2016年度 決算概況(連結)
佐鳥浩之氏:みなさま、こんにちは。ただいま、ご紹介にあずかりました、佐鳥でございます。本日は、弊社2016年度決算説明会にご出席を賜り、本当にありがとうございます。
2016年度決算概況及び、2017年度業績予想についてご説明をさせていただき、そののちに中期経営目標の進捗状況について、ご説明をさせていただきたいと思います。それでは早速、説明に入らせていただきます。
まず、2016年度の決算概況です。売上高は、前年度比96パーセントの1,079億円。粗利率は、前年度比から0.3ポイント上昇の8,6パーセントとなりました。営業利益は、主に粗利率改善と販管費の削減により、前年度比117パーセントの7億円となりました。
経常利益は、営業利益の増加に加え、主に為替差損の減少により、前年度比187パーセントの4億8,000万円。当期純利益は、前年度1,000万円の利益から、2億2,000万円の利益となりました。
2016年度 市場分野別 売上高変動主要因
ここで、2016年度における市場分野別売上高の、主な変動要因についてご説明します。当期の外部環境ですが、米国の好調な雇用情勢を背景とした、景気回復が続いているなか、欧米の政権交代による政権運営の不透明感が拡大しました。
国内経済も、期前半からの急速な円高進行もあり、不確実な状況で推移したものの、設備投資の改善などにより、緩やかな回復基調に快調で推移をいたしました。このような状況のなか、2016年度の売上高は50億円減少の1,079億円となりました。
所在地別に申し上げますと、海外事業は、前年度比17億円減収の365億円であり、これは主に車載向け外資系電子部品23億円の増加や、PC・周辺、モバイル端末全体で11億円の増加などがあったものの、為替の影響により36億円減少したことによるものであります。
国内事業は、前年度比33億円減収の714億円であります。これは主に事務機器において複写機用操作部ユニットなど21億円の増加。車載向け電子部品で13億円の増加があったものの、モバイル端末中に収めておりました、大口メモリービジネスの商流変更などによる47億円の減少。そして、為替の影響により13億円減少したことによるものであります。
2016年度 営業利益変動主要因
次に、2016年度における営業利益の主な変動要因についてご説明いたします。2016年度における営業利益は、前年度から1億円増加をいたしました。
そのうち、粗利益に関しましては、合算ベースではありますが、粗利率の改善により2億円の増加があったものの、為替の影響で3億4,000万円の減少により、粗利益が総額で1億4,000万円の減少となりました。
販管費に関しましては、前年度計上した退職給付債務の割引率変更による影響はなくなったものの、人件費総額で2,000万円増加しました。
しかし、その他経費で、6,000万円の減少、海外現地法人における為替の影響で2億円の減少により、販管費総額では2億4,000万円の減少となりました。結果、2016年度の営業利益は7億円となりました。
2016年度 B/S概要
ここで、バランスシートの概要につきましてご説明いたします。資産合計は、7億円減少の590億円となり、主に売上債権の減少であります。また、負債合計も、7億円減少の277億円となり、要因は主に有利子負債及び、仕入債務の減少であります。純資産合計は、前年度と合計の312億円であります。
2017年度見通し
次に、2017年度の業績予想についてご説明いたします。外部環境は、静学的リスクや海外政治情勢に不透明感が残っており、今後景気の下振れリスクも懸念されておりますが、全体的に景気は緩やかに回復していくものと、予想しております。
今期、2017年度の事業予測ですが、PC/PC周辺、及びモバイル端末におきましては、2016年度同様、市場は低調が見込まれます。しかし、国内・海外においてストレージ製品をはじめとした、電子部品などのシェア拡大により、全体としては増加を見込んでおります。
事務機器市場におきましては、複写機の需要が鈍化し、操作部ユニットの採用機種の減少を見込んでおります。産業インフラ市場においては、設備投資が活発化しており、IoT関連製品の立ち上がりなどにより、売上の増加を見込んでおります。
車載市場においては、自動車の電子化が拡大し、電子部品の搭載率向上における部品販売が堅調に見込まれる状況でございます。
2017年度 業績予想(連結)
このような状況に基づきまして、2017年度の通期予想についてご説明いたします。為替レートは、110.0円にて設定しております。
まず、売上高は前年度比107パーセントの1,160億円。粗利率は、前年度同率の8.6パーセントを予想しております。営業利益は、販管費の増加はあるものの粗利益の増加により、前年度比113パーセントの8億円。
経常利益は前年度発生した為替差損の減少により、前年度比161パーセントの7億8,000万円。当期純利益は、前年度比269パーセントの6億円を予想しております。
2017年度 市場分野別 売上高変動主要因
2017年度の市場分野別売上高の主な変動要因について、ご説明いたします。2017年度の売上高は、81億円増収の1,160億円を予想しております。所在地別に申し上げますと、海外事業は、前年度比35億円増収の400億円を予想しております。
これは主に、事務機器で5億円の減少があるものの、その他においてDSC向け半導体の新規採用などにより、26億円の増加を見込んでおります。
国内事業は、前年度比46億円増収の760億円を予想しており、これは主に事務機器で複写機向け電子部品の減少により、26億円の減少があるものの、PC・周辺、及びモバイル端末で12億円の増加や、産業インフラ向けで25億円の増加を見込んでおります。
2017年度 営業利益変動主要因
2017年度営業利益の主な変動要因について、ご説明申し上げます。2017年度の営業利益の変動は、1億円の増加を見込んでおり、そのうち粗利益に関しましては売上増に伴い、国内事業で4億円、海外事業で2億8,000万円増加し、粗利益総額では6億8,000万円の増加を見込んでおります。
販管費に関しましては、人件費及び研究開発費並びにその他経費が増加することにより、総額では5億8,000万円の増加を見込んでおります。結果、営業利益は8億円を予想しております。
2017年度より、現状の事業経営戦略に対応した管理区分として、報告セグメントを従来の国内事業・海外事業から、デバイスソリューション事業、システムソリューション事業に変更いたします。
そこで、当社の事業をデバイスソリューション事業と、システムソリューション事業に区分した売上高と、セグメント別利益についてご説明いたします。
セグメント別推移
まず、当社の機関事業であります、デバイスソリューション事業ですが、売上高はストレージビジネスの伸長などにより、前年度から51億円増収の920億円を予想しております。セグメント利益は、売上増による粗利増があるものの、人件費を含む販売費の増加により、5,000万円減益の6億4,000万円を予想しております。
次に、システムソリューション事業ですが、売上高は設備関連製品の販売増により、前年度から30億円増収の240億円を予想しております。セグメント利益は1億5,000万円増益の、1億6,000万円を予想しております。
株主還元の強化
続きまして、当社の株主還元の強化について、ご説明いたします。当社は安定的かつ継続的な配当による株主還元を基本としており、2017年度配当はこの基本方針を重視したうえで、中間配当16円、期末配当18円を予想しております。
加えてこちらのスライドにございますように、株主還元の強化及び機動的な資本政策を遂行するため、上限株数50万株、上限金額6億円の自己株式の取得を実施することといたしました。
中期事業戦略
ここからは、2018年度を最終年度としております。当社中期経営目標に対する取り組み状況について、ご説明させていただきます。
はじめに、当社中期事業戦略について、その概要をご説明させていただきます。事業環境が変化していくなか、この数年間の当社グループの大きな課題は、環境に沿った事業成長、これを実績として示していくことでございます。マーケットクリエイト型ソリューションプロバイダーを目指し、事業構造を自ら変えていくことで成長性を実現してまいります。
私どもの機能価値である事業経営3路線、貿易・技術・製造を拡充しつつ、連携、活用しながらデバイスとシステムの2つの事業を軸としてそれぞれの事業を活かしていくことで、ここの課題を克服してまいります。
そして、再成長の一里塚として2018年度売上高1,250億円、営業利益率1.5パーセントを数値目標とした中期経営目標に取り組んでおります。
当社の基盤事業であります、デバイスソリューション事業では、当社の特徴の1つであるグローバルネットワークを再強化し、最大活用していくことで、グロス拡大を中心として成長させてまいります。
そして、システムソリューション事業では、産業マーケットに対し技術、製造機能を中心とした当社の機能価値を最大限活用していくことで、収益力の向上を図り、成長を実現してまいります。
2016年度 総括
中期経営目標に対する2016年度につきまして、総括をいたしました。2016年度は、既存ビジネスが低調に推移をいたしましたが、成長エンジンとして取り組んでおりますデバイス戦略商材や、組込IoTビジネスは、当初の予定どおり進捗をいたしました。詳細に関しましては、後ほどのスライドでご説明いたします。
2016年度の結果をふまえ、本年度の課題をこちらのスライドのように設定し、取り組みを開始しております。中期経営目標では、この期間を再成長に向けた強固な事業基盤作りの期間と位置付けております。デバイス事業を中心といたしまして、引き続き外資系商材をはじめとした、当社の機能価値を発揮できる戦略商材を拡充してまいります。
海外においては、海外のローカルスタッフを核として、販売体制をさらに拡充させローカル顧客向けビジネスを拡大してまいります。
2017年度 対処すべき課題
システムソリューション事業を中心に、佐鳥グループが得意としております産業マーケットを主領域として、今現在最もホットなIoTをキーワードとしたビジネスを加速してまいります。
そして、収益力向上の切り札と捉えております、自社製品におきましては想定よりは遅れておりますが、当社ならではのきめ細かい対応力を活かして、販売体制の整備と販売ラインナップの強化により、確実に実績を上げてまいります。
また、取り組みにあたっては最適なアライアンス&コラボレーション、外部リソースの積極活用によって、目標を達成させてまいります。
中期経営目標の進捗状況
こちらのスライドは、中期経営目標の進捗状況を数値面からまとめたものでございます。昨年度の活動結果をふまえ、2017年度は中期目標を達成させるための具体的な施策の展開をさらに加速させ、グロス拡大、収益力向上それぞれの課題克服に目処をつけてまいります。
2017年度の予想も、十分な数字では決してございませんが、この後ご説明いたしますそれぞれの活動によりまして、2018年度最終年度に向けて、今年度後半から着実に成果が表れてくるものと期待しております。
デバイスソリューション事業
ここからは、デバイスソリューション事業についてご説明させていただきます。デバイスソリューション事業は、当社グループの基盤事業であり、ルネサスエレクトロニクス社をはじめとするコア商材で、引き続き市場成長率に見合った、着実な成長を確保してまいります。
そして、戦略商材をグロス拡大の核と位置付けておりますが、スライドのグラフの通り、想定どおりに拡大をしております。とくに、外資系メモリにおきましては、車載・PC市場でシェアを順調に拡大しており、さらには当社が得意としております事務機器をはじめとした、新しい市場が立ち上がり始めてまいりました。
次のスライドでご説明をいたしますが、HDD事業を譲り受けることで、ストレージビジネスとしてさらに拡大させてまいる予定です。また、グループ子会社で取り扱っております、Melexis(メレキシス)社半導体製品はシェア拡大に合わせて、着実に増加をしております。
今後も、さらなるグロス拡大に向け、新たな戦略商材の拡充にも取り組んでまいります。
ストレージビジネスの展開
続きまして、ストレージビジネスについてご説明させていただきます。成長戦略の一環として、サンディスク製メモリ製品を車載・PC市場向けを中心に推進しておりましたが、仕入れ先の統合に伴い、この度イノテック社よりHDD事業を譲り受けることで、基本合意をいたしました。現在、最終合意に向けて協議を進めております。
SSD製品とHDD製品を合わせた、ストレージビジネスをデバイスソリューション事業の新たな柱としていく所存でございます。HDD事業は、長期的に捉えれば縮小傾向でありますが、国内では事務機器やPC、サーバーなどにおいて未だ主力のストレージとして使われており、この先数年を見てみても安定的な需要が期待できます。
今後、徐々にSSDへの置き換えが進むものと考えており、HDDとSSDの両方を扱うことによりまして、市場を先回りしてビジネスを加速させてまいります。
海外ローカルビジネスの拡大
デバイスソリューション事業の柱の1つであります、海外ビジネスの取り組み状況をご説明いたします。2016年度は、当初見込んでおりましたインド向け民政市場の落ち込みもあり、実績は前年度から減少いたしました。
しかし、台湾におきまして2017年モデルにおける電子部品のシェア拡大や、成長市場に対するビジネス拡大が見込まれることもあり、2018年度に向けては順調に推移しております。
2016年度の活動では、主要な海外現地法人において、とくに営業体制の再構築に取り組みました。海外ローカル顧客への営業体制を強化、パートナーを活用したソリューション型セールスなど、ビジネスモデルの転換に取り組んでおり、今年度以降の業績に反映されると期待をしております。
システムソリューション事業
ここからは、システムソリューション事業の状況についてご説明させていただきます。佐鳥グループの最大の資産は、日本全国の多数にわたるお客様であります。とくに、当社ではいわゆる製造業のお客様、約2,000社と取引しております。産業マーケットに対するIoT技術の活用は、大変有効であるといわれております。
みなさまもご存知のとおり、IoT技術やビッグデータの活用は、今始まったばかりであり、少々誇張して言えばIoT関連で2,000社分のポテンシャルをもっていると、いうことになります。
当社は、システムソリューション事業においてこれまでの経験を活かし、社内リソースもこのIoT領域へ重点的にシフトし、2つのアプローチで進めております。
1つは従来から展開しております、IoT関連部材のビジネスです。商社としての特徴を活かし、マルチベンダー対応をしながら、センサーやネットワーク機器といったIoT関連商材を拡充し、お客様の製造ラインや製造装置に対し、IoT関連商材を納入していきます。
もう1つは、IoTに関するトータルソリューションの提供です。センサーやネットワークなど、IoT部材の納入とともに、自らシステムインテグレーターとして仕入れ先とコラボレーションしながら、お客様の物作りの効率化、高度化に貢献するIoTソリューションシステム全体の構築にも、積極的に取り組みはじめました。
製造ラインの『効率化』導入実績
次のスライドで、具体的な事例をご紹介したいと思います。こちらのスライドは、当社が昨年度納入いたしました、IoT技術、ビッグデータ処理技術を活用した具体的なIoTトータルソリューションの事例でございます。
A社様は、エンジン用部品を製造しているメーカで、一昨年よりIoT活用を模索されていました。当社は、A社様に、部材を納入していましたが、A社様の精査におきます課題、すなわち生産量のアップ、品質のアップ、生産の見える化などニーズを把握、打ち合わせを重ねて当社が中心となりまして、IoTトータルソリューションを導入いたしました。
A社様の、生産効率向上に貢献をすることができました。
当社では、このようなIoTトータルソリューションも積極的に拡大していくことで、システムソリューション事業を第2の大きな柱にしてまいります。
自社製品の拡大
当社の収益性向上のもう1つの柱として取り組んでおります、自社製品でありますが、安全・安心・快適をキーワードとした市場を中心に、当社の特徴を活かした事業を進めております。
とくに、スライド赤枠のところでございますが、無線技術を活用したモジュールとその応用システム、そして絶縁監視ソリューションにとくに注力いたします。新規参入ゆえの、認知度の低さや、市場の立ち上がりが遅れていることもありますが、今年度はこれらの反省もふまえ、アクセルを踏んでより一層推進してまいります。
全国レベルでの、販売パートナーの整備をはじめとして、販売力を多方面から強化するとともに、製品ラインナップとその応用システムの拡充に取り組み、結果を求めて活動してまいります。
絶縁監視装置 新製品
最後のスライドとなります。先ほどのスライドでご説明いたしました、絶縁監視ソリューション、『Leakele』製品シリーズの新製品『Leakele DH』が、2017年5月に開催されました電設工業展において、パートナー様とともに経済産業大臣賞を受賞いたしました。
2018年度以降のビジネス拡大を期待するとともに、他パートナー様との協業も積極的に活用して、新たなビジネスに取組んでいく所存でございます。
以上ご説明いたしました、事業戦略を着実に、そしてこれからの2年間はスピード感をもって、推し進めていくことで、ステークホルダーのみなさまのご期待に応えられるよう、努めてまいります。
これをもちまして、2016年度決算説明を終了させていただきます。ご清聴、どうもありがとうございました。