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「お金のデザイン」とはどんな会社か?

北澤直氏:改めまして、今日はお忙しいなか、足を運んでいただきまして、どうもありがとうございます。株式会社お金のデザイン取締役COOの北澤です。よろしくお願いします。

私からは、会社や事業内容等についてご説明させていただこうと思います。

私は、FinTechというこの事業ドメインにおいては、どちらかというと、ファイナンスの分野に入る人間かなと思っています。もともとは、6年間ほど、日本とアメリカで弁護士として仕事をしたあとに、モルガン・スタンレー証券、現・三菱UFJモルガン・スタンレー証券で弁護士から宗旨替えをして、投資銀行員として6年間在籍をしていました。

2014年に、弊社のファウンダーである谷家(衛)や、社長の廣瀬(朋由)から、「お金じゃなくて、社会のためになる事業をしながら、どんどん事業を大きくして会社を成功させたい」という思いを受けて、私も参画して早2年になる、そんな状況でございます。

お金のデザインのこれまでの歩み

次に、弊社の歩みに関しまして、少しご説明させてください。2013年に設立しています。その後、2014年11月に、まず我々のロボアドバイザーというサービスを提供する上で、重要なライセンスの1つ、投資運用業および投資助言・代理業の登録を行いました。そのライセンスに基づいて、まず、日本初のETF特化型投資一任サービスをスタートしています。

これをもって、ロボアドバイザーではあるんですけれど、2014年11月の時点では、どちらかというと、我々は、マーケットの動きや、日本においてロボアドバイザーがどのくらい許容されるのかというところの検証も含めてということでリリースをしましたので、招待制というかたちで、このサービスは展開をしています。

そして、2015年12月、もう1つ重要なライセンスを取得しました。これが、第一種金融商品取引業者の登録です。平易な言葉で申し上げますと、証券会社のライセンスになります。これを取ることによって、我々に証券口座を開いて、お客様から直接お金をお預け入れいただくことが可能になります。

同時に、追加で15億円ほど増資をいたしまして、今、私どもの資本金は18億円くらいになっています。こういった資本の増強、それに伴って、梶田から説明させていただいたような、さまざまなテクノロジーであったり、ファイナンスのバックグラウンドを持った仲間の合流、加えて、2つの重要なライセンスを完備しまして、満を持して、2016年2月16日に「THEO(テオ)」という名前で、ロボアドバイザーのサービスをリリースしたという経緯があります。

主にアカデミア、事業系のVCが出資

今までご出資していただいている会社様のご説明なんですけれど、この左側が、シードラウンドと呼ばせていただきましょうか。2014年の段階で参画していただいた投資家様なんですけれど、例えば、UTEC、東京大学エッジキャピタルであったり、みやこキャピタル、これは京都大学のベンチャーキャピタルです。

我々は、高度な金融工学をいかにテクノロジーの力で一般の方々にご提供できるサービスに作り上げるか。これをミッションとして考えていますので、そういった意味で、産学連携的な要素、特に京都大学にて加藤康之教授が教鞭を振るっているという関係からも、東大・京大といったアカデミア系のベンチャーキャピタルからのご出資をいただいています。

そして、先ほど申し上げました2015年12月のラウンドでは、例えば、グロービスさんだったり、YJキャピタルさんだったり、そういったVCではあるんだけれど、スタートアップとかインターネット事業に非常に強みのあるVCさん。

加えまして、例えば、伊藤忠商事様、GMO様、あとはFinTech企業であるマネーフォワード様、電通デジタルホールディング様という、事業会社なんだけれども、我々がFinTech、ロボアドバイザーサービスというのを作り上げていくために、常に助けになってくださるような、お金だけではなく、我々が本来やりたいことに力になってくださる同志・仲間という観点からご出資をいただいた経緯があります。

THEOをサービスとして確立したい

みなさま方でもしかすると、FinTech、金融企業、資産運用会社なのに、いわゆる金融機関からのご出資がないのではないかと思われる方もいらっしゃるかもしれません。たしかに、この1年2年くらいのFinTechブームというのは、我々も目の当たりにしているところです。そういった経緯から、さまざまな金融機関の方々からも、この時期にお声がけいただいたこともあります。

さはさりながら、私ども、このラウンドでは、まずは特定の金融機関の色を付けることなく、事業会社の方々を中心にご出資をいただいたという経緯があります。そこにありますのは、やはり、我々は、THEO、これを確立したいと。これを独自にサービスとして確立して展開したあとに、事業提携等もしっかりと行っていく。そういったことを考えている次第です。

のちほど、事業提携の話もご案内させていただければと思うんですけれど、そのなかでは、既存の金融機関の方々とご一緒させていただくことで、このロボアドバイザーというサービスを、我々のチャネルのみならず、我々が訴求できないような顧客層、ユーザーの方々にも届けるような、そういう施策も今後どんどん打っていきたいと思っています。

アメリカでは一般的になった「ロボアドバイザー」

先ほど、金融機関との協業というところもありましたけれども、みなさま方にとっては、釈迦に説法かもしれませんが、ロボアドバイザー、平たく言うと「Web型完全オンライン資産運用」。あれ、難しくなっちゃったかな(笑)。

これはアメリカでは、サービスとして非常に確立していて、今ではスタートアップがやるとかディスラプターであるとかというものではなくて、本当に大手の金融機関が、普通にロボアドバイザーというサービスを提供している。そのくらいまで認知度が高まっている業態です。

A.T.カーニーが出している試算によると、2020年には、業界全体として2.2兆ドルくらいの資産運用残高になるのではないかと言われているような分野です。ただ、そこに至るまではだいぶ時間がかかったんですね。

ロボアドバイザーというサービス自体は、ずいぶん前からポコ、ポコと出ていますけれど、本格的に認知度を高めてきたのは、2011年ごろです。ウェルスフロントであったり、ベターメントというようなFinTechのスタートアップ企業。これが、「Webサービスとして資産運用をやろう」ということで、まったく新しい価値観としてロボアドバイザーのサービスを世に知らしめたというところから始まっています。そこからいろいろな変遷がありました。

「敵としてではなく、協業を」米国でのロボアドバイザーの動き

まず、既存の金融サービスとロボアドバイザーの協業。こういったものが見られました。例えば、フィデリティやTDアメリトレードというプラットフォームを作っているような会社とベターメントやウェルスフロントが協業して、すでにあるプラットフォームにロボアドバイザーサービスを提供することによって、既存の金融サービスプロバイダがそれを使えるようにするみたいな話が出てきたり。

その後、このあたりはみなさま方もご案内だと思いますけれど、チャールズ・シュワブ、ディスカウントブローカーですね。ここが、「運用報酬0円で、ロボアドバイザーを始めます」みたいなことを打ち出してきたのも、この数年の動きです。足元はどうなっているかというと、大手の金融機関、これが本格参入しているという状況です。

ここには、例えばバンガードであったり、メリルリンチであったり、ブラックロックであったり。最近は、モルガンスタンレーも参入する、ドイツ銀行も参入すると。広く知られた金融機関が、どんどん参入しています。

この数年間、ダボス会議などでは、FinTechというのが、いわゆるバズワードとして議論されていたのを我々も見ていますけれど、当初はJPモルガンのジェイミー・ダイモンも“Silicon Valley is coming.”みたいな感じで、ディスラプトされてしまうぞということが言われていたり。

ビル・ゲイツも言うのが、“Banking is necessary, banks are not.”。要は、銀行業務という機能は必要だけれども、はたして本当に銀行という既存の業態は必要なのか、みたいな問題を提起するようなことが、まことしやかに言われていて。

特に、FinTechという業態のなかで、いろんなことが起きるなかの改革主体として、ロボアドバイザーというのがあるのではないかというところで、既存の金融機関は、初めは自分たちの業態が侵されてしまうのではないかというところがけっこうあったんですけれど、数年間経っていて、もうこれは無視するよりは、受容しようと。

要は、敵とするよりは、自分たちも協業してしまったり、場合によっては自分たちで開発したりしていかないと業態としては保たないのではないかということで、大手の金融機関が本格参入してきた。そういう経緯があります。

日本でも急スピードで広がるロボアドバイザー

こういったことは、米国で過去5年間くらいに起きたことですね。実は、我々は、これを1年ちょっとくらいでやってしまっているという自負があります。具体的には、先ほど申し上げました2014年にETFラップの運用を開始して、「THEO」のローンチ、これは2016年2月です。

ここで、新しい価値観の創造であったり、今までまったく資産運用をしてこなかったユーザーの方々が資産運用を始めているというような、世界の改革ということを、我々は目の当たりにしています。後ほど、ご説明させてください。

加えまして、既存サービスとロボアドバイザーの協業も、実はもうすでにリリースを出しています、GMOクリック証券さんとか、FinTech企業のマネーフォワードさん。あと、だいこう証券ビジネスさん。

詳しくはまたご説明しますけれど、いわゆる既存の地方の金融機関等に非常に強い、バックオフィスのシステムを開発するような会社様なんですけども、そういった方々の協業というのを次々と発表しています。ですので、(スライドを指して)このあたりのことは、すでに終わっていますし、マネーフォワードさんも、いわゆるオンライン証券という意味でディスカウントブローカーの参入というところです。

あとは、みなさま方ご案内だと思いますけれど、大手の金融機関の方々も次々と、やはりこのロボアドバイザーサービスを提供していきたいということで、今、いろいろな試みが出てきていると思います。

定義自体がすごく曖昧といいますか、多義的なので、昔からある資産運用の診断ツールみたいなものをもってロボアドバイザーと称しているようなサービスもありますけれど、私どもが本来的に定義しています、資産運用のワンストップサービス。

診断から、ポートフォリオの提案。さらに、申し込みいただいたら、ポートフォリオをロボが代わりに買ってくる。買ってきただけではなくて、リバランスという行為を行う。先ほど梶田から説明があった、非常に重要なリバランスという行為なんですが、これも含めて全部、一気通貫してお客様に代わってロボが行う、これがロボアドバイザーサービスなんです。

資産運用に対する不信感をいかになくすか

これ(スライド)は5月にリリースを出しています、我々の今のユーザー層の状況等です。2月16日から100日経過した後に、どうなったかをお見せしています。

私ども、今回、THEOをリリースするにあたって、非常に重視したポイントは、今までの資産運用に対する不信感とか距離感。こういったものがあったのではないか、と。

ニーズがあったにも関わらず、資産運用を開始できなかった方々にいかに使っていただくか。これがある意味、「預金・貯蓄から投資へ」ともう20年言われてることで、ブレイクスルーできる要因ではないか。これをロボアドバイザーで実現したいという思いがありました。

例えば、スマホで始められます。いつでも、どこでも、資産運用の診断ができます。申し込みもできます。一気通貫で全部終わります。いつから始められるか? いつでも始められます。いつ止められるか? いつでも止められます。いくらかかるか? 10万円で始められます。

いつでもどこでも資産運用の内容は見れます。その運用報酬というのはなにか? わかりやすい1パーセント。それ以上はいただきません。

そういった、例えば、支店に赴く距離的なハードルであったり。何千万円、何百万円からの運用開始しかないという金銭的なハードルであったり。心理的なハードル、なんかちょっとよくわからない人に運用されるのは嫌だなというのには、ロボがやりますと。いろんなハードルを一気に下げて、THEOをローンチしたというところです。

10万人以上が体験 THEOユーザーの特徴は?

そういったユーザー層というのは、まずアーリーアダプター、イノベーターと呼ばれる層を中心に、どういったユーザー層から支持されるのかということを、我々のWebマーケティング部隊が主導して、そういった方々にまず訴求するようなマーケティングを行いました。

基本的には、我々の想定通りの結果が出ているということです。よい意味で想定外だったのは、無料診断体験数が、100日過ぎて7万人以上となったこと。今はもう10万人を超えています。我々が想定したよりも、かなり多くの方々が運用診断をしてくださっています。

ポイントとして2点あります。まず1点目なんですけれど、THEOユーザーの特徴です。ご覧ください。私がびっくりしているのは、70代の方々にもご利用いただいているところだったりもします(笑)。

我々、いわゆる年代、デモグラフィーでWebマーケティングは行っていません。Webで完結できて、先ほど申し上げたような一連のハードルが下がったから資産運用をしたいと思う方は、どの年代にもいらっしゃると思っています。

ただ、顕著に表れているのは、20代、30代、40代。特に20代、30代を合わせて58パーセント。

さらに、もうひとつのスライドでご説明しますが、特に30代以下を見ますと資産運用をしたことが「ほとんどない」方が半分以上です。私も金融機関に身を置いた身として、これはなかなかない数字かなと思っています。

ですので、例えば自分で投資をするために、使い勝手やコストの安さでオンライン証券を選ぶ、そういうユーザー層は今までもあったんですけれど、そうではなくて、「いまだかつて、資産運用なんかしたことないよ」と。

20代、30代で、お金と時間に余裕があるリタイア層とは違う層、こういった方々が、実は、我々のサービスの半分以上を占めているという結果になっています。これは、私個人としましても、非常に驚きというか、ここまで資産形成層と呼ばれる方々に、資産運用の潜在的ニーズがあったんだと。我々の思い、資産運用に対するハードルを下げるということで、それに呼応してサービスを始めてくださる、こういった方々が非常に多いんだということを実感しています。

まず10万円から始める、経験することの価値

あと、それ以外のポイント。また先ほどと同じスライドになりますが、「では、運用額はどうなのか?」ということです。やはり、10万円からということでハードルを下げたことによって、まずやってみようというユーザーが多いと思います。

これはとてもよいことです。なぜかというと、エントリーモデル、「まずやってみよう」というところが重要だからです。分厚い投信の目論見書などを読んで、「どうしたらいいんだろう」ではなくて、まず1回ちょっと始めてみようよ、と。

始めると、「おぉ。こんなにETFという金融商品、これを買っているんだ」「これ、勝手にやってくれているんだ」ということで、ご自身が資産運用をしている実感を経験していただいて。

そこから、いろんな経済情勢等もご自身で感度高く見たり、我々がブログやメールでいろいろなものをお知らせすることによって、資産運用に対する関心・関与をもっと高めることで、10万円から20万円、20万円から30万円というふうに資産運用額を増やしていただけるのではないかなと思っています。

ちなみになんですけれど、さはさりながら、この本当に完全オンライン型の人を介さない運用なんですけれど、一部には数千万円のお預け入れをしていただくユーザーもいます。

保有資産額500万円未満、都心の資産形成層

そして、保有資産額というところ、これもよい結果が出ていると思っています。資産運用業界でよく言われるのが、資産運用というのを考えるのは、お金と時間に余裕がある方々。具体的には、一般的な企業勤めの方々に、まとまったお金が入るタイミングは退職金。もしくは、近親者、とくにご両親がお亡くなりなって相続が発生した場合というのが、一番大きいイベントだと言われています。

その時期って、ある程度会社勤めも落ち着いて、そうするとお金と時間に余裕があるからじっくり考えてみようというところ。既存の金融サービスも、顧客単価も高いし、ユーザーの関心もあるしということで、そこを主戦場と考えていたことがあると思います。

しかしながら、ご覧ください。保有資産500万円未満が52パーセントということで、先ほど20代、30代の方々が半数以上というのも合わせて、本当に資産形成層の方々が、THEOを使っているということなんですよね。

ご自身の保有資産が500万円未満ということは、100万円かもしれません。そのなかの10パーセントを、「THEOを使ってちょっと運用してみよう」と思う方が、実はこれだけいたのかということが、私どもとしては、素直に驚きであり、非常にうれしく思っています。

一方で、地域分布を見ますと、実は、1都3県大阪府。ここに非常に集中しています。理由としてはいろいろあると思います。我々の推測もありますが、単身者で若年層の方々で、こういったことに感度高く、まずはアーリーアダプターとして使い始める方というのは、やはり都市圏在住の方々が多いのではないかということが見て取れます。

この傾向というのは、実は、アメリカのロボアドバイザーも同様なんですよね。

さはさりながら、当然、オンラインでやるTHEOの事業も全国津々浦々で幅広い地域、幅広い年代の方々に使っていただくべく、今後も施策は考えているんですけれど、我々の会社としては、セールス人員を何百人雇いましょうとか、支店をどんどん作りましょうとか、そういう固定費を上げてしまって、その固定費を養うだけのために、ユーザーにコスト負担をしていただくような事業モデルはまったく考えていません。

ですので、この状況から、さらにユーザー層を拡大するためには、我々としては既存の金融機関等との協業、こういったことを行うことが重要だと考えています。

以上、矢継ぎ早になりましたけれど、私からビジネス上のご説明をさせていただきました。ご静聴ありがとうございました。