(事業概要)企業情報

平川昌紀氏:最初に、事業概要でございます。企業情報に関しましては、ご覧のとおりとなっております。なお、当社の事業内容は『飲食店舗展開事業』と『プラットフォームシェアリング事業』で構成されております。詳細は、次の資料で説明させていただきます。

(事業概要)①飲食店舗展開事業

こちらが、『飲食店舗展開事業』でございます。現在当社は、関東エリアに47店舗、近畿エリアに40店舗、中部エリアに2店舗、中国エリアに1店舗、計90店舗の直営店舗を展開しております。

当社の主要な業態といたしましては、ダイニング業態の『KICHIRI』、ハンバーグ業態の『いしがまやハンバーグ』で、その他、多彩な業態を有しております。

(事業概要)②プラットフォームシェアリング事業

次に、プラットフォームを活用した、『プラットフォームシェアリング事業』のご説明です。これまで当社が19年間で培った、外食特化型インフラを活用したBtoB事業でございます。効率化したプラットフォームを、同業他社のみならず、異業種の方々にも提供してご利用いただいている事業でございます。

なお、当社のプラットフォームは3つの機能から構成されております。具体的には、会計・労務・教育・デザインなどを示す『BACK OFFICE』。購買・物流などの仕組みを示す『BACK YARD』。クオリティ・コストの両面でご活用いただける、取引先・協力先企業の『BACK UP』。これら3つの構成でございます。

我々のプラットフォームと異業種とのコラボレーションにより、新たなビジネスを創出したり、我々のプラットフォームを、そのまま同業の外食企業に利用していただいたりして、業務の効率化につなげていただきたい。

先ほど、当社には90店舗の直営店があると申し上げましたが、500店舗の外食企業と関わらせていただいております。

市場縮小・競争激化と業界特有のIT化の遅れ

ここで、当社を取り巻く市場環境について触れさせていただきます。

まず、外食産業の市場規模ですが、1997年の29兆円をピークに、年々縮小しております。直近では多少持ち直したものの、現在においては25兆円まで縮小しております。

一方、お客さまの趣向の多様化が進み、参入障壁が比較的低いことから、競争の激化にさらされております。また、少子高齢化・緩やかな景気回復により、業界内における人材不足が深刻な問題となっております。

そして、業界特有の問題でもありますが、他の業界に比べまして、ITへの取り組みに遅れをとっております。売上管理・仕入管理・勤怠管理・予約管理などを、いまだに「紙とペン」で行っているケースが多いということが、現状でございます。

「関東エリアにおける出店余地」

このような経済環境において、当社は次のような強みをもって展開しています。

まず、1つ目ですが、『関東エリアにおける出店(余地)』の多さがございます。我々は近畿エリアからスタートしました。近畿エリアにおいて乗降客数2万人以上の駅は312駅なのに対して、関東エリアは約3倍の903駅存在しております。単純に、駅の比較だけでも3倍の規模があるということです。

また、1つのエリアだけでドミナント展開ができる新宿や渋谷といった、大型ターミナル駅が、関東には多数あります。実質的には関西エリアに比べて、4倍から5倍の出店余地があると考えています。

先ほど申し上げましたように、我々は大阪・近畿エリアから店舗展開を始めておりますので、関東エリアの店舗展開はいまだ、まだまだ出店の余地があると(考えております)。

(現在関東エリアは)47店舗にすぎない。単純計算しますと、関東エリアで現在50店舗まで展開しましたが、今後は300店舗弱ぐらいの出店ポイントがあると考えております。

また、昨今は多彩な業態をポートフォリオに保有していることと、当初は居酒屋業態のダイニングを主体にやってきたのですが、商業施設の中でも展開できるような業態を開発していることがございます。出店余地を、どんどん活かしていきたいと考えています。

そして、当社は飲食店の店舗の展開のみならず、独自の『プラットフォームシェアリング事業』を展開しております。外食企業は、ほとんど直営店の展開のみで成長していくのですが、我々はこのプラットフォームシェアリング事業をやることによって、特異な立ち位置におります。

「強い人材確保力と育成力」

また、多彩なキャリアを提供できるということで、採用環境がたいへん好調であることも、我々の強みでございます。

最近の大手チェーンには、人材不足で店舗を閉めないといけないという店舗もございます。しかし我々に関しては、そういう影響がないということでございます。

「収益性の高い業態開発力」①

そして十分な出店余地と人材確保のみならず、当社では収益性の高い業態開発力を有しております。

36ヶ月で投資回収ができれば収益性が高いと、業界内では言われております。しかし当社では、直近でオープンした店舗に関しましては、15ヶ月で全部の投資回収を終えるということです。たいへん収益性の高い店舗を作る力をもっている、開発能力があるということです。

「収益性の高い業態開発力」②

今期も新たな業態での出店を行っており、多岐にわたる業態で、さらに出店数が広がっていくと考えております。こちらの資料に、とんかつの専門店と牛肉ステーキ専門店を出店していることを記載しました。たいへん好調に推移しております。

「実績とITに支えられた強靭なプラットフォーム」

IT化が極端に遅れているという、我々の外食業界でございます。その中で当社は創業時から、他社にご利用いただける水準のITを活用したプラットフォームを構築してきております。IT化・クラウド化は、当社の強みとするところであります。

「きちり事業の強化サイクル」

以上の当社の強みを活かしまして、今後は次の戦略を取っていく考えでございます。

まず、当社の事業が常に進化し続ける過程をご説明させていただきます。当社は「きちりプラットフォーム」を基盤に、直営の飲食店舗の展開を行っております。ここに、当社事業とシナジーが生まれる、各企業との提携がございます。

また、CVCと呼ばれるコーポレートベンチャーキャピタルを通じて、さらなるプラットフォームの強化や、顧客ニーズに合った飲食店舗の展開を行います。そして、その拡大が、さらなるシナジーを生み出すというサイクルを作り出しております。

「飲食店舗展開事業」

ここからは、当社の事業ごとの戦略について、ご説明いたします。

まず、飲食店の展開事業でございます。きちりプラットフォームをベースとした効率的な運営基盤のうえに、人材採用力・人材育成力。また先ほど申し上げた、収益性の高い業態開発力が相まって、収益性の高い業態が、当社業態のマトリックスに順次追加されます。

それにより、さまざまな立地・利用シーンに応えられる、店舗展開を行っております。先ほど、当社の出店余地のご説明の際申し上げましたが、出店余地とこの店舗展開により、直営店舗に関しては、さらなる成長を目指せるという状況でございます。

「プラットフォームシェアリング事業」

次に、『プラットフォームシェアリング事業』のご説明でございます。プラットフォームシェアリング事業に関しましては、ブランディングのために飲食店を活用したり、プロモーションのために飲食店を活用したりするニーズに対応するために、『ブランド・コンテンツ活用型』というブランドモデルがございます。

また、スケールメリットを活かした購買をしたいとか、肥大化した本部機能を合理化したいなどといったニーズに応えるために、こちらは同業他社なのですが、『クラウド・サービス展開型』というブランドモデルがございます。いずれも、多くの企業さまから引き合いを頂いておりまして、実際に取り組みをさせていただいている状況でございます。

当社には、BtoB展開にも対応できる人材が、ここ2年ぐらい充足しております。本来でしたら、外食業界というものはBtoCに特化したビジネスモデルですから。ある意味、当社は特異なポジションで事業展開をしているということでございます。

戦略的業務提携「バイイングパワー向上による収益構造改革」

ここからは、当社の事業にシナジーを生み出す業務提携と、CVCについてご説明します。

まず、昨年(2016年)8月5日に発表させていただきました、ビール会社サントリーの外食事業の中核である、株式会社ダイナックとの業務提携でございます。ダイナック社は、約260店舗を有しながら展開している企業です。このたび、両社の収益構造改革を目指した業務提携をいたしました。

具体的には、購買や物流の合理的な仕組みづくりのための共同調査・研究活動。あとは、間接部門の現状分析と合理的な仕組みづくりのための共同調査・研究活動。そして、先進的技術、ITですね。こちらの導入可能性の共同検証を行うためのラボを立ち上げて、バイオパワーを活かした活動を行っております。

戦略的業務提携「経費精算システムの構築」

こちらは、昨年9月5日に発表させていただきました、株式会社Bear Tailとの業務提携でございます。平成28年度の税制改正により、電子帳簿保存法におけるスキャナ要件が緩和されました。スマートフォンで撮影した画像を、紙の領収書の代わりに保存できると認められたことにより、企業の経費精算処理が大幅に効率化するとみられております。

当社はこの分野で、家計簿アプリを業界大手でやっていたBear Tailと組み、システムの共同開発をすることを発表させていただきました。

戦略的業務提携「電力削減サービス提供」

こちらは、今年8月4日に発表させていただきました、福島電力株式会社との業務提携でございます。2016年4月の電力全面自由化にともない、個人・法人において電力購入の選択肢が広がる中、福島電力と共に、各事業会社へ格安な電力削減サービスを提供していくという取り組みでございます。

コーポレートベンチャーキャピタル「EATALY」

次に、コーポレートベンチャーキャピタルとして出資させていただいている、EATALY事業について、ご説明させていただきます。つい昨日(2017年8月30日)、我々が出資した関連会社であります、イータリー・アジア・パシフィック株式会社。こちらの初めての独自出店を、東京駅構内でやりました。

このイータリー・アジア・パシフィックというのは、三井物産、EATALY本部、当社の3社で設立した会社でございます。我々の飲食店舗の運営・開発ノウハウと、三井物産のグローバルな商品調達力・国内流通ネットワークを活かすことで、イタリアの食材の小売・外食・卸売及びアジア太平洋地域におけるEATALY事業の展開を、目指すものであります。

昨日は(オープンして)1日目だったのですが、お客さまからたいへんご好評をいただきまして、行列を作っていただくような状況でした。

コーポレートベンチャーキャピタル「タブレットPOSシステム」

次に、タブレットを活用したPOSシステム事業について、ご説明させていただきます。タブレットPOS市場は、2012年度の4億円から2018年度に65億円へ、急拡大しております。当社もかねてから、従来のPOS端末には革新が必要だと考えていた中、株式会社ユビレジと資本提携・業務提携を締結させていただきました。

当社は、株主とユビレジの利用者という立場でありながら、我々のプラットフォームシェアリング事業の中でご利用いただいている同業他社の方々に、代理店としてこのサービスを販売しているという立場でもございます。

コーポレートベンチャーキャピタル「HR-Tech(人事管理システム)」

最後に、昨年11月に発表させていただきました、HR-Tech(Human Resource×Technology)についてご説明させていただきます。株式会社BECとの提携なのですが、クラウドや人工知能などの最先端のIT技術を使って人事業務などを行う、HR-Techに積極的に取り組んでおります。

その中でもとくに、これまで効率化・システム化が進んでいなかった労務管理の分野に、最新のテクノロジーを活用しようと試みております。その一方で、数多くの従業員を抱える当社は、この分野での取り組みは必要不可欠だと考えております。

このたび、両社がお互いの強みを活かして、最先端のIT関連技術を使って、入社手続きや社会保険・労働保険など、面倒な労務上の手続きをウェブ上で完結させるサービスを、開発すると決定いたしました。

当社の業務効率の向上はもとより、このサービスをプラットフォームシェアリング事業における、ITソリューションとして強化していきます。また、OEM版として企業各社に、代理店として販売していく。このような考え方でございます。

(平成29年6月期 決算概要)サマリー

ここからは、平成29年6月期の決算概要について、ご説明させていただきます。平成29年6月期におきまして、売上高は前年同期比110.1パーセントで、88億4,500万円。

営業利益は、前年同期比75.2パーセントの3億1,800万円。

経常利益は、前年同期比75パーセントの3億1,700万円。

当期純利益は、前年同期比66.6パーセントの1億7,000万円でございます。

トピックとしましては、既存店売上の昨年対比が97.9パーセント。また、7店舗の新規出店がございました。

原価率につきましては主に、いしがまやハンバーグ業態における牛肉の価格上昇が影響しました。人件費率につきましては、ほぼ横ばいで推移しました。

平成30年6月期 業績予想について

続きまして、平成30年6月期の業績予想でございます。平成30年6月期におきましては、既存店売上昨年対比は、98.3パーセント(を予想しております)。また、新規店舗の出店数は、8店舗を見込んでおります。なお、この8店舗につきましては、現状契約の可能性が高い店舗のみとしております。

(株主還元)年間配当・株主優待

ここからは、株主還元についてご説明させていただきます。当社の株主還元につきまして、年間配当は、平成30年6月期は7.5円を予定し、配当方針は当面20パーセント。中長期的には、30パーセントを目標にしております。

株主優待につきましては、当社事業に対する理解を深めていただくために、12月末時点で100株以上から500株未満保有していただいている株主さまに、3,000円分。また、500株以上保有されている株主さまに9,000円分の、お食事券を発行させていただきます。

以上で、株式会社きちりの会社説明会を終了させていただきます。ご清聴、誠にありがとうございました。

<続きは近日公開>