2018/3期(第42期)ハイライト

森啓一氏(以下、森):みなさんこんにちは。フォーカスシステムズ社長の森でございます。本日は当社の決算説明会にご来場いただき、誠にありがとうございます。

本日は第42期の業績についての概要とともに、財務面の状況、そして今期の予算計画について、ご説明させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

では、第42期の業績からご説明させていただきます。

まず第42期のハイライトですけれども、決算は増収・増益・増配と第41期に比べて、すべてにおいて増になりました。

また期の途中で第三者割当による行使価額修正条項付の新株予約権の発行を行いまして、これによって一部資金の調達も順調に進みました。さらに、純有利子負債の削減が進んで、実質無借金を達成できております。

具体的に事業につきましては、昨年(2017年)の6月、パートナーシップの拡大として、日本マイクロソフト社とサイバー犯罪の証拠データ分析の高速処理化に向け連携しました。

さらに、名古屋工業大学と指向性アンテナの共同研究も開始しました。

また、発表したのはつい先日ですけれども、ドローン操縦士協会とアライアンスパートナー契約を締結しております。

JPPVRという会社と、共同出資による新会社の「VRaiB」という会社の設立もしております。

これにつきましては、また後ほど説明させていただきます。

2018/3期(第42期) 概況

具体的に第42期の概況について、ご説明させていただきます。

第42期は、売上高193億2,700万円ということで、1977年の創業以来最高の売上高を記録しました。

また営業利益、経常利益、純利益につきましても、昨年と比べて、それぞれ30パーセント以上、40パーセントに近い増益となりました。営業利益が10億2,500万円、経常利益が10億1,900万円、純利益が7億1,900万円というかたちで、終わることができました。

その前期、第41期が減益で終わりましたので、全体として徹底した改善対策をして、V字回復ができたという結果になっております。

第41期が(前期比)マイナスになった要因としては、利益管理の不徹底さというのが1つあったのですけども、そういったことを回避するために、受注判定会議を厳格化したり、事業部間の壁を取り払って、本部全体としてきちんと管理していくということを徹底しました。その結果、問題のあるプロジェクトを早期に発見することができ、増収増益につながったということが言えると思います。

売上高推移

売上高です。

7年連続の増収となります。2011年3月期の約116億円から、2018年3月期には193億円となり、そして今期は、200億円を計画しております。

利益推移

続いて利益の推移です。

利益もV字回復で、良い決算ができたかなというのが42期の結果です。

セグメント別 概況①

続いてセグメント別の概況です。

まず最初に公共関連です。最終ユーザーは官公庁および地方自治体です。

提案から設計、製造、試験、システム稼働後の保守・運用まで、一気通貫で行っております。財務システム、貿易システム、航空管制システム、福祉介護システム、社会保険システム等、さまざまなシーンで世の中を支えているのが特徴であります。

売上高は、昨年(41期)に比べて若干0.7パーセントほどマイナスになっております。

41期は、売上高は伸びたんですけれども、利益がマイナスになりました。トラブルが発生し、人をかなり注ぎ込んでなんとか終わらせたため、売上は若干伸びたのですけれども、利益がかなり下回るという結果でした。

42期に関しては、売上は微減でしたけれども、利益に関しては大幅な回復で、41期に比べて、45.2パーセントの増益で終わることができました。

(スライドの)最後にも書いてあるように、プロジェクトの進捗遅れによる収益悪化の反省から再発防止策を徹底したのが要因となっております。

セグメント別 概況②

続いて⺠間関連事業です。

こちらは、例年どおり非常に順調に推移しております。売上高につきましても、前年度14.8パーセント増加。そしてセグメント利益も4.7パーセントの増加となっております。

最終ユーザーは、主に一般民間企業です。とくに日本IBMさま、そして沖電気さま、ソフトバンクさま、TISインテックさまなどとのパートナーシップの下で、さまざまなシステム開発から運用保守までを請けています。

また最近では、IoT、AIにも、システムにおいて人を入れるというかたちで、注力していこうと考えております。

また、東京だけではなくて、大阪と名古屋に支店があるのですけども、地方での非常に順調な案件確保も、業績拡大の一役を担っております。

セグメント別 概況③

そして最後にセキュリティ機器関連事業です。

こちらは、売上に関しては1.4パーセントの微減です。ただ、セグメント利益に関しては、23.8パーセントの増加となっております。

セキュリティ事業は、いくつかの内容があるのですけれども、その中でも「フォレンジック」という、セキュリティが一番大きく占めています。フォレンジック関連の成長は非常に影響しております。

売上が微減なのは、セキュリティ機器関連の物販が昨年度に比べてあまり増加しなかったにもかかわらずトレーニングが増えたことによります。トレーニングは利益を確保できる分野ですので、フォレンジック関連のところで約40パーセント利益が増加したという結果となっております。

サイバーセキュリティ製品の大型の受注、そしてトレーニング受注が増加したのが(42期のセグメント別業績の)要因となっております。

主要顧客グループ別売上高構成比

続きまして、主要顧客グループ別の売上高の構成です。

毎年ほぼ同じような感じですけれども、今回、ソフトバンク関連が3番目に入り、一昨年度に比べて伸びている状況になっております。

(スライドで)見ていただけるように、NTTデータ関連で33.76パーセント、日本IBM関連で20.84パーセント、これでほぼ50パーセントの売上という構成となっております。

貸借対照表

続いて、具体的に貸借対照表を振り返ります。

まず顕著なのは資産が非常に増えています。第三者割当の影響と売上高の増加で現金および預金が増えたことが(要因に)あります。(現金および預金の)増加が12億4,800万円、そしてそれに伴う売掛金の増加で7億300万円、さらに弊社の持っている投資有価証券の時価総額を再評価した結果増え、前期末に比べると24億6,300万円ほど資産合計が増えているという結果になっております。

流動負債、負債は、売上・利益の増加による未払金の増加と買掛金、繰延税金負債の増加などを合わせて5億2,100万円増えております。

損益計算書

続いて損益計算書です。

売上高は、前年度に比べて売上が14億8,000万円の増加です。内訳は先ほどお話ししたとおりとなっております。

売上総利益も前年度に比べて20パーセント増です。公共関連事業が今期回復し、前年度比45.2パーセント増えたのが非常に影響しました。

それを加味して、営業利益、経常利益、そして最終利益、すべてで非常に順調な決算を終えることができたというのが昨年度の結果であります。

株主資本等変動計算書

続いて、株主資本等変動計算書です。これは今回の利益と増資のかたちを示した表ですので、のちほどご覧いただければと思います。

キャッシュ・フロー

次にキャッシュ・フローです。

キャッシュ・フローも非常に順調に推移しました。

本来の営業活動によるキャッシュ・フローは6億4,100万円です。内訳は売上債権の増加が約7億8,000万円ほどあり、未払金や仕入債務も減少し、全体として6億4,100万円となっています。

投資活動によるキャッシュ・フローもプラスになっています。これは有形固定資産の増加が1億円弱あるのですけれども、もう1つが役員の保険解約をした影響で約2億円の収入がありましたので、こうなっております。

財務活動によるキャッシュ・フローにおいても非常に大きなプラスを出しております。一番大きいのは自己株式の処分収入です。第三者割当の分が約15億円ありますので、それらが影響してプラスになり、前期に比べると12億3,600万円の現金および現金同等物が増えています。これによって実質無借金を実現したということになります。

キャッシュ・フローの改善:純有利子負債の削減

2005年の3月に現預金と有利子負債の差が、最大42億円ほどありました。

それが2018年3月期において完全に逆転し、今の状況では有利子負債が現預金を上回るということはまずないかたちまで、会社の財務基盤が順調になってきました。

株価・配当の推移

続いて株価・配当の推移です。

配当金は2013年3月期の7.5円から、2018年3月期には16円の配当ができるようになりました。

配当性向も、私としては、ほぼ3割は最低限維持したいと考えていますので、昨年度に関しては16円配当にさせていただきました。

株価も順調に推移していまして、(スライド記載のチャート上、一時1,200円を超える値をつけたローソク足を指しながら)これは先ほど最初に説明させていただいた、マイクロソフトとの提携です。そこから今は若干落ち着いている状況であります。

株主構成および各所有株式数

続いて、株主構成および各所有株式数です。

2015年くらいまで株主数が減っており、市場変更に向けて、株主数を増やしたいという思いで、いろいろな方策を取りました。(結果として)二部上場、そして一部上場において増えました。

そして、株式を2分割したことによって増え、さらに一昨年、株主優待を導入することによって、3,000人ちょっとの株主数が7,000人まで増えました。だいたい1万人を念頭に置いてますので、このままで行けばほぼ達成できると思っております。

今は非常に個人投資家が多いですけれども、投資機関がなかなか入りづらいのは、やはり会社としての時価総額がまだまだ低いからだと考えていまして、現在100億円ぐらいの時価総額を、200億円、そして300億円にまで持っていきたいという思いがあります。今後、そういったことを意識しつつ経営をしていきたいと思っております。

社員数&離職率の推移

社員数および離職率の推移です。

2016年に社員数は1,000人を突破いたしまして、今も順調に社員が増えております。2018年度は1,100人ちょっと、今年度も(新卒)70数名が入社しましたので、約1200人弱の社員数となっております。

離職率も、他のIT業界と比べても非常に低い状況が今のところ続いていまして、最近は5パーセント前後の離職率で、順調に推移していると感じております。

業績予想

続いて、本年度の業績予想です。

本年度は、昨年と同様、とくに大きな変化はなく、理想で計画を立てさせていただきました。売上高に関しては200億円、そして営業利益に関しては10億8,000万円、経常利益に関しては10億6,000万円です。

当期純利益に関しては、昨年より下がったかたちになっていますけれども、昨年度は特別利益が発生し、今期はそれがないという前提でこうなっています。そしてまた、配当は15円で、(配当性向は)32.2パーセントです。

毎年、保守的な業績予想だということを言われるのですけれども、保守的と言うよりも、確実にここまではできるという数字を出しています。当然、これを上回る努力をしなければいけないと思っています。これを上回れる報告ができるように、本年度もがんばっていきたいと思います。

トピックス①

続いて、トピックスについてお話しします。

まず最初に、2017年の6月に発表した日本マイクロソフトとの連携です。

サイバー犯罪の証拠データ分析の高速処理化です。昨年、どれぐらいの売上と引き合いがあるかという質問をいただいたのですけれども、実際、弊社とマイクロソフトのベンダーさんが連携して、提案・働きかけは実施しています。

ただ、対象が官公庁になりますので、国や自治体の予算の関係もあって、また、1社だけ独占で入ることもできません。似たような仕組みは当然仕様書にも書かれますので、それを採用する・しないは官公庁の判断になりますので、もうちょっと成約までに時間がかかるのかと思っています。

ただ、この「サイフォクラウド」とは別に、(オンプレミスでの)利用の相談も受けておりますので、そちらの売上も今後は大きく期待される可能性があります。

トピックス②

ビーコンとARグラスを統合して、拡張現実システムの提供を開始しました。ARグラスはセイコーエプソン製です。これは今、明電舎さまによる採用実績があります。

トピックス③

続いてが、(2017年)11月に発表させていただいた、新株予約権の発行です。

1回目と2回目に分けていて、1回目はもう完了し、約10億円の資金調達ができました。 そして、2回目は新株予約権1万個です。株価が1,300円での行使というかたちになっています。つまり会社としては(株価を)1,300円まで持っていけることを前提に、2回目の新株予約権を発表しています。まだ800円台ですけれども、一日も早く1,300円を目指して、会社としてはがんばっていこうと思っています。

トピックス④

社員の全体の士気を高めるという意味で、オリンピック候補選手の採用も始めています。

今年は1名、次回の冬期のオリンピックに向けてクロスカントリー選手を採用しました。練習がないときには、広報でがんばってもらうというかたちで、社員にさせていただきました。

トピックス⑤

続いて、名古屋工業大学との指向性アンテナの共同研究に関しては、スライドを読んでいただければと思います。

トピックス⑥

また、防塵・防水認証ビーコン「timbe(ティムビー)」の発売に関しても、スライドを読んでいただければと思います。

トピックス⑦

今年(2018年)の5月、先月発表させていただいた、ドローン操縦士協会とのアライアンスパートナーの契約です。

このドローン操縦士協会は、全国に今、三十数ヶ所の学校を持っています。ドローンは来年度から免許制になる予定です。その免許を発行する団体として、日本では一番大きい操縦士協会です。世界でもこれほど大きい協会はないのではと、先方の理事長は言われています。

この団体とアライアンスパートナーを契約することで、当社の持っている公共システムの開発実績や、情報セキュリティ技術やIoT技術を利用し、今後、通信手段の安全性確保や、収集データのプライバシー保護を目指したり、画像処理といったソフト分野で、うまく連携していきたいと思っています。

実際、ドローンは今、レギュレーションや自動運転など、国を挙げて注力している分野です。具体的な規制というのは、今、喧々諤々を国交省でやっていますけれども。

その中で、我々などの民間企業が、具体的に「こういったかたちでやっていこう」というのを特区等を利用してやらせていただいて、国に働きかけることも1つ考えている状況であります。

トピックス⑧

VR・AI技術についてです。

当社はこれまでなかなかこういった分野の技術がありませんでした。AIの圧縮データ、ブロックチェーンなど、今いろいろと注目されています。eスポーツも、2018年アジア大会の正式種目になるということです。そこで、具体的なバックヤードとして、何かしら常に最先端の技術的な分野には取り組んでいきたいということで、新しい会社を作りました。

どちらかと言うと、試験・研究的な意味合いが強いと思いますけれども、そちらでノウハウを蓄積していきたいと考えています。

以上が、当社の概要になります。

今お話したように、会社としての足元は、非常にいい状況になってきていると思っています。その上で会社として、今後どのようなかたちで成長・発展をしていくのかということが、これから問われていく内容だと思います。

1つは、新しい資源・技術を植え付けるということだと思います。既存の業務に関しては、非常に順調な状況が続いていますので、トラブルを起こすことなくきちんとやっていけば、数字を作ることができると思っています。

また、社員数も1,200人弱になりました。そして、協力会社の人も含めると、その倍ちょっとというかたちになっています。そういった意味で、社会的に責任のある会社として、ますます責任を感じつつ、さらに当社のみなさま、そして株主のみなさま方に応援していただける企業を目指していきたいと思います。

今後ともご指導のほど、よろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。