第135回 個人投資家向けIRセミナー 第5部
マクアケ、新商品デビューの場「Makuake」を軸にPDGサイクルを強化 継続販売でストック収益化へ
会社概要

中山亮太郎氏(以下、中山):代表取締役社長の中山です。当社は株式会社マクアケという社名で、社名と同じ「Makuake」という名前のサービスが最も広く知られているかと思います。本日は、旗艦事業である「Makuake」と、そこから次につながる、一種の流通革命とも言える構想を持っていますので、その点についてもお話ししたいと思います。
まず、簡単に企業情報をご説明します。設立は13年前です。先日13周年を迎え、私も社内を盛り上げてきました。
マクアケが目指す世界

中山:当社はビジョンとして「生まれるべきものが生まれ 広がるべきものが広がり 残るべきものが残る世界の実現」を掲げています。
現在生まれているものを見ると、「いきなり大量生産ができて、いきなり大量広告が打てて、いきなり大量流通に乗せられる。だから儲かる」という儲かるルールがあります。「大量、大量、大量」というものしか生き残る権利を持つことができない状況が多いです。
一方で、人類の趣味嗜好はますます多様化しています。驚くほど多くの人が同じブランドの携帯電話や同じブランドのパソコンを使用しており、それ自体は非常に便利で良いことではありますが、すべてその状態が続くと、人類の豊かさについて残念に思う部分があります。
実は13年前にもこのようなことを感じたことがあります。当時、私はベンチャーキャピタリストとして、みなさまと同じ投資家サイドにおり、ベトナムのインターネット企業に投資していました。
2010年に「iPhone4」が登場し、世界中に「iPhone」が急速に広がった時、私は「なんでこれが日本からじゃないのか」と非常に悔しく思いました。
しかし、詳しく調べてみると、その中の部品の約7割が日本製であることがわかったのです。日本の大手家電メーカーや新興の家電メーカーも、持ち運び可能なパソコン機能付き通信機器を考えていたはずですし、事実としてそうしたアイデアを持っているところもありました。
一方で、さまざまな閉塞感の中で、それがなかなか形にされず、羽ばたきづらい状況でした。その悔しさが、私の原体験となっています。「チャレンジしようとすることに対する謎の閉塞感は何なのか」と思っていましたが、幸いなことに、インターネット産業に限ってはそうした閉塞感が存在しませんでした。
ベンチャーキャピタルがファンドサイズをどんどん大きくしたり、「ベンチャー企業」という名前が「スタートアップ企業」に変わったタイミングで、世界中でその分野を盛り上げていこうとする流れがありました。
「スタートアップ=インターネット企業」という認識も出てきて、インターネットを軸足とする企業には、世界中で大きな追い風が吹いていました。しかし、それ以外の産業についてはかなり閉塞感があり、「このままでいいのかな」と考えていました。
そのような状況の中で、ちょうどこの事業を立ち上げるきっかけがありました。最初の段階ではビジネスモデルを明確に決めていませんでしたが、いろいろな挑戦者の方々が作るものが生まれていき、広がっていく世界をBtoB、BtoCに関係なく実現したいと考えていました。
そして、まずフォーカスしたのがBtoCの生活者向け商品やサービスであり、ファーストステップとして取り組んできました。端的に言えば、挑戦する事業者に必要なものを肉づけしていくことが、私たちの事業モデルの基本にあると考えています。
マクアケ社が提供するバリューチェーン : PDGサイクル

中山:私たちは現在、新商品のデビューを加速させ、その後も勢いを保ちながら売り続けられる流通・商流の構築を目指しています。スライドに示している「Debut(デビュー)」の部分の「Makuake」は社名と同じサービス名で、すでにその基盤を確立しています。これを実績として上場を果たし、現在に至っています。
デビュー後も売り続けていくことが重要ですので、デビューだけで終わらせることなく、ヒットした商品を継続して販売していく流れを作っています。
しかし、これだけでは既存のECモールと変わりません。ECモールと異なる点として、事業者からは「売りながら生活者の声をしっかりと把握し続けられる売り場って、なかなかないんです」というお話をよく聞きます。
また、インターネットやオフラインの商流にただ商品を並べるだけでは、知名度や認知度を十分に向上させることは難しいのが現状です。そのため、デビューから認知度を継続的に高めつつ、生活者の声を拾い上げ続けられる場を提供する仕組みが必要であり、このような場は今の世の中にはありません。
そこで、これまではデビュー後の2ヶ月から3ヶ月間だけ商品を販売するサービスだけでしたが、「ぜひやってください」という顧客の声を取り入れ、商流を強化していく方向に変革を進めているところです。
増井麻里子氏(以下、増井):「共創循環プラットフォーム」の構想におけるステークホルダーとしては、先ほどお話があった生活者や企業の他に、自治体も含まれているのでしょうか?
中山:ダイレクトなステークホルダー、つまり私たちが顧客と呼んでいるのは、「Makuake」に新商品や新サービスを出品する事業者と、それを購入する生活者です。
増井:そこで循環するという意味で、「共創循環プラットフォーム」ということなのでしょうか?
中山:そのとおりです。新商品や新サービスの循環とは何かと言うと、まずは商品の企画から始まります。企画段階で「どこで最初にデビューするか」というアジェンダがあり、その後デビューし、デビュー後に「どのように拡販していくか」というステップを踏みます。
私たちはこれを「Plan(プラン)」「Debut(デビュー)」「Growth(グロース)」というフェーズに分けています。
「プラン」では、顧客の情報を収集しながら商品企画を行うことができます。それを基に完成した商品を「デビュー」でブーストします。そして「グロース」では、私たちが提供する売り続けられる場で売上をどんどん伸ばしていきます。
このプロセスを循環させることで、定番商品が売れ続けるだけでなく、再び新商品が生まれてきます。新商品が1つ、2つ、3つ、4つと増えていき、気づけば新商品から次々にヒット商品が誕生し、売上を着実に増やしていくことができるというサイクルです。
つまり、顧客の声を反映していくことを「共創」と表し、循環させながら積み上げていくため、「共創循環プラットフォーム」と呼んでいます。
Plan : Makuakeインサイトのビジネスモデル

中山:その中で、「Makuakeインサイト」という生活者の声を獲得できるサービスを昨年に開始しました。
この後にご説明する、デビューの場である「Makuake」の会員数は340万人を超えており、多くのデータを保有しています。そのデータを活用することで、「次はどんなヒット商品が生まれていくんだろう」というヒントが見えてくることがあります。
また、企画した商品のプロトタイプを作るには、投資の意思決定も必要です。そこで、企画段階で「Makuake」のユーザーに対して「新しいアウトドアのアイテムを考えてみたんだけど、どうですか?」というアンケートを実施したり、1on1のインタビューを行ったりすることができます。
これにより、より高い確からしさを得て、本格的な商品のデビューにつなげることができます。
さらに、商品を発売した後も売り続けている段階で「ちょっと手応えが変わってきたな」という時にアンケートを取ると、「アウトドア好きのビジネスマンに展開しているはずが、いつの間にか子育て世代のお母さんにすごく刺さっている」というような新たな発見が得られることもあります。
このように、商品のライフサイクルの中でもターゲットの拡張時にこのツールを活用することで、顧客を把握しながら展開することが可能です。これが、単なる流通にはないユニークな部分だと考えています。
新商品や新サービスのデビューの場Makuake

中山:私たちの祖業であり、旗艦事業となっているのが、社名と同じ「Makuake」というサービスです。新商品や新サービスのデビュー販売の場所となっています。
これは市場の盲点だったのですが、私たちだけが気づいた真実として、どの会社、メーカー、ブランドでも「商品を一番最初にどこで売り出すか」というアジェンダを持っていることに気づきました。当たり前なのですが、意外にも盲点だったわけです。
「ECモールで売るか。自社のサイトで売るか。既存の取引先の流通に卸していこうか」という中で、新商品を売り出すことに特化した流通はこれまであまり存在しませんでした。
そこで、私たちはスパイスを加えて、無在庫でも先行販売できる仕組みを構築しました。強烈なテクノロジーを用いたわけではありませんが、商流における新しいビジネスチャンスを発見したということです。
どれだけ売れるかわからない中、大量の在庫を作ったとして、売れなかったら地獄に他なりません。そこで、在庫を作る前に「Makuake」で売り出すということです。
これが可能な理由は、インターネットの力を使っているからです。オフラインのショップであれば、棚に商品を並べるために在庫を作らなければなりません。しかし、インターネットの特性を活かし、無在庫で先行販売できる点が非常に好評を得ました。
増井:スライドにはキリンの商品が掲載されていますが、大手からスタートアップまで幅広く利用されています。現時点で、戦略として特定の規模の会社や業種に注力する計画はあるのでしょうか?
Makuakeよりデビューしている商品

中山:実は、あまり規模にはフォーカスしていません。なぜかというと、現在キリンやキヤノンといった世界的に名の知れた企業にもご利用いただいていますが、ヒット商品を生み出すのは必ずしも大企業とは限らないからです。それが、新しい時代のおもしろいところだと思っています。
例えば、東大阪市で鍛造の金属加工を行っていた企業が、その技術を活かして鍋を製造し、大ヒット商品を生み出すなど、大企業ではない企業が大企業以上にヒット商品を生み出すことは珍しくありません。そのため、規模に関しては実はあまり注目していません。
ただし、現在非常に伸びているジャンルとして、AI家電が挙げられます。私も今AI搭載の時計を身につけていますが、家電やガジェットがAIシフトしているという傾向があります。
実は、日本は世界的に見てIoT家電やスマート家電の普及が遅れており、アメリカや中国では約8割の人がこれらを利用している一方、日本ではあるデータによると普及率が2割程度にとどまっています。
世界の潮流との大きなギャップがある中で、急に台頭してきたスマートAI家電が「Makuake」で非常に売れています。最近、マカオで開催されたAI家電のイベントに参加しましたが、この分野は当社としても短期的に非常に注力している領域です。
現在、AI家電の分野においてマーケティングの強みを構築したり、オフラインで展示できる場を作ったりといった取り組みを進めています。これらの取り組みが将来的には、アウトドアや飲料といった他のジャンルにも波及していくと考えています。
これは私たちだけが見ているところかもしれませんが、こうした横展開を視野に入れつつ、AI家電シフトという大潮流に現在力を入れています。

増井:他のプラットフォームやテレビのショッピング番組などは審査が非常に厳しいとうかがいますが、御社の審査はどのような体制になっていますか?
中山:創業初期にはさまざまな困難を経験し、返金を自腹で行ったことも少なくありませんでした。新しいジャンルが出てくるため、例えば電動モビリティが登場した際には国土交通省とも連絡を取り、「どういったところを見るべきか」といったチェックポイントを着実に積み上げてきました。
また、燃えない素材で作られたジャンパーやジャケットなども、実際には完全に燃えないとは言い切れないことがあります。
私たちは科学研究所と提携しており、リーズナブルな金額で燃えないことを証明する証明書の発行をお願いしています。事業者にはその研究所を紹介し、「本当にこの素材が燃えないかどうかを確かめてきてください」といった対応を裏で多く行っています。
増井:やはり裏ではいろいろな対応を行っているのですね。
中山:新しいものをどこよりも早く生活者にお披露目していくためには、通常のECとは異なる労力が必要だと思っています。この取り組みを年々積み上げることで、ノウハウが蓄積されてきており、これを一朝一夕に真似するのは難しいのではないかと思います。この部分が隠れた強みとなっています。
増井:他にも御社の独自の強みはありますか?
中山:通常のECは、明日商品が届かないと怒られるような世界です。しかし、お客さまは4ヶ月後、6ヶ月後に届く商品でも購入してくれます。「Makuake」には非常に稀有な商流文化が根づいており、事業者の方々からも「こんな売り場ないですよ」と評価されています。
私たちは「応援購入サービス」というタグラインを掲げており、ただ安くて速いだけのECとは異なる文化があります。これは、創業13年の歴史の中で築き上げてきた無形資産だと考えています。
増井:そのようなお客さまの層は、確かに一朝一夕では獲得できないものですね。

中山:扱っている商品としては、AIを搭載した時計のほか、先ほどのキリンのウイスキーや、日本のサイトということもあり、約400蔵の日本酒を扱っています。また、便利グッズとして、便利さがプラスされたアイテムが多数展開されています。
例えば、この時期には最先端素材を使用したひんやりする掛け布団が非常に人気を集めています。このような商品は夏頃に届くため、届くまでに少し時間がかかりますが、その分最先端のものや便利なものが手に入ります。
また、アウトドア用品やキッチン用品など、生活者が店舗で購入するような商品にプラスアルファの工夫を加えた商品が多くあります。ジャンルとして最も多いのはファッション系です。例えば、今日私が履いている靴のほか、Tシャツ、財布、カバンといった小物類も取り扱っています。
さらに、食品やスイーツに加え、その派生としてレストランやサウナ施設のオープン時に使える食事券や会員権などを先行販売することもあります。会員権は、会員のみが予約可能なメニューや個室を利用できるチケットです。
ほかには、アニメや舞台に関連する商品として、エンドロールに名前が載る権利や前日のリハーサルを観に行けるチケットなども販売されており、さまざまなものを先行販売できる仕組みになっています。
増井:わくわく感が満載ですね。
中山:おっしゃるとおりです。例えば、「百貨店やドン・キホーテ、コンビニにあるものがすべて流通前の商品だったら、みなさんはどんな感情を抱きますか」と聞くと、「それは楽しいに違いない」という答えが返ってきます。それと同じようなことができているのではないかと思います。
Debut : Makuakeのビジネスモデル

中山:現在、会員数は約340万人、アクセス数としては四半期に1,000万人のユニークユーザーが訪れている状況です。
雑誌を見るような感覚だったり、今東京圏の方もご覧いただいていると思いますが、午前中の情報バラエティ番組を見ているような楽しみ方で、「何か面白いものに出会えるんじゃないか」という体験を提供できているのではないかと思います。
これは、コマースの分野ではこれまで意外に深掘りされてこなかったところです。世界中のコマースで深掘りされてきたのは、検索型のコマースです。つまり、頭の中で欲しいものがある程度決まっている状態で、検索サイトやECモール内で検索するというかたちでした。
しかし、発見型のコマースについては、これまであまり深く考察されてこなかったと思っています。
街をぶらぶらと歩いているような感覚や雑誌または情報メディアを閲覧するような感覚で「Makuake」に訪れていただき、「そういえばこういう炊飯器が欲しいと思ってた」「こういうお財布が欲しいと思ってた」というように、「そうそう、こういうのが欲しかった」と、そのままCMのキャッチコピーになりそうですが、そのようなユーザー体験を提供しています。
事業者にとっては、在庫を作る前に販売できる場となっています。ビジネスモデルとしては、事業者が「Makuake」で販売した金額の20パーセントを収益としていただくことが主な収益源です。加えてオプションの料金をいただくこともありますが、基本的にはこの20パーセントが私たちの収益となっています。
Makuakeの提供価値 : 事業者側

中山:先ほど、生活者の方が「Makuake」を利用している理由についてお話ししました。次に、事業者の方に利用されている理由をお話しします。
冒頭にお話ししたとおり、先行販売であれば、自分のECサイトや、他のECモールにも先行販売機能がついていることがありますので、そのような場で行えばよいのではないかと考えるかもしれません。
しかし、「Makuake」は無在庫で先行販売ができるだけでなく、知名度や認知度を向上させる発見型コマースとして、メディアのようなかたちでユーザーが訪れてくれることが強みです。
そのため、誰もまだ知らない商品をただ広い市場に出すのではなく、「Makuake」のように「何かないかな」と見に来てくれるメディア型コマースの場に出すことで、まず知名度を上げることが可能です。
また、4ヶ月や6ヶ月待ってくださる熱量の高いユーザーが多く、「○○だから買った」というフィードバックを多くいただくことができます。つまり、「なぜ買ったか」というテストマーケティングのような効果も得られます。
このように、認知度を上げながら顧客とのつながりを継続できる場として「Makuake」が利用されることもあります。
中小企業にとっては、売上金が比較的早く入ってくるため、在庫を作る前に販売するという点で、キャッシュフローの面でも助かっているようです。創業当初はクラウドファンディングとよく言われていました。現在もそのように言われることがありますが、それはきっと売上金が先に入ってくるためだと思います。
このように、ユニークな商流である点が大きなベネフィットになっていると考えています。
増井:御社の売上に計上されるのは、どのタイミングでしょうか?
中山:商品が売れたタイミングです。
増井:決済された時ですね。
中山:そのタイミングで、20パーセントが当社の会計上の売上として計上されます。
Growth : Makuake STORE for ECモールのビジネスモデル

中山:商流としては、先ほどお話ししたとおり、次々と新しい商品が生まれ、先行販売が終わるまで2ヶ月程度ご利用いただきます。
しかし、「2ヶ月で商品を売り終わって、『Makuake』を離れるのは嫌です」「もっと売り続ける手伝いをしてください」という声があまりにも多い状況です。そこで、引き続き販売を継続できるような場を「Makuake STORE」というかたちで現在強化しています。
「Makuake STORE」は、「Makuake」で成功した商品をセレクトし、販売するオンラインの売り場です。最近では「Makuake STORE for ECモール」として、「楽天市場」「Yahoo!ショッピング」「TikTok Shop」にも展開しています。
通常のショップも、路面店を展開しながらショッピングモールにもオフラインにも出店していきますが、自社で展開しながら、他社が盛り上げている売り場にも積極的に出店しています。
せっかく「Makuake」をご利用いただきましたので、その商品を継続的に販売できる場を作っていくことに現在注力しており、非常に伸びています。先週は、楽天市場の月間ベストショップを選出する「楽天ショップ・オブ・ザ・マンス(2026年4月度)」で、アウトドア・レジャー部門を受賞しました。
その他各種サービス

中山:オンラインだけでなく、オフラインもさらに強化しています。発見型コマースですので、認知度を上げられることも強みにしなければなりません。そのため、オンラインだけでなくオフラインも強化していきたいと思っています。
増井:こちらのスライドに掲載されている各種サービスの利用者数はどれくらいでしょうか?
中山:「Makuake STORE」は「Makuake STORE for ECモール」の利用者数が合わさってきますが、強いて言うと「Makuake」のユーザーに近いかたちになります。
「Makuake SHOP」は、ヨドバシカメラなどに出店しているため一概に利用者数をお伝えするのは難しいですが、ヨドバシカメラでも人気のある店舗に出店していますので、多くの方にご覧いただいている状況です。
広告配信代行は、「Makuake」での先行販売中にただ商品を載せるだけでなく、「広告費を預けるから、より自分の先行販売のページに集客してほしい」というご要望に対してお手伝いさせていただいています。「Makuake」では常時約1,000商品が販売されていますが、そのうちの数十パーセントほどにご利用いただいている状況です。
増井:自分で広告を出すのは大変ですからね。
中山:そのとおりです。
2026年9月期 業績予想に対する進捗率

中山:業績予想についてです。今期はおかげさまで非常に順調に推移しています。営業利益に関しては、期初計画を早々に達成することができました。
2026年9月期 業績予想修正のお知らせ(前期比)

中山:そのため、今年4月の上半期を終えた時点で上方修正を発表しました。非常に地力が向上しています。
発行体が言うべきではないかもしれませんが、例えば先ほどお話ししたAIガジェットの商品では、AIグラスが1つのプロジェクトで6億円を超えたり、プロジェクターが1日や2日で3億円を超えてしまうこともあります。
アップサイドについては、正直なところ予測が難しい部分があります。そのため、この数字はボトムラインとして、かなり保守的に見積もっています。しかし、このような大型案件が当社の想定を上回るかたちで次々と売れていった場合には、業績がさらに上振れる可能性があり、投資家の方々には予測しづらいと指摘されています。
増井:これが一過性の現象なのか、あるいは構造的な要因によるものなのか、多くの方が疑問に思われているかもしれません。
中山:ご覧いただいている方々に覚えておいていただきたいのは、「地力値が上がってきている」ということです。アップサイドが急激に伸びることもあるため、数字については比較的保守的に見積もっており、アップサイドの大きな伸びは織り込んでいません。
増井:それはオプション的に、ある種イレギュラーな扱いで見ているのですね。
中山:そのとおりです。伸びた時、投資家のみなさまからは「早く言ってよ」と言われるかもしれませんが、当社としてはうれしい悲鳴です。
利益はレンジで設定しています。アップサイドのボラティリティが依然として大きいことに加え、今期は投資を積極的に実施していこうと考えています。
下期における投資計画概要

デビューの場である祖業の「Makuake」は、かなり確立されてきています。サービスをさらに洗練させる必要はありますが、利用していただいている事業者の方々からは「デビューの2ヶ月だけではなく、しっかりと売り続けたい。それによって新たなチャレンジができる」という声をいただいています。
冒頭でもお伝えしたとおり、当社としては「どうすればよりチャレンジを実現しやすくなるか。羽ばたかせていけるか」に注力して取り組んでいます。そのため、2ヶ月間の貢献だけでなく、1つの商品が持つライフタイムバリュー全体に貢献し、その企業にヒット商品が積み上がっていく仕組みを構築していきたいと考えています。
中山:そのような意味で、スライドに示しているような投資を進めていこうと考えています。
増井:「Makuake」というブランドの顧客層が、出品する方の顧客層につながっているのですね。
中山:そのとおりです。よく「青臭いことばかり言う」と言われますが、まさにそれが会社を作った理由でもあります。
優れた技術やノウハウを持つ地方の会社が、100年続く伝統を受け継いで新しいジャンルにチャレンジしていたり、日本や世界で先端技術を開発していたり、こうした取り組みが少しでも羽ばたきやすくなることで、人類が少しずつ豊かになるのは間違いないと信じています。
そのため、チャレンジする方々に必要なものを明確に把握できているのであれば、そこに投資したいと考えています。
ただし、やはり13年間の取り組みの中で、データ基盤やシステムが複雑化してきている部分もありますので、現在はそれらを整理し、よりシンプルなかたちに整備するところに投資しています。
増井:まさにDXの取り組みですね。
中山:今後はAIフレンドリーなサイトにしていく必要がありますので、AIが非常に判別しやすいデータ基盤を構築していきます。また、私たち自身もデータをより使いやすくしていくことが重要です。
データ基盤への投資は目に見えにくい部分ではありますが、この1年、2年は基礎体力としてしっかり投資を進めていくフェーズになるだろうと考えています。
この取り組みを進めながら祖業のレベルアップを図り、その後の商流部分への投資も行い、さらにお客さまをより深く理解するためのインサイトを得やすくするための投資にも注力していきたいと考えています。
一方で、最近よく話題になる人的資本投資についてですが、「若い」の定義は一概には難しいものの、比較的長く歴史のある企業と比べて当社は若い人材が多く、成長力に大きな可能性を秘めていると感じていますので、若手の育成にも投資していきます。
それに加え、当社はベンチャー企業ですので、経験者の採用も引き続き進めていく必要があります。この両軸で組織力をさらに強化するべく、人材への投資を積極的に展開していきたいと考えています。
また、近年注目が集まっているセキュリティへの投資についても、重点的に取り組まなければならないと考えています。
現在の調子が良いうちに、次のステージに進むための準備として、基盤や守りをしっかりと固め、人材の能力を向上させ、組織全体を強化することで、中長期的に進化し続ける企業を目指していきます。調子の良い時に手を抜かないことが重要であると考えています。
PDGサイクルで実現できる事業者課題解決の連鎖

中山:今後の成長戦略についてです。繰り返しになりますが、デビューにとどまらず、デビュー後も継続して販売を行い、さらに認知度を高めながら、生活者を把握し続ける商流を構築・完成させていくことが、今後2年から3年の目標となります。この商流の構築に対して、先ほどお話しした投資を行います。
デビューの場において、私たちは国内の流通プレーヤーとして一目置かれる存在になってきていると思いますが、グロースの部分においてはまだこれからだと感じています。この部分をしっかりと強化していきます。
生活者を把握することが今後のキーポイントになると思っています。かつてAmazonが物流を自社で持つことについて疑問視された時代がありましたが、それが1つの突破口となりました。
私たちにとっては、生活者を把握することが、新たに何かを生み出すためのマーケティングの重要な要素になると考えています。したがって、生活者を把握できる流通・商流を構築し、認知度もさらに向上できるというユニークネスをいかに強化していくかが今後の勝負どころだと考えています。
増井:これからのビジョンについて、将来的にどのような会社にしたいと考えていますか? 少し抽象的ですが、いかがでしょうか?
中山:まず、生活者向けの商品を作るチャレンジャーが、勇気を振り絞らなくても商品を出せるような環境を作りたいと考えています。
増井:ハードルを下げるということですね?
中山:そのとおりです。そのような商流を国内で完成させることを目指します。そして次に、この商流を海外に広げ、海外の商品がデビューしやすくなり、海外でも売り続けられるようにグローバル化を目指します。これが、この先のチャレンジになると思っています。
また、チャレンジャーに必要なことは、売り場を用意したり、認知度を高めたり、生活者の声を知ることだけではありません。製造パートナーを見つけられたり、資金調達が行えたり、採用難の時代においても採用がスムーズに行えることが重要です。
私たちはユーザーデータベースや購買データベースを蓄積していますので、売上データを金融機関に提供することで、事業者の与信枠が拡大するような連携も行っています。将来的にはこうした仕組みをさらに強化し、挑戦者がより羽ばたきやすい環境を作り出していきます。
このように、グローバルな展開で面を広げたり、仕組みの構築で立体化していくことができると、生活者向けの商品を作ることに関しては挑戦しないほうがもったいないと感じられるような社会になると思っています。
また、世の中のチャレンジは生活者向けの商品に限らないため、さらにその先では、例えば発電効率が100倍になるネジを製造するといったBtoBの取り組みや海がとてもきれいになるというBtoGの取り組みなど、人類が地球を前に進めていけるさまざまなチャレンジがあるだろうと思っています。
ただし、正直なところ、こちらに関しては具体的なアイデアはまだまったくありません。投資家のみなさまからも、「こんなことができるのではないか」といったご意見をいただければと思います。
増井:意外と鋭いご意見をたくさんいただけることもあるようですね。
中山:このようなかたちで将来につなげていきたいと思っています。そうすることで、生まれるべきものが生まれ、広がるべきものが広がり、残るべきものが残っていくと考えています。
この挑戦をやりきることで、結果的にはグローバルカンパニーとなり、今世界でトップを走っている会社に「追いつけ、追い越せ」というわけではありませんが、並んでも遜色のないかたちになっていくのではないかと思っています。
私たちが前へ進むためには大変なこともいろいろありますが、株主のみなさまにも応援していただきながら、一緒に前に進んでいければと日々思っています。
増井:なるほど、すばらしいですね。
PDGサイクル利用を通じた事業者収益向上の仕組みイメージ

中山:スライドの図は、事業者の収益が積み上がっていく様子を示しています。新商品を出すたびに、ヒット商品が積み上がっていきます。青色で示した部分が継続販売されている商品、黄色で示した部分がデビューした新商品を表しています。
例えば、東大阪の町工場が消費者向け商品の新規事業を展開し、気がついたら事業が拡大していたという、まるでドラマのようなストーリーが夢物語ではないと考えています。実際にこれを実現している事業者も現れているため、中期的にはこれをさらに広げていけるサービスを作っていきたいと思っています。
以上です。
質疑応答:ストック比率の向上施策について
分林里佳氏(以下、分林):「フロー型の先行販売に加え、プランとグロースの部分のストック型事業の売上比率を今後どのように高めていく方針ですか?」というご質問です。
中山:完全に具体的なかたちではありませんが、「これがサブスクリプションであり月額課金」というイメージはできています。

ストックという点では、スライドの図で示しているように、事業者が新商品を次々と継続的に投入し、それを当社が販売し続けるという構造が実現すれば、事業者との取引はストックされていくと考えています。
事業者との取引がストックされていけば、この売上から収益をいただくため、ストック収益となります。
ただし、現時点ではストックとフローの比率を定量的に示すのは難しいです。今後、この比率をさらに高め、理想としては1日も早くストックとフローの比率を五分五分にしたいと考えています。目標に向けてなるべく迅速に取り組んでいきたいと思います。
また、この歩みの中で、先ほどお話しした「Makuakeインサイト」は月額利用とスポット利用の両方が可能になっていきます。そのため、取引が継続することで、都度アップセルも実現可能になると考えています。
生活者に対しては、サブスクリプションの登録はないため、年間でどれだけご利用いただいているかというLTVについて、しっかりと注力していきたいと考えています。
その結果、KPIの計算式が変わる可能性があります。現在、決算書では「1プロジェクト当たりの応援購入金額×アクティブのプロジェクト件数」を開示しており、事業者というよりも「一つひとつの商品の単価×商品数」を示しています。
しかし、これからは「事業者数×事業者の販売に年間いくら貢献できているか」というKPIにしていくほうがよいのではないかとも考えています。
質疑応答:投資効果について
分林:「データ基盤や新機能へ積極投資していますが、来期以降の取扱高や利益成長にどの程度寄与すると見込んでいますか?」というご質問です。
中山:形としては、2027年度には確実に完成させたいと考えています。収益面については、現在の「Makuake」の売上に依存する状況から、フローとストックを五分五分に近づけていくようなかたちで、しっかりとしたインパクトを出せる段階が2028年度以降になると考えています。
まずは、来年度までに提供可能なかたちに急いで準備する必要があります。収益へのインパクトが明確に現れるのは、2028年度以降になると見込んでいます。
質疑応答:2027年以降の成長戦略について
分林:「中期経営計画についてです。2026年9月期の業績が計画を大幅に超過していますが、2027年以降のさらなる成長に向けた新規事業やM&Aなど、考えているものの具体像を教えてください」というご質問です。
中山:まず、生活者を把握し続けられるように、現在の「Makuakeインサイト」の機能をさらにブラッシュアップしていきます。また、必要であれば、それに付随する新たな事業を肉づけしていきます。生活者を把握することを強みの1つとするため、ここに集中して取り組んでいきたいと考えています。
もう1つ重要な点として、認知度を上げ続けることは、事業者が羽ばたいていく上で必要不可欠だと考えています。そのため、例えばオフラインでの店舗展開の拡充を検討することも非常に重要だと思います。
また、売り続けていけることも基礎機能として必要です。現時点で当社がまだ参入していないモールもあり、それらのECモールへの出店を完了させることに取り組んでいきます。
さらに、自社運営の「Makuake STORE」という売り場は構築してからかなり時間が経過しており、大規模な投資も行っていない状況です。このため、よりダイナミックな投資を実施し、広く認知されるようなユニークな新型Eコマースへとブラッシュアップしていくことが必要ではないかと考えています。
質疑応答:株主還元の検討について
増井:「たった今、『Rokid スマートAIグラス』が5年ぶりに歴代最高応援購入金額を更新しました。安定成長期に入っていると認識していますので、ぜひキャッシュを溜め込みすぎず、株主還元もご検討いただければと思います。親子上場の悪い見本にならないようにお願いします」というご質問です。
中山:激励ありがとうございます。しっかり成長していかなければいけないと思っています。現在は投資に回していきたいと考えていますが、中長期で三位一体の経営を常に意識して取り組んでいきたいと思っていますので、株主還元については貴重なご意見として頂戴します。また、Rokidについては私も気になっていましたので、教えていただきありがとうございます。
増井:すごいですね。
分林:今日で終了ですか?
中山:そうですね。歴代最高の応援購入金額となりました。やはり歴代最高額を突破したのはAI家電でしたね。時代の流れだと思います。
質疑応答:競争優位性について
増井:「競合や先行している他社ではなく、御社が選ばれる理由として挙げられる要素はどういうものが多いですか?」というご質問です。
中山:どのプロジェクトを出すにしても、「最初にデビューするところとしては一番売上が上がる」と評価していただいています。その背景として、認知度が一番上がりやすいということがあります。
大手のECモールに出す場合と比べて認知度が最も上がりやすいことに加え、お客さまを把握できることもポイントです。多くの声が集まることで、その後のマーケティング戦略を立てやすくなるだけでなく、商品の改良にも活かせます。
認知度が上がり、生活者を知り続けられるというユニークさが、新しいチャネルとして認知されているのではないかと考えています。
中山氏からのご挨拶
中山:ご説明の途中で世界レベルの壮大なことをお話ししましたが、まだまだ足元を固めなければならない部分も多くあります。しかし、卑下することなく、デビューの商流において非常に良いポジションをファーストステップとして踏めたと考えています。
次の進化に向けて、私たち自身が、利用していただいている事業者を超えるくらいチャレンジしていく必要があると考えています。そのためにはしっかりと投資も行わなければなりません。
この投資が将来的にお客さまへの価値につながり、その結果として、投資していただいているみなさまへ還元できるようなかたちにしていく必要があると思います。現在このように勢いが出てきたタイミングで、手を緩めず油断しないことが重要だと考えています。
ぜひ、引き続き応援していただければ幸いです。そして、応援されるにふさわしいあり方と実績を出し続けていきたいと思います。今後ともよろしくお願いします。
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