2018年度 通期 連結業績サマリー

坂上亮介氏:みなさん、お忙しい中、お集まりいただきありがとうございます。では、通期の業績についてご説明いたします。

P/Lのサマリーでございます。売上はプラス6.4パーセントの成長となりました。従前からお話ししていますとおり、会計基準の変更がございましたので、その影響を取り除くと、売上収益としては前年比プラス8.6パーセントの成長でございました。

営業利益は、ガイダンスでお示ししていたところに着地しまして、1,405億円となっています。当期利益はPayPayの損失を取り込んだ影響がございまして、営業利益より多くのマイナスとなっており、42.1パーセントのマイナスで、778億円となっています。

2018年度 通期 連結営業利益の増減要因

2017年の営業利益との増減要因をご説明いたします。主だったところですけれども、減価償却費がマイナス121億円、費用が増加しているということです。こちらは主にデータドリブン化によるもので、費用が膨らんでいます。

もう1点、その他の収益および費用でございます。第4四半期にアスクルとシナジーマーケティングで、合計59億円の減損をしています。それらを加味した結果の着地が1,405億円の営業利益でございます。

EBITDAは、前年からのマイナスがそれほど大きくなかったですが、こちらの減価償却費と減損部分を控除した結果でございます。また期初計画で、新たな挑戦費用として300億円を計画していました。メディアの動画のコンテンツを効率的に調達・制作することができましたので、56億円の実績となっています。

コマースは120億円の着地となっています。期初、モバイルペイメントを始めるときの座組が年の途中で変わりましたので、その部分で未消化となったことと、販促費93億円……こちらは主にはPayPayやコマースを戦略推進する上で、ワイジェイカードの獲得費用をより多く投下して、獲得に結びつけた結果でございます。

2018年度 通期 連結財政状態計算書

B/Sでございます。主だったところですが、現金が2018年第3四半期末で5,467億円となっています。前年差でマイナス3,215億円で、主な内訳は自社株買いをした影響によるものです。

一部投資家やアナリストの方から、銀行事業を除いたときのネットキャッシュが見えにくいというご指摘がございました。簡易的ではございますが、スライド一番下段に書いています、銀行事業を除くネットキャッシュは現時点で820億円です。

以上、全体は私からご説明申し上げました。事業別は、川邊から説明いたします。

2018年度 メディア事業 業績ハイライト

川邊健太郎氏:川邊でございます。お忙しいところ、今日はありがとうございます。私から、2018年度の事業別の内容の説明、その後に2019年度以降の成長戦略等々について説明をさせていただきます。

まず、2018年度のメディア事業の内容について説明いたします。サービスとマネタイズの構造を図示してございます。メディア事業の場合は、まずサービスで月間のログインユーザーID数を増やし、ログインしてくださっているユーザーの方が使う利用時間をどんどん伸ばしていく。伸びた結果、広告の在庫が増えて、各種マネタイズの広告が売れていくといった構造で、2018年度もいろいろな取り組みを行いました。

サービス側がもっとも注力しているサービスKPIである月間ログインユーザーID数ですが、こちらは4年連続2桁成長の10パーセントを超えています。また結果として、ログインしたユーザーの方々が使ってくださる利用時間も20パーセント以上の伸びということで、大きく伸長しました。

広告の商品ごとの増減は、この後詳しく説明いたしますけれども、この資料において特筆すべきは、検索連動広告が5年ぶりに通期で2桁成長を遂げたということでございます。

2018年度 広告関連売上収益の実績

マネタイズの詳細をご覧いただければと思います。まず、広告関連売上収益は、前年比で6.7パーセント増の3,238億円となりました。内訳のところで何点か言及いたしますと、今申し上げたように、検索連動広告は通期でも2桁成長です。そしてプレミアム広告も、ほぼ2桁成長でした。

そしてYDNに関しましては、アドフラウドの対策を一気に行いました結果、いったん0.7パーセントのマイナス成長になっています。この影響を除くと、だいたいプラス1.2パーセントでございました。

動画コンテンツの進捗

2018年度、メディア部門で力を入れたのは、動画部分です。まず、コンテンツにおいては、さまざまな動画のコンテンツを調達したり、あるいはオリジナルで作ったりすることに、追加予算を投じさせていただきました。

さまざまな結果がありましたけれども、特筆すべきことは、オリジナルのコンテンツで若年層向けのコンテンツがヒットして、ヤフーに若年層のユーザーが増えたことが一番の成果だったかなと総括しています。

スマートフォン動画の成長スピード

結果として、動画を強化した成果、ヤフーのスマートフォンのトップページで動画を見るユーザーの時間が、前年比で2.4倍となりました。また、スマートフォンの動画広告の売上が2倍以上の53億円となっています。

2018年度 コマース事業 業績ハイライト

続きまして、コマース事業の2018年度です。こちらも同様に、サービスとマネタイズと言いますか、土台部分であるeコマースの取扱高、そしてその取扱高の中でどういった決済がどれぐらい使われているのかにこだわって推進してまいりました。

その上でのマネタイズは、eコマースに加えて、物販ではないeコマース、O2Oのeコマース、金融、会員でマネタイズをしていますが、2018年度に関しましては、まず土台であるeコマースに関しては、ソフトバンクとの連携等が引き続き奏功して、4年連続で「Yahoo!ショッピング」は20パーセント以上の好成長を維持することができました。

その中での決済手段ですけれども、これは後ほど詳しく説明いたしますが、モバイルペイメントのPayPayが非常に大きく成長しています。そしてモバイルペイメント、PayPayの成長の力を使うかたちで、ワイジェイカードの有効会員数も伸びまして、サービス開始から5年で600万人以上の会員数のクレジットカード事業となっています。

マネタイズは、この後詳しく説明申し上げますけれども、特筆すべきは物販以外のO2Oの事業で、具体的には「Yahoo!トラベル」と「一休.com」ですが、非常に活況を呈してきています。

2018年度 コマース事業 主要指標の実績

詳しくご説明申し上げます。まず、eコマースの取扱高全般は11.3パーセント成長で、取扱高が2兆3,442億円となりました。その中でもっとも力を入れているのが「Yahoo!ショッピング」ですが、前年比22.6パーセントで、4年連続20パーセント以上の成長です。

先ほど申し上げました物販以外も好調で、「Yahoo!ショッピング」以上に「Yahoo!トラベル」と「一休.com」の事業が伸びまして、プラス26.6パーセント成長です。取扱高も4,000億円近くになっています。

また、PayPay等のよい影響で、ワイジェイカード事業がプラス165万の会員増となっていまして、累計の会員数は633万人となっています。以上が、2018年度のメディア事業・コマース事業の主な成果でございました。

ヤフーが目指すこと

ここからは2019年度、新体制としては2年目以降、どのようにやっていくのかの説明をさせていただきます。ちょうど4月1日に改元の内容が発表され、5月1日に「令和」となるわけですが、時代の大きな節目ですので、この令和の時代にヤフーがどんなサービスを提供していくか、どんな変化をしていくかを、社員向けあるいは投資家・株主さま向けに、私のサービスのイメージをビデオにしましたので、まずそちらをぜひご覧いただければと思います。

(動画が流れる)

令和の時代に、ヤフーのサービスはこう変わっていく、進化していくという映像でした。4月7日だったと思いますが、全社員に共有して、「こういうふうに早く変わっていこう」という話をしました。

もう一度、今見ていただいた映像をコンセプトに直しますと、これは前回の決算発表でも説明申し上げていますが、「今後、ヤフーのサービスはどうなっていくのか」について、まず、「ユーザーの『生活』を“!”するほど『便利』にする」ということです。これは、創業来変わっていません。そして、「オンラインの生活をさらに便利していく」というのも、ますますやっていきたいと思っています。

今後、積極的にやっていきたいのは、「オフライン上の生活も便利にしていく」「リアルに進出していく」というところでございます。先ほどの映像は、当然オンラインはもうやっている前提として、「オフラインで、我々はこうやっていくんだよ」ということを、ビジョン化しているものでございます。

オンラインでも、オフラインでも、ますますヤフーを、日本に住む人にとってなくてはならないものにしていく。そうしたサービスのイメージを持って、この令和の時代にサービスを開発していきたいと思っています。

長期的な売上収益構成のイメージ

そのサービスが便利で有用なもので、ますますヤフーが使われていく。使う人も増えれば、使う時間も増えるということで、当然収益も上がっていくということですし、上げていかなければならないと考えています。こちらも前回の決算発表で説明申し上げた図です。

これからのヤフーの収益の伸ばし方に関しましては、今の既存の事業もきちんと伸ばしていく一方で、新しいサービスを提供していくことによって生まれる。新たな収益をどんどん大きく伸ばして、最終的には、今よりも大きな事業体にしていきたいと考えています。

その中で、期待の持てる新たなマネタイズについて、前回の決算発表では、「統合マーケティングソリューション」を説明させていただきましたけれども、今回は「PayPay」について、説明を申し上げたいと思います。

ちなみ「PayPay」は、収益的にはeコマースやFinTech、あるいは「統合マーケティングソリューション」の一部にも関わってくる、非常に広範囲な事業体でございます。

PayPayのマイルストーン

その「PayPay」ですが、昨年の10月5日に単体のアプリ、そして「Yahoo! JAPAN」アプリで使える機能としてローンチいたしました。その後、ここに書いてあるようなさまざまな取り組みを、矢継ぎ早に行っています。とくにみなさんの中で記憶にあるのは、おそらく12月4日から始めた、第1弾「100億円あげちゃうキャンペーン」だったと思います。

これでブームとも言えるような状況になりまして、「PayPay」は初めて名乗りを上げることができましたし、世の中の多くの人も「キャッシュレス」「モバイルペイメント」という言葉を、このとき初めて知ったのではないかなと考えています。

セキュリティ対策

いいこともたくさんあったのですが、一方で、セキュリティ上でいくつかのご指摘をいただいたり、みなさんにもご心配をおかけするようなことが起きました。これに関しましては、PayPay社、ヤフー、ソフトバンクがそれぞれ大きな反省をして、スピーディーに、こういったセキュリティ上の懸念を埋めるような活動を、12月と1月に行いました。

2月12日 第2弾100億円キャンペーン 開始

結果として、このようなセキュリティ上の対処を行った上で、第2弾の「100億円キャンペーン」を2月12日より開始させていただいています。第1回目のキャンペーンは、名乗りを上げるために、「20パーセントのキャッシュバック!」「上限もものすごく高い!」ということでやらせていただきました。

第2弾のキャンペーンからは本質的に、我々がこれで何をしたいのか……それは「キャッシュレス化していきたい」ということですので、日用利用に限った上限金額において、「20パーセント(キャッシュバック)!」ですとか、「5回に1回当たる!」みたいなことをやらせていただきました。

結果として、きちんと対処したセキュリティ上の措置が機能し、また上限金額もだいたい狙ったとおりに推移していった結果、今回は極めて何事もなく、安全にキャンペーンが行われ、かつ、これからお見せするような高い成長を、このキャンペーンを通じて実現することができているのではないかなと考えています。

PayPayは垂直立ち上げに成功

今日、初めて開示する数字です。現時点で我々が、「PayPay」の事業で重要視しているKPIは、「登録ユーザー数」「加盟店舗」その掛け合わせである「決済回数」、そして「認知度」でございます。10月からの6ヶ月、7ヶ月間でどのように推移しているかという説明をさせていただきます。

まず、登録者数は開始6ヶ月で600万人という数となっています。前回が400万人という報告をさせていただきましたので、前回からすでに200万人以上、新たなユーザーが増えています。そして加盟店ですが、7ヶ月で50万店舗のお店が登録しています。

我々は、やはりスピードを重要視しています。今回この数字を出すにあたって、他のキャッシュレス決済のインフラが、50万店舗まで到達するのにどれくらい時間がかかっているのかを、プレスリリース等を中心に調査いたしました。

その結果、「PayPay」はそれだけの投資をしていますが、圧倒的なスピードで50万店舗を迎えています。この圧倒的なスピードを維持しながら100万店舗、あるいは日本で最も使える決済のネットワークにしていきたいなと考えています。

その掛け合わせである決済回数ですが、サービス開始後、2018年度末で2,500万回以上決済されています。今後も伸びていきますが、重要なのはこの棒グラフだと思っています。第1弾のキャンペーンがあれだけのブームとなったものですから、「第1弾のキャンペーンですごく使われて、第2弾のキャンペーンはそんなに使われていないんじゃないの?」みたいなイメージがあるのかと思います。

第1弾は、かなり高価格のもので使われました。第2弾は、キャンペーンを通じてきちんと生活に身近な決済に使われていました。決済回数で言うと、第1弾のキャンペーン時点よりも今の方が、毎日はるかに多くの決済がなされているという状況でございます。

我々は、他のサービスも、いろいろと立ち上げやってまいりました。そこで記録した数字と比べてみても、垂直立ち上げに半ば成功しているのではないかなと総括しています。おそらく登録ユーザー数も、どんどん増えて1,000万人になっていくと思います。日本の場合、ユーザーが1,000万人を超えると、アーリーアダプターの時期を越えて、レイトマジョリティといった層の方々が使うようになってきます。

そういったレイトマジョリティの方々が、「そろそろモバイルペイメントでも使ってみるか」となったときに、何を選ぶのかと言うと、やっぱり認知度、知名度です。ですから我々は引き続き、今、知名度にもこだわっており、純粋想起で1位を取ろうと思っています。

「じゃあ、そろそろ自分もモバイルペイメントを始めようか」となったときに、「そう言えば『PayPay』だよな」となるような、さまざまなプロモーション上の努力もしています。

第1弾のキャンペーンで名乗りを上げて、認知度No.1になってから、継続的にNo.1の認知度を維持しています。したがいまして、レイトマジョリティのユーザーが「そろそろ使い始めよう」となったときも、おそらくは「PayPay」が最も使われるといった構図に持ち込めつつあると考えています。

いずれにしても2018年度、「もう一度、ヤフーを作る」という覚悟で進めた事業が、サービスとしてはそれなりに進捗していることを、ここにご報告申し上げます。

種々の第三者機関の調査でも、どうも「PayPay」が伸びているらしいというのが出てきている中で、今度は投資家のみなさんから「伸びているのはいいけれども、それで最後に本当に儲かるの?」という質問に移ってきているという認識はよく持っております。今日は「最後にどうやって儲けるの?」というマネタイズについても、詳しく説明を申し上げたいと思います。

PayPayのビジネスモデル

この図を通じて説明いたします。まず、モバイルペイメントとしての「PayPay」が重要視しているKPIは、今申し上げた利用者数、使えるお店の数、そしてその結果としての決済回数でございます。

これを今、一生懸命大きくしています。その上で何が生まれてくるのかということですが、抽象化して、その1個上に書いてあるのが、決済データを中心としたさまざまなデータの蓄積です。

もう1つは残高です。「PayPay」の上に貨幣がどんどん蓄積されていくということが起きます。我々は最後に、データと残高を利用して、それを収益化していくという目論見でございます。

まず、データの蓄積がなされると、どんなマネタイズにつながるか。スライドに書いてある「O2O」というのは、我々から見た時には送客です。お店から見た時には集客になりますけれども、そういったマーケティングのサービスが提供可能となります。

こちらについては、前回の統合マーケティングソリューションでも詳しく申し上げました。また、人がどんなタイミングで何を買っているのかというデータは、我々がすでに本業としているオンライン上の広告のターゲティングの精度向上や、各種KPIのレートの向上というかたちで、著しく効いてまいります。おそらく、広告効果の上昇ということも起きてくると目論んでおります。

残高が増えていくということに関しましては、「PayPay」上に溜まったお金を利用して、さまざまな金融サービスを「PayPay」のユーザーに提供できることになります。これはビデオでもご覧いただいたように、例えば給料日前であまり「PayPay」残高がない人がいて、その人のキャッシュフローや、日々の「PayPay」での利用を見た場合、確実にこれくらいのお金はキャッシュフローで持っている人だから、3万円は後払いでいいから「PayPay」で貸しましょうといった事業ができます。当然、3万円を貸した場合は金利をいただくわけで、それがマネタイズとなります。

あるいは、これもビデオの中にありましたけれども、逆に残高がある場合、使わないかもしれないため、投資信託に回すなどもできます。すでに我々は「Yjam」という投資信託を持っておりますけれども、投資信託に回して、益が出るまでその一部を手数料としていただくというような投資信託事業(も考えられます)。

日常の生活に非常に根ざした決済サービスになっていきますから、さまざまな保険なども、残高を利用した金融サービスとしてユーザーに提供し、マネタイズしていけるのではないかなと考えています。

現在、PayPay社はこの中の役割分担でいうと、モバイルペイメントとしての基本的な部分を極大化させることに注力しています。そして、マネタイズの部分は、主にはヤフー側が受け持って、これを2019年度もきちんと作っていき、収益化していくという役割分担になっております。

「『PayPay』が大きくなっても、ヤフーが儲からないんじゃない?」というようなご質問を投資家の方々からいただくのですが、一時的には、まずヤフーできちんとこうしたサービスが提供され、売上が立ち、それを「PayPay」にレベニューシェアするといった構造になっていくことを、ぜひご理解いただければと考えています。

新体制で、ヤフーはオフラインにもどんどん進出していき、オフラインの一丁目一番地のサービスがこの「PayPay」であり、その「PayPay」はもう1つのヤフーを作る覚悟でやっていると、ずっと説明を申し上げていました。

ヤフーは今、だいたい1,300億円から2,000億円くらいまで利益の出る事業体ですから、この「PayPay」もユーザーを極大化した上で、こういったマネタイズのサービスをきちんとユーザーに届けることによって、時間は多少はかかるかもしれませんけれども、少なくとも1,000億円以上の利益が出るような事業にきちんと育てていき、「もう1個の『ヤフー』を、本当にヤフーは作ったんだよね」と言われるような事業に育てていきたいと考えております。

2019年度、PayPay社はこの1階の土台部分、モバイルペイメントとしての極大化を引き続き集中して行っていきますけれども、それをどうやってやるのかを何点か申し上げたいと思います。

加盟店拡大に向けて

まず、加盟店の拡大については、かなりの営業、あるいは代理店さんを駆使して、ずっと拡大を続けております。とくに、実際使われているデータを見ても、全国規模の生活に身近なチェーン店さんが増えると、確実に階段状に決済回数も増えることがわかっておりますので、そういったところに集中的に行っております。

第1弾キャンペーンではファミマさんのイメージが強かったかもしれないですが、現時点では、すでにローソンさんやミニストップさんなどのコンビニでも扱われておりますし、スーパーでは2019年度に入ってからですが、この4月についにスーパーマーケットのイオンさんが一部店舗から「PayPay」の対応を開始しています。

また、日常利用という意味でいうと、全国規模のチェーン店系の食べ物屋さんにも営業に力を入れております。この間も牛角さん、松屋さん、最近ですと丸亀製麺さんといったお店がどんどん増えて、そこでも利用されています。

一方で、これは検索やショッピングと一緒で、ロングテール的なユーザー体験も重要だなと思っておりますので、そのほかの個店といわれるところ……例えば墨田区商店街連合のように、商店街ごと「PayPay」に対応してもらうというような交渉、対応もさせていただいています。

お店は今年度も営業を強化して、どんどん拡大していきます。7ヶ月で50万店舗になったわけですから、理論的には14ヶ月で100万店舗まで、あるいはもっといけるかもしれない。そのようなつもりでやっていきたいと考えております。

利用者数と決済回数の拡大に向けて①

また、「利用者が増えても決済されなければ意味がない」ということで、どんどんキャッシュレスになっていってもらおうということに関しては、ユーザーインセンティブをどう設計するかというところが重要でございます。

本日、PayPay社からプレスリリースを出しているものですが、ユーザーから「第2弾で100億円キャンペーンが終わったあと、どうなるの?」という問い合わせが増えており、それに対して、(スライドにあるような)告知をさせていただきました。

通常時は「PayPayボーナス」が0.5パーセントですが、これを6倍の3パーセントにしていきます。また、「何十回に1回当たる」「1,000円以内だったらタダ」みたいなものが大変ウケているものですから、これもある条件を満たせば「20回に1回、1,000円当たる」というものは通常時でも継続していきます。こうした方針でございます。

利用者数と決済回数の拡大に向けて②

また、利用者数と決済回数をどう極大化させていくかについて、もう1つは、キャンペーンです。「第3弾の100億円キャンペーンはあるんですか?」と、ユーザーからたくさんお問い合わせをいただいているのですが、今までの100億円キャンペーンは「PayPay」の対応全店舗で20パーセントキャッシュバックといったかたちでやらせていただていたものを変えたいと思っています。

これは、第2弾で100億円キャンペーンが終わってから始まるものですから、正確にはわからないのですが、おそらく6月くらいから、各カテゴリで毎月テーマを決めて、「今月はこのカテゴリの『PayPay』対応店がお得ですよ」というようなことを毎月やっていき、いろんなところで「PayPay」が使えるということを「PayPay」のユーザーに体験していただく。そんなキャンペーンに変えていきたいと思っています。

おそらく、6月の第1弾として、ドラッグストアで「PayPay」があるいくつかの条件を満たす方は、10回に1回20パーセントが戻ってくるみたいなことを実施します。毎月手を変え品を変え、カテゴリを変えて、引き続き2019年度はユーザーを圧倒的大多数にして、日本にキャッシュレスをもたらしたいと考えています。

これがオフライン上における施策だったわけですけれども、2019年度の「PayPay」のもう1つの大きな変化は、ついにオンライン対応を行います。本当は4月にオンライン対応する予定だったのですが、先日のセキュリティ対応を優先した結果、2ヶ月ズレまして、6月にオンラインでも「PayPay」の対応をいたします。

利用者数と決済回数の拡大に向けて③

その結果、「Yahoo!ショッピング」、「ヤフオク!」で、「PayPay」での支払い手段が増えることになります。その上で、順々に……例えば「Yahoo!ショッピング」では、期間固定Tポイントがたくさん発行されているわけですが、これを「PayPayボーナス」に変えたり、あるいは「ヤフオク!」で私が仮に出品した場合、落札された時に入ってくるお金を「PayPay」のチャージに切り替えるというようなことを2019年度中に順次行っていきたいと考えております。

この経済規模というか、残高の規模が、だいたい2018年度実績で7,000億円くらいございます。よって7,000億円のチャージが「PayPay」になされる、そのポテンシャルがありますので、当然取扱高、決済回数は増えていきますし、「『PayPay』でチャージされたんだから「PayPay」で使おうと言って、「PayPay」の新たなユーザーになる方もどんどん増えていく。2019年度の「PayPay」のユーザー数、あるいは決済回数の大幅な成長も、施策にしていきたいなと考えております。

オンライン版は、さきほどお話ししたキャンペーンはないですので、安心してください。オンラインではスライドにある「20パーセント(戻ってくる)」などはないです。

以上が、PayPayの現状のご報告と、マネタイズについてです。その中で2019年度は、まだまだPayPayとしての規模を大きくしなければいけないため、こういうふうにやっていくという説明をさせていただきました。

2019年度 方針

そして、2019年度のヤフー全体の方針や事業の収益の見通しを説明させていただきます。方針に関しましては、2018年度にみなさんにお伝えしてきたような方針を堅持いたします。ヤフー全体のサービスを有機的につなげることによって、ユーザーアクション数を最大化させていきます。

とくにコンバージョンに近いようなユーザーアクションを増やしていって、広告にもコマースにも大きな成長が訪れるようなことに注力していきたいと思います。

その中でのサービスの味付けは、オンラインではますます便利に、そして今まであまり着手してこなかったオフライン上の便利も提供して、ユーザーがますます増えていくようにしていきたいと思います。

それらの成長のさせ方、あるいはそのガソリンですが、これはマルチビッグデータを使って、データドリブンに成長させていく。この3大方針で臨んでいきたいなと思っています。

こういった方針を考えたり、こういった方針に基づき、きちんと巡航速度の成長ができるような環境整備が2018年だったと考えておりますので、2019年度はいよいよ本格的にヤフーが創る未来を力強く創り出していきたいと思っています。

2019年度 新組織構想

その未来に取り組む上で、組織変更を行いたいと考えております。これは本日の15時に開示させていただいたものです。簡単に申し上げますと、今までヤフー株式会社1本でやってきたものを会社分割して、1個をホールディングスカンパニーにして、その下にヤフーのサービスを運営していくヤフー株式会社を持つような構図に変えていきたいと思っております。

上場会社は、スライドの上にあるホールディングス会社で、名前は「Zホールディングス」といたしました。非上場のサービス運営会社が、ヤフー株式会社でございます。

この意図は、大きく言うと2つございます。1つは、今申し上げたように、より力強く迅速に、かつ柔軟に未来を創っていくために機動性を持たせたいと考えております。したがって、それぞれの会社、あるいはグループの大方針はホールディングスのほうで決めますが、その方針に基づいた個別の動きがスピーディに各社で行えるようにしていきたいと考えており、未来を創る上での機動性・柔軟性を確保したいというのが意図の1つです。

もう1つ、こちらに「金融中間持株会社」と書いておりますけれども、先ほども申し上げたとおり、PayPayを通じてヤフーグループにお金を預けるというか、残高として持つユーザーが増える中で、便利な金融商品を提供して、最終的には収益につなげていくということで、金融事業を強化していきます。

現時点でも、銀行を持っていたり、カード事業を持っていたり、金融事業は大きいですが、これをよりスピーディに強化していくときに、金融事業ですから、まずガバナンス上の透明性が大変重要になってきます。

また、いわゆるネット企業とは異なる価値判断、あるいは意思決定の仕組みを持っておりますから、そういう意味でも、ヤフーの中でやるより、きちんと金融持株会社を作って、そちらでガバナンスをしていくことで、金融事業をより速く、より力強く成長させていきたいと思います。

そこで、このホールディングスの下に金融持株会社を新たに作ることもやっていきたいと考えており、今回はまずこれを発表させていただいて、株主総会にかけまして、株主総会で決議されれば、おおむね10月を目処にこういうストラクチャーに変更していきたいと考えております。

2019年度 メディア事業 目標

これらを行った結果、「じゃあ2019年度のヤフーの事業はどうなるの?」ということを最後に申し上げたいと思います。まず個別にメディア事業から申し上げますと、検索連動広告、ディスプレイ広告は、おおむね1桁台後半の成長をさせたいなと思っております。そしてトータルに関しましては、そのほかを含めて、できれば6年ぶりに2桁成長させ、トップラインを上げていきたいと目論んでおります。

2019年度 メディア事業 ロードマップ

それをする上で何をしたらいいのかということに関して、これは当然言えないこともたくさんありますので、ここで開示できる範囲内でのロードマップがスライドに書かれております。

まず昨日、メディアがメディア力を上げるための施策の1つとして、「クーポンタブ」というものがローンチされております。昨今、競合も含めてかなりクーポンが伸びているということですし、我々の場合、さらにPayPayとの連動によって統合マーケティングソリューションにつながっていきますから、クーポンをがんばってやろうと考え、ローンチしました。

ぜひ、みなさんにもお使いいただいて、ゴールデンウィーク、お得な体験をしていただければなと思います。

また、いわゆるデータドリブンはモノづくりに切り替えることによって、タイムラインをより効率的なものにしたり、同じくデータドリブンな考えに基づいて、第2四半期では、トップページもよりパーソナライズが利いたものに変えていくつもりです。

ただのヤフーの広告事業から、統合マーケティングソリューション事業化していく上で大変重要な戦略的商品が、オンライン・オフラインのコマース広告です。こちらに関しては、下期のほうで……オンラインのコマース広告は、我々のEコマース上でのいろいろなマーケティングツールですし、オフラインのコマース広告は、PayPayを通じたオフラインの商品ですけれども、それらをローンチして、なるべく年度内で成長させていきたいなと考えております。

これが、メディア事業で久しぶりに2桁成長を目指す上での重要なイニシアチブです。

2019年度 コマース事業 目標

そして、コマース事業に関しましては、引き続き、まずYahoo!ショッピングの大きな事業成長にこだわっていきたいなと思っています。4年連続でできたのですから、だんだんバーも上がってきていますが、5年連続で20パーセント以上の成長もできるだろうと思っております。

ヤフオク!は、2018年度はもう一度本質を見つめて磨き直しをする時期だと思っておりましたが、2019年度ではその効果をさっそく出して、再成長に持っていきたいなと考えております。

結果として、物販のEコマースの取扱高も2桁成長としていきたいと思います。

2019年度 通期 連結業績ガイダンス

それらを含めたトータルのヤフーの連結業績です。まず2018年度は、未来を創る上での原資を確保するために、それぞれの数字がかなりのマイナスとなりました。2019年度は、いったんマイナスとした数字をすべて、まずプラス基調にしていきたいと考えております。

その中で最もこだわりたいのは、やはり創業以来初めて売上を1兆円台に乗せることです。トップラインを上げて1兆円を超える売上にしていきたいと思っております。

営業利益に関しましては、増益にしていくということですから、今回の1,400億円以上、そして、できれば1,500億円にいくような成長をして、PayPayの投資などいろいろありますが、やりくりしながら当期利益もこのレンジの中で、きちんとマイナスはないようにしていきたいと考えております。

長期的な営業利益見通し

その中で、中長期の利益をどのように運営していくと考えているかということですが、これは前回の決算発表でも説明させていただきました資料です。今日見ていただいた映像にあるようなヤフーのサービスの進化、あるいはそのあとに説明した増収の作戦・計画において、ヤフーぐらいの規模になると、あれを実効するには、数年単位での取り組みが必要だと考えております。

前回、5年ぐらいかかると申し上げましたけれども、1年はもう終わりましたので、やはりあと3〜4年でこういった大きな未来と大きな事業を創りたいと考えております。その間は投資フェーズだと思っております。

ただ、投資をしていく中でもトップラインは上がっていくことは当然ありますから、そのトップラインが上がった分だけ、利益の増加も起きると思います。なるべく2018年度の水準よりもマイナスにさせず、むしろ増収にさせていく中で、2022年までは投資フェーズと考えています。

そして、前回申し上げたように、2023年でまず過去最高益を実現し、それ以降、2018年度から見た10年後は、今よりも何倍も大きなサービス、何倍も大きな事業になっていることを目指して、まずこの数年はフォーカスして一生懸命取り組んでいきたいなと考えております。

いずれにしても、これから令和の時代に作り出すユーザー体験が重要だと思っています。これが、ヤフーにしか創れない未来につながっていく。また戦い方としては、ヤフーのマルチビッグデータを活用した、ヤフーだから戦える戦い方、あるいはソフトバンクグループ全体の総合力を活用したPayPay事業といった、我々だからできるようなやり方にこだわって、引き続き2019年度以降もやっていきたいなと考えております。

ぜひご理解いただければと思います。少し長くなってしまいましたけれども、私からの説明は以上となります。引き続きよろしくお願いいたします。