中計目標を超える営業利益達成見込み

島村琢哉氏(以下、島村):どうも島村でございます。今日はお忙しいところありがとうございます。今お話を申し上げた通り、今日はメインとすると、帳票の変更と、あと決算の話ということで、簡単に私の方からイントロをはじめたいと思います。

まず1件目は業績。今年の年間の仕上がりの見込みでございます。2015年に2017年の目標として掲げましたのが、売上高1兆6,000億円。営業利益1,000億円以上。ROE5パーセント以上。それから、ここには書いておりませんけど、D/Eレシオ0.5以下ということを掲げました。

今年の仕上がりでございますけれども、表が表す通り、売上で1兆4,500億円。営業利益で1,150億円。ROEで5.8パーセント。D/Eレシオは6月末の時点で0.37でございますので、年末までいっても、0.4とか0.5以下は、まったく問題なくクリアできると思っております。

売上高1兆6,000億円に対して、1兆4,500億円で1,500ぐらい下に回っているんですけれども、この2017年の中計作ったときの、為替の設定に関しますと、ユーロ、ドル及び円高になっておりまして、その為替の変動の部分が1,000億円ぐらい影響ありますので、それをもとの為替に変更しますと、1兆5,500億円ぐらいの「あり姿」になっております。

そういうことで、とりあえず今年の中計として掲げていた目標については、達成できるかなと思っております。今年、年初にお話してたのが、売上高1兆3,500億円ですから、仕上がりとすると1,000億円ぐらいプラスになるんでしょうか。

それから営業利益は、上期450億円、下期600億円で、合わせて1,050億円と話しておりました。上期、残念ながら500億円超えなかったんですけども、これはいろんな特殊事情があって、実質的に言うと500億円は超えていたんだろうなと思っております。

1,150億円という仕上がりでございますから、差し引き計算していただくとお分かりの通り、下期600億円に対しては、さらに上振れする650億円とか、そんぐらいのものにはなっていくだろうと思っております。ということで、詳細は後ほどまた宮地の方からお話をさせていただきます。

次期中期経営計画について

今度は秋口、今年いっぱいをかけまして、中期経営計画のまた更新をしていく時期でございます。昨年来お話しておりますけど、2025年の「ありたい姿」を目指して、その中間点としての2020年ということを、やっぱり意識しながら中期経営計画を作成していきたいと思っています。

2020年はROEで8パーセント以上を目指して、いろいろな施策をこれからもやっていきたいなと思っております。

2020年とは、1つの通過点と捉えておりまして、当然我々としては、やっぱりもう少し先の2025年の「ありたい姿」をかなり意識したかたちで、コア事業と言われているものと、それから戦略事業についても、よりその方向性について、しっかりと固めていきたいと思っております。

これは来年の2月頃に発表させていただきたいなと思っております。また、当然それに必要な成長のための起爆剤として、M&A。昨年ちょっと年末、化学部門で1,000億円ぐらい使いました。

こういうところをまた積極的に、やはり考えていきたいと思っておりますし、ご案内の通り、やっぱりアセットの多い会社でございますから、いかに資産の回転率をあげていくかということ。

我々の社員の業績評価も含めて、ROECという1つのKPIを使って、資産効率と営業利益あるいは事業利益の効率性も意識しながら中期計画を作っていきたいと思っています。

商号変更について(1)

2点目でございます。3時にリリースさせていただきましたけども、従来から、よくみなさまからガラスだけではなくて、エレクトロニクスですとか、化学・セラミックスがあるのに、なんで会社の名前は旭硝子なんだと。

会社の名前をあらわしているのが、事業をあらわしていないじゃないかという、そういうご指摘も多々ちょうだいしております。

だから変えるってわけじゃないんですけど、来年の7月1日で英字式株式会社。英語名でいきますと「AGC Inc.」というかたちで、商号を変えたい思っております。

もともと1907年に「旭硝子」という会社を設立いたしました。岩崎俊弥というのは、ロンドンのロンドン大学に留学して、そのときは応用化学を専攻していました。

したがって、化学だったんですけども、日本に帰ってきて、彼がやはり日本の社会を見たときに思ったこと。語り部の話によりますと、やはり近代国家を目指していく日本において、今社会資本としていちばん大事なものは建物、そのためのガラス。

これを自ら作らずして、日本の近代化はないということから、大変リスクの大きい、岩崎 俊弥がガラス事業を始める30年前から、いろんな会社が板ガラスの製造にチャレンジしたんですが、ことごとく失敗してまいりました。

そのチャレンジをすることによって、世の中に必要不可欠なものを提供していくのが、我々の使命だと。旭硝子の使命だと。いちばん最初に必要だったのがガラスだから「旭硝子」という名前を使ったというように、記されてるものがございます。

その意思はそのあと、我々の先人たちにも引き継がれ、セラミックス化学、あるいは自動車用のガラス、ブラウン管用ガラス、液晶用TVのガラスというように、まわりから見ていただくと、なんかここにはまったくの脈略がないような感じで、事業ドメインが広がっていくように見られるかもしれませんが。

我々のアイデンティティと言いますか、DNAとすると、やっぱり創業者の思い。世の中に必要不可欠なものを、リスクを恐れずに作って、長い間使っていただける。そして、結果として、社会が豊かになっていくということを目指す。そういうものづくりをするグループなんだという。そこに根差しております。

そういうことで、110周年を迎える今年、社名変更を決意いたしました。

商号変更について(2)

しかしながら、実は社名変更に至るまでは、もうすでに15年前ぐらいから、布石を打っております。2002年にグローバル一体経営のスタートとしまして、グループビジョン「Look Beyond」を制定しまして、「旭硝子グループ」から「AGCグループ」に変更いたしました。

100周年のときには、グループの関連子会社には「AGC」という名前を社名として使うことをスタートさせております。今年、110周年を迎えて、このグローバルブランド「AGC」を統一して行う総仕上げとして、本体の旭硝子という名前を、変えるという決意に至ったわけでございます。

“私たちの使命”

今お話してきた通り、AGCグループが進んでまいりました道は、独自のソリューション。素材の技術を使って、世の中に必要なものを提供し続けるということで、我々の使命は、いつも世界の大事な一部というように、去年ミッションを変えました。

この社名の変更に基づいて、さらに世界ブランドとして広げていきたいと思っております。

AGCブランドのさらなる成長

「AGC」というと、旭硝子カンパニーという名前なんですけども、今お話してきた通り、私の思いとすると、アドバンスとグラス、ケミカル&セラミックス。そういうものが、このAGCが意味する、そういうブランドであって欲しいと思っています。

現在、30ヶ国。5万人の従業員がおります。このAGCというブランドを、世界に通じるブランドに育てていくという。それをすることによって、これから先100年。多くのステークホルダーのみなさまから信頼されて、頼りにされる。そういうグループを目指してまいりたいと思っております。

それでは、これから第2四半期の業績について、宮地CFOからご説明させていただきます。

宮地伸二氏(以下、宮地):CFOの宮地でございます。早速でございますけども、第2四半期の業績についてご説明させていただきます。

2017年12月期 第2四半期業績のポイント

決算の概要でございます。

売上高は前年同期比で650億円増収の6,900億円となりました。これは各事業の製品出荷数量が増加したことに加えまして、買収いたしました企業が連結に加わったということによります。

営業利益は493億円で、これは化学品セグメントが大きく伸びまして、前年同期比で94億円の増益となりました。この増益の要因につきましては、後ほどご説明いたします。

親会社の所有者に帰属します四半期純利益は375億円となりまして、前年同期比で105億円の増益となりました。

連結純損益計算書

これは当第2四半期についてのご説明となります。

売上高は前年同四半期比でございますが、377億円増の3,546億円。営業利益は39億円増の271億円となりました。法人税等はマイナス93億円と大きくなっております。

これは海外の子会社におきまして、将来発生いたします税金費用の見積もりを変更したことにともないまして、繰延税金負債を認識いたしました。その結果、45億円程度の税金費用が発生したことによるものです。

これによりまして、親会社の所有者に帰属する四半期純利益は前年同四半期比で6億円減の176億円となっております。

営業利益増減要因分析(2Q.FY2017 vs. 2Q.FY2016)

ここから営業利益の増減要因でございます。

まず、前年同四半期比較でございますが、39億円の増益となりました。販売数量・品種構成の改善。コスト改善。新規連結が要因でございます。

数量・構成差プラス47億円ですが、ガラス品、液晶用ガラス基板の出荷が増えました。売値差はマイナス1億円です。

液晶用ガラス基板の価格下落はありましたけども、グローバル化製品。欧州建築ガラスの売値改善がございまして、トータルとしてはほぼ横ばいとなりました。

現燃材料価格差はマイナス20億円ですが、主に燃料価格が上昇したことによるものでございます。コスト・その他差はプラス13億円でした。

これは昨年発生いたしました在庫評価益等の一時的要因約20億円ありましたが、これがなくなりましたけども、一方で、液晶用ガラス基板ですとか、化学品でコストの改善が進みました。

また、新規に連結された会社の利益貢献も、この項目に含まれてございます。

営業利益増減要因分析(2Q.FY2017 vs. 1Q.FY2017)

次のページですが、これは前四半期の比較になります。前四半期比では48億円の増益となりました。数量・構成差はプラス32億円でした。すべての事業で出荷は増加いたしました。

売値差はマイナス6億円でございます。液晶用ガラス基板の価格は若干下落いたしましたけども、全体として大きな変化はございませんでした。

コスト・その他差はプラス18億円です。液晶用ガラス基板でのコスト改善。あるいはビニタイ社が1Qは1ヶ月のみの連結でしたが、2Qは3ヶ月分フルに連結されましたのが、主な要因でございます。

営業利益増減要因分析(1-2Q.FY2017 vs. 1-2Q.FY2016)

これが2Qまでの累積の前年同期比較ですが、94億円の増益となりました。販売数量・品種構成の改善、コスト改善などが主な要因でございます。

数量・構成差はプラス94億円で、化学品、液晶用ガラス基板、電子部材などの出荷が増えました。売値差はマイナス6億円です。

液晶用ガラス基板の価格下落がありましたけども、化学品や欧州建築ガラスの売値改善がございまして、トータルとしてはほぼ横ばいでございます。

現燃材料価格差はマイナス30億円でございまして、主に燃料価格が上昇したことによるものでございます。

コスト・その他はプラス35億円です。これは昨年発生いたしました在庫評価益等の一時的要因プラス20億円程度ございましたが、これがなくなりました。

液晶用ガラス基板、化学品でコストは改善し、新規に連結しました会社の利益貢献もありまして、プラス35億円という結果になりました。

連結財政状態計算書

バランスシートでございますが、16年12月末との比較でございます。

資産は1Qに大型の買収が完了いたしたために、現預金は大幅に減少いたしました。有形固定資産・無形固定資産及びのれんは大幅に増加いたしております。

有利子負債の合計は、新規借入などによりまして、148億円増加となりました。大きな増減は1Qに発生しておりまして、2Qにおきましては、特質すべき大きな変動はございませんでした。

連結キャッシュフロー計算書

キャッシュフローはご覧の通りでございます。

投資活動キャッシュフローが大きいのは、大型買収の支払いが本年の1Qにあったためでございます。財務キャッシュフローやその他マイナス126億円には、自己株所得のマイナス100億円が含まれてございます。

ガラス セグメント(1)

ここからはセグメント別、地域別の状況をご説明いたします。

まず、ガラスセグメントでございますが、類型の売上高は3,570億円となりまして、営業利益は140億円でございました。これは前年同期比139億円の増収。19億円の減益でございます。

欧州建築ガラスの売値改善や、建築用、自動車用共に、数量構成差は改善いたしましたけども、昨年発生いたしました原油のヘッジ評価益など、特殊要因が10億円ほどございましたが、これがなくなったことですとか、燃料価格の上昇、販管費の増加等によりまして、若干減益となりました。

建築用につきましては、増益基調をキープできましたが、自動車用の欧州の生産不調等がございまして、コスト要因としてマイナスがございましたことと、今後の成長需要として、モビリティを伸ばそうということを思っておりますが、モビリティ関連のコーポレートの研究開発費を増額いたしました。

結果、それもマイナスに効きまして、若干でございますけども、減益になったということでございました。

前年同四半期比では、91億円の営業利益が68億円となりまして、23億円の減益でございます。これは欧州建築ガラスの売値改善もありましたけども、建築用、自動車用ともに燃料価格の上昇、販管費の増加によりまして、減益となりました。

前四半期比では71億円の営業利益が68億円となりまして、3億円の減益となりました。全体としましては出荷数量は増加いたしましたけども、自動車用ガラスのコストが悪化ということが主な要因でありました。

電子 セグメント(1)

電子セグメントでございますけども、類型の売上高は1,224億円となりまして、営業利益は91億円となりました。これは前年同期比で8億円の増収。5億円の減益でございます。

これは昨年の2Qに、20億円程度の在庫評価益などの一時利益がございましたので、この影響を除きますと、増益を確保したと思っております。

これは液晶用ガラス基板の価格下落でありますとか、液晶ガラスの円安の影響等、マイナスがございましたけども、それを出荷数量増、コストダウン。あるいは電子部材の出荷数量増でカバーできたと思っております。

これ前年同四半期では、73億円の営業利益が49億円となりまして、23億円の減益となりましたけども、これも先ほど申し上げました、昨年の2Qに発生いたしました約20億円の一時利益の影響が大きいということでございます。

前四半期比では42億円の営業利益が49億円となりまして、8億円の増益となっておりますが、これは液晶用ガラス基板のコストダウンが進んだことと、数量増もありまして、売値の下落をカバーできたということで、増益となりました。

液晶用ガラスの動向でございますけども、数量は前四半期比で一桁半ばパーセントの増加ということになりました。価格も下落幅は前四半期比よりも、さらに縮小しております。

化学品 セグメント(1)

化学品セグメントでございますけども、類型の売上高1,967億円。営業利益が260億円となりました。前年同期比で495億円の増収。108億円の増益でございます。

クロールアルカリ製品の売値の改善。インドネシア子会社の増設及びフッ素製品の出荷数量の増加。それに加えてビニタイ社の連結といったものが、主な増益要因でございます。

前年同四半期比では73億円の営業利益が149億円で、倍増となりました。クロールアルカリ製品の売値の改善。クロールアルカリ製品、フッ素製品ともに出荷数量の増加、ならびにビニタイ社の連結といったところが主な要因です。

前四半期では、111億円の営業利益が149億円となりまして、38億円の増益となってございます。これは1Qに千葉工場での定期修理がございましたが、この影響がなくなったこと。

あるいはビニタイ社が1Qは1ヶ月分のみの連結でございましたけども、2Qは3ヶ月分フルに連結されたということが主な増益要因となりました。

地域別業績 前年同期比較

地域別業績の前年同期比較でございますけども、アメリカの営業利益は前年同期比で40億円増の22億円となりました。

ヨーロッパは前年同期比で2億円増の62億円でございまして、これは建築ガラスの値上げ効果がございましたけども、自動車ガラスの数量・構成差の悪化。コスト増によりまして、横ばいの利益になりました。

地域別業績 前四半期比較

地域別の前四半期でございます。

2017年 通期業績見通しのポイント

ご覧の通りでございますので、33ページに飛んでください。

33ページからは通期の業績の見通しについてご説明いたします。売上高は1兆4,500億円で、営業利益は1,150億円でございます。親会社の所有者に帰属する当期純利益は640億円と見込んでおります。

前期比との差はご覧の通りでございますが、2月に発表いたしました数字と比較しますと、売上高で1,000億円増。営業利益は100億円の増加。親会社の所有者に帰属する当期純利益は20億円減。

これは先ほど言いましたが税金との関係でございます。20億円減となりました。これは化学品事業が好調なため、営業利益は2月に発表しました見通しに対して、上期で43億円の上振れと。

下期もさらに上振れする見通しを予想しておりまして、1,150億円になったということでございます。営業利益は増加しておりますけども、先ほど申し上げた通り、繰延税金資産を認識しておりまして、税金費用は若干増加しております。

2017年 通期業績見通しの主要項目

本年の予想値を見直しましたので、今期の予想でございますけども、営業利益は7.9パーセント。ROEは5.8パーセントあたりになる見込みでございます。為替の前提は変更してございません。

2017年 通期業績見通しのポイント(1)

35ページでございますけども、各事業の見通しを簡単にご説明いたしますけども、まずガラス事業でございますが、建築用ガラスは引き続き堅調に推移するとみております。

自動車用ガラスもロシア・ブラジル等で、新興国で市場が回復してきておりまして、ガラスセグメント全体としては堅調に推移すると見ております。

2017年 通期業績見通しのポイント(2)

続きまして、次のページは電子ですが、電子のセグメント。特に液晶用ガラスの数量は3Qは2Qに比べまして、引き続き微増すると。

年間では前時並みの1桁半ばパーセント増加すると見ております。価格も3Qは2Qに比べまして、下落幅はさらに縮小するという見込みです。

これによりまして、1Q3Q、類型の価格下落幅は近年ではもっとも小幅になるという見込みでございまして、年間でも一桁後半パーセントの下落になると見ています。

電子部材は、オプトエレクトロ二クス用部材、半導体関連製品ともに出荷時期を迎えまして、上期では出荷増加と見ております。

2017年 通期業績見通しのポイント(3)

最後に化学品でございますが、化学品全体としては季節性もありまして、下期は上期よりも出荷は大幅に増加することになると思っております。

設備投資・減価償却費・研究開発費

最後のページは38ページでございますが、投資につきましては、投資の圧縮をいろいろしておりまして、見込み1,600億円から1,500億円と変更してございます。償却費、研開費については変更してございません。

私からの説明は以上となります。ありがとうございました。