2018年3月期第2四半期決算説明会

阿多親市氏:本日はお忙しい中、私どもの決算説明会にお越しいただきまして、ありがとうございます。それでは、さっそく始めてまいりたいと思います。

今日の中身としては、(決算説明会に)初めてお越しになられた方もいらっしゃいますので、弊社の説明をさせていただいたあと、業績概況・注力事業の状況・業績見通しをお話しさせていただく所存です。

「大きな成長」に向けたSBTの歩み

ソフトバンク・テクノロジーのご紹介でございます。当社は、1990年にソフトバンク技研として設立した会社をベースにしております。

そのあと、当時は流通事業だったソフトバンクの情報システム部門と、ソフトバンクネットワークセンターを統合しました。ソフトバンク・テクノロジーという会社をメインにして、1997年に統合が終わりました。そのあと、2004年に東証二部に上場させていただいて、2006年には東証一部に上場でございます。

私が社長としてこちらにまいりましたのは、2012年でございます。2012年から約4年間の期間、私自身も勉強しなきゃいけないことも、いっぱいございました。その中で、「この会社を、もっと大きな仕事ができる会社に変えていこう。弊社の中で、まだ大きく成長しよう」というのが、1つのキーワードになっています。

大きな仕事を受けられる企業にしていくためには、もっと人を増やしていかなければいけない。当時は400名足らずでございました。

それから、独自の技術を持たないと、とても世の中に貢献できない。(当時は)それぞれの母体である会社が、それぞれ分かれた事業部という体制になっておりました。それぞれの事業部に、イニシアティブを持たせる。

ECサービスの部隊には、Webの解析。これからビッグデータにつながっていくわけですけども、その解析のプロフェッショナルを育てる。

システムインテグレーションの部隊には、オンプレミスのシステムを作るのではなくて、クラウドをターゲットにした技術を深掘りしていく。

ネットワークの部隊には、セキュリティのエンジニアをどんどん育てる。ネットワークが普及するということは、セキュリティのリスクがあるということですから。

この3つのキードライバーを、磨いてきました。それなりのレベルまできたなというのが、2015年でございます。そのあと、昨年の2016年から3年間かけて、2つのイニシアティブを一緒に作っていこうと。

ソフトバンク・テクノロジーの注力領域

それが、1つはクラウドにすべて集約する。セキュリティもビッグデータも全部クラウドの上でやる、クラウドじゃない仕事はもう受けるなと。

もちろん、長くお世話になっておりますお客さまのことは除いています。新しいお客さまとは、「クラウド」というキーワードで、その中のクラウドのシステム構築。あるいは、その中のツールを使ったビッグデータの解析。あるいは、クラウドにひそむセキュリティの技術。そういうあたりを、そろえていこうと考えています。

それから、新しいチャレンジ領域として、IoTビジネス開発。(2016年から)3年かけて、IoTの時代にどういう技術が必要なのか、どういうサービスが必要なのかということを開発していこうと。

今年度(2017年)は、その2年目。ちょうど1年半過ぎましたので、半分経って、どこまで開発ができているか。どういうところに到達しようとしているかというのが見えはじめてきたところですので、そのご説明をしたいと思います。

連結 2018年3月期上期業績(前年同期比)

さて、業績でございます。すでに(資料が)お手元にございますように、売上高・営業利益・経常利益・純利益・EBITDA。どれも、前年(2016年)を超えることができましたという状況でございます。

第1四半期の終了時点のレポートでは、前年を大きく下回る結果となり、ご心配をおかけしたかもしれませんけども、ちょうど去年ぐらいになってきた感じでございます。

連結 サービス別売上高

中身でございます。「サービス別」としておりますが、先ほどの3つのキードライバーをコアとした部分です。

いちばん下のデジタルマーケティング(オレンジ色の部分)は、当社がもう20年来やっております、シマンテックさんのECの販売でございます。若干、対前年に比べて下がっています。

クラウドシステム(緑色の部分)に関しましては、20パーセント以上の成長を確実に毎年やっていくんだという中においても、今期はだいぶ伸ばしていけたというところであります。

そして、プラットフォームソリューション(青色の部分)。ここには、後ほどご説明しますが、いわゆるサーバー機器の販売が含まれています。

ITのビジネスの中の1つとしては、海外の新しい技術を日本国内に持ってくるときに、テクニカルサポートをつけた状態であること。その上で、日本国内で初めてのユーザーを探し、ユーザーに合わせて導入をしていくというようなことが含まれてくるわけです。

毎年のように新しいニーズが出てくるものですから、あっという間に新しい商品・技術が投入されて、その当時の技術が陳腐化するということがございます。それについて後ほどご説明しますが、サーバー機器の販売をもう1回見送ろうということで、(プラットフォームソリューションでは)売上の減がございます。

連結 形態別売上高

これが、形態別売上高になります。いちばん下のEC販売(黒い網掛け部分)は、2億円ほど下がっています。

運用・サービス(濃い紫色の部分)は、前回(2017年)4月にお目にかかったときにお話ししましたが、全国農業会議所様から5年間の運用をいただきましたので、その部分が増えています。それ以外の運用も増えている部分で、(前年同期の)60億円から(今期は)70億円。

それから、開発(黄土色の部分)が大きく伸びて、(前年同期の)36億円から(今期は)46億円。

機器販売(薄紫色の部分)は、それほど下がっていないじゃないかと思われるかもしれませんが、ここは昨年に比べると、4億円落ちています。

連結 顧客別売上高

顧客別売上高でございます。ECの販売のところ(青色の部分)というのは、個人向けです。エンタープライズ売上高(オレンジ色の部分)とソフトバンクグループ売上高(赤色の部分)と書いております。

グループの売上も、グループ外の売上もありますが、とくにグループ外の売上のところが、トータルとしては非常によく伸びているというのが、見ていただけるかなと思います。

グループ内の売上は、プラス2億円とあります。機器販売の減少を補って、まだプラスにもっていけるだけ、グループ内の開発案件の事業が伸びていると認識しております。

連結 限界利益

機器の利益率は、非常に薄くなってまいります。それで、逆に開発案件が増えてきます。そのため、外部へのコストを差し引いた限界利益といったものが、若干上がってきたと言えるかと思います。

連結 営業利益の前年同期比

営業利益の前年同期比です。増収があって、営業利益率が上がったと。昨年(2016年)100数十名の採用を行っていますので、それが4月からコストとして効いてきますから、固定費が増加している。差し引きすると、去年並みの利益でございます。

連結 貸借対照表の前期末比

貸借対照表につきましては、2016年度末と2017年度末で比較しています。つまり、今年の3月末まででございます。半期末のこのタイミングでは、若干縮小しているというところが見てとれるかと思います。

単体 受注残高(ECサービスを除く)

受注残高でございます。受注残高に関しましては、この(2017年)9月末の段階だと、下期に向けた約24億円ぐらいの開発案件が、受注残としてございます。

運用に関しましては、5年間の運用の中の、ちょうど半年分が消費されたということです。(それが)売上に変わったと見ていただければと思います。

連結 採用・技術教育

採用・技術教育です。本年度になってから(現時点では)半年ですけれども、(連結従業員数が)18名増えているということでございます。現実には、40数名の採用をしているわけですけれども、30数名の離職者がいるというところで、差し引きで18名のプラスです。

PMP(プロジェクト管理の国際標準資格)は、私どもの会社が強くなっていき、より上流の仕事をしていくために必要な資格ということで、(取得を)推奨しています。

本来ですと、(資格取得者数は)もう少し上の数が言えればよかったのですが、後ほどご案内しますが、セキュリティのインシデントがございました。ちょうどその期間が、いいタイミングの受験期だったのですが、上期においては逃してしまったということでございます。

単体/連結 FY17Q1 振り返り

第1四半期の振り返りを、簡単に申し上げます。機器販売の話でございます。第1四半期において、機器販売は前年の1.5倍まで売上のトップラインを上げるのには、非常に有用でした。しかし、その利益率といったところが、たいへん大幅に低下してしまった。その経験というのは、私が社長になりましてから、2回目でございます。

国外にあるメーカーの、新しい技術を見つけてくる。エンタープライズサーバーですけれども、それを日本国内に導入して、グループのお客さまに評価をしていただく。その作業に、だいたい9ヶ月ぐらいかかります。

そういう9ヶ月を経て、やっと売上が立ちます。その時点では、お客さまにもメーカーさまにも、たいへん喜んでいただける。私どもも、それなりの利益でビジネスができるわけでございます。

しかし、当然それがいつまでも続くはずもないのです。私どもがそれを導入したという付加価値を、半年から1年ぐらいはお認めいただけて、利益が取れるわけですけれども。そのあとに継続的な付加価値を提供できないということで、必然的に私どものポジションというのは、コスト削減・利益増大のために削られていく。

それが、1年前と比較すると、その単純な限界利益が7割ほど減るようなビジネスになってしまう。1回目で懲りたのですが、2回目をやってしまいました。そして、2回目もまた懲りた。だから、もうやめるぞというのが、この第1四半期の結論です。そのため、第2四半期に向けてはもう(機器販売を)やっていかない、というようなことです。

単体/連結 ITインフラソリューション 機器販売の見直し

もう1回、自治体のセキュリティの話もくわしくお話ししたいと思います。これが、資料の中段のITインフラ売上高という部分でございます。サーバーですとか、ネットワークですとか、そういったものも含む売上でございます。

昨年(2016年)は46.7億円。今年(2017年)は40.4億円ということでございますが、第2四半期同士の比較でいいますと、ほぼ半減。主力の、サーバー製品の取り扱いをやめたということでございます。

ただ、逆に利益率は大幅に向上したというところで、第1四半期から第2四半期に向けてその(サーバー製品の)ビジネスがなくても、6.1億円の限界利益を作り出すことができた。

これはネットワークの構築ならびに、サーバーに関する各種構築費です。構築のビジネスですけれども、その技術力でやっていくんだというところに、舵を切ったという次第であります。

単体/連結 自治体情報SC案件について

それから、自治体情報セキュリティクラウド案件。これも(2017年)3月末に、4つの県に対して導入できました。それから、その4つの県の下にある121の市町村に、それぞれの自治体が繋ぎこみにくる。こういうビジネスでございます。

私どもは、県の需要に基づいてスタートしたわけですが、やはり121市町で非常に千差万別の需要といいますか、要求がございます。残念ながら、どうしても第1四半期の間にそれを片づけなければいけないというような中で、コストが大幅に増大する。ネットワークに関するリテラシーといいますか、そういったものがやはり121市町村で、千差万別でございます。

たいへん多くのお問い合わせをいただいた分、コールセンターを急きょ設置しました。あるいは予想もつかない時間(にアクセスが増大する)。自治体の窓口はお昼休みで閉まるわけですけれども。非常にアクセスが増大します。

また、市町村独特の要求といったものが入っているわけです。本当に勉強になりました。もう1つは、そこ(の市町村)だけが狙われているようなお話がございます。

なかなか詳細は申し上げられませんが、例えば、「ある施設が(この)エリアにある」といったときに、そこの市町村だけを狙ったような攻撃といったものの経験も、させていただきました。

そういうものによって、プロセス資産も蓄積されました。数百のシグネチャーデータというものです。攻撃者のサーバーの名前やIPアドレスみたいなものが、どんどん、私どもの中のデータとしてたまってくるような状況です。

第1四半期では大きなマイナスがあったわけですけれども、逆にいい勉強だったなと思っている次第です。

連結 四半期業績の推移

四半期業績の推移でございます。(資料にあるように)2015年度・2016年度・2017年度と、だいたいこのような感じでございます。売上高的にも、どうしても最終の第4四半期に偏ってしまうというのが、現状の当社の実態でございます。

また、利益も同じく、そのタイミングごとというかたちになってしまいます。どうしても、短期間のシステムインテグレーションというのは、あまりありません。

私どもがお取り引きさせていただいているお客さまが、やはり大きな会社であるケースが多いです。それが日本のお客さまですので、上半期の9月、下半期の3月といったところの最後が、検収日という感じになってしまいます。

そのため、売上・利益ともに、どうしても第2四半期・第4四半期(に偏重する傾向)というかたちになってまいります。

お詫び

それから、これは本当にお詫びでございますが、(2017年)7月24日に情報セキュリティのインシデントを発生したということで、アナウンスをさせていただきました。

これは(2017年)7月17日、この(アナウンスの)1週間前に、「何か不正なアクセスをされたようだ」というような一報が私のところにも入りました。何かあると、その第一報が私のところにも入るわけです。

それ(不正アクセスされたもの)がどうやら、本番につながっていないシステムの検証用サーバーでした。そのサーバーだったので、一安心していたのですけれども。7月21日になってその検証サーバーで検証していたというところに、本番のデータを一部おいていたということが判明しました。そして、私どもの中にもセキュリティ部隊がおりますので、調べました。しかし、そのアクセスの経緯はない。

「自前で調べただけではだめだ」ということで、7月21日にすぐに外部の第三者機関に出して、至急調べてほしいということをお願いしました。

こういう場合に、私どももそうですが、「ご返事をするのは、1ヶ月かかります」というのが、一般的なお返事の仕方です。

第三者機関のお墨付きといったらおかしいですが、その評価が得られていない中で、「大丈夫だ」と(言うことはできない)。しかし(調査を依頼してから)1ヶ月経って、もしそれが「やっぱりやられています、(サーバーを不正に)触られていますよ」ということになったらもうたいへんだということで、7月24日に発表することを決断いたしました。

私どもの会社には、セキュリティのプロフェッショナルが数多くいます。その業界において有名な人が、何人もいます。彼らがその調査会社に「とにかく、大至急の大至急の大至急でやってくれ」と言ってくれました。

それを受けて、なんとそれから3日後に「大丈夫でした」というお返事をいただきました。「7月17日に(不正な)アクセスをされたという事実は、確認されなかった」と。

たいへんバタバタとした1週間でございました。お客さまにも株主のみなさまにも、また当社の社員にも、たいへん大きなインパクトがありました。たいへん申し訳なかったなと思います。

ただ、これをいい機会に、会社の中の棚卸しを全員でやりました。(2017年)8月の1ヶ月をかけて、全部棚卸ししました。「危ないものを全部捨てるのだ、もう1回考え方を変えるのだ」ということをやらせていただきました。

8月31日に終了宣言をさせていただいたというのが、この一連の流れでございます。

この間にも、いろいろな受注だとか、あるいは商談の進行だとか、そういったものに多少なりとも影響があったということも事実でございます。しかし、この発表をもって、逆に「よく言ったな」「よくやったな」ということで、信頼が深まったお客さまもいらっしゃるということでございます。

毎回勉強するたびにコストがかかって申し訳ないのですが、確実に会社が前に進んでいる実感を得ている次第でございます。

注力事業の状況 事業成長イメージ

注力事業の状況についてお話しします。昨年(2016年)の秋に、社員向けのストックオプションを発表して、2020年3月期までに営業利益33億円超にもっていくというお話をいたしました。どの部分を伸ばして、どの部分に注力するのかというお話の中で、こちらのグラフの表を用いて、ご説明をいたしました。

まず(グラフの表の)一番下にある、個人向けイーコマースは、若干の衰退は見られますけれども、継続的に進めていきます。

その上のソフトバンクグループ向け開発・機器販売については、主力のサーバーはもうやめるのですけれども、システム開発や運用あるいはセキュリティなどで盛り返せると考えております。

そして、大きく伸ばしていかなければいけないのが、エンタープライズ向けクラウドビジネスです。そして、IoTを3年間かけて開発していきますので、その後で実際のビジネスに展開する考えでございます。

①クラウドビジネスの状況 国内マーケット

まずはCAGR20パーセントを目標にしたクラウドビジネスでございます。こちらは釈迦に説法の部分もあるかと思いますが、電子メールやファイル共有、サーバー利用などからはじまったクラウドビジネスが、東京においては相当数のエンタープライズの方がこちらをご利用されています。

こちらは総務省の発表ですけれども、全国的にも50パーセント内外のところまできています。ここでの伸びる領域はないとすると、その次にくる社内ポータル、財務・人事、営業支援、データ転送、PJ管理などがクラウドに移行されてきます。

弊社は昨年度の下期から、Dynamics CRMという、クラウド上で提供されるCRMのソフトウェアについてのコンサルティングならびに開発、移行作業などをスタートしています。こちらの事業が本年度から来年度に向けて大きな柱になってくるだろうと考えております。

電子メール、ファイル共有、サーバー利用などについても、まだまだ使われていない大きな会社が西日本のほうに多くございますが、逆に関西エリアは遅くなった分、メールもやるし、ファイル共有もやるし、Dynamics CRMも入れていくというかたちで一気に進んで、需要が非常に活発になってきている実感があります。

①クラウドビジネスの状況 クラウド移行対象システムの変化

こちらが私どもが整備している(3つの)STAGEです。2012年からSTAGE1をはじめて、今はSTAGE2のど真ん中におります。こちらが今度、ERPのようなものまでクラウド化してくることを予見して、弊社の中にはすでにERPソフトをクラウド上で展開しています。第1号は私どもの会計(ERP)が一番のサンプルであるということで移行作業に入っております。

2019年の3月までに私どもの社内のERPはすべてそちら(クラウド上)に移行する計画で動かしておりますが、こちらをサンプルとして同様に、大手のエンタープライズのお客さまにもご検討いただけるだろうと思っております。

①クラウドビジネスの状況 「侵入防止」から「侵入を想定した運用・復旧」まで

侵入防止のセキュリティ対策も、クラウドに関係したセキュリティをやっていきます。単純に入り口で止めるといっても、やはり入ってきます。今は見えない穴が、将来発見されない保障はないということです。

では、入ってきたらどうするのか、どのように対応するのか。自分たちであのようなインシデントを発表しておきながら図々しいと思われるかもしれませんが、いかに早く解決して、ビジネスへのインパクトをいかに極少化するかというサイクルを経験だけではなく、セキュリティのプロフェッショナルの会社として、マネージドセキュリティサービス(MSS)の提供をやらせていただきます。

クラウドの中に、単純にシステム構築、ネットワーク構築だけではなくて、セキュリティも入ってきますし、後ほど申し上げますが、IoT分野においてはデータ解析がいかに重要かということが出てくると思います。

①クラウドビジネスの状況 当社役割の拡大・強化とパートナー連携

それからもう1つ、今年の春に申し上げたのですが、昨年の下期の状況というのは、お客さまから10件の問い合わせがあっても3件しかお応えできない状況でした。もちろん10件にお応えして全部取れたという保証はありません。しかし、それだけのエンジニアの数が揃えられないということで、今、900名の外部のエンジニアの方と仕事をさせていただいています。

ただ、とくに東京についてはプログラマーを集めるのが非常に難しい問題になってきています。なので、30社ほどをセレクトさせていただいて、「仕事を全部まとめるようにするので協力してください」ということで、(2017年)5月に第1回の「SBTパートナーサミット」を行なって、30社の方と(パートナー連携を)握らせていただきました。

しかし、(パートナー連携を)握っただけではなかなか進まないのも現実です。クラウドのエンジニアは本当に引く手あまたで、セキュリティのエンジニアも探してもまったくいないというのが今の東京の現実です。

ではどうするかということで、今年の9月からはじめておりますけれども、「(関係依頼先に)セキュリティのエンジニアではない、あるいはクラウドのエンジニアではない人でもいいから、弊社の仕事をしてください」と(提案する)。

弊社は700社・130万人におよぶエンタープライズのお客さまのクラウド移行をやってきておりますので、そのノウハウを1ヶ月、1ヶ月半かけて教えます。弊社で勉強してできるようになったら、その会社の中で広めてもらい、2ヶ月先のプロジェクトにアサインさせてもらいます。このようなかたちでやっていかなければ、街にエンジニアがいるということはもうありません。

できる人に育てるところまでやっていかなければいけないということを勉強させていただいて、実行に移しています。

①クラウドビジネスの状況 クラウド×エンタープライズの変遷

クラウド×エンタープライズの変遷ということでは、2012年に日本国内で初めて、1万ユーザー規模のOffice365の導入ができました。そこから(2013年には)クラウド導入実績累計100社になり、(2016年に)クラウド導入実績累計500社になり、今日現在では累計700社であると理解しておりますけれども、そのぐらいの移行をさせていただきました。

2012年において27億円だったこのエリアの売上の部分も、昨年(2016年)は123億円。順調に、20パーセント以上のCAGRで伸びてきていると、見ていただければと思います。

②IoTビジネスの状況 マーケットの状況

次に、IoTビジネスであります。IoTの進展に係る課題を、総務省さんが整理されています。「IoT、IoTと言うけれど、何がどうなればIoTは進むんだ?」と。これはまず、インフラが整備されなければいけません。

それからもう1つは、(資料の)赤いところの、ルールだということです。IoTをどう使うかというルールなしにやってしまうと、無茶苦茶になってしまうということです。

工場内だけであれば、WiFiだけで飛ぶかもしれない。しかし、外に出ていくようになると、厳しい電波規制の中で、どの帯域で分けていくか。「このIoTは、このクラウドで」「このIoTは、違うクラウドサーバーで」というような、切り分けのルール(が必要です)。

あるいは、「これは使っちゃだめです」というようなルールが、整備されなければいけない。これが、今のIoTの問題点です。

逆に、マーケット(緑色の部分)・資金(紫色の部分)・人材(青色の部分)とかは、まだまだ問題ではない。まずは(インフラを)整備するということが、今のIoTの進捗状況だなと思っています。

②IoTビジネスの状況 IoT機器の増加とリスク

その反面、IoT機器といったものが全世界で、今年(2017年)ですら200億個出ています。このような統計も、同じく総務省さんから出ています。インフラ・ルールがないところに、(IoT機器が)200億個出ているんです。どうしますか? この勢いでCAGRが15パーセントぐらいまで、まだまだ伸びますよということが、世界のIoT機器の現状です。

そして、ただ(IoT機器が)出るだけではありません。チップ(の性能)がどんどんよくなっていきます。高性能になる。高性能になると、速さだけを(重視して)使うのか? と言うと、そうではない。いろいろなプログラムが(IoT機器に)載るようになる。

そうすると、機能が高度化して、コード量が増えます。そこに、今は見えていない脆弱性・危険をはらんでいるということがあります。そして、「今年出た・ルールが整備されたIoT機器を使いなさい」と言っても、すでに200億個以上、毎年出ているんです。それはどうするんですか? と。

しかもそれが、スマートフォンなら「2年・3年で買い替えなさい」という基準にできるかもしれませんが、これからのIoT機器は、8年とか10年とか(使い続けることが)当たり前です。もっと長いかもしれない。

そういう古いものがずっと蔓延している中で、「この部分だけがIoTですよ」と、そのようなことは、言えるわけがないのです。それでは、そこをどうやって解決するのか? というところ。ここが逆に、私たちのビジネスチャンスだと思っています。

②IoTビジネスの状況 新生サイバートラスト設立の経緯

この(2017年)10月1日で、私どもの子会社であります、サイバートラスト株式会社とミラクル・リナックス株式会社(を合併しました)。サイバートラストは、日本国内における、2つしかない認証局の1つであります。20年前の1997年に、日本で初めて認証局を開設した会社です。

そしてミラクル・リナックスは、2000年に設立しました。(2006年に)Linux OSとかオープンソースソフトウェアの開発を、ずっとやってきています。

3年前(2014年)に、それぞれの会社を買収しました。ミラクル・リナックスは、57パーセントの買収です。サイバートラストについては、100パーセントの買収です。

この2社を引きつけようということで、この(2017年)10月1日に合併しました。オポチュニティは日本国内だけではなく、国外に出ていくんだということで、社名は「サイバートラスト株式会社」としています。

今はないのですけれども、以前帝国データバンクにあった社名ということで、非常に通りがいい名前です。(これを受けて)「サイバートラスト」という社名にさせていただき、(2017年)10月1日から、私(阿多氏)が社長を兼任しております。

方向性のずれない、すばらしいエンジニアが揃っております。そのエンジニアのバランス・方向性を保っていくために、当面は私が(社長を)兼任していくという決断をいたしました。

②IoTビジネスの状況 セキュア IoT プラットフォーム

そのサイバートラストが、2年前(2015年)から進めております、セキュアIoTプラットフォームのご説明です。これは米国議会においても、「IoT機器はパッチャブル、変更ができなくてはならない」という話があります。

日本の総務省さんには、「IoT機器は、セキュアで物事を進めるために、最小限のラインはしっかりしなければならない」というものがあります。

セキュアIoTプラットフォームは、まずチップの中に、共通鍵を書き込んじゃいましょうと。この書き込むゾーンとは、「TrustZone」です。普通の人には触れないところです。

そして、このチップを使って製造した機器。(この資料の)2.のご説明に移ります。製造したものについては、証明書を認証局から発行して、鍵が読み込むということです。「これはどこどこのメーカーで、なんという工場で、何月何日に作られた、こういうロットのものです」ということを書き込みます。それから出荷します。

これだけでも製造上は問題ないわけですが、それを次にユーザーが使うとき。コンシューマーユーザーと、エンタープライズユーザーの違いですね。

工場などで使うときには、「これは今、なんとかという製造工場で使っている生産機器だ」ということを、ユーザー証明書というかたちで入れてもらっています。コンシューマーユーザーの場合は、入れなくてもいいのです。

そして、何かの脆弱性が発見されたとします。その場合、当然ここにアップデートをかけなければならないのです。OSあるいはアプリケーションのアップデートをかけて、セキュアでなければならない。あるいは、機能を拡張したい。

そういうときに、(資料に)「OTA」とあります。Over The Airの略です。モバイル通信を使うこともありますが、そこにソフトウェアのアップデートを、しっかりとかけられる。

そして、その利用期間が終了すると、認証を止める。認証を止めると、もうネットワークには繋がらない。もしかしたら、認証をしないと電源が入らないようなものも、できてくるかもしれません。

この、一連のライフサイクル。これをマネジメントするためのプラットフォームが、セキュアIoTプラットフォームです。このコンセプトを、今回ご紹介いたしました。そして、これは私たちだけではできませんので、いろいろなパートナーさんに入っていただく。

こういうことを、(2017年)10月24日に事業戦略発表会で発表しました。私たち以外にも10社の方々にご登壇いただいて、援助をいただきました。(国内外のグローバルパートナーは)まだまだ増えます。どんどん増えます。そして、これを標準のものにしていきたい。

いちばん進んでいる国は、やはり日本だと思います。

ドイツが、いかにインダストリー4.0(ドイツ政府が推進する、製造業の高度化を目指すコンセプト)という話をしても、アメリカのインターネットがいかに進んでいるかという話をしても、やはり製造のポイントというものは、日本にあると実感しています。まずは日本で、ジャパンクオリティのIoTというものを、進めていきたい。

もちろん、マーケットは日本だけではありません。製造業さんで、売上の7割から8割が海外だというところは、もちろん多いです。そういったところで優位になるものを、作っていきたいという志でございます。

②IoTビジネスの状況 IoTビジネスの方針

ソフトバンク・テクノロジーのグループというところでは、デバイス側のサイバートラスト。それから、クラウド側のソフトバンク・テクノロジー。こういうところで、一気通貫でお客さまに対応してまいりたいと思っている次第です。

2018年3月期上期業績(業績予想比)

2018年3月期の業績見通しです。期初にお話ししました、520億円の売上高。25億円の営業利益・経常利益。それから、16億円の純利益。この目標を掲げたまま、なんとかがんばってまいりたいと思っている次第でございます。

以上で、私からのご説明とさせていただきます。ありがとうございます。