2016年度第3四半期決算説明会
田川丈二氏:本日はお忙しいなか、2016年度第3四半期決算発表にお越しいただき、誠にありがとうございます。
当社の業績は堅調に推移しており、自動車事業のフリーキャッシュフローは潤沢で、年度の台数見通しおよび財務実績見通しに対して、順調に進んでおります。
本日は2016年度第3四半期までの9ヵ月間のグローバル販売実績および財務実績についてご説明いたします。
2016年度第3四半期 主要財務指標(9ヵ月)
2016年度第3四半期までの9ヵ月間は、前年に対して、為替変動が逆風になったものの、しっかりとした業績を確保することができました。
2016年度第3四半期までの連結売上高は、8兆2,648億円となりました。連結営業利益は5,032億円。売上高営業利益率は、6.1パーセントとなりました。当期純利益は4,142億円となり、当期売上高純利益率は5.0パーセントでした。
自動車事業のフリーキャッシュフローは、1,661億円でした。これは三菱自動車の発行株式の34パーセントを取得した後の数字になります。
この出資をのぞくと、自動車事業は4,035億円の潤沢なフリーキャッシュフローを生み出したことになります。
2016年12月末現在の自動車事業のキャッシュポジションは、1兆700億円となり、非常に強固な財務体質となっております。
すでにお気づきとは存じますが、財務実績は減収減益となっております。
その要因は大幅な為替変動によるもので、コスト削減を中心とするビジネスの改善をもってしても、この影響を完全に相殺することはできませんでした。
ビジネス・パフォーマンス
基礎体力の改善をご理解いただくために、こちらの表をご覧ください。
前年同期と同じ為替水準を前提に、2016年度第3四半期までの9ヵ月間の売上高と営業利益を比較しました。
前年同様の為替水準で計算すると、売上高は9兆4,300億円。営業利益は前年比30.1パーセント増の7,646億円。売上高営業利益率は8.1パーセントとなります。
2016年度第3四半期 販売実績(9ヵ月)
財務実績の詳細に入る前に、2016年度第3四半期までの販売状況についてご説明をいたします。
2016年度第3四半期までの9ヵ月間のグローバル全体需要は6,716万台となり、前年から4.5パーセント増加いたしました。当社のグローバル販売台数は399万台となり、前年から2.6パーセント伸びました。
第3四半期の3ヵ月では138万台の販売で、前年同期比から8.3パーセントの伸びとなり、全体需要の伸びを上回っております。
2016年度第3四半期 販売実績(9ヶ月)日本
主な市場の販売状況は次の通りです。
日本国内の全体需要は前年比0.9パーセント増と微増の350万台となりました。当社の販売台数は前年比の10パーセント減の34万4,000台に留まり、市場占有率は9.8パーセントでした。
減少の主な要因は今年度前半の軽自動車デイズとデイズルークス販売停止の影響です。すでにデイズとデイズルークスの販売を再開し、新型セレナとノートeパワーも計画通り発売しました。
その結果、第3四半期の3ヶ月では全体需要が4.9パーセントの伸びであったのに対し、当社の販売は13.1パーセント増加しました。
2016年度第3四半期 販売実績(9ヶ月)中国
2016年、1月から9月までの中国の全体需要は前年比13パーセント増の1,859万台に達しました。当社の販売台数は8.2パーセント増の92万9,000台となり、市場占有率は5パーセントでした。日産とインフィニティ、両ブランドは商品の好調な販売が寄与しています。
2016年1月から12月までの中国における販売台数は136万台となり、前年から8.4パーセント伸びましたが、全体需要の拡大には追いついていません。
主な要因は小型乗用車市場の縮小です。当社の小型乗用車の販売台数は4.3パーセント減少し、市場占有率は5.7パーセントとなりました。
一方、当社の乗用車販売は10.9パーセント増加いたしました。
2016年度第3四半期 販売実績(9ヶ月)北米
北米の全体需要は前年比1パーセント増の1,626万台となり、当社は市場の伸びを上回る過去最高の158万台を記録しました。
第3四半期3ヶ月では、全体需要の伸びが1.7パーセントであったのに対し、当社の伸びは7.9パーセントとなりました。
米国の全体需要は前年比0.4パーセント減の1,346万台に留まったものの、当社の販売台数は前年比4.2パーセント増の116万台に達し、市場占有率は8.7パーセントとなりました。
好調なローグとアルティマが牽引役を果たしております。カナダでは前年比0.4パーセント増の10万4,000台を販売し、市場占有率は6.7パーセントでした。
メキシコでは首位の座を維持し、当社の販売台数は前年比17パーセント増の31万3,000台。市場占有率は24.9パーセントとなりました。
2016年度第3四半期 販売実績(9ヶ月)欧州(ロシア含む)
ロシアを含む、欧州を含む当社の販売台数は54万2,000台となりました。第3四半期3ヶ月では、全体需要が2.9パーセント伸びたなか、当社の販売は4パーセント増加いたしました。
ロシアを除くと、欧州の販売台数は前年比5.5パーセント増の47万4,000台となり、市場占有率は3.6パーセントです。
ロシア市場は、引き続きルーブル安と景気の不透明感に影響され、低迷しています。当社の販売台数は前年比25パーセント減の6万8,000台にとどまり、市場占有率は6.1パーセントと、当初の見込みに沿った水準です。
2016年度第3四半期 販売実績(9ヶ月)その他市場
その他市場の販売台数は、前年比3.9パーセント増の59万6,000台にとどまり、全体需要の低迷が販売を押し下げています。しかし、第3四半期3ヶ月だけで見ると、当社の販売台数の減少は市場の下落よりも小幅にとどまりました。
アジア・オセアニアの販売台数は、前年比3.6パーセント減の25万3,000台となりました。
アフリカでは、前年比14.3パーセント減の6万4,000台となりましたが、これは当社が事業を行っている各市場での需要動向に沿っています。中南米では、前年を上回る13万2,000台。中東では14万7,000台に減少いたしました。
2016年度第3四半期 財務実績(9ヶ月)
次に、2016年度第3四半期の財務実績をご説明いたしますが、これまでの発表と同様に、中国の合弁会社に持分法適用する会計基準に基づき報告をいたします。
連結売上高は8兆2,600億円となりました。連結営業利益は5,032億円となり、売上高利益率は6.1パーセントです。当期純利益は4,142億円となり、売上高純利益率は5パーセントとなりました。
2016年度第3四半期 財務実績(9ヶ月)営業利益増減分析
連結営業利益の増減要因は、次の通りです。台数および車種構成は1,266億円の増益要因となりました。売買費用が増加し、1,638億円の減益要因となりました。
購買コストの削減を含むコスト項目は2,143億円の増益要因となりました。研究開発費は228億円減少しました。生産コストは97億円増加しました。その他項目は131億円の減益要因となりました。
為替変動の影響を除くと、営業利益は前年に対し31.1パーセント増に相当する1,771億円の増加となり、売上高営業利益率は8.1パーセントに達しました。
しかしながら、為替変動が2,614億円の減益要因となり、営業利益の実績は5,032億円。売上高営業利益率6.1パーセントとなりました。
2016年度第3四半期 主要財務指標(9ヶ月)
中国合弁会社比例連結ベースの財務実績は次の通りです。
連結売上高は9兆1,000億円。連結営業利益は6,019億円。当期純利益は4,142億円。自動車事業のフリーキャッシュフローは2,534億円。自動車事業、実質有利子負債は1兆2,600億円のキャッシュポジションです。
ビジネス・パフォーマンス
中国合弁会社比例連結ベースの売上高営業利益率は6.7パーセントです。為替変動の大きな逆風を除くと、売上高営業利益率は8.5パーセントとなります。
2016年度の通期の業績見通しについては、前回の発表内容から変更はありません。
2016年度 株主還元
今後の利益と堅実なフリーキャッシュフローの見通しを鑑み、日産は引き続き積極的な配当政策を維持し、30パーセント以上の配当性向を実現していきます。
また、昨年11月には3億株にのぼる自社株買いを完了いたしました。通期の配当についても以前申し上げました通り、14.3パーセント増の1株あたり48円に引き上げる予定です。
為替変動の逆風に直面するなか、当社は着実な業績を重ね、事業の効率化を進めてきました。冒頭に申し上げましたように、当社は多額のフリーキャッシュフローを産み出し、健全なバランスシートを確保しています。
1月末にムーディーズが当社の長期、短期の格付けを1ロッチ上げたことがこれを表しております。
日産の経営は順調です。今後も持続的に事業を拡大し、収益と自動車事業のキャッシュフローの確保、そして魅力ある株主還元を実施してまいります。
ご清聴ありがとうございました。