投資家が“塩漬け”の悪循環に陥る4つのステップ

中原良太氏:ではここで、塩漬けしてしまう理由がわかったところで、こういう人たちがどのようなステップで塩漬けに陥ってしまうのかという、4ステップをまとめました。

まずどんな投資家の方もそうなんですけど、最初は「この株は上がるはずだ」と思って株を買います。

この時点で、自分は自信満々なんですよ。もう上がることしか考えてなくて、下がった時の対処法なんて考えてないと。

そういう状況の後に、思ってたとおりに行けば、グイグイグイグイ株価が上がって大儲けするはずだったのに、ドーンと落ちてしまったと。「あれ? これおかしいぞ」「自分はもっと儲けるはずだったのに、いつの間にか損をしてるじゃないか」となってしまって戸惑うんですね。

それで戸惑ってる時に、「でも自分が持ってるこの株は、いつか戻るはずだ」と信じて信じて信じて……信じてる間にまた株価が下がってしまって、例えば、20パーセント、30パーセント損をしてしまうと。

ひどい場合、1,000万持ってる方だと、200万とか300万とか損をしてしまって、もうどうしようもなくなってしまう。

ただ、損をしたことを認めたくないから、ただただその株を持ち続けるしかないということになってしまうわけです。

これはすごいストレスが溜まりますよね。私もそういう、1,000万ほどの大きな資金ではないんですけれど、まあ数百万程度なら損をしたことがあるので、そういうことが起こると、現実を認めたくなくなってくると。

こういう心理状況になってしまうと非常に危険でして、現実を見たくないから無視するんですね。それで無視してる間に、どんどんどんどん損が膨らんでいくと。

このような悪循環に陥ってしまうので、そもそも塩漬けしないということが大事になってきます。

成功した投資家が説く、損切りの重要性

塩漬けをしないためには、鉄則が2ステップあるんですね。

まず、「損切りルールを設定しましょう」というのが塩漬けをしないための1つ目の鉄則です。

成功した投資家は全員、「損切りが重要だ」と言います。なぜなら、実体験で負けを小さくすることの大切さを知っているからです。

これは当たり前のようで、なかなか実践できないことなんですけれど、普通の投資家の方というのは、利益にフォーカスします。

利益を出すためにとにかく株を探しましょうとか、利益を出すためのプランを立てるということをするんですけども、損しないためのプランというのは、なかなか立てないんですね。

それで利益、利益、利益、利益……と盲目的に突っ走っている間に、気づけば損が大変なことになってるということって往々にしてありますので、損切りをして、この損の部分を小さく抑えるということも非常に重要なので、きちんと計画をする必要があります。その時に大事になるのが、損切りですと。

損切りのルールを作った後には、自分で作った損切りのルールをとにかく守ってください。これは「守らなかったら、一生成功できない」と思うぐらいの気概でやってください。

なぜかというと、成功してる投資家は全員、「損切りが大事だ」と言ってるんですよ。

成功してる人はみんな、「損切りが大事です」と考えています。成功のためのエッセンスが損切りに詰まってるんですよね。

それを無視するということは、成功の秘訣を無視する、まあ「失敗したい」と言ってるのと同じことになりますので、ルールを無視するのは「負けたい」という意思表示になると思っています。ですので、きちんと損切りのルールを作った後には、そのルールを徹底すると。

ただ、損切りのルールを作ればいいかというとそうじゃなくて、きちんと根拠のある損切りの設定というのは必要ですが、損切りのルールをきちんと、根拠のあるルールを作って、それを守り抜く。こちらの2つのステップが、非常に大事になってくると考えています。

塩漬けを放置することのデメリット

もし塩漬けをしてしまうと、どのようなデメリットがあるかというと、塩漬けをやめられないと、今持っている株、ただなんの意味もなく株を持っているわけなんですけれども。この株を持っているだけで、ほかの株いい株がなにも買えなくなってしまうんですね。

この株を持っているということで、チャンスを逃してしまうというのが、まず1つ目のデメリットです。

2つ目が、含み損、この株というのは、証券口座を開けば毎日のように数字が見えますよね。そのたびに、例えばマイナス100万円とかいう、途方もなく大きな数字が見えるということで、その含み損を見るたびにイライラするというデメリットがあります。

さらに、毎日毎日そんな数字を見ていると、「自分はなんて下手くそなんだ」と落ち込んじゃう方もけっこう多いと聞いています。

実際に、塩漬けしてしまってノイローゼになってしまう方もいらっしゃるので、精神衛生上非常によろしくないことでもあるんですね。

ですので、できるだけ塩漬けを避ける、塩漬けにならないように予防する。それで、塩漬けになってしまったらなってしまったで、その後でもいいので、きちんと損切りする。この2つが非常に重要になってくると考えています。

予防法1.安値更新中の株を買わない

では、この塩漬けを予防するために何をすればいいのか。5つのポイントがあります。

まず1つ目が、安値更新中の株を買わない。どういうことかというと、一番初めに「逆張り投資の攻略法」をご紹介したかと思うんですけれど、そこでアンカリング効果という心理効果をご紹介したかと思います。

これはどういう効果かというと、目安になる底のような株価がない時に株を買ってしまうと、その後、ズイズイズイズイ下がってしまう、まあ底なし沼みたいな状態になってしまう傾向があるんですね。

ですので、こういった安値更新中の株を買ってしまうと、まさに塩漬けになりやすい株なので、こういった株にはできるだけ手を出さないようにする。あるいは、手を出すんだったら、徹底的にリスク管理、できるだけ小さな株数に留めるといったところできちんと対策を取る必要があります。

予防法2.流行の株に飛びつかない

予防法の2つ目が、流行に飛びつかない。例えば、今の時期だったら、今年からマイナンバーが施行されるとか、インバウンド関係の株が最近上がっていたりとか、ドローン関係とか、医療ロボットとか、あとは民泊関連とか。

いろいろな関連株が急騰してるかと思うんですが、こういう流行りものに飛びついてしまうと、高値づかみになることが非常に多いんですね。こういう株を買ってしまうと、塩漬けに陥りやすいというリスクがあります。

ですので、流行中の株、流行り廃りがあるような株にはできるだけ飛びつかないようにするというのが大事だと考えられています。

予防法3.急騰している株に手を出さない

予防法3つ目は、流行している株と同じようなポイントなんですけど、株価がグイグイグイグイ上がりすぎているものも買ってしまうと、すぐに損してしまうと考えられます。

例としては、1ヶ月で株価が2倍になっているようなもの、急騰しているような株は統計的にも売りに優勢だというふうに検証結果からわかっていると思います。

記憶が曖昧で恐縮なんですけど、それぐらい急上昇した株は、その後、急落しやすいとか。

まあ、上がりすぎた株を買ってしまうと、統計的にも損しやすいということがわかっていますので、こういう株はできるだけ手を出さないようにするのが懸命だと考えています。以上が3つ目。

予防法4.過去の業績を過信しない

4つ目は、過去の業績を過信しない。株価って、過去の業績に基づいて動いたり、将来の業績に基づいて動いたりするじゃないですか。

これらの過去のレポートや企業が発表した決算内容をあまり過信しすぎないほうがいいと思います。

予想はあくまで予想でしかありませんし、どのような状況に陥るかなんて、なってみなければわからないところがあります。ですので、信じすぎてしまうと、いざ予想と違う結果が出た時に、すぐに対処できなくなってしまうんですね。

それこそ、下方修正してズドーンって株価が落ちた時に、パニックになっちゃうんですよ、「どうしよう、どうしよう……」とテンパってしまって、結局何もできずに塩漬け銘柄のできあがりみたいな。

ということもありうるので、過去の業績を過信したりせずに、今後どのような状況になっても、「こうなったらこういうふうに動く」という防災訓練のようなものをしておくと非常に有効だと考えています。

予防法5.株を買いすぎない

それで、最後のポイント、非常に重要なんですが、株を買いすぎないということがとても大事になってきます。

そもそも塩漬けがなぜ起こるのかというと、「こんな大きな損は認められない」と考えるところが発端だと考えています。

「こんな大きな損、許されないだろう」と思ってしまうのならば、そんな大きな損をしないように、株数ちょっとだけに留めておけばいいじゃないかと。

それで、「これぐらいの損だったら、すぐに切ってもいいよね」と思えるような株数だけ買うということをすると塩漬けしづらくなるかと思います。

ですので、株を買いすぎないというのも、塩漬けの予防法としては非常に大切なポイントだと思います。

以上が、塩漬けの予防法の5選ということで、5つのポイントをご紹介しました。

本日のまとめ

最後にまとめに移ります。

まず今回のまとめ、投資家にとっての失敗というのは、全部で2種類あります。1つ目が利益を取り逃してしまうということが失敗ですよね。それでもう1つが、損を抱えて塩漬けしてしまう、こちらも失敗ですよね。

前者の利益を取り逃がしてしまうことというのは、まあ許される失敗として考えられていますが、2つ目の損を抱えて塩漬けしてしまうこと、こちらは許されざる失敗だと考えています。

なぜかというと、塩漬けをすると資金効率が著しく低下します。つまり、株を持ち続けているだけで何もしないと。

そこら中にチャンスがあるにも関わらず、それを全部無視してどうでもいい株を持ち続けてしまう。

これはとても効率が悪いし、見てると気分が悪くなってくるじゃないですか。というので、自己嫌悪に陥りやすいということで、徹底的に避ける必要があります。

ですので、塩漬けの予防が非常に大事です。まあインフルエンザでいうと、ワクチンを打つとか、そういう予防をするのが非常に大事になってきます。

なってしまった後でも使えるテクニックとしては、とくに損切りが非常に有効なテクニックだと考えられますので、塩漬けしてしまった方、塩漬けになりたくないという方は、この損切りをきちんと徹底するようにしましょう。

ということで、本日の「なぜ、投資家は塩漬けをやめられないのか?」というこちらのテーマについては、以上でまとめとさせていただきます。