利益の源泉となる4つの選択肢

中原良太氏(以下、中原):ここまでお話をすると、そろそろ「利益の源泉とは何なのか?」と気になってきたかと思います。ではさっそく、その利益の源泉が何なのかというのを考えていきましょう。

ここに4つの選択肢があります。トップに「利益の源泉はどれだろう?」という質問があって、青い文字で4つの単語が書かれています。

1つ目が情報、2つ目が企業分析、3つ目がスピード、4つ目が投資家分析。この4つのポイントですね。

情報とは何かというと、インターネットで見るニュースであるとか、紙媒体であれば新聞とか、テレビのニュースとか、あるいは雑誌とか。「新しい情報を手に入れるのが大事だ」という考え方です。

2つ目は企業分析です。業績とかその会社が持つブランド価値とかですね。テレビで放送された履歴であるとか、ニュースリリースとかプレスリリースとかもそうですね。「広告、広報も分析の1つだ」という考え方です。

3つ目がスピードです。今すごい流行ってる投資法として、高頻度取引、超高速取引という投資テクニックや取引手法が有名です。

例えば、「情報を見てから実際に取引するまでの時間をグッと短くするのが大事だ」とか、「約定速度を生かした取引をするのが大事だ」とか、もう本当に0.01秒とか、ミリ秒単位、マイクロ秒単位で取引時間をグッと短くして、「この約定速度で利益を生み出していく」という考え方です。

4つ目が投資家分析です。そもそも投資家分析とは何かというと、「投資家ってどういう考え方をするんだろうか?」とか、「投資家の心理にはどういうメカニズムが働いているのか?」とか、「投資家はこういう考え方をしているから、将来こういうふうに動くだろう」と考える力とか。

もっと具体的な例であれば、世間一般で見られているチャートを分析して、「このとき投資家は何を考えていたのか?」「こういうチャートをしているから、投資家はこう考えているはずだ」と読み取る力。

これらの4つの選択肢があります。

一番大事な利益の源泉とは何か

1つ質問があるんですが、この4つの選択肢の中で、一番大事な利益の源泉は何だと思いますか? それを考えていただきたいと思います。

ちなみに、「この利益の源はどれだろう?」と考えたときに、4つの中に正解は2つしかありません。

片方は、株式投資、長期投資をするときに必要な考え方です。もう1つは、短期投資、トレードをするときに必要な考え方です。利益の源泉はこの2つの場合に、それぞれ1つずつしかないんです。

それ以外の2つの選択肢は、確かに利益の源泉としては正しいものなんですけれども、本当に源泉と言えるものではないです。

なにか二次的、三次的に生まれてきたものなんですね。本当に一番大事なものではないということになっています。

この利益の源泉、4つ選択肢を挙げましたが、実際に大事なのは2つしかありません。それで、今回お話しするのは、その中でも大事な1つを挙げていきます。

1つ目が企業分析。この企業分析をする意図は、会社の配当金であるとか、株主優待を受け取るために必要な分析です。つまり、長期投資に必要な分析ですね。企業分析とは、そういうものを受け取るために必要な利益の源泉です。

配当金や株式優待を心の底から受け取りたいと思ったときには、企業分析は必要不可欠です。

この企業分析なしでは、配当あるいは株主優待を効果的に受け取ることはできない。取りこぼしがあるかもしれないですし、株を買ったのにその後に配当が出なくなってしまうとか、そういったトラブルが考えられます。

ということで、この配当金あるいは株主優待を受け取るためには、企業分析が非常に重要だと考えています。

一方で、配当あるいは株主優待以外の利益を出すために、必ず必要なものは、この画面で残っている一番下の選択肢、投資家分析です。

自分が買った後に株価が上がる、自分が売った後に株価が下がる。そこで得られた売買差益、キャピタルゲインを求めるのであれば、この投資家分析は絶対に必要不可欠な存在です。

企業分析、投資家分析から見えるもの

企業分析と投資家分析の2つが必要な理由は、すごく単純明快です。なぜこの2つが必要なのかというと、この利益を出してくれる主語を分析するのが一番大事なポイントなんですね。

例えば、配当とか株主優待を分析するには、企業分析が必要です。なぜか? それは、配当や株主優待をくれるのは、その会社だけだからなんですね。

株主優待は株主からもらえるものじゃないですよね。ニュースからもらえるものでもないですよね。あるいは、スピードからもらえるものでもないですよね。

株主優待をもらえる唯一の理由は、投資先の会社がいい会社である、これが絶対条件。株主優待や配当金を支払ってくれるのは、会社しかありえないんですね。なので、その会社について徹底的に知ることが一番大事なポイントになってくるわけです。

その一方で、値上がり益とか値下がり益、株価が上がったときに得られる利益、株価が下がったときに得られる利益というのは空売りをしたときに得られる利益を、もしあなたが利益として出したいのであれば、一番大事なのは投資家の分析になります。

なぜならば、株価を上げたり下げたり、実際に「株を買おう」と決めたり、「株を売ろう」と決めるのは、投資家だからです。この売買差益はすべて、投資家の財布からいただいていることになります。

ですので、投資家についての理解を深めなければ、絶対に売買差益は得られるようになりません。なので、そのために重要なのは、心理学であるとかチャートの分析能力。この2つが非常に大事になってくるわけです。

配当金や株主優待を得るために必要なのは、企業分析です。その一方で、売買差益、キャピタルゲインを利益として確保したい、着実に利益を出したいと考えているのであれば、そもそも株価を動かしている投資家たちについて理解しなければいけない。

どんなに企業が成長しても、投資家たちが株を買って株価が上がらなければ、売買差益は絶対に得られないんですね。

なので、分析すべきはニュースの情報でもないですし、企業分析でもないですし、スピードでもないんです。

一番大事なのは、投資家たちが本当に株価を上げてくれるのか、それとも株価を下げてくれるのか。投資家たちの動きを読み取れる、投資家たちの行動を先読みできる、投資家たちの心の中を理解するというのが一番大事なポイントなんです。