2017年6月期決算説明会

北村竹朗氏:みなさん、こんにちは。お暑い中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

それでは、ただいまより、株式会社ゼロ2017年6月期決算説明会を行いたいと思います。本日は(アジェンダに)記載の4点「1.事業環境について」「2.2017年6月期の通期業績」「3.2018年6月期の取り組み」「4.2018年6月期の業績見通し」についてお話しさせていただきます。

事業環境について① 自動車総市場の概況

最初に、事業環境についてです。私どもの会計年度が6月末ですので、昨年2016年7月〜2017年6月の自動車総市場の概況でございます。

まず新車の合計販売台数は、520万台でございました。昨年が490万台ですので、対前年比5.9パーセント増となりました。

一方、中古車は683万台、対前年比1.5パーセントの微増にとどまっております。

新車と中古車を合わせて1,200万台ということで、久しぶりに1,200万代の大台に乗ったということであります。

新車の好調な販売に合わせて、中古車が緩やかに増加したということなのですが、実は上期(2016年7月-12月)と下期(2017年1月-6月)で市場の需要構造が大きく変わっております。

事業環境について② 需要構造の変化

こちら(需要構造の変化)を少し分解したのがこちらの表になります。まず国内メーカーの登録車は、上期5.4パーセントの増加に対して、下期10.8パーセントの増加となっております。

中間決算の説明会でも申し上げましたが、昨年1年間はトヨタの独壇場でありました。

昨年(2016年)の後半から各社が新車を入れたということで、新車の登録車(の数字)が活性化したということであります。それを牽引したのが日産自動車でございます。

「プロパイロット」という自動運転に近づいている仕様を入れた新型の「SERENA(セレナ)」、それからこれはマイナーチェンジだったのですが、「e-POWER」という充電のいらない電気自動車の「NOTE(ノート)」が爆発的に売れました。そういうことで日産自動車が全体を牽引していったというのが、この下期の動きであります。

一方、国内メーカーの軽自動車は、上期3.6パーセント減に対して、下期7.6パーセント増となりました。上期の3.6パーセント減というのは、昨年(2016年)4月、三菱自動車の軽自動車の燃費(表示)改ざんのスキャンダルの影響で、日産の「DAYZ(デイズ)」シリーズ、三菱自動車の「ek」シリーズの生産販売中止に追い込まれました。

昨年(2016年)7月に軽自動車の生産を開始したのですが、一度傷ついたブランドだったので、昨年(2016年)末までずっとその後遺症が残ったというのが、この結果だと思います。

年が変わって、日産自動車は新型車を入れたということで、車自体は変わっておりませんが 、(下期に)軽自動車の販売は復活いたしました。

三菱自動車に関しても、昨年の秋に発表した、日産自動車との業務資本提携でV字回復が望まれるということで、販売(減少)も底打ちをし、上がってきたというのが軽自動車の動きです。

それから中古車というのは、新車が売れてから1ヶ月ないし3ヶ月に伸びてくるのが通常の流れです。しかし、それほど伸びておりません。

これは何が起きているのかというと、2014年の4月に消費税が増税されました。さらに2015年の4月に軽自動車の税率が変わりました。そして、この2014年から2016年までの間、新車の販売が非常に低迷しました。

それが今年(2017年)に入って一気に、新型車に変えるという動きが市場で起こりました。つまり、今まで保有された車の保有年数が伸びてしまったということで、この車が中古市場に流れずに、抹消されていく傾向があります。表にあるように、「永久抹消」というのは、完全なスクラップです。「輸出抹消」は海外に出て行く抹消です。この抹消の比率が上がってきたというのも、中古車がいまひとつ伸びていない原因になっています。

もう1つの原因としては、新車が値引きをするために、中古車の価格とそれほど差がなくなっているということも今の市場の動向だと思います。

こちらが昨年1年間、上期と下期に需要構造がどのように変わっているのかということでありました。

事業環境について③ 労働需給の逼迫

次に、労働需給の逼迫(ひっぱく)について少し触れたいと思います。こちらは2017年5月統計の厚生労働省のデータです。

我々の事業と関係している「輸送・機械運転」の中に、我々の乗務員の有効求人倍率が入っております。それがこれ(スライド右上)のグラフで、倍率は2.51です。

それから自動車の整備関係は「生産工程」の中に入っておりまして、こちらを(右上のグラフに)引っ張り出すと、(有効求人倍率は)2.77です。

それから「サービス」の中には、「介護サービス」が入っております。こちらを(右上のグラフに)抜き出すと、(有効求人倍率は)2.52ということで、我々の事業に関係している有効求人倍率は非常に高くなっています。

右下のグラフを見ると、自動車運転の(有効求人倍率)平均は2.51なのですが、それより高い都道府県を並べてあります。

東京、神奈川、名古屋、大阪、福岡などの大都市圏が軒並み高いところにあります。

とくに高い京都、石川、愛知、広島の4県は有効求人倍率が4倍近いです。これを我々の「乗務員(大型けん引)」ということで考えると、おそらく6倍近くになっているのではないかと思います。労働需給は、このようなかたちで動いているということであります。

このような環境のなかで、我々の業績がどうだったのかということになるのですが、今日は大きく分けて4点についてお話をします。

まず1つは連結業績の概要。次に、連結セグメント売上の概要。そして、連結セグメント利益の概要。最後に、配当の推移という流れになります。

2017年6月期の通期業績① 連結業績の概要

まず連結業績の概要です。売上高は約790億円。前年対比で約13億円増収となりました。営業利益は、56億3,000万円。前年対比で約2億4,000万円増加となりました。4期連続で増収・増益を達成することができました。

上期につきましては、減収増益ということでしたが、通期で増収増益を果たすことができたということであります。

ただし、公表している売上高では連結で800億円という数字を出しました。それに対して、9億円ほどビハインドしております。

これは後ほどご説明いたしますが、下期に中古車輸出事業の低収益取引にブレーキをかけました。その影響が出て9億円ほど対外公表値より下回っていますが、前年に比べて増収増益で終わることができたということであります。

当期利益につきましては、構造改革に伴う上期の一時的な税負担がありました。それで上期の四半期利益が前年対比でマイナスになっているというご説明をしましたが、通期ではそれを解消し、昨年度と同じ当期利益を出すことができました。

連結セグメント売上の概要(IFRS)

次に、連結セグメント売上の概要です。私どもは、自動車関連、ヒューマンリソース、一般貨物事業の3つのセグメントを経営指標として追いかけております。

自動車関連事業だけが前年に対して約10億円のマイナスになっております。右側のグラフを見ていただきたいのですが、濃いブルーの部分が中古輸出でございます。

先ほど申し上げたように、今年に入って不採算な取引の仕入れ・出荷を停止したということがありまして、こちらについては減収となっております。

それ以外の、本業である輸送事業、あるいは中古車入札会等々の関連事業につきましては、増収を果たすことができました。

ヒューマンリソース事業と一般貨物事業は大幅に拡大することができました。

もう少し細かく見ていくと、自動車関連事業の車両輸送受託台数は年間で約332万台となりました。新車は前年対比11万台増、中古車は5万台増となりました。

周辺事業(整備、構内作業、入札会)につきましても、売上が前年対比で17.5パーセント増となりました。

中古車輸出事業は、前年に比べて約1,300台出荷が下がりました。これが売上を引っ張ったということになります。

ヒューマンリソース事業は送迎事業と派遣事業の2つに分かれています。送迎事業は前年対比で8.0パーセント増。派遣事業は大幅に伸びて前年対比32.4パーセント増となりました。それ以外に、「新規事業+1.2億円」とありますが、こちらは家事代行業です。

もともと我々のグループの中にあった人材関係の仕事ということで、「ジャパン・リリーフ」という会社に移管いたしました。本格的にやり始めたのは今年の1月からなのですが、新規事業として1.2億円ほど積み上がっております。

先ほど申し上げたように、労働力需給が非常に逼迫している中で、事業のポートフォリオを少し変化させております。小さい字で申し訳ないのですが、普通免許でも仕事ができる事業に中身を入れ替えてあります。

大型免許のいらない普通免許でできる送迎事業、具体的には透析患者をご自宅から病院にお連れします。通常は幼稚園やスイミングスクール等の送迎事業はマイクロバスか大型バスを使います。

大型免許が必要になるのですが、患者さんをご自宅から病院にお運びするのは普通のミニバンで行いますので、普通免許で対応できるということで、ここについては比較的採用ができるということであります。

もう1つが、就労時間の長い送迎事業に切り替えました。例えば、幼稚園の送迎事業は午前中の1、2時間、午後の1、2時間と小間切れであります。

それに対して、駅から事業所までの送迎は長時間の就労になります。そういうところにビジネスのポートフォリオを入れ替えたということであります。

それから、先ほどの有効求人倍率でわかるように、市場ニーズが非常に高いという中で、物流企業・福祉・介護施設への派遣事業が非常に伸びました。

最後に、大都市圏から地域顧客の拡大へシフトということで、有効求人倍率の話の時に、「石川と広島に事業所を起こした」と言いました。

ここが新しく事業所として起きたのと、九州地区が非常に活性化しているということで、このあたりが売上を引き上げたことが、ヒューマンリソース事業の約22億円の売上増の要因となっております。

一般貨物事業には、港湾事業、運輸事業、倉庫時用の3つの事業があります。昨年度の実績としては、この3事業とも2桁を超える伸びを示しました。

連結セグメント利益の概要(IFRS)

連結セグメント利益の概要です。おかげさまで、全セグメント増益となりました。

自動車関連事業につきましては、中古車輸出の減少により、全体の利益率を引き上げることができました。

自動車関連事業の車両輸送受託台数は年間で約332万台。新車は前年対比11万台増、中古車は5万台増の合計16万台と言いましたが、実は中古車輸送が拡大すると利益がよくなります。

こちらは単純に、中古車をAからBに運ぶだけではなく、登録も一緒にやるという事業がくっついてまいります。この登録の費用まで回収できるということで、非常に単価の高い商売が増えたということであります。

それから整備事業も大きく伸びました。以前から申し上げているように、今、大型の機材、トレーラーを作ってくれる会社は日本に1社しかありません。今、発注しても納車されるのは2年半後ということで、トレーラーの再生事業を我々の整備事業本部でやっております。

これは我々の機材だけではなくて、外のお客さまの機材の再生も行っております。この事業が拡大したことで、整備事業の拡大による利益増が自動車関連事業に表れております。

ヒューマンリソース事業のコスト増の要因は2つです。1つは求人費用の増加、もう1つは時給単価の高騰による労務費増です。これを就労時間の長い送迎事業あるいは派遣事業を拡大したことで打ち返し、増益となりました。

一般貨物事業は3事業とも売上を伸ばしたと言いましたが、とくに利益率の高い港湾事業の拡大が増益の要因となっています。

2017年6月期の通期実績④ 配当の推移

次に、配当の推移です。おかげさまでずっと増配を続けておりますが、8月10日に出した短信の中で、「2016年6月期の配当性向24.3パーセント」と記載してあります。我々の配当性向、当期利益に準じて25.0パーセントを出すことにしておりますが、実は2017年6月期から国際会計基準に切り替えております。

昨年度の短信は日本基準でやっておりますので、日本基準の配当性向25.0パーセントということです。それを国際会計基準に切り替えておりますので、計算し直すと24.3パーセントとなります。

この数字が今回の短信に出ているということで、考え方は会計基準の違いだけであり、配当性向25.0パーセントを維持していると理解いただきたいということで、この推移を出させていただきました。

以上が業績の内容であります。

2018年6月期の取り組み

本日はこちらを中心にお話ししたいのですが、大きく4点のお話があります。1つ目は、「物流体制の地域ブロック化の完成」。2つ目は、「ブロック化に伴う『働き方改革』の推進」。3つ目は、「2018年6月期の位置づけ」。最後4つ目は、「新規事業の開拓と推進」です。

2018年6月期の取り組み① 物流体制の地域ブロック化の完成

まず、物流体制のブロック化の完成についてです。こちらは今までもお話しておりますが、2015年に九州地区のブロック化をいたしました。社名は「ゼロ・プラス九州」であります。

昨年2016年に関東地区をブロック化して、「ゼロ・プラス関東」を設立しております。今年2017年の7月には「ゼロ・プラス関東」のエリアの拡大をいたしました。具体的には福島・茨城を拡大して、今、「ゼロ・プラス関東」として運営しております。2017年10月1日には、「ゼロ・プラス西日本」「ゼロ・プラス中部」を設立する準備をしております。

2017年12月には、「ゼロ・プラス東日本」を設立し、今年の12月には全国の物流体制をこの5つの会社で運営していくことになります。

すでに8月10日にプレスリリースを発表しておりますが、1つご報告がございます。我々の協力会社4グループ6社の事業譲渡を行うという発表をさせていただきました。

こちらに具体的な会社名がありますが、トリオグループ(トリオ、雅商)、麻生グループ(麻生陸送、須山陸送)、日弘陸送、イーエス・ラインの6社でございます。

私どもには今、約60社の協力会社がありますが、この6社は我々への依存度が高い会社でございます。将来の需要の減少あるいはこれからのコンプライアンスの対応等々を考えると、なかなか単独では生き抜いてはいけないということが背景としてあります。約1年をかけてお話をしてまいりました。

我々のブロック化に合わせて、我々の中に入りたいということで、機材・乗務員を含めて、事業譲渡が成立したので、8月10日に発表いたしました。

具体的には関東が中心になるのですが、関東ではこの6社で8拠点ございます。それから中部地区、名古屋と金沢に拠点を置いている会社がございます。それから西日本地区では、京都に事業所を置いている会社がございます。中部と西日本地区については、設立とともにここに入ってくる。関東においては「ゼロ・プラス関東」の中に入ってくることになります。

2018年6月期の取り組み② 地域ブロック化に伴う「働き方改革」の推進

次のお話になりますが、地域ブロック化に伴う「働き方改革」の推進でございます。

我々の目指している方向というのは、総労働時間の削減と労働環境諸条件を改善することに努め、業界ダントツの魅力のあるグループ、働きがいのある職場づくりを推進していきたいというものが、地域ブロック化に伴う「働き方改革」のビジョンでございます。

今、我々を取り巻く環境は非常に厳しくなっております。いくつか記載してありますが、まずは「路上の荷扱い」の問題です。路上で荷扱いをすると1車線をつぶします。後ろから車が突っ込んでくる可能性もあります。あるいは1車線をつぶすので、渋滞を巻き起こします。「路上で荷扱いをするな」というのが行政指導であります。

次に、4月1日から規制が強化された、「車両制限令の運用強化」であります。具体的には何かというと、トラックの高さ・長さ・幅・重さの車両制限令を守りなさいという規制の強化であります。

それから「乗務員の高齢化と不足」の問題。「機材の老朽化と機材供給能力不足」の問題。最後が「乗務員の総労働時間の削減」のプレッシャーです。これは何を言っているかというと、「路上で仕事をするな」「はみ出すな」「早く帰れ」と言っているわけであります。

ということは、いくら運びたくても運ばせてくれないというのが、今の我々を取り巻く環境であるということです。

次に、「需要の波動への対応」ということですが、「期末集中の需要構造」というのが日本の特徴であります。具体的には3月です。車検制度を2年から3年に変えたとき、あるいは法人がリースを拡大していったときに、需要が3月に集中します。

以前は年間で7月の賞与のとき、9月の中間決算、12月の賞与、そして3月の本決算の4回の大きな波がありましたが、今はほとんどが3月集中型であります。

それからオークションの開催日に、異常に需要が増えます。一番大きいオークション会場は(千葉県の)野田にある「 USS東京」ですが、広大な敷地にたくさんの車を置いています。落札した車を、ある一定期間の中で外に出さなければいけない、運ばなければいけないということで、開催日の翌日の稼働が非常に大きくなります。

それからメーカーと販売会社の休日が異なります。メーカーは土曜日と日曜日が休日です。販売会社は火曜日と水曜日が休日です。ということは、木曜日と金曜日に物流が増えることを意味しています。

各種付帯作業への対応というのは、車両登録につきましては、しっかりメニューがありますが、例えば忙しくなったときに、お客様が「新車を納車してほしい」と。そのようなときは、「自分で洗ってこい」となるわけですね。もちろん洗車代をいただけるケースといただけないケースはあるのですが、そのような付帯作業が発生します。

あるいは、リースアップされた車には、いろんな使用機器が搭載されております。それを取り外す、あるいは社名を消すような仕事。あるいは、地方の小さなオークション会場の場合には、うちのドライバーに「落札してこい」という話もあります。これが輸送に伴う付帯作業であります。このような作業にどのように対応していくのかということであります。

取り巻く環境が厳しくなっている、お客様の要望は強いという中で、どのように対応していくかということで、今後推進していく内容として、このようなものを考えております。

1つ目は、「ブロック化の推進による輸送改革」。

次に、「所定内の労働時間、年間休日統一」。先ほど、10月1日に協力会社が入ると言いました。ゼロ・プラス関東の場合、ゼロの子会社4社に協力会社6社が入ってきて、10社が同じ組織になることを意味しています。

各々、労働条件が違いますので、まずは労働日数、所定内の労働時間を統一しようという動きをしております。すでに九州と関東については、7月1日の新しいカレンダーから統一をいたしました。ここに新しい会社が入ってきますので、そこについても同じ労働日数にしていくということです。

当然、協力会社のほうが1年間の労働日数が長い状態にあります。ということは、同じ量を運ぶとすると、その部分が所定内の労働時間が下がりますから、そのはみ出た部分がすべて時間外ということで、割増金の対象になります。

それから、「乗務員・整備士の採用拡大と育成」をしない限りは、一人ひとりの乗務員の負荷は下がりません。

それから、「事故・クレームの削減・撲滅」。幸い大きな事故は起きていませんが、細かい事故は日々起きます。とくにあるのが、バックの事故です。

我々の商売というのは、お客様の要望に合わせて、ある場所からある場所にお運びするということなのですが、最終的に届けたときに、「ちょうどあのスペースに入れてくれ」と乗務員に頼まれます。本来は仕事外です。あるエリアからあるエリアにトレーラーで運ぶ仕事なのですが、下ろしたときに「あそこのスペースに入れてくれ」と言われます。

初めてそこに駐車するわけで、バックをしたときにそのまま後ろをぶつけてしまう、木を倒してしまう、壁にこすってしまうという事故が起きます。こちらの処理に大変時間がかかります。このようなことを削減しない限りは、総労働時間は下がりません。

それから、「職場環境改善とシステム化の推進」ということで、この職場環境というのはいろんな範疇がございます。

例えば、オークション会場の場合、USS東京に行かれた方もいらっしゃると思いますが、広大な敷地の中で、我々が運ぶ車を乗務員が探しに行きます。探して、引き出して、荷扱いをして出発するまでに約3時間かかります。実際には運転していない時間です。

ここを改善していかなければいけないということで、野田の地区では車を探して引き出してくる人間を、乗務員以外でやるという活動のトライアルを始めております。

最後は、「間接業務の標準化とアウトソース」です。このブロック化を推進するということは、全国30箇所くらいあるセンターを1つのグループにまとめていくということです。

子会社、協力会社を統合していくわけですから、当然、間接人員がスリムにならなければいけません。業務を標準化していかなければいけません。決してブロック化によって、リストラをしようとしているわけではありません。

そこで出てきた人材には、新しい仕事に就いていただく。あるいはこの事故・クレームの削減にお手伝いをいただくことで、雇用は守るということであります。

いずれにしても、間接業務の標準化をする、あるいはそれを集約することによって、グループで人材会社等にアウトソースするなりして、効率化を図っていくことになると思います。

今年の秋にこの働き方改革、新しい法制化が準備されます。我々物流会社については、5年間の猶予がついております。ただ、この5年間は待っていられません。

先ほどの有効求人倍率で見てわかるように、なかなか乗務員が雇えません。大型の免許、牽引の免許を持っても、我々の業種に来る人は少ないということであります。

なぜかというと、荷扱いの問題があるからです。同じ免許を持っていれば、荷扱いのないダンプカーの運転手やコンテナのトレーラーの運転手になります。この荷扱いが非常に厄介なおかげで、なかなか人が集まらないということであります。

乗務員の負荷を下げて、簡単な仕事にしてあげなければいけないということで、5年間は待っていられないので、今期からこのような活動に一つひとつ入りながら、魅力のある産業・職場に変えていく取り組みに入ります。

2018年6月期の取り組み③ 2018年6月期の位置づけ

次に、今期2018年6月期の位置づけについてお話をしたいと思います。

向こう3年間で日本経済、自動車産業、我々の生活に影響を与えるであろう3つの出来事がすでに計画されています。

1つが2019年1月または4月になるのかもしれませんが、元号の変更であります。今の平成は30年で終了ということがすでに決まっています。

これによって、すべての印刷物が変わる、仕組みも変えるということで、少し刺激になるんだろうなということであります。

次に、2019年10月の消費税の増税です。過去2回この増税を延期しております。しかし、自動車諸税含めて、今の国税の枠組み、あるいは社会保障のやり方というのは、消費税10パーセントが前提で組まれています。

2019年の10月に消費税が上がるということは、2019年の繁忙期、3月に駆け込みの需要が起きるということです。こちらの準備をしておかなければいけません。

2014年の消費税が上がったときには、大混乱をいたしました。先ほどお話しした「働き方改革」という中で、こちらに対応していかなければいけない。その準備を始めておかなければいけないというのが今年度です。

そして、この消費税が上がると、間違いなくその後には、自動車市場は冷えます。ただし、2020年の東京オリンピックではまた復活するということなので、2020年8月までは、今の500万台の市場というのは守られるだろうと思います。

問題は2020年の東京オリンピックの後です。日本経済は失速し、自動車も売れなくなることを想定せざるを得ないということであります。

事業割合としまして、自動車関連事業が75パーセント、ヒューマンリソース事業が20パーセント、一般貨物事業が5パーセントということになりますが、各々について少しお話をしたいと思います。

自動車関連事業については、車を保有することから、使用する・利用するということで、今流行りのカーシェアがどんどん増えていくと思います。

昨年末にカーシェアの会員数が90万人に達しておりました。恐らくもう100万人を超えていると思います。今後どんどんどんどんステーションが増えてくると思います。

可能性があるとすれば、例えば、マンションやコンビニでもっと利便性のいいカーシェア事業が出てくるんだろうなと思います。それに伴い、我々の物流のやり方も変わってくるんだろうなと思います。

それから、2020年以降に自動車が売れなくなることに対して、各自動車メーカーが、今、新技術を磨いております。

1つが自動運転技術であります。自動ブレーキというのは、SUBARUの「アイサイト」が先行したわけですが、昨年、日産のセレナに(自動運転技術)「プロパイロット」を搭載しました。今年の東京モーターショーでは、このあたりの技術が目玉になるのではないかなと思います。

それから、自然に優しい排ガスのない車ということで、日産の電気自動車やトヨタの水素(を燃料にした自動車)が先行していたわけですが、ヨーロッパが2030年から、内燃式エンジンの車を一切売らないと。あるいは、中国が電気自動車の製造に対してはインセンティブをつけるというような動きになった中で、トヨタとマツダの今回の提携は、電気自動車の開発ということを言っております。

今、すでに日産自動車のテレビコマーシャルで、「新型リーフ」の頭出しをしておりますが、こちらも東京モーターショーの目玉の商品になると思います。したがって、今後電気自動車の普及がますます進んでいくということです。

最後は、コネクテッドカーの実現ということで、インターネットと車を結びつけたということです。

今、みなさん携帯電話を使っていますが、もともと固定電話からずらすときに、移動電話ということから始めました。それに真っ先に飛びついたのが、自動車メーカーです。

ただ今、自動車に搭載されているナビゲーションは、これだけいろんなIT技術が進んでいる中で、最も遅れているのではないかと思います。

例えば、交通渋滞等をナビで見たりしますが、今、一番発達しているのは「Googleマップ」です。なぜインターネットが車に搭載されないのでしょうか。これに対して、各IT産業がしのぎを削っているということで、これも急速に発展していくと思います。

今現在、日本に8,000万台の保有台数があります。その中で、我々のような商業で使っている車を除くと、6,000万台の保有台数があります。

この新技術が進んでくれば、その6,000万台の需要に入ってくるということで、2020年の東京オリンピック以降、自動車市場が500万台を下回るという予測ですが、それをどこまで延命することができるかということで、各メーカーが技術を磨いている、しのぎを削っているということだと思います。

次に、ヒューマンリソース事業関係ですが、将来的に日本の産業が維持・発展していくのは、一体どこにあるだろうかと考えた場合、1つは介護・看護・医療関連事業。もう1つは、外国人観光客関連事業だと思います。

今、(子会社の)ジャパン・リリーフという人材会社とのいろんな議論の中で、これらに関係する人材事業に取り組んでいこうと話をしております。

一般貨物事業では、先ほど港湾荷役の話を少ししましたが、東日本の大震災の後、「脱原発」と言われております。今現在は、石炭に頼っております。

今後はやはりCO2の削減ということを含めて、脱原発の新しい電力発電が出てくるだろうということで、「バイオマス発電」という言葉を入れてありますが、このようなことが起きてくるということで、今期2018年6月期に将来の種まきをしっかりしていかなければいけないと思っております。

2018年6月期の取り組み④ 新規事業の開拓と推進(空港関連の人材事業への参入)

最後に新規事業の開拓と推進ということで、2つお話をさせていただきたいと思います。

こちらも8月10日に発表している内容ですが、私どもの100パーセント子会社である人材会社「株式会社ジャパン・リリーフ」と日本航空、三菱商事、全日空の合弁会社である「株式会社エージーピー」の両社で合弁会社を設立いたしました。社名は株式会社Aリリーフです。

この航空産業に我々も入っていきたいということで、エージーピー社とお話をさせていただきました。

エージーピーはもともと飛行機に対して電力あるいは水を供給するような会社から始まっておりますが、今はメカニックの派遣であったり、機中で飲み物や食べ物を運んでくる台車の開発をしたりしている会社です。

空港関係に非常に力を持っておりますので、ここと組むことによって我々としても人材の派遣事業に入れるということであります。

今後、外国人が増えてくる。あるいは空港が民営化されて、どんどん発達していく中で、この会社の設立は大きなビジネスチャンスになると思います。

例えば(スライドの)一番下に書いてある、「キャビンアテンダント、グランドホステス等の再就職支援」ということですが、この会社とお話をして初めて聞いたのですが、毎年日本航空と全日空で、30代から40代の方を中心に、CAの方が約500名ほど離職されるそうです。なぜお辞めになるかというと、やはり生活が不規則だからです。オーバーナイトのフライトは体にきついと。

自由な時間もないということで、そのような方たちがお辞めになるということで、再就職に非常に苦労されているというお話がありました。

株式会社Aリリーフは人材派遣の会社です。そのような方たちをうまく使いながら、いろんなところに派遣をする。英語ができるCAは、外国人が増えてくる中で、ニーズに応えられると思います。

2018年6月期の取り組み④ 新規事業の開拓と推進(バイオマス発電事業の港湾荷役)

もう1つの新規事業は、先ほど少しお話しした、バイオマス発電事業です。関西電力の話は新聞などで報道されておりますが、こちらは北九州の埋立地であります。

今、ここの埋め立てが進んでおりまして、関西電力が新松山臨海工業団地にバイオマスの火力発電所を作ると発表しております。

この苅田地区は、私どもの100パーセントの子会社である苅田港海陸運送株式会社が元請けの最高の権利を持っている、認可を持っているということで、この話が進んでいくと、ここの港湾の荷役も間違いなく仕切っていくということで、今、関西電力等々といろんな話をしています。

先ほどお話した、今後3年間に起きてくるいろんな動きへの対応として、外国人の産業、あるいはバイオマス発電に種を巻き始めたというのが、今の状況であります。

2018年6月期の業績見通し

最後に、今期2018年6月期の見通しです。上場して初めて、増収減益の見通しを出させていただきました。

これから地域ブロック化を推進していく中で、(グループ会社それぞれの)労働日数・労働時間を合わせていくと。それで同じだけ荷物を運ぶのであれば、時間外に跳ね返ってくるとということで、それらの費用を考慮して、初めて増収減益という見通しを出させていただきました。

しかし、気持ち的には4期連続増収増益をしておりますので、来年の今、「増益で終わりました」という報告ができるようにがんばりたいと思います。

引き続きご支援・ご協力をよろしくお願いしたいと思います。以上が本日の説明であります。ありがとうございました。