2016年度第3四半期 業績ハイライト
宮坂学氏(以下、宮坂):ヤフー株式会社の2016年度第3四半期の決算のご報告をさせてもらいたいと思います。
まず、連結業績第3四半期のハイライトです。
売上高が、12.7パーセント増の2,213億円となりました。
営業利益は、20.0パーセント増の517億円であります。
広告売上高は、10.4パーセント増の729億円。今期、はじめてスマートフォンの売上比率が50パーセントを超えたということで、1つ区切りを達成することができました。
eコマースの(国内)流通総額も引き続き堅調で、17.4パーセント伸びて5,039億円になりました。
ハイライトをもう少し細かく説明します。
広告に関しては、引き続き2桁達成できました。もう1つ大きな変化が、検索連動広告が、この数四半期ずっと前年割れを続けていたんですけれど、今期は久しぶりに前年同四半期でプラスになることができました。
もう1つ、(売上高に占める)スマートフォン(経由)比率が50パーセントを超えたということが大きなトピックスになります。
eコマースも引き続き堅調で、ショッピング事業の取扱高が過去最高を更新しています。そして、ショッピング広告の売上高も、これまでと比べても大幅に伸びたという四半期でありました。
カードの事業も、会員数ならびにカードの利用される額のほうも非常に好調に推移した四半期となりました。
売上高の推移
売上高を、過去2002年から振り返ったグラフがこちらになります。
売上の構成ですが、マーケティングソリューション事業が6.6パーセントの伸びという伸びとなりまして、コンシューマのところが14.7パーセントの伸びということで、大きな比率の変化はなく、まんべんなく成長することができました。
営業利益のほうも、前年同四半期で見ると、20.0パーセント増の517億円の推移となっております。
EBITDAも、17パーセント増の611億円となりました。
販売促進活動のほうですが、一番左側にある濃いグレーのものが2年前の販売促進費、真んなかの薄いグレーが去年、そして赤いのがちょうど今期のものになります。
ご覧いただけるとおり、販売促進費は第2四半期、第3四半期ともに、昨年度と比べると、かなり抑制気味、第3四半期でいうと、約2割ぐらい抑制気味にやっているんですけど、2割下げたけど流通総額はきっちり伸びているということで、売場の実力がだいぶついてきたなと思っております。
親会社の所有者に帰属する四半期利益でありますが、356億円で、24.0パーセントの伸びということであります。
Daily UB(デイリーユニークブラウザー)数
以上が数字的な概要になります。ここから事業の概況を少し触れます。
まず、Yahoo! JAPANにとって一番大事なものは何かというと、それは売上とか利益よりも、最も大事なものはやはりお客さんが使ってくださっているかどうかだと思っております。
このお客さまが使ってくれなくなると、その先、数年後に間違いなく業績が悪くなりますので、常にたくさんの人に使っていただくということが一番大事だと思っております。
なかでも非常に重要視しているのがデイリーユニークブラウザーのほうでありますが、こちらのほうは順調に伸びていて、5,761万Daily UBということで、去年と比べてもたくさんの人が引き続きヤフーをお使いくださっています。
とくにスマートフォンで使う人の数がどんど増えていて、もう今では1日で見れば64パーセントのアクセスはスマートフォンからになっているということであります。
月間アクティブユーザーID数
今度は、PC・スマホ・タブレット、いろんなデバイスでヤフーをたくさんの方が使ってくれてますが、これをユニークユーザーとしてカウントできるようにならないと、パーソナライゼーションや広告ターゲティングにおいては、非常に精度が悪くなりますので、使うんだったらログインして使ってもらおうということをこの1年間でとくに力を入れて推進してきました。
その結果、去年と比べると、月間のアクティブ(ユーザー)IDが15.9パーセント増えまして、3,731万の方が毎月アクティブに使ってくださっていると。こちらを大きく伸ばすことができました。
これは長い目で見れば、ターゲディング精度の改善に絶対に効いてくると思いますので、引き続き、使うんだったらIDで使ってね、ということを推進していきたいと思います。
以上、アクセスに関しては、今四半期は堅調にスマートフォンのトレンドを捕まえて伸ばすことができました。
今度はヤフーを使ってくださっているお客さまから、どうやって売上を取り出すのかという点について少し説明したいと思います。
従来どおりYahoo! JAPANはお客さまのアクセスをマネタイズするモデルを、基幹事業と先行投資事業の2つに分けて説明をしております。
基幹事業は今すでに収益をあげている事業で、広告関連事業、オークション関連事業、会員サービス事業であります。
まず、この基幹事業から説明をします。
広告関連売上高
基幹事業でも一番柱になるのが、当然広告事業であります。
先ほど申しましたとおり、10.4パーセントの増加で、729億円まで伸ばすことができました。ディスプレイのほうもYDN(Yahoo!ディスプレイアドネットワーク)のインフィードも伸ばしておりますし、さらにショッピングの広告事業のほうもどんどん伸びてきております。
検索連動型広告売上高
大きなポイントとしては、検索連動型広告事業を4月になんとか力を入れてもう1回がんばるという話をしましたけど、その結果がかなり出始めてきまして、354億円ということで、去年は334億円でしたので、伸ばすことができました。
検索連動型広告の売上高の過去のトレンドですが、このとおり、かなり良くない状況でずっともがいていたんですけど、春以降の営業チームを中心とした、いろんな施策・プロダクトの改善によってプラス転換まで持っていくことができました。
スマートフォン広告売上高比率
そういったこともあって、スマートフォン広告売上高はどんどん伸びておりまして、四半期で見たら初めて、スマートフォンから50パーセント以上の売上を取れるようになってきたという状況でございます。
スマートフォン広告売上高
スマートフォンの広告売上高そのものもどんどん伸びていて、1年前と比べると、全体の広告は10パーセントの伸びですけど、スマホの広告の伸びだけで見ると、36.4パーセントの伸びということで、スマートフォンのアクセスがどんどん増えていく、そしてスマートフォンの広告売上高がどんどん伸びていくというサイクルがうまく回せています。
スマートフォンへの動画広告導入
来年度以降に期待しているものが、ビデオの広告であります。いま一生懸命準備中ですという話をしましたけど、いよいよテストを開始しております。1月11日からスマートフォンへの動画広告の配信テストを開始しております。
これが具体的にどれくらいのパフォーマンスが出て、どれくらいの効果が出て、クライアント様に支持されるのかというのがちょっとテスト中ですので、やってみないとわからないんですけど、長い目で見ればトップページをタイムライン化して、インフィードで収益があがってきたので、加えてそこをさらにビデオ配信化することで収益力をアップしていきたいと思っております。
繰り返しになりますが、まだまだテスト中ですので、あまり楽観せずに見守って育てていきたいと思います。
オークション関連取扱高
2つ目の基幹事業は、オークション関連事業であります。
オークションのほうも堅調に伸びてきていて、2,421億円という過去最高の流通総額を達成することができました。ちょうど昨日からサービスを開始した新しいオークションの施策がございまして、もともとヤフオクには即決と競りという2つのものがありまして、即決価格というのを新たにフリマというものに名称を変えました。
名称を変えるだけでなく、フリマ出品の人はプレミアム会員ではなくても、誰もが出品できるという、いわゆる今のフリマサービスのスタンダードにのっとったかたちに変えて投入しています。
さらに加えて、フリマ出品したときに受取りをYahoo!マネーで受け取ってもらえると、手数料8パーセント分はTポイントでバックすると。要するに実質無料でフリマを楽しめるようにするというような、ヤフオク!もかなり大きな、フリマも伸ばしていこうということで一策を打っております。
こちらのほうはまだ始めたばかりですので、なんとも、これからどうなるかわかりませんけど、競りだけでなくフリマも伸ばしていこうということを、これからしっかりやっていきたいと思います。
月額有料会員ID数
3つ目の基幹事業は、会員サービスの事業であります。
ヤフーにはいくつかの月額定額会員のサービスがございますが、それらをすべて足したもの、この月額有料会員のID数が全部で1,755万IDまでに伸ばすことができました。
月間のアクティブIDが3,500万ぐらいであることを考えると、かなりの比率で伸ばせているというようなことがわかると思います。
なかでも一番月額会員のシェアを占めているのがやはりプレミアム会員でございまして、こちらのほうも堅調に伸ばしていて、8.4パーセントの増加という結果を出すことができました。
以上が基盤の事業のご説明になります。
ここからは、今はまだ黒字ではないけど、将来に向けてしっかり投資をして育てている、先行投資事業についての説明になります。
ショッピング商品数
ショッピングの事業ですが、まず商品数が2.5億品ということで、Yahoo! 調べではありますが、国内最多の商品数になったのではないかと。これはオークション除いたものなんですけど、ショッピングだけで見ても、国内最多にはなったんじゃないかなと思います。
ショピング事業取扱高
もう1つ、取扱高も過去のトレンド見てもらったらわかるとおり、ちょうどeコマース革命を始めたのが13年第3四半期だったわけですが、それから比べると約2倍以上の伸びで、1,400億円を達成することができました。
ショッピング広告売上高
広告売上も、eコマース革命を始めたときは11億円だったのが、58億円ということで、こちのほうも今四半期、前年と比べても約2倍ぐらいで、大きく伸ばすことができました。
クレジット有効会員数
カードの有効会員数も、1年間で約2倍というということで、高い会員の成長を達成することができました。
クレジットカード取扱高
もう1つ大事なのは、会員は増えるけど使ってくれない会員だと、あんまり意味がないわけですが、カードの利用額のほうも2.6倍になると。
つまり、枚数は2倍になって、使われる額は2.6倍になったということで、稼働額がどんどん上がっているという、非常に健全な成長ができていると思います。
「Yahoo!ウォレット」口座数
そして、Yahoo!ウォレットを使う方が、ショッピングの好調でどんどん増えています。1年前と比べると、口座の数も3,579万ということで増えました。
これはほぼYahoo!の月間のアクティブIDとほぼイコールなぐらいですね。重なりが100パーセントとは言いませんけど、ほぼイコールなぐらいまでに伸ばすことができています。
「Yahoo!ウォレット」取扱高
当然、ウォレット経由の取扱高も伸びていて。1年前と比べると、35.4パーセントの取扱高の増加を達成することができました。
以上が、基盤事業と先行投資事業の今四半期のサマリーであります。
ちょうどこの第3四半期というのは、eコマース革命を始めてから3年、3年1区切りでいうと第1楽章というか第1段落を終わったという区切りですので、少し振り返りをしてみたいと思います。
「Yahoo!ショッピング」戦略
まず最初にやったことは、Yahoo!ショッピングは当時、ほかのeコマースサイトが2桁成長を続けるなかで、ヤフーだけがマイナス成長と。これをなんとかしないといけないというところから始まりました。
一番最初に「初手、何からやろうか?」という議論を散々やったなかで、やはり「売る人の数を増やしていこう」と。
そして「商品の数を増やそう」ということから着目して、とにかく「Yahoo!ショッピングだったら、タダで売ることができる」ということを、大きく戦略の変更をしました。
この何度もお見せしているこのエコシステムの図でいうと、みなさまから見て一番左側の「ストア数を増やす」ということを一番最初によろうということで、とにかく全部タダというのをやりました。
その結果、ストアの数が3年で約16倍になり……。
商品数が、その結果、日本で一番ぐらいになって……。
買う人の数もどんどん増えてきて。取扱高も伸びて……。
広告出稿も伸びたということで、この3年間かけてようやく1つのサイクルを回すことができたかなと思います。
eコマース戦略3年間の振り返り
ちょうど3年前くらいの決算発表のときには、ストア数の増加とか、商品数の増加のところだけが赤くなっていて、残りはまだネズミ色の色にしていて、今から起こします! ということを言っていたんですけど。
ちょっとずつ、ネズミ色が減って、赤色が増えてきて、3年がかりで、一応全部赤になったということで、1周目はかなり回せたかなぁと思います。これから、1つずつ、広告についての軌跡をご紹介したいと思います。
まず、ストア数は、2,9万から48万店ということで、16倍に増えました。
ストア数が増えた結果、商品数も、3年で、8000万が2,5億ということで、3倍に伸ばすことができました。
商品数が増えてくれば、当然、ヤフーのトラフィックを使って、お客さんを流していっても、コンバージョンが上がりますし、そしてなによりも、プレミアム会員ならポイント5倍という、この特定会員に対して協力な販促をかけるという秘策を生み出したことが大きくヒットして、事業の取扱高もどんどん伸びて、2倍に伸ばすことができました。
そして、最終的に、2倍取扱高が伸びて、流通総額が2倍伸びて、広告売上は5倍伸びたということです。タダにしても、ちゃんと広告で儲かりますということを、3年間かけて証明できたのではないかと思います。
この3年間の振り返りで見れば、eコマース戦略の第1段階は、非常にうまくいったのではないかと思っています。
日本の小売市場におけるEC化率
ただ、しかしですね、ここで手をゆるめるというのは、まだまだ早いかなと思っていまして、やはり、日本の小売市場におけるeコマースの比率は、まだたったの5パーセントと。
これが何パーセントくらいいくのかは、まだわかりませんけども、やっぱり10パーセントとかね。2桁くらいはいったっておかしくないと思っていますので、まだeコマース市場というのは、始まったばかりじゃないかというふうに、我々自身、思っています。
インターネットのビジネスというのは、いつも、市場が一気に伸びるタイミングというのは、利益とかを追うよりも、なによりも大事なことは、市場シェアを取ると。"Winner takes it all"がいつも効いてきたビジネスで、ヤフーもこれまでそのパターンで伸ばしてきたわけですから、このeコマースの市場もまだまだ"Winner takes it all"のWinnerになることが大事だということで。まだまだ、しっかり攻撃的にやっていきたいと思います。
eコマース市場拡大に向けた独自施策
eコマースの市場拡大に向けたいくつかの方針であります。
ややもすると、「販促活動をボンボン使いまくって伸ばすの?」というようなことを心配されることも、たにあるわけですけど。決してそうではなくて、やはり、自らの売り場の足腰を強くして伸ばしていくということが大前提だと思います。
まずやるべきことは、国内で1番多い品数を、もっと多くすると。どれくらい多くするかと言うと、ないものがないくらい多くするというくらい、多くしたいと思います。
そして、2つ目は、新規購入、買う人を増やすと。これまでの3年間、EC革命の第1段階というのは、売る人を増やすのをどんどんやっていましたけれども、いよいよこれから買う人も増やそうというのをやります。
やはり、プレミアム会員という特定セグメントに対しての販促が効くというのがわかりましたので、プレミアム会員でまだECやってない人がたくさんいるのを、もっとやってねというのをやるのに加えて、新たに、ソフトバンクモバイルのお客様とかYモバイルのお客様というセグメントに対して、いよいよポイントキャンペーンが始まりました。
ソフトバンクモバイルのお客様だったら、いつ買っても10倍、しかもプレミアム会員だったらプラス4の14倍、さらに5のつく日に買うと18倍、ワイジェイカードで19倍、ということで。大体の方が、約20倍で2.5億品の買い物ができちゃうという勝負を、今やっておりますので。こういうことを、グループの力も使いながら、特定セグメントに対して、販促をかけていきたいと思います。
3つ目は、新規購入者を増やすもう1つの策は、やはりヤフーの中に、まだまだショッピングやオークション、トラベルを楽しんでらっしゃらない方がたくさんいらっしゃいます。ヤフーの事業で言うと、一番多いセグメントは、メディアのサービスだけ使っている人です。
なので、こういう人たちに、「ヤフーショッピングどうですか?」「ヤフーオークションどうですか?」「ヤフートラベルもどうですか?」といったプロモーションですね。これまでもやってきましたけど、もっともっとパーソナライゼーションしたり、CRMなんかもうまく使いながら、じょうずにやっていくというのを、これからもやりたいと思います。
そして、4つ目は、ビッグデータをもっと活用しようと思います。やはり、これからコンバージョンレートを上げていくことをやるにおいては、レートを上げるためには、パーソナライゼーションのほうをもっと強化しないといけない。
パーソナライゼーションというのは、データの力でやるわけですから、もっともっと、我々が持っているデータを活かしたパーソナライゼーションができるようにしていきたいと思います。
さらに、新規の利用者だけでなくリピートしてね。長い目で見て、常連のお客さまになっていただくことが、やっぱりコマースにおいては大事だと思いますので、常連のお客様を作る。どうやったら一見さんが常連さんになるんだろうか? ということをもうちょっと深く理解していきたいと思います。
こういった活動、これまでもやってきましたけど、引き続き緩めることなく、しっかりこの4つの軸についてはやっていこうと。
そして、こういうのがあるからこそ、販売促進活動をやっても数字がちゃんと伸びると。そして、今期みたいに販促費をちょっと絞っても、別に流通がマイナスになったりすることなくちゃんと伸びていくというふうになっていると思います。
「Yahoo!ショッピング」購入者数
Yahoo!ショッピングの購入者数でありますが、新規だけをどんどん増やしていて、ポイントキャンペーン終わったらユーザーがいなくなってるとか、そういうことは決してなくて。一度Yahoo!ショッピングを使ったお客さまが、既存購入者としてどんどん積み上がっている状態が作れています。
このグラフの薄いグレイとか薄いピンク色のほうが既存購入者のほうの比率になりますが。新規ももちろん増えていますけど、ちゃんと買ってくれた人が翌四半期に既存として残って、非常に健全に伸びているのがわかると思います。
「Yahoo!ショッピング」取扱高
Yahoo!ショッピングの取扱高を、プレミアム会員かそうじゃないかで見ると、3年前は42パーセントの流通総額がプレミアム会員からのものでしたが、今では約1.5倍の62パーセントの比率がプレミアム会員から生まれています。なので、特定セグメントに対する施策というのは非常に効いてるのが、よく見てとれると思います。
ただ、人数ベースでみると、プレミアム会員なんだけど、まだYahoo!ショッピングを買ったことある人という比率はまだまだ少ないです。
人数でいけばまだまだ膨大に伸ばす余地があると思っていますので、プレミアム会員にYahoo!ショッピングを体験してもらうということは、これからもいろんな方法を工夫してみたいと思います。
「Yahoo!プレミアム」会員
もう1つ起きている現象としては、Yahoo!ショッピングにプレミアム会員じゃない人もたくさん来るわけですね。そのプレミアム会員じゃない人がYahoo!ショッピングで買うときに、「そんなにポイント貯まるんだったら、これを機会にプレミアム会員になろう」ということで、ショッピングからプレミアム会員になるという方が非常に増えています。
これは、3年前と比べると約50倍、ショッピングからプレミアム会員になるようになっています。
これまではプレミアム会員というのは、オークションやるためにプレミアム会員になるというのがほとんどだったんですけど、それに加えて、ショッピングをやるからプレミアム会員なると。1トップだったもの2トップになるということで、この3年間でプレミアム会員の伸ばし方も非常に多様性が出てきたなと思います。
つまり、先行投資事業としてショッピングどんどん伸ばしているわけですけど、その先行投資事業の結果、プレミアム会員という基幹事業のほうも相乗効果が生まれ始めているというのは非常に心強いことではないかと思います。
自社サービスにおける相互送客の強化
今後でありますけど、自社サービスにおける相互送客の強化というのは、当然やっていきたいと思っております。
ヤフーはメディアサービスだけ使っている人が引き続き圧倒的に多いです。こういった4つほど今この箱がありますよね。このカードのところが実はウォレットとかも含めた人たちなんですけど。
この4つの箱でいうと、メディアだけ使っているような、1個しか使わない人というのを、僕たちは「ユーザー」と定義をしています。そして、2つ使っている人を「カスタマー」という言い方をしています。そして、3つか4つ使ってくださってる方を「ファン」というふうな呼び方をしています。
Yahoo! JAPANというのは、このメディアだけ使ってるユーザーの方が一番多いお客さまのセグメントになります。なので、このメディアだけ使ってるお客さまに「プレミアム会員になりませんか?」という、この月額定額サービスを提案したりとか、「eコマースもどうですか?」というかたちでカスタマーにしていって。
最終的には、あわせて「カードも申し込もう」とか「ウォレットも使い始めよう」といって、「ユーザーをカスタマーに。カスタマーをファンにしていこう」というようなことをこれからもやりたいと思います。
とくにユーザーとカスタマー、カスタマーとファンでは、1人あたりから得られる粗利が数十倍違ってきます。なので、Yahoo! JAPANというのは、現状でいうと海外に水平展開することがライセンス的には今やりませんけど、あえてそこにいかなくても、今いるユーザーベースをファンベースに切り替えることができれば、国内だけでぜんぜん伸ばせんじゃんという手応えを今は持っています。
マルチ・ビッグデータの横断的な活用
とくにこのログインユーザーをどんどん増やしていますので、最終的には、このログインに紐付いた、IDに紐付いた顧客データをもっともっとためていきたいと思います。
私自身は、日本で、世界で、一番日本にいらっしゃる方のことを知ってる会社になりたいと思っております。だから、メディアサービスでも一番になりたいし、eコマースでも一番になりたいし、フィンテックの分野でも一番になりたいと思っています。
この3つの事業領域でそれぞれ一番になるということは、それぞれの領域から収益あがりますけど、それに加えて、3つの領域で一番だからこそ、トータルで見ると、世界で一番日本にいらっしゃる方のことを理解できていると。
だから、我々にしかできないビッグデータ・AIを使ったパーソナライゼーション、広告のターゲティングとかコンテンツのレコメンデーションとか、eコマースのレコメンデーションとか、決済における与信とか、そういったものができる会社になりたいなと思っております。
まだまだそこにいくには道半ばでございますが、まずはそれぞれの事業セグメントでナンバー1になるということを、これからも引き続きやっていきたいと思っております。
セグメント別 売上高構成比イメージ
最終的には、今はメディア・マーケティングソリューション事業から生まれる粗利、営業利益が全体の半分以上を占めているわけですけど、このメディア・広告を伸ばしつつ、コンシューマの事業と決済の事業もナンバー1目指してがんばっていって、2020年ぐらいには、比率として見れば、メディア・広告の利益が半分ぐらいと。それ以外が半分ぐらいな、こういうバランスのある感じにしていきたいなと。
これはイコール、それだけバランスの取れたデータを集めることができる会社になりますので、こういった構造になるようにやっていきたいと思います。
以上、ご説明申し上げました。ありがとうございました。