0.2019年1月期 通期連結決算トピックス
橘鉄平氏(以下、橘):代表の橘です。本日はポールトゥウィン・ピットクルーホールディングス株式会社、2019年1月期の決算説明会ということで、先に数字を発表させていただいておりますが、こちらで詳しくご説明する機会といたしたいと思います。
まず2019年1月期ですが、売上高は237億6,300万円、営業利益で31億6,200万円、純利益で18億3,900万円という結果になっております。
増収した部分としては、ネットサポート事業が前期比で売上高40パーセント、営業利益も70パーセント拡大しております。内容としては、今まではECサイトのモニタリングや、カスタマーサポートの事業だったのですが、そのなかでAIに関してのデータの認識評価や、モニタリングもFintechの部分……ネット決済といったもののモニタリング向けのサービスが開始しております。
デバッグ・検証事業ですけれども、こちらは前期比で減収になってしまいました。しかし、海外の収益性が改善しておりまして、結果として増益です。とくにデバッグ・検証事業ではゲーム向けのサービスが多いですが、2019年1月期に関しては、ゲーム市場以外に向けてのローカライズだったりとか、音声収録の部分で、とくに海外を中心にそちらが増えております。
また、昨期2018年1月期に医療関連の事業で赤字を出していましたが、こちらから撤退いたしまして、第4四半期では黒字化にもってきております。前期比で赤字の幅で2億円ほど縮小させていることになります。
ざっと大きなトピックスとしてはこういった内容になりますが、また詳しく、山内から説明させていただきます。
1-1.2019年1月期 通期連結業績概況(前期比)(1)
山内城治氏:今、社長から概要の説明がありましたが、もう少し詳しいところを私から説明いたします。1-1が、前期と当期の連結業績の比較になります。
売上・営業利益につきましては、ただいま社長から概要の説明があったとおりでして、細かな点はセグメント別のところでお話しいたします。
営業利益以下のところになりますが、営業利益と経常利益のギャップにつきましては、前期は為替の差益が6,000万円出ていたところ、今期は為替差損というかたちで9,700万円出ていますので、その分が営業利益と経常利益のギャップになります。
特別損失といたしましては、今年2億6,000万円ほど出しています。内容としましては、社長交代による役員退職金7,000万円、有価証券の評価損3,700万円、あとは先ほどあったとおり、医療関連の事業からの撤退損が7,800万円、減損損失6,100万円というかたちで、特別損失を計上しています。
減損損失に関しましては、在外子会社のなかで稼働の低い拠点が一部ありまして、そこに対して会社別に減損の判断をしたことによって出ている減損になります。私達は、海外事業全体で見ていますので、この会計的な処理のところには、何か心配をおかけするような点はございません。
1-2.2019年1月期 通期連結業績概況(予想比)(2)
続きまして、1-2のところになります。これは業績予想、ガイダンスに対する差異の分析になります。売上の予算に関しましては、マイナス13億4,400万円となりましたが、営業利益・経常利益につきましては、予算を5億円ほど上回って推移しております。
売上でマイナスになっているところの要因としましては、とくにデバッグ・検証セグメントのところで、パチンコ・パチスロ向けのテストが想定以上に落ち込んだということと、海外におきましては、去年の12月末、前期末と当期末のところで、為替が円高に振れたことによって、海外のデバッグでも若干予算の未達が出ています。
ネットサポートで買収したサイタスマネジメントが、計画以上にうまく進んだことで、ネットサポート事業については売上の予算が上振れています。
営業利益が5億円ほど上回っている要因です。その他セグメント以外の、デバッグ・検証セグメント、ネットサポートセグメントとも営業利益の予算は上回っておりまして、とくに海外の利益改善が進み、約5億円のほとんどが海外事業の営業利益の上振れによるものになります。
今年に関しましては、とくに国内デバッグのパチンコ・パチスロ向けのテストが厳しい状況ではあったのですが、この5~6年、海外の投資を進めてきたところが黒字化したり、ネットサポートセグメントに対してM&Aの買収資金を流したり、また人材も社長の判断でネットサポートに投入したところ、全体として利益はうまく改善して伸びてきております。
1-3.2019年1月期 通期セグメント別業績概況
では次に、セグメント別について少しお話しさせていただきます。まず、デバッグ・検証セグメントに関しましては、売上が183億900万円、前期比マイナス5,700万円。営業利益が30億7,100万円、前期比プラス5億9,100万円になっています。
短信のセグメント情報で海外顧客の売上が出ています。あの海外の売上は、デバッグ・検証セグメントのものになります。したがいまして、差し引きしていただきますと、デバッグ・検証セグメントの国内・海外の売上が分析できるかと思いますが、183億900万円の売上は、国内で約122億円、海外で約61億円となります。
前期比でマイナス5,700万円の減収になっているところですが、国内で約7億円落ちて、海外でプラス約6億円で、ネットしてマイナス5,700万円の減収という結果になっています。
国内がマイナス7億円落ちているところに関しましては、やはりパチンコ・パチスロ向けのテストが大幅に落ち込んでいます。それに対しまして、モバイル分野、翻訳、ローカライズ分野、ノンゲームの検証分野は伸びているものの、アミューズメントの落ちを補うことができず、国内デバッグ・検証事業はマイナス7億円となっております。
海外が約6億円の増収になっておりますが、これは本業で9億円ぐらい伸びています。しかし、為替の影響がマイナス3億円ぐらいありまして、結果として海外では6億円の伸びになっています。
とくにポンドが、前期の決算で151円だったのが、今回の決算では140円ということで、かなり円高に振れているタイミングでの決算となったため、海外では為替の影響が大きく出ております。
利益面については、デバッグ・検証セグメントは5億9,100万円伸びていますけれども、これは国内では若干の減益があったものの、海外で大幅に増益となったことで、セグメント全体としては営業利益がプラス5億9,100万円となっております。
次にネットサポート事業になります。ネットサポートセグメントでは、売上は51億7,500万円、営業利益が2億6,600万円となっております。売上がプラス14億9,700万円、営業利益でプラス1億1,100万円です。
前期比で売上が14億9,700万円増収している要因としましては、先ほども申したのですが、3月にサイタスマネジメントというサーバー監視の会社を買収したことによる新規連結寄与が約半分、残り半分がオーガニックな伸びになります。
オーガニックな伸びに関しましては、約7億~8億円ありますが、冒頭の社長のお話にもあったように、従前からいろんな出品物のチェック業務であったり、モニタリング業務のノウハウを、AIやペイメントのところに持っていったことによります。
AIが、主にスマートスピーカーの音声データの認識評価業務になります。あとは、Fintechで、我々が主に関わっているのはQR決済といったところになります。最近ですと、「ペイ戦争」というかたちで、各社がいろんなQR決済の仕組みを出してきています。そこに対して私たちがどんな仕事をしているかと言いますと、従前は、ネットショッピング・ネットオークションの出品物のチェック業務でした。
偽ブランドのものがないか、不正な手口の出品がないかというチェック事業をしていたわけですが、QR決済・ペイメントでも、異常な取引がないかを抽出してチェックしたり、いろいろなペイメントのものが不正な決済に使われていないかということで、例えば、売ってはいけない、世の中に出回ってはいけないものの決済手段に使われていないかなどのチェック業務になります。
ネットサポートセグメントでは、デバッグ・検証セグメントとの連携を強化しています。従前、ネットサポートではゲーム業界の取引がなかなか少なかったのですが、デバッグセグメントのお客さんとの連携を強化して、ゲームのカスタマーサポートも伸びているところになります。
ネットサポートの仕事が、どうしてもいろんなものをチェックしていくものになります。ブラウザを開いて、次の画面に遷移して、何かをチェックしていくといった作業が多いのですが、その作業のRPA化も顧客から求められることが多くなっています。そのネットサポートの仕事自体をRPA化していく仕事も増えてきています。
1-4.四半期業績推移(売上高・営業利益)
続きまして、四半期ごとの業績の推移になります。第3四半期から第4四半期にかけまして、デバッグセグメントの売上が減少していますが、これは第4四半期特有の、クリスマスを挟むところでの稼働の低下や、第3四半期が繁忙期で、家庭用ゲームソフト向けのテストが第4四半期に一服したりするところで、デバッグセグメントは第4四半期に向けては、対前期比で見ると減収となっています。
営業利益面につきましては、去年の第4四半期が2億2,300万円で大幅に落ち込んでいます。これは去年の第4四半期に、その他事業で各種引当などがあったので、第4四半期にかなり落ち込みましたけれども、今期はそういう特殊要因がありませんでしたので、営業利益7億5,600万円で推移しています。
1-5.財政状況 連結貸借対照表
次が、B/Sの状況になります。今回の決算でお話ししておかないといけないのが、現預金が前期比で約36億円増加していることです。加えまして、資本剰余金・利益剰余金も増加しています。
これは、去年の6~7月にかけまして自己株の処分を行ったためで、取得時よりも自己株の単価が高かったところで、自己株式の処分差益が資本準備金の増加につながっています。
自己資本比率に関しては、81.7パーセントで、ROEとしましても16.9パーセントを確保しています。
また、いろんなM&A案件の検討は続けていますし、去年のMSワラントでの資金調達の使途もM&Aがあります。前期に関しましては、うまくクロージングまで至ったものがなく、まだキャッシュが多い状態にありますが、引き続き我々のグループにとって有益と思われるM&A案件の検討は続けています。
1-6.財政状況 連結キャッシュ・フロー計算書
次が、キャッシュ・フローの状況になります。こちらは、今期に関しましては、財務キャッシュ・フローが15億8,700万円で大幅に増加していますが、これはMSワラントによるファイナンスを行ったところによります。
1-7.株主還元(配当予想)
株主還元、配当予想のお話になります。従前から、私どもとしましては、連結当期純利益に対して25パーセントを目処に配当を行っていくことにしています。今期に関しましては配当予想を10円で出していましたが、業績予想を上回りましたので、1円増配です。一昨日の決算発表と同時に配当予想の修正も出していまして、4月の株主総会の決議をもって11円の配当を行う予定でいます。
1-8.当社株式の状況
次のページに移りまして、当社株式の状況について簡単にご報告いたします。当期末に関しましては、株主数が2,760名となりました。前期が2,406名でしたので、300名ほど株主が増加しています。
中間決算の説明会でも申し上げたかもしれないですが、中間時点で株主が2,000名を割り込んでいたところがありまして、今回ファイナンスで少し株を出したところで、期末としては2,760名の株主を確保できています。
2-1.2020年1月期 通期連結業績予想
ここから先は、当期の進行期の業績予想について、簡単にご説明いたします。こちらのスライドが、通期連結業績の予想になります。売上高が262億1,700万円、営業利益が31億7,900万円、経常利益が31億5,000万円、当期純利益が20億4,500万円の業績予想を出しています。
売上に関しましては約10パーセントの増加で、利益面はほぼ横ばい。当期純利益は今年に関しては特損はないという前提で、当期純利益を10パーセントほど増加させています。配当予想に関しましては、今期から1円上乗せで、1株あたり12円の配当の予想としています。
売上約262億円の考え方についてです。デバッグセグメントで、183億円の実績に対して、10パーセントの増収で202億円。ネットサポートで、前期実績51億円に対して、10パーセントの増収で57億円。その他事業は2億円で変わらずで、262億円という業績売上の予想にしています。
利益面の横ばいの考え方についてです。去年、営業利益が30億円台に乗ってきたことは、私たちとしてもよかったところですが、海外で、思っている以上に営業がきちっと補充できていない状況もあります。それで、営業の補充をしないといけなかったところの予算の未消化で益出しされている部分もあります。
このままでは伸ばし続けることはできませんので、今期もう一度、海外で営業であったりマーケティングをきちっとするところで予算を入れています。
国内に関しましても、とくに都内中心に人件費の上昇がありますので、その上昇の対応であったり、業務規模を拡大していくための管理者の増加を見込んでいます。
デバッグセグメント全体についてです。前期、セグメントの営業利益率としては17パーセントぐらいだったと思うのですが、今期はガイダンスの段階では3パーセント程度下げて、14パーセントぐらいの営業利益率という前提で、デバッグセグメントの予算を作っています。
ネットサポートに関しましては、まだ売上規模が小さいということで、突然収益性の改善がなされるという前提には立っていません。前期、5パーセント程度の営業利益率だったかと思いますが、若干の改善ぐらいの前提で、ネットサポートセグメントの予算を考えています。
その他セグメントに関しましては、売上はほぼ変わらずです。営業利益が前期は2億円弱の赤字だったかと思うのですが、これが限りなくプラスマイナスゼロぐらいになるだろうという前提に立っています。
我々もデバッグセグメントの3分の1……連結全体でいいますと25パーセントくらいが海外の売上になってきていますが、私たちが予算を作っていた時が、かなり円高に振れていまして、レートの前提も12月くらいのもので考えていますので、1ドルが105円くらい、ポンドでは140円くらいという前提になっています。若干、そのあたりはシビアで、保守的に組み立てております。
全体としまして、私たちも新しい取り組みをしていかなければならないと考えています。作業の自動化であったり、またカスタマーサポートのところで言いますと、最近よく見かけますチャットによる対応……チャットボットであったりの研究開発的な予算も、連結全体で1億円弱は取っております。
2-2.通期連結業績の推移、計画
このスライドは、今年、進行期も含めた5年間の売上、営業利益の推移になります。売上はM&A、オーガニックの伸びを含めながら、順調に5期増収になっております。
営業利益は、その時その時でいろいろな投資があったり、損失処理引当などをしながら、長年に渡って22億~24億円くらいで横ばいできました。去年については、いったん30億円台にのせることができたということで、私たちとしても1つの手応えを感じております。
しかし、十分な営業、マーケティングができていないことや、人件費の上昇などの対策はしないといけません。そのあたりはいったん、今回の業績予想でも予算化、費用化しており、今期の営業利益の予想もほぼ横ばいとしております。ここまでが、前期の実績、当期の業績予想の考え方になります。
3-1.今後の事業戦略の考え方(1)
橘:では、今後の事業戦略について説明させていただこうと思います。事業戦略ですけれども、考え方として3つに分かれています。1つ目がゲーム市場向けです。
我々のグループのコアサービスとして、グローバル化するゲーム業界に向けて、多言語のサービスの視野をもっと広げていきたいと思っております。
ゲーム業界に対する2つ目としては、ノンゲームの市場です。こちらは、カスタマーサポートであったり、モニタリングであったり、デバッグであったり、すべてのサービスのノウハウを、ゲーム以外の市場として、EC/Webサービス、AI、Fintechなどの市場に展開していきたいと思ってます。こちらで、ゲーム以外の新たなビジネスの柱を創出していきたいと思っています。
また、社内の体制として、グループ会社各社の機能の統合を進めていき、経営の効率化を図りたいと思っています。同時に、各社の横のつながりといいますか、人事の交流を促進して、事業間でのシナジー向上を図りたいと思っています。
3-2.今後の事業戦略の考え方(2)
今、お話ししたことをスライドにこうしたかたちでまとめています。ゲーム市場では、例えば今、我々の売上ではゲームのデバッグが大きい割合を占めているのですが、デバッグだけでなく、開発者の方々に向けた開発補助など、今のビジネス、ゲーム業界の中で、横の広がりを作っていきたいと思っています。そういったサービスラインを増やしていき、より売上を伸ばしていきたいと思っています。
また、山内のお話の中でも何度か出てきましたが、我々はどちらかというと、営業・マーケティングに対して、あまりコストを使えていないところがあります。つまり、もう少し我々がそこに力を入れることで、売上を伸ばしていきたいと思っています。そこに関してはなかなか着手できなかったのですが、今期は十分に強化していきたいと思っております。
ネットサポート事業は、これまで得意としていた分野は別の分野だったのですが、ゲーム業界のところで強化していきます。人材としてもポールトゥウィンからピットクルーへ人材を異動させるといったこともやってきており、よりゲーム業界での売上を伸ばしていきたいと思っております。
また、海外とのシナジーという意味で、海外でのカスタマーサポートに関しては、ゲーム業界で売上が伸びておりますので、グローバル展開していくコンテンツに対して、日本国内、海外の両方でサポートできるようなかたちで広げていきたいと思っています。
そして、ノンゲームの市場です。既存のサービスをノンゲームの市場でもっと広げていきたいということで、とくにデバック、ローカライズ、音声収録です。ポールトゥウィンのグループであったり、インターナショナルのグループのサービスを、もっともっとノンゲームの市場に展開していきたいと思っております。
とくに、検証、デバッグにつながるところですと、システム検証、ソフトウェア検証の分野です。また、今はローカライズでもヨーロッパ言語といったものもあるのですが、例えば日本向けのローカライズの売上を伸ばしていったり、アジアの言語を伸ばしていったり、もっと多言語に向けて強化していきたいと思っています。
スライドに「アノテーション」とありますが、今、伸びている分野としては、AIにおけるデータ作成などです。例えば音声収録について、ふだんであればゲームの音声を収録して、それをゲームに乗せます。そうではなく、収録するというサービスを生かして、音声自体を収集して、それをAIのデータに使っていただく……例えばスマートスピーカーのテストでしたら、スマートスピーカーに入ってくる音声をチェックして、そちらでAIの精度を測るなどです。AI関連、とくにデータ関係の業務を増やしていきたいと思っています。
ネットサポート事業に関しても、同じくAIの分野の仕事を伸ばしていきたいです。電子決済やQR決済と言われる部分ですが、もともとECやBtoCに対する仕事が多いので、同じようなつながりで、そちらのFintech関係の業務が増えてきており、そこを伸ばしていきたいと思っております。
我々の事業の戦略としては、このようなかたちであります。以上になります。ありがとうございました。