2019年3月期決算説明会
先濵一夫氏:それでは、さっそく説明に入ります。本日は2018年度決算概要、そして中期経営計画の進捗状況の2点を説明申し上げます。
決算概要のポイント
決算概要のポイントをまとめております。
まず、業績概要におきましては、中期経営計画(Chori Innovation Plan 2019)を1年前倒しで達成できております。経常利益は87億円となり、3期連続最高益を更新することができました。加えて、当期純利益は近時過去最高益の更新ができておりませんでしたが、8期ぶりに最高益を更新することができました。
次に、収益性におきましても、全セグメントで増収増益になっております。連結事業の充実が進んでいると評価しております。
また、財務基盤におきましても、自己資本比率は45.4パーセントと高水準を維持しております。
そして、株主還元につきましては、当初は予想期末配当金を28円としておりましたが、6円増配修正して34円としました。その結果、年間の配当金は60円となり、6期連続の増配となりました。普通配当としましては、前年比プラス11円の大幅増配となっております。
事業環境
次は、事業環境です。
事業環境としましては、米中貿易摩擦の影響がずいぶん話題となっていました。結果的には、一部の商品群において影響があったのみで、全体感で言えば、それほど影響がなかったと考えております。
市況動向も、安定していたと感じております。
また、日本の貿易全体を見ましても、2018年の輸出は82兆円、そして輸入は83兆円と輸出入とも過去2番目に高い水準です。日本全体の貿易のトレンドは、米中貿易摩擦が声高に叫ばれていたことと、第4四半期が若干落ち込み「年間では悪いのではないか?」と思われた方もおられると思いますが、過去2番目に高い水準でありました。
業績内容(前年同期比)
業績内容であります。
売上高は、448億円の増収となりました。そして、私たちが指標利益としております経常利益は、12億円の増益となりました。先ほど言及しましたが、当期純利益も大幅な増益となりました。
中期経営計画最終年度目標計数を「売上高3,300億円、経常利益85億円、当期純利益55億円」と置いており、これらを1年前倒しですべて達成することができております。
経常利益の前年同期比増減
こちらは、経常利益の前年比増減をブリッジグラフで示しております。売上総利益を22億円増収効果で伸ばしております。為替損益も前年比でプラス4億円、その他収益もプラス2億円となりました。一方、新規M&A子会社の連結開始による経費増やのれん償却額の増加がマイナス要因となりました。その結果として、前年比プラス12億円となりました。
増益額のセグメント別内訳は繊維がプラス2億円、化学品がプラス8億円、機械がプラス2億円です。
M&A子会社による連結寄与は、前年比プラス5億円となっております。
セグメント業績
セグメント別の業績です。各セグメントともに前年比増収増益となっております。
繊維事業の「海外素材」とは、海外で製造した大手SPA向けや日本に輸入した素材です。「衛材」とは、不織布を含めた紙おむつの材料等です。また、建材分野も含め、非常にいいかたちで事業展開ができております。
「改善」としているアパレルは、決して儲かったということではなく、前年と比べると構造改革が進み、前年比でプラスになったという状況です。
化学品事業につきましては、無機ファイン・電子材料・中国事業が大きく伸びております。ジェネリック医薬品の普及が進んでいるということもあり、医農薬中間体分野を年々増やすことができております。
機械事業も、車輛ビジネスが好調に推移しております。車輛ビジネスについては後ほど説明申し上げます。
繊維事業
当社の繊維事業は、10年前には1,500億円近くあった売上高が、2016年度は1,100億円を切っていました。しかし、2017年度から増収基調となっております。繊維事業の構造改革が進んでおり、現在は増収増益基調に戻すことができております。
化学品事業
化学品事業であります。売上高は、前年比で343億円増収となっておりますが、このうち240億円は、新規に連結した小桜商会の売上高です。そのため、前年度売上高の1,423億円からは、実質100億円の増収となっております。
機械事業
機械事業であります。
増収増益となっておりますが、あまり伸びていないように見えるかもしれません。しかし、事業の中身が大変おもしろくなってきております。2016年度までは中南米向けの取引が主でしたが、2017年度から東南アジア・ヨーロッパ・アフリカと、非常にワールドワイド、グローバルに展開できております。このグローバル展開がかなりのスピードで進んでおります。
当社の車輛ビジネスで作り上げたこのプラットフォームを、中国の自動車メーカーと新しく開拓したお客様の双方向から評価いただき、「既存のビジネスも、そのプラットフォームに載せてほしい」という要請に応えています。このプラットフォームはかなりおもしろい展開となってきております。
形態別売上高
形態別売上高であります。
国内売上高の増加は、主に先ほど申し上げた小桜商会の売上高であります。
海外売上高は、160億円増加しております。これは、中国事業・車輛事業と新規の海外取引等が主因です。海外売上高については、我々が「連結グローバル経営・事業軸運営で海外を伸ばすんだ」と注力している点がこの数字に現れております。
一方で、先ほど「日本からの貿易額は、過去2番目に高い水準」と申し上げましたが、当社の輸出取引はこの10年間停滞しております。しかし、輸出取引の減少を、海外取引で伸ばしている、とご理解いただければと思います。
貿易比率は、72.3パーセントから69.6パーセントとなり、70パーセントを切っております。これは新規に連結した小桜商会の国内取引増加による影響です。2017年度の既存ビジネスだけで比較しますと貿易比率は73パーセント程度で、実質的には上昇しております。
財政状態 サマリー
財政状態のサマリーです。財務健全性は後ほど出てきますので、ROA・ROEをご覧ください。
中期経営計画では、経常利益ベースのROAを7.5パーセント、当期純利益ベースのROEを10パーセント以上という目標を置いております。2018年度実績はROA7.3パーセントであり、目標の7.5パーセントに対し若干未達ではありますが、中期経営計画の目標範囲には入っております。
財政状態 連結B/S
財政状態の連結B/Sであります。
自己資本比率は45.4パーセントです。また、手許流動性は、月商の0.4ヶ月分であり、効率的な資金ポジションにあると理解しております。
資産も、短期借入金の返済・社債の償還等を進めまして、売上高は増加しておりますが、総資産は前年同水準にあり、資産、財務の健全性を保っております。
2019年度業績予想
2019年度の業績予想は、中期経営計画の進捗状況の中で説明申し上げます。
2018年度配当金
配当金の状況であります。
前年比ではあまり増加していないようにも見えますが、昨年度の配当金59円(年間)には設立70周年の記念配当が10円入っております。冒頭で申し上げましたように普通配当では11円の増配になっております。その結果、6期連続の増配、2012年度の20円台の配当が60円台になっております。業績に見合った還元を行っております。
「Chori Innovation Plan 2019」の進捗
続きまして、中期経営計画の進捗について説明申し上げます。
2019年度の業績予想は、売上高3,700億円・経常利益90億円です。2019年度中期経営計画は、売上高3,300億円・経常利益85億円であり、とくに計数的には売上高が大きく上回っております。
これは中期経営計画の(スライド下部)4つの基本戦略をベースに、「高機能・高専門性を基盤として、グローバルに進化・変化し続ける企業集団」を目指している結果が、計数的な成果として表れております。
「Chori Innovation Plan 2019」業績推移
中期経営計画の計数推移であります。
2017年度2,800億円・2018年度3,000億円の青いグラフは、中期経営計画の売上高の計画計数です。売上高は中期経営計画期間の3年間すべて上回っており、利益についても計画を上回っています。(スライドの右上のコメントをご覧いただきまして)現中期経営計画の経常利益合計額の235億円(計画)を、現時点では252億円まで伸ばそうとしております。
ちなみに、2014年・2015年・2016年の前中期経営計画では、2014年度が経常利益60億円で、前中期経営計画の3ヶ年では計185億円の経常利益でした。現中期経営計画の3ヶ年は235億円にすることを目指しました。それが結果的には250億円を超えると予想しています。2019年度がこの業績予想どおりになれば、前中期経営計画に比して経常利益ベースで36パーセントの増益となります。
ROA・ROEにつきましても、ROAは目標値7.5パーセント、ROEも10パーセント以上と予想しています。
事業別戦略
事業別戦略であります。
まず、下段の計数をご覧ください。繊維事業は国内市場だけを見るとかなり厳しい状況ですが、構造改革もあって、増収増益基調になってきております。化学品事業につきましても、2018年度から2019年度の伸びは少ないですが、2018年度の増収額が大きかったという理解です。2019年度の繊維事業と化学品・機械事業の経常利益の割合はほぼイーブンです。
繊維事業につきましては、繊維総合力を強化します。蝶理の強みは合成繊維を主とした原料・生地、それと縫製品のバランスのいい取扱いであり、総合力でグローバルに事業を展開しております。
トピックスとしましては、2018年度にインドネシアにマツオカコーポレーション・ユニクロ(ファーストリテイリング)・東レ・蝶理の4社で合弁工場を設立しました。順調に稼働しており、「設備の増設も含めて拡大していこう」となっております。
化学品・機械事業も、日本からの輸出取引の拡大は難しく、海外取引を拡大・展開していこうと中国を中心にグローバル化を進めております。
次に、子会社群の拡充です。事業の切り出し、そしてM&Aによる子会社群の拡充を進めております。具体的には、蝶理マシナリーの車輛事業です。車輛事業を2017年度に切り出して、機動的な事業の拡大、人材の増強ができております。
中国につきましては、電子材料関係の蘇州飛楽電子元件股份有限公司や無機ファインの青島紅蝶新材料有限公司との取組みです。このような中国企業と一緒に、ものづくりを進めております。このように、トレーディングモデルから事業投資・コンバーティングモデルへの転換を図っております。
連結経営基盤強化(グローバル化の更なる加速)
海外拠点です。
2018年度は36拠点でしたが、アメリカによるイラン制裁で蝶理イランを閉めざるを得なくなり、35拠点となりました。海外拠点の約7割が中国です。グレートチャイナということで、台湾や香港も含めており、計13拠点。そして、アジアが11拠点です。35拠点のうち、7割がアジアにあります。
スライド下部が、売上高の地域別構成比です。個人投資家さま向けIRでよく出てくるご質問は、「『蝶理は中国で強い』と言うが、中国はこんなに悪いが、大丈夫か?」ということです。「こんなに悪い」というイメージの出所は、新聞記事とニュースです。具体的な数字の指標は示されていないのですが、やはりイメージが先行しています。
中国事業
弊社の中国事業は順調に拡大しており、今期も10パーセント強の増収を見込んでおります。
中国事業は蝶理(中国)商業有限公司を中心に展開しており、全従業員のうち約2割が中国にいます。また、売上高は約15パーセントとなっております。繊維・化学品・機械事業におきましても、中国は非常に重要な地域であります。
蝶理と中国の歴史を簡単に紹介申し上げます。約60年前の1961年、日中友好商社第1号の指定を受け、1993年に中国初の現地法人を設立しました。2005年に設立した蝶理(中国)商業有限公司は、日本の商社で最初に中国内販権・貿易権を認められた会社です。
このような歴史も評価され、2018年10月に安倍首相が、日本の首相として公式に7年ぶりに中国訪問され、そこに私も同行させていただきました。「日中第三国市場協力フォーラム」に参加し、中国のパートナーと一緒に安倍首相・李克強首相と写真に写っております。
コーポレート・ガバナンス(グローバル リスクマネジメント)
コーポレート・ガバナンスです。
貿易取引・海外売上高の比率が高く、国内事業からグローバルな海外事業へと拡大が進んでおります。海外事業のコンプライアンス強化・充実させるため、人手・費用をかけて、しっかりとした各種監査体制を構築しております。
また教育面でも、私のメッセージ発信はもちろんですが、海外のスタッフの訪日研修や現場での研修も進めております。
人的基盤強化
人的基盤強化です。
「人」を最重要経営資源と位置付け、人的基盤の強化を教育も含めて進めております。
2018年に健康経営の推進として「健康経営宣言」をし、2019年2月21日には、「健康経営優良法人2019 ホワイト500」の認定も得ることができました。
2019年4月から働き方改革関連法の施行もあり、働き方について昨今ずいぶんと話題になっております。その前から、弊社は働き方改革としまして、「蝶理イノベーション活動」、略して「CHOI活」を推進しています。その中で残業時間の把握・抑制、原因分析と対策等を実行しております。また、この法律に合わせたかたちでも、しっかり取り組んでまいります。
2018年度主なトピックス(IR・CSR活動)
2018年度のIR・CSR活動の主なトピックスであります。
参考資料①
市場動向であります。
参考資料②
連結の範囲です。M&A子会社と主要海外子会社と表示しています。
蝶理(大連)貿易有限公司は、弊社の海外子会社の中で唯一、現地の方が社長を務めている会社です。今、非常に伸びています。全拠点の中で、今は蝶理(大連)貿易有限公司が利益面で2番目に大きな水準の拠点になっております。蝶理(中国)商業有限公司を中核にしながら蝶理(大連)貿易有限公司も拡大しております。
簡単でございますが、以上で説明を終わらせていただきます。