2018年3月期第3四半期決算説明会

坂本修一氏:みなさん、こんにちは。本日はお忙しい中、当社の決算説明会にご参加いただき、お礼申し上げます。最初に今回の第3四半期決算について概要を申し上げます。この10月から12月につきましては、各事業ともに堅調な需要に支えられ、販売数量が順調に拡大したことに加え、石油化学製品市況の上昇や、為替が円安方向に振れたこともあり、業績は順調に推移いたしました。

第3四半期累計期間の業績といたしましては、数量拡大、交易条件の改善、米国税制改正の影響などにより、売上高・営業利益・経常利益・四半期純利益のすべてで、前年同期を上回り、過去最高となりました。今年度の通期予想につきましては、足元の為替や原油価格の動向など、やや不透明な部分もありますが、(2017年)11月公表の業績予想に対して、それぞれの項目で上方修正しており、過去最高値を更新する着地になると見ています。

主要決算数値

それでは資料に沿って、2017年度第3四半期累計期間の業績をご説明いたします。4ページをご覧ください。まず売上高は1兆4,845億円で、前年同期比で1,277億円、9.4パーセントの増収。営業利益は1,492億円で351億円、30.7パーセントの増益となりました。

マテリアルセグメントの各事業やクリティカルケア事業の販売が好調であったこと、アクリロニトリル・合成ゴムなどの交易条件が改善したことが増益の主な要因となっています。また、円安の影響も受けました。

経常利益は1,605億円で、持分法投資損益が改善したことなどから422億円、35.6パーセントの増益となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益は1,403億円で、政策保有株式の売却を行ったことや、米国税制改正の影響により、税金費用が減少したことなどから507億円、56.5パーセントの増益となりました。

第3四半期累計では売上高・営業利益・経常利益・四半期純利益のすべてで、過去最高となりました。今回の決算においてナフサ価格は、10月から12月の平均でキロリットル当たり4万4,600円。4月から12月の平均で3万9,933円となりました。前年の4月から12月の平均と比較しますと、7,633円のナフサ高となっています。また、期中平均為替レートは4月から12月で1ドルあたり112円となり、前年同期比で5円の円安となりました。

連結貸借対照表の概況はご覧のとおりで、総資産・自己資本が増加しています。D/Eレシオは自己資本が増加したことで0.04ポイント下がり、0.31となりました。

連損益計算書

続きまして5ページで、第3四半期累計期間の連結損益計算書をご説明いたします。売上高を(第3四半期累計で)1兆4,845億円計上いたしまして、売上総利益は4,820億円となりました。売上高比率は32.5パーセントと0.9ポイント改善していますが、これはケミカル事業を中心に原料スプレッドが改善し、売上原価率が下がったことによるものです。

販管費は3,328億円で、前年同期比で188億円増加しています。研究開発費が増加していること、マーケティング強化のため人員を増やしていることなどが主な要因です。結果として、営業利益は1,492億円となり、売上高営業利益率は1.6ポイント改善し、10.0パーセントとなりました。営業外損益は114億円の益となり、前年同期比で71億円改善しています。タイのPTT旭ケミカル社でAN(アクリロニトリリル)やMMA(メチルメタクリレート)が順調に推移したことなどにより、持分法投資損益が改善いたしました。

特別損益は108億円の益となり、その結果、税前利益は1,714億円となりました。法人税等につきましては、昨年度・本年度ともに特殊な要因で税率が下がっています。昨年度は持株会社と事業会社3社の統合により、税効果会計基準に従って繰延税金資産の回収可能性を見直した結果、法人税等が減少いたしました。

本年度は米国税制改正の影響により税率の引き下げが決定したため、税効果会計基準に従い、ゾール・ポリポア買収時に計上した繰延税金負債の取り崩しを行った結果、法人税等が減少しました。本年度の第3四半期累計の法人税等は、昨年度から10億円減少し、295億円となりました。結果として、親会社株主に帰属する四半期純利益は1,403億円となり、前年同期比で507億円、56.5パーセントの増益となりました。

特別損益

続きまして、6ページで特別損益についてご説明いたします。特別利益は156億円で、前年同期比で57億円の増益となりました。政策保有株式の売却を進めたことにより、投資有価証券売却益を計上しています。特別損失は48億円で、前年同期比で21億円の改善となりました。結果として特別損益は108億円の益となり、前年同期比で78億円の改善となりました。

連結貸借対照表

7ページの連結貸借対照表をご覧ください。2017年3月末と12月末を比較しますと、総資産が1,680億円増加しています。売上が好調であったことや、期末休日の影響で現預金・売掛債権などが増加しています。また、保有株式の時価が上昇したことなどにより、投資有価証券残高も増加しています。

負債につきましては、175億円増加いたしました。米国税制改正の影響により繰延税金負債を取り崩したことで、固定負債が減少いたしましたが、期末休日の影響で買掛債務などの流動負債が増加いたしました。

純資産は1,505億円増加いたしました。四半期純利益を1,403億円計上したことが主な要因です。

連結キャッシュ・フロー計算書

8ページの連結キャッシュ・フロー計算書をご覧ください。 営業活動によるキャッシュ・フローは1,540億円のキャッシュ・インとなりました。これは税金等調整前四半期純利益1,714億円を計上したことが主な要因です。

投資活動によるキャッシュ・フローは691億円のキャッシュ・アウトとなり、フリー・キャッシュ・フローは850億円のキャッシュ・インとなりました。財務活動によるキャッシュ・フローは配当の支払いなどにより431億円のキャッシュ・アウトとなりました。

結果として、現金および現金同等物の四半期末残高は1,913億円となりました。

セグメント別売上高・営業利益(2)(9ヶ月累計・4 -12月比較)

10ページでセグメント別の売上高・営業利益についてご説明いたします。 マテリアル、住宅、ヘルスケアのすべてのセグメントにおいて、前年同期比で増収増益となりました。

事業別売上高・営業利益 増減要因(9ヶ月累計・4 -12月比較)(1)

事業別の業績分析につきましては、13ページ以降でご説明いたします。それでは13ページをご覧ください。

繊維事業は、、増収微増益となりました。原燃料価格高騰の影響を受けましたが、カーインテリア向けなどに使用されるマイクロファイバースエード「ラムース」などの業績が好調に推移いたしました。

ケミカル事業は増収増益となりました。このうち石油化学事業はAMやMMAなどで交易条件が改善し、増収増益となりました。4月から12月などの市況とスプレッドの実績を申し上げますと、AMはトンあたり1,637ドル、プロピレンは908ドルで、原料スプレッドは729ドルでした。

とくにAMにつきましては、第3四半期のスプレッドが865ドルとなり、増益に寄与いたしました。高機能ポリマー事業は、合成ゴムにおいて交易条件が改善したことや、エンジニアリング樹脂の販売が順調に推移したことなどから、増収増益となりました。高機能マテリアル事業、消費財事業はイオン交換膜や電子材料製品などの販売数量が増加したことなどから、増収増益となりました。

エレクトロニクス事業は、増収増益となりました。このうちセパレータ事業は増収増益となりました。リチウム二次電池用セパレータを中心に各製品の販売数量が大幅に増加しました。電子部品事業も増収増益となりました。カメラモジュール用電子部品や、家電向け磁気センサなどの販売が順調に推移いたしました。

住宅事業は増収増益となりました。このうち建築請負部門は集合住宅ヘーベルメゾンの引渡棟数が減少し、広告宣伝費などの販管費が増加したことなどから、減収減益となりましたが、不動産部門およびリフォーム部門は増収増益となりました。

不動産部門の、賃貸管理事業および分譲事業がともに順調に推移し、リフォーム部門も堅調に推移いたしました。なお、建築請負部門の受注高につきましては、4月から9月では前年同期を下回りましたが、10月から12月は前年同期比16.4パーセントの受注増となり、4月から12月の合計は前年同期並みとなりました。戸建住宅の受注は減少しましたが、賃貸住宅などの需要が堅調に推移し、集合住宅の受注が増加いたしました。

建材事業はフェノールフォーム断熱材「ネオマフォーム」などの販売数量が堅調に推移しましたが、原燃料価格高騰の影響を受け、売上高は増収。営業利益は前年同期並みとなりました。

事業別売上高・営業利益 増減要因(9ヶ月累計・4 -12月比較)(2)

14ページをご覧ください。

医薬・医療事業は増収増益となりました。このうち医薬事業は減収減益となりました。骨粗鬆症治療薬「テリボン」などの販売数量が増加しましたが、排尿障害改善剤「フリバス」を中心に後発医薬品の影響を受けました。

医療事業は増収増益となりました。各事業とも堅調に推移したことに加え、円安の効果もありました。

クリティカルケア事業は、医療機関向け除細動器の販売数量が増加し、着用型自動除細動器「LifeVest」の業績が堅調に推移したことなどから、増収増益となりました。

当期の業績予想

続いて16ページで2017年度の業績予想をご説明いたします。

今回見直した17年度通期の予想と(2017年)11月に発表した前回予想を比較しますと、売上高、営業利益、経常利益、当期純利益のすべての項目で上方修正し、過去最高を更新する見込みです。

営業利益はAMの交易条件改善や、セパレータ、クリティカルケア事業の数量拡大などにより120億円上方修正いたしました。

また、米国税制改正の影響により、繰延税金負債を見直した結果、税金費用が約160億円減少したことなどから、親会社株主に帰属する当期純利益は290億円の上方修正といたしました。

17年度の年間配当金につきましては、第2四半期の決算説明の際のときと同じく、一株当たり28円としていますが、今後17年度通期の業績を踏まえて、当社配当方針に則って検討を行い、17年度決算説明の場であらためてお伝えしてまいりたいと思います。

今回の予想の前提としては、ナフサ価格をキロリットルあたり下期4万6,900円。年間4万2,250円。為替レートは下期・年間ともに1ドル111円としています。

事業別営業利益予想

事業別の下期および通期予想につきましては、18ページで営業利益予想を中心にご説明いたします。

11月に発表した前回予想と比較しますと、ケミカル、エレクトロニクス、医薬・医療、クリティカルケアの各事業で上方修正をなっています。

繊維事業は、前回予想より各製品の事業動向に大きな変動はなく、前回予想どおりといたしました。ケミカル事業は石油化学事業で、米国ハリケーンによる競合他社のプラントトラブルの影響により、AM市況が上昇いたしました。それに加えて、高機能ポリマー事業や高機能マテリアルズ、消費財事業も堅調に推移することを見込み、前回予想から95億円上方修正いたしました。

なお、第4四半期の市況とスプレッドの前提につきましては、AMはトンあたり1,800ドル、プロピレンは1,090ドルで、原料スプレッド710ドルとしています。

エレクトロニクス事業は15億円上方修正いたしました。このうちセパレータ事業は、上方修正しました。リチウム二次電池用乾式セパレータが数量を伸ばしたことが主な要因です。電子部品事業は中国スマートフォン向け需要の減速の影響を受けますが、家電向けなどスマートフォン以外の需要が好調なことや、円安の効果もあり、上方修正いたしました。

住宅事業は、建築請負事業では引渡棟数が計画どおりに進捗する見込みであり、不動産事業、リフォーム事業も堅調であることから、前回予想どおりといたしました。

建材事業も各事業が堅調に推移することを見込み、前回予想どおりといたしました。

医薬・医療事業は10億円の上方修正といたしました。

このうち、医薬事業は、血液凝固阻止剤「リコモジュリン」などの販売数量が前回予想で見込んだ販売計画におよばないことや、研究開発の加速にともなう固定費の増加などを見込み、下方修正いたしました。医療事業は製品構成差による原価率の改善を見込むことや、一時的な特許使用料の収入を計上したことなどから、上方修正いたしました。

クリティカルケア事業は、10億円上方修正しております。医療機関向け除細動器が引き続き順調に数量拡大することが主な要因です。

以上で、私のご説明を終了いたします。ありがとうございました。