業績ハイライト
齋藤茂氏(以下、齋藤):みなさん、本日はよろしくお願いいたします。本日は、まず2018年8月期の決算概要、次に今後の成長戦略、最後に2019年の8月の通期業績予想を発表したいと思います。よろしくお願いします。
2018年8月期の業績ハイライトについてご説明をさせていただきます。スマートフォン向けのゲームの運営売上が予定通り大幅に伸長しました。しかしながら、開発中止案件も発生し、また販管費の増加もございまして、減収減益になりました。
採用と教育、研修にかなり力を入れまして、販管費の増加が大幅に上回っております。開発終了した案件の運営が次々と続いておりまして、こちらは伸びたということでございます。
デジタルエンタテインメント事業(売上構成)
次にセグメント別の状況についてご説明をさせていただきます。主力のデジタルエンタテインメント事業についてです。スマートフォン向けゲームの運営業務に人を投入したということもありまして、モバイルコンテンツは51.6パーセントまで、パーセンテージが上がりました。
ゲームソフト関連は開発依頼のスマートフォン向けゲームに人を回したということもあり、40.2パーセントまで減りました。パチンコ・パチスロ関連は規制強化が続いており、中々厳しい受注状況が続いております。こちらは長期にわたって減収の傾向があるというところで、どちらかというと人員もスマートフォン向けゲームに回しています。
セグメント別概況
金額ベースの話に移ります。デジタルエンタテインメント事業については、先ほどご説明したとおりです。その他事業は新規案件の受注が低調になりました。東南アジア向けコンテンツについては、先行投資をいろいろやっていたのですが、費用が減少したということで、営業損失の幅は縮小しています。
フィリピンの会社は東南アジアの市場も狙っていたのですが、中々伸びてきません。有料会員、こちらがみなさん無料でやっていて、お金は出さないという傾向がございました。どちらかというと本体が忙しいので、そちらの開発人員として仕事をしていくということで、今人材研修もやっており、我々の仕事の依頼先としてこれから伸びていく見込みです。成長戦略は渡辺から説明させていただきますので、よろしくお願いします。
中長期的な企業価値と資本効率の向上に向けて
渡辺康人氏:今後の成長戦略につきまして、私からご説明申し上げます。当社グループは2016年8月期より3ヶ年で中期経営計画を立ち上げ、サービス業務の拡大、グローバル化推進、サービス分野の拡大および収益基盤の拡充という4つの重点施策に取り組んでまいりました。しかしながらスマートフォン向けのゲームへの対応などは堅調に成果は出ましたが、中期経営計画の目標数値としましては、ROEを含め未達となりました。
この点を踏まえまして、今後の激変する環境下において常にお客様から必要とされ、持続的に企業価値と資本効率を向上させるため、「永遠に続く会社づくり」を目指す、「縁の下の力持ち」の企業としまして、これまでに比べて現実的な中期経営ビジョン「NEXT 2021」をこの度策定いたしました。
2021年8月期までの3年で、まずは基盤となる組織体制の確立、次世代を担う人材の育成、培った技術や情報を効率的に活用する仕組みづくりに取り組みつつ、お客様のご期待に応える高付加価値サービスを提供し続けることで、持続的な安定成長を図ってまいります。後ほどご説明いたしますが、持続的な成長に向けて3つの組織戦略、2つの事業戦略を重点施策として掲げ、推進していく所存です。
外部環境と取り組むべき課題
まず当社が認識する外部環境と取り組むべき課題についてご説明いたします。当社グループを取り巻く外部環境は、ご覧の家庭用ゲーム市場、スマートフォンゲーム市場、それから業界動向の3つに分けて認識しております。取り組むべき課題は、下段のとおり、組織面と事業面の2つに分けております。
組織面につきましては、会社の持続的な成長のため、必要な新しい技術を的確に取り込み、効率を上げていけるような、より充実した組織体制の確立が必要と考えています。先行きが不透明な時代に入り、さまざまな判断が過去の経験をそのまま生かせず、判断のスピードも要求されます。そのような時代を担う人材の育成が必要と考えています。
ゲーム業界は対応すべき技術分野が広がっています。一方でより多くのユーザーを開発タイトルに惹きつけるために、市場やユーザーの情報を今まで以上に取り込んで開発していかなければいけません。培った技術や収集分析した情報を効率的に開発現場に提供できる仕組みづくりも必要と考えております。
そして事業面につきましては、「プレイステーション5」などの高性能・高精細の次世代ゲーム機や、新たなプラットフォームが登場すると予想される中で、それらの技術への対応が重要です。また、ビッグタイトルやヒットタイトルを生み出すには、開発もマーケティングもプロモーションを含めた一体的な取り組みにより、ワールドワイドユーザーを獲得するようにしていかなければいけないと考えております。このような課題に対する当社の組織戦略と事業戦略は次のページよりご説明いたします。
中期経営ビジョンNEXT2021-組織戦略①
組織戦略1です。「顧客視点に立った開発・運営サービスの提供を可能にする組織の再編成」に取り組みます。ソーシャルゲームの発展やユーザーによるネットでのゲーム情報の交換などが盛んになってきていますので、これまで以上に市場やユーザーの動向に注目しています。
ですから、私たちも市場やユーザーの動向を捉えて、柔軟でスピーディな判断をし、対応できる開発チーム、運営チームが必要と考えております。それを実現する新しいプロジェクト管理制度を確立していきたいと思っております。これまで複数のチームを横断的に監督するさまざまな職種の管理者が複数チームの管理に関わっていましたが、判断が遅れたり、判断が甘かったりする面もありました。
現在は、プロジェクトマネージャーとそれを支えるディレクターで管理をし、機動的なチームに変えることを目指しています。この展開につきましては、今期より行っておりましたが、今後は軌道に乗せまして効果を出していきたいと考えております。また技術研究と取得、業務の効率化の推進はこれまでどおり事業部門全体で実施しますが、もう少し明確に分担を決め、取り組んでいきたいと考えています。
(例えば)そうした情報はシステムサポート室で管理しまして、事業部門間の進行の調整を行います。また、新技術の研究や業務の効率化策の結果については、システムサポート室を通じて事業部門全体に展開させていきたいと考えています。また研究開発活動を充実させるために、研究開発の専門チームを新設していきたいと考えております。
中期経営ビジョンNEXT 2021-組織戦略②
続いて、組織戦略2です。次世代を担う開発スタッフ、経営マインドを持った人材の育成に取り組んでまいります。開発スタッフは在籍する部門やスタジオにより、開発対象のプラットフォームや開発環境の違いなどから、取得している専門知識やスキルに違いが生じています。
家庭用ゲームのネット化、モバイルゲームの高度化で、他部門やスタジオが保有する専門知識やスキルが必要とされることが非常に多くなってきています。互いに持っているものをうまく交換したり、補完したりしあいながら、次世代の開発に対応していきたいという考えです。
また、若手社員が早く一人前となり活躍してもらえるように、開発運営業務の標準化を浸透させていきたいと考えています。さらに、中堅社員への教育も充実してまいります。課題分析・解決・ビジネスプランニング・経営マインドを早めに取得してもらいまして、複雑化する開発業務に対しても柔軟に取り組めるようにしてまいります。
そして、若手からベテランまでがしっかりと開発に取り組んでもらえるように、技術スペシャリストのキャリアプランを再構築していきたいと考えています。
中期経営ビジョンNEXT2021-組織戦略③
最後に、組織戦略3です。海外子会社を中心としたグローバル化の推進に取り組みます。先ほど会長の齋藤より話がありましたとおり、TOSE PHILIPPINESは設立当初から、東南アジアでスマートフォン向けのカジュアルコンテンツを配信する事業に取り組んでいました。
しかしながら、例えば海賊版の取り締まりがしっかり行われているか、ポストペイでのユーザーが遊ぶ環境が整っているかといった、東南アジアでの事業環境がまだ(整備されていない)ということでもありまして、いったん同事業は中断しています。
近い将来、この事業環境が整ったときには、東南アジアでももっとリッチなコンテンツが遊ばれていると想定しまして、2018年8月期は日本本社が行っているような高度な開発業務の受託ができるように、技術者のトレーニングをしていました。来期2019年8月期は、日本からフィリピンへの発注を増やしまして、(技術者を)より実践的な開発に積極的に活用することで、しっかりと開発力・技術力を向上させていく所存でございます。
そのため、この9月より、これまでTOSE PHILIPPINESを管轄し、東南アジア向けのコンテンツ配信事業を担当していました海外事業部を廃止しています。そして海外子会社向けに、日本本社の開発業務を円滑に発注・調整する海外開発サポート室と、TOSE PHILIPPINESの会社運営体制・開発体制を整備する海外事業推進室を新たに設置しています。
これらにより、2018年8月期、TOSE PHILIPPINESの経営状況を大幅に改善しまして、中期的にはグローバルな事業体制の一役を担うようにしていきたいと考えています。
中期経営ビジョンNEXT2021-事業戦略①
事業戦略1です。まず、サービスの高付加価値化による収益基盤の強化を推進いたします。先ほど経営戦略1でご説明しましたように、私たちは市場やユーザーの動向を捉えて業務にあたることが非常に重要になっています。そのため、グローバル視点に立ち、マーケティングおよびプロモーションを含めたビジネスプランの提案を実行するとともに、コンテンツ開発にとどまらない運営・サーバー・インフラ開発の技術力向上を推進してまいります。
冒頭に申し上げましたように、過去3年の取り組みにより、スマートフォン向けゲームの開発につきましては顕著な成果が上がってまいりました。一方で、運営につきましては、まだまだ課題がある状況だと考えています。この点につきましては、現在スマートフォン向けゲームの運営において、新たに分析チームを設置し、ゲーム内でのユーザーの動向を詳細に分析しています。運営力の向上はもちろん、マーケティングやプロモーション、ひいてはコンテンツの開発に生かす取り組みを開始しています。
中期経営ビジョンNEXT2021-事 業戦略②
続いて、事業戦略2です。技術進歩・外部環境を適切に捉えた既存事業の技術の向上や、新規事業分野への進出に取り組んでまいります。次世代ゲーム機・4k/8kの環境で強まるリッチコンテンツ化に対応しました開発体制を構築するとともに、AI技術等を活用した業務の効率化、例えば自動化ツールやデータ自動生成ツールなどの活用、AIを活用した新事業分野への進出を推進してまいります。
また、IoTやAIの進展で、今後収益性や将来性の高い事業が生まれてくることが想定されます。そうしたときには、既存事業も収益性に変化が出てくると考えられます。そのような場合でも、経営資源の戦略的な配分をしっかり実行していけるようにしてまいりたいと思っています。
以上が、新たに策定いたしました中期経営ビジョン「NEXT 2021」でございます。当社は1979年に創業し、来期で40年を迎えます。新たな40年への第一歩を踏み出すべく、激変する環境のもと、常にお客さまから必要とされ、持続的に企業価値と資本効率を向上するため、全社一丸となって組織戦略・事業戦略を推進してまいりたいと思っています。
業績予想ハイライト
齋藤:それでは、事業予想を発表したいと思います。まず、売上高・営業利益ともに15パーセント超の成長を見込んでいます。予想は売上53億2,700万円で、営業利益は2億7,100万円、経常利益は3億3,200万円、当期純利益は1億9,200万円となっています。
2019年の8月は、ロイヤリティ売上の数字について、あまり多くは設定していません。2018年の8月期につきましては、レベニューシェアのヒットを前提にかなり目標を高く設定していたところもございますので、今期は手堅く置いています。翌2020年には、またいくつか対策ができあがってきまして、レベニューシェアも入ってくると思われますが、まず2019年については手堅くいきたいと思っています。
デジタルエンタテインメント事業(予想売上構成)
デジタルコンテンツ事業の今後についてです。主力に置いているモバイルコンテンツ開発は、引き続き重点的に(売上を)伸ばしていきたいと思っています。したがって、来期以降も伸びていくように準備をしています。全体のパーセンテージとしては53.1パーセントになる見込みでございます。こちらはこれからも上がっていくと予想をしています。
開発タイトルの見通し
次に開発タイトル数です。通期で16本の開発を予定しています。スマートフォン向けゲームやSwitch向け案件の引き合いも引き続きございますが、スマートフォンが主力になっていくということでございます。もちろん、運営サイトは26サイトということで、安定的な収益も目指したいと思っています。
大型プロジェクト
件数自体は横ばいですが、3億円以上の大型タイトルが増加をして、売上高は復調の見込みです。内容がどんどん大型化をしていきます。2018年には、開発中止や開発延期もありました。メーカー(側で)も見直しや中止が発生しました。しかし、どんどん大型になっていくということで、だんだん感覚がわかってきたこともあり、これからはそんなに中止は多くならないのではないかと思っています。
株主還元
来年で40周年になりますが、配当につきましては、会社設立以来、配当方針は安定配当です。40年間配当を続けていくという方針をもって、(来期は)25円という配当を続けていこうと考えています。
以上です。ご質問につきましては、席で受けたいと思います。よろしくお願いいたします。