個人投資家向けIRセミナー

平野洋一郎氏(以下、平野):みなさま、こんにちは。ご紹介いただきました、平野でございます。今日は、個人投資家のみなさま向けの説明会ということですが、アステリアという社名を今回初めて聞いたという方は、挙手をお願いできますでしょうか?

(会場挙手)

平野:ありがとうございます、かなり多いですね(笑)。理由も、実はわかっています。と言うのは、当社は、アステリアという社名になってからまだ1年経っていないんです。昨年(2018年)の10月1日からアステリア株式会社、それ以前はインフォテリア株式会社です。会場でも「ああ」と言われる方、かなり多いようですね。インフォテリア株式会社は、創業から20年経ちました。昨年の9月で20周年を迎えました。「新たな成長を目指す」、そして「東証一部への上場」「世界を目指す」といったいくつもの意味を込めまして、新たな社名にしました。

私が小さいときに憧れていたソニーという会社があります。最初は東通工という社名だったんですが、東証一部に上場した1958年に「世界を目指す」ということでソニーに社名を変えられたんです。そういった私の小さいころからの憧れ、そしてそれにならいたいという思いも込めて、世界ブランドとして「アステリア」に社名を変更しました。これから20年の、世界に向けたさまざまなつなぎを提供していく。これがアステリア株式会社です。

会社概要

20年経ちまして、東京の6畳一間のアパートからスタートしましたけれども、現在では世界5ヶ国に拠点があります。ソフトウェア開発およびソフトウェアに関するデザインのコンサルティングを行っている会社です。

沿⾰と通期売上推移

これまでの沿革です。20年間ずっと伸びてきまして、昨年(2018年)英国の企業を買収しまして、かなり大きくジャンプアップしているところです。

ソフトウェア開発は2つのモデル

ソフトウェア開発は、国内にいくつもの上場企業があります。だいたい日本のソフトウェア開発会社は、ほとんどが受託開発というモデルです。どこかの企業から受注を受け、その注文どおりにソフトウェアを開発して1社に納めるかたちです。1社のみに納める。

一方で、アステリアは、国内では数少ない製品開発だけを行っている会社です。製品と受託の両方を行っている会社もありますし、自社で開発した製品の導入を生業に加えているところもありますが、この受託開発……特定の会社から注文を受け、開発を行い納品するモデルは、基本的には売上高総利益率、つまり粗利が低いです。

一方で、製品開発。こちらは不特定多数に売ります。最初は注文書がないのに開発します。ですから、まったく売れなければ赤字ですけれども、1千社でも1万社でも同じものを売ることができるんです。世界的なソフトウェアメーカーは、だいたいそちらを目指しているんです。ですから、スケールするんです。

なぜ、日本のソフトウェア会社はスケールしないか? ほとんどが受託開発だからです。規模は大きい会社、売上1兆円といっても、GAFAに比べれば大したことないわけです。スケーラビリティに乏しい。これが、日本のソフトウェア開発の市場の現状です。私たちは小さいながらも、スケールの大きい世界的なソフトウェアベンダーを目指す。これが、私たちの成長の姿です。

2つの中核製品は市場シェアNo.1

実際に私たちが開発をしている、先ほどもご紹介にありましたデータ連携の「ASTERIA Warp」、それからモバイル連携の「Handbook」は、どちらも市場シェアNo.1をいただいています。主力製品の「ASTERIA Warp」に至っては、12年連続です。販売開始をしてから17年になりますが、その最近の12年間はシェアNo.1をいただいています。

基幹製品:ASTERIA Warp

実際に使っていただいているのは、第1号ユーザーさんがソニーさん、第2号が京セラさんです。それ以降、現在では7,500社を超える企業に導入していただいている。日本のメジャーな企業のデータ連携・システム連携・クラウド連携などは、ほとんど「ASTERIA Warp」が使われていると言っても過言ではない状況です。

ただ、これは一般のみなさんの目に触れないんです。情報システム部門の方々が使うミドルウェアというソフトウェアなんです。ですからこの図に、みなさんのご存じの企業はかなり多くあると思います。それでも、表で触れることはない。レストランで使われても表は出てきませんし、それからおもちゃメーカーで使われてもまったく出てこない。こういったところでも縁の下の力持ちというかたちで、日本のさまざまな企業を支えています。

デザイン戦略コンサル企業を買収

また、これに加えて、2年前にデザイン戦略コンサル企業(を買収しました)。デジタルトランスフォーメーションといって、企業がデジタル化したプラットフォームに事業を乗せていくことが世界的な大きな流れになっています。そのデジタル化を支援するために、データ・アプリのプロトタイプ・試作、それからWebサイトの試作といったものを提供する会社がイギリスにありました。

This Placeという会社ですが、こちらを買収して、私たちの今後の成長戦略の一端に加えています。現在、このThis Placeは、ロンドンとシアトルと香港に拠点を持っています。例えばここにあるように、T-Mobileさんですとか、社名は言えませんけれども、今ちょっと話題の航空機会社さんですとか、こういったところのデジタルトランスフォーメーションを戦略的に支援するという仕事をしています。

This Place買収の狙い

それでは、このデジタルトランスフォーメーションとつなぐソフトって、どういう関係があるのか? 私たちが5年後ぐらいを考えたときに、どういうことが起こるのか?

企業向けのソフトウェアは、現在「ASTERIA Warp」でも「Handbook」でも、情報システム部門の人がマルバツ表を作るんです。機能のチェックリストを作ります。100も200も機能項目を並べて、それが「他より『ASTERIA Warp』のほうがいい」というような、チェックリストを作るんです。そのチェックリストで点数が多いほうが選ばれることになっていますが、ここが変わってくると私たちは読んでいます。

企業では、そういった100も200もチェックリストを作る情報システムは(あるものの)、でもこれからは、企業のソフトですらクラウド型のサービスになるし、アプリ型になっていく。そうしたときに、情報システム部門が100も200もチェックリストを付けて選ぶより、現場部門がすぐに使ってみて、それが「使いやすい」だとか「業務に合っている」ことを簡単に調べられるんです。

つまり、企業ソフトウェアでも、その選び方が個人のソフトウェアに近くなる。みなさんがアプリを選ぶときに、100も200も機能チェックをしてから使いますか? そうじゃないですよね。ちょっとした使い勝手だとか、自分の仕事に合っているということで、すぐインストールして使ってみて、それでよければ使い続けるし、駄目だったらまた別にいくことができる。

こういう時代に、企業もなってくるんです。100も200もチェックをして、それを5年間使い続けるという時代は終わるんです。ですから、そこで何が大事か? そうなると、機能がたくさんあることよりも、デザインがいいことのほうが優先になる。これが、私たちが言っている「デザインファースト」です。機能は、もちろんなくてはいけないです。ただ、どっちが大事かという話です。

iPhoneが2007年に出てきて、「こんな機能じゃ使えない」とプロは言いました。例えば、コンピュータに普通にあるコピペがないんです。現在はありますけど、最初はなかった。コピペもない、ボタンが1個しかない。「こんなんで、どうやって使うんですか?」と言いました。でも実際には、このスティーブ・ジョブズがこだわったワンボタンが受けた。世界を変えたんですね。こういうことが企業にも起こる。これが、デザインファーストの具体例であり、私たちが今後起こるであろうと信じていることです。

旧中期経営計画

現在、私たちは「中期経営計画2020」という計画の第1年目にいます。こちらは旧、1個前の中期経営計画です。現在の中期経営計画をご紹介する前に、その前がどうだったかから説明します。その前も、3ヶ年計画を立てていました。2016年度から2018年度までのものです。

旧中期経営計画と達成状況

ところが、3ヶ年計画の第2年度で、ほぼ3ヶ年計画を達成してしまったんです。ですので、3ヶ年計画をいったん2年度で終了。ほぼ達成したので終了としました。なぜならば、売上に至っては達成率を超えているのに、さらに次の年度を目指すのはおかしな話ですから。新たに「中期経営計画2020」を立てました。

中期経営計画2020①

これは、さらに大きな成長を目指していきます。現在、過ぎた年度(FY2017)で売上は31億円強ですけれども、これを50億円まで持っていきます。営業利益は、いよいよ2桁の10億円。これは営業利益率で20パーセントにあたりますけれども、ここまで持っていくプランを立てています。非常に大きな売上の伸びと、あと伸びのために、いったん(FY2018で利益は)しゃがんで営業利益を上げていくかたちです。

中期経営計画2020②

そのための方策として、私たちは注力の領域の「4つのD」を定めています。先ほどご説明したDesign。これは、より重要になります。それから、それを支える3つの技術、3つのD。Data・Device・Decentralizedです。

Dataが、あらゆるもののベースになります。一番重要なのは、その中でもAI、マシン・ラーニング。

Device。世の中のさまざまな、Deviceがインターネットにつながります。一番重要なものはIoT。

Decentralized。これは、まだカタカナにはなっていません。これから注目されます。非中央集権という意味です。代表選手は、ブロックチェーンの活用です。

これらの3つのチームを作って、製品を支える。私たちの先見性を優位性に変えていく。これが、私たちの戦略です。

Asteria Vision Fund 設⽴①

そのために、まだ今年の第1年度目が終わっていませんけど、さっそくいくつも作戦を遂行しています。1つ目が、Asteria Vision Fundの設立です。

SoftBank Vision Fundを聞いたことがある方がいらっしゃるかと思います。同じように、私たちの戦略を遂行するために、自前だけじゃなくて、さらに外の力・外の人材・外の技術といったものも活かして進めていくためのAsteria Vision Fundです。

IFRS上の投資企業ですので、SoftBank Vision Fundと同じように、最終的なイグジット以前でも、その成長に応じて私たちの数字を取り込むことができるようになっています。投資方針は、当然4つのDです。これに従って投資をしていく。私たちの計画を現実のものにしていきます。

Asteria Vision Fund 設⽴②

このAsteria Vision Fundの場所ですが、国内ではなくて、アメリカのプレイノ(市)というところにあります。プレイノはテキサス州なんですけれども、こちらはさまざまな税制ですとか優遇策、それから世界へのアクセスなども考えて、プレイノにしました。

実際に、例えばトヨタさんは、北米に4つの会社に分離していたものをプレイノに、2年前に北米本社として移転されるなど非常に注目度が高く、しかも地の利のよい場所です。

中期経営計画2020③

こういった発展著しいところに私たちはAsteria Vision Fundを設立して、4つのDの方針で世界に投資をしていきます。

AI研究開発会社「Asteria ART」

これの、さらに3つの研究ラボですけれども、1つ目として「Asteria ART」。これは、つい先週発表したものです。AIを研究して開発して、それを企業向けに活かしていくラボです。「ART」は、Artificial Recognition Technologyの略です。

AI、AIと最近言っていますけれども、基本は今はRecognition Technology、つまり認識技術です。マシン・ラーニングだとかディープ・ラーニングと言っています。認識技術をもとにそれを活かすものが、現在の最新のAIと呼ばれるものでして、ここの知識を持った人たちを中心に、最先端の技術を進めています。

中核製品①

このような進捗でありますが、足元ではこういった「つなぐ」製品を作っています。こちらは簡単にご紹介します。主力の「ASTERIA Warp」なんですが、こちらは「システムをつなぐ」ということでご紹介しました。

企業、それから取引先・お客さまにも、さまざまなシステムがあります。これを直結する、自動化する。そのために、通訳のような役割を担う。それが「ASTERIA Warp」です。

ASTERIA Warpとは

各社のコンピュータ・ソフトウェアは、独自のデータ形式、それから独自の通信手順といったものがあります。そういったものをリアルタイム、つまり同時通訳的に通訳をしてつないであげる。これが「ASTERIA Warp」です。

ノン・プログラミングとは

しかも、それをノン・プログラミングで行う。普通はコンピュータのソフトウェアって、こういう行でたくさん、何千行も何万行も書くんですが、「ASTERIA Warp」はそれを1個のアイコンに凝縮して、お客さまはフローチャートを書くだけでコンピュータ同士をつなぐことができるようになっています。

ASTERIA Warpの実績

そういったことが認められまして、導入社数は7,500社以上。最近はサブスクと呼ばれる月額課金型のものは、3倍以上の伸びを示している状況です。

成⻑領域:RPA(Robotics Process Automation)

とくにホットなエリアは、RPAと呼ばれる領域でして。RPAツールが今、Excelの作業だとかブラウザの作業を自動化するということで、働き方改革と相まって注目されていますが、これが行うのは、人の目の前のコンピュータ上の作業です。

ところが、会社で行う仕事のコンピュータ上の処理は、目の前のPCだけではないんです。ほとんどの会社に社内システムがあり、それから最近ではクラウドサービスを使っている。こういったところをつなぐことで、本当に仕事全体の自動化ができてくるわけです。

今よく言われているRPAは、フロントエンドRPA。私たちが担う領域は、バックエンドRPA。バックのRPAと位置づけています。このRPAテクノロジーズさん(のBizRobo)ですとかNTTデータさんのWinActorと組んで、RPAのプロジェクトを進めています。

API時代に広がるASTERIA

今後「ASTERIA Warp」は、従来のこういったデータベースとかクラウドに加えて、新規技術もどんどんつないでいく。Blockchain・IoT・AI・Robot・FinTechなどの新しいテクノロジーをつないでいくかたちで発展しています。

中核製品②

2つ目の製品が、「Handbook」です。

Handbookとは

「Handbook」はシステム同士をつなぐのではなく、外に出ている個人をつなぎます。スマホ・タブレットに対してデータ連携をする製品です。しかも、安心・安全にということです。

Handbookの実績

導入件数も1,500社近く、いくつも市場調査でシェアNo.1をいただいています。

成⻑領域:SalesTech(営業x技術)

例えば、このような企業で使われています。また、「Handbook」の画像ですが、画像を動かしながら見ることもできますし、業績を伸ばすツールとして、最近この「Handbook」は認められてきています。この業績を伸ばすツールとしての使い方をSalesTechと言い、最近、何とかTechが流行りですけれども、このSalesTechという領域で使われるケースが増えています。

東海東京証券

1つだけ事例をご紹介しますと、東海東京証券さんです。こちらは営業マンの1,000人全員が「Handbook」を持って、営業ツールとして活用されるんです。データそのものが中央管理で、例えば、「古いカタログを見せてしまうこと」がないだとか、「日付が過ぎて間違った金利を見せてしまうこと」がない。さらに、「コンテンツは誰がどのぐらい使っているか」「どのコンテンツを使ったときに成約しているか」といったことがわかりますので、非常に営業の支援に役立つものです。

新製品

さらに私たちは、IoT・AIの領域のための新製品を持っています。片方が「Platio」、もう片方が「Gravio」です。

つなぐフィールドはさらに拡⼤

どういうことか? 「ASTERIA Warp」はシステムをつなぎます。例えばクラウドですとか、社内の基幹システム。さらに、「Handbook」はヒトをつなぎます。ヒトが持っている、こういうモバイルツールもつなぎます。

そして新しく、IoTが出てきました。これはデバイスです。ヒトが持たずにどこかに設置してある温度計だったり、湿度計だったり、人感センサーだったり、いろんなものがあります。カメラとかもそうです。こういったものが出てきます。しかもこれらを企業が使うようになる。

そうすると必要なものが、まずはシステムとモノをつなぐ。ここに「Gravio」という製品を投入しました。そして、ヒトの部分とモノの部分をつなぐところで、「Platio」。これは、必要に応じて簡単に業務アプリを開発することができるソフトウェアです。

エッジでIoT繋ぐ新Gravio

「Gravio」は、こういうセンサー機器・クラウド、それから私たちが得意とする基本システムとの接続やモバイルの真ん中にある「エッジコンピューティング」というところに位置する、AIを搭載したソフトウェアです。

これからはエッジコンピューティングが話題になります。皆さんご存じクラウドがあります。そして現場があります。現場は、例えばセンサーとかで動く機器です。こういう機器は、今だとクラウドに直結して制御するということをおっしゃっている方が多いんですが、それだと非常に回線数が多い。データ量も多い。5Gになったとしても、データ量が減るわけじゃないんです。つまり、安くなるわけじゃない。

それを、クラウドにデータを転送することなく途中の段階でまとめて処理をするエッジコンピューティング。これが「Gravio」です。

IoT利⽤の3つのハードルを解決

実際に今まで課題であった、3つの課題。第1にエンジニアでなければ、よくわからない。第2に費用が思ったより高い。第3に機器は、何を選んで良いかわからない。こういうところに関して、すぐにつながるセンサーが最初から付いている。月額500円からスタートできる。しかも、当社が得意とするノン・プログラミングを搭載して、このエッジコンピューティング・IoTを本当に世の中に……つまりそれはオフィスでありショップであり、そして学校に普及させることに取り組んでいきます。

IoTが、株式市場でも少し前に話題になりました。しかし、実際にオフィスの中で使われているかというと、ほとんど使われていないんです。ほとんどが工場の事例だったり、例えば屋外です。災害対策だとか、こういったところばかりじゃないですか。みなさんの周りにIoT、動いていますか?

これはやはり、まだまだ課題があるからです。ベンダー側が課題を解決する必要がある。これは、(ソフトバンクの)孫さんが(インターネットの)ブロードバンドを普及させたときに、実際のルーターという接続機器を無料で配られた。ここに倣っています。どんなにセンサーを使おうと言っても、それがやっぱり何を選んでいいかわからない状況では、普及しないんです。

これを実際に手元に置いてつないでみて、それで初めてそこから(イメージを)ふくらませることができる。センサーは、なんと無料なんです。月額500円でソフトウェアを買っていただければ、4つまで無料で付いてくる。これによって、本当にIoTを世の中に普及させていきたいと考えています。

新Platio発表

そして、「Platio」です。こちらは、モバイルとモノをつなぐ製品です。Platioは、モバイルでいろんなデータを収集して「気づき」を与えるものですが、スマホの業務アプリケーションを簡単に手元で開発することができます。

そして、それを社内ですぐに配ることができます。これまで、こういうアプリはAppleやGoogleに提出して、それで時間をかけた審査を経てからしか配ることができなかったんですが、手元でテンプレートから作って、すぐに簡単に配ることができます

事例を続々公開

Platioはすでに、事例もいくつも出てきています。

ブロックチェーン

次は、プロダクトではなく、新たな領域のサービスです。私たちは、2015年からブロックチェーンに取り組んでいます。インフォテリアという名前をご存じだった方は、たぶんブロックチェーンでご存じの方も多いと思いますが、上場企業で日本で初めてブロックチェーンにコミットをしたのが当社です。

ブロックチェーン連携

そこから、さまざまな取り組みをしています。例えば、「ASTERIA Warp」での連携です。ブロックチェーンは新しい技術ですけれども、「ASTERIA Warp」を使うと既存のシステムからブロックチェーンの仕組みを使うことができます。

ブロックチェーン実⽤化推進

例えばこのような投票ソリューションです。すでに、私たちの株主総会は2回行っていますが、透明で改ざんのできない投票をブロックチェーンで実行できます。この投票の仕組みは今年も実施します。そして、文書改ざん検知ソリューションです。日本で、まさか文書改ざんが起こるとは思いませんでしたが、必要だということがわかりました。このような改ざん検知もブロックチェーンでできるんです。

こちらはもうすでに、両方ともソリューションとして提供しています。3回目(の株主総会実証実験を)今年やりますけれども、まだ3月16日ですから、今年の株主総会は今から買っていただければ間に合います(笑)。

他にもさまざまなツールを出していたり、上場企業のアドバイザーなどもしています。ブロックチェーンはまだまだ市場は小さいんですが、これから非常に大きな市場になります。

改ざんが許されないデータはあらゆる業界に存在する

ブロックチェーンは金融の文脈で語られることが多いです。Fintechとブロックチェーンってセットで語られることが多いんですが、金融に限らず流通、製造、そして公共、医療。さらにそれ以外のさまざまなところで、ブロックチェーンは活躍します。

例えば、改ざんされては困るデータは、あらゆるところに存在するわけです。産地偽装、検査データの偽装、公文書の改ざん、電子カルテの改ざん。こういったことも、ブロックチェーンを使うことで、後から改ざんができないシステムを作ることができます。

ブロックチェーンでのポジション確⽴

これは本当に社会的な取り組みですので、これらを推進するためには、当社だけではやはり力が足りない。さらに時間もかかるということで、私は代表理事としてブロックチェーン推進協会、略称BCCCを主宰しています。現在、270社を超える企業に加盟していただいている状況です。ブロックチェーンの、社会での浸透に関しても、私たちは尽力しています。

デザインサービス順調に成⻑

さて、先ほどお話をしたデザインサービスです。こちらはもともとデザインサービスを行っている企業を買収して始めた事業ですが、直近のところをお話ししますと、まずヨーロッパではロンドンに拠点があります。アジア・オセアニアは香港。これは、昨年(2018年)の11月に拠点を出しました。そして、北米に関してはシアトルということで、現中計期間中で東京のスタジオ開設もプランしています。

デザインサービスは、かなり拡大しています。拡大しているがゆえに、いくつか大きな世の中の事案と関係します。(その例が)T-MobileとSprintの合併。これはちょっと今年度(2018年度)の前半、影響を受けました。今ではリカバーしています。

T-Mobileさんにおいては、Webのストラテジー・デザイン、それからアプリのUI・UX、ECサイトですとか、あとは新しい企業の組織。こういったところにも、私たちはコンサルティングをしています。

増収減益

ビジネス概要をざっとお話ししました。最後に、数字を少しだけ触れておきたいと思います。直前の今期、2019年3月期の第3四半期決算の数字をご紹介いたします。

こちらは売上の推移です。順調に伸びていまして、上場来最高を更新しています。営業利益に関しては、先ほど中計のお話をしました。こちらは中計の時点で増収減益というプランで、それに沿って投資をして進んでいます。

増収要因

ビジネスのユニットが3つ、およびその他がありまして、この3つのユニットすべてで伸びている状況です。エンタープライズを代表しますのが「ASTERIA Warp」、ネットサービスを代表しますのが「Handbook」、そしてデザインサービスを代表しますのが先ほどの「デザインサービス」です。

利益回復とその要因

利益に関しては、実は第2四半期に投資家の方々へご心配な数字を開示したんですが、第3四半期ではこのように回復している。四半期営業利益は回復していますし、四半期営業利益率も回復しているということです。

業績予想と第3四半期進捗率

今年の通期の予想を出していますが、進捗率はこのようなかたちで、順調に進捗していますというご報告です。

損益計算書

細かなところの数字は、こちらの資料で見ていただけるかと思います。

売上収益から営業利益までの内訳

売上収益から営業利益までの内訳です。

財政状態計算書

そして最後に、こういった成績をもとにして、財政状態計算書があります。こちらは、日本基準の会社で言う貸借対照表のことです。当社はIFRSを採用していますので財政状態計算書という名前になりますが、非常に現預金が多くて、自己資本比率も約8割。非常に健全な財務体質であることがおわかりいただけるかと思います。

この現預金は、「IT会社がこれを持っていてどうするの?」ということも聞かれますが、これをずっと持っているつもりはないんです。先ほど言いましたとおり、投資です。対外的に自前主義に陥らず、外のいい人・いい技術でもどんどん取り入れて、大きな成長を目指していく。そのために使っていきます。

未来へ「つなぐ」アステリア

というわけで、当社は「つなぐ」ということを主軸の事業としていますが、「ASTERIA Warp」でシステムをつなぐ。「Handbook」でヒトをつなぐ。そして新製品でモノをつなぐ。さらに、デザインサービスでこれらをスムーズにつなぐことを目指して、次の20年の大きな成長を目指していきたいと思います。

次の20年へ

私の座右の銘は、「The best way to predict the future is to invent it.」。これは、アラン・ケイという人の言葉です。これは、「未来を予想する最善の方法は、それを創ることだ」ということです。IT業界は、それができるんです。アメリカでは、それを達成している企業はいくつもある。私たちは、このIT企業のど真ん中において、これを実現していきたいと思います。

予想するのではなくて、創るんです。未来は予想ではなく、創るもの。では未来とは何で創られるのか? 未来に向けての「夢」、それを実現する「技術」、そして人々に普及する「デザイン」。これの掛け合わせこそが、私たちの社会の未来を創っていくと考えています。ステークホルダーのみなさまとともに、この明るい未来を創る。そして、私たちの成長もともに行っていきたいと思います。

以上で、私の説明を終わらせていただきます。ご清聴いただきまして、誠にありがとうございました。

(会場拍手)

坂本氏より質問

叶内文子氏(以下、叶内):平野社長のお話でした、ありがとうございました。それでは、まずは坂本さんから、機関投資家ならどこが気になりそうかをうかがっていきたいと思います。

坂本慎太郎氏(以下、坂本):ご説明ありがとうございました。アステリアさんは、BtoBの仕事をされている会社を分析するときはなかなかイメージが湧かないところがありまして、調べるのも大変なんです。ですが、みなさんも話を聞いているとおわかりのように、今日のご説明は非常にわかりやすくて、資料もきれいで、たぶん「頭に入ったかな」という方もいらっしゃると思います。

BtoBと言いながら、実はCの商品も若干出ていまして、「lino」という付箋のクラウドソフトがあります。

平野:そうですね。今日はご説明しませんでした。パイロット商品でして、要はお金をいただいていないんです。

坂本:実は、僕はあれを使っていまして、付箋を貼っているんです。

平野:ありがとうございます。

坂本:もし興味がある方は、ホームページからダウンロードして使えますので、やってみてください。

先ほど、「お金がけっこう貯まっています」「自己資本比率が80パーセント前後あります」というお話でした。いいものがあったら買っていくのは、みなさんも今のお話で当然理解できたと思うんですが、「財務の下限の部分を設定しているのかな?」というところが、気になると思うんです。そのあたりをお聞かせいただけたらと思います。

平野:財務の下限というのは、「自己資本比率はどこまで(下げるつもりかということですか)?」。

坂本:そうです。それか、いろいろ御社の中で決めた指標があるのかというところをおうかがいできればと思います。

平野:なるほど、わかりました。自己資本比率は、今は約8割なんですが、こちらは下限ということで決定した数字はありません。ただ、これは大きくなるに従って、だんだん絶対金額が大きくなっていきますから、余力が大きくなって……現時点ですと、5割を切ってもぜんぜん問題ない。4割や3割でも。

例えば、うちはずっと無借金で来ていますから、金融機関さんのご支援というかパートナーシップも取れると考えていますので。現預金が30億円強で、投資に関しては50億円までをマックスで考えていまして、中計でこれを200億円まで大きくする。

これは、単純に現預金だけではなくて、例えば金融機関さんとの協業。こういったものを含めて200億円、米ドルで言うと2ビリオンドルまで手が届くかたちにしたいと思いますので、下限で言うと、それに呼応した数字の自己資本比率は出ると思います。

坂本:ありがとうございます。もう1問ぐらいいきますかね。非常に事業内容は先進的な部分がありまして、個人投資家の注目も高いと僕は思っています。その中で、やはり株式投資のテーマになりやすいRPAですとか、あとはIoTとかがあるんですけど。

その部分で、RPAについて無限の可能性があると思っています。RPAを使った業務効率化の具体例を1つお聞かせいただけたら、みなさんもイメージがふくらむのかなと思うので、よろしくお願いします。

平野:わかりました。今日は時間の関係で、メインのプレゼンでは端折っていたんですが、実はRPAの事例もあります。ちょっと(スライドを)映します。

先ほど、フロントエンドRPAとバックエンドRPAとありました。一般的なことで、実は事例では、例えばフォーバルテレコムさまですとか、あとはベネトンさまです。こういったところが、すでに公開事例としてありまして。

フォーバルテレコムさまの場合には、NTTに「WinActor」というRPAツールがあります。これはトップ2のRPAツールなんですけれども、こちらをフロントに使われています。実際の個人の請求書作成などを、すべて人でやっていらっしゃったことを、「WinActor」で行っている。

「ASTERIA Warp」は、デイリーアクセスです。要は、会社の中のデイリーのアクセス。ここには権限管理もありますし、データの変形・マッピングなどもありますし、あとはメール処理・報告処理。複雑な処理と書いていますが、こういったものを「ASTERIA Warp」で社内システムとつなぐ、基幹システムとつなげたところに使われている例です。

典型的なフロントとバックの協業の例でして、私たち自身はNTTデータさんとだけ組んでいるわけではなく、先ほども言いましたとおり、例えばRPAテクノロジーズさん。こちらも最近上場されましたけれども、こういったところと組んで、組み合わせで本当に仕事の全自動化を図ることを行っています。

ベネトンさんの事例も検索すればわかりますので、「RPAツール ASTERIA Warp」と検索をしていただければ、もっと詳しい情報ですとか、こちらの方の意見などのインタビュー事例なども出ていますので、ぜひご覧いただければと思います。

坂本:ありがとうございます。

叶内:ソフトを買ってきただけではRPAがちゃんと動かなくて、その奥にも会社のシステムとつなぐところがあるということですね。

平野:そうですね。RPAソフトは、買ってきただけではもともと動かないので、設定をする必要があるんです。人のやることを代わりにする設定をした上で、さらに基幹システムの連携などももちろん行うことができます。Excelだとかブラウザの処理を自動化するのが今のRPAですが、組み合わせで使うと、本当に仕事の最初から最後までを自動化して、より働き方改革が短時間でできることにつながると考えています。

叶内:それでは、会場のみなさまからのご質問を受けたいと思います。

質疑応答:ROE改善の具体的な施策はあるか?

質問者1:ご説明ありがとうございました。私もフロントエンドRPAのUiPathの内容を設定しているので、非常にフロントエンドやバックエンドのRPAに大変興味を持ちました。

財務のところで、手元の資料ですとROEが3.5パーセントくらいで推移していて、売上に対する利益がまだ低いのかなと感じています。今後の事業の伸長によって、ここも改善されているのかなと思うのですが、もう少し具体的な施策等があれば教えていただきたいと思います。

平野:ROEに関しては、この中計の中では表に出していませんが、私たちの目指すところは8パーセントを目指しています。施策で言うと、非常に動きの速い領域です。私たちがとくに世界で戦っていく中で、それによって何が起こるかと言うと、非常に速いもしくは大量な投資が経営の中で必要となってくる。

例えば、現時点で新しい研究開発をすべてやめて、投資もやめるとすると、粗利は85パーセントぐらいあります。さらに、もちろん営業利益率は20パーセントなんて楽勝で、30パーセントから40パーセントぐらいあるんです。

でも、私たちがこのまましぼんでいくわけにはいかないんです。世界を目指していきます。世界の同じような企業、AI・IoT・ブロックチェーンを行っている企業と戦って、そして勝って世界中で使われることを目指していますから、複数の領域に投資をしていく。

しかも、これは内部投資だけではなくて外部投資となると、やはりここは相当覚悟を持って投資をしていくということですので、ROEが低いということは、私自身は現時点ではあまり気にしていなくて、将来的にここでがっつり増やしていく。シェアを取ったり市場を取ったりした後には、私たちのモデルですと自動的に数字が上がってくるものになっていますので、そういった点や構造をご理解いただければと思います。

質問者1:ありがとうございます。

叶内:ありがとうございました。1人1つでお願いします。

質疑応答:英国会社買収とブレグジットの影響

質問者2:解説ありがとうございました。私はもう株主なのでアレなんですが、今後も期待しています。あと、質問としては、先ほどの「英国の会社を買収した」というのは、長年株主をしていて初めて知ったんですけれども。今はブレグジットで騒ぎになっていますが、ハードになった場合、御社としての対応は、オランダとかへの脱出を考えているのか、それとも大した影響はないとお考えなのか? そのあたりを教えてください。

平野:ありがとうございます。ブレグジットは、私自身は非常にプラスだと考えています。実はEUは、長年大きな組織でやっていて、ずいぶんとのろい組織になってきているんです。物事を決めることに対して、各国で協議をしていろんな施策をしないといけない。各国に外交の決定権もないです。EUにおうかがいを立てて、すべてをやらないといけない。今のスピードの速い時代にこの大同団結型の組織は、私はだいぶ合わなくなってきていると見ています。

その中でイギリスが抜けて、自分たちで物事を決められて、しかも自分たちで自由に外交ができる。イギリスはもともとコモンウェルス経済圏を持っていますので、そこに対して影響力ですとかネットワーク力は非常に高いわけです。ですから、私はブレグジット後のUKは非常にプラスであると、EUののろい動きに比べれば速く動いて、よりよい国・よりよい経済になると考えています。

一方で、私たちの事業がどうかということに関して言うと、私たち自身の事業に関しては、イギリスの経済がよくなることで、プラスの効果があると思います。ネガティブな効果は、採用の面です。採用の面が、EUから自由に行き来できなくなることで、少しEUの中からの採用は難しくなるかもしれません。

ただ、私たちの(デザインサービス)事業モデルは東京のアステリアと同じで、本当に少数精鋭なんです。工場のように、何百人も何千人もいる必要はないんです。今、ロンドンの人数は30人弱なんです。本当にできる精鋭を数人ずつ毎年採っていければ、非常にいい仕事ができますので、そこもあまり大きな影響がないと考えています。UKのブレグジットに期待していますというのが、私の考えです。

質問者2:ありがとうございます。

叶内:わかりました、ありがとうございました。

質疑応答:RPA連携とユーザーサポートについて

質問者3:お話、ありがとうございました。1点ということで、RPAとの連携のところです。

フロントがカスタマイズが必要なのは僕も知っているのですが、アステリアさんも「どの期間、この項目をこの期間に入れてください」みたいなところは、ユーザーのカスタマイズが必要という認識で合っていますでしょうか?

平野:この絵ですね。「ASTERIA Warp」側も設定をします。「どのデータベースにどういったIDでアクセスする」だとか、「どのクラウドにどういうかたちでアクセスする」という設定をして、動かすかたちになります。おっしゃるとおりです。

質問者3:それのサポートもされているんですか?

平野:実は、私たちはサポートしていますけれども、基本的にこの「ASTERIA Warp」は、すべて間接販売なんです。

絵をお見せしますけれども、最初のこちらです。当社が「ASTERIA Warp」の製品を作っていますが、エンドユーザーさんに直にタッチされているのは、こちらの販売パートナーさんです。NEC本体さん、日立ソリューションさん、パナソニックさん、SCSKさん、NTTデータ各社さんが、設定の作業をされています。私たちは、製品を作っているだけです。

質問者3:ありがとうございました。

叶内:ありがとうございます。

質疑応答:「Gravio」の個人利用は可能?

質問者4:ありがとうございました。IoTをより現実的に理解するには……という話で、坂本さんがおっしゃられた「ホームページ上のサービスを使う」というお話があったと思うんですが、それはどういうことなのかということ。

それから、「Gravio」ですか? クラウドとの中間に置くエッジウェアを月額500円で使えるということでしたが、これは個人でもある程度のことができるのか? 例えば、今は世の中が便利になっていて、スマホで外出先からクーラーを点けたりだとか、あるいは写真なり、そういうデータだとかもクラウドには保存しているんですけれども。そういった面においても、個人でこの「Gravio」を使うことによって……?

叶内:個人でも利用できるかという話ですね。

質問者4:はい、そういうことです。

叶内:社長、どうでしょうか?

平野:ありがとうございます。最初の、「坂本さんのおっしゃった『Webを使う』」というのは……?

坂本:付箋の「lino」の話だったと思うんですけれども。

平野:「lino」の話ですね、わかりました。付箋ってありますよね。普通のポストイット。これがクラウド上にあるんです。(「lino」は)スマホでもブラウザでも使えまして、これはIoTではないんです。すみません。IoTではなくオンライン付箋ソフトで、当社はつながるのがメインなので、複数のところでつながって使うことができる「lino」です。検索していただければすぐ出てくると思いますので、ぜひご利用ください。

次に、「Gravio」のお話です。「『Gravio』はクラウドとの間にあって、個人で使うことができるか?」。これは、個人でお使いいただけますが、現時点ではいろんなホーム機器の制御はできないんです。

なぜならば、これはP社さんでもH社さんでもそうですけれども、基本的にそういうつなぎ(の仕様)をオープンにしてらっしゃらないので、私たちの製品では通信手順とかがわからないので、制御ができない。なので、(ホーム)は現時点で抜いています。先ほど言ったオフィス・ショップ店舗、そして学校。そういうところで気軽に使うことを想定してください。

質問者4:ありがとうございます。

叶内:ありがとうございました。今日はIT系に詳しい方が多そうですが、もしかするとそういうものがあまり詳しくない方もいらっしゃるかもしれないので、その方々のために説明していただきたいと思います。「デザイン」という言葉がよく出てきて、キーワードに入ると思うんです。

平野:入ります。

叶内:よく変わったデザインとはだいぶ違うと思うんですが、「デザインサービス」とはどういうことか、教えていただけますか?

平野:同じ絵(T-Mobile事例のスライド)を使いますが、デザインサービスは、T-Mobileさんは大企業で各事業部門もいっぱいあるわけです。これまでは事業部門ごとにデジタル化されてきてました。事業部門ごとにWebサイトを立てたり、ECをやったりアプリを作って配ったりされて、ショップをやられています。使い勝手もそれぞれです。

ところが、このデジタルトランスフォーメーションは、企業全体のデジタル基板に載せましょうという動きなんです。デジタルを使うだけではなく、企業の基板としてデジタルに持っていきましょう。そうすると、各事業部門でバラバラな使い勝手だったり、設計思想だったり、こういうものを合わせていくことが必要で、そこの戦略が必要なんです。

やはり社内だけだと利害、もしくは意見が違うのでなかなかうまくいかない。こういうものを従来よくやっていた、経営戦略コンサルという企業があります。ボストンコンサルティングだとかマッキンゼーだとか、こういったところがやってらっしゃったんですが、その中のデザインに特化した領域を私たちがやっています。

デザインを全社でどういう統一デザインにするか、どういうソフトウェア基盤にするか、クラウドにするか。こういったことを含めて、しかもこれまでの経営コンサルの人たちはプレゼンで作戦を授けて終わりだったんですが、私たちはここに必要なデザインのファイルだとか携帯のアプリのプロトタイプだとか、ECサイトの動くモックアップ。こういったものまで渡して、確実に使えるようにすることをやっています。

日本のデザイン会社って、ほとんどみなさんは絵の下請けなんです。絵を描く下請けで、多分粗利が2割もない。私たちは、実はこのデザインコンサルはまさに、構造としてはボストンとかマッキンゼーのようなものを持っています。粗利は6割を超えています。

非常に高度な上流でのコンサルティングを行っていて、しかもアウトプット……データとかファイルもあるというものなので、こういうことができます。よろしいでしょうか?

叶内:わかりました。あともう一人、お願いいたします。

質疑応答:海外売上の内訳について

質問者5:ご説明ありがとうございました。海外売上についてです。現状、このデザインサービスがほとんどと考えてよろしいんでしょうか?

中計で現状は40パーセント、中計最終年度では50パーセントという伸びですと、デザインサービスがほとんどなのかなということかもしれません。

平野:おっしゃるとおりです。外はこれまでもやってきて、(ソフトウェアの売上は)ゼロではないんですが、デザインサービスが入ってきて大きいものですから、現時点ではほとんどという言い方が合っていると思います。

質問者5:ありがとうございます。

叶内:ありがとうございました、非常によくわかりました。あらためまして、本日ご説明いただきましたのは、アステリア株式会社代表取締役社⻑/CEOの平野洋一郎さんでした。ありがとうございました。

(会場拍手)