IRセミナー

武永修一氏(以下、武永):みなさま、こんにちは。オークファン代表の武永と申します。個人投資家説明会は実に5年ぶり、2回目となります。

まず、aucfanというサイトを見たことがある方はいらっしゃいますか。大きな会社……例えばカカクコム様などはたくさんの方の手が挙がるのですが、当社の場合はあまり手が挙がらないときもあります。しかし、今日は予想より多くの方が手を挙げてくださって、ありがたいなと思います。

当社は、2013年にaucfanという、いわゆる価格比較サイト(を運営する企業)として上場しました。しかし、初期よりもだいぶ(事業の)内容が変わっておりますので、最初にそういったことをお話しします。

(今回使用する資料は)5月に発表した中間決算の資料ですが、そこからのアップデートもありますので、お話しさせていただければと思います。

まず、みなさまのお手元に緑の袋があると思うのですが、これは僭越ながら、雨の中、会場まで足をお運びいただいたみなさまに対するプレゼントです。実は、当社が数多く扱っている商品の一部です。例えば、(袋の中の)ゼリーを手に取っていただくとわかるのですが、一流メーカーのゼリーでございます。ぜひご自宅で食べていただければと思うのですが、賞味期限を見ていただくと今年の10月です。

品質にはまったく問題がないのですが、10月になってしまうと、あと残り1ヶ月ほどということで、コンビニなどには並べられないのです。我々はこういったものをメーカー様から非常に安く買い取らせていただいて、それを社会貢献と会社の利益を両立させるかたちで(提供するという)新しい取り組みを行っております。それについてもご説明いたします。

中期経営計画 ~「DASH!2020」~

まず当社は、中計を策定して、それに向かって取り組んでいる最中です。中計が何かといいますと、この図のように2020年に売上100億円超、経常利益15億円超、当期利益で2桁億円を目指していきますということで、3年前に策定しました。ちょうど今は、中央の(グラフ、売上高)60億円、(経常利益)4.5億円という水準に向かって事業を進めている最中です。

この数字だけ見てしまうと、(売上高)100億円、(経常利益)15億円はけっこうハードルが高いという印象を受けるかもしれません。のちほどお話ししますが、戦略面について、3年後にどういう会社になっているかというところについては、アウトラインが決まってきたのかなと思っております。

その戦略に沿って、会社の核……当然、売上や利益を含むものなのですが、どういった事業体でありたいかということについて、(そうあるために)必要な要素はだいたいそろってきたのではないかなと思います。ただ、その整理・統合について、順調なものもあれば、一部出遅れているものもあります。

数字に関しましては、上半期は非常に出遅れておりまして、このままでは通期の達成どころか黒字も難しいのではないかという厳しいご意見もいただいております。そちらに関しては真摯に受け止めさせていただきつつ、下半期に状況も変わってきているのも事実でございます。

はじめに:中期経営計画「DASH2020」達成に向けて

上半期の(進捗は)上から〇、△、×です。元々はaucfanというサイト(を運営しており、それ)が全体の利益貢献の意味では大きいです。しかし機能としてはaucfanというサイトだけではなく、企業から廃棄されたり、減損されて在庫の価値が非常に小さくなった商品、それらの在庫流動化を支援する会社として、モデルチェンジを図っています。

最近では、バーバリー社が商品の在庫を焼却処分していることに対して、世界的に批判が集まっていたニュースがありました。アパレルメーカー様も食品メーカー様も、ブランド価値を守りたいため、コンビニやスーパーなどで売れ残った商品、通販だとお客さまから返品になったものも泣く泣く捨てたりするケースは多いのです。

また、中国のブローカーなどが、そういうところに(正規ではなく)横のルートから商品を出してしまったりすると、安くディスカウントされて出てしまい、それがブランド価値を毀損するといったお話もあります。

いずれにせよ、当社の試算では年間で20兆円の価値が毀損しており、この市場は大きいと着目しておりました。

大手の会社でいきますと、ドン・キホーテ様などは、ここの市場で覇権を取っています。一流メーカーの型落ちの商品などが破格の値段で、ドン・キホーテで85パーセントオフで並んだりしています。しかし残念ながら、それ以外のプレイヤーは、日本でこれだけ市場規模があるにもかかわらずあまり出てきていない。我々はドン・キホーテ様に真っ向から対抗するなどとは考えておらず、独自の強みとモデルを持って社会的な課題を解決していきたいと考えて、今にいたっている次第です。

必要な機能は万端整った

では、どういうふうに事業を展開しているのかということをご説明したいと思います。

まずaucfanという創業以来手がけてきたサイトは、今の在庫流動化のステージにおきましては、溜めてきた商品のデータが武器になります。何がいくらでいつ売れたのかというBtoC、CtoCの末端価格があらゆる商品を対象に存在しています。またaucfanを使っているお客さまのアクセス数……月に1,000万以上、会員ももうすぐ100万人に達するのですが、そういった「売り買いするデータ」と「売り買いする人たち」は、我々としては資産だと考えています。

企業様からいろんな在庫が出た場合に、我々としてはデータを持っているため、どこのマーケットでどれぐらい取引されていて、出来高がどれぐらいあるかという予測を、かなりの精度で立てられます。お配りしたゼリーなどもそうなのですが、各商品において予測ができます。

また上場後はBtoB、BtoCの通販プラットフォーム機能を拡充しました。メーカー様から「では、この商品をお預かりして、こういうかたちで売っていきます」といったことを、例えばBtoBとBtoCにそれぞれ分けて、ブランド価値を毀損せずに、かつ一番売れやすいところに振り分けていくといった機能を有しております。

BtoCの場合はすぐお客さまに届けられることになりますが、BtoBの場合は一回バイヤーが……例えば地方の商店街の方々やインターネットで転売されている方々など、当社の商品をいったん買い取ってから各マーケットに売っていきます。海外マーケットの場合もあります。(BtoBとBtoCを)2つ持っておくと、いろいろな商品でクライアントのニーズによって使い分けができるわけです。

ざっくりとですが、こういった新しい流通システムをつくっていきたいということです。詳しくは、のちほど話をさせていただきます。

順番としては第2四半期までのサマリーと、業績の見通しと、あとは各事業でとくに重要なKPIについてのご説明をさせていただいて、APPENDIXはこの場では割愛させていただき、質疑応答に移っていければと思っています。

エグゼクティブサマリー

まずサマリーに関しまして、詳細の部分は経営戦略室の田島からお話しいたします。私からは、全体のサマリーとしてここにまとめさせていただいております。

売上高は、上半期、昨年の10月から今年の3月までの6ヶ月間において、昨対で37パーセントと非常に伸びております。進捗率は、当期60億円につきましては約25億円ということで、50パーセントに至っていないため、遅れているということです。

上半期におきましては、PMIが出遅れたり貸倒れなどいろいろありまして、非常に情けない数字になっていたのですが、現在は全社を挙げてリカバリーに尽力しております。

数字を構成する(要素のうち)とくに重要な部分をお話しします。前のページ(4ページ)でいきますと、ネットプライスとゼロディブという2つの社名が書いてあります。ネットプライスをご存知の方はいらっしゃいますでしょうか。

もともと上場会社でネットプライスドットコムという会社がありました。サイバーエージェントのグループ会社でした。今は名前がBEENOSに変わっていまして、ギャザリングという集まれば集まるほど安くなるというビジネスモデルで急成長した会社です。一時期は、ネットプライス単体で売上が120~130億円ぐらいまでありました。

その事業を、我々がM&Aしました。メーカー様の商品を我々が個人のお客さまに売る場合に、非常に有力な通販サイトとして、ここに注力しております。

ゼロディブという会社は、社員50人規模のコンソールゲームやVRを中心とした開発会社で、ほとんどがエンジニアです。我々は、ほかにないデータとBtoB、BtoCの販路を使った流通プラットフォームをつくっており、ものづくりの要素が欠かせません。今、エンジニア(の価値)も非常に高騰していまして、一人ひとりを採用していくと期間もかかってしまいます。よって、50人強の非常に優秀なエンジニアたちが一気に当社に加わってくれたのは大きいです。これは、機能として準備が整ったということで、さきほどの繰り返しになります。

したがって、事業進捗としては会社のビジョンに対して必要な機能は取り込みましたということです。一方で、この事業ドメインが固まるまではいろんな事業を展開したり、小さな規模でM&Aを実施した部分もあります。一部、今の事業ドメインには関係ない事業も含まれたりしていたため、選択と集中を推進し、筋肉質な体制を整えているところです。

業績予想も据え置きと書いておりますが、中間決算の時点で営業利益の進捗率が11パーセントで大丈夫なのかと(思われるかもしれません)。据え置きではなく、下方修正ではないかと、厳しいご指摘もいただいたのですが、我々は据え置いています。詳細はお伝えできない部分もあるのですが、第3、第4四半期できっちり挽回するために、いろいろな手を打っているところになります。

まとめますと、上期は数字としてはよろしくない状態でした。通期としては、前期の売上・営業利益・経常利益を大幅に上回るよう、全社を挙げて全力で取り組んでいるという状況であります。詳細なセグメント分析等もありますので、いったん経営戦略室の田島にバトンタッチしたいと思います。

連結業績ハイライト

田島宜幸氏(以下、田島):それでは代わりまして、私から数字を簡単にご説明したいと思っております。先ほどお話をさせていただいておりましたが、真ん中が上期までの実績、右側が通期の着地の予想ということで書かせていただきました。

今が9月ですので、第3四半期の水準がすでに出ています。簡単に口頭でアップデートさせていただくと、売上が39億7,900万円、営業利益が1億6,300万円、経常利益が1億5,100万円、当期利益が4,200万円となっています。

差分についてお話をすると、売上がだいたい15億円、四半期で差が生まれています。当初は売上を60億円という水準で出していますが、その4分の1を第3四半期でカバーしたというところです。

営業利益については、四半期で9,200万円の利益をつくっています。これものちほど内訳をお話しさせていただきますが、上期までは、大きく引っ張っていたのがインキュベーション事業という投資の事業です。

投資も営業項目として売上に入れており、持っていた有価証券がIPOするなどで、比較的大きな金額が乗っかってくることがあったのですが、第3四半期に関しては、その投資の利益をまったく含まずに、事業だけで9,200万円を積み上げています。

ですので、そういうものと投資の事業がうまく組み合わさっていると、四半期単位で大きな利益が見込めるということです。

連結売上高推移(四半期ごと)

上期までの過去6年分の数字を書かせていただいております。セグメントを分けたのが2016年からで、それまでは単一のaucfanというサービスをやっておりました。最後の四半期が伸びているのは、NETSEAという事業をDeNA様から引き継いでやらせていただいた、そのときの数字です。それ以降、Smart Sourcingという会社やリバリューという会社を連結したり、先ほど武永からもありましたが、ネットプライスという事業を、この第2四半期からP/Lとして連結してきたこともあり、売上としては順調に伸ばしてきていると考えております。

セグメント別業績 - 売上

売上は先ほどお話ししましたとおり、非常に伸びています。いろいろとセグメントを分けておりますが……前期に8,000万円ぐらいの赤字を出したソリューション事業というセグメントがあり、そこは事業再生中のため少し減収になっていますが、それ以外に関しては軒並み増収の傾向で着地できています。

とくに大きいのは、マーケットプレイスで、ものを売り買いする……先ほどゼリーの話などもありましたが、そういうものを仕入れて売っていくというマーケットプレイスのセグメントが非常に大きく増収に寄与しています。

セグメント別業績 - 営業利益

一方、利益は上半期までですが、見ていただくとわかるのは、まず全体として減っているというところで、先ほどお話ししたとおりです。

もう1つ、右のバーの上に濃い緑色の四角が載っていますが、これがインキュベーション事業という投資事業の収益です。上期までの半年分で8,200万円という利益を出しており、極端な話、(上期は)それが利益のほとんどといったかたちでした。これに加えて、四半期で9,200万円を事業でつくってきたというところが、先ほどの第3四半期のアップデートでした。

右のバーの下にあるマイナス8,500万円。これは少し恥ずかしい話なのですが、我々の取引先で貸倒れが発生しました。それでマイナス8,300万円分を上期で計上しているため、内数として書いています。それを除くわけにはなかなかいきませんが、概要としてはおおよそ把握できるかなと思い、書かせていただきました。

利益増減要因の分析

これは経常利益の前期・今期の比較です。上に前期の経常利益である2億1,900万円がありまして、下に今期の6,000万円がありますが、そこに至るまでにどういうふうに推移しているのかを縦に書いています。

大きいところでは、売上が増えているというのが上のバーで(わかりますが)、それに比して原価が一定量かかっているというのもわかります。

大きく減益となっている1つの要因として、3億円増えている販管費がけっこう大きなインパクトを占めていると思っています。PMIなども含めて、会社が増えたりしているためです。増えること自体は会社の戦略と戦術でもあるのですが、我々の収益力に比して販管費が増えすぎているというのが、上期までの状況だと理解しています。

前期大きな赤字を計上したソリューション事業は、V字回復

また、先ほど少しお話をしたように、前期に損を出したソリューション事業というのがありまして、これも外部から買ってきた事業なのですが、V字回復ができているということをご報告いたします。

先ほどお話しした貸倒れが1件あるのですが、仮にそこの部分を分けるとこのようなかたちになっております。これは月次で推移を見ていますが、前期の年末ぐらいに1,100万円といった損を出してから、子会社の代表が辞任したり、いろんな費用を減らしたり、取引先を見直すなどして、だいぶ効果も出てきて、安定的に黒字になる体制まではもってきました。

ネットプライス社のPMI進捗:単月黒字は達成し、通期黒字化へ

先ほど武永がお話ししましたネットプライスについてです。120億円あった売上も、毎年20パーセントずつ減っていくという大きな流れがありまして、直近で我々と連結したタイミングでも、売上25億円に対して8,000万円ぐらいの営業赤字が出るという事業でした。そこで、我々がなんとかうまく(黒字に)転換させたいというところで、PMIにも取り組んでおりますが、ちょうど1月から連結を始めて、3月のタイミングでは単月で黒字が出るところまでもってくることができました。

これからあと半年分の数字がありますが、そこの部分も、全体を大きく変えるような規模ではないものの、足を引っ張るようなところはなくなってきた、ということが見えてきました。

比較的、M&Aが多い会社ではあるのですが、それぞれが浮わついたり、どうにもならない状態にはならないように、きちんと我々のグループの中に取り込んで、収益にしていくということが可能になりつつあるというご報告でした。

数字のところは、ざっと私からお話しさせていただきました。またのちほど、ご質問等がありましたらお話しさせていただきます。

通期業績予想は、「据え置き」

武永:それでは、今期の業績の見通しについて、また私からお話をさせていただきます。据え置きというところで、5月の発表の時点ではかなりビハインドしていまして、(進捗率は)41パーセント、11パーセント、13パーセントでした。こちらに関しては第2四半期どころか第1四半期でも利益がきついが大丈夫なのか、といった指摘をたくさんいただいたのですが、第4四半期の進捗を見ても据え置いています。

どのようにして、利益を創出するか?(下期に向けた計画)

具体的に数字が「×」であるのに対して、何に取り組んでいるかというところについて、この1、2、3という3つを書かせていただきました。「辞める、減らす、突っ込む」という3つです。

1、辞める!:過去M&Aで仕入れた事業も全て見直し。当社戦略に必要な機能のみを残し、他は全て辞めます

当社は、一番最初の説明にもあったのですが、在庫の流動化というところに対して、効果的な機能の配置をしてきました。こちらにありますBtoCのネットプライスは、累計の会員も200万人くらいいます。また、楽天様から楽天B2B、機能開発のエンジニア会社であるゼロディブもジョインしました。これらはばらばらに存在するのではなく、一連の流れに沿って(配置して)、現在取り組んでいます。

過去にはデータマイニングを見込んで小規模の会社を買ったのですが、すでに片方を社内に取り込んだり、今となってはまったく異なる事業ドメイン、O2Oプロモーションの会社などもありました。これらは社内に統合したり、事業売却等を行うことによって、リソースの選択と集中を実行し、営業キャッシュも残していくということでやってきました。

2、減らす!!:度重なるM&Aで発生した重複業務・重複コストを徹底的に是正します

これも重要なことなのですが、我々は必要な機能(を取り込む)とはいっても、いろんな会社でいろんな経営陣がいたりするため、M&Aする前の体制をどこまで引き継いで、どこまで介入するかというところで、暗中模索の状態も一時ありました。

現在は、全社管理機能を強めました。具体的には、人事機能と経理・財務機能は全部、オークファン本体で統制をして、事業面はもともとの会社のメンバーに加えて、オークファンからも人を投入して、しっかりやっています。当たり前の結果かもしれないのですが、かなりコストを削減できており、とくに著しいのはネットプライスです。

当社に来たときは非常にコストがかかっていたのですが、ぐんぐん下がってきており、これまでの見込みの部分も入っていますが、非常にいいかたちになってきました。

3、突っ込む!!!:一方で、成長分野には躊躇せず突っ込みます①

また、お客さまに非常に好評なサービスも多々あります。例えば創業以来のaucfanという比較サイト、特にその中で「オークファンプロPlus」は、ヤフオク!、フリマサイト、Amazon、楽天市場といったECサイトを全部横断して、より深く検索できるのです。つまり普通のaucfanのように見るのではなく、もっと多面的な分析ができています。高性能なものに仕上げたのですが、インターネットで稼いでいる人たちが多く使っているツールになっています。

まずは会員を増やしたいということで、最初は値段設定を非常に安くしておりました。しかし、ほかの競合もいない状況になってきて、お客さまも、もっと使ってもっと稼ぎたいのでいろんな機能をつけてほしいという要望もあり、機能強化して、値段を大幅に改定しました。この通期の数字には寄与してくると思っています。

3、突っ込む!!!:一方で、成長分野には躊躇せず突っ込みます②

また現在、「オタメシ」というサイトを展開しています。これはM&Aではなく、社内でゼロから立ち上げたサイトです。みなさまにお配りした缶コーヒーやゼリーがそうなのですが、品質にはなんの問題もないけれど、コンビニやスーパーでは賞味期限の事情であったり、競合商品との棚取りの兼ね合いで売れ残った商品で、我々が社会貢献ということで企業様からお預かりしたものです。

具体的には、売上の数パーセントを、購入した方が指定する慈善団体に寄付をします。例えば犬の愛護団体などに寄付するのですが、どういう支援を行ったかというものを、我々は随時レポートします。

企業にとってもメリットがあるのです。廃棄したり、よくわからないルートに商品を流すのではなく、我々に商品を提供していただければ、CSRの観点からも非常に有効です。よって、大手のメーカーや商社などと続々と契約させていただき、どんどん商品が当社に来ている状況です。

来期はしっかり販路を拡大して、ブランドの価値を保護しながら、最適な価格と販路でこういった商品を世に流していくというところで、在庫流動化に寄与していきます。ぜひみなさま、私どもに注目していただきたいと思っています。

今期連結計画達成に向けたマイルストン

第4四半期ももう終わりに近づいているのですが、我々は上半期にかなりビハインドしてしまいました。しかし、進んでいる方向(は正しいですし)、必要な機能もそろってきたと自負しております。

これからは、しっかりPDCAを回しながら、実行力を高めて邁進していくというところで、具体的な施策を書かせていただいたのですが、おおむね実現できるのではないかなと思っております。

【再掲】オークファンの目指すもの

オークファンは、価格比較サイトとしてマザーズに上場させていただいたのがもう5年前で、それから時間が経ちました。今はサービスで得たデータやユーザー基盤をもとにしながら、年間で22兆円も発生する企業の在庫流動化という社会的な命題に対して、当社らしいほかがやっていないポジションと方法で支援していきたいと考えております。

aucfan

「眠っている価値を必要な場所へ。」と書いてありますが、まさにその実現のために今後も邁進してまいります。

メディア事業

また、サービスの利用動向は当社のホームページからもご覧いただけますが、メディア事業に関しても会員数が伸びています。特にプレミアム会員、つまり課金の単価は一気に上がっており、1人当たりの課金額も増えています。

マーケットプレイス事業

在庫流動化というのは、具体的にどれぐらいの商品を流通させたかという金額が指標となります。ネットプライスというBtoCの販路が加わりましたので、BtoBとBtoCで、今後は分けてカウントしていきたいと思います。これを早期に100億円、300億円、500億円と伸ばしていきたいと考えております。こういった数字も、今後お見せしたいと思っています。

私どもの説明は以上となります。ありがとうございました。

質疑応答:「CASH」を運営する株式会社バンクとの業務提携について

仲田奈々氏(以下、仲田):まずはじめに、「稼げる商品を探すなら」ということで、CASHの商品を使った物販スクールを開始ということですが、こちらについてお伺いしてもよろしいでしょうか。CASHとの関係で、業務提携をすることによって、今後どのような効果、影響が考えられますか。

武永:まずこちらは、我々の在庫流動化というドメインの一環でございます。みなさま、CASHはご存知ですか。すごく話題になっているサービスです。みなさまのお手持ちの商品の写真を撮って送ると、お金が先に振り込まれるという画期的なサービスでございます。

CASHはDMM様に買収されてグループになったのですが、毎日いろんな商品が送られてくるのです。前入金でお金を振り込むのですが、1日の(お金の)融資枠が1,000万円か2,000万円ぐらいです。それが、1日もたずにゼロになってしまいます。

ですから、商品もものすごくたくさん送られてくるようです。中にはすごく高い、いわゆるブランド品みたいなものもあったりするのですが、例えばノーブランドの服や(会場のマイクスタンドのような)機材などもあります。CASH自体でリサイクルショップを構えるわけにはいかないため、残ってしまうものも一定数あります。

我々オークファンのユーザーからすると、各マーケットでの商品の価格が調べられるため、例えば(会場のマイクスタンドを指して)こういうものであっても、メルカリやヤフオク!での値段がわかるわけですよね。すると当社のユーザーがCASHから商品を仕入れて一番高く売れるマーケットで転売すれば、もしかしたら1商品で5,000円や1万円が儲かるかもしれないわけです。

このように、CASHの買取能力と、当社オークファンのユーザーが持っている転売能力をかけ合わせれば、より多くの商品が買い取れるのではないかということで、Win-Winの仕組みとして始めたところです。

仲田:それはスクールというかたちなのですね。

武永:はい、そのとおりです。

質疑応答:売上に対して利益が低い点に関しての今後の見通し

夕凪氏(以下、夕凪):売上と利益に関する質問です。売上が毎年きちんと積み上がっている一方で、利益がなかなかついていかないというところなのですが、これは今期も同様のレベルになると思います。しかし来期はだいたいクリアして、また増やせるというところなのか、それとも何かリスクがあるのか、そのリスクがあるとやはり崩れてしまうといったところがあれば、説明していただけたらと思います。

武永:結論からいうと、だいぶビハインドしているのですが、今期は達成に向けて鋭意取り組んでいます。業績予想も据え置いており、また来期ももちろん増収増益を見込んでいます。今回痛かったのはイレギュラーな8,300万円の貸倒れがありました。M&Aをした会社で、稟議に関する規定などが我々オークファン本体と一部違うところもありました。本体のガバナンスを強める途上だったことも(原因として)あります。

よって、取引形態や承認フローなども全部整理しまして、こういったことが二度と起きないように進めているところであります。また仮に起きたとしても、業績に影響がないように力強く利益を伸ばしていくことが第一であります。

質疑応答:在庫増加を予防するソリューションについて

質問者1:廃棄されてしまうものを、もう一度売るというすばらしいビジネスだなと思っていたのですが、最近のIoTなどの技術革新で、今後はメーカー様も在庫を抱えないようになっていくと思います。

御社の場合、そもそもデータをお持ちだという話でしたので、将来的に在庫がどんどん減っていくのはいいことだとは思うのですが、そうなったときに、ビジネスをピボットされる予定はあるのでしょうか。もしくは、私が心配しているようなことは、事業に大した影響はないのでしょうか。

武永:企業としても、在庫を減らしていかなければなりません。例えば22兆円までいかなくても、半分にすれば10兆円になります。そうすると、我々としては商売のネタがなくなってしまうのではないかと思われるかもしれませんが、逆にメーカー様から「在庫を減らすようなコンサルティングをしてほしい」というニーズがたくさん届いています。

我々はデータを持っているため「それは少し生産量が多すぎではないですか」「競合商品(の価格)がかなり下がっているから、御社でも在庫を早く売り切らないと在庫の価値を毀損する可能性があります」といった提案も可能です。メーカー様や商社様からは、データで販売結果の情報が出る前に、もう少し何かできることはないかということで、来期に詳しくご説明しようと思っています。

そうした在庫が出ないような「予防」としてのソリューションを、いくつかの小売店様や商社様、流通業の方に対して提供しています。よって、(在庫が)出てしまったものも我々で流動化しますし、(在庫が)出ない方法も我々がご提案しますという、その両方をカバーするビジネスだと思っています。

質疑応答:BtoBとBtoCの、今後の利益貢献度について

質問者2:今後、利益への貢献という点で、流動化のBtoBが貢献するのか、それともBtoCが貢献するのか、またその比率等を教えてください。

武永:具体的には開示していないのですが、結論としてはどちらも貢献すると思っています。在庫が出たタイミングで、我々がそれを引き取らせていただいて、BtoBまたはBtoCのどちらに売るかというのは、データを見ながらブランド保護と流通の最大化というバランスです。

「この商品はBtoBで売れているので、BtoBを多めに扱います」「こっちの商品はもともとコンビニに並んでいたので、BtoCが売れそうですね。であれば我々がネットプライスという販路を使います」という感じです。

もう1つは、さっき別の方からもご質問があったのですが、では在庫が出ないように我々が小売業や流通業の方々に「この商品は1年後に、(在庫が)これぐらいになりそうですよ、だから今、価格を見直すのが良いと思います」「仕入をもう少し抑制しましょうか」といったコンサルティングの部分での収益も期待できます。

データを活用したコンサルティングといいますか、予防ソリューションの売上と、それでも出てしまった在庫のBtoB、BtoCへの(販売の)売上というかたちで、3つの収益の柱をつくっていきたいと思っています。

質問者2:現在、BtoBは何社ぐらいと取引があって、それをどうやって増やすのかということと、2点目は、最終的にもう期限がきて売れなくなったものはどうなるのかについて教えてください。

武永:BtoBについては、NETSEAでのサプライヤー、つまり商品を持つ出店者が5,000社ぐらいあります。一方で買い手、バイヤーと呼ばれる中小企業・個人事業主は40万社ぐらいです。

サプライヤーの獲得に関しては、問い合わせもたくさんありますが、当社からどんどん営業をかけています。まだまだNETSEAの認知度が低いケースもありますが、「そんな卸サイトがあるんだったら、登録しようかな」ということで、純増で(サプライヤーが)増えています。

バイヤーの方々に対しては、我々はとくにリスティングなどは活用していないのですが、Webでネット卸や卸サイトといった検索をして、月に数千社ぐらいの会員登録がずっと増えています。年間でいうと3~4万社が増えているという状況です。市場のニーズが高いのかなと思っています。

仲田:もう1点、売れなくなったものはどうされているのかというお話をお願いします。

武永:例えば賞味期限がすでに切れてしまったものは、我々も売れないのです。今、お手元の商品は10月20日なので、まだ1ヶ月ぐらいはお召し上がりいただけるのですが、それが例えば8月のものでしたら、もう期限が終わっていますよね。そういうものは、さすがに我々もお客さまに配れないため、取り扱いはできないです。

ただし、(賞味期限が)あと2週間や1ヶ月の商品というのは、例えばですが、お店に来たらこれをあげますといったかたちで、販促キャンペーンやノベルティなどでお使いいただく方法があります。

質問者2:それでは、マージンは需給によって変わるということでしょうか。御社が一定のマージンをキープするために(一定の価格で)売るのか、それとも量と需要によってその時々でマージンが変わるということでしょうか。

武永:その時々でも変わります。例えば、決算月は非常に多くなったりします。というのも、いろんなメーカーや小売業の方々が決算や減損対策で商品を手放すからです。一方、「にっぱち(2月と8月)」というのは、ものが売れにくいということもあります。ただし、いろんなものを数多く扱っていると平準化して、全体の流通において、これぐらいの手数料はとれるはずだというかたちで平均化されます。

田島:先ほどのご質問なのですが、簡単に補足させてください。賞味期限は非常に難しくて、うなぎ屋さんが……昔ながらの和菓子屋さんが……と、けっこうニュースになったと思います。何がいけないのかというと、賞味期限を偽装すること。これは本当に違法行為です。また、賞味期限の近いものをきちんと説明せずにほかの商品と同様の売り方で販売することも、消費者保護という観点では望ましくはありません。ただし、賞味期限が切れたものを売ったこと自体が法律に違反するかというと、実は違反にはなりません。

単に業界の慣習として、賞味期限の近いものは売らないようにしましょうというのがルールとして決まっています。例えば卸では、残りの賞味期限が3分の2を切ったら小売に流せないですとか、小売も3分の1を切ったらお客さまには売れませんというものを、ルールとしてもっているのです。

例えば極端な話、(期限まで)あと3日のものを売ることになにかしらの問題があるのかというと、実はないという話です。よって、そこはもう消費者の方の判断といいますか……賞味期限は残り3日だけど、ネットで売っていて80パーセントオフだったら、まあいいよねという割り切りができる方であれば、そこをちゃんとご説明した上で販売するということは、我々としては可能です。

したがって、まさにご質問いただいたように、マージンの設定というのはおっしゃるとおりで、我々としてはなかなかそういったものは売りにくいのですが、そうはいっても、例えばシロップの賞味期限はあるものの、みなさまもあまり気にされないですよね。

そういうものに関しては、ちゃんとご説明をした上で、安く売らせていただけるのであればマッチングすることもあるということです。賞味期限を含め、なぜこれがこういうサイトに載るのかという理由とともにご説明して、ご理解をいただける方に買っていただいているというかたちです。

質疑応答:売買に関するビッグデータの活用方法について

夕凪:せっかくビッグデータをお持ちということで、そこにAI的なアプローチというのがすごく流行していますが、これをうまく活用するといったことを考えておられますでしょうか。

武永:おっしゃる通りでして、すでに取り組んでいます。我々が強みとしているのは、ものの売買データです。何がいくらでいつ売れたかというデータを持っています。一方で、他社様ですと来店情報だったり、都内在住の30代の女性が購入したといった、いわゆるID情報を持っていたりします。

また、どのサイトにいつ誰がアクセスしたのかといったデータ、口コミのデータ、天気のデータなどを持っている会社様もあります。例えばこのミネラルウォーターをいつ、どの消費者に対してどの媒体でリーチすれば、だいたいどれぐらい売れるか、1年後はどうなっているかといったことを、各社の強みを活かしていくと、予測精度が上がってくるのではないでしょうか。それぞれのデータホルダーは強みが異なるのでいろいろと強いものを持っています。それをかけ合わせると、また新しいソリューションが生まれると思っています。

我々もほかの会社様と連携しながら、最終的には自分たち独自の需給予測のデータを分析ツールに使いたいと思っており、そこは今、いろいろな取り組みをしているところです。

質疑応答:販管費を減らすための今後の施策について

質問者3:先ほど販管費のことを話されましたが、現在、在庫をお持ちだと思うのですが、今後販管費を減らす戦略、施策を教えていただきたいと思います。また、貸倒れということで、それは与信ができなかったという単純な話なのか、今後もそういうことが発生するリスクがあるものなのかというところも、ご説明をいただきたいと思います。

田島:販管費に関してお話しすると、ものに関連する部分よりも、固定費に近いものが非常に多くあります。例えばネットプライスという会社は、以前は銀座の歌舞伎座の向かいにオフィスを構えていました。今は、我々の入居している目黒のオフィスに同居しています。

銀座は家賃がけっこう高いわけですが、もともと非常に景気の良いタイミングで借りたオフィスをそのまま借りていました。またオフィスに限らず、グループで連結すると、実はもう少し共通化できる費用はたくさんあるというところが大きいです。そこをきちんと節約していきましょうということです。

また、先ほどからお話をしているとおり、我々としてはものが主力商品のため、ものをきちんと流動化させることに関しては、費用を使っていきたいと思っています。したがって、人員を含めてですが、少し固定費が多めになったところに関しては、適切な領域までスリムにしていくという部分が、販管費を減らしていく施策の大きなところかなと思っています。

2つ目の貸倒れの話は、先方もある話のため、なかなか我々からもはっきりとはいいにくいところもあるのですが、我々のほうで予見できたことかもしれないとは思っています。したがって、それを踏まえて我々のほうでも与信であったり、取引先の関係性であったり、そういったもののガバナンスはきちんと強化していきながら、再発防止に取り組んでおります。それを徹底するというところが、まずは取り組んでいくところかなと思っています。

質問者3:追加の質問で申し訳ないのですが、エンジニアの会社を買われたということなのですが、とくに御社がエンジニアの開発会社ではないため、それも販管費に跳ね上がってくると思います。アウトソースなど、外部の会社にお願いすることもできると思うのですが、その会社を買ったメリットや、なぜアウトソースしないのかという理由を教えていただければと思います。

武永:ゼロディブは開発会社で、今はゲームを中心に展開しており、Nintendo SwitchやソニーのPS4に対して非常に強い会社です。一方でSES(エンジニアの企業派遣)も手がけています。例えばニンテンドーでは全国で7位のタイトルを持っていたりする会社なのですが、ゲームのクオリティは高いわけです。つまり、お客さまをうまく魅了して、何度も使っていただけるようなクオリティということです。

我々としましては、別にゲーム事業を今後伸ばしていきたいということではありません。他方、我々が展開しているサービスはBtoC、BtoBの両方ですが、サイトをご覧いただくとわかるとおり、なかなかビジネスっぽい雰囲気なのです。悪くいえば無機質な感じです。しかし、ネットプライスやaucfanなどBtoCのサービスもあり、お買い物はエンターテインメントの要素も含むわけです。

そこでゼロディブの開発力の高さを、今後はエンジニアリングの強化ということでグループ内の開発に入っていってほしいと思っています。

もう1つ、アウトソースについてです。個人的には、ものづくりメインの会社が開発をアウトソースに出してしまうと、そのほうがコストが高くつくと思っています。またノウハウの流出等の懸念もあります。エンジニアは今、本当に売り手市場でなかなか採用できないため、優秀なエンジニアをたくさん抱えていれば、自社(の業務はもちろん)、また我々のクライアントが一部で案件を手伝ってほしいというときに人材を渡せます。先ほどお話しした予防ソリューションでも、メーカーと一緒に商品の価格予想をしていく際に、当社のエンジニアが常駐するなど、収益にも貢献してくると思います。優秀なチームであれば、これからも取り込んでいきたい考えています。

質疑応答:「オークファンプロPlus」の価格改定について

仲田:先ほど、有料会員の価格の変更についてお話がありました。急に高くなったなという印象を受けたのですが、その分、機能を拡張されたということです。会員のみなさまからの反応、手応え、お声というのはいかがでしょうか。

武永:数字では申し上げられないのですが、やはり(機能拡張は)必要だったということが再確認できました。よって、(価格が上がっても)予想よりもはるかに退会数は少ないという感触です。むしろ、値段を改定しても会員数が増えているということですので、逆に今までが安すぎた部分もあるかなと思っています。

質疑応答:今後の株主還元施策について

夕凪:今後の資金の振り分けの話ではあるのですが、配当や優待、自社株式購入といった、株主還元施策について、今後はどう考えていらっしゃいますか。

武永:配当につきましては、当社は中計で示しているとおり、1つの基準はやはり「(売上高)100億円、(経常利益)15億円」を目指しています。いつ東証一部に鞍替えするのかといったご質問もいただきますので、まずはそのタイミングと合わせながら、検討させていただきたいと思っています。2桁億円の当期利益が実現できれば、会社の基盤を考えても配当を出したいと個人的には思っています。

株主優待は、今までまったくやっていませんでした。今回みなさまにお配りした一流商品もたくさん(当社に)入ってきますので、そのあたりでやってみようかなという考えもあります。ECサイトのクーポンや商品を詰め合わせでお配りするなどでしょうか。そういうバリューを感じていただけるのではないかというところで検討しています。

自社株買いは、過去に何回か行ったことがあるのですが、こちらも今後の当社の成長も見ながら、現状の株価を考えると検討してみたいとは思っているところです。

夕凪:今回、個人投資家説明会が2回目というお話でしたが、今後もIR活動などを積極的に展開される予定などはあるのでしょうか?

武永:そうですね、積極的に考えています。例えば今は半期に1回、決算説明会資料をつくっているのですが、それを四半期に1回といったかたちで頻度を上げられないかなど(を検討しています)。また、投資家説明会も、実は去年は機関向け、個人向けを各1回しか実施できていないのです。こちらも2回は開催してほしい、地方でも実施してほしいといったお声もいただいたりするため、説明会の頻度を上げていきたいなと考えています。