2016年4-12月期決算のポイント

廣瀬直巳氏(以下、廣瀬):廣瀬でございます。夕方の遅い時間にお集まりいただきありがとうございます。毎度のことですが電力各社の決算発表の最後、遅い時間になって申し訳ございません。よろしくお願いいたします。

本日は2016年度第3四半期決算についてご説明をさせていただきます。まずスライド1をご覧ください。

今回の決算のポイントを申し上げます。

経常収益は、燃料費調整制度などの影響により減少した一方で、燃料価格の低下に加え、割高な燃料の消費を抑制するなど、グループを挙げて継続的なコスト削減を徹底したことから、第3四半期としては4年連続の黒字を確保いたしました。

連結決算の概要

具体的な業績につきましてはスライド2をご覧ください。

売上高は前年同期と比べて13.8パーセントの減の3兆8,776億円と減収になりました。また経常利益は29.8パーセント減の3,061億円と減益になり、特別損益を加えた四半期純利益は8.9パーセント減の3,082億円と減益になりました。

スライド3には収支の前提となる諸元を記載しておりますのでご覧いただければと思います。

経常収益と経常費用の概要は、スライド4と5でご説明いたします。

なお、第2四半期同様、収益と費用の内訳に関しましては、前年同期との比較を含めて、いわゆる昔の東京電力単体にあたります、ホールディングスとPGPの4社の合計の実績でご説明いたします。

一方で収益と費用の合計につきましては、子会社連結修正を反映し、連結の業績として示してございます。

経常収益(連結)

それではまず、スライド4で経常収益についてご説明いたします。

まず2行目の電気料金収入ですけれども、3兆2,353億円と前年同期比6,511億円、16.8パーセントの減収となりました。これは表の右側の四角の吹き出しにありますとおり、第2四半期と同様、燃料費調整制度による電気料金のマイナス調整の影響で、前年同期と比べて6,390億円の減収となったことが主な要因でございます。

この電気料の収入に、再エネ特措法交付金が約半分を占めます、6行目のその他収入1,503億円を加えて、8行目の子会社連結修正1,355億円を反映した結果、経常収益は、前年比6,263億円、13.8パーセント減の3兆9,252億円となりました。

経常費用(連結)

次に経常費用についてご説明いたします。スライド5をご覧ください。

再エネ特措法に基づく交付金が増えたことで、9行目のその他費用が増加したことを除きまして、引き続きグループを挙げてコスト削減に努めた結果、すべての費用項目が減少いたしております。今回は、そのうち最も減少幅の大きい、2行目の燃料費についてご説明いたします。

今期の燃料費は、燃料価格の大幅な低下により前年同期と比べて4,560億円、36.6パーセント減少し、7,882億円となりました。

燃料費が大幅に減少した要因としましては、主なものに、スライドの3の下段にありますとおり、前年同期と比べて為替レートが約15円円高、大体121~122円だったところが、106円60銭くらいに平均で円高になったこと、これによって約910億円改善しております。

それに加えて原油価格が約10ドル、これは54.6ドルから44.9ドル/(パー)バレルですけれども、それからLNG価格が約14ドル、52.6ドルから38.6ドル/バレルに低下したこと、これらによって2,950億円下がっておりますので、こうしたこと(が原因です)。

さらに高効率火力のプラントの運転開始があったり、優先的にこうした高効率の火力を稼働させてことによりまして、火力全体の熱効率を0.9パーセント向上させました。

これによって発電原価/発電単価を下げることができたこと、こうしたことが要因として挙げられます。これにより、燃料費は過去10年間にわたり最も低い水準となっております。

これらに子会社連結修正の994億円を反映した経常費用は、前年同期比4,962億円、12.1パーセント減の、3兆6,191億円となりました。

以上、経常収支のポイントを改めて申し上げますと、収益面では燃料費調整制度によるマイナス調整の影響により、電気料金収入が減少した一方で、費用面では原油価格はLNG価格の低下により、燃料費が大幅に減少、継続的なコスト削減の徹底により、経常収益は3,061億円と4年連続で黒字を確保することができております。

特別損益(連結)

次に、特別損益についてご説明いたします。スライド6をご覧ください。

特別利益は、昨年12月に原子力損害賠償支援機構に資金援助を申請したことに伴いまして、資金交付金2,942億円を計上いたしました。

また昨年7月にJERAに事業承継をしたことに伴う持分変動利益として第2四半期と同額の364億円を計上したこと、これら2つによって、3,306億円となりました。

一方特別損失には原子力損害賠償費として3,012億円を計上しておりまして、その結果として、四半期の純利益としては前年同期と比べて、300億円減少し、3,082億円となっております。

連結財政状態

連結の財政状況につきましては、スライド7をご覧ください。

第3四半期末の自己資本比率としては、ほかの原子力事業者さんと同様ですけれども、使用済み燃料再処理と積立金を、新しくできました再処理機構に拠出しまして、全体として資産が減少したことに加えまして、四半期の純利益の計上により、純資産が増加したことつまり分母が減って、分子が増えてますので、前年度末より4.1ポイント改善して、自己資本比率は20.2パーセントとなりました。

連結の自己資本比率が20パーセントを超えるのは2006年度末の22.4パーセント以来、ほぼ10年ぶりのことでございます。

2017年3月期業績予想

最後に今年度の通期の業績についてご説明いたします。スライド8をご覧ください。

売上高は燃料費調整制度によるマイナス調整の影響によりまして、電気料金収入が減少し、前年度比7,250億円の5兆3,440億円程度と見込んでおります。

一方で、経常利益は燃料価格の低下に加え、継続的なコスト削減の徹底によりまして2,910億円程度になると見込んでおります。

ただ注釈の下に小さい字で書いてありますように、業績予想については特別負担金を引いておりません。ですので、2,910億円から特別負担金を支払って、その残りが経常利益となります。これをご承知置きください。

ご存知のように、特別負担金の金額については、今後、現場機構運営委員会による議決、主務大臣の認可を経て決定されるということでございます。

なお、当期純利益の見通しにつきましては、特別損失に経常される原子力損害賠償費などが、今後、風評被害や営業損害などで、ちょっと正確な数字を見通すことができないということから、未定として発表させていただいておりません。ご承知置きいただきたいと思います。

さてみなさん、ご案内のとおり、昨年の秋に、通称東電委員会が開催され、有識者のみなさんに精力的に東京電力の抱えるさまざまな問題について議論をいただきました。

私もオブザーバーとして参加させていただきまして、福島の責任をしっかり果たしていくために、必要とされる資金をどうやって稼いでいくのかということで、継続的にコストダウンを徹底して進めること。さらに売上をなんとか向上させること。さらには、ステップバイステップで原子力事業や送配電事業の再編・統合を目指し、それによって海外にも出て行こうという方向性で、私のほうから委員会でお示しをさせていただきました。

結果として、それらが最後の提言にも盛り込んでいただいております。今後はこの提言をしっかり具体化させるべく、アクションプランに落とし込んで、それを進めていくということを今、進めているところでございます。

そうした中、まさに現下の課題として掲げております、2016年度中の公募社債市場への復帰を目指すということ。さらに柏崎6、7号の審査にしっかり対応していくこと。さらにジェラのステップ3に向けて、基本合意をしていくこと。

また、今年度末に予定されております経営評価に対してもしっかり対応していくこと。また、4月からはガスの自由化が始まりますので、そこに向けてしっかりと対応して、我々としてもガス・電気両方とも競争に勝っていくことなど、非常にたくさんの課題が本当に目白押しでございます。

もうちょっと恒常的なこととしては、しっかり改善活動を進めて、コストダウンあるいは効率化をずっと進めていくこと、イノベーション等々を積極的に果たしていくことなどをこれからもずっと続けていかなければいけないと思っております。

そうした中で、東京電力の使命は、福島の責任をしっかり果たしていくんだと。改めて社員全員がこのことを心に刻んで、しっかりとした対応をやっていかなければいけないと思っております。

長期にわたる取り組みですので、社員がしっかりこれを意識して、全社、社員一丸となって取り組んでいくことが必要だと思っておりますので、私も微力ながら、また引き続いて、がんばってリードしていきたいと思っております。私からは以上でございます。ありがとうございました。