今回のテーマは「市販ルール」

中原良太氏(以下、中原):こんにちは、株式予報の中原良太です。今週は、「市販ルールの使いこなし方」というテーマで、動画セミナーを始めていきたいと思います。

「市販ルールって何ぞや?」と思う方も、たくさんいらっしゃるかと思うんですけれども。市販のルールとは、具体的には本とか電子書籍だとか、あるいはソフトのようなかたちで販売されている売買ルール……つまり、投資戦略のことを指しています。

システムトレードをやっている方だったら、なじみのある言葉だとは思うんですけれども、そうでない方にとっては、あまりなじみのない言葉かもしれないです。ただ、市販ルールは、株式投資を始めたばかりの方・システムトレードを知らない方は、正直買うことはないと思いますので……今回の動画は、見なくても大丈夫かなと思っております。

その代わり、ふだんからシステムトレードをされている方・どんどん実力を身につけて運用成績を向上したいと思っている方にとっては、この市販ルールは1つの武器になりうるんじゃないかなと思っています。ただ、使い方や捉え方を間違えてしまうと、それはそれで危ないなと思いましたので、今回はこの動画講座という形式で、市販ルールの使いこなし方(を解説します)。

僕は、実際に(市販ルールを)買ったことはないんです。ただ、「自分だったらこのようにして使う」と考えていることがいくつかありますので、その話をまとめていきたいと思います。

中原:ということで、本講座の目的はこちらです。市販ルールの使い方を中原なりに考えてみたので、その方法を公開します。システムトレードをすでにやっている方・どんどん技術を身につけていきたいという方にとっては、非常に役立つ内容だと思いますので、ぜひ最後までお付き合いいただけたらと思います。よろしくお願いします。

中原:「市販ルールとは何か」を、おさらいしておきましょう。市販ルールとは、市販されている売買ルールのことを指します。だいたいの場合は、検証ソフトをお持ちの方だけが手に入れられる代物だと思います。あるいは、僕が電子書籍のかたちで販売しているものもあります。電子書籍または、市販されている検証ソフトのストラテジーファイル。こういったものを、市販ルールと呼ぶことができると思います。

市販されている売買ルールには、情報がひとまとめになって入っています。例えば、銘柄の買い方・売り方・資金管理の方法。あとは、どういった銘柄を対象としているとか。こういったことをひとまとめにして販売しているものを、市販ルールと考えることができるかと思います。

「市販ストラテジー」「市販売買ルール」「市販投資戦略」という表現をすることもありますね。そういったものをすべて、市販ルールと今回は呼んでいきます。

市販ルールをそのまま使っても、利益は出ない?

中原:まず、いきなりこんな話をするのもなんなんですけれども……。僕は、市販の売買ルールは、そのまま使っても利益は出るものではないと考えています。なぜかというと、理由が2つあります。

1つが、「相場は生き物である」という考え方が、背景にあることです。例えば、過去に通用した投資戦略。おそらくこれから先も(しばらくは)通用するでしょうが、ずっと通用するということは、ほぼありえません。

1つの売買ルールで5年、10年、15年もの期間を、ずっと運用し続けられるということは、ほぼありえないと思っております。相場というのは、変わるものなんです。なので、相場が変わっている以上、自分が投資・運用するにあたっては、相場に合わせて投資戦略も改良し続けなければいけないものだと考えております。

ですので、「運用すればそのまま利益になる」ということは、ほぼありえないと考えていいかなと思います。「買ったもの(市販ルール)をそのまま使えば、金のなる木のようにポンポン利益が出ますよ」ということは、ありえなくて。その代わりに、自分で相場に合わせて改良・調整をしなきゃいけないというのが、大大大前提の話だと思います。

もう1つの理由として、「マーケット・インパクト」というものが発生します。マーケット・インパクトとは何かというと、自分以外にもその市販ルールを買った人が、おそらく何十名といらっしゃることでしょう。自分以外にも(同じ)ルールを買った人がいる以上、その人たちの影響によって株価が変わってしまうことも考えられるわけです。

自分以外のトレーダーが株を買って株価がつり上がってしまったりとか、売って株価がつり下がってしまったりとか、そういった影響が少なからず起こるものですので、そのまま(市販ルールを)使ったところで、利益は出ません。これを、マーケット・インパクトと呼ぶんですけれども。

ですので、マーケット・インパクトが出ても勝てるようにする。あるいは、購入した市販のルールからアイデアを抽出して、自分の手持ちの売買ルールに応用することが、非常に大事なポイントだと思います。ですので、「これさえ手に入れれば、いくらでも利益が出せるぜ、イエーイ」……なんてことはありえないと、僕は考えております。

ですので、市販ルールは教材として、そこから着想を得る。「どういう背景で売買ルールが作られているのか」「どういう条件式を採用しているのか」などを学ぶために使うものであって、利益を出すために使うことには、僕はあまり役に立たないんじゃないかなと思っています。

中原:ということで、(市販ルールを使ううえで)大事なのは「アイデアを買う」という発想だと思っています。市販ルールを手に入れる一番の利点は、自分では思いつかない知恵・知らないテクニックが手に入ることなんです。ですので、本を買うとかセミナーに行くというのと、まったく同じ感覚です。

売買ルールは教材なんです。教材であって、そのまま運用すべきものではないと考えています。もちろん、運用成績が向上するためのヒントは、たくさん隠されているんでしょうけども……それをそのまま使えばいいということは、ほぼありえないと思います。大事なのは、アイデアを買うという発想かなと考えています。

中原:ここで注意点がありまして、アイデアを買うと言いましたが、そのアイデアを活かしきるには、すでに応用力を持っている必要があるんです。ですので、市販ルールを買うのに向いている方は、システムトレードをすでに経験されている方・上級者の方です。

経験者が売買ルールを買うのは非常に良いと思うんですけれども、「売買ルールを買うためにシステムトレードを始めました」というのは、ちょっと順序が逆かなと思います。市販ルールは教材ですので。(先ほども言ったように)本を買っていることや、セミナーに参加していることと、まったく一緒だと思うんです。

なのに、未経験のときからいきなり難しいものを買ってしまっても意味がないですし、勘違いしてはいけないポイントだと思うんです。ですので、市販の売買ルールを買うときは、基本的にシステムトレードを経験していること・自分でルールを作ったことがあること・ある程度(相場に合わせて自分で)調節ができること。

こういったことを踏まえて、「買ったルールをもっと良くしていこう」「自分のルールをさらに改良していこう」とするために、アイデアを引っぱってくる発想を持つのが、大事だと思っております。

実運用を始める時期に注意

中原:市販のルールを使いこなすときに押さえておきたいポイントを、今回3つほど考えてきました。

それは何かというと、まず「実運用を始める時期」です。仮に買ってきたルールを運用するとして、いつ始めるか。そして「堅牢性を確認する」こと。そして3つ目、「各条件式の意図を考える」こと。この3つです。アイデアを抽出するために、必要なことかなと思っています。

中原:まず1つ目のポイントなんですけれども、市販の売買ルールを買って実運用を始めようというときは、大体の場合、買ってからしばらくは成績が悪いです。なぜかというと、マーケット・インパクトが発生するから。

あくまで、僕は市販の売買ルールは教材だと思っているので。もちろん、利益につなげるために使うべきものなんですけれども、そのまま使えばいいかというと、そうではないと思うんです。

例えば「本で得た知識をそのまま使ったら、うまくいった!」ということって、そうそうないと思うんです。本で得られた知識は、自分の環境に合わせてアレンジして使うものだと僕は思っていて……とくに、投資系の本はそういうことが多いんです。

過去の相場では通用したけど、今ではもう時代遅れになってしまっている知識というのは、たくさんあります。(知識を得ること自体は)基本を学ぶ上では非常に大事なものだと思うんですけれども、それだけではうまくいかないことが、ほとんどだと思います。市販のルールを買ってそのまま実運用することは、僕はないと思います。

これはメールマガジンなどで何度もお伝えしていることなんですけれども、基本的には(そのままの)実運用はしない。仮に運用するとしても、買ってしばらく時間が経ってから、マーケット・インパクトが起きづらい時期に運用するのが、いいのかなと思っています。

もう1つが、売買ルールに対する理解が浅いうちに運用してしまうことが、一番良くないです。要するに「アイデアがわからない」「なんでこのルールは、こういう形式をとっているのか」「どうしてこういう売買ルールに仕上がっているのか」「どういう背景があって、作り込まれているのか」……などなど。こういった点を一切理解せずに運用したところで、なんの学びにもならないので。

それで直接的に利益を出すことは、僕は不可能だと思っています。絶対にマーケット・インパクトは出ますから。なので、教材として使うというのが、非常に大事だと思うんです。僕が最近市販している売買ルールは、すべて「教材」と銘打っています。それはなぜかというと、そのルールを、そのまま使ってほしいわけじゃないからなんです。

売買ルールを仕上げるために必要なスキルセット・考え方だと(思ってほしい)。あと、最近販売したのはデイトレ戦略なんですけども。「デイトレードで利益を出すために、最低限気にしなきゃいけないことってなんだろう?」とか。そういう基本のキを学ぶための教材として、システムトレードの売買ルールを販売しております。

ですので、(売買ルールを取り入れるだけで)そのまま利益を出せると勘違いされては、困るんです。じゃなきゃ、「教材」とは言わないので。それだったら「利益を出せますよ」と言った方が、よっぽど売れると思うんですけど……僕は、そうは思いませんので。システムトレードの売買ルールは、利益を出せるから買うんじゃないんです。学べるから買うんです。ですので僕は、そのまま運用することは、基本的にないかなと思っています。

ということで、仮に売買ルールを買って実運用を始める場合は、買ってから数ヶ月経ってからがいいかなと思います。ただ、運用すること自体を僕はおすすめしていません。ですので、教材としてアイデアを抽出するために使うのが、いいかなと思っております。

堅牢性を確認しよう

中原:実際に売買ルールを買って、アイデアを得るのは大事なんですけれども。その売買ルールが本当にいいものなのかは、堅牢性を確認する必要があります。自分で買ってきた商品が不良品じゃないかどうかは、確認しなければいけないことだと思っています。

確認すべきポイントは、いくつかあるんですけども。まず、パラメータが過度に細かく設定されていないかどうか。例えば、0.2パーセント刻み・0.5パーセント刻みとか……非常に細かく条件式が調節されている売買ルールは、基本的にアイデアが良いというより、「無理やりうまく成績を良くしている売買ルール」である可能性が高いです。そういうものは基本的に、僕は全部どうでもいいと思っています。

条件式の調節なんていう……猿でもできるぐらい簡単なものでして。数字を調節すれば、誰でもできてしまうようなものなんです。それこそ(例えば)飛行機に乗ったことない人が「とりあえず、あそこにあるボタンをカチャカチャ押してみよう」みたいな、そんな感覚でできてしまうものなので、条件式の調節はどうでもいいんです。

この数値が良いのか(悪いのか)はどうでもよくて、大事なのは「この条件式を使ったんだ」「こういう着想で売買ルールが作られているんだ」という、裏にあるアイデアを盗むこと。“Why?”ですね。なぜこういうルールになったのかという、「なぜ?」を掴むことが、大事なのかなと思っています。

市販されている売買ルールを、僕は買ったことがないので……どれぐらいマニュアルが充実しているかは、わからないんです。なのでなんとも言えないんですけども、少なくとも僕が今のところ販売している売買ルールでは、この「着想」の部分を大事にして、すべてを解説するようにマニュアル等を作成しております。教材としてご活用いただけるように、工夫を凝らしているつもりです。

各条件式の意図を捉える

中原:最後のポイントです。「各条件式の意図を考える」ということ。「どのような目的で」「どのような条件式が」「どのように採用されているのか」が、非常に大事なポイントです。あとは、「条件式の組み合わせ」。相乗効果などが、どのようにして生み出されているのか。「これとこれを組み合わせて、こう定義しているんだな」というポイントを理解するのが、非常に大事だと思います。

使いこなせる条件式が増えることは、自分で使える武器が増えることと、ほぼ同じ意味です。使いこなせる条件式が多い人ほど、作れる売買ルールの質って、やはり高まるんです。なにより、損をしないための工夫ができるようになると思います。精度を高める工夫と言えばいいんですかね。

がむしゃらに、なんでもかんでも移動平均乖離率を使ってなんとかしようとする……とか、こういうのって、僕はあまり良くないと思っています。複数の条件式を組み合わせて、その相乗効果で売買ルールを良くしていく。

1つの市販のルールの中には、複数のアイデアが詰め込んであるはずなんです。そのアイデアをいかにして抜き出すか・自分の糧にするか・他の売買ルールに応用していくか。こういったことが、非常に大事だと思っております。

ですので、一番盗めるところと言えば、「使っている条件式がなんなのか」「どういう意図で、条件式が使われているのか」だと思います。こういうところを意識しながら、「自分の売買ルールにあれを使ってみよう」「これを取り入れてみよう」など、いろいろとやってみるのがいいんじゃないかなと思います。

「これをもっと調節して良くしよう」とか考えてしまうのは、ちょっともったいない。調節なんてどうでもいいと、僕は思っていますので。このあたりはあまり意識せずに、どういう発想で、この売買ルールが作りあげられたのか。どういう経緯で、どのような道筋をたどって、この着想に至ったのか。なぜ、なぜ、なぜ、なぜ……というところです。

このポイントに注目しながら、市販のルールを自分のスキル向上に役立てていくのが、非常に大事なポイントかなと思っています。ということで、今回はこんな感じで終わりたいと思います。

市販ルールは、実力を付けたあとに

中原:最後に、今日お話ししたことをまとめていきたいと思います。まず、市販の売買ルールは、そもそも上級者向けのものです。初級者の方が購入すべきものではないと思います。簡単なことわざかなにかを伝えればいいかな? なんて言えばいいかな……。すごく悪い言い方ですけど……「豚に真珠」という言葉があります。

システムトレードをわからない方が売買ルールを買ったところで、価値が理解できるわけがないんです。それを応用する力もない。それでは非常にもったいない。ですので、システムトレードを始めたばかりの方は、あまり市販のルールは買わない方がいいと思っています。

その代わりに、自分でしっかりと実力を付けたあとに、「なんだか伸び悩んでいるな……」というときに使うものが、この市販ルールだと思っています。「最近、ぜんぜんいいアイデアが浮かばないな……」というときに使うものが市販ルールで、それを使えば利益を出せるなんて考えるのは、間違いなんじゃないかなと考えております。大事なのは、アイデアを盗むことです。

実運用(そのものを)……僕はおすすめしないんですけれども。市販ルールを買ってから数ヶ月間は、基本的には実運用を始めない方がいいかなと思います。マーケット・インパクトが必ず起きて、利益を出せなくなるので。大事なのは、そのアイデアからいかにして、自分の武器を増やすか。そこに重きを置かないと、宝の持ち腐れになってしまうと思いますので、その点を意識しながら、売買ルールをご活用いただくのがいいかなと思います。

他にも、堅牢性を確認する・各条件式の意図を考える。そして、アイデアを盗む。それが非常に、大事なポイントだと思います。市販のルールは、世の中にたくさんあります。「年利100パーセント!」というルールもたくさんあります。「そのとおりに運用すれば、そのようになるのかなあ?」と夢を見る気持ちも、非常にわかります。僕も、最初はそうだったので(笑)。

ただ、現実問題として「売られているルールをそのまま使えば、億万長者になれる!」なんて、そんなおいしい話なんてあるはずもないですし、ありえないと僕は思っています。結局、自分が腕を上げなければ利益なんて出せっこないので。そういう意味でも、学習ツールとして市販の売買ルールを活用していくのが、非常に大事なポイントかなと考えております。

ということで、今週は以上です。最後までご視聴いただきまして、ありがとうございました!