2016年度連結業績概要ハイライト
岩下節生氏:おはようございます。みなさまには、夏休みシーズンの最中、本日ご出席いただきましてありがとうございます。社長の岩下でございます。
30年近く海外におりまして、多少日本語を忘れておりますので、ご質問のときには、優しい日本語でよろしくお願いします。
まず、2016年度連結業績概要についてご説明申し上げます。まず、ハイライトをわかりやすく出しております。受注につきまして、当初の予想を超えまして、27パーセントのアップということで、受注高2,355億円に着手しました。
これにはスマートフォン向けのOLED(有機EL)、大型TV向けLCD(液晶)への、非常に活発な投資が成果を見せまして、高い水準の推移となりました。
売上については、19パーセントの当初の予想のアップで、2,318億円に着手しております。営業利益についても当初の予想比64パーセントアップの、295億円となりました。
売上高増加に伴い、利益も当初よりかなり高い数字に終わっております。各利益項目も、前年度に引き続き、2年連続最高益を更新しております。
その結果、期末配当金については、私ども9月28日の株主総会で最終承認を得る必要がありますが、当初5月に公表しました、1株あたり45円から50円に増額する予定にしております。
前年度は30円という数字で終わっております。これが今回の決算のハイライトでございます。
2016年度連結業績概要
細かいところを少し申し上げます。受注高については、ここに書いてございます。
前年同期比約5パーセント増の2,355億円という数字が出ております。これは半導体・電子部品製造装置、さらにはコンポーネントの増加が寄与しております。
売上については、約21パーセント増の、2,318億円という数字が出ております。これは、書いてございます通り、FPD・PV製造装置、半導体・電子部品製造装置が増加した結果でございます。
営業利益についても、親会社株主に帰属する当期純利益についても、過去最高益を出しております。細かいグラフについての説明は省略させてください。
2016年度連結業績概要(利益率の推移)
いろんなコストダウンの成果も効果として現れてきておりまして、売上総利益は昨年度よりもかなり高く27.5パーセント。営業利益率についても、12.7パーセントと数字が伸びてきております。
2016年度連結業績概要(品目別受注高・売上高の実績)
商品別の受注高、さらに売上高についてご説明します。受注高については結果的に2,355億円となっております。その中で、FPDについては、昨年よりも若干微増の1,137億円。半導体・電子部品製造装置については、376億円に増加しております。
コンポーネントについては、クライオポンプ(有機EL向け)の受注が非常に好調ということで、311億円に終わっております。
売上高につきましても、トータル金額は2,318億円ということで、その前の大きな受注のFPDのところで液晶のところでいただいて、1,109億円という大きな成長を示しております。半導体・電子部品製造装置についても、364億円という数字。コンポーネントについても、高い数字が出ております。
等々の説明については、省略させてください。
2016年度連結業績概要(品目別受注高・売上高四半期推移)
これも見ていただきますと、受注については、四半期ほぼ3連続600億円台で推移しております。売上高についても、ほぼ同じように2Q、3Q、4Qと高い数字を示しております。
これは、ビジネスが非常に大きくなったという事で、受取手形、売掛金等々、あるいはこちらの負債のところでは支払手形・買掛金等々が増えているというところになっておりますが、ただ回転率については非常に効率よくなっております。
2016年度連結業績概要(キャッシュ・フローと有利子負債の実績)
キャッシュ・フローと有利子負債の現状。私どもの2012年から、いろんな事業構造改革等々が、その前の年も含めて始まっております。ここに出ております、借入金依存度については、43.6パーセントから、17.4パーセントまで下がってきております。
青いグラフが示しております、自己資本率については、987億円というところまで積み上がってきております。
こちらのキャッシュ・フローにつきましても、ご覧のとおりフリーキャッシュ・フローは241億円まで積みあがっております。
おかげさまで、ネット有利子負債は、キャッシュリッチの137億円まで結果が改善してきております。
2016年度連結業績概要(期末配当)
先ほども申し上げました、私どもの今期の期末配当につきまして、いろんな連結業績及び配当性向等を総合的に勘案した結果、前回の予測の45円を更にアップし、前年度は50円の配当を株主総会で提案させていただくことになります。前年度に比べて、20円の増加という結果になっております。
以上が、前年度2016年度の決算の主な数字でした。
前中期経営計画(売上高)
ここ、ちょうど前年度で私どもの前回の中期経営計画が終わりました。その3年間の数字をもう1度、ここで振り返ってみたいと思います。
当初、私どもがつくりました中期経営計画では、2016年度の決着点というのはこの売上高で2,000億円を計画しておりました。実際に終わってみますと、大型LCDやOLEDの大きな投資が次々と入り、我々の予想を大きく上回ることができました。ということが、1つの要因。
ただし、半導体・電子機器事業については、非常に前向きな水準を出してはいたのですが、結果的にそこまでには至らず、ただしそれでも増加する結果に終わることが出来ました。
コンポーネント事業、とくにOLED用のクライオポンプが予想を超えて高い数字が出たということで当初の2,000億円の売上目標が、結果的に2,318億円に終わることができました。
前中期経営計画(営業利益(率))
それで、営業利益率、売上総利益率ともに、このグラフの通り、点線から実線に変わることができました。これは、具体的に大きな【装置?8:58】売値というのは上がってはなくて、逆に下がっているのですが、その中で売上高が非常に増加したということと、社内努力のフロントローディング、あるいは継続的なコストダウンの成果が出てきておりますし、固定費・採算管理を非常に徹底して行った成果が、ここに利益率の向上というところで払われているかと思います。はい、次。
これは、先ほどの説明を別のグラフで表した内容でございます。これは飛ばします。はい、次。
前中期経営計画(財務体質)
以上が、前3年間の中期経営計画でございます。では、続きましてこれから始まる3年度について、新中期経営計画の概要を申し上げます。はい、次。
2014年度から2016年度、私どもの社長前任者の小日向久治氏(以下、小日向氏)が、非常に経営の中で柱としていた、いくつかのキーワードがございます。
フロントローディング、さらには一体化ということで、いずれのキーワードも社員の意識改革を変えることで、利益体質の強化を図ってきました。
その結果、先ほど申し上げましたように、いくつかの数値が非常に大きく改善されて利益が出たというところまできております。今回、ちょうど中期経営計画が変わるこの境目に私が新しく社長に就任し、新しい新中期経営計画をみなさんに発表することになりました。
ここで、一番最初にみなさんにご説明したい新しい3年間のキーワードを申し上げますと、持続的成長と企業価値向上に向けた取組みを、さらに加速していくということでございます。
以前の事業改革のモードから、我々はこれから成長モードに換えていく、さらには企業価値を向上させるという意識を、全社員にもってもらうというモードにかえていきます。
この中で、私どもが捉えている今の状況というのは、ここに書いてございますTV、スマートフォン向けパネルの増産だけではなくて、いろんなところでスマート社会を見据えたデバイスが次々と大きく変化してまいります。AIも出てきます。バッテリーも出てきます。
まさにここ数年間、大きな変革がある。技術変革のある時期に、これを1つのチャンスとして、株式会社アルバックは次のステップに上がって良く、企業価値を高めるチャンスがきたと捉えております。
そこに、我々は持続的な成長を図っていくと。これがこれからの3年間でございます。
新中期経営計画
それで、その中で株式会社アルバックはどうするのかというところが、みなさん一番知りたいところかと思います。
そこで、我々はまず、株式会社アルバックの価値、過去いろんな遺伝子があるといわれているのですが、その中で最も大きなものは株式会社アルバックというのは真空技術をベースとした、総合利用・装置の製造・コンポーネントの製造・材料、成膜加工・分析、いろんなビジネス形態がございます。それぞれのビジネス形態の、シナジーを最大化していく、これが1つです。
それまでは、前任者の小日向氏が意識改革の中で一体化、50社近く、全世界で110拠点ぐらいあります、私ども。そういったところで、一体感、つまり一緒になっていくお互いに意識をするというところまでもってきたんですよ。
次は、それぞれの拠点、あるいは会社が新しい価値を、ビジネスを作っていく、シナジーを作りだすというところに我々は変わっていきます。
そのシナジー効果の最大化を、1つの大きな目標にするということと、さらに我々が発展していくためには、株式会社アルバックだけでやはり発展の限界がきます。ビジネスパートナーをグローバル規模で見つけていく。
すでにそういった成功事例というのは、我々グループ内にいくつかございます。それをさらに加速をさせていくということで、高い収益性を求める企業経営に変えていきたいと我々は考えております。
そのためには、次の飛躍のための人づくり。しかもその人たちが、果敢に挑戦する風土、企業文化を作っていく。アルバックは実は創業時1952年に、ベンチャー企業として生まれました。
それ以来、人によるいろんな挑戦を次々とやってきました。それを株式会社アルバックの良いDNAだと、我々認識してきました。
しかし、ここ数年間、残念ながらいろんな経営的な理由でちょっと忘れかけてきておりますが、もう一度、アルバックの発展の根本は、先ほど申し上げました真空技術の活用、シナジー、さらには人、いろんな挑戦ということをキーワードに、こういった文化が再び我々株式会社アルバックに戻ってくるというのが、我々の3年後の姿でございます。
そのために、経営基盤の4つのキーポイントの中で、まず最初に私が一番やりたいのは人財の育成です。詳しくは次のページでご紹介いたします。
新中期経営計画-経営基盤
さらにはシナジー効果をつくりだす元々の土台となりますグループの連携の進化、情報基盤の整備や財務体質の強化、この4点でございます。
重点戦略としては事業成長の推進、さらには価値創造力の向上とございます。事業成長の中ではFPD事業の盤石化、さらには第2の柱となります半導体・電子機器事業の強化、グローバル展開を図っていきます。
価値創造のところでは、今まで我々アルバックが非常に弱かったマーケティングの強化を掲げております。さらには独創的な技術・商品開発、グローバルな調達・生産体制の強化とコストダウンもテーマに挙げております。
2019年度、次の中期経営計画が終わるの最終目標は、売上高2,500億円、営業利益で350億円、営業利益率で14パーセントを目標として掲げております。
経営基盤の中で人財育成、この中ではとくに次世代経営幹部の育成を挙げております。これはいろんな次世代の経営層となりうる方たちの経験を、グループ間、あるいは海外等で積ませて、若いうちにいろんな失敗をさせて引き上げていくことも考えておりますし、これからの人財登用については私どもの本社の茅ケ崎だけに限らず、全世界規模で人の登用を行っていくというところです。
さらにはグループ連携の深化についてはここに書いてございます。いろんな開発・調達・生産体制については、世界規模で考えていくということです。研究・開発については3年間で500億円の資金を投入する計画でございます。
情報基盤の整備については、これだけで50社110拠点の情報をすばやく正確に活用できるような基幹システムをこれから時間をかけて構築していきます。
財務体質の強化については、これはもう書いてありますとおりでございます。ちょうど ベースができました。これからこれを強化していきます。
新中期経営計画-重点戦略(事業環境【FPD】)①
ご来席のみなさんのほうが非常に詳しいかと思いますが、我々を取り囲む事業環境の中で大型TVがますます伸びていくというところが左側のグラフが示しております。
大型TVの占める割合がますます伸びていくし、ガラス基板についても真ん中のグラフでお示すように、10.5世代の需要がますます増えていくと。その中で我々はこれを1つの機会と捉えて市場に入り込むと。
新中期経営計画-重点戦略(事業環境【FPD】)②
とくにこの中で、ご覧のとおり中国のFPD業界で大きな伸びを示しております。生産能力については全世界の45パーセントまでが中国になると。これは国策の1つでもございます。
この中でアルバックは自分たちの強みのスパッタリングをもっと全面的に打ち出していきますし、当然この間、新しい技術開発も進めてまいります。
アルバックはフラットパネルで大きな市場を占めます。中国でいくつかの優位点がございます。カスタマーサポートは12拠点、これは全部自分たちで経営してる12拠点の体制でございますし、もう1つわたくしが個人的に強調したいのは、現地でG8.5世代の装置をメイドインチャイナでお客さまに提供することができました。
これは過去2年半ぐらいかかっております。すでに実績が出て、次々と装置を生み出しております。そういった産業チェーンを我々自身が構築しております。
ということで、FPDについては環境は整っておりますし、OLEDについても、とくにスマートフォンについては大きな市場がこれからスタートするわけです。
新中期経営計画-重点戦略(事業環境【FPD】)③
実はスマートフォン以外にもいろんなアプリケーションがここに書いてございます。VRとか車載用のディスプレイで使われていきます。OLEDのアプリケーションは伸びていくっていうのがもう見えております。
さらに半導体・電子については、この中でのキーワードというのはスマート社会化ですね。情報社会の進化でIoT、AIなどのスマート化によって、半導体・電子の需要は飛躍的に伸びると考えておりますし、すべての産業にこれが使われていくということで、我々はこれを1つの技術革新のタイミングだと捉えております。
この中には、おわかりのとおり我々の得意とする分野の例えば情報を蓄え判断するメモリ、その中でも不揮発性メモリ、さらには情報を送信・取得するセンサー、いろんな通信モジュールにも商品を出しておりますし、バッテリーのところでも商品を持っております。
新中期経営計画-重点戦略(事業環境【半導体・電子】)
ということで、まさにここ数年間起こるであろうスマート社会化の中で、アルバックはいろんなところで商品を出すことができます。
これは過去と違って、みなさんご存じのとおり一番上に最終製品の開発メーカーというのがございます。
こういった中で過去と産業構造が違ってくるのは、例えばスマートフォンにしても最終メーカーが実は自社を中心としたエコシステム、あるいはビジネスプラットフォームを構築してまして、そういったところが中心となってデバイスメーカーにいろんなものをつくるよう指示するといったビジネス形態に変わりつつあります。
そういった時に我々装置メーカーとしては、最終製品の開発メーカーの中に入り込むと。一緒にそういったビジネスプラットフォームに我々も乗っかるというようなコンセプトですでに我々は動いておりますし、いろんな手ごたえを現実的に感じております。
新中期経営計画-重点戦略 FPD事業
FPD事業については、重点戦略の中で引き続き我々はLCDについては大型スパッタリングのところで高いシェアを維持してまいりますし、OLEDについては、とくに投資の多い中国では引き続きナンバーワンの納入実績を堅持しながら、装置の完成度を高めてまいります。
ほかにはキャパシタ・太陽光発電・建材ガラス・自動車部品等々で大きな手ごたえを実際に感じております。
新中期経営計画-重点戦略 半導体・電子機器事業
半導体・電子の部品についても、先ほど何回も言いましたがメモリのところでとくに次世代の不揮発性メモリ、さらには新たにロジックの業界にも再び参入していくという手ごたえも感じております。
中国においてはいろんな投資がありますが、実は政府機関の中心になるような研究機関で我々は共同開発を進めております。そこを経由していろんな産業界に協力を及ぼしていくということを実際にやっております。
コンポーネントについても、もう少し我々新しいトライアルも考えていきたいと思います。当然まだまだコストダウン、現地や海外生産でコストを下げるという努力もいたします。
そういった努力をしながら、FPDの旺盛な需要については引き続き我々は確実な地位を堅持しながらも、第2の柱としてアルバックは半導体・電子の成長に協力に事業を展開してまいります。
新中期経営計画(2019年度目標)①
FPD事業については、引き続き1,000億円の売上高を確保していくというのが目標でございます。半導体・電子については2016年度比で40パーセント増を目標として掲げております。
コンポーネントについては10パーセント、一般産業機器20パーセント、材料20パーセントということで、前年度の結果2,318億円を2,500億円まで高めていきたというのがわたくしどものこれから始まる新中期経営計画の目標でございます。
新中期経営計画(2019年度目標)②
その結果わたくしどもの2019年の売上高は2,500億円というのが、今わたくしどもの目標でございますし、営業利益については350億円を掲げております。これが着地点という目標でございます。
2017年度連結業績予想(品目別受注高予想)①
今期2017年度、これから始まる連結の予測を、時間的な制約もございますので簡単に申し上げます。
2017年度の予測はわたくしども受注高で2,450億円と4パーセントのアップを目指しております。売上高については3パーセントアップの2,390億円を目指しております。営業利益については310億円、当期純利益については255億円というふうに、具体的な数値を掲げさせていただいております。
2017年度連結業績予想(品目別売上高予想)②
品目別についてはご覧のとおり、FPD・PVについては1,175億円、半導体・電子についてはやや多めに425億円という数値を掲げておりますが、コンポーネントについてはとくにクライオ(ポンプ)の受注が変動したりして、ちょっと表面上は下がっているように見えます290億円を掲げております。
トータル受注で2,450億円という数値を出しております。
売上高についてはご覧のとおりFPD、半導体・電子がちょっと伸びて395億円、トータルで2,390億円という数値を見込んでおります。
2017年度連結業績予想(利益率の推移・予想)
利益率の推移については、OLEDなど開発要素の高い装置がけっこうこれから売上の中に出てきておりまして、当然我々はコストダウンの取り組みをやっておりますが、この結果売上総利益率で28.5パーセント、営業利益率については13.0パーセントという数値をひとつの目標として掲げております。
当然まだ1年ございますので、この間いろんなコストダウン、費用の管理を厳格にやって、できるだけいい数字を出していきたいというふうに努力します。
2017年度連結業績予想(設備投資・研究開発費の推移)
研究開発についてはここに書いてございます。設備の推移については2017年度は非常に大きくジャンプしております。従来41億円の規模が、今期は71億円と非常に高い数字を出しております。
研究開発費の数字についても、85億円と高い数値を出しております。それはやっとここ数年間の財務体質で体力がついてきたと。これから本当に挑戦して成長していくというモードに切り替えていく表れかと思います。
結果的に今期の来年の配当金の予想は、わたくしどもいろんな配当性向等々考慮して、前年度に比べて10円増しの60円という目標を掲げております。
ということで、わたくしどもの前期の決算、前の中期経営計画、これから3年間の中期経営計画、さらには今年度の予測をみなさまにご紹介させていただきました。ありがとうございました。