1.2017年3月期の業績 (1)業績ハイライト

美濃和男氏:皆さんこんにちは。エイジアの美濃です。本日は、当社の決算説明会にご参加をいただき、ありがとうございます。それでは、始めさせていただきます。

私が本日、皆様にご説明をしますのは、大きく5つです。2017年3月期の業績、市場環境、中期経営計画、2018年3月期の計画、そして事業概要です。

つい先日、中期経営計画を発表しましたので、本日その概要も説明させていただきます。

2017年3月期の業績です。まずハイライトを、前年との比較で説明申し上げます。

売上高は13億3,000万円。営業利益は2億8,700万円、経常利益は2億9,100万円。純利益は1億7,700万円となりました。

売上高は、前年比16.1パーセントの増加。営業利益、経常利益は約20パーセントの増加。純利益は前年比約10パーセント増加をいたしました。

売上高につきましては、主力のクラウドサービスが、前年比16.8パーセント増加したのに加え、ライセンス販売が堅調に推移をいたしました。

また、子会社FUCAと協力して推進したコンサルティング事業も伸長したことが、売上が大きく伸びた要因です。

営業利益、経常利益、純利益につきましては、売上高の伸長に伴い、利益が増加しました。利益率も若干向上しております。売上高、営業利益、経常利益、純利益とも過去最高を更新しております。

計画比

続きまして、期初の計画との比較で説明いたします。

売上高は、計画に対して5.1パーセント上回りました。ライセンス販売が計画を大きく上回ったこと、子会社FUCAにおいて、新規開拓した顧客から大型のウェブサイト開発案件を複数受注できたことが主な要因です。

営業利益、経常利益はそれぞれ、8.3パーセント、7.8パーセント期初計画を上回りました。これは、売上高が計画を上回ったことによるものです。

純利益につきましては、1.7パーセント下回って着地をいたしました。これは主にソフトウェア資産の減損を計上したことにより、計画を若干ですが下回ったものです。

アプリケーション事業 前年に対する増減要因

続きまして、セグメント毎の前年に対する増減要因の説明をいたします。主力のアプリケーション事業は、クラウドサービス、ライセンス販売が伸長しました。

コンサルティング事業 前年に対する増減要因

コンサルティング事業は、デザイン業務が伸長したことにより、前期比22.9パーセント売上が増加しました。子会社FUCAによるウェブサイト開発の新規案件獲得が寄与しております。

オーダーメイド開発事業 前年に対する増減要因

オーダーメイド開発事業は、自社で企画・開発をしたソフトウェアを売ってます、アプリケーション事業に経営資源を集中するため、オーダーメイド開発は、利益率の高い案件のみ取捨選択して、実施しております。

これにより、売上は減少しましたが、粗利益率は37.3ポイントと大幅に改善をしております。

(2)貸借対照表の状況(抜粋)

続きまして、貸借対照表の状況です。いくつかの項目を抜粋して説明いたします。

現金・預金は、17年3月期末、7億7,800万円。前期末比5,200万円減少しております。利益の計上により、現金は増加したのですが、自己株式の取得、製品開発投資、インフラ投資、資本提携等のために有効活用しまして、トータルでは5,200万円減少しております。

有利子負債はありません。総資産は、15億500万円。前期末比1億円増加をしました。主に、新規の自社製品開発によるソフトウェア資産の増加、売掛金の増加、繰延税金資産の増加によるものです。

純資産は、12億600万円。5,100万円増加をしました。主に利益による増加です。

(3)重点施策に対する結果 重点施策1 製品開発の強化

続きまして、重点施策に対する結果です。この期は、重点施策3つ掲げて推進をしてまいりました。

まず1つ目は、製品開発の強化です。期初は10本、新たな製品を作り出すと。リリースするという目標を立てていたのですが、実績としては、4本という結果となってます。

これは、大型のカスタマイズ案件等が集中をしまして、社内リソースを調整し、対応しました。そのため、製品開発に計画比遅れが生じたものです。大型の製品を中心に、次期に挽回を図ります。

重点施策2 WEBCAS Auto Relations(Ver1)の販売とコンサル強化

重点施策の2つ目は、WEBCAS Auto Relations。当社が新たに開発しました、マーケティングオートメーションシステムです。その販売とコンサルの強化です。

販売につきましては、アライアンスやブランディングの強化に努め、コンサルティングとしては、人員育成や増強、アライアンスの推進に努めました。

その結果として2件成約し、現在稼働中です。今も複数の新規案件の稼働開始に向け、準備を進めているところです。

重点施策3 クラウドサービスの販売強化

重点施策の3つ目は、クラウドサービスの販売強化です。2つの取組みをしています。

1つはアライアンス強化。いろんな会社と業務提携などや、資本提携を進めまして、販売や製品連携を進めてきました。

②新規リードの獲得強化

そして2つ目は、新規のリード獲得です。新たな案件を生み出す有効リードの獲得強化に努めました。前年比、6.3パーセント増えています。

クラウドサービスの売上高 前年比16.8パーセントUP!

これらの取り組みの結果、クラウドサービスの売上高は、前期比16.8パーセントと大きく増加をいたしました。

2.市場環境 (1)関連市場の市場環境 ①EC関連

ありがとうございます。次の章に移ります。市場環境です。当社にとって非常に関連の深い、重要な市場環境3つについて、その動向の説明をいたします。

まず1つ目は、私達のお客様そのものの市場です。我々は、インターネットを利用して、物やサービスをより販売するためのソフトウェアシステムを作って、企業に提供しています。

インターネットを経由して、物やサービスを販売することを、eコマース、ECといいますが、そのECの市場は我々にとって非常に重要です。その大きさ、その動向が非常に重要です。

そのECの関連市場は、経済産業省が毎年一度数字を公表してますが、直近の2015年の統計によりますと、約14兆円、国内でBtoCのEC市場は約14兆円あります。

ここ数年、毎年1兆円規模で伸びてまして、規模も十分に大きく、成長も高いものが続いておりますし、今後もその傾向が続くと見込まれます。

すべての物やサービスの販売のうち、インターネット経由で売られるものの割合を「EC化率」といいます。そのEC化率は、今、日本はおよそ5パーセントです。

諸外国には、もう10パーセントを超えてる国がいくつもありまして、それらと比較すると日本のEC化率は決して高くはありません。まだまだこれから伸びる余地があります。

その意味でもこのEC市場というのは、今後ますます伸びていくと想定がされます。

②マーケティングオートメーション(MA)市場

2つ目は、我々が提供してます、ソフトウェアそのものの市場です。いろんな市場がありますが、そのなかで、マーケティングオートメーションの市場が、一番参考になるかと思います。

2015年の段階で約300億円です。この市場はまだまだ生まれたばかりで、これからまさに高い成長が続くと見通されている市場です。

③AI関連市場

3つ目は、人工知能、AI関連の市場です。こちらの18ページのグラフにありますように、2015年の段階で約4兆円。20年には約23兆円。30年には87兆円と伸びると見込まれてます。非常に裾野が広い市場です。

(2)AIのマーケティング活用

我々は、このAIをマーケティングに活用していこうと考えてます。AI技術のマーケティングシステムへの活用が今後、ますます進むとみられています。

自然言語解析や機械学習・ディープラーニング、画像解析などの技術が、チャットボットや商品レコメンドなどの用途に、もう既に開発され始めています。これからも、更なる活用のシーンが拡大していくものと見込まれます。

(3)当社の強み

これらを踏まえまして、当社の強みです。社会インフラであるeメールの配信ノウハウを、15年以上蓄積しています。

企業と個人をつなぐコミュニケーションチャネルは、現在も今後もeメールが中心です。SNSなど新しいチャネルがどんどん生まれて、もちろんそれは拡大をしていきますが、それでも今後もコミュニケーションチャネルは、eメールが中心だと思われます。

その理由は、企業サイドからしますと、コストが圧倒的に安いです。そして個人サイドとしては、利用者数が多く、利用者層も広いということが挙げられます。

■企業サイド

データでお示ししたいと思います。まず、データサイドですが、こちらのグラフは当社が提供してます、クラウドサービスから配信されるメールの数の推移を示したものです。

当社は、100パーセント企業向けのサービスをしておりますので、我々提供した企業が、実際にクラウドサービスを通じて送っているメールの数がこれです。

特定の大口顧客を除いてますので、数はもう少し多いのですが、傾向としてはこのグラフが一番わかりやすいかと思います。

ご覧いただいてわかるように、過去3年で3.5倍に増えてます。今後も企業が顧客に送るメールの数は、当面は増え続けると思われます。5年、10年で減っていくということはないだろうと思われます。

■個人サイド

続いて、個人サイドですが、平成28年版の情報通信白書より、インターネット利用目的の世代別回答データを持ってきました。ご覧いただいてわかるように、eメールはどの世代でも高い利用率を誇っています。

利用者数

続いて、利用者数です。同じく、情報通信白書によりますと、日本のeメールの人口普及率は83パーセント、約1億人です。

民間の、いろんな業者がメッセージングサービスをやっていますが、それらの大手の企業と比べても、やはり圧倒的にメールの利用者数が多いということがお分かりいただけるかと思います。

eメールは、1サービスとしてではなく、社会インフラとして機能しているといえます。

当社の強み|総括

改めて、当社の強みの総括です。今申し上げましたとおり、eメールは社会インフラとして確立をしています。しかし、一定数以上のeメールを相手に確実に届けるには、経験ノウハウの長年の蓄積が必要です。

一方で、マーケティングオートメーションシステムのベンダーには、メール配信ベンダー出身が少ないのが現状です。

確実にメッセージを届けることができるマーケティングオートメーションシステムベンダーとして、当社の強みがあります。

3.中期経営計画 (1)経営目標

ありがとうございます。次の章に移ります。中期経営計画です。

まず、数値としての経営目標です。売上高につきましては、直近13億3,000万円から、初年度14億4,500万円。そして、3年後には18億7,000万円の計画を立てています。

営業利益は直近3億円弱のところ、初年度で3億円を超え、2年目で4億円、3年目で5億円に乗せる計画です。

売上高推移

売上高の推移です。直近の5年間のセグメント別の売上の推移と、先ほど申し上げました、今後3年間の売上の推移、この2つを合わせてグラフにしております。現在、8期連続増収中です。

当社の売上の約7割は、毎月毎月の契約による積み上げで構成をしてます。ですので一気にはなかなか減りにくい売上構造になってまして、それが7割を占めている分、今後も着実に売上を伸ばしていけるものと考えています。

営業利益推移

続いて、営業利益の推移です。同じく、過去5年の、今後の3年の計画を合わせて載せております。

重要と考える経営指標とその方針

続きまして、当社が重要と考える経営指標とその方針です。当社はここに掲げてます3つの指標を重要だと考えております。成長率、営業利益率、そしてROEです。

成長率につきましては、売上・利益面で、毎年2桁成長を実現することを目標としています。3年計画初年度の2018年3月期は、前年度の大型カスタマイズ案件が、想定以上に大きくなったことによりまして、若干10パーセントを下回る計画です。

営業利益率につきましては、長期的には30パーセントを目標とし、中期的には25パーセントを実現することを目標としています。前期の実績は21.6パーセントです。

ROEにつきましては、現状の15パーセント前後から、中期的、この3年の間に、20パーセント運用することを目指します。我々が属してます業界の平均が、大体10パーセント前後ですので、現状も高い数値を残せているのですが、更にその上の20パーセントを目指してまいります。

(2)中期経営ビジョン

続きまして、この3年間の中期経営ビジョンです。人工知能の技術を活用しまして、クロスチャンネル対応マーケティングプラットフォームの構築。これを、3年間の目標として掲げています。

情報は、たくさんあればあるほど良い、わけではない

情報は、たくさんあればあるほど良いというわけではありません。消費者の方々は、欲しい情報だけを、最適なタイミングで、最適なルート(チャネル)で届けてもらいたいと思っています。私もそうです。

消費者にとっての「ちょうどいい」。それを実現するのが、我々が考える、クロスチャネル対応マーケティングプラットフォームです。

人工知能ができること(主に、自然言語解析・機械学習機能)

このプラットフォームを、人工知能を活用して作ってまいります。誰が、どんな情報を、いつ欲しがってるのかを発見すること。そして、どのルートが最適なのかを発見すること。そこに、主に自然言語解析、機械学習の機能を活用します。

そしてこの2つの組み合わせにより、欲しい情報だけを、欲しい時に、最も受け取りやすいチャネルで受け取れる「ちょうどいい」を実現できるプラットフォームを作ります。

データの統合化 チャネルの最適化

すでに、今当社はメールを中心としてショートメッセージや、LINE経由のメッセージングなど、いくつかのチャネルをサービス提供をしています。これらを束ねて、さらにどれが最適なのかというのを、実用的に判別できるようにしたいと考えています。

さらに、収集・分析・整理においても、人工知能を活用しまして、その精度を高めていくことを目指しています。それにより、欲しい情報を欲しい時に受け取りやすいチャネルで受け取ることができるようになります。

(3)成長戦略 ①アプリケーション事業

続いて、3年間の成長戦略です。セグメント毎に申し上げます。

アプリケーション事業は、既存製品のバージョンアップと新製品開発に対して、バランスよくエンジニアリソースを配分します。開発、販売とも体制強化を進めます。

具体的には、製品開発の強化、人工知能技術を有する企業との連携、クラウドサービスの販売強化を進めます。

②コンサルティング事業

コンサルティング事業は、主力のアプリケーション事業を伸ばすために、コンサルティング力の強化を進めます。既存大型案件の維持継続、コミュニケーション戦略設計力の向上、データ分析スキルの強化です。

③オーダーメイド開発事業

オーダーメイド開発事業は引き続き、アプリケーション事業との連動性の高いオーダーメイド開発や、保守案件のみエンジニアリソースを配分していく方針です。売上高は現状維持を計画しています。

④セグメント別売上計画

以上、説明しました3つのセグメント毎の売上高をまとめたものがこちらの表です。

売上の金額も大きく、かつ利益率も高いアプリケーション事業を中心に、今後も伸ばしていきます。10パーセントから15パーセントの成長を計画しています。

そして、そのアプリケーション事業を伸ばすのに必要なのが、コンサルティング事業です。この事業も、2019年3月期以降、10パーセント以上の向上を目指します。

⑤人員計画

人員計画です。17年3月期末の時点で、子会社を含めました役職員は102名です。これが3年間で、約150名、現在の1.5倍に増員をする計画です。主に開発者、エンジニアを中心に、人員増強を図っていきます。

⑥株主還元の考え方

続きまして、株主の皆様に対する還元の考え方です。2月にも発表したのですが、今後、配当性向30パーセント前後の維持を目指していきます。

今期、18年3月期におきましては、1株あたり配当15.5円。配当性向は30.4パーセントを予想しています。前期比1株あたり3円の増配です。今後も利益の増加に伴いまして、毎年配当額を上げていきたいと考えています。

4.2018年3月期の計画 ①売上・利益計画

ありがとうございます。次の章に移ります。2018年3月期の計画です。今説明しました、3か年計画の初年度につきまして、もう一度改めて説明をいたします。

売上につきましては、14億4,500万円。対前年比8.6パーセントの増加。営業利益・経常利益は、それぞれ3億1,800万円、3億2,100万円。約10パーセントの増加です。

純利益につきましては、2億800万円。前期比約17パーセントの増加を見込んでおります。

売上高につきましては、計画は、10パーセントを若干下回ってますが、もちろん、10パーセント達成を目指して推進をしていく所存です。

事業別の詳細

事業別の詳細です。アプリケーション事業は、クラウドサービスを中心に伸ばします。

コンサルティング事業 サービス別の計画

コンサルティング事業は、コンサルティングの伸長を図ります。

オーダーメイド事業 サービス別の計画

オーダーメイド開発事業は、現状維持を計画しています。

2018年3月期の重点施策

重点推進項目は、2つです。製品開発の強化と、クラウドサービスの強化。

今期はこの2本に絞りました。ものづくり、そしてそれをしっかり販売するということです。この2つを中心にやっていきます。

重点施策1 製品開発の強化

1つ目の、製品開発の強化ですが、現在当社は9つの製品群があります。その9つの製品群のうち、4つの製品のメジャーバージョンアップを今期、予定をしています。

こちらに掲載をしていない、まったく新しい新製品、大型の新製品の開発に着手をいたします。現在、基本設計を行ってる段階です。

重点施策2 クラウドサービスの強化

2つ目。クラウドサービスの強化。既存製品の機能改善やバージョンアップ、新製品の開発によりまして、販売する製品力の強化を図ります。

そして、マーケティング施策、リード獲得の強化や、営業のスキルアップ、パートナー戦略の強化によりまして、営業力・販売力を強化いたします。そして、これらの2つによりまして、クラウドサービスの売上増加を図ってまいります。

事業概要につきましては、資料をご覧いただければと思います。説明の方は割愛をさせていただきます。ご清聴いただきありがとうございました。