2018年9月期第1四半期 ハイライト①
宇佐美進典氏:本日はお忙しい中、お集まりいただきまして、ありがとうございます。2018年9月期第1四半期決算のご説明をいたします。
まず最初に、2018年9月期第1四半期のハイライトです。
当社にとって最初の四半期である(2017年)10-12月につきましては、売上高が前年同四半期で3.4パーセント増の、67.9億円になっております。売上総利益が20.4億円、営業利益が4.1億円、当期純利益が3.5億円と、増収減益になっておりますが、今期の業績予想に対しては順調なスタートを切れたと考えております。
2018年9月期第1四半期 ハイライト②
例年、この第1四半期につきましては、広告の需要期と重なるため、通期全体で見ると繁忙期にあたります。今期(2018年9月期)も業績予想に対しては、順調なスタートを切れたと考えております。
また、この第1四半期におきましては、投資先のファンドが保有しているインドネシアの企業の株式売却にともなう出資分配金や、持分法適用関連会社のVENTENY社の増資にともなう持分変動利益の計上等がございました。これにより、営業外収益が1.3億円・特別利益が8,000万円発生したため、当期純利益では3.5億円となっております。
ただ事業につきましては、アドプラットフォーム事業において、子会社のZucksを中心に、デマンドサイドの売上が24.3億円となり、過去最高を更新しました。
次に、ポイントメディアです。こちらに関しては、成長領域かつ新領域につきまして、人事異動を推進しています。これを引き続き進めまして、(2018年)3月末までに期首比で10名以上を、他の部署へ異動させることを考えております。
最後に、昨年(2017年10月25日に)決議した自社株買いにつきましては、買付が完了いたしました。約5億円で、35万1,900株です。こちらにつきましては、2月に全株消却予定となっています。
連結売上高 四半期推移
続きまして、連結売上高の四半期推移です。
(2017年)10-12月につきましては、アドプラットフォーム事業が好調に推移して、連結売上高は67.9億円になっております。
前期におきましては、媒体精査の対象となった媒体からの売上が、この四半期で約6億円ほどございました。それを考慮すると、実質的には約13パーセント程度の増収だったと考えております。
連結売上総利益 四半期推移
続きまして、連結売上総利益の四半期推移です。
売上総利益率は、前四半期比で改善され、30.0パーセントとなっております。
こちらの要因を分解してみます。まず、ポイントメディア事業です。ポイントの還元率を高めたことにともない、こちらでは売上総利益率の低下がありましたが、アドプラットフォーム事業でのfluctでの売上総利益率が若干改善されたことや、売上総利益率の高いインキュベーション事業での売上が伸びたことがございます。
引き続き、売上総利益率の高いインキュベーション事業の売上が伸びていくことによって、売上総利益額が増えていくと考えています。
アドプラットフォーム事業の売上総利益率は、今後は緩やかに下がっていくだろうと見込んでいます。
また、ポイントメディア事業でのポイント還元率の上昇で売上総利益のさらなる低下が見込まれることにより、今後(2018年9月期)1-2年は28パーセントから30パーセント程度に推移していくと考えております。
中長期的には、それまでの各事業間での内部取引を増やすことや、売上総利益率の高いインキュベーション事業の拡大により、連結の売上総利益率の改善を進めていくと同時に、売上総利益額の拡大も進めていきたいと考えております。
連結販売管理費 四半期推移
続きまして、連結販売管理費の四半期推移です。
こちらにつきましては、ほぼ前四半期並みとなっております。主に、インキュベーション事業において、広告宣伝費が第2四半期以降へ1億円程度ズレ込んだことにより、全体としてみますと、計画を下回って推移したかたちになっております。
連結営業利益 四半期推移
前期における媒体精査の影響を考慮しますと、前年同四半期とほぼ同水準でのスタートというかたちになっております。
連結損益計算書
続きまして、連結損益計算書です。
(資料の)営業利益の下の部分につきまして、いくつか特筆すべき事項がございましたので、簡単にご説明します。
1つ目は、営業外収益です。先ほども冒頭でお話しした通り、投資先のVCファンドが保有する株式売却にともなう収支分配金により、1億3,700万円入っております(①)。
2つ目は、②がついている特別利益です。こちらも冒頭でご説明した通り、持分法適用関連会社VENTENY社の増資にともなう持分変動益の計上により、8,900万円となっております。
3つ目は、特別損失です(③)。こちらに関しては、持分法適用関連会社のSYNC GAMES社の連結子会社化にともない、段階取得に係る差損が3,600万円ほどあり、4,800万円をこちらで計上しています。
これらにより、最終的な当期純利益は3.5億円となっております。
連結貸借対照表
連結貸借対照表です。
配当や自社株買い等により、現金及び預金が減少していますが、その他には特筆すべき点はないと考えております。
2018年9月期 連結売上高予想
続きまして、通期連結業績予想と進捗です。
連結売上高の進捗率は、22.7パーセントです。例年と比較すると、若干進捗率がビハインドかたちのスタートとなっております。
2018年9月期 連結営業利益予想
連結営業利益の進捗です。
こちらにつきましては、進捗率が34.7パーセントと、順調なスタートを切ったというかたちになります。
今後の見通しです。第2四半期では、第1四半期からズレ込んだプロモーションや、ポイントメディア事業において、ユーザー還元率アップにともなう売上総利益の減少があります。
また、新規事業における先行投資があります。さらに、第3四半期である(2018年)4月からは、新卒入社で25名ほど入ってきて、人件費の増加要因があります。このように、比較的第2四半期以降にコストが増加する要因が多いため、引き続き気を引き締めながら、進めていきたいと考えております。
2018年9月期 連結当期純利益予想
当期純利益は、先ほどもご説明したとおり、営業外特別利益等がありました。進捗率は50.5パーセントで、順調なスタートとなっております。
2018年9月期 セグメント別営業利益予想の進捗率
続きまして、セグメント別の営業利益予想の進捗率です。2018年9月期通期におけるセグメント別での営業利益予想は、アドプラットフォーム事業で11億円、ポイントメディア事業で2億円、インキュベーション事業でマイナス1億円で、(全体では)12億円としています。
その中で、アドプラットフォーム事業は、進捗率が29.1パーセントと好調に推移しています。一方で、ポイントメディア事業(の進捗率)は、24.9パーセントとなっています。最後にインキュベーション事業は、季節要因もありますが、この第1四半期は4,600万円とプラスで着地しています。
アドプラットフォーム事業売上高 四半期推移
続いて、主要事業の概況です。まずは、アドプラットフォーム事業からです。
売上はデマンドサイドを中心に好調に推移して、46.3億円になりました。前年同四半期で見ると、3.1パーセントの増収になっています。なお、前期の第1四半期に媒体精査の対象となった媒体からの売上が約6億円あったことを考慮すると、実質的には約19パーセントの増収だったと考えています。
また、AppleのiOS11のITPに関する話がありましたが、当社に対する直接的な影響は、現時点においては、あまりなかったと認識しています。
一方で、数ヶ月前にGoogleが、基準に準拠していないWebサイトの広告をChrome上でブロックする「Better Ads Standard」の話がでてきております。
例えばユーザーに許容されていない広告、ポップアップ広告であったり、画面に対して非常にサイズが大きい広告のようなものです。
まだ、どのタイミングで、どのようなかたちで導入されるかは不明ですが、(2018年の)春ごろから夏ぐらいにかけて、実際に日本でも導入されるとみられております。
日本で実際に導入されると、当社に限らずネット広告業界全体においても影響を受ける可能性があります。我々も、先行して広告のフォーマットの適正化などを、媒体社とともに進めているところです。
なお、このようなネット広告のトラッキングや広告フォーマットの適正化、またアドフラウドなどへの対策は、短期的には業績への影響を及ぼす可能性はあると考えていますが、健全化が進んでいくことにより、中長期的には業界全体にポジティブに動いていくと考えています。
アドプラットフォーム事業売上高内訳 四半期推移
アドプラットフォーム事業におけるデマンドとサプライサイドの、それぞれの内訳です。
まず、デマンドサイドは、CMerTVが前年同四半期比で減収となりました。一方、スマホ向けのアドネットワークを提供しているZucksが、大口クライアントからの受注を引き続き継続していることにより、全体として非常に好調に推移しました。結果として、過去最高を更新しています。
サプライサイドは、今まではWebメディアを中心に取引を進めていましたが、(現在は)アプリメディアの開拓にも注力しています。
アドプラットフォーム事業営業利益内訳 四半期推移
アドプラットフォーム事業での営業利益は、3.1億円です。
前年同四半期は、媒体精査の対象となった媒体からの売上総利益が、約2億円あったことを考慮しますと、実質的には前年同四半期比で増益になったと考えています。
ポイントメディア事業のエコシステムの転換
前期末の決算説明会で、ポイントメディア事業については構造改革を進め、再成長軌道に乗せていくという方針をご説明をしましたが、改めてご説明をしたいと思います。
まず、我々のポイントメディア事業は、PC上のサービスとして始まりました。PCにおいてポイントメディア事業は、ポイントサイトの魅力を向上させていくことが重要になります。そのために、ポイントが貯まるコンテンツをさまざまに用意しています。その中でも、アンケートのように、毎日少しでもコツコツとポイントが貯まるコンテンツを提供することが、結果としてポイントサイトの魅力向上につながっていました。
これによって、サイトの魅力が増してユーザーが増え、サイト経由でECサイトに対する物流額が増え、広告サイトへの送客が増えて、当社の売上が増えていきます。これをもとにさらにコンテンツやサービスに再投資をしていきます。このようなサイクルが、PC(サイト)でできていました。
しかし、スマートフォンからの利用が増えるにしたがって、ユーザーにとってのポイントサイトの魅力が、少し変わってきています。コツコツ貯まるものよりも、短期間でがっつり貯めることへの要望が増えてきたところです。
一方で、これを実現するためには、短期的にはどうしても原価率が上がってしまうため、まさにイノベーションのジレンマのような状況が、昨年(2017年)の夏ごろまで続いていました。
ポイントサイト魅力向上のための構造改革
そこで昨年(2017年)、方針を大きく見直し、短期的には原価率が上がってしまっても、しっかりとポイントサイトの魅力を向上させていくための取り組みを進めています。
ただし、高還元の広告の案件を増やしたり、ポイント還元率をアップしたりするだけだと、単純に原価率が上がって粗利が下がってしまいます。そのため、人事異動等により人件費等のコストの削減も同時に行って、原資を作りながら、構造転換を進めているところです。
2020年までにどのような構造に変えていくかについて、お話しします。まずは今、ポイントの還元率を高めて、ポイントサイトの魅力向上に本格的に取り組んでいます。原価率は今よりも上がって、最終的には70パーセント程度まで上昇すると考えています。
一方で、ポイントサイトそのものの魅力を増すことにより、売上のトップラインを80億円まで伸ばしていこうと考えています。売上総利益額も、24億円に引き上げていこうと考えています。
販管費は、グループ内の他の部署への異動を促進し、いったんコスト削減を進めて、コストコントロールを進めています。
これらの取り組みにより、2018年9月期の営業利益は2億円と減益となりますが、2020年9月期において、5億円を目指します。
魅力度向上のために還元率を高めることで、原価率は先行して上昇する一方、ユーザーに魅力が伝わって実際にユーザーの行動が変わるまでには、どうしても時間差があります。売上増が確かなものになるまでには、ある程度時間がかかると考えています。
第1四半期に売上増への手応えは少しずつ出てきたと考えていますが、実際の売上総利益額の純増などにつながるには、もう少し時間がかかるかと考えていますので、引き続きコスト削減を進めながら、取り組みを進めていきます。
ポイントメディア事業売上高 四半期推移
ポイントメディア事業の売上高の推移です。
ポイント還元率のアップや高還元な案件を増やすことにより、ポイントサイトの魅力向上を進めた結果、その効果が少しずつ見え始めています。前年同四半期比では、若干ですが、2年ぶりに15.4億円の増収になっています。
ただ、このような取り組みの効果は、やはりある程度時間をかけて出てくるものなので、じっくりと取り組んでいきたいと考えています。
ポイントメディア事業営業利益 四半期推移
営業利益です。
ポイント還元率のアップ等により売上は増えたものの、第4四半期比で売上総利益率が低下したことで、売上総利益額が数千万ほど減少しています。
一方で、人件費削減等のコスト削減も行いました。結果として、営業利益は4,900万円と、第4四半期と同程度となっています。
今後の見通しは、いわゆる物流の部分、ECのアフィリエイトは、実際に発生してからクライアントが成果を承認するまでに、2ヶ月から3ヶ月程度かかります。ですから、第2四半期以降では売上総利益率がもう少し下がるため、第2四半期は減益になる見込みです。
ポイントメディア会員数 四半期推移
延べ会員数は942万人と、順調に増加しています。また、第1四半期からは、コツコツ貯めることに興味のある会員だけではなく、がつがつポイントを貯めたいユーザーさんの獲得も並行して進めています。
インキュベーション事業売上高 四半期推移
続いて、インキュベーション事業です。
(スライドを指しながら)インキュベーション事業のうち、強化領域はこの濃い色のグラフ、その他の領域が薄い色のグラフとなっています。
強化領域は、売上は前年同四半期比で56パーセント増、3億円で大きく増収となり、過去最高を更新しています。
増収の主な要因は、HR領域で新卒採用支援事業を行っている株式会社サポーターズが中心となっています。新卒採用の繁忙期でもあり、順調に業績を伸ばしました。(2017年)10月からは、リニューアルオープンした「カジタク」との協業によるEC事業もスタートして、若干ですが増収の要因となっています。
インキュベーション事業営業利益 四半期推移
まず強化領域は、EC事業やFinTech事業で赤字が先行しているものの、HR事業では、サポーターズの季節要因もあって順調に推移し、初の黒字になっています。
その他の領域は、ゲームパブリッシング事業において新タイトルの『GUN FIRE』が好調に推移しています。また、新タイトルのリリースが第2四半期以降にずれ込むことから、広告宣伝費が抑制され、3,500万円のプラスで着地しています。
トピックス:カウンティアバンク株式会社を設立
トピックスです。
FinTech領域での新規事業として、仮想通貨関連事業を展開する新会社「カウンティアバンク」を、カウンティア社と合弁で設立しています。新会社では仮想通貨のウォレットを展開する予定ですが、VOYAGE GROUPとしても仮想通貨関連事業への取り組みを強化していきたいと考えています。
以上です。