9月に商談の一番のピークを迎え、10月はガクッと減って、だんだん平常期に戻っている状況になります。このグラフで青く塗った部分が軽減税率に関連する商談で、商談時に補助金を申請すると明示されたお客さまがこれくらいいらっしゃったことになります。
スライドの右側ですが、こちらは売上にどのぐらいのインパクトを与えたのかになります。グラフの左側が月額利用料の増分値になり、右側がクラウドサービス関連機器販売で、いわゆる初期費用の部分の影響度を表しています。
初期費用が断然大きくなっており、1件成約するごとにだいたい20万円ぐらいの売上になるのですが、1回で20万円ぐらいの売上が付きますので、売上としてはワンショットで大きくなるわけです。
その一方で月額の場合は、有料プランのお客さまの平均が7,500円ぐらいになりますので、1件取れても当月は7,500円しか売上が上がらないということで、月額は伸び率が小さいかたちになります。
ただし、その後は毎月売上につながりますので、月額についてこの後、何年かをかけてずっと積み上がっていくことになります。
トピックス - 軽減税率制度による影響のまとめ2
軽減税率制度による影響のまとめの2点目です。先ほど申しましたクラウドサービス関連機器販売がワンショットの売上になりますので、折れ線グラフで見ると、ピンッと上がって、もう一度平常期に戻って、もとの成長ラインに戻ると想定しています。
スライドの右側の月額利用料は少しずつ貯まってきています。今回の特需でたくさん獲得できたぶん、グンッとグラフが上がり、その後は下がることなくそのまま上がっていく傾向になると思いますので、感想としては「ラッキーだった」と考えています。
取扱金額の推移
取扱金額の推移です。累積でちょうど2兆円を突破したということで、11月にプレスリリースを出させてもらいました。
取引の内訳についてです。内訳としてクレジットや現金と記載していますが、お客さまの傾向によってクレジットが増えたり減ったりというところが若干左右されるため一概には言えないものの、少しずつ現金取引が下がってきていると考えています。
こちらが収益に何かの影響を与えるかと言いますと、今のところはとくにありません。今後、スマレジ上に溜まったデータを分析して、例えばメーカーや金融機関といったところにお話を持っていってマネタイズを考えるということも行いたいと思っていますが、現時点ではそうした動きはありません。
店舗数と有料店舗数の四半期推移
店舗数と有料店舗数の四半期推移ですが、全体の店舗数が7万8,179店舗となりました。そのうち有料店舗が1万5,332店舗となっており、有料比率が少しずつ上がっています。
店舗数とアクティブ率
アクティブ率は少しずつ上がってきています。アクティブの定義は、当月の取引が存在するかどうかという観点で測定しています。
利用プラン内訳
有料プランの内訳ですが、月額4,000円の「プレミアム」、月額7,000円の「プレミアムプラス」、月額1万円の「フードビジネス」、月額1万2,000円の「リテールビジネス」というかたちで、メインのプランは4つあります。
「フードリテール」は、少し特殊なお客さまを対象にしたプランになります。4つのプランのどれも伸びてきており、とくに内訳で伸びているのは、少し料金が安い「プレミアムプラス」が伸びてきています。こちらは、先ほど申しました600店舗の大型店の契約が入ったため、少し比率が上がっています。
解約率の推移
解約率の推移ですが、1パーセント未満で推移しており、徐々に下がってきています。新規の獲得が多い分、解約率が下がっているという見方もあり、解約率がずっと下がり続けるかと言うとなかなか難しいところがあるかと思いますので、だいたい1パーセント未満を目標としていきたいと考えています。
中小企業向け業務システムへの取り組み
スマレジ以外の中小企業向け業務システムへの取り組みについてです。「スマレジ・タイムカード」という勤怠管理システムを展開しており、こちらも順調に伸びています。年間の売上では2億円弱ぐらいの規模となっています。
続きまして、今年度の下期業績の見通しについて田川からお話をさせていただきます。
2020年4月期 通期業績ハイライト(計画)
田川:2020年4月期業績の見通しですが、2020年4月期業績のハイライトからご報告させていただきます。
消費税増税に伴う軽減税率への対応による駆け込み需要が当初の予想を上回りましたので、9月6日に、第2四半期および通期の業績を上方修正させていただきました。売上高は通期で30億8,000万円、前期比155.9パーセントを見込んでおり、営業利益は通期で6億4,200万円、前期比148.8パーセントと高い成長率を見込んでいます。
なお、通期の計画に対して、第2四半期時点で売上高の進捗率は59.2パーセント、営業利益の進捗率は82.1パーセントとなっています。
2020年4月期 通期業績ハイライト
こちらのスライドは、業績を一覧で記載しています。軽減税率の補助金という一大イベントが終わりましたが、機器販売等は、第2四半期までに比べて減少を予想しています。新規の獲得により、クラウドサービスのソフトウェア、月額利用料の底上げとなりましたので、継続的な売上増ということで、通常期に比べると前期比はまた上回ると予測しています。
ただし、現段階では2020年4月期の予測は、第4四半期で売上高の計画が30億8,000万円、営業利益、経常利益はともに6億4,200万円と見込んでいます。
売上高・営業利益・営業利益率の推移(計画)
今後の計画ですが、広告費や採用強化と、「スマレジ4.0」のバージョンアップによるサービス強化等で、上場時の資金使途を有効活用していく予定です。それによって販管費が増加して、営業利益率は一時的に低下すると予測していますが、これはあくまでも四半期単位です。
最後に、代表の山本から今後の展望についてご報告させていただきます。
クラウド化の潮流
山本:今後の展望について、2点お話をさせていただきます。1つ目が、クラウド化の潮流です。SaaSサービスを含むパブリッククラウド市場が今後も継続して成長していくだろうという見方があり、スマレジも、POSレジ業界のなかでクラウド化を後押ししていく立ち位置にありますので、当面は成長していくと考えています。
また、今年2月の上場による認知度向上、信頼性の向上により、大型案件、または軽減税率に関係しない案件数も着実に増加しています。POSレジのクラウド化を率先して業界を牽引していきたいと考えています。
スマレジのバージョンアップ
もう1点、外部要因とはまた別で、スマレジのバージョンアップを計画しており、顧客満足度の向上とソフトウェアの陳腐化防止を目的に、定期的な大幅なバージョンアップを実施したいと考えています。
だいたい3年に1度のペースでバージョンアップを行ってきていますが、2020年の夏をめどに、スマレジを新しいバージョンにしていこうと考えています。
内容については、プラットフォームをテーマにしています。今までスマレジは、私たちが自分たちで機能の向上、または機能追加を行ってきたのですが、いろいろなお客さまの要望が無限に存在しており、またそれがどんどん新しくなってきています。
そのニーズに的確に応えていくために、スマレジ自体はプラットフォームにして、サードパーティーのシステム開発会社やアプリベンダー、もしくは個人のエンジニアがスマレジのアプリマーケット上でアプリを開発して販売し、スマレジのお客さまに提供できるようなマーケットプレイスを作ろうと考えています。
これによって、スマレジではなくいろいろな会社から、例えばクリーニング店やホテルといった業態でも使える機能を追加してもらえたりします。もしくは店舗側から見れば、自分のお店に必要なアプリを選択してインストールすることで、スマレジをカスタマイズできるため、お客さまが増えていくと考えています。
また現在、大手企業が「◯◯レジ」といったレジ関連のサービスを展開されていますが、そのようなところとの差別化にもなると考えています。
以上で、決算説明会のお話を終了させてもらいたいと思います。ありがとうございました。