世界で存在感のあるスペシャリティ・カンパニーの実現に向けて

黒川明氏:2016年度の連結業績の概要と2017年度の連結業績予想について説明いたします。

私どもの基本理念は、すでにご承知かと思いますが、参天製薬は目に特化してこの領域で「患者さんに貢献していこう」というのが私どもの基本理念です。

世界で存在感のあるスペシャリティ・カンパニーの実現に向け、このビジョン2025を掲げております。

2016年度、そしてまた迎えます2017年度は中期経営計画の最終年度ということになります。

ご覧いただいているこのスライドにあるように、この中期経営計画では海外売上比率を30パーセントのアジア・EMEAの成長と収益化、米国・その他への展開の準備と、このような位置づけで中期経営計画を実施しているところです。

とくに力点を置いていますのは、製品開発・創製、事業展開、組織と人材の強化というところです。

製品創出につきましては皆様方すでに承知の通り「Tapcom」「Ikervis」の発売をいたしました。DE-109、117、112。こういった緑内障・網膜領域での開発品も順調に進展しているということです。

かねてから新製品のパイプラインの強化を申し上げておりました。今のところDE-126、小野製薬から導入しました緑内障薬それからDE-128。これはマイクロシャント社のデバイスを買収いたしまして、パイプラインの強化が実現しているところです。

事業展開につきましては国内の事業の強化、国内市場というのは非常に薬価の改正あり、それからの後発医薬品の促進策ありです。

厳しい環境下にあるわけですが私どもは生産性の向上ということを掲げ、とにかく我々の強みを活かしたマーケットシェアの向上ということに取り組んでまいりました。

今のところマーケットシェアも44.5パーセントということで、後ほどご説明いたしますけど、我々の目論み通りマーケットシェアを伸ばしていると思っております。

当然顧客満足と言いますか、眼科の先生方の満足度も高まっていると申し上げることができると思います。

OTC事業も順調にマーケットシェアを伸ばしております。今では25.6パーセントとなっております。ナンバーツーではありますが、ナンバーワンメーカーを追いかけるという状態に徐々になってまいりました。

アジアではプレゼンスも高めておりまして、おそらく2020年にマーケットシェアナンバーワンを取れるのではないかと思っております。EMEAも販売数が大変増加しております。

こういったグローバル化を実現する上で組織・人材を強化する名目でマネージメントですとか新人事制度の導入、そういった強化策を図ってます。新しい世代、次世代を養成しているということです。

この点におきましても、ご覧の通り着実に成果を上げていると考えております。

2016年度 決算概況

それでは、2016年度の第4四半期の連結業績の概要についてご説明いたします。

この2016年度におきまして売上収益は業績予想には未達ですが、対前年度比1.9パーセントの増収し、1,991億円を計上いたしました。

薬価の改定や円高、前年度リウマチ事業のマイナスの影響がありました。このマイナス影響を克服し増収につながったと思っております。

全体として、この影響がなかったとしても、12パーセント増収となった理由は、こういったことを克服して、1.9パーセントの増収につなげたと思っております。

本業の収益力を示すコア営業利益は、第3四半期までは堅調に推移しました。

しかし、第4四半期アジアでの製品成長のさらなる市場浸透のための販売促進費用、そして欧州のIkervis、これらは少し苦戦しておりまして、ここの販売促進を強化するための費用等に投入いたしました。

こういった各地域での事業基盤強化に伴う販管費を第4四半期に使ったということです。

パイプライン進展による研究開発費も予想を超えて支出したことにより、通期のコア営業利益は、対前年度と比較し約7.8パーセント減益の397億円になったということです。

フルベースでは前年度に抗リウマチ事業の譲渡益の445億円を計上いたしておりますので営業利益・当期純利益とも減益となっております。

ROEにつきましてはコアベースにて11.2パーセント、フルベースでは9.0パーセントになっております。

2016年度 売上収益の推移 全事業にて増収

これは2016年度における売上収益の増減要因を事業別にお示ししているものです。タイトルにありますように全事業において増収を果たしております。

リウマチ事業を売却したことで今年度はそれを克服し、国内事業も成長させることができました。海外事業については円高の影響を受けておりますが、ご覧の通り全事業において増収を達成いたしております。

2016年度 コア営業利益の推移 将来成長のために費用が増加

これがコア営業利益の推移でございます。将来成長のための費用が増加しまして、先ほど申し上げましたように、各事業とも増益は達成しているものの、全体としてはR&D費、販管費の支出が影響しマイナスになったということでございます。

2016年度 損益の推移

2016年度の損益の推移でございます。こちらは先ほどご説明しました通りでので、割愛させていただきます。

国内医療用眼科薬市場におけるシェアは45.5パーセントに拡大

我々の最も強い国内医療用眼科薬市場におけるシェア、これは45.5パーセントに拡大いたしました。

アレルギー市場でも、これまではナンバーツーでした。耳鼻科領域販促をしまして、みなさんもご承知の通り、花粉症というのは必ずしも目だけではございません。

患者さんは耳鼻科領域に行かれたり小児科に行かれたりしますので、眼科に紹介されたりする患者さんのフォローもございます。

上流の耳鼻科領域も「きちっとしたプロモーションしましょう」ということで努力しました。おかげでマーケットシェアもナンバーワンになりまして、抗アレルギー剤の42.9パーセントでございます。

このことによって全てのセグメント、メジャーなセグメントにおいて我々はナンバーワンのマーケットシェアを獲得するに至っております。

参天製薬の成長における2017年度の位置づけ

2017年度の通期の業績予想についてお話します。2017年度も眼科領域におけるリーディングカンパニーとしてさらなる眼科治療貢献に取り組んでいきたいと思います。

参天製薬は日本そしてアジアでの眼科領域を中心に高いプレゼンスを示して、また罹患率・失明率の高い緑内障領域にかなりのフォーカスを置いておりまして、豊富に製品/パイプラインを保有し、眼科領域の治療に貢献していきたいと考えております。

今のこの強みを活かすことを第一に考え、この日本市場におけるプレゼンスと生産性を強めると同時にアジア市場でのさらなる成長それからヨーロッパでのプレゼンス向上を進めてまいります。

また数年の研究開発活動や買収を通じて、DE-109あるいは117、128など既存の製品とは差別化された複数のファーストインクラスの製品も好機に、もうすでに入っております。

このような開発品をまず成功させることをファースト優先順位にしまして、より多くの患者の治療に貢献できるよう体制を整備していきたいと思います。

2017年度 業績予想 概況

これが2017年度の業績予想の概要でございます。売上収益は対前年比9.5パーセント増の2,180億円を目指します。

コアの営業利益は対前年比10.9パーセント増の440億の予想費を出しております。2017年度は現在の中期経営計画の最終年度にあたります。

今回の業績予想における売上収益は2014年に想定していた状況よりも3点、申し上げたのですが、1点目は国内医療用眼科薬が薬価改定や後発品の促進策を上回る成長を遂げているということです。

2点目に薬粧事業が100億円を超える事業に成長したことを最後に、海外事業での成長が進んでいることを報告したいと思います。

こうしたことにより中期経営計画よりも約6パーセントほど増収をしている思っております。また、前のスライドでご説明いたしました既存市場におけるプレゼンスの向上と新規成長機会を取り込んで米国市場の参入の準備をいたしました。

研究開発など長期のビジョン達成を確実にするために、費用もある程度投入したいというように思っております。

コアの営業利益は中期経営計画と比べては約14パーセントの減少となっています。これは長期的に捉えていただければ、ありがたいと思います。

2017年業績予想 売上収益は9.5パーセントの成長見込

続いては、2016年度からの売上収益の推移を事業別にお示ししたものでございます。ご覧の通り、各事業において増収を見込んでおりまして、全体で9.5パーセント成長を目指します。

2017年業績予想 コア営業収益は11パーセント増益見込

コアの営業利益につきまして研究開発費や米国市場参入のための費用が増加します。その他の費用をコントロールすることで全体としては安く10.9パーセント増益を目指します。

事業別業績推移(国内)

これは事業別の業績推移でございます。ご覧の通り全ての事業において増収を果たしていく見込みということです。

事業別業績推移(ASIA)

これはアジア事業における成長を示したものでございます。円建て、現地通貨ベース、どちらを見ても順調に高い成長率を実現しています。

事業別業績推移(EMEA)

これはEMEA事業の成長を示したものです。メルクの事業を買収いたしましたけれど、このあとの費用が必要だったために、営業赤字を計上していましたが、現在では順調に市場浸透も進み基盤も整備され、高い成長率を実現しております。

米国市場参入-背景と戦略

米国市場参入について、その背景と戦略についてご説明いたします。

再三にわたり申し上げている米国市場というのは、眼科領域におきましても世界市場の36パーセントを占める世界最大の眼科薬市場でございます。

また年成長が、7パーセントという世界の成長を引っ張る牽引力のある魅力的な市場であるというふうに認識をしております。

この米国市場の参天製薬としてのプレゼンスの確立というのは、私どもの製品のDE-109・マイクロシャント、こういった製品をどう事業化するかという観点で非常に重要かと思っております。

これまで私どもは単一製品の参入は難しいと申しておりました。しかし、こういった非常に特徴ある2つの製品を持つことにより従来にない治療方法をご提供することにより、一定のプレゼンスを確立することができるのではないかと思います。

こういった事業機会を活用し、この網膜領域の中でとくに非感染性ぶどう膜炎治療領域や緑内障手術領域、こういった領域は比較的対象が限られた領域の中で従来にない治療を提供できるのではないかと考えています。

兼ねてから、このような限られた領域で様々な販売方法を模索してまいりましたが今回は自社で販売をしようというふうに結論いたしました。そうはいっても米国市場は非常に競争が厳しい領域です。

米国市場参入 -戦略的アプローチ

これはグラフで米国市場の競合環境を示したものでございます。左側のグラフは横軸が対象となる市場、縦軸は対象となる医師を示したものでございます。

アレルギーそれから緑内障、網膜、我々今対象とする「ぶどう膜炎治療領域」。こうしてみますと「ぶどう膜炎の治療領域」というのは極めて競争が少ないニッチなマーケットでございます。

だいたいぶどう膜炎の患者さんは5万7,000人ぐらいいらっしゃいます。そういった中において、非感染性ぶどう膜炎の治療の対象となる患者さんは、約3万3,000人ぐらいでございます。

私どもとしましては、どちらかというと、こういった治療領域には他所と組んでやるよりも自社で行ったほうが最も効率的で、短期間に収益を最大化できるという目論みをいたしました。

基本的には自社の手による販売を目指すことにいたしました。このあと2018年の初めにDE-109発売し、その後にマイクロシャントを発売いたします。

両方とも限られた治療領域で大きく市場そのものが成長する市場に、私どもはいい製品でいい治療方法を提案できると思っています。

様々なマーケットサーべイや価格のセンシティビティ・アナリシスをやってまいりました。ですので最も適切な方法で米国市場に参入できるのではないかと思っております。そうして2020年には黒字化を考えております。

2016年度配当および2017年度配当予想

これは兼ねてから申し上げております、2016年の配当と2017年の配当の予想です。なんと申し上げても、私どもは株主還元の基本方針では40パーセントを目途にしています。これを継続して行ってまいりたいと思います。