2019年3月期第2四半期決算の概要

枝廣弘巳氏:おはようございます。枝廣でございます。今日は私どもの決算説明会にお越しいただきまして、誠にありがとうございます。お時間も限られておりますので、早速ご説明に入らせていただきたいと思います。私は2019年3月期第2四半期の決算概要と2019年3月期の見通しについてご説明をさせていただきたいと思います。

第2四半期の概要です。流通改善ガイドラインを遵守した単品単価交渉に努めるとともに、緊急・頻回配送の改善に取り組んでまいりました。その結果、売上高、営業利益、経常利益、当期純利益の全項目を計画達成することができました。

東邦HD 連結 P/L

数字については、発表済でございますので、みなさんはご存知ではないかと思います。売上高は5,936億3,500万円。前同マイナス0.39パーセントで、計画比102.53パーセントとなりました。営業利益は48億400万円。前同マイナス11.98パーセントですが、計画は114.38パーセントでした。四半期利益は49億4,300万円。前同マイナス3.68パーセントですが、計画は117.69パーセントという内容でございました。

東邦HD 連結 B/S

B/Sです。流動資産は4,612億9,500万円、固定資産は2,007億1,000万円ということで、資産合計は6,620億500万円です。資料のとおり固定資産が126億3,500万円増加していますのは、投資有価証券が増加したということでございます。

つまり、株価の上昇が主なる原因でございます。固定負債が218億円増えているのは、社債が185億3,300万円増加したということでございます。これはユーロ円CB200億円のものを発行したこと等による増加でございます。

キャッシュフローの状況

キャッシュ・フローについてです。全体を見ていきますと、昨年の第2四半期613億円6,000万円に比べまして836億6,200万円ということで、期末の現金残高が200億円近く増えています。これは月末のお休みの関係がございまして、支払いが翌月に伸びたものを控除しますと836億円が660億円ほどになりますので、50億円弱ぐらい増えたことになろうかと思います。

販売管理費の前年同期比分析

販管費についてです。販管費は2億円減少ということで、少しは減ったんですけれど、昨年とあまり変わらりません。人件費は昨年と同額でございます。その他の部分で2億円ほど減ったという内容でございました。

設備投資と減価償却費

設備投資と減価償却費です。第2四半期における設備投資の実績は10億6,800万円でした。(内訳として)広島物流センターが3億2,500万円、「ダイナベース」が1億4,700万円、営業所1億900万円、その他4億8,700万円という状況でございます。

「ダイナベース」については40億円を予定していますが、まだそこまでお金がかかっていない段階かと思います。営業所・その他の新築も相当計画はしていますが、半期では進んでいないと言いますか、お金をそれほど使っていない状況でございます。

新しい高機能物流センター

TBC広島が今月稼働いたしました。それから「ダイナベース」は東京に計画をしています。これにつきましては、最後に私どもの会長の濱田から詳細をご説明させていただきたいと思います。

医薬品卸売事業 P/L

卸と薬局事業に分けたP/Lでございます。医薬品卸については売上が5,712億4,300万円、前同比はプラス0.11パーセント、計画比は102.93パーセントとなりました。営業利益につきましては54億9,800万円、前同比はプラス9.94パーセント、計画比は114.54パーセントという内容でございます。

後ろ(オレンジの枠内)が年度計画でございます。年度計画に対しては5割弱ぐらいの進捗率と言いますか、いつも計画が年の前半より後半のほうが少し大きいので、その通りで進んでいるとお考えいただいてけっこうかと思います。

ギリアド社さんのC肝につきましては、昨年度が136億円だったんですが、今年度は33億円ということで、100億円強が減っています。それ以外が5,570億円から今年は5,679億円で、ギリアド社さんのC肝薬以外は2パーセントぐらい伸びています。

当社が1社~2社の限定で扱わせていただいている商品について、ギリアド社さんのC型肝炎治療薬2剤を除いた金額は、昨年297億円だったのが今年は364億円ということで、だいぶ伸びてきていることがお分かりいただけるのではないかなと思います。

カテゴリー別の状況と妥結率

カテゴリー別の状況と妥結率です。資料のようになっておりまして、新薬創出加算対象品が増えてまいりました。長期収載品が減ってジェネリックがやはり増えてきている状況でございます。9月末の妥結率は金額ベースで91.7パーセント、軒数ベースで69.6パーセントです。

調剤薬局事業 P/L

調剤薬局のP/Lです。調剤薬局は455億円の売上で計画比99.84パーセント、前同比マイナス5.76パーセントです。調剤報酬等の改定等の影響を受けまして、大きくマイナスとなりました。営業利益が2億100万円という内容で改定の影響を大きく受けているのが実情でございます。

東邦HD連結 2019年3月期見通し

今期の見通しでございます。資料の数字は期初に発表させていただきました計画を変更しておりませんので、計画通りの内容になっております。売上が1兆1,950億円、営業利益が121億円、純利益が101億円という内容でございます。

医薬品卸売事業 2019年3月期見通し

医薬品卸につきましても、変わっておりません。1兆1,450億円の売上で、営業利益120億円、当期純利益105億円という内容でございます。

調剤薬局事業 2019年3月期見通し

調剤薬局につきましても同様です。930億円の売上で、営業利益23億円の計画でございます。

2023年満期ユーロ円CB発行(2018年6月7日公表)

ユーロ円CB発行しましたものが200億円のものを発行いたしました。物流センターに100億円、自己株取得に100億円で発行いたしまして、ゼロクーポン債による低コストでの資金の調達とか、物流センターを建設することで、収益性の向上とともに得意先の効率化を実現します。

災害時にも安定供給できる体制を構築しようということで、物流センター「ダイナベース」にお金を使おうということと、自己株式を取得しようということでございました。これも順次進んでおります。

配当について

配当でございます。これも年初に発表した通り、(中間)15円(期末)15円で年間30円の配当とさせていただきたいと思ってございます。

以上でございます。よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

(1)流通改善への取り組み

馬田明氏:みなさんこんにちは。馬田でございます。よろしくお願いいたします。

まず、流通ガイドラインが走りましたので、この上期については流通ガイドラインを遵守するという活動を中心に行わさせていただきました。とくに単品単価契約の推進については、より力を入れて活動をさせていただきました。

単品単価と申しても、この定義についてはいろいろ解釈があると理解しております。私どもからすると一品ごとに「原価意識」と「オンコスト」を中心にお得意先さまと交渉をさせていただきました。これについては、継続して年間でしっかりとガイドラインが達成できたという方向に下期も取り組んでまいりたいと思っております。

(2)社会的要請から外れた緊急配送削減への挑戦

緊急配送です。ガイドラインで頻回配送であったり急配の回数やコスト負担がございました。昨年濱田会長からここの部分について、しっかりと取り組むようにということで、準備をしてまいりました。したがって、こちらについては私どもの自社系列の薬局317店舗に対して、私どものシステムであるENIF本部システムを使いまして、処方データを利用した、自動発注による配送回数の削減を行いました。

資料の通り、1週間あたりの配送回数がこの317店舗の中で3,082回ございましたけれども、実施後に846回ということで改善率が73パーセントまで削減できました。151店舗で対応していますので、逆に週1回もしくは週2回という配送ですと、約50パーセント弱のお得意先について、毎日数回あったものが週2回の中で半分が収まってきたということです。

下期につきましてはより中身を精査して、残りの50パーセントについてどうしていくのかということで、私たちのこの本部システムがより普及して、私たちの自社店舗でなく、幅広いお得意先さまにご利用いただけたらと考えております。

(3)営業体制の強化:北陸東邦

2018年10月1日に北陸三県(富山・石川・福井)を「北陸東邦」ということで発足させていただきました。北陸東邦のコンセプトになりますと、顧客支援を軸にお得意先さまにそのサービスを通じ、北陸三県の中できめ細かい営業活動をしっかり行っていきたいと考えております。

(4)顧客支援システムの更なる拡大①

顧客支援システムです。上期につきましては、Meissaで11億8,000万円、顧客支援システムで15億5,000万円ということで、上期は27億3,000万円です。下期が30億7,000万円の計画ですので、年間通して18億円の顧客支援システムとしての利益を見込んでいます。

(4)顧客支援システムの更なる拡大②

代表的な私どもの顧客支援システム実績についてです。ENIFvoiceシリーズがSPからSP+Aということと、クラウド側のCoreでお得意先さまから引き合いというかニーズも非常に高まっております。

とくにSP+Aに進化することで、音声辞書がSPのときは5万7,000語だったものが、SP+Aで14万語と2.5倍に広がっています。

その用語については在宅用語であったり栄養指導用語、固有名詞、地名、病院さんなど、さまざまな部分の用語が音声辞書として追加されているということで、非常に評価をいただいております。また、ENIFvoice Coreということで、自動音声認識で電子薬歴一体型ということで、Coreについても(評価していただいています)。それらを合わせると9,681台でございます。

「初診受付サービス」では、まもなく1万件に迫る勢いがあるということです。また、「病院なび」については22万軒のお得意先さまのデータがあり、10月には1,155万8,908回訪問していただいていますので、下期もこの3つを中心に、引き続きそのほかのシステムに対応していきたいと思っております。

私からは以上でございます。

(5)共創未来ファーマ製品の拡充とジェネリック医薬品の集約化 :共創未来ファーマ

有働敦氏:有働でございます。初めに共創未来ファーマにつきましてお話をさせていただきます。共創未来ファーマは、2016年11月に2成分3品目でスタートさせていただき、2018年10月現在は34成分74品目まで拡大を図ってまいりました。

この度、富士フイルムファーマさんのジェネリックからの撤退を受けまして、富士フイルムファーマさんがお取り扱いをされておりましたジェネリック品を共創未来ファーマで引き継がせていただくことになりました。来年の4月にはご覧のように73成分156品目となる予定となっております。

共創未来ファーマの最大の特徴として、「高品質のジェネリック医薬品をお届けする」ということで、全品目自社で品質の試験をしております。このことが非常に評価をいただきまして、わずか2年足らずの間に、これだけ少ない品目ということもある中で、ご覧のように307病院の大病院さまで共創未来ファーマの製品をご採用いただいているというところまで成長してまいりました。

(5)共創未来ファーマ製品の拡充とジェネリック医薬品の集約化 :薬局共創未来

薬局共創未来の会員さまの推移の表でございます。今年の10月末現在で6,994法人、1万9,344店舗まで拡大してまいりました。

ご存知のように薬局さまの経営が非常に厳しくなってきた中で、ジェネリックや顧客支援システムの共同利用も含めて、これからさらに我々は会員のみなさまとの関係の強化を進めていきたいと考えております。

(6)調剤薬局事業の機能強化

調剤薬局事業の関係強化ということで、我々はやはり地域包括ケアへ積極的に関わっていくことが非常に重要なことだと考えております。

我々のファーマクラスターの特徴といたしまして、地域密着型の薬局が非常に多くなっております。我々といたしましては、患者さんの近くにある健康サポート薬局で、いわゆる在宅であったり地域連携を図ってまいりたいと思っております。

50人を超える管理栄養士が我が社におりますので、管理栄養士の適切な栄養につきましても、これからさらに広げていきたいと思っております。

毎回これもお話ししますが、在宅に進んでいきますと、どうしても医療材料の問題が出てまいります。我々は医療材料の分割としてENIFmeを持っておりますので、こちらをさらに進めていければ地域包括経営の中で我々がお役に立てるポジションに入れるかなと考えております。

(7)成長のための新たな取り組みと事業戦略を支える グループインフラ①

スズケンさんとの顧客支援システム等の共同利用につきまして少しお話をさせていただきます。

今年の7月24日に基本合意書を締結いたしました。当社の在庫管理・受発注・音声による薬歴管理作成システムについて適切な対価をベースにスズケンさんと共同利用することについて合意いたしました。11月から、スズケンさんのいわゆる子会社の薬局さまに、我々の仕組みが入っております。

(7)成長のための新たな取り組みと事業戦略を支える グループインフラ②

もう1つの後発医薬品・スペシャリティ医薬品につきましては、新たな流通モデルの共同展開について現在両社で協議を開始する予定となっております。こちらは11月1日にノボ ノルディスクさまから 「レフィキシア®」という血友病B治療薬が発売になりました。こちらの製品を共創未来グループ1社で今回受託をさせていただきました。

我々が選ばれた理由としては、ご覧の搬送装置「サルム」という小さなボックスがございます。こちらのボックスは、いわゆる搬送に7時間はこのまま充電で温度管理ができます。そして、医療機関に着いたときには、コンセントを差していただくと、管理した温度をそのまま維持できます。

どういう状態で管理をされているかということが、すべてトレーサビリティで管理ができているということで、ノボ ノルディスクさまは非常に高いご評価をいただきまして、こちらの装置を使っての1社受託が今回実現いたしました。

我々がこれまでご提供させていただいてきました顧客支援システムは、医療機関さまであったり、調剤薬局さま・患者さまにいたるまで、非常に高い評価をいただいております。

そういう意味では、例えば、受発注のENIFで言いますと、現在3万4,000台近くのものが今も稼働しているというようなご評価をいただいているわけですが、その背景といたしましては、我々の自社グループ内で多くのものが自社開発されていることが、我々の大きな強みだと思っております。

(7)成長のための新たな取り組みと事業戦略を支える グループインフラ③

我々の強みのグループ会社を今回少しご紹介させていただければと思っております。

東邦システムサービスにつきましては、SEが70名以上いるということで、本当にシステム会社です。こういうところで我々のソフトの開発であったり、我々の基幹システムについても管理をしています。ご覧のような基幹システムのあとで物流システムの管理・運営をしております。

ネグジット総研につきましては、いわゆるコンサルティング事業であったり、セミナーの開催。先生方(ドクター)・薬剤師さんのアンケートもやっております。また、レセプト処理に関わるソフトウェアの開発・販売をしております。

オーファントラストジャパンにつきましては、先ほどご説明させていただきました「レフィキシア®」も含めて1社流通の窓口となって活動させていただいております。

アルフにつきましては、先ほどENIFの話もさせていただきましたが、いわゆるハンディターミナル、スマートデバイスであったり、予約診療システムであったり、FAXの送信システムであったりというようなものの開発を手がけていただいております。

eヘルスケアにつきましては、先ほど馬田からもお話がありましたが日本最大級の医療検索サイトの運営ということで、毎月4万7,000人近い方々に初診の受付をしていただいている仕組みのベースとなっております。

東京臨床薬理研究所は、フェーズ1の支援、治験事務局の支援、CRCの業務というようなことで、我々のグループの中でかなり幅広い範囲で、医療に関わる部分に我々独自の開発ということで進めております。これからもこういう関係会社が我々の強みになってくると思っておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。

私からは以上になります。ありがとうございました。

社会的使命を果たすための物流イノベーション

濱田矩男氏:弊社としては、今後のことも含めていろんなことに取り組んでいます。私からは今回新しくいろんな試みをさせていただいた部分について、ご説明させていただきたいと思っております。

私も長年東邦薬品の社員としてずっとやってまいりまして、いろんな災害や事件に関わって体験をしました。私が一番きちんと知っておかなければならない(と思っている)のは、やはり日本が災害のもっとも多い国であるということです。

(災害の多さを)ここ何年かで再認識しました。いろんなケースが想像できるわけですが、東邦ホールディングスとしていろんな角度から考えて、高度な物流機能をしっかりさせなければならないと再認識しまして、それに取り組んでいるところであります。

いろんなかたちで正確性、トレーサビリティ、事業継続、品質の確保について、卸の立場としてもきちんとやれることはないだろうかと、ずっとやってまいりました。

その中でMSによる得意先への付加価値の提供については、「もう一度再考したい。(それが)社会的要請である」と私は思っております。

(1つには、)医療コストです。つまり弊社の人間が1つの得意先に3回~5回も配送して、それが習慣になっている部分について、これを変えられないかと考えております。また、労働力の確保などについても社会的要請として、考えるべきだろうということです。

その中で東邦ホールディングスとしてはロボットを活用した物流の自動化や、NO検品(納品の際にお持ちしたものはすべて正しいということで、1つ1つ読み上げて検品する必要はないこと)に挑戦しよう。そんなことをいくつかやっております。

その中で言いますと、点数などにかかわりなく顧客が「やっておきたいこと」「やりたいこと」「ここではできないけれども全体としてはこうしたいということ」について、開発を進めてまいりました。

得意先に対して私どもが業務改革ができることについて、確信を持ってやっております。今回はとくに配送の回数をもっと少なくできないかということを考えまして、「まずチャレンジしよう」ということでやっております。

その次は、「業界全体で物流に対する考えを変えていかなければならない」ということで、みんなもわかってはいるんですけれども、ついつい目先の競争でいろいろやっている部分について、変えていきたいという……ある意味では大それたことかもしれませんが、そういうことを考えています。

東京・埼玉・岡山でやってきたわけですが、広島に新しい高機能の物流センターを作りたいということで、今月の初めにスモールスタートしておりまして、広島県全体ではもう始まっています。その中で問題なくスタートできております。

ちょっと自慢をさせていただければ、当社は物流センターをスタートさせたときにトラブルがあったことはまずありません。ここから先、NO検品などの部分を含めまして、四国や九州の大規模な得意先については、そこから配送をする予定です。再配送コストはかかるわけですが、その部分を現地で人手を調達するなどして、得意先にNO検品で、検収の時間帯がなくなるようなかたちにしようとしています。

これについては本年中にその一部をスタートさせて、来年の3月に向けてかなり高度化したものにしていきたいということを考えております。

もう1つ、東京都の中に非常に大規模な物流センターを建設しようということで、建物ができあがりました。現在、内部について取り掛かっております。進めていく中で「もっとアレもしたい、コレもしたい」ということで少し遅れ気味ですが、そういう中で新しいチャレンジをしていきたいと思っております。

私どもは医療用薬品だけでなくて、検査薬であるとか、いろんな薬にともなう向精神薬・麻薬など、輸液も含めてどういうあり方が一番効率的であり、そして弊社にとってもプラスになることなのかを考えて、一生懸命チャレンジをしています。

その中でできれば共同配送などのきっかけになるようなことができたらと思っております。こちらは薬機法など(の問題が)いろいろありますので、そちらをクリアしていかなければならないということで、まだまだ難題が残っています。

このあたりのところについても、近い将来……数年のあいだに実現できればということで、コストのかかる人件費なども含めて挑戦していきたいと考えております。

埼玉についてご覧いただいた方もあると思いますが、3年半ぐらいで一応クリアすることができましたので、この件につきましても、非常にコストはかかりますが、10年・15年(というスパン)で、同等ぐらいを回収できるようにしたいと思っています。

以上です。