連結決算実績/見通し 総括

藤本哲也氏:みなさん、こんにちは。マツダの藤本でございます。当社の決算説明会にお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

本日はまず、2017年3月期の実績および、2018年3月期の見通しについてご説明いたします。その後、社長の小飼より構造改革ステージ2の主要施策の進捗についてご説明申し上げ、最後にみなさまからのご質問をお受けいたします。

まず、連結決算の実績と次期見通しについての総括です。

2017年3月期のグローバル販売台数は、対前年2パーセント増の155万9,000台と、過去最高の販売台数となりました。

売上高は3兆2,144億円、営業利益は1,257億円、当期純利益は938億円です。

自己資本比率は41パーセントに改善いたしまして、純有利子負債は354億円のネットキャッシュとなり、財務基盤は着実に改善してまいりました。

2018年3月期は、グローバル販売台数160万台、営業利益は1,500億円、当期純利益は1,000億円の見通しです。

新型CX-5のグローバル展開によります販売貢献に加えまして、3列シート採用の新型クロスオーバー、マツダCX-8など、SKYACTIV商品群の拡充により、競合力強化と台数成長を目指してまいります。

生産面では、防府工場のCX-5の生産を開始いたし、本社工場でもさらなるクロスオーバー系車種の生産フレキシビリティの拡大を計画しております。

持続的成長に向けた、次世代技術、次世代商品の開発と生産に向けた成長投資について、予定どおりに進めてまいります。

2017年3月期 グローバル販売台数

それでは、2017年3月期の実績の詳細です。

グローバル販売台数ですが、冒頭申し上げましたとおり、グローバル販売台数は過去最高の155万9,000台となりました。

車種別では、新型CX-4、そしてグローバルに通年で寄与いたしましたCX-3、新型CX-9など、クロスオーバー系車種が台数成長を牽引いたしております。

また地域別では、日本、北米での販売台数が減少いたしておりますが、好調な中国、欧州、ASEANも堅調に推移をいたしまして、グローバルでは対前年2パーセント増の台数成長となっております。

日本

それでは、各マーケットの販売状況です。まず、日本です。

日本の販売実績は、対前年13パーセント減の20万3,000台、登録車シェアは対前年1.2ポイント減少の4.9パーセントとなりました。

しかし、12月に新型ロードスターRFを導入し、2月には新型CX-5の販売を開始いたしましたことで、販売モメンタムが大きく改善しつつあります。

また、マツダの先進安全技術「i-ACTIVSENSE」を搭載したアクセラが、2016年自動車アセスメント予防安全評価におきまして、最高ランクである「ASV++」、このなかで第1位を獲得いたしまして、歩行者対応自動ブレーキをはじめまして、高い予防安全性能を評価いただいております。

北米

続きまして、北米です。

北米は42万9,000台を販売し、対前年で2パーセントの減少となりました。うち、米国では30万2,000台の販売で、対前年で1パーセントの減少です。

米国は厳しい販売環境が継続いたしております。クロスオーバー系車種は好調な販売を継続している一方で、乗用車セグメントにおきましては、需要の縮小や、それに伴う競合の激化が進んでおります。

新型CX-9は高グレードモデルの販売が好調です。ネットレベニューが改善し、これからはエントリーグレードモデルの拡販が課題をなっております。今後、マーケティング施策を強化してまいります。

販売ネットワークの再編につきましても、ブランドの販売回復への取り組みを継続的に推進をいたしております。

メキシコにつきましては、メキシコのペソ安に対応した値上げもございまして、対前年9パーセント減の5万3,000台にとどまっております。

欧州

欧州です。欧州では、対前年2パーセント増の26万2,000台の販売です。CX-3とMX-5が販売台数の増加に貢献をいたしております。

ロシアを除く欧州では、対前年3パーセント増の24万台となり、このうち、ドイツが対前年5パーセント増の6万3,000台、英国では対前年7パーセント減の4万5,000台となっております。

なお、ドイツですが、MX-5、RF、こちらが権威あるデザイン賞でございます「2017年Red Dot: Best of the Best賞」を獲得しまして、魂動デザインは引き続き高い評価を獲得いたしております。

中国

中国です。中国では、対前年24パーセント増の29万2,000台となり、過去最高の販売台数を達成いたしております。

小型車減税政策の効果もありまして、Mazda3が販売を大きく貢献したことに加えまして、Mazda6、CX-5の商品改良モデルが台数増加に貢献いたしております。

新型CX-4ですが、「2017中国カーデザイン・オブ・ザ・イヤー」を受賞するなど、高い評価を獲得しておりまして、計画を上回る販売を継続いたしております。

その他市場

その他の市場です。対前年1パーセント増の37万3,000台の販売でした。

オーストラリアでは、対前年2パーセント増の11万8,000台と、過去最高の販売台数です。また、メーカー別販台数では第2位となりまして、CX-3、CX-5はともにセグメント別販売台数が第1位を獲得いたしております。

ASEANでは、タイで対前年2パーセント増、ベトナムでも対前年45パーセント増となりまして、ASEAN全体では対前年4パーセントの増加となっております。

その他地域では、コロンビア、ペルー、チリ、ニュージーランドで過去最高の販売台数を達成しております。

2017年3月期 財務指標

続きまして、2017年3月期の財務実績についてご説明いたします。

売上高は、対前年6パーセント減の3兆2,144億円となりました。営業利益は1,257億円、経常利益は1,395億円、税引前利益は1,284億円、当期純利益は938億円です。

為替レートですが、平均で1ドル108円、1ユーロ119円と、前年に比べて、USドルで12円、ユーロで14円の円高となっております。

2017年3月期 営業利益変動

次は、営業利益の変動の説明です。2017年3月期は、1,257億円と、対前年で1,011億円減少いたしておりますが、その主な要因です。

左から、台数・構成ですが、日本、北米地域での出荷台数の減少が影響いたしまして、86億円の悪化となっております。

次に、為替です。USドルで185億円、ユーロで261億円、その他通貨で581億円の悪化となり、合計で1,027億円悪化いたしております。

変動コスト領域では、新商品や海外工場でのコスト改善活動の強化により、479億円改善をいたしました。

販売費用は8億円悪化。その他固定費領域では、品質関連費用の増加、開発費等成長投資の強化によりまして、369億円の悪化となっております。

2017年3月期 営業利益変動

続きまして、2月公表に対する43億円の減少ですが、その変動要因です。

こちらに記載のとおり、主要因は台数・構成96億円の悪化です。これはアメリカで乗用車セグメントの需要が縮小し、競合環境がより厳しさを増したことによりまして、計画未達となっております。

為替では、想定より若干の円安効果により、23億円の改善。販売費用も、広告宣伝費などの抑制で、22億円の改善を行いましたが、台数・構成の未達をリカバリーするにはいたっておりません。

2018年3月期 グローバル販売台数

次に、2018年3月期通期見通しについてご説明をいたします。

グローバル販売台数です。グローバル販売台数は、対前年3パーセント増の160万台の見通しです。構造改革ステージ2の2019年3月期、この販売台数目標でございます165万台に向けまして、今期は160万台と、安定的な成長を目指してまいります。

CX-5のグローバル展開を本格化するなかで、CX系供給能力や、グローバルの需要増に対して能力を増やしてまいります。後にご説明いたしますが、地域のニーズに応じたSKYACTIV商品群の拡充も行ってまいります。

小型車減税が半減となります中国を除きまして、すべての地域で成長を目指してまいります。

2018年3月期 財務指標

続きまして、2018年3月期通期の財務指標です。売上高は3兆3,500億円、営業利益は1,500億円、当期純利益は1,000億円です。

為替前提につきましては、足元の不透明な状況もございますので、1ドル108円、1ユーロ118円と、前年並みのレートといたしております。

2018年3月期 営業利益変動

2018年3月期の営業利益変動です。2018年3月期は、1,500億円と、対前年で243億円の増加となります。

台数・構成で150億円の改善の見通しです。新型CX-5をはじめとするクロスオーバー系車種の販売拡大が改善の主要因です。米国を中心とした販売環境の悪化や金利上昇に伴いますインセンティブの増加なども反映した、ネットの数字となってす。

変動コスト領域につきましては、ものづくり革新や海外工場でのコスト改善に対して、原材料価格の高騰で一部を相殺しまして、結果、100億円の改善となっております。

将来に向けた成長投資は継続してまいります。研究開発費は131億円の増加と、次世代技術・次世代商品に向けて加速をしてまります。

その他固定費につきましては、124億円の改善。前期増加いたしました品質関連費用の改善を反映いたしております。

以上で私からの説明を終わりまして、小飼さんに変わります。

商品・開発

小飼雅道氏:みなさん、こんにちは。マツダの小飼でございます。私からは構造改革ステージ2の主要施策の進捗についてご説明を申し上げます。

まず、商品・開発領域ですけれども、今後も次々と魅力ある新商品や新装備を搭載するなど、SKYACTIV商品群を拡充してまいります。

2月に日本市場から投入を開始し、好調な販売が継続している新型CX-5をグローバルに展開をいたします。

また、日本ではCX-3にガソリンエンジンモデルをラインナップに追加をして、幅広いニーズに対応するとともに、先進安全技術「i-ACTIVSENSE」を標準装備化し、継続的に進化させることで、さらに多くのお客様へより安全安心な車をお届けしてまいります。

CX-9で高い評価をいただいています、2.5Lターボエンジン「SKYACTIV-G 2.5T」の搭載車種を拡大いたします。

本日、国内向け新世代商品としては初めての3列シート採用モデルとなる、新型クロスオーバーSUV「マツダCX-8」を、2017年中に国内で発売することを公表いたしました。このCX-8の導入により、ミニバンに代わる新たな市場の創造に挑戦をいたします。

グローバル販売・ネットワーク強化

販売領域では、先ほど一部をご説明いたしました、新商品や商品改良モデルの投入により、2019年3月期目標の165万台に向け、年5万台レベルの持続的な台数成長を図ります。

正価販売やトレードサイクルマネジメントなどの取り組みの成果が出始めており、日本では新型CX-5をご購入いただいたお客様の約50パーセントが当社顧客の代替であったり、米国でのSKYACTIVユーザーの代替比率が向上しています。

ブランド価値向上に向けた、販売ネットワーク改革も引き続き推進しています。一例をあげてご説明しますと、米国では販売網とオペレーションの改革に重点をおいて取り組んでおります。

店舗の最適配置と合わせた新世代店舗の展開や、ブランドと顧客体験に焦点を当てた販売店報奨制度への変更などを通じて、マツダの米国ビジネスにおける中長期的な課題解決や健全なビジネス構造への構築に対するモメンタムを加速してまいります。

グローバル生産・コスト改善

生産領域では、グローバルで拡大するクロスオーバー系車種の需要に対応するため、防府工場で、CX-3に加えて、2017年11月より新型CX-5の生産を開始する予定です。広島工場では、さらなるクロスオーバー系車種の生産能力の拡大を図ってまいります。

中長期的に、海外工場でも同様に生産フレキシビリティを高めていくことで、国内外生産拠点間でのグローバルスイング生産体制の構築を目指します。

また、次世代技術搭載車の生産設備投資を2018年3月期より開始してまいります。

同時に、コスト改善に向けた次世代技術開発を推進しております。一例として、機能統合によるマルチファンクション化で、部品点数を大幅に削減するなど、さらなるコスト改善を強化してまいります。

財務基盤強化と株主還元

財務領域では、構造改革ステージ2での着実な台数成長とブランド価値向上で、収益力とキャッシュ・フロー創出力を向上させていきます。

引き続き、自己資本比率、純有利子負債など、バランスシートを改善し、財務基盤を強化しつつ、将来への研究開発や設備投資などの成長投資を加速します。

持続的成長に向けて、株主還元も、安定的な配当の実現と着実な向上を図ってまいります。

2019年3月期目標のうち、営業利益率を7パーセントから5パーセントに修正させていただきます。

構造改革ステージ2の主要施策は着実に進捗していますが、為替前提をドル120円、ユーロ130円から、ドル108円、ユーロ118円に、各12円、円高前提に変更したことや、原材料市況の高騰、米国での乗用車需要減に伴うインセンティブの増加など、ビジネス環境の変化を反映したものでございます。

次世代技術コミュニケーション

最後に、次世代技術コミュニケーションについてご案内させていただきます。

マツダは、ベース技術である内燃機関の技術進化と合わせ、グローバルでの環境規制への対応や安全なクルマ社会への実現に向け、電動化や安全技術開発を推進しています。

2019年3月期に投入予定の次世代技術搭載車の開発は、順調に進捗をしております。先日、私も含め役員、本部長でその試作車に試乗いたしましたが、極めて高い目標に対しまして、予想をはるかに上回るすばらしい仕上がりとなってございます。

そのなかで、2017年秋にエンジン効率を飛躍的に向上させた「SKYACTIV 次世代ガソリンエンジン技術」と、魂動デザインの「次世代 VISION モデル」を公表する予定でございます。マツダのさらなる革新と挑戦をぜひご期待いただきたいと思います。

以上で私からの説明を終わります。