2017年9月期通期 ハイライト(対前期)
宇佐美進典氏:本日はお忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。当社の2017年9月期通期決算のご説明をさせていただきます。
まず、ハイライトから説明したいと思います。この1年を振り返ってみますと、ネット広告市場の主戦場はスマホ広告に完全に移りました。広告主は着実にゲーム以外に広がりを見せ、金融・EC・各種サービスなどに幅が広がり、よりターゲットをしぼって広告を適切に配信したいというニーズが、増えてきたと考えております。
一方で、ユーザーの滞在時間はGoogle・Facebook・Twitter・Yahoo!・LINE・instagramなどといった、巨大メディアに集中する傾向がございます。中堅以下のメディアは、メディア運営のコストとマネタイズのバランスに苦戦しておりまして、この状況は今後も続くだろうと思っております。
また、広告のプラットフォーム市場におきましては、海外の巨大プラットフォームを中心に一極化が今進んでおります。国内におきましても、勝ち組と負け組が、より鮮明になってきたと思っております。
このような状況の中、当社におきましては、2016年9月期から先行投資期間と位置付けました。2017年9月期も積極的に先行投資を進めた結果、主力事業でありますアドプラットフォーム事業は順調に業容を拡大いたしました。連結の売上高は250億円を超え、前年比で24.2パーセントの増収と、過去最高を更新いたしました。
先行投資等によりまして、販管費は増大いたしましたが、売上総利益も前年比で24パーセント増となった結果、営業利益は18億円。若干ではございますが、増益となっております。
また、この2017年9月期におきましては、2016年10月に動画アドプラットフォームを運営しておりますCMerTV社のグループ化によりまして、動画広告への取り組みを強化しております。
3点目といたしましては、2017年9月期の期末配当を10円から15円へと増配もいたしました。
2017年9月期通期 ハイライト(対業績予想)
続きまして、業績予想に対してのハイライトでございます。期初の時点では売上高230億円、営業利益で12億円と業績予想を出しておりましたが、上期の進捗が当初の想定以上によかったため、(2017年)7月に上方修正しております。
この上方修正しました業績予想に対しまして、売上高、営業利益、経常利益、当期純利益のすべての項目につきまして、業績予想を上回る着地となっております。
2017年9月期通期 ハイライト(事業別)
事業別に見てみますと、主力事業でありますアドプラットフォーム事業が順調に増収増益となりまして、売上高で183億円、営業利益で17億円、前期比で4.6億円の増益となり、全社の業績を大きく牽引しております。
自己株式の取得及び消却について
また、本日(2017年10月25日)、今回の決算短信の開示とあわせて、株主還元の充実および資本効率の向上を図るために、50万株・5億円を上限とした自社株買いを行うことを発表させていただきました。今回取得しました自己株式に関してましては、すべて消却する予定となっております。
連結売上高 通期推移
続きまして、連結売上高での通期での推移でございます。通期では業績予想250億円を上回りまして、過去最高の258億円となりました。
とくにアドプラットフォーム事業の売上高は前期比40パーセント増の増収となりまして、全体の7割になっております。
連結売上総利益 通期推移
続きまして、連結での売上総利益の推移でございます。売上高の拡大に伴いまして、売上総利益も前期比で24.8パーセントとなりまして、過去最高を更新いたしました。
連結販売管理費 通期推移
販売管理費の推移でございます。事業成長に伴いまして、人件費、外注費、サーバー管理費などが売上に連動して、増加しております。また、積極的な先行投資によりまして、広告宣伝費は前期比で1.9億円の増加となりました。
連結営業利益 通期推移
営業利益の推移でございます。各事業におきまして先行投資を進めるも、アドプラットフォーム事業の営業利益が順調に伸長しまして、営業利益に関しては前期比で5パーセント増の18億円となっております。
連結営業利益(対前期)
対前期比での、営業利益の変化でございます。前期の営業利益17.2億円に対しましての増減要因で見ますと、今期におきましては、売上総利益は15.9億円増加しました。その一方で、販売管理費は人材採用等の先行投資や、新規事業でのプロモーション強化をしつつも、15.1億円にとどまりまして、営業利益は18億円となっております。
売上総利益の内訳を見てみますと、事業成長に伴う通常の増加分が約9.9億円でございました。(2017年)5月にアドプラットフォーム事業において行った、媒体精査の対象となった媒体において、2016年10月から5月までに発生した売上総利益は、概算で6億円となっております。これに関しましては、来期以降剥落する部分となっております。
連結従業員数(セグメント別従業員数推移)
続きまして、従業員数の推移でございます。前期比で26名増員いたしまして、317名となっております。
連結損益計算書
続きまして、損益計算書でございます。(資料の)コメントの中でいきますと、※2の特別利益のところをご覧ください。こちらにつきましては、持分法適用関連会社のMomentum社の売却益と、出資先ファンドからの売却分配金等によりまして、2.8億円となっております。
一方で、※3の特別損失でございます。こちらに関しては、第3四半期にもご説明をしましたが、アドプラットフォーム事業内における組織再編に伴う、ゴールドスポットメディア社ののれん減損損失等の計上によるものでございます。特別利益とほぼ同額の、2.8億円となっております。
結果としまして、2017年9月期におきましては、税金等調整前当期純利益は約18.5億円となりまして、当期純利益は約11.6億円となりました。
連結貸借対照表
貸借対照表については、ご覧のとおりでございます。
連結キャッシュ・フロー計算書
キャッシュ・フロー計算書に関しましても、ご覧のとおりとなっております。
主要事業の概況
続きまして、主要事業の概況のご説明にいきたいと思います。
当社はアドプラットフォーム事業を中心に、ポイントメディア事業、インキュベーション事業の3つの事業から構成されております。これらの事業を、それぞれ個別に見ていきたいと思います。
アドプラットフォーム事業のビジネスモデル
まずは、アドプラットフォーム事業からいきたいと思います。
当社のアドプラットフォーム事業のビジネスモデルは、日本最大級のSSPである「fluct」での配信を活かしたかたちで、スマートフォン向けのアドネットワークである「Zucksアドネットワーク」。また、「CMerTV」などのアドプラットフォーム事業を展開しております。
広告主につきましては、ブランド系の広告主からパフォーマンスを重視する広告主を幅広くカバーするとともに、メディアにつきましてもPC・スマホ・スマホアプリといった、デバイス上でのプレミアムメディアから専門メディア、CGMメディアなど、多様媒体を顧客としております。
アドプラットフォーム事業 売上高推移
続きまして、アドプラットフォーム事業での売上高の推移でございます。ご覧のとおり、売上に関しましては、CMerTVが連結で加わったことによるアドオンもございますが、全体としても好調に推移いたしました。前期比で約40パーセント増、過去最高を更新しております。
アドプラットフォーム事業 売上構成推移
こちらの内訳での推移でございます。ご覧のとおり、サプライサイド・デマンドサイドともに、過去最高を更新いたしました。
当社の運営する「SSP fluct」は、運用型広告市場におけるサプライサイドでの国内ナンバーワンとしての地位を固め、スマホ領域におきましても順調に成長を遂げてきました。
一方でデマンドサイドにおきましては、CMerTVが連結で加わったことに加えまして、スマホ向けのアドネットワークである「Zucksアドネットワーク」は、大規模クライアントからの継続しての受注が続きました。前期比で77パーセント増と、大きく成長を実現しております。
アドプラットフォーム事業 営業利益推移
続きまして、アドプラットフォーム事業の、営業利益の推移でございます。期中における取引先媒体の精査の影響はありつつも、営業利益は過去最高を更新いたしました。
ポイントメディア事業のビジネスモデル
続いて、ポイントメディア事業のご説明です。ポイントメディア事業のビジネスモデルですが、ユーザーに対しては、アンケート(回答)や、サイトを通じたショッピングの金額等に応じて無料でポイント貯めて交換できる、さまざまなサービスとなっております。
当社の特徴といたしましては、アンケートでポイントが貯まる「リサーチパネル」、ショッピングでポイントが貯まる「ECナビ」、ポイントを交換できる「PeX」といった、ネット上のポイント関連のサービスをすべて自社で運営しております。
結果としまして、実際にショッピングを行っているF1(20~34歳の女性)・F2(35~49歳の女性)層のユーザーをベースとした、ターゲット構築をしております。
ポイントメディア事業 業績推移
このポイントメディア事業の業績推移でございます。事業全体といたしましては、(サービスを)PCからスマホシフトを進めていく中で、販売管理費の削減を進めておりましたが、売上総利益率の高いアドネットワークの売上等の不調が続きました。その結果、前期比では減益というかたちになっております。
ポイントメディア会員数 期末推移
一方で、ポイントメディアの会員数につきましては、順調に推移しております。今はECナビ・PeX・リサーチパネルでの延べの会員数は、924万人というかたちです。前期比で言いましても、約90万人ほど増えているというかたちでございます。
インキュベーション事業概要
続いて、インキュベーション事業でございます。こちらにつきましては、アドプラットフォーム事業、ポイントメディア事業に続く3つ目の柱となる事業を作るために、積極的に推進しております。
強化領域としましては、HR領域・EC領域・FinTech領域の3つでございます。
インキュベーション事業 業績推移
このインキュベーション事業のうち、強化対象となっているものが、こちらの資料の濃い緑色のグラフです。これらの強化領域では、とくにEC領域での一部のプロモーションが来期にずれ込んだものの、人材採用・グループ内異動によりまして、体制面を強化するとともに、積極的なプロモーションを実施しております。
中期経営目標(2020年9月期)
続きまして、中期の経営目標でございます。中期と言いますのは、我々にとっては2020年9月期のことでございます。中期経営目標といたしまして、売上高で420億円・営業利益で30億円・当期純利益で18億円・配当性向で20パーセントというかたちで、設定しております。
この内訳に関しましては、こちらの資料をご覧のとおりでございます。その中でも我々が大きな伸びしろとして考えているものが、アドプラットフォーム事業でございます。こちらに関しては、2017年9月期において183億円だったものを、(2020年9月期には)300億円にするというかたちでございます。
一方で、ポイントメディア事業におきましては、事業の抜本的な構造改革を行ったうえで、改めて再成長させます。これにより、(売上高は2017年9月期で)57億円だったものを、(2020年9月期に)80億円にするというものです。
インキュベーション事業につきましては、HR・EC・FinTechの3領域を中心に、(売上高は2017年9月期で)20億円だったものを(2020年9月期に)40億円にしていくというかたちでございます。
中期経営目標達成に向けての重点施策
そして、この中期経営計画の目標を達成させていくための重点施策でございますが、大きく3つございます。
1つ目が、アドプラットフォームの徹底強化、シェア拡大。
2つ目が、ポイントメディア事業の構造改革、再成長軌道へ。
3つ目が、第3の事業領域の確立でございます。
とくに重要なものが、1つ目でございます。業界内におきましては、すでにプラットフォーム事業者は二極化しております。当社の「fluct」「Zucks」といったプラットフォームは、すでに勝ち残るプラットフォームになりつつあると、認識しております。
今後もさらにその差を広げていくべく、開発力を強化して、プラットフォームそのものを磨き続けていくというかたちでございます。
一方で、売上シェアを拡大するためには、そのプラットフォームごとに、しっかりと戦略を立てて実行していく必要がございます。
「fluct」におきましては、アプリメディアの新規開拓の強化・大規模メディアとの関係強 化・既存取引先メディアにおける取引シェアの拡大となります。
「Zucks」の場合は、アドネットワークとしては後発のものとなっております。だからこそ、営業・開発・メディア開拓の連携を強化しまして、顧客数の向上・ 顧客単価の向上がキーになると考えております。
これらを早期に実行するべく、一層の採用強化、またグループ内人材の最適配置を進めていくかたちになります。
中期経営目標(売上高内訳)
この中期経営目標の売上高の内訳および、今後の推移でございます。
アドプラットフォーム事業(青色)におきましては、経営環境の変化の速さを考慮いたしまして、比較的保守的ではございますが、300億円というかたちで設定しております。
一方で、ポイントメディア事業(オレンジ色)の再成長や、インキュベーション事業(緑色)におきましては、比較的チャレンジした目標であると考えております。
当社は2014年に上場いたしまして、3年間の売上の平均成長率が、約19パーセントでございました。今回、この2017年から2020年に向けたところといたしまして、(売上高の目標は)420億円というかたちになります。
これは今後の3年間で見ますと、継続成長率が18パーセントというかたちになっておりまして、十分実現可能な目標だと認識しております。2020年以降も継続的に成長させていくベースを作るためにも、ここはしっかりと達成していきたいと考えております。
中期経営目標(営業利益・当期純利益)
続きまして、営業利益と当期純利益の、中期経営目標の推移でございます。こちらは2020年9月期におきまして、それぞれ営業利益(黒い部分)を30億円・当期純利益(灰色の部分)を18億円とさせていただきました。
2016年9月期から、中期・長期の成長に向けて先行投資を行ってきました。こちらにつきましては、2018年9月期までを引き続き先行投資期間と位置付けておりまして、先行投資を続けていきます。
2019年9月期以降に関しましては、利益成長を鑑みまして、2020年9月期に営業利益30億円の達成を目指していくというかたちでございます。
株主還元方針について
続きまして、株主還元方針でございます。こちらの基本方針は変わっておりませんが、株主への利益還元は、2020年9月期には配当性向20パーセント(を達成する)。こちらを、中期経営計画の目標の1つとして設定させていただきました。
2018年9月期 連結業績予想
続きまして、2018年9月期の業績予想でございます。こちらは、売上高で300億円・営業利益で12億円・当期純利益で7億円での、増収減益での業績予想といたします。
なお、配当に関しましては、今期(2017年9月期)と同じく15円を想定しております。
売上高につきましては、ポイントメディア事業は横ばいとなるも、広告事業の成長にともないまして、アドプラットフォーム事業の成長が牽引して、16パーセントの成長(を予想しております)。
2018年9月期 営業利益予想の設定背景
営業利益の業績予想の考え方につきましては、こちらの資料をご参照ください。
まず、2017年9月期の営業利益につきましては、18億円というかたちになっております。期中におきまして媒体精査を行い取引を見直した媒体から、2016年10月から2017年5月までに発生した、売上総利益6億円が含まれております。
これは、2018年9月期において剥落する部分となります。それを除いた12億円に対しまして、売上総利益が10.8億円・販売管理費が10.9億円の増加となるために、(2018年9月期の営業利益の)予想を12億円としております。
なお、売上総利益要因におきましては、ポイントメディア事業でのユーザー還元率アップなどの構造改革費用が、約3億円含まれております。
また、販売管理費要因においても、EC領域における新規プロモーションの強化による広告販促費が、約4億円含まれております。
2018年9月期 株主還元について
最後に、2018年9月期の株主還元でございます。
今期の当期純利益の業績予想は、前期比で減益の7億円というかたちにしておりますが、配当に関しましては、2017年9月期と同じかたちで15円といたします。
また、冒頭でもご説明しましたように、5億円・50万株を上限といたしまして、自己株式の取得及び消却を行います。
3年前の2014年に、当社は上場させていただきました。(当初の2014年9月期)通期の売上高は152億円でしたが、この3年間で100億円以上の売上を増やして、(2017年9月期は)258億円というかたちになりました。
その一方で当社は、あまり派手なIRを行う会社ではありません。しかし、継続して成長し続けていくという強い意志のもと、組織をしっかりと作って地道に事業改革を続けてきた結果が、このような結果につながってきたと考えております。
3年後の2020年9月期に向けては、今までと同様に売上を増やすだけではなく、利益成長も実現させていきたいと考えております。そのために重要なものが、組織としての実行力だと考えております。
中期経営目標の達成に向けて、各施策をしっかりと実行して必ず達成させていくと、我々は考えております。
私からは以上です。