2016年度決算説明会

加藤照和氏:みなさま、こんにちは。本日は大変お忙しいなか、そして非常にタイトなスケジュールのなか、お昼の時間にも関わらず、当社の2016年度決算説明会にお集まりいただきまして誠にありがとうございます。

また、日頃は当社ならびに漢方に対しまして多大なご支援をいただいておりますことを、重ねて御礼を申し上げます。本当にありがとうございます。

なお、今連結決算におきまして、今期から夕張ツムラが連結対象となっておりますことをお伝え申し上げます。

長期経営ビジョン実現へのロードマップ

それでは順に説明をさせていただきます。最初に長期経営ビジョンの実現へのロードマップの確認をさせていただきたいと思います。

新中期経営計画として発表させていただいておりますのは、第2期・第3期を合わせたところでして、テーマは「“漢方”のイノベーションによる新たな価値の創造」です。戦略課題は(ロードマップ)下に枠で囲っておりますが、こちらのところに書いた3つです。

ESGに関わるツムラグループの取り組み

まず最初にESGの関連ですが、新中期経営計画でお示ししております、ESGに関わる当社グループの特徴的な取り組みに関しまして、最初に2016年度のトピックスを説明させていただきます。

ESGのE(環境)につきましては、生薬資源ならびに自然環境の保護、野生生薬の栽培化(研究)や循環型社会の実現への取り組みを行っておりますが、今年はとくに国内におきます生薬栽培の拡大と室内栽培研究を進めてきています。

先日、10日の日経の夕刊の一面にも載っておりましたが、八戸におきます生薬6品目の室内栽培研究や、石狩市での茯苓(ぶくりょう)の室内での菌床栽培を大規模化する、こういった研究の取り組みを進めています。

ESGのS(社会)につきましては、生薬栽培によります1次産業の活性化への貢献、ならびに障がい者・高齢者の雇用機会の創出の取り組みを行ってきておりますが、葉タバコ日本一の生産地であります熊本における転作支援を含めた柴胡栽培の規模拡大。

それに伴い、あさぎり薬草合同会社の加工所建設への支援、石狩市のてみるファームにおいて障がい者のみなさまによる生薬栽培の拡大などを進めてきています。

ESGのG(ガバナンス)につきましては、実効性の高いコーポレート・ガバナンス体制の構築と運用を継続的に強化しています。

昨日、決算発表と同時に監査等委員会設置会社への機関設計の移行と、その中に指名報酬諮問委員会の設置に関するリリースをさせていただいています。

6月29日から開催の株主総会の決議事項ですが、1つ目として取締役会の業務執行監督機能のさらなる強化、いわゆる監督と執行の分離です。

2つ目として経営のさらなる効率化と透明性の向上。

3つ目は権限委譲によります執行責任の明確化と意思決定の迅速化。

社外取締役が過半数となることによってこういったことが実現しますが、当社のコーポレート・ガバナンスのさらなる充実を目的としまして、実施する方針を決定いたしています。

2016年度決算の概要

それでは決算の概要について説明させていただきます。

昨日の決算短信で発表させていただいておりますとおり、売上がこういったかたちで少し未達になっておりますが、利益のところはだいたい110パーセント前後の達成でした。

前年と比べますとやはり生薬の価格の影響を織り込んでおりましたが、その影響によって売上原価率の上昇があり、微増収減益という結果になりました。

営業利増に加えまして、自社株式の取得あるいは保有有価証券の売却などもありまして、EPSは179円、ROEは8.1パーセントと計画を少し上回ることができました。

決算のポイント

決算のポイントにつきましては、一番はやはり売上原価率かと思いますので、そこだけ説明させていただきます。

薬価改定が影響している部分が、薬価改定の率はご案内のとおり約3パーセントぐらいございましたので、その影響ならびに生薬関連コストの増加等により、前年と比べますと3ポイントほど上昇しまして、43パーセントという売上原価率となっています。

計画に対しましては、生産性の向上による加工費の改善等によりまして、0.9ポイント下回っています。それ以外はこちらにお示ししたとおりですので、次に進ませていただきます。

営業利益の増減要因(前期比較)

営業利益の増減の要因の分析ですが、前年度の営業利益と今年度の営業利益を比較した場合に、営業利益は8.4億円減少しておりますが、利益増の要因は売上高で約23億円増、利益減少要因が売上原価約44億円の増と販管費18億円の増と上回ってしまっているために、営業利益が減ったというかたちになっています。

主な原因はブルーで示している売上原価率のところに書いてある、薬価改定の影響と生薬関連コストの上昇が一番の要因となっています。

財政状態とキャッシュ・フローの状況

次にバランスシートとキャッシュ・フローです。

バランスシートはここに細かく出ておりませんが、先ほど申し上げました夕張ツムラの連結により、流動資産および有形固定資産が35億円程度増加、投資その他において子会社株式と関係会社長期貸付金の連結相殺が35億円減少となっています。

また借入金が約94億円ですが、短期から長期へ借り換えを実行しておりますので、そこの部分が変わっています。

棚卸資産ですが、今期は約2億円減少しています。製品が約3億円減少、仕掛品が約21億円増加、原材料が約20億円の減少という内訳になっています。

仕掛品につきましては茨城工場および上海のエキス生産能力アップの工事に対応するために一時的に増やしたものです。

キャッシュ・フローですが、棚卸資産増加の抑制、それから法人税の減税などによりまして営業キャッシュ・フローが改善をしました。

設備投資のキャッシュアウトが82億円、自社株式の取得で50億円がありましたが、投資有価証券の売却もありまして、現金等の残高が期首と比較しまして48億円程度増加をしています。

自己資本比率も69.7パーセントとなっています。

2017年度業績予想

次に2017年度通期の業績予想について説明をさせていただきます。ご覧のとおり連結売上高はこの(赤)色のついた部分ですが1,207億円、営業利益を176億円、経常利益を181億円、親会社株主に帰属する当期純利益127億円。

1株当たりの年間配当金64円、EPS184円、ROE8.0パーセントの予想といたしました。

これは2017年の4月に予定されてました消費税の増税が見送られましたけれども、これによりまして2017年度の薬価改定がなくなりました。

第2期中期経営計画でそういう想定をしておりましたので、2018年度までは右肩下がりの損益計画になっておりましたが、2017年度はあとで説明ありますが、なんとか増収増益のところにもう一度持っていきたいと思っています。

想定してる売上原価率が42.4パーセント、販管費率が43パーセント、営業利益率が14.6パーセントの予想であります。

株主還元

次に株主還元の方針について説明をさせていただきます。これは今までどおりですが、四角で囲ってある3点です。

基本的に漢方が持続的に発展・成長するための事業投資を通じまして、企業価値の向上をさせていただく。

中長期の利益水準やキャッシュ・フローの状況等を勘案し、安定配当を実施させていただきます。

そして新中計におきましては、今期実際に実施させていただきましたが、最適資本構成の検討・見直しを踏まえた株主還元に努めさせていただき、市場動向等を総合的に勘案したうえで機動的な自社株式の取得を実施させていただく。この3点です。変わりございません。

戦略課題の進捗 組織改革(4月1日付)による機能強化

新中計に設定しております戦略課題を少し説明させていただきます。まず最初に組織改正です。

改革としておりますが、大幅に今回は営業部門と製品戦略部門につきまして、右方にあるようなエリアマーケティングの強化、マーケティング戦略の機能強化・企画強化、領域別の基礎・臨床の研究という機能をもう一度再編をしまして、3ホーム体制へ再編させていただいています。

いずれの本部長も新任の方が就任しておりますので、またのちほどご質問いただければと思います。

会社の全体の方針としましては、やはり国ですとか厚労省が進めておられる施策である「健康日本21」、あるいは「新オレンジプラン」、「地域包括ケアシステム」、こういったものへ迅速に対応できるような、または「国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョン研究会」で6つの提言が出ておりますが、そういったものに加速的に対応できるような人事組織改革を目指して実行をさせていただいています。

戦略課題1 漢方市場の拡大と安定成長 マーケティング戦略

マーケティングの戦略につきましてはご覧のとおりですが、育薬処方などの集中化領域に対しましてはエビデンスデータを活用するなど「MR力」で対応し、Growing処方につきましては新領域展開に対して学会イベント、あるいは研究論文、販促資材など「仕組み」を構築するなかで市場を拡大をしてまいりたいと考えます。

重点3領域

続きまして重点3領域ですが、こちらは具体的な処方が出ています。とくに赤い(文字の)処方、今年度も含めまして重点的にさせていただくのですが、この高齢者・ガンの領域に加えて重なってるのが消化器の領域になっておりますので、このあたりをのちほど髙崎から説明をさせていただきます。

「がん対策加速化プラン」

がんの領域につきましては「がん対策加速化プラン」というのが出ておりますので、ここに対応できる具体的な処方、ここに(青)枠で囲ってありますが、支持療法ということで、主に抗がん剤による副作用の軽減。

六君子湯・半夏瀉心湯・抑肝散などがすでに臨床の現場で使われておりますので、こういったもののエビデンスを構築して、最後は診療のガイドラインに掲載していただくかたちで広くお使いいただけるようなものを目指しています。

戦略課題2 収益力の継続強化とCFの最大化 設備投資額

それから戦略課題の2番目の「収益力の継続強化とCFの最大化」のところで少し情報が出ているのでびっくりされてる部分があるかと思いますが、設備投資の額の来年度の計画が151億円とちょっと大きく出ています。

今年度終わった期の2016年度の金額が少し少なかったこともあるのですが、最終的にこの3年間で2016年度から2018年度までの3年間で比較しますと、30億円ほど上昇する見込みであります。

やはり建設資材の値上がりが計画を立てた時よりも顕著に出ておりますし、能力の拡充、あるいはピックスのGMP対応仕様へ一部計画を変更したものですが、全体の大きな堅確としてはそのものに変更はございません。

生薬価格の推移

生薬の価格の動向です。非常に生薬の価格が見通しにくい状況です。

2016年度、これは購入の段階の話ですのでここの下落のところは損益にはまったく影響はしておりませんが、人参の大幅な価格の下落がありましたので、この価格の下落、それから価格交渉もかなりさせていただいたことにより、実際ここでお示ししている指標は(2006年を100とした場合)188まで下がりました。

全体で中国産の輸入生薬100品目ほどあるのですが、価格上昇を察知したものがだいたい40品目、下落したものが41品目、同等価格のものが19品目くらいの構成でした。

2017年度につきましても、なかなか見通すのが難しい状況がありますが、やはり188というのは人参の下落がかなり大きく影響しておりますので、多少反動があるのではないかとは見ておりますが、先が本当に見通しにくい環境ですので、ミスリードになる可能性がありますので、具体的な指標数値については言及しませんのでご容赦願いたいと思います。

自社管理圃場の拡大

自社管理圃場は計画どおりに進んでるということでご理解いただきたいと思います。

戦略課題3 中国における新規ビジネスへの挑戦

それから中国のビジネスにつきましても、大きく進捗したのは一番上のホールディングスカンパニーの設立をしました。

名称も正式名称「津村(中国)有限公司」で設立をしまして、いよいよ資本金の払い込みをしまして、2017年度におきましては子会社である深圳津村薬業有限公司、中薬配合事業を行う新しい合弁会社であります上海上薬津村製薬有限公司の株寄せを行いまして、前回お示ししたような事業体制のイメージに移行していく予定です。私からは以上になります。