連結業績概要

吉田昭夫氏:みなさん、おはようございます。イオンモールの吉田でございます。それでは早速、2018年度決算についてご説明を申し上げます。

経営成績は、営業利益が概ね公表計画どおりとなり、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は、公表計画を達成いたしました。結果、営業収益、各利益とも最高業績を更新することができました。

株主還元

株主さまへの利益配分につきましては、昨日開催の取締役会にて、期末配当を当初予定どおりの19円にて実施することを決議し、第2四半期の配当金19円と合わせた当期の年間配当金は、1株につき3円増配の38円、連結での配当性向は25.8パーセントとなります。当社は配当方針として、連結配当性向25パーセント以上を挙げており、利益成長により株主還元の強化を図ってまいります。

セグメント別 営業利益進捗

次に、セグメント別の営業利益の状況であります。国内事業は、都市型SCが計画未達となりましたが、モール事業が堅調に推移して計画を上回ったことから、国内事業全体では計画数値を確保いたしました。海外事業では、中国事業が計画未達となりましたが、アセアン事業が計画を超過達成いたしました。海外事業では、全体では計画未達となりましたが、14億円の利益改善を果たしております。

最も返りが大きかった都市型SC事業は、第4四半期よりリニューアル効果が出始め、第4四半期の3ヶ月では、既存店舗の専門店売上は前期を超えており、黒字へ反転いたしました。中国事業については、後ほど詳細をご説明いたしますが、計画に対しては未達でしたが、巡航速度で専門店売上は二桁の成長を続けており、比例して既存モールの収益・利益は伸長しているため、成長ステージであることは従来と変わりありません。

海外 既存モール専門店売上前期比

まず、海外事業についてご説明申し上げます。今申し上げましたように、専門店売上は引き続き高い伸び率で推移いたしております。中国では、各種報道されておりますとおり、経済成長率が鈍化しておりますが、幸いにも当社モールでは、日本で養ったオペレーションノウハウを活かし、社会行事対応、セール展開、計画的な専門店入替を中心としたリニューアルの実施により、二桁水準の伸び率を維持しており、国内全体のマクロトレンドを上回る成長を続けております。

カンボジアの数字がイレギュラーでありますが、この数値は1号店のみの数値であります。2号店、イオンモール セン ソック シティのオープンにより一時的に減少しておりますが、1号店はプノンペン中心部への出店で、物販メインの構成。逆に2号店は郊外立地で、アミューズメント、エンターテインメント、飲食を中心とした、レジャー施設を拡充した構成としており、差別化した展開をしております。

海外 ⿊字化モール

中国では、17モール中10モール、アセアンでは7モールすべてが黒字化しております。アセアンに比べ、中国は赤字モールがございます。これは、中国はマスターリース中心の出店で、出店スキームの違いであります。オープン当初はそのリース負担が重く、立ち上がりは赤字スタートでありますが、売上や進捗に伴い黒字化になっていくといったかたちでございます。

海外 業績推移

次にご覧いただいていますのは、海外事業における利益改善の進捗状況であります。中国の利益改善が7億円ということで、やや前期と比較して鈍化しているようにも見えます。これは理由がございます。

先ほど申し上げた赤字スタートとなる新店が、2017年度の最終期末、第4四半期に4店舗オープンしております。それと2018年度の2モールの新店、要は新店6モールの期初赤字のインパクトが、当期に発生した影響でございます。

一方、既存モールを見てみますと、売上成長に比例して、営業収益も二桁の成長を続けております。この結果、既存モールだけ切り出した利益改善を見ますと、前期比21億円の利益改善となっており、既存モール数がこれから増加するほど利益成長が加速するステージとなってくるわけです。アセアン事業は、カンボジア・ベトナム・インドネシアの出店3国とも黒字化を達成し、引き続き好調に推移しているところであります。

なお、2018年度のEBITDAは、連結で1,017億円で、このうち海外事業で147億円を創出しております。中国においては、モール数の増加に伴い、営業キャッシュ・フローが拡大しております。2018年度では営業キャッシュ・フローは100億円を超え、今後の出店を補える資金を創出できるステージとなりました。

こういったことで、海外事業は成長を牽引するドライバーとして、2019年度よりさらに本格的に利益貢献するステージに入ります。

海外 2018年度新規モール

次の資料は、新規3モールの概要を記載しております。見ておいていただければと思います。

日本 既存73モール専門店売上前期比

次に、国内事業についてご説明を申し上げます。国内事業の2018年度は、小売業界では、西日本を中心とした豪雨や台風などによる影響が出ました。しかしながら、当社の既存モールの専門店売上は、新たな需要の発掘、増床・リニューアルなど、さまざまな取り組みを行い、地域のナンバーワンのモールになるという取り組みを進めてきたことから、このマイナス影響をリカバリーし、安定的に前期実績を上回るトレンドで推移させることができました。

日本 既存73モール専門店売上前期比(業界比較)

次にご覧いただいております表は、当社の既存モールの専門店売上が、SC業態、他業態の伸び率を上回って推移していることを示しています。Eコマースマーケットが拡大しつつありますが、国内ではリアル店舗の選別・淘汰が進んでおり、当社ではこの競争において勝ち残る施設としてのポジションを取るといったことを優先しております。

日本 ①ハピネスモール

この新たな需要の発掘のための施策ですが、1つの取り組みとして、ハピネスモールがございます。これも半期ごとの説明会で説明しておりますが、リアルモールならではの価値を提供すべく、4つのコンセプトを柱として取り組みを推進しております。各モールにおけるハピネスの取り組みが定着してまいりまして、集客に寄与してきています。

日本 ②イオンモール ブラックフライデー

次に、独自の大型セールの取り組みとして、イオングループの共通大型セールとしても実施しましたのが、イオンモール ブラックフライデーです。これは、米国のクリスマス商戦のスタートの盛り上げということで開催されたものを、日本に持ち込んだものです。この11月第4週の金曜日のブラックフライデーは、3年前からスタートさせたわけであります。

3回目となる2018年、既存ベースの売上は106.6パーセント、客数は102.7パーセントと、非常にセールが定着してまいりました。こういったかたちで、グループの規模やインフラを活用して、消費を喚起するセールも展開してまいりたいと思っております。

日本 ③海外専門店の日本への誘致

もう1つの取り組みが、お客さまに新たな体験や発見を提供するということで、海外専門店企業の日本への誘致であります。これは、当社だからこそできる強みと考えております。それは、海外に展開しているイオンモールだからこそ、さまざまな海外専門店とのお付き合いがございます。

こういった専門店を誘致することで、日本にはない新しい専門店をイオンモールで展開していきたいと思っています。こういったことで、顧客層の獲得、潜在的な消費需要の掘り起こし、国内における新たな需要創造に取り組んでいきたいと思っています。

日本 モール事業 2018年度既存モールリニューアル

次に、増床活性化についてですが、地域ナンバーワン化施設になるための増床・リニューアルについてご説明申し上げます。活性化した既存22モールの専門店売上は、前期比108パーセントと、たいへん好調に推移しており、リニューアルを実施しないモールとの比較では9パーセント以上の差が出ています。

増床・リニューアルにつきまして、3月にイオンモール宮崎、7月にイオンモール熊本を増床オープンし、2モールとも売上は賃貸面積の増加を大きく上回って伸長しているところであります。

日本 モール事業 2018年度新規モール

次に、2018年度にオープンした新規モールですが、リリース含め説明会でも説明を申し上げておりますので、本日は省略させていただきます。

日本 都市型ショッピングセンター事業 2018年度新規店舗

次に、18ページになりますが、都市型ショッピングセンター事業です。オーパですが、2施設をオープンするとともに、キャナルシティオーパ、ワールドポーターズビブレを活性化しまして、英国のエンターテインメント玩具のハムリーズの誘致など、大型有力専門店をフックに、オーパ全体でリニューアルを加速しているところであります。

2018年度は、この大型活性化により、いわゆる入替に伴う営業機会ロスがかなり多く発生いたしました。2019年度より、この活性化効果を享受するステージに入っていこうと思っております。既存店の抜本的リニューアルによる収益改善、それにより継続的に利益成長できる収益構造に変革していこうと考えております。

ESGの取り組み①

次に、当社のESGの取り組みについて説明をさせていただきたいと思います。当社では、社会、環境、倫理の側面から企業活動の方針を定め、これを推進するイオンモールCSR会議を毎月開催し、このCSR活動の進捗管理および課題解決に向けての迅速な意思決定を行っています。

このESGにおける「E」は、環境課題の解決に向けた取り組みでございますが、地球温暖化への対応として、太陽光発電やLEDの導入による省エネルギー活動を推進し、CO2排出量の削減に積極的に取り組んでおります。

とくにEV充電器の設置につきましては、2018年度末現在で、国内外158モールで2,332基の設置を完了させました。また2017年には、日本国企業として初めて「EV100」への参加を宣言させていただきました。

この「EV100」を少し説明させていただきます。企業による電気自動車の使用や、環境整備促進を目指す国際的なビジネスイニシアチブで、2019年2月時点において、世界でとくに先進的な取り組みを進めている企業として、31社が参加しているところであります。

植樹に関しては従来から進めているとおり、新規出店するごとに、地域の方々と「イオン ふるさとの森」植樹活動を積極的に進めております。この植樹により、防災機能も高まります。かつ、生物多様性の保全にも寄与いたします。2018年度は、国内外の新規オープン7モールで12万4,000本の植樹実績でありました。

ESGの取り組み②

続いて、ESGにおける「S」、社会課題の解決に向けた取り組みについてであります。1つの事例として、「イオンゆめみらい保育園」をご紹介させていただきます。この「イオンゆめみらい保育園」は、子育てをしながら働く従業員の支援を目的として設置を進めている事業内保育施設で、2018年度末で25園まで拡大いたしました。専門店従業員の採用支援にも結びつき始めました。

全国の企業主導型保育園の平均が49パーセントの加入で、この「イオンゆめみらい保育園」の加入率は84パーセントです。非常に園が支持されているものと考えております。

特徴的なことを少しかいつまんで申し上げますと、お迎えと買い物がワンストップでできる、同じ施設であるということです。雨の日なども、広いこの施設内で散歩をさせたり、社会行事の雰囲気にも子どもたちが触れたり、イベント参加もできるという特色も持っています。

とくに食事については、子どもの成長に応じたできたての給食を提供しております。また商業施設で働く従業員の多様な働き方に合わせている点として、原則365日、7時から22時と、いわゆる営業時間をカバーする時間帯で開園しております。日祝関係なく、利用予定時間内であれば、時間帯によって別途費用が発生することもない。こういったことで、非常に今、この「イオンゆめみらい保育園」の加入希望が高まっているということであります。

ESGの取り組み③

次に、環境保護に向けた取り組みであります。「DBJ Green Building認証」や「CASBEE不動産評価認証」を新たに取得するなど、外部からも高い評価を受けることができました。

ESGの取り組み④

2018年度の「GRESBリアルエステイト」の評価においては、4年連続で最高位となる「Green Star」評価を獲得いたしました。ご覧のスライドに書いてあるとおり、各項目でさまざまな機関からの表彰、評価を受けることができました。

女性人材の活用を積極的に進めている上場企業「なでしこ銘柄」というものがございますけれども、これにつきましては3年連続で選出されております。2019年は、全国から42社が「なでしこ銘柄」に認定されておりますけれども、3年連続選出された会社は全国で14社であります。

ESGの「G」の部分、ガバナンスでありますが、成長戦略を可能とする体制構築という視点から、海外子会社を含めたグローバルガバナンス強化に取り組んでおります。こういったことで、トップがしっかりESGについて指針を示し、優先順位をつけて取り組めば、おのずと「SDGs(Sustainable Development Goals)」への対応につながると考えているところであります。

経営理念

そして、28ページまで飛んでいただきます。ここからは2019年度の取り組みについての説明となります。当社では2015年に「地域とともに『暮らしの未来』をつくるLife Design Developer」となることを新たな経営理念といたしました。これは、モールを運営するという会社から、街づくり、そして街づくりからもう1つ進展して、お客さまの暮らしづくりへと事業の定義を見直したいということを意味します。

街づくりの段階では、郊外にモールを出店し、街の発展とともに当社も成長していく。これを成功パターンとして水平展開してまいりました。しかし、価値観が多様する中で、お客さまの暮らしに対して、いかに価値を提供していけるかが、現在我々の求められているものと考えております。そして、この経営理念を作ったということであります。

2019年度の位置づけ

こういった背景を踏まえまして、2017年度を初年度として、2019年までの期間になりますが、現中期3ヶ年計画を策定いたしました。海外事業展開の拡大に伴い、初期赤字が積みあがったことがあり、現中期が始まる前の5、6年は、営業利益は年率2パーセント程度の低い成長にとどまりました。

2017年を期初とする現中期に入り、海外事業が利益反転してきたことで、一段高い成長計画をしたというところです。2019年度の利益計画では、3ヶ年の平均成長率は11.3パーセントとなります。

次期中期以降も、海外事業については中国、アセアンの高い成長性を享受します。国内事業においては、増床・リニューアルを中心とした地域ナンバーワン化を推し進めます。これによって安定的な成長を図っていくことで、2025年度に1つのターゲットとして、営業利益1,000億円を目指してまいりたいと思っております。

とくに2019年度は、現中期の最終年度となります。この目標に向けた節目になる重要な1年と位置付けております。この計画達成に向けた今後の取り組みについて、少しご紹介させていただければと思います。

アセアン①

海外事業、アセアンです。アセアンにつきましては、まさしく国そのものの高い成長力を享受するということです。海外では、2018年度末で27モール体制となりましたが、2025年に1つのターゲットとして70モール体制を目指し、出店を拡大してまいります。来期以降、アセアン、とくにベトナムを最重点エリアとして、出店ペースを加速しようと思っております。

「なぜベトナムなのか?」ということですけれども、今後数年内に人口が約1億人を超え、ほぼ日本に近づいてまいります。かつ、現在の平均年齢が30歳と、非常に若い。大変有望な成長マーケットです。

また、所得格差がそれほど大きくないのも特徴の1つです。今後の人口ボーナスを考えると、かつて日本が経験したものと同様の高い成長を享受することが可能だと考えていることがあります。ベトナムにおけるドミナントの早期形成に向けて、競合に先駆け、積極的な出店を進めてまいります。

アセアン②

次に、モールそのものについてですが、これは社会ニーズを先取りするモールづくりを行うというものです。象徴的な事例が、昨年5月オープンのカンボジア2号店「イオンモール セン ソック シティ」です。カンボジアはまだレジャー施設も少なく、アパレルなどの物販の高級品などが多く売れる所得水準には達しておりません。

通常は、まずモノを売るというステップからですが、その時代を飛び越して、「コト」を提案するMDをあえて提案し、構成しました。圧倒的な規模でのアミューズメント施設の展開に加え、利便性を高めるために行政サービスやフィナンシャルゾーンのサービスなどの機能も強化いたしました。現地のお客さまにとって驚きの空間となって、カンボジア中に話題を呼び起こしました。

おかげさまでオープン9ヶ月で来店客数がすでに1,000万人を突破するなど、大変な支持をいただいております。事業業績も初年度から黒字化の見込みです。カンボジアにおいては、すでに3号店の出店もリリースさせていただいております。競合が入る前に、早期ドミナント化を仕上げてまいりたいと思っております。

アセアン③

次にデジタル、オンラインとの融合という視点です。インドネシアを事例に上げますと、現地の配車アプリ大手のGOJECとの協業を始めました。GOJECがすでに持つペイメントや配送などのサービス機能を生かして、決算手段、ヒトやモノの移動といった面において新たなサービスを提供し始めます。そういったことで、イオンモールならではのお客さまの利便性向上を図ってまいります。

アセアン④

次に、既存モールについてです。これは日本国内と同様、増床・リニューアルも計画的に進めてまいります。さっそく本年上期には、アセアンで初めて出店したベトナムの「イオンモール タンフーセラドン」を増床オープンいたします。他にも大型リニューアルを控えております。日本で養ったノウハウを早速海外に持ち込んで、活性化を通じたモールの鮮度アップを図り、集客力を高めてまいります。

中国①

続いて中国ですが、従来から伸びておりますとおり、成長エリアへのドミナント出店を強化してまいります。今期末には21モール体制で、エリアドミナントも進んでまいりました。引き続き、出店エリアにおけるドミナントを強化するとともに、中国においても重点取り組みエリアとして、湖北省を設定いたしました。

ここにおいては、我々の出店店舗のトラップレコードも非常に高いものがあり、有望なマーケットととらえて、投資をシフトしていきたいと思っております。

中国②

中国における重点施策の2つ目は、新たな需要の創出ということで、日本で行っている営業オペレーションのクオリティーをそのまま持ち込みたいということです。とくに中国では、社会行事において消費が盛り上がる傾向があります。それが、クリスマス・バレンタインなどです。

そのタイミングで、日本での企画力を生かした展開をしたいということです。例えば事例を挙げますと、中国で有名な独身の日「ダブルイレブンの日」が11月11日ですが、この日は、オンラインで最も売れる日で、ものすごい数字を作る日でもあります。

当社モールにおいても同様の企画、集客イベントを実施し、単日イベントとして過去最高の実績を2018年度に更新いたしました。またASEANも同様で、このオンラインの融合に向けた取り組みを進めてまいります。

とくに中国では、Eコマースプレーヤーの進出が進んでおります。当社のモールにおいて、京東之家……これは中国のEコマース大手でありますが、リアル業態を作って、すでに我々のモールに5モール出店しております。いわゆるリアルとオンラインの融合みたいなことが、さっそく起き始めております。こういったモデルを早期に確立し、お客さんの利便性も高めていきたいです。

もう1つの視点が、販促もデジタルデバイスを使った販促にしていきます。例を申し上げますと、Tiktokという動画投稿サイトを使った販促を仕掛けたところ、そのイベントで50万件のいいねを集めました。こういったことを考えますと、従来の紙媒体からSNSを中心としたデジタル媒体の販促に切り替えること(のメリット)も検証できております。

中国③

3つ目の中国の取り組みですが、中国に出店してからかなり時間が経ちました。モールの進化をさせてということで、我々がお客さんの支持を得ているものは、ジャパンクオリティーの施設内環境です。

それは、快適・清潔・安全で、大きな支持を受けております。ここの部分をさらに進化させて、差別化させていきたいということです。

中国④

そして最後の部分の取り組みが、いわゆる既存モールの活性化であります。これは収益アップの1つの肝になります。海外は3年契約で専門店の契約をしておりまして、この3年のタイミングで賃料のアップ、テナントの入れ替えを大きく変化させることができます。

このタイミングを、収益を飛躍的にアップさせるチャンスととらえ、活性化の準備を進めてまいります。事例を申し上げますと、2014年にオープンした武漢の金銀譚というショッピングモールは、2020年に増床を予定しております。

開業7年目となる2021年には、営業利益で単一モールで10億円と、ほぼ日本のモールに近い利益水準まで引き上がる計画としております。中国と言いますと、経済成長率が鈍化しているイメージがありますが、マーケットの変化やお客さまの変化に機動的に対応していくことによって、マーケットのダウントレンドを上回る集客・利益をもたらしていきたいと思っております。

海外事業 営業利益推移

2019年度の海外事業の営業利益は75億円を計画します。利益計画については、後ほど詳細を説明いたします。

国内事業①

続いて国内事業です。1つの特色として、これからやっていかなくてはならないのは、地域インフラとしての施設になるということです。イオンモールに来れば、まず一通りのことができるということです。

ですので、郵便局や行政出張所など、公共的な機能をモールに積極的に拡充していきます。期日前投票所も、40数ヶ所で誘致させていただいております。あるモールでは、成人式の会場としても使っていただいております。

こういった地域社会が求めるニーズに対応していくことで、地域行政との連携、地域のみなさまとの連携を深めて、安定的に集客できるモールにしていきたいと思っております。

国内事業②

もう1つ、非常に災害が多い中で、防災拠点としてのインフラ機能の提供です。冒頭に申し上げたとおり、昨年は非常に自然災害の多い年でした。事例を申し上げますと、7月に発生した西日本豪雨です。

倉敷市真備地区、また広島県の府中地区において、近隣を流れる川が氾濫いたしました。そのときイオンモール倉敷では、深夜ではありましたが立体駐車場を開放し、2,300台の一時避難所として朝まで受け入れを行いました。

またイオンモール広島府中は、帰宅困難となった方々のためにフードコートを開放し、一晩で100名の方々に過ごしていただきました。国内の大半のモールで、地域行政と防災活動への協力に関する協定を締結しております。

災害が起きてもイオンモールがあるから安心。そう思っていただけるよう、地域との連携をさらに深めていきながら、安全を提供する機能を生かしていきたいと思っております。

国内事業③

国内でのハピネスモールの取り組みについては、先ほどご説明申し上げたとおりであります。1つの肝は、Eコマースには提供できない、リアルならではのいくつものコンテンツを提供していくということです。

やはりモールで過ごす時間を生活の一部として組み込んでいただけるまで、継続的に実施していく。いわゆる地域コミュニティーとしての役割を果たすということであります。

国内事業④

消費者ニーズの多様化への対応ということで、先ほど申し上げましたように、海外からの専門店誘致とデジタル技術をモール内に持ち込んで、極力モール内でストレスフリーな買物環境をいかに提供できるかです。

アプリの開発、キャッシュレス決済への対応など、いわゆるショッピングにおける移動や、決済にかかるルーチンな時間を短縮して、同じ滞在時間でもショッピングやイベント、モール内で使う楽しい時間を増やしていただく。こういった効率的なモールの活用をお客さまにしていただきたいということです。

国内事業⑤

45ページになりますが、増床活性化については冒頭述べたとおり、今年度も引き続き継続をしております。とくに増床については、その効果が大きいです。2019年度は、さらに増床のモール数を増やしてイオンモールで増床・オープンを行い、これを収益拡大につなげてまいります。

国内事業⑥

4つ目の取り組みとして、新たな事業領域に挑戦していきたいと思っております。とくに3大都市圏において、消費者の生活や価値が多様化して、商業施設間の競争も激しいです。当社では商業だけではなく、オフィスやレジデンスなどとの複合開発に取り組みを広げていきたいと考えております。

その1号店として、オフィス複合型商業施設として、「ノリタケの森プロジェクト」と呼んでおり、プロジェクトの段階なのですが、この出店を2021年の秋で計画しております。こちらは、昨日リリースさせていただきました。

これは商業デベロッパーとして養ってきたノウハウをオフィスに融合させることで、そこで働く方々に対して、利便性と生産性の向上をもたらすことができるのではないかと考えております。イオンモールならではのオフィスを作っていきたい。企業側から見ても、昨今の働き方改革の推進サポートとしての機能を果たすことが可能と考えております。

以上、海外・国内について、ご説明をさせていただきました。

連結数値計画①

最後に、2019年度の連結数値計画であります。2019年度の連結数値計画でありますが、2019年度より海外各国において、国際財務報告基準におけるIFRS16号が適応されます。正式な影響額については算定中ですが、推定数値を用いてその影響についてご説明いたします。

当社では、海外、とくに中国においてマスターリースの出店を行っており、このリース取引きにおけるリース債務がバランス化されます。P/L、B/Sの両面の影響については、資料の48ページに記載のとおりです。この影響を踏まえ、2019年度の数値計画についてご説明をいたします。

連結数値計画②

連結業績計画は、営業収益3,260億円、営業利益620億円を計画しております。3ヶ年の営業利益成長率は、年平均プラス11.3パーセントとなります。なお、IFRSの影響を除いたベースでの営業利益は570億円となり、平均成長率は8.3パーセントになります。

連結数値計画③

2018年度の業績結果を受け、セグメント別の営業利益計画を見直しております。資料上段には、昨年4月に発表した数値計画、下段には今回見直し後の数値計画を記載させていただいております。

連結数値計画④

なお新規出店および活性化の計画については、前回の発表内容から特段変更はございません。

連結数値計画⑤

中期3ヶ年の設備投資計画については、昨年発表した内容から750億円増加し、5,750億円 に見直ししております。これは先ほど説明したとおり、国内においては複合開発の推進にともなう土地取得など、物件価値の最大化を目的とした取り組みを推し進めていくことから、今回見直しを行っております。

連結数値計画⑥

設備投資計画の変更にともない、資金調達計画も資料の54ページに記載のとおり見直しております。

連結数値計画⑦

最後になりますが、次期配当金につきましては1株につき2円増配の年間40円、連結配当性向は27パーセントを予定しております。

ご清聴ありがとうございました。