2018年11月期第1四半期 連結業績:全社

寺田健彦氏(以下、寺田):シリコンスタジオ株式会社の寺田健彦でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

本日は、お忙しい中、決算説明会にご出席いただきまして、ありがとうございます。昨年までは半期に一度行っていた説明会ですが、情報開示の充実を図るために、今年度より四半期ごとに開催させていただければと思っています。よろしくお願いいたします。

さっそくですが、最初に、2018年11月期第1四半期の連結決算説明をいたします。

まず、業績ですが、ご覧のとおりの結果となっています。売上高は1億9,800万円、営業利益は3億6,400万円の赤字となっています。

こちらに関しましては、今期、新作ゲーム3本を、第2四半期以降に計画している部分、下期偏重の事業計画であることが(要因として)1つあります。それに伴い、開発費用の先行負担が発生していることによる影響等で、(前年同期比)減収・赤字拡大となっています。

第1四半期までの推移としましては、業績進捗は概ね期初計画どおりに推移しています。詳しい内容につきましては、各セグメント別にご説明いたします。

2018年11月期第1四半期 連結業績:セグメント別

セグメント別の概要がこちらになります。

トピックスとしましては、開発推進・支援事業は採算性が改善したことによりまして、黒字転換を果たしています。

人材事業に関しましては、引き続き、堅調な業績推移をしていまして、増収増益を達成しています。コンテンツ事業は先ほど申しましたとおり、新作ゲームタイトルの開発費用の先行負担が発生していますので、その分の影響がございます。また、前期(2017年11月期)にゲーム2タイトルを売却しましたことによりまして、減収・赤字拡大となっています。

セグメント別業績:①開発推進・支援事業

それぞれのセグメント別(業績)を、もう少し詳しくご説明いたします。

開発推進・支援事業は先ほど申し上げましたが、黒字転換をいたしました。売上・セグメント利益ともに、今のところ計画を上回る推移を見せています。

開発推進・支援事業の中には、さらにサブセグメントが3つあります。開発案件セグメント、ミドルウェアセグメント、ソリューションセグメントです。

開発案件のセグメントに関しては、計画を上回る推移を見せています。とくに注力分野である自動車業界向けも好調に推移し、計画を上回っています。

ミドルウェアに関しましては、第1四半期に予定していた案件が、期ずれを起こしたことにより、計画を下回っていますが、これは次の期に回収できるものと考えています。

ソリューションに関しましては、前年同期比で減少していますが、こちらは主に我々が行っています、サーバーのポスティング事業がクラウドに移行していることによる影響となっていまして、これは概ね想定どおりの動きとなっています。

セグメント別業績:②コンテンツ事業

続いて、コンテンツ事業になります。

こちらは先ほどご説明いたしましたが、ゲーム2タイトルの譲渡による売上高の減少および新作ゲームの開発費用の負担により、前年同期比で減収・赤字幅の拡大という結果になっています。

ただ、当四半期に新作ゲームをリリースしなかったことは期初計画どおりの推移です。

既存ゲームタイトルの売上に関しましては、やや苦戦し、計画を少し下回る推移を見せている状況です。

セグメント別業績:③人材事業

続いて、人材事業になります。

こちらは引き続き、業績が好調に推移していまして、前年同期比で増収増益を達成しています。売上・セグメント利益ともに概ね計画どおりで推移をしていますので、こちらは心配ない状態であると思っています。

2018年11月期第1四半期 連結貸借対照表

続いて、2018年11月期第1四半期の連結貸借対照表になります。

こちらは、当期純損失を計上していますので、自己資本比率が47.9パーセントに低下しています。

有利子負債に関しましては、前期末から横ばいの推移となっています。

以上が(2018年11月期)第1四半期の業績です。

現状認識①

続きまして、今後の成長戦略について、ご説明いたします。

まず、我々の会社を取り巻く環境の現状認識について、お話しいたします。

事業環境として、エンターテインメント業界ですが、こちらに関しましては、スマホゲーム市場と、家庭用ゲーム・PCゲーム市場と、大きく2つに分類しています。

スマホゲーム市場につきましては、市場拡大が続くものの、全体的に寡占化が進んでいるかなと認識しています。そのような意味では、コンテンツ事業として、進めていくのは非常に、厳しくなっている状況であると認識しています。

一方で、寡占化が進んでいますので、各ゲーム会社さんで、ユーザーの獲得および 囲い込みが活発化していますので、これは後述する、我々の新しいサービス『YOKOZUNA data』の需要増加になるのではないかと期待しています。

一方、家庭用ゲーム・PCオンラインゲーム市場につきましては、拡大が続いていると認識しています。とくに家庭用ゲーム市場は「Nintendo Switch」がヒットしたことにより、全体的に回復の兆しが感じられます。

「Nintendo Switch」がヒットしたことによる当社への影響としまして、各ゲーム会社さんがゲームソフトの開発をかなり増やしているということは、とくに、我々のミドルウェア事業に関して、ビジネスチャンスがあるのではないかと考えています。

現状認識②

続きまして、非エンターテインメント業界について、ご説明いたします。

一昨年ほど前から、非エンターテインメント業界向けの売上を伸ばしていこうと活動をしてまいりました。その中で最近、自動車や、住宅・不動産業界向けのCG案件が増加していると感じています。

また、自動運転等でAIの開発が活発になっていますが、そちらを支援するための機械学習用のCGデータ制作といった案件が出てきており、これは今後、伸びていくのではないかと感じています。

また、2年ほど前からいろいろと話題になっている、AR・VRに関しまして、課題が残っているものの、以前よりは身近な存在になり、まだ実験段階ではあるのですが、さまざまな業界で活用の動きが出てきていると感じています。

実際、我々でもAR・VRの案件をいくつかさせていただきまして、非常に将来性を感じています。ただ、AR・VRに限らず、CG案件へのニーズは全体的に増えています。非エンターテインメント業界でも増えていると感じていますので、当社にとってはビジネスチャンスが広がっていると考えています。

当社の現状としましては、まだ、エンターテインメント業界向けの売上比率が90パーセント超ですので、非エンターテインメント(業界売上)を伸ばすことによる、全体的な業績の回復は目指せると感じています。

また、国内の売上比率も、まだ90パーセントありますので、これを今後、海外でも伸ばしていきたいと考えています。

今後の成長戦略①

このような事業環境の中、今後の成長戦略をセグメント別にご説明いたします。

まず、開発推進・支援事業です。こちらは、昨年(2017年)買収いたしましたミドルウェア『Enlighten』を軸に販売を伸ばしてまいりたいと思います。

『Enlighten』は世界的に非常に知名度が高いソフトウェアでしたので、とくに海外での販売活動の強化を行ってまいりたいと思います。『Enlighten』が海外で売れるようになれば、『Mizuchi』や『YEBIS』といった当社の製品も、さらに販売が拡大できるのではないかと期待しています。

また、非エンターテインメント業界においては、成長余地の大きい自動車、住宅、映像業界に向けて販売拡大を目指してまいります。

また後ほど、ご説明いたしますが、とくに自動車業界においては実績も出てきており、(売上拡大の)見通しも期待できるものとなっています。

新しい領域として我々が取り組んでいますデータサイエンス領域も、新サービス『YOKOZUNA data』を開始していまして、 顧客獲得を目指してまいりたいと思っています。

今後の成長戦略②

続きまして、コンテンツ事業になります。

こちらは非常に厳しい環境の中で、積極的に行っていく戦略になりますが、新規タイトル開発に関しましては、市場分析を十分に行って、慎重に取り組んでまいりたいと思っています。やはり、知名度の高いIPの獲得を常に目指してまいります。

これまでと違う動きとしましては、プロモーション活動の早期化をはじめていまして、我々のタイトルの中では、例えば「パレットパレード」という女性向けのタイトルは、発売の1年以上前からプロモーション活動をしており、徐々に認知度が高まっています。

すでに、Twitterのフォロワー数も3万人を超えている状況ですので、ゲームが発売される前の状態、発売日も決まっていない状態で、それぐらい(フォロワーが)集まっていますので、このような活動をすることにより、タイトルが出たときの売上拡大を目指してまいりたいと思っています。

人材事業に関しましては、好調に推移していますが、クリエイティブ業界での成長余地はまだまだあると感じています。引き続き、この業界に特化して、強化してまいりたいと考えています。

既存事業の中で、コンテンツ以外の、とくに堅調な事業に関しましては、積み上げ型で売上を伸ばすとともに、新しく、サービス等でストック型の収益を確保していきたいと考えています。

注力分野 ①ミドルウェア

成長戦略の中で、とくに注力している分野について、3つほど深掘りして、ご説明いたします。

まず、1つ目のミドルウェアとして、先ほど申し上げた『Enlighten』に注力して、強化してまいりたいと思っています。

『Enlighten』という製品ですが、どのようなものかと申し上げますと、非常に専門的なのですが、リアルタイムに光の計算をするソフトウェアになっています。

その中でも、間接光という反射した光を計算する業界唯一のミドルウェアでして、これは非常に高く評価をいただいており、国内・海外ともに非常に有名なゲームで多数の採用実績がございます。

また、マルチプラットフォームに対応していまして、「Nintendo Switch」にも、すでに対応しており、すでにタイトルも発売されています。

技術自体はゲームに限らず、建築、映像、自動車業界でも活用いただけるものですので、今後、そのような業界に向けてもアピールしてまいりたいと思っています。

もともと海外で販売されていたものを、昨年(2017年)我々が買収したので、海外での販売を強化してまいりたいと思うのですが、我々が取得したことへの認知度を上げるために、精力的なプロモーション活動を展開してまいりたいと思っています。

『Enlighten』を世界で販売する際に、我々の既存の製品である『Mizuchi』や『YEBIS』といったものも、合わせて提案することによって、全世界での販売の拡大を目指してまいります。

言葉だけですと、イメージがつかないかもしれませんので、映像を用意いたしました。これは(2018年)3月にサンフランシスコで行われた「Game Developers Conference」というゲーム業界の大きなイベントです。

(映像が流れる)

寺田:そちらでお披露目したデモンストレーションなのですが、このような屋外で、太陽の光によって照らされる環境の光の計算を行っています。

例えば、崖の下などに回り込んでいくような光の計算は非常に難しいのですが、そのような難しい計算をリアルタイムに行っています。昼だけではなく、夜の月明かりだったり、さまざまな光の計算に適応できる製品になっています。

当然、室内の領域でも使えます。これはマンションの窓から入っている光だけで、部屋が照らされている状態を示しています。実際に建築業界において「どれだけ日当たりがあるのか」という計算にも、十分に使っていただけるものだと思っています。

また、モバイルでも、すでに採用実績がありまして、こちらは「Nintendo Switch」で出たゲームでの採用です。今までとは違って、リアルな質感というよりは、少しアニメ調の質感なのですが、そのようなものでも光の計算用として、使っていただくことが可能となっています。

多様な使い方ができるミドルウェアとして、非常に有名なタイトルで、たくさん使っていただいていますので、その知名度を使って、世界で販売を伸ばしてまいりたいと考えています。

注力分野 ②自動車業界向け事業

続きまして、2つ目の注力分野として、自動車業界向けの事業です。

近年、自動車がかなりコンピューター化されており、自動運転用にたくさんのコンピューターが内蔵されています。また、自動車業界では、ナビゲーション周りの部分が液晶化されて、かなり大きなディスプレイが搭載されるということが今後、起こってきます。

その中で、自動車メーカーさんは、次世代自動車開発に向けての動きを活発化させています。今まで、自動車内部のソフトウェアというのは、かなりポーションが低かったのですが、非常に拡大していまして、当社のビジネスチャンスも増加していると感じています。

実際に、どのようなところで、我々の技術が活かされているかをご説明いたします。

主に2つありまして、1つは車載HMI関連事業、これはディスプレイ周りです。今まで、メーターがアナログで行っていたものが、液晶化されてデジタルになっています。さらに、エアコンやラジオなどもかなり大型化されています。将来的には(デジタル化によって)全部繋がっていく流れになるのではないかと思っています。

そのような中で、みなさん、かなりリッチな映像表現を求めてらっしゃいまして、そこで当社のリアルタイム3DCG技術やデザイン力が評価されています。自動車のダッシュボード周りのデジタル化のためのソフトウェア開発の支援に、我々が今取り組んでいます。

もう1つが自動運転関連事業です。今、自動運転の開発が活発に進められているのですが、自動運転の中で使われているコンピュータのパーツは、主にGPUという、グラフィックスで使っている演算器を、そのまま別の用途として使っています。

我々はゲーム開発で培ったGPUを活用するための技術に長けていますので、そのようなところでご評価いただきまして、自動運転関連のソフトウェア開発の支援を行っています。

このような自動車業界向けの事業は、今後も着実に増収を計画できる見通しでいまして、来期以降も成長が見込める分野となっています。

今は、主に開発の支援というかたちで、受託開発のような業態が多いのですが、将来的には、自社のHMIソリューションを提供することを予定しており、開発中でございます。

中長期的には、そのようなものをライセンスするかたちで、ストック型のビジネス構築を目指してまいりたいと考えています。

注力分野 ③データサイエンス領域

3つ目は新しい領域として、データサイエンスの領域になります。

今、我々は『YOKOZUNA data』というサービスを開始したのですが、これはゲームのユーザーの行動予測を行う、非常に高度な機械学習エンジンとなっています。

特徴としましては、将来予測を行う機械学習のエンジンで、手法としましてはディープラーニング、アンサンブルラーニングといった手法を活用しまして、ビッグデータの解析を行います。

データの分析というものは、今までもよくあったのですが、それを将来予測に広げるといったところは、まだ非常に新しい領域で、そこに対して我々がかなり先行して開発を進めている状況です。

実際に(『YOKOZUNA data』によって)どのようなことが分かるかと言いますと、一番簡単な例としては、個々のゲームであれば、ゲームユーザーがいつ課金を止めるか、もしくはいつゲームを止めてしまうかを、事前に予測することができます。

その事前の予測に基づいて、どのような施策を打てば、それを継続できるか、引き続き、楽しんでもらえるかといった、アクションを起こすための時間を稼ぐことができます。これを使って、売上や利用率を上げていくといったことが可能になっています。

こちらの『YOKOZUNA data』をサービスとして提供して、ゲームユーザー数に応じた月次の利用料を得るかたちで、ストック型のビジネスモデルになっています。利用企業が増えていけば、積上げ型の収益基盤強化を図ることができます。

今はゲームに特化したかたちでサービスを開始したのですが、ゲーム以外の分野でも、利用者が継続的にあるようなサービス、有料会員がいるようなサービスや会員制のサービスなどでも活用いただくことができます。

とくにヘルスケア分野では、注目を受けていまして、そのような業界にも中長期的には参入して、利用企業の獲得を目指してまいりたいと思います。

『YOKOZUNA data』最優秀論文賞受賞

『YOKOZUNA data』に関しては非常に新しいものですので、みなさん、(実用性について)何らかの裏付けがほしいと言われるケースがございます。我々としては、論文を発表することによって、それを証明していこうと考えています。

すでに4本ほど論文を発表して、各学会で採択されているのですが、つい先月(2018年3月)シンガポールで行われました「FICC(Future of Information and Communication Conference)2018」という学会においても、論文を発表いたしました。そこで『YOKOZUNA data』が、最優秀論文賞を受賞しています。

こちらは世界的な機関であるIEEE(米国電気電子学会)の論文集にも掲載予定となっていまして、学術的あるいはロジックとしての正しさ、堅牢さといったものが証明されている内容になっています。

このような新しいサービスも今後、伸ばしてまいりたいと思っています。

第三者割当による新株予約権発行について

続きまして、トピックスをお話しいたします。

こちらは(2018年)3月9日に開示いたしました、第三者割当による新株予約権の発行について(の内容)になります。

主に開発推進・支援事業のような、開発を要する部分に関して、エンジニアの採用や開発費用などに充当することを計画しています。これによって資本を強化し、今後の成長に使ってまいりたいと考えています。

2018年11月期連結業績予想

続きまして、2018年11月期の連結業績予想になります。

先ほど第1四半期の決算を申し上げましたが、第1四半期としましては期初計画どおりの推移を示していますので、2018年1月15日公表の業績予想から、今のところは変更していません。

今期の見通しとしましては、開発推進・支援事業は計画を上回る見通しとなっています。コンテンツ事業は、新作ゲームに関しては、計画どおりの日程でリリースすることを予定しています。また、既存ゲームに関しては、計画を少し下回る見通しです。

人材事業に関しましては、計画どおりの見通しで、業績予想に関しては変更なしということで、現時点では発表しています。

2018年11月期配当予想

2018年11月期の配当予想ですが、今のところは、財務基盤の強化を優先いたしまして、2018年11月期も無配とさせていただきたいと思っています。

業績回復および収益力向上に向けた取り組みを着実に実行しまして、早期に復配できるように努めてまいりたいと思いますので、ご理解をいただければと思います。

コンテンツ事業:新規配信タイトル①

最後に配信予定、もしくは配信しているタイトルについてご紹介いたします。

まず『療成敗!ジェットナース』は完全なオリジナルタイトルですが、こちらは(2018年)4月10日にリリースをしています。まだ、サイレントスタートと言いますか、大きなプロモーションもかけずにスタートして、各種KPIが改善してから、今後伸ばしていきたいと考えています。

コンテンツ事業:新規配信タイトル②

続きまして『パレットパレード』です。こちらもオリジナルタイトルではあるのですが、こちらは逆に、昨年(2017年)からずっとプロモーションをしてきていまして、今年(2018年)の夏に、いい状態でリリースできればと思っています。女性向けのタイトルになっています。

コンテンツ事業:新規配信タイトル③

そして3つ目が、IPものである『トリニティセブン』です。こちらも(2018年)夏頃リリースを予定しています。

以上で、2018年11月期第1四半期の決算のご説明とさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。