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投資嫌いの原因は、労働嫌いにあり? 働く意欲を失わせる“ブラック消費者”たち

2017年10月22日に、株式会社マネーフォワードによる「お金のEXPO2017」が開催されました。“人生100年時代”を生き抜くための「人生設計」と「お金の使い方」について、さまざまな講演が行われました。「投資のプロが教える 資産づくりのはじめ方」では、レオス・キャピタルワークスの藤野英人氏が登壇。働くこと=「ストレスと時間をお金に換えること」という考え方が、会社嫌い・投資嫌いにつながるそうです。藤野氏が「ありがとう」と投資・労働の関係を語ります。

シリーズ
マネーフォワード お金のEXPO2017 > 投資のプロが教える 資産づくりのはじめ方
2017年10月22日のログ
スピーカー
レオス・キャピタルワークス株式会社 代表取締役社長 最高投資責任者 藤野英人 氏
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マネーフォワード お金のEXPO2017 > 投資のプロが教える 資産づくりのはじめ方
2017年10月22日のログ
スピーカー
レオス・キャピタルワークス株式会社 代表取締役社長 最高投資責任者 藤野英人 氏

投資詐欺が世界でもっとも多い国

mfexpo2017-fujino-008 藤野英人氏 「投資についての教育を受けていない」についてのお話です。今日は「お金のEXPO」ということで、みなさんは勉強されているわけですから、こういう目で見ると(この場も)投資教育の場です。 投資未経験者に、「資産形成のために、有価証券投資をすることは必要ですか?」と聞くと、だいたい8割の人が「そんなものは必要ありません」と言います。 (スライド下部の円グラフを指して)これは、投資教育を受けた人の割合です。投資教育を受けたことのある人は、人口の3割。7割の人は、投資教育を受けたことがありません。たぶん、みなさんのお友達には、投資教育を受けたことがない人が多いのではないでしょうか。 そこで、投資教育を受けたことがないという人に聞きました。「将来、投資の勉強をしたいと思いますか?」と聞いたら、その(投資教育を受けていない)70パーセントの人がみんな、「投資の勉強なんかしたくない」という人が多いです。株式の話をしようとすると、耳を塞いで、「そんなことを聞くと僕、耳が駄目になっちゃう」みたいな人が多いんですよ。 だから、(投資教育を受けていない人が)70パーセントで、(そのうち70パーセントが、今後も知識を身につけたいと思わないので)49パーセント。国民の2人に1人が、投資について勉強したことがないし、これから勉強する気もまったくないという状態になってます。 だから、(日本は)投資詐欺が世界の中でもっとも多くて、騙される人が多いということもそうだし、なかなかお金が投資で回らないというところもあります。そもそも、投資について勉強したくない人が多いから。これは、とても残念な事実です。 mfexpo2017-fujino-009 さらに、働くことについて聞いてみました。「働くことの意義ってどうですか?」と聞くと、「働くのは当たり前だと思う」という人が、39.1パーセント。60パーセントが「当たり前じゃない」って言ってるんですね。「できれば働きたくない」人が、28.7パーセント。 あと、社員の「組織貢献・愛着度」を聞くと、日本は31パーセントで、世界28ヶ国中最低なんですね。アメリカは59パーセント、ドイツが47パーセントという数字になってます。(この数字は)「従業員エンゲージメント調査」というものによります。 みなさんは、今働いている自分の会社、好きでしょうか? 「自分の会社は好き? 嫌い?」と聞くと、だいたいこれ(働くことの意義について)のデータとよく似ています。半分くらいの人が嫌いと言ってます。みなさんはどうでしょうか? けっこう、これは投資に関係しています。私が調査して、どういう会社に投資をするのかという時に重要なのは、会社に行って社員さんの顔を見ることです。社員さんの顔を見て、明るく挨拶をしてくれて、気持ちのいい人たちがたくさんいる会社に投資をすると、うまくいくんですね。逆に、暗くて伏し目がちで、挨拶をしなくて、なんとなく仕事が好きそうではない人たちがたくさんいたら……それはなかなか、仕事でうまくいくわけがないんですよね。 なぜ日本の経済成長が低かったかというと、(一般的に)少子高齢化のせいだと話してるんですが、少子高齢化はこれから大きく始まる話です。この30年間むしろ人口が増えていたってことを考えると、少子高齢化のせいには、なかなかしにくいかなと思っています。ここの問題は、けっこう重要なところかなあと思ってます。

働くことが楽しくないのは、「ブラック消費者」のせい?

2ヶ月前に名古屋で、20代から50代までの若手向けのセミナーをしました。そこで(今日と)同じ話をしたんですね。そうしたら、セミナーの終わりの質問時間に、40代ぐらいの人が質問してね。 「藤野さん、これにはちょっと納得がいきません」。そうですか、どこらへんが納得いかないんですか? 「私の周りの友達に聞く限り、自分の会社が好きな人というのは、1人もいません」と言ったんですね。そっちだったのか、みたいな。 mf_f_2_2 それで、聞いてみたんです。ここではちょっと怖いので、今日は質問しないけどね。「自分の会社が好きな人? 嫌いな人?」と質問しました。名古屋の私のセミナーを聞きに来る人のうち50パーセントが、「自分の会社が好きです」って手を挙げてました。50パーセントが、「自分の会社が嫌いです」って手を挙げました。 でも、私のセミナーに来て、投資に関心がある人たちが集まってきたところで、「自分の会社が好き」が50人、「自分の会社が嫌い」が50人ですから。世の中が、どういう水準になってるかっていうのは、見て取れると思います。その(質問した)人も、「こんなに好きな人がいるんですか!」って、驚いてました。だから、「(会場にいる)何人かで、友達になるといいよ」って言ったんですけれども。 実は2週間前に、日経新聞が主催のフィンテックに関するセミナーがあって、同じことを聞いてみたんです。その時に来てた人は、けっこう大手官公庁の官僚さんとか、ジャーナリストとか、ITのけっこう有名な会社の人とか、それから、アナリストとか。いわゆる「勝ち組」と言われている、エリートっぽい人たちがたくさん来ていたんですね。 (そこでも)同じ質問をしました。手を挙げなくてもいい仕組みだったんです。ボタンでイエスかノーかを答えられる仕組みがあったので、聞きました。 「みなさん、自分の会社は好きですか? 嫌いですか?」と聞いたら、同じだったんですね。50パーセントの人が好きって言ったけど、50パーセントの人は嫌いって言ってました。これがたぶん、日本の実態だと思います。 mfexpo2017-fujino-010 なんでこんなことになるのかというと、たぶん、働く現場に対する尊敬が少ないんじゃないかなあと思うんですね。とくにブラック企業といわれてるところでは、「会社がブラックだ」ということもありますが、「お客さまがブラックだ」ということが、けっこう多いんじゃないかなと思うんです。 だから、例えば(スライドを見て)みなさん、こんな親父……(ここには)それっぽい人がいないから、いいと思うんですけどね(笑)。居酒屋とかで、けっこう怒ってるおじさんとかおばさんがいるじゃないですか。ガンガン怒ってる人ね。アルバイトの子が(料理を)出す順番を間違えたとか、なかなか持って来れなかったとか、遅かったとか。そういうことで、怒られちゃうわけですけれども。こういう体験を聞くと、働いてる子たちが、なんて理不尽な思いをしているんだろうと、すごく思うんですよね。 だから、アルバイトをした経験のある人ほど、就労に対するイメージが悪化するという現状があります。(私は)いろんな大学で教えてるんですけれども、アンケートを採ってみてわかるのは、アルバイト経験がある人ほど、働くことが嫌いだという話があるので……これ、けっこう問題ですよね。 就労経験が増えれば増えるほど、働くことが楽しいって思わなきゃいけないのに、働きたくないと思う人が増えるのは、いかに現場が腐っているのか。腐っているのは、もちろん、会社が腐ってる以上に、お客さまが腐ってる可能性が高いと私は思っています。 (スライドを見て)例えば、こういう場面ですね。コンビニエンスストアで買い物をする時に、私はいつも見ているんですけれども。コンビニの店員に「ありがとう」とか、挨拶をする人って、ほとんどいないですよ。みなさんはしてますよね? ぜひ、してもらいたいなと思います。 私は仕事柄、飛行機に乗る機会があるわけですけど。そうすると、キャビンアテンダントの方が、出口に並んでご挨拶してくれますよね。彼女らが、「お疲れ様でした」とか「良い旅を」ってお話をする時に、けっこういいスーツを着て、アタッシュケースを持った立派そうなおじさんたちが、挨拶もしないで行く。若い人もシニアも、総じて挨拶をしないけれども。CAさんに挨拶する人、ほとんどいないですよね。 mf_f_2_1 でも、海外に行くと、ほとんど(の人が)挨拶します。マクドナルドで食べ物を買っても店員さんに挨拶するし、キヨスクで物を買っても挨拶します。お客さまに対してはおもてなしをするんだけども、お客さまのほうは、して当然・されて当然という気持ちが、すごくあるんじゃないかなあと。これが、すごく現場を苦しめているんじゃないかなと思うんです。 だから、日本で「働くこと」が楽しくないのは、「ブラック消費者」のせいではないかと思います。 mfexpo2017-fujino-011 だから、こういうふうになってるんですね。労働嫌い。働くことは「ストレスと時間をお金に換えること」という考え方が広がっていって、会社嫌い(につながる)と。 だから、「仕事を通して世の中を良くする」ということを言っても、会社そのものが好きにならないから、投資嫌い(につながる)ということも多いんです。投資したとしても、「(投資は)ただ株価を追って、値上がり益を獲得するゲームである」と考える人が増えるということに、なってるんじゃないかなと思います。

「ありがとう」は、今すぐできる投資の一つ

mfexpo2017-fujino-012 私は、これをなんとかしたいなあと思って、いろんなセミナーで、この話をとてもたくさんしています。だからまず、誰でもできる簡単な投資というのは、「ありがとう」って言うことなんですね。 投資というのは、分母に投資をするエネルギー(コスト)があって、上のところ(分子)にリターンがあります。そうすると、投入するもののコストが安いこと。分子の数字に対して分母が低ければ、前提のリターン率が高くなるということです。一般的に、「お金がかからないけれども、付加価値の高いことをできるのか」ということが、リターンを出す大きな方法です。 「『ありがとう』って言うこと」は、コストがかからないから、(投資の観点では)ものすごくいいことです。ほとんど……1円もかからないじゃないですか。コスト的にいうとね。さらにすばらしいのは、税金もかからないことですね。「ありがとう税」も、消費税もかからないわけですよ。そうすると、「『ありがとう』をたくさん言う」っていうことは、人生におけるすごい武器でもあるし、みなさんの生活を豊かにします。 だから、もし少しでも「(たしかに)そうだ」と思ったら、ぜひ2週間ぐらい、身の回りの人に「ありがとう」って言ってみてください。旦那さんとか奥さんとか、彼とか彼女とか、上司とか駅員さんとか、コンビニの店員とか居酒屋のおじさんとか。そういう人たちに、ぜひ「ありがとう」って言ってほしい。絶対に、人生が変わりますから。これが、投資ですよ。 mfexpo2017-fujino-013 (「ありがとう」の一言から)「働くことっていいよね」ということを増やせば、「会社大好き」の人が増えるし、「会社大好き」の人が増えれば、「投資大好き」だという(人が増えて)グッドスパイラルが起きるんじゃないかなあと思ってます。 mfexpo2017-fujino-014 「ありがとう」も、立派な投資なんですね。 「投資」の定義とは、「エネルギーを投入して、未来からのお返しをいただくこと」だと、私は思ってます。 「エネルギーとは何か?」というのは、情熱・行動・時間・回数・知恵・体力・運・愛情・お金。これら全部を掛け算したものが、エネルギーです。ポイントは「掛け算」ということです。例えば、(この中で)「体力」があまりなければ、「愛情」を注ぐ・「知恵」を出す・「回数」を増やす・「情熱」を持つところを上げていけば、全体でけっこう大きな数字になってきます。ちょっとずつ増やせばいいってことですね。 問題は、(この中で)何か「ゼロ」があってしまったら……掛け算なので、全部ゼロになってしまうってことです。例えば、全部(の要素)を持っていたとしても、「情熱」がゼロだったら、なかなかうまくいかないですよね。それから、「回数」がゼロだった場合。(要素が)全部あっても……すごくやる気(情熱)があるし、頭(知恵)もいいし、「体力」もあるし、「愛情」を注ぎ、「お金」も持ってるんだけど、(投資を)1回もやらない場合。これは、絶対に成功しないわけです。だから、これは掛け算だということですね。 「未来からのお返し」というのは、プロダクト(モノ・サービス)・感謝・成長・経験・お金を、かけ合わせたものになります。 mfexpo2017-fujino-015 だから、「ありがとう」の投資で、よい社会が作れるんじゃないかなと思います。

自己投資は、最強の投資になる

mfexpo2017-fujino-016 みなさんも、ファンドマネージャーです。みなさんも今、手元に「お金」があるし、「体力」もあるし、「知恵」もあるということです。そういう面で見れば、みなさんがそれを活かしながら、どうやって世の中をよくしていくのか、みなさんの資産を増やしていくのかを考えることが大事です。 そういう目で見ると、みなさん一人ひとりが、ファンドマネージャーということになります。ファンドマネージャーとして、もっとも重要なことは何かというと、「自己投資」です。これは、とても大事です。この間なにかの記事で、ウォーレン・バフェットさんという、世界でいちばんのお金持ちの人が、「いちばんいい投資は何かというと、自己投資だ」と言ってました。 「自分に知恵・知識・考え方などが身についたとしても、それに課税されることはない」と言ってたんですね。税金がかからないし、それから、外に持っていかれる(手元からなくなる)ことがあまりないですね。みなさんの中に、蓄えられたものを一生持ち続けることができるので、そういう目で見ると、自己投資は最強の投資になります。 あとは、教育投資ですね。自己投資が最強であれば、人にしてあげる教育投資も最強なわけです。自分の子どもや部下・仲間に、自分の知恵や考え方を伝えていくということが、とても大切です。 mfexpo2017-fujino-017 すべてが、投資でできています。例えば、このスクリーン。ここ(天井)から生えてきたわけじゃないでしょう。誰かが投資をして、どこかの工場でこれを造り、ここに持ってきた、ということになります。このプロジェクターもそうだし、このパソコンも、みなさんが着てる服や下着も、(持っている)カバンも財布も、すべてですね。 誰かがどこかで、リスクを取って工場を造り、人が働く。成功するか失敗するかわからないけれども、気に入ってもらえるかもしれない商品を出して、それで売上を出す。その売上から従業員に給料を支払い、仕入先にお金を支払い、配当に回して……それで成り立っているわけです。 そういう目で見ると、僕らは、すべて誰かが投資してきたものの道を歩いてきてるっていうことです。だから、「投資が嫌い」なんていうのは、そもそもあり得ないということになってきます。

  
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