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株式会社ELEMENTS5246

東証グロース

情報・通信業

中期財務目標と2026年11月期の位置づけ

長谷川敬起氏:みなさま、こんにちは。株式会社ELEMENTS代表取締役社長の長谷川です。これより第2四半期の決算説明を行います。よろしくお願いします。

まずは中期財務目標および中期方針です。中期方針については、大きな変更はありません。なお、財務目標のみ今回変更していますが、こちらについては後ほどご説明します。

ハイライト

今期第2四半期のハイライトです。ポラリファイののれん償却額を含む営業利益は、本四半期に2,500万円の黒字で着地しました。

次に、個人認証事業拡大に関するトピックです。最大のトピックとして、当社は「プラットフォーム事業者」として主務大臣の認定を取得しました。これにより、今後は他のプラットフォーム事業者の力を借りることなく、当社自身でJPKIの仕組みを直接エンドユーザークライアント向けに提供することが可能になりました。

また、セブン銀行との業務提携を開始し、同銀行のATM上で本人確認をeKYCによって行える仕組みの提供を開始しています。公金給付関連での地方自治体におけるeKYCの活用や建設業界での利用など、新たな用途拡大が進展しています。

次に、「AiQ PERMISSION」という、サービスステーション向けのAI給油判定サービスのトピックです。本サービスは、危険物保安技術協会(以下、KHK)による実装機の技術基準適合確認試験に合格しました。これにより、当社のAI給油サービスが「試験確認証明書」をあらためて取得した上で本番販売が可能となったことから、日本全国のサービスステーション向けに販売を開始していきます。

最新のニュースとしては、経産省傘下のGENIACから、製造業の熟練工が持つ暗黙知を学習するデータセットエコシステムの構築等に関する研究開発で、実施事業者として採択を受けています。こちらについては後ほど詳しくご説明します。

最後に業績予想です。期初の計画では売上高を51億円から53億円、営業利益を1億円から2億円と見込んでいましたが、修正後は売上高が56億円から57億円、営業利益が3億円から4億円にレンジの切り上げを行っています。

業績ハイライト(四半期)

第2四半期の業績ハイライトです。売上高は、ポラリファイの連結取り込み効果と「LIQUID eKYC」の好調により、前年同期比55パーセント増の15億700万円と過去最高を記録しました。

営業利益は、ポラリファイPMIの堅調な推移および「LIQUID eKYC」の好調が寄与し、前年同期比1億7,700万円増の2億700万円と、黒字での着地となっています。

EBITDAは前年同期比2億3,500万円増の3億8,300万円、当期純利益は前年同期比約6億円増の1億9,600万円と、いずれも黒字での着地となりました。

ポラリファイのPMI進捗に関しては、のれん償却2,700万円を含んだ営業利益がプラス2,500万円と、こちらも黒字での着地となっています。PMIは非常に順調に進んでいると認識しています。

業績ハイライト(累計)

累計のハイライトです。全社売上は前年同期比66パーセント増の27億9,900万円となり、過去最高を更新しました。

売上総利益率はポラリファイ連結化の影響により77.8パーセントとなりましたが、この要因を控除した場合の総利益率は87.6パーセントと、高水準で着地しています。販管費は前年同期比35パーセント増の約18億5,000万円で着地しています。

以上の結果、営業利益は3億2,700万円、EBITDAは6億5,300万円、純利益は2億9,700万円で、いずれも黒字へ回復しました。

売上について

売上についてです。こちらは先ほどと同じ内容となるため割愛しますが、過去最高を更新しています。

累計契約社数・市場シェア

売上の補足です。まず、累計契約社数についてですが、前四半期比でプラス29社となりました。継続的に極めて低いチャーンレートで推移しており、顧客増加数が累計顧客数の増加にほぼ等しいかたちで反映されています。

また、第三者機関が発表した市場におけるベンダー別売上金額シェアで、7年連続のNo.1を獲得しています。

売上総利益について

売上総利益は、前年同期比59パーセント増の約12億円で着地しています。売上総利益率は、先ほども言及したとおり、ポラリファイ連結化の影響で全体が79.4パーセント、その要因を除いた場合は88.6パーセントとなっています。

なお、ポラリファイ連結化の影響については、今年8月末から9月以降にかけて売上総利益率の改善が進む見込みであり、基本的に元の水準に近いかたちに収斂していくと考えています。

販売費および一般管理費の推移

販管費は前年同期比プラス37パーセントの9億8,800万円で着地しています。また、売上高販管費率は65.6パーセントと、前年同期比で8.5パーセント減少しており、堅調に推移しています。

ポラリファイの費用はM&A関連費用としてのれん償却額のみの発生となっています。ポラリファイの販管費も、連結化開始時の2億1,500万円からマイナス4,500万円となり、通信費および人件費を中心に低減しています。PMIも順調に進捗しています。

販管費全体は前年同期比でプラス37パーセントの9億8,800万円となりましたが、売上高販管費率は前年同期比でマイナス8.5ポイントとなり、売上高に占める割合は減少傾向にあります。

営業利益の推移

営業利益は前年同期比プラス1億7,700万円の2億700万円となり、2四半期連続で黒字を達成しています。また、ポラリファイのM&A関連費用を除いた営業利益は前年同期比プラス1億3,100万円で、絶対額は2億3,400万円に着地しました。

EBITDAの推移

EBITDAは前年同期比でプラス2億3,500万円の3億8,300万円となりました。また、ポラリファイM&A関連費用を除いた場合、前年同期比プラス1億6,200万円で、絶対額は変わらず3億8,300万円で着地しています。

連結貸借対照表

B/Sです。詳細はスライドをご覧ください。今四半期末の株主資本は35億2,000万円、純資産は38億7,000万円、自己資本比率は52.0パーセントで、健全な水準を維持しています。

ポラリファイのPMI進捗

ここからトピックの詳細に移ります。まず、ポラリファイのPMI進捗についてです。

買収直後の四半期を100とした場合、第2四半期までに通信費の削減幅は57パーセント、人件費は62パーセントとなりました。PMIは順調に進捗しており、計画を前倒しで進めていますが、まだ削減の余地があると考えています。どちらもおおよそ70パーセントまでは削減できると見込んでいます。

また、通信費や人件費だけでなく、顔認証エンジンについてもPMIを進めた上で、当社グループのLIQUID社のエンジンに切り替えを行っています。

ポラリファイ社が以前使用していたアイルランドの会社の顔認証エンジンについて契約がまだ残っていますが、このライセンス費用が8月末でゼロになる予定です。これにより、売上原価の削減や売上総利益率の向上が確実に見込まれる状況です。

個人認証ソリューションの利用シーンと利用用途の拡大

個人認証ソリューションの利用用途拡大のトピックについてお話しします。冒頭で触れたセブン銀行のATM上での本人確認については、スライド下の図に示すようにオンライン中心と対面中心という区分で見ると、オンラインから広がっているeKYCが対面でも利用シーンを拡大しています。

特に、金融機関や銀行ATMでの利用が挙げられます。もともと銀行の店舗窓口でeKYCを導入している店舗もありますが、その利用が対面の店舗だけでなく、コンビニエンスストアを中心に展開されているATM上でも可能となっています。

また、自治体が発行するプレミアム商品券の受付において、商品券の二重付与を防ぐための本人確認としてeKYCが採用されています。

こちらをもう少し広く捉えると、国や地方自治体において、さまざまな公金給付のシーンがあると考えられます。例えば、直接的な銀行口座への振り込みや、このような商品券付与などが挙げられます。これらを郵便ではなく、デジタルで進める仕組み作りが行政でも進んでいます。このような背景から、官公庁や自治体周りでのeKYCのニーズが全般的に高まっていると考えています。

さらに、建設業界でも利用が始まっています。労働者管理の観点からは、外国人労働者向けや製造業ですでに活用されている部分がありますが、建設業界では入退場管理を手ぶらで行える顔認証というかたちで導入が進められ、利用が開始されています。

ELEMENTSのAIノウハウ

ここからは、今年2月に成長可能性に関する資料でお話しした内容を簡単におさらいしながら、直近の事業トピックに触れていきたいと思います。触れるトピックとしては、AI給油判定サービスの「AiQ PERMISSION」、およびGENIAC関連で製造業向けの熟練工の暗黙知データセットモデルのエコシステム構築についてとなります。

これらは、これまで当社が培ってきたノウハウや、将来を見据えた戦略の延長線上に位置しているものであるため、あらためてこれらの戦略の詳細についてご説明します。

当社はもともと、eKYCをフラッグシッププロダクトとして上場しました。このeKYCが市場で大きなシェアを獲得している背景には、スライド左下の図にあるように、自社のデータベース、自社のAIモデル、自社のアプリケーションを三位一体で運用しているという大きな強みがあります。

多くのeKYCの競合企業は、例えば先般買収したポラリファイを例に挙げると、自社のAIモデルが競合他社のライセンスに依存している場合や、自社モデルを利用している企業であってもデータベースが自社のものではないなど、何かしら欠けている部分があります。

一方で、当社は徹底して特定の業務領域や業界に特化した独自のデータを収集し、それを自社のデータベースに保管しています。そして、それらのデータを自社のAIモデルに学習させています。学習させる際には、データを自社で加工して学習効率を高めるノウハウを有しています。

これにより、自社のAIモデルの学習速度が向上し、他社よりも早く成長することでそのモデルの性能が高まり、利便性と安全性の両立が進みます。その結果、自社アプリケーションの差別化につながります。当社はこのような優れたモデルを運用しています。

また、副次的な施策として、自社のAIモデルを利用するにあたり、単にAIモデルの性能を高めるだけでなく、その裏で動かすインフラ、特にGPUの利用効率を高める工夫も行ってきました。

こうしたノウハウを蓄積できているため、ポラリファイ社における通信費の削減では、最終的に約70パーセントの削減を見込めています。この強みは、今後の戦略にも活用していけると考えています。

ELEMENTSの事業戦略

これらの強みを統合し、現在の私たちが描く戦略としては、AI時代を担うGPUを中心とした、GPU特化型インフラの提供です。これは「ELEMENTS CLOUD」事業として提供していきます。

そして、私たち自身がAIモデルを開発していることから、AIの知見を活用し、AIデータの収集、加工、学習を通じて得られる知見を基にした、AIアプリケーションやAIエージェントの提供です。この両方を垂直的に展開することを目指しています。

アプリケーションとインフラのハイブリッド展開により、提供価値を増幅していけると考えています。さらに踏み込んで言えば、昨今注目されているLLM(大規模言語モデル)のフロンティアモデルとして、AnthropicやOpenAI、Googleなどが提供するLLMが存在していますが、これらのモデルにおいて、一部の言語化可能な業務を徐々に省力化・自動化する動きが、各社や世界中で進められています。

その中で、「トークン破産」や「トークン経営」といった言葉が、最近では世の中やメディアで注目され始めていると認識しています。

AIの活用による生産性向上が確定的である一方で、エネルギーやNVIDIA社を中心とする半導体チップセットの価格高騰により、ビッグテック各社のフロンティアモデルのAPIの従量課金料金が右肩上がりとなっています。

その結果、日本の大企業がより大規模にAIを活用して生産性向上を目指す中で、APIを使用してトークン消費を伴う従量課金の仕組みが、思った以上に費用対効果が不透明だったり、予想以上にコストが発生するのではないかという懸念を持ったりする先端企業が出始めています。このような状況について、当社もお客さまと議論を重ねる中で認識しています。

AIの産業構造_ELEMENTSの戦略

先ほどトピックで説明したGENIACの製造業の話とは異なりますが、昨年10月より、当社は経済産業省傘下の産業技術総合研究所(以下、産総研)と共同で、5年間のプロジェクトを開始しています。この共同プロジェクトは非常に重要な取り組みと考えています。

このプロジェクトは何かというと、AIの活用については、当社自身のプロダクトにおいても取り入れています。そして、当社のクライアント企業、例えばeKYCを利用している大規模な顧客基盤を持つ金融業のみなさまも、自社業務においてAIの活用を進めています。その中で、特にAIへの取り組むスピードが速い企業ほど、トークン消費コストが無視できない課題であると認識し始めています。

こちらについては、産総研と連携して、日本語で行うLLMの活用ユースケースにおいて、各社のモデルを評価するプロジェクトを進めています。具体的には、OpenAIやAnthropic、オープンソース系のモデル、さらには国産モデルを含むさまざまなモデルを対象に、それぞれがどの程度の性能を発揮するかをリーダーボード形式で評価し、その結果を公表する役割を担っています。

このプロジェクトを通じて何が実現できるかについてですが、先ほど懸念があったトークン消費がコストとしてどの程度影響を及ぼすかという点は、性能評価だけでなくコストパフォーマンスの面からも把握できるようになります。

また、モデルの評価だけでなく、モデルをどの半導体と組み合わせた場合にどのような性能が得られるのか、半導体サイドの評価も行います。例えば、NVIDIAの製品でも、古いチップ搭載モデルと最新鋭のモデルでは当然ながら価格が大きく異なります。

さらに、GoogleのTPUや新たなチップセットの開発が進む中、Groqをはじめ、AMDやインテルなどさまざまな企業のチップセットが存在しています。それらが各モデルとどのような相性を示し、どのような性能を発揮するのかを、ユースケースごとに評価していきます。

例えば、WebのQ&A、よくあるWebのチャット方式でAIがエンドユーザーの問い合わせに回答するようなQ&Aの性能評価を行います。また、当社が顧客層としている金融機関のさまざまなユースケースを評価していくことも、今後進めていきます。

こうした取り組みは、日本の各大手企業からすれば、AIを大規模に活用する企業であればあるほど重要です。なぜなら、AIを活用する際、必ずしも性能のみを最優先するわけにはいかないからです。

性能の観点でいえば、最適な組み合わせが特定のモデルと半導体だとしても、コストパフォーマンスを考慮した場合には、例えば性能基準で5位にランクされるモデルと半導体の組み合わせでも十分に生産性が高く、コストが10分の1になる場合があります。そのようなケースでは、当然ながらコスト効率の高い組み合わせを選択することを検討するはずです。

このような取り組みを実現するために、当社では日本の大手企業のみなさまの評価につながるユースケースの選定および組み合わせを行っています。これを1社ですべて対応することは難しいと思われるため、当社がすべてを統合し評価を提供する仕組みを、昨年10月から準備してきました。

このノウハウや評価結果を活用したクラウドの提供に加え、こうした評価を行うためには、LLMの性能を最大限に引き出すための対応が必要です。昨今では「ハーネス」という専門用語で語られることもありますが、業務の暗黙知や法令に関する知見、業務遂行に必要なさまざまな知識、過去の成功や失敗の経験など、多岐にわたるコンテキストやナレッジが求められます。

これをLLMに与える場合と、なにも与えずまっさらな状態のLLMに問題を解かせる場合では、性能の結果が著しく異なります。天才児が1人いて、何の知見も持たない天才児に新規で問題を解かせる場合と、その天才児に業務の知見をしっかり渡した上で問題を考えさせる場合とでは、結果が異なることは明確だと思います。この違いをイメージしていただければ、わかりやすいと思います。

こうしたコンテキストやナレッジのコントロールをしっかり行った上で評価を進めます。このコントロールをする仕組み自体をサービスとして提供できると考えており、それをアプリケーションサイドのプロダクトとして展開していく予定です。

これによって、我々は評価を1つの強みとして位置づけ、評価結果に基づいてワークフロー処理を最適化する際、そのモデルや半導体チップセットを活用する設計を構想しています。つまり毎回トークン消費で費用が発生するのではなく、固定環境下でコストを抑制したインフラ提供が可能となると考えています。その上で、先ほど申し上げたアプリケーションの提供も実現していけると考えています。

AIの産業構造_ELEMENTSのポジショニング

産業構造としては、現状、半導体チップセットの市場規模が最も大きく、インフラが整備されており、LLMがあって、アプリケーションの市場規模が最も小さいという状況です。過去にオンプレミスからSaaS、クラウドへと移行していった際にも、同じように産業構造が逆三角形化していったと記憶しています。

最終的にはアプリケーションで差別化を図ることになりますが、現在、この移行プロセスを進める中で、インフラ部分におけるトークンの課題や、LLMの利用、さらにはインフラレイヤーにおけるトークンコストといった課題が存在します。これらの課題を解決することを前提として構築されたアプリケーションを付加して提供していくことを考えています。

AIの産業構造_AI進展によるSaaSへの影響とELEMENTSの差別化

このようなプロダクト提供の戦略を考える中で、別の観点として、独自データの重要性についてあらためて触れておきたいと思います。

詳細については説明を割愛しますが、例えば先ほどのOpenAIやAnthropic、Googleといった会社が、当社が行っているeKYC事業における日本人の本人確認書類や顔の情報を持っているかというと、持っていません。

例えば、私たちが今後提供を予定しているAI給油サービスでは、ガソリンスタンドにおける給油の映像データが不可欠です。しかし、この映像データについても、彼らはまったく蓄積していません。

このように、業界や産業に特化した「独自データ」を収集し、そのデータを自社で保管して自社のモデルを学習させることで、モデルの学習効率を向上させています。同時に、インフラの費用割合を下げ、それをアプリケーションに展開して、競合が破壊的な影響を及ぼせないかたちで提供していくという戦略を、私たちはもう1つの観点として実行しています。

AIの発展とELEMENTSの関わりから見る、我々のこれから

このような取り組みの延長でさらに描き得ることとして、当社は先ほどのeKYCやAI給油サービスにおいて、基本的にマルチモーダルな取り組みを進めています。現在、話題を集めているLLMはテキストが中心ですが、当社は画像や映像といった情報を活用したマルチモーダルなAIの利活用を推進している会社です。

その中でも当社が得意としている要素の1つは「目」、すなわち状況をAIが正しく認識できる点です。これにより、給油の判定ができるほか、顔認証や顔の偽造検知にも対応できています。

このような目の技術を磨き上げていく先には、フィジカルAIへの展開があります。この国の製造業、建設業、介護、物流といった物理的な空間における、人手不足というような取り組むべき課題を解決する必要があります。

私たちは、AI給油をその第一歩として、現実空間でのAI判定に取り組んでおり、目と頭脳の部分までは対応しています。手足はまだありませんが、将来的には手足についても、それを得意とする企業との連携を視野に入れ、フィジカルな領域に取り組んでいきます。

その一環として、先ほど冒頭のトピックでお話しした製造業における熟練工の暗黙知の学習にも取り組み始めています。

ELEMENTSの事業戦略と内閣官房「日本成長戦略会議」

我々の事業戦略と、日本の内閣官房が日本成長戦略会議の枠組みの中で発表している、どのような点にアプローチしているのかについて、こちらのスライドで対比的に図示しています。

まず、戦略分野として大きく17分野ありますが、特に我々が集中しているのは2分野です。AI・半導体分野とデジタル・サイバーセキュリティ分野です。

AI・半導体分野については、フィジカルAIとバーティカルAI(領域特化型AI)の2つに分かれています。我々は事業戦略上、これらにコミットしているという認識です。

「LIQUID eKYC」や「AiQ PERMISSION」は、まさにバーティカルAIアプリケーションとして、我々が取り組んでいる内容です。

さらに、フィジカルAIの分野においては、「AiQ PERMISSION」が第一歩として取り組みを開始しています。また、この後詳細をお話しする経済産業省傘下で進めている製造業の熟練工暗黙知データセットのシステム構築も、フィジカルAIに密接に関連する取り組みと理解しています。

一方、デジタル・サイバーセキュリティ分野においては、データプラットフォームが国家戦略上非常に重要視されています。これは、AI時代やアフターAIの未来を見据える際に、AIの成長における源泉がデータであることを考慮した取り組みです。この点においても、先ほどのデータエコシステム構築が国家戦略と整合したかたちで実施されていると考えています。

AI時代に対応するクラウドデータセンターやセキュリティに関しては、「ELEMENTS CLOUD」や産総研との共同プロジェクトが該当します。これらはスライド下部の③④で示されています。当社ではこのように戦略マッピングを捉えています。

また、日本がグローバルで再び競争力を高めるために重要な分野として、AIは欠かせない存在です。そのため、当社は先ほど述べた文脈に基づき、AI分野にしっかりとコミットしていきたいと考えています。

フィジカルAI_NEDOの公募に採択

その上で、「フィジカルAI」についてお話しします。先ほど、熟練工の暗黙知について触れましたが、ここで詳しくご説明します。

基本的に現在の製造業において、Web上に公開されているデータはほとんどなく、多くのデータは企業や組織が保有する「独自データ」です。場合によっては、企業や組織自体も構造的なデータとして保有できていないケースが多いと考えています。

例えば、今回プロジェクトに採択された製造業における熟練工の暗黙知についてですが、製造ラインや現場で熟練工のみなさまが手作業で行っている内容は、ほとんどデータ化されていません。この状況は、人口構造の変化により若年層が減少し、高年齢層がいずれ引退を迎える中で、事業承継の観点だけでなく、各業界における人のスキルの承継という観点でも非常に大きな課題となっています。

当社は、先ほど述べた「目」の技術を活用して、製造業のみなさまの業務の取り組みを映像データや音声データで収集するほか、物理特性データも収集することで、これらのデータをマルチモーダルに集約していきます。かつ、熟練工の方々がなぜその作業を行ったのか、細かい処理を行った理由や、その判断に基づくアクションをデータとして蓄積していきます。

先ほど強みとしてお話ししたように、当社はeKYCのAIモデルにおいて学習効率の高いデータの加工や、学習に適した教師データの作成を行える企業です。そのため、製造業のみなさまがAIに学習させやすいかたちでデータセットを加工していきます。これらが資産となり、日本の製造業を支えることにつながると期待しています。

こうした取り組みが経済産業省からも評価され、補助をいただいていると理解しています。さらに、このデータを活用し、次のステップとして自社のアプリケーションを開発することも視野に入れています。

AiQ PERMISSION_進展状況

AI給油の観点についても、簡単にお話しします。この資料は初めての提示ではありませんが、今回の法改正においては、「STEP1.5」として最終形に向けた途上の法改正、省令改正となっています。

途上とは、AIが「給油許可」を満たし、AI自身で「特定条件」を満たした場合に許可されるシステムのことを指します。これまではセルフ給油であっても、裏の建物内で人間が必ず「給油許可」の承認を行う必要がありましたが、AIがこの役割を担うことでサービスステーションにおける人手不足を解消し、日本全国のサービスステーション減少に歯止めをかけることが可能となります。

さらに、サービスステーションのスタッフは、オイル交換、窓拭き、洗車、タイヤ交換など、より付加価値の高いさまざまなサービスに集中できるようになります。このようなサービスの提供が可能となり、KHKという機関から認証を得て、いよいよサービスが開始できる状況になっています。

将来的には、消防庁や資源エネルギー庁、経済産業省と協力したかたちの「STEP2」も視野に入れています。現時点では、省令改正の具体的な内容や範囲は未確定ですが、サービスステーションにおける有人対応をさらに軽減する仕組み作りを構想している状況です。

AiQ PERMISSION_進展状況

当社AI給油サービスに関する進展状況を詳しくお話しします。まず戦略上、私たちがこのマーケットに参入している背景として、「LIQUID eKYC」と「AiQ PERMISSION」は戦略的に同じ方針を採っており、私たちの勝ちパターンであると仮説を立てて参入しました。

もともと2018年から準備を進めてきており、7年から8年越しにようやくリリースできる状況となりました。当初から、そのような思いでサービスを準備してきました。

具体的には何が同一の構造であるかについて詳しくご説明します。まず端的に言うと、大手が提供するLLMのようなサービスに侵食されない事業領域だと考えています。また、その他の競合や後発企業の参入障壁が極めて高い事業領域であり、市場シェアを大きく確保できるマーケットです。私たちはそこでしっかりとポジションを取れると考えています。

具体的にどのようなことか、戦略としては4点あります。

まず1点目は、事業構造として規制変更に連動した市場開拓である点です。「LIQUID eKYC」では、2018年11月に犯罪収益移転防止法が規制変更されました。また、「AiQ PERMISSION」については、今年2月に総務省の省令改正が行われました。

我々はこれらの規制変更に対して、変更前から省庁と連携を取り、特に「AiQ PERMISSION」に関しては、5年から6年をかけて毎年実証実験を行い安全性を向上させながら、省令改正に至ったと自負しています。

2点目は、独自データの自前収集・活用・保管が可能なモデルである点です。例えば「LIQUID eKYC」では、本人確認書類、顔の容貌、端末の情報、不正攻撃の内容、さらには攻撃を受けた際の内容までも学習可能です。これらすべてが学習データとして活用されています。

また、「AiQ PERMISSION」については、当然ながら、これらのデータはインターネット上に一切存在せず、現場のハードディスクに保存されているような、一般の企業では取得が困難な物理空間の独自データです。給油映像データも含まれますし、非常に稀ではありますが、事故やハプニングが起きた際の映像データも蓄積されています。

3点目は、独自データを学習した特化型モデルで品質の最大化を実現できる点です。「LIQUID eKYC」においては、顔認証・不正検知モデルを自社で構築してきました。このような独自データの蓄積により、自社モデルの精度向上がアプリケーション側の利便性と安全性の両立に直結し、結果的にアプリケーションの差別化を推進します。

まったく同様の構造で「AiQ PERMISSION」に関しても、給油判定モデルを自社で構築しており、こうした給油判定モデルはAnthropicでは提供不可能です。非常に希少な独自データを当社が収集しているからこそ、提供可能であると考えています。

また、当社は仕組みをある程度共通化しています。例えば「AiQ PERMISSION」では、給油判定そのものが1秒程度で完了するため、サービスステーション内にエッジコンピューターを設置し、その場で処理を行います。一方で、学習のプロセスはクラウドにアップロードして実行します。

クラウド上でモデル学習を進めることで精度が向上し、サービス提供後も1年、2年と経過するうちにさらに精度が向上します。これにより、利便性や安全性の向上につながっていきます。

この仕組みは「LIQUID eKYC」と「AiQ PERMISSION」である程度共通化できる部分があり、我々にとってノウハウでありアセットと考えています。また、これらを活用することで効率的な運用が可能になると考えています。

結果的に「LIQUID eKYC」は、実際に7年連続で市場シェアNo.1を獲得しています。当然、「AiQ PERMISSION」においても、この競争力を活かし、No.1を目指していきたいと考えています。

4点目は、大手が提供するLLMに侵食されない点です。ここにはさらに2つの軸があります。1つ目は、規制や法令に関連していることです。これらの法令はたびたび変更されています。例えば、犯罪収益移転防止法は直近2年で3回改正されています。また、NIST(米国国立標準技術研究所)のように、グローバルで標準化されているガイドラインにも注視し、それに適合することが重要です。

これらを実現するためには、独自データを使用したバーティカルAIが必要となり、他ではなかなか実行が難しいと考えています。これはAI給油においても同様です。先ほど、STEP1.5は途上であると説明しました。今後はSTEP2に向けてさらに進めていきます。

ここに常に適応するプロダクトを作り続けています。モデルもそれに応じて調整を行い、クラウドとエッジが連携しながら学習して運用可能な仕組みを持っていること自体が、当社の強みであると考えています。

また、収集が困難な独自データを収集・加工・学習し続け、精度を向上させていく必要が後発企業にはあります。ただ、その後発企業がデータを収集できるチャンスがあるかとなると、これは省令改正までにパートナー企業をしっかり構築し、データを収集できていない場合は、後から参入することは非常に困難です。したがって、マーケットに後発企業が入り込むことは難しいと推測しています。

以上のような理由から、「AiQ PERMISSION」および「LIQUID eKYC」の成功モデルを、当社のアセットをしっかり引き継ぎつつ、競争力のあるモデルとして提供していきます。

通期業績予想のアップデート

通期業績予想のアップデートです。2026年11月期の売上高は、期初の51億円から53億円に対して56億円から57億円へ、売上総利益は期初の39億円から40億5,000万円に対して約4億円増加し、43億5,000万円から44億5,000万円となる見込みです。

販管費については、期初の38億5,000万円から39億円に対して約2億円増加し、40億5,000万円から41億円になると予想しています。

EBITDAは期初の8億円から10億円に対し、2億円から3億円増加し、11億円から12億円を見込んでいます。営業利益は期初の0円から2億円に対し、2億円から3億円増加し、3億円から4億円になると想定しています。

当期純利益は、期初のマイナス1億円から1億円に対し、2億円から3億円増加し、2億円から3億円に上方修正する予定です。

通期業績予想のアップデート_下期営業利益の増減イメージ(上期実績→通期予想)

それに伴い、通期業績予想のアップデートとして、下期の営業利益の増減イメージについても最後に触れたいと思います。

上期においては、当初の業績予想に対して、実績との差分として事業貢献の上振れ分と、投資戦略の変更に伴う支出の減少が寄与し、上期の実績は予想より大きく上振れる結果となりました。この業績貢献の上振れ分は純粋な増加ですが、投資戦略の変更に伴う支出の減少分については、下期に振り分ける予定です。

上期の実績を踏まえ、通期修正業績予想についてご説明します。上期の事業貢献による上振れ分については、期初の業績予想を基準に、上期の事業貢献がこれだけであれば下期もこれくらい事業貢献が伸びるだろうという見込みを反映し、下期の事業貢献分をそのまま加算しています。

これに加え、特殊要因として株式報酬費用が発生します。この株式報酬費用は、今期の業績が目標を達成したことで社内向けにストックオプション(SO)の発行が確定したために発生するものであり、業績予想を上回る結果を達成した証左とご理解いただければと思います。

さらに、先ほど申し上げた投資戦略の変更に伴い、上期から下期への費用配分の移行分が加算されています。これらをすべて踏まえ、通期の業績予想として、この水準で着地するという見通しを立てています。

以上で、第2四半期の決算発表を終了します。

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