logmi Finance
logmi Finance
不二製油株式会社2607

東証プライム

食料品

2026年3月期決算説明

大森達司氏(以下、大森):本日は、不二製油決算説明会にご参加いただき、ありがとうございます。CEOの大森です。昨日公表した2025年度決算および2026年度業績予想について、ご説明します。

目次

2ページ目をご覧ください。本日の目次です。2025年度の実績、2026年度の業績予想、重点施策の順にご説明します。

1. 2025年度 通期実績

4ページ目をご覧ください。2025年度通期の実績です。売上高は、1,011億円増収の7,723億円、事業利益は、228億円増益の360億円、当期利益は、73億円増益の111億円となりました。

まず、売上高については、主要原材料であるパーム油、カカオなどの原材料価格上昇に伴い、販売価格の適正化を進めた結果、増収となりました。

続いて事業利益ですが、植物性油脂事業では、チョコレート用油脂CBEの販売が堅調に推移するなど、大きく伸長しました。また、業務用チョコレート事業における米国ブラマーでは、カカオに関連した特殊要因の費用が2024年度の305億円から、2025年度には104億円に縮小した結果、増益となりました。

なお、4月24日に開示したとおり、ブラマーに係る減損損失の計上と繰延税金資産の取崩しを行っています。

これは、アメリカにおける需要低迷の長期化による販売数量の減少や、管理強化に伴う固定費の増加などにより、当初の事業計画と実績に乖離が生じたため、必要な措置をしました。計上額は、のれんの減損損失が41億円、繰延税金資産の取崩しが51億円、合計で93億円となります。この結果、2025年度の当期利益は111億円となりました。

1. 2025年度 通期実績

5ページ目をご覧ください。事業利益について、事業別に説明します。

植物性油脂事業では、上期を中心に、主原料であるパーム油の安定した価格推移により、原料差益を確保することができました。また、CBEについては、堅調な販売に加え、販売価格の適正化も寄与し、増益となりました。

業務用チョコレート事業では、コンパウンドチョコレートの販売が堅調に推移しました。また、ブラマーは米国でのチョコレート消費の減退に伴い、ピュアチョコレートの販売数量が減少しましたが、価格適正化に加えて、カカオ特殊要因の費用が減少したことから、業務用チョコレート事業は、増益となりました。

乳化・発酵素材事業では、原材料価格の上昇に加え、中国をはじめアジアでの需要低迷に伴う販売数量の減少により、減益となりました。

大豆加工素材事業では、事業再編を推進するなど固定費の削減を進めましたが、飲料向けの機能剤の販売数量が減少し、減益となりました。

1. 2025年度 通期実績

6ページ目をご覧ください。通期事業利益における、前期比でのウォーターフォールチャートです。

まず、数量要因については、業務用チョコレート事業のブラマーで販売数量が減少しましたが、植物性油脂事業のCBEの販売数量の増加により、プラス7億円となりました。

単価要因については、原材料価格の上昇に伴う販売価格の適正化に加え、植物性油脂事業のCBEの販売価格上昇が寄与し、プラス328億円となりました。固定費・経費・為替等については、人件費等の固定費の上昇によりマイナス107億円となりました。

以上により、事業利益は228億円増益の360億円となりました。

1. 2025年度 通期実績

7ページをご覧ください。ブラマーの業績についてご説明します。2025年度は、ブラマー構造改革の施策の実行・継続を最大のテーマとして取り組んできました。カカオ高騰の影響は引き続き残りましたが、改革は前進しています。

事業利益はマイナス114億円、そのうちカカオ特殊要因は、マイナス104億円でした。2月に発表した計画値よりも、カカオ特殊要因が下振れていますが、期末に向けて一部販売が低調に推移したことにより、費用が先行するかたちとなっています。

カカオ特殊要因を除く事業利益については、第4四半期に一過性費用を計上したことから悪化していますが、収益構造の改善は進んでいます。

カカオ高騰以降、カカオ特殊要因低減に向け、さまざま施策を実行し、2025年度末において、管理可能な水準となりました。2026年度においては、一部影響は残るものの、限定的とみています。2026年度のブラマーの成長戦略については、後ほどご説明します。

2. 2026年度 通期業績予想

続いて、2026年度の業績予想についてご説明します。

9ページをご覧ください。2026年度の業績予想です。売上高は、183億円減収の7,540億円、事業利益は、15億円増益の375億円、当期利益は、84億円増益の195億円を計画しています。

売上高は、カカオなど原材料価格下落に伴う販売価格の下落を見込み、減収を計画しています。

事業利益については、業務用チョコレート事業での利益伸長を中心に増益を計画しています。

事業別については次のページでご説明します。

当期利益については、前年度に計上したブラマーでの減損損失等の反動に加え、事業利益の伸長により増益を計画しています。

2. 2026年度 通期業績予想

10ページ目をご覧ください。2026年度予想の事業利益における、2025年度比でのウォーターフォールチャートです。

まず、業務用チョコレート事業では、ブラマーにおける収益性改善に加え、各エリアで稼働を予定している新設備の効果により、プラス131億円の改善を見込んでいます。

乳化・発酵素材事業、大豆加工素材事業では、それぞれ5億円の改善を見込みます。

植物性油脂事業においては、2025年度には原料差益を確保しましたが、足元で植物油脂市況が高い水準で推移していることから、2026年度には原料差益を織り込まないことを主要因とし、マイナス91億円を見込んでいます。この考え方については、後ほどご説明します。

なお、グループ全体において、中東情勢やアメリカの関税動向、原料相場や市場動向の変動といったリスクを考慮し、「その他」としてマイナス35億円を織り込み、2026年度の事業利益は375億円を計画しています。

2. 2026年度 通期業績予想

11ページ目をご覧ください。バランスシート、キャッシュフローの状況についてご説明します。

まずはバランスシートです。2025年度は、事業投資等により、Net(ネット)有利子負債は増加しました。運転資本に関しては、カカオ価格高騰の影響により、高い水準ではありますが、この第4四半期に大きく改善しました。2026年度においては、期末にかけてカカオ在庫の価格も低下し、資金の回収も進むことで、Net有利子負債の削減、Net DE(ディーイー)レシオの改善が進むと想定しています。

戦略投資の支出のタイミング等も加味すると、2027年度のNet DEレシオやNet有利子負債の目標に向けて、若干の遅れはありますが、中計目標達成に向けて、引き続き施策を実行していきます。

次にキャッシュフローです。利益の伸長や、ブラマーにおける運転資本の改善により、2025年度第4四半期に営業キャッシュフローは大きく改善し、フリーキャッシュフローもプラスに転じました。2026年度においても、原料価格の平準化と利益伸長により、改善を進めます。

2. 2026年度 通期業績予想

12ページ目をご覧ください。FUJI ROICと配当方針についてご説明します。まず、FUJI ROICです。2025年度は、植物性油脂事業において、利益伸長により、高い水準を維持しました。また、業務用チョコレート事業では、運転資本は引き続き高いものの、ブラマーでの損失改善により、FUJI ROICは2024年度から改善しました。

これらの結果、全社FUJI ROICは、2024年度の2.1パーセントから、2025年度は5.1パーセントへと大きく改善しました。

2026年度は、業務用チョコレートでの利益伸長が成長ドライバーとなります。加えて、大豆加工素材事業での事業再編を含め、各種施策を着実に実行することで、2027年度目標であるFUJI ROIC6パーセント以上の達成に向けて、引き続き取り組んでいきます。

続いて配当についてご説明します。2025年度は、1株当たりの年間配当52円を予定しています。期末に当期利益の下方修正はありましたが、期初にお約束した配当の実施を予定しています。

2026年度については、利益伸長を背景に、年間10円の増配となる62円の配当を計画しています。従来、当社の配当方針は、配当性向30パーセントから40パーセントを基本とし、安定的かつ継続的な配当の実施としています。

株主のみなさまのご期待にしっかりとお応えしていくことが重要と考えており、2026年度の配当性向は27パーセントとレンジを下回る水準ではありますが、利益進捗や市場環境等を踏まえ、追加的還元も視野に入れながら検討していきます。

2. 2026年度 通期業績予想

13ページは、2026年度通期業績予想に関する、事業とエリア別のマトリクスですので、ご参考ください。

3. 重点施策

ではここから、事業別に重点施策を説明します。

15ページをご覧ください。植物性油脂事業では、2026年度事業利益は、91億円減益の243億円を計画しています。2025年度は、期初から上期にかけて主要原料であるパーム油相場が、安定して推移したことで、原料差益を確保することができました。

2026年度については、中東情勢の影響もあり、足元では植物油脂市況が高い水準で推移していることから、2025年度の増益要因の一つであった原料差益は織り込まずに、計画を作成しています。

チョコレート用油脂CBEについては、カカオ価格高騰以降、需要は引き続き堅調に推移し、新規顧客からも高い評価をいただいています。2026年度においても、自社コンパウンドチョコレートへの供給を含め、数量面では引き続き堅調な需要を想定しています。

また、収益に関しても、2025年度は高まる需要に応じた販売により収益性が向上しました。2026年度においても、競争優位性を活かした販売戦略を進めていきます。

一方、年明け以降、カカオ価格が下落した影響として、2026年度下期には、一部販売価格の調整が入るリスクはあります。この点については織り込んだ上で予算を作成しています。

続いて、サプライチェーン強化について、2026年度下期より、認証油など環境対応に特化した油脂精製を行う合弁会社JPG フジが稼働を開始する予定です。これにより、農園から搾油、精製までを一貫して管理することが可能となります。供給の安定性と品質の信頼性を高め、植物性油脂事業の中長期的な競争力強化につなげていきます。

3. 重点施策

16ページをご覧ください。業務用チョコレート事業についてご説明します。2026年度の事業利益は131億円増益の155億円を計画しています。

この2年間、カカオ価格の高騰により、世界的にチョコレート菓子の消費が冷え込む局面が続きましたが、そのような環境下においても、不二製油グループでは、油脂技術を活用したコンパウンドチョコレートの販売を着実に拡大することができました。品質、安定性、機能性といった強みについて、市場での認知を高めることができた点は、大きな成果だと考えています。

歴史的な高値を記録したカカオ価格は下落基調が継続し、今後、チョコレート市場の回復や需要拡大が見込まれていることから、コンパウンドチョコレートの拡販を進めます。

その拡販のため、今中計においては、世界5拠点において設備投資を実行しています。2025年度下期にはブラジルにおいて新ラインが稼働開始しました。さらに、2026年度には、上期に日本、下期にはアメリカのブラマー、欧州、オーストラリアで新ラインが稼働する予定です。

これらの施策により、不二製油グループ全体のチョコレートの販売数量は、2025年度においては、ブラマーの減少はありましたが、全体としては、2024年度に近い水準を確保することができました。

2026年度は2024年度比で105パーセント、2027年度は110パーセントまで引き上げ、設備増設の効果により、利益成長を達成します。

3. 重点施策

17ページをご覧ください。ブラマーにおける施策をご説明します。

2026年度のブラマーの業績計画は、売上高は222億円減収の1,621億円、事業利益は144億円増益の30億円を計画しています。

2025年度、ブラマーでは、カカオ特殊要因の継続や、カカオ価格高騰によりアメリカ国内でのチョコレート消費が低迷し、非常に厳しい市場環境でした。その一方で、構造改革の発表以降に取り組んできた、価格改定の実行や、原料・収益管理の見直しなど、立て直しに向けた取り組みを着実に進めた1年となりました。

2026年度は、カカオ特殊要因の改善、一過性費用の改善、コンパウンドの拡販の3つの要因により、ブラマーの大幅な改善を計画しています。

まず、カカオ特殊要因については、2026年度上期まで続きますが、販売価格の改定により、通期ではカカオ特殊要因の解消を見込んでいます。

また、一過性費用の改善については、2025年度には、シカゴ工場に関する償却の変更や第4四半期における一過性費用など約10億円が発生しましたが、これらは2026年度には発生しない見込みであり、増益要因となります。

さらに、コンパウンドの拡販効果による、収益性の改善の成果も着実に現れ、30億円の改善を見込んでいます。

まず、市場認識ですが、アメリカのチョコレート市場は、カカオ価格の安定と共に、回復が期待されます。市況回復の中で、ブラマーにおいても着実にコンパウンド製品の拡販を進めていきます。

拡販施策については、キャンベルフォード工場の新ラインは、2026年度下期の稼働開始を予定しています。この新ラインでは、不二製油の油脂技術を活用したコンパウンドチョコレートを製造し、顧客の課題に応える、課題解決型提案を強化していきます。

あわせて、これらの施策を支えるため、体制の整備も同時に進めています。

販売体制については、日本からの開発営業の駐在員派遣を含め、人員拡充を進めています。また、生産体制については、主力工場であるイーストグリーンビル工場の生産性改善を目的に、日本から生産関連の駐在員を大幅に増強し、キャンベルフォード工場における新ラインの稼働サポートを含め、生産体制の強化を実施しています。

こうした取り組みにより、CBEコンパウンドの販売数量拡大を目指しています。2025年の発売以降、顧客からは品質や機能性の面で評価をいただいており、2026年度分の販売契約についても、計画どおり進捗しています。

今後も、CBEコンパウンドをはじめとするコンパウンド製品の、機能性を訴求することで、2027年度には、販売数量を2024年度比で150パーセントまで引き上げていきます。これら取り組みを通じて、ブラマーの収益基盤を着実に立て直していきます。

3. 重点施策

18ページをご覧ください。乳化・発酵素材事業および大豆加工素材事業についてご説明します。

まず、乳化・発酵素材事業です。2026年度事業利益は5億円増益の16億円を計画しています。2025年度も日本市場ではインフレに伴う消費動向が低迷する中、新しい商品提案を含め、一定の販売は、確保できたと捉えています。

2026年度においても、日本では、新技術を活用した高付加価値製品群の拡充、拡販を進めます。また、海外では、日本でのアプリケーションを東南アジア、中国のグループ会社に積極展開することや、海外拠点間での製造最適化により、収益性を高めていきます。

次に、大豆加工素材事業です。2026年度は、前期比で5億円の改善となる、事業損失4億円を見込んでいます。足元では、ホエイプロテインをはじめとするたん白質摂取ニーズの高まりを背景に、当社のソイプロテインにも注目が集まっています。また、2025年度は、飲料向け機能剤において販売数量が低調に推移しましたが、販売体制の強化を進めています。

2026年度においては、大豆たん白素材および機能剤の積極的な拡販を図ることで、売上の回復とあわせて、収益性の改善を着実に進めていきます。

3. 重点施策

19ページをご覧ください。挑戦領域についてご説明します。

2025年度は、挑戦領域製品群の拡充に注力した1年でした。顧客や社会が抱える課題に応える製品を形にすることで、いくつかの取り組みが数量・収益の両面で成果として表れ始めています。具体的には、植物性油脂事業のメラビオ、そして業務用チョコレート事業ブラマーのCBEコンパウンドについては、成果が現れています。

また、乳化・発酵素材事業では、2026年4月に植物性発酵素材の新ブランド「デアリ」シリーズを上市しました。大豆加工素材事業においても、顧客での作業工程の簡略化につながる課題解決型製品を発売し、着実に採用が進んでいます。

さらに、油脂、乳化、大豆の技術を掛け合わせて開発した植物性ダシ「ミラダシ」については、製品ラインナップの拡充を進めるとともに、日本にとどまらず、海外での拡販も進めています。

現時点では、挑戦領域の規模は、まだ全社業績の一部分ではありますが、将来の事業の柱となる領域として、確かな手ごたえを感じています。2026年度においても、これらの挑戦領域への取り組みを継続・強化していきます。

3. 重点施策

20ページをご覧ください。最後に、中期経営計画達成に向けた進捗をご説明します。

まず、2025年度は、事業持株会社制に移行した初年度であり、組織の面でも事業の面でも、次の成長に向けた土台作りができた1年として、手ごたえを感じています。

また、業績面においては、ブラマーは、2024年度からのカカオ特殊要因とアメリカ市場の需要低迷の影響により、みなさまにご心配をおかけしていますが、ご説明したとおり、2026年度の回復につながる施策をしっかりと打つことができました。

不二製油グループとしては新体制のもと、各事業本部長が中心となり、販売戦略、成長戦略に取り組み、事業利益360億円と過去最高益を更新することができました。ROEは5パーセント、FUJI ROICは5.1パーセントと、まだ、満足のいく水準ではありませんが、2024年度から改善が進んでいます。

2026年度計画も含め、中計の2027年度目標達成に向けて、全体的に計画どおりの進捗です。

今回お示しした2026年度の事業利益目標375億円については、保守的と受け止められた方もいらっしゃるかもしれません。しかし、この目標は、中東情勢やアメリカの関税、原料相場の変動など、私たちを取り巻くリスクを織り込んだ上で設定した、必達の計画です。

2026年度、2027年度に、業務用チョコレート事業を中心に業績伸長を果たし、加えて、事業全体でシナジーを生み出していくことで、不二製油グループの成長を確かなものとし、中期経営計画の目標を必ず達成していきます。

今後とも、不二製油グループをよろしくお願いします。

質疑応答:2026年度通期業績予想における植物性油脂事業と業務用チョコレート事業の前提と考え方について

質問者:今期のガイダンスの前提や考え方について、あらためて教えてください。

植物性油脂事業の大幅減益計画についてですが、原料差益の剥落やCBE(チョコレート用油脂)の価格下落、さらに業務用チョコレート事業のうち、ブラマーを除いた部分での減益といった内容をうかがうと、保守的で理解が難しい点が多いと感じます。

なぜこのような表現になっているのか、また、実態としてはどのような動きになると考えているのかをお聞かせいただけますか? 

田中寛之氏(以下、田中):取締役兼上席執行役員COOの田中です。ご質問の内容は、2026年度予算における植物性油脂事業と、業務用チョコレート事業に関する内容と理解しました。

植物性油脂事業については、先ほど大森がご説明したとおり、2025年度はCBEの販売が好調に推移しました。一方、相場が展開する中で、2025年度や2024年度における主原料であるパーム油の価格が期初から下落したため、一過性ではありますが原価差益を認識することができました。

今年度については、イラン情勢を含む世界の状況や北米におけるrenewable energyの影響もありますが、植物油脂の市況は堅調に推移している部分があります。したがって、昨年度とは環境が異なるため、原料差益に関する一過性の認識を今期は考慮していません。

CBEの販売については、昨年度から引き続き、経済性だけでなく、CBEの機能性をご理解いただく取り組みを進めています。また、当社内の事情となりますが、コンパウンドチョコレートの増産を掲げていることもあり、グループ内販としても数量的に堅調に推移すると考えています。

CBEの価格に関しては、経済性を求めるお客さまに向けて、昨年12月末からカカオ相場が下落する展開となった影響を考慮し、下期の事業に一定の影響が出ることを踏まえた予算設計となっています。

業務用チョコレート事業については、ブラマーにおいて2024年度に発生したカカオ特殊要因により、相場がいったん下落しかけたものの、2025年4月から再度急騰したため、2025年度にも影響が出るという展開になりました。

2026年度については、一部の影響が上期に残るものの、年間を通しては一段落するとの設計を立てています。

一方で、ブラマー以外の業務用チョコレートについては、2025年度に発生した中国を含む一部特殊な事業での一過性利益も考慮しながらも、新しい設備の稼働開始も含めた数量的な成長を期待した予算設計としています。

業務用チョコレート事業については、ブラマーの収益性改善を見込んでいます。また、その他の事業でも着実に数量的な改善を図ることで、成長を見込んだ設計となっています。

質疑応答:植物性油脂事業の原料差益とCBEの価格について

質問者:植物性油脂事業の原料差益についてですが、現在の相場水準で本当に見立てているように差益が剥落すると考えているのでしょうか? また、CBEの価格について、現在交渉している中で、価格を下げる方向への動きが実際に顕在化しているような状況にあるのでしょうか? 

田中:植物性油脂事業の原料差益については、先ほども少しご説明しましたが、2026年度を巡る環境として、イラン情勢や北米の状況を踏まえた植物性油脂の市況はやや堅調に推移しており、昨年や一昨年とは異なる様相を見せているため、そのような判断をしているとご理解ください。

CBEの価格についてですが、2024年から始まったカカオショックにより、従来から当社のチョコレート用油脂の物性や機能性を評価してご利用いただいているお客さまに加え、カカオバターの高騰に伴い、その代替として使用を始めるお客さまも出てきました。

後者に関しては、経済性の部分でカカオバターの価格が戻ってきているため、まだ本格的な価格交渉には至っていませんが、CBEの価格調整をする可能性はあると考えています。

一方で、当社のチョコレート用油脂を使用し始めたお客さまからは、カカオバターと比較して品質の安定性に優れると評価されています。そのため、価格低下の影響については最小限に抑えたかたちで2026年度に対応できると判断しています。

質疑応答:ブラマーの収益性向上について

質問者:ブラマーの収益性向上について、プラス30億円の成長をどのように実現していくのでしょうか? 

昨年度は計画未達にとどまったと認識しています。今年はキャンベルフォード工場での新ライン稼働もあると思いますが、本当に数量を伸ばしていけるのか、また、そもそもアメリカの消費環境の回復が期待できる状況なのかについて教えてください。

田中:ブラマーにおいて、2025年度の最終実績がみなさまの期待に応えられず反省しています。

北米のデータによると、2025年のチョコレート菓子の消費動向は、2024年と比べて約1.7パーセント減少しており、その影響を受けて2025年度のブラマーの販売数量も減少しました。

2026年度に関して詳細なデータはまだありませんが、カカオ相場は2025年12月末から大きく反転し、3月末頃には一時3,000ドルを記録した後、現在は4,500ドルまで回復しています。相場環境は、かつての1万ドルを超える水準から修正局面に入っている状況です。

2025年度には数量抑制や内容量の減少といった現象が見られましたが、2026年度の後半に関しては、現在の相場の動きが最終的にチョコレートの価格へ転嫁される時期を踏まえると、需要は戻ってくると予想しています。

2025年度においてはピュアチョコレートの需要が減退する一方で、コンパウンドチョコレートに関しては、クッキーや他の菓子にかける用途の需要がアメリカ国内でも増加傾向にあります。当社のコンパウンドチョコレートについても、2025年度単年で前年比で数量が伸びており、この環境は2026年度も続くと想定しています。

したがって、2026年度の販売については一定の確信を持って達成できると考えています。

質疑応答:ブラマーにおけるCBEコンパウンドの需要について

質問者:ブラマーに関する質問です。コンパウンド製品に関して、昨年は一応販売数量が伸びたといえどもプラス4パーセントということで、今年からCBEコンパウンドがしっかり伸びていくというご説明でした。アメリカにおいて、そもそもCBEコンパウンドに対する需要は本当に高まっているのでしょうか?

つまり、新工場の稼働によってその需要を満たせるのかについて確認させてください。

田中:基本的に米国の消費者が目にするのはピュアチョコレートがメインです。しかし、お菓子やコーティング、アイスクリームの分野では、コンパウンドチョコレートの消費増加が非常に顕著です。

カカオバターの価格上昇に伴い、当社が「ELEVATE」というブランドを用いてご提案したところ、いくつかの大手のお客さまを含めて反応がありました。

もともとCBEコンパウンドは一部の特定のお客さまにご使用いただいていましたが、今回の相場の展開の中で、他のお客さまも興味を持たれ、当社のご提案により、2025年度にはいくつかの採用が決まりました。

2026年度において、相場の下落に対する不安はありますが、当社が提供するチョコレート用油脂をご使用いただいたお客さまからは、カカオバターに比べて品質が非常に安定しており、機能性の部分でも示しやすい点が高く評価されています。ですので、引き続きこの需要は堅調に続くと考えています。

質疑応答:業務用チョコレートの販売単価について

質問者:業務用チョコレートに関連する点ですが、カカオ価格の下落に伴い、競合他社などでは販売単価を下げる動きが見られるようになりました。

御社として、ブラマーおよびブラマー以外の地域で、業務用チョコレートの販売単価をどのように見通しているのでしょうか?  

田中:基本的に日本を含めたBtoBのお客さまに関しては、一定の相場感の中で協議の上決定するかたちをとっています。

今回のようにカカオ相場が大幅に下落する場合、カカオバターやカカオリカーの価格下落は当然販売価格に反映されるため、全般的な調整が行われます。一方で、価格変動に対し着実にリスクヘッジを行っていますので、これが収益性に大きな影響を与えることはないと判断しています。

質疑応答:植物性油脂事業の将来性について

質問者:2027年度の中期経営計画で掲げている事業利益450億円の達成に向けて、業務用チョコレート事業が成長の主軸となっているのは重々承知しています。

一方で、植物性油脂事業についてですが、例えば2026年度下期にCBEの単価リスクが生じた場合、1年後の経営に影響を及ぼす可能性が出てくると思います。その際に、2027年度に植物性油脂事業をしっかり維持できるのかについてお考えを教えてください。

大森:CBEについては、先ほどご説明したとおり、使用いただいた方から機能性や品質の安定性が高く評価されています。

日本市場を例に挙げると、過去にCBEの価格がカカオバターの価格を上回り、カカオバターのほうが安価だったことがありました。その際でも、CBEの需要が完全になくなることはありませんでした。当社が提供するCBEの安定性や物性、機能面は、現在グローバル市場で説明を進めており、お客さまからもその点を高く評価いただいています。

したがって、仮にカカオバターの相場がさらに下がったとしても、当社としてはCBEの数量や収益性を維持できると考えています。

質疑応答:通期業績予想における植物性油脂事業の減益要因について

質問者:昨年の上期は植物性油脂事業で約73億円の増益となり、CBEも増益に大いに寄与したと思います。今年度は差益の上期分が剥落するとのご説明でしたが、通期業績予想91億円の減益の中で原料差益の剥落部分がそこまで大きなウェイトを占めないのではないかと思っています。

この91億円の減益要因について、差益の剥落分やCBEの価格の影響も考えられますが、どのようなかたちで組み立てられているのかについてご解説いただけますでしょうか? 

前田淳氏(以下、前田):取締役兼上席執行役員CFOの前田です。植物性油脂事業における原料差益の剥落の規模についてですが、2025年度の実績では、価格差要因が328億円となっています。このうち、200億円がブラマーの特殊要因によるもので、それ以外の100億円のうちの大部分が植物性油脂事業によるものです。

2026年度については、植物性油脂事業の91億円の減益予想のうち、原料差益の剥落は約半分を見込んでいます。その他の要因としては、人件費や物流費などを中心としたコスト増加およびCBEの販売利益の減少を織り込んで、91億円の減益予想としています。

質疑応答:CBEの販売数量の見通しについて

質問者:CBEについて、数量は1桁台前半パーセントほど伸びるというお話をうかがっていますが、CBEの価格を考慮すると減益の前提でよろしいでしょうか? 

前田:CBEの販売数量は昨年度も1桁台の増加となり、前年比106パーセントでした。2026年度においても、1桁台の増加を見込んでいます。

先ほど田中からも言及がありましたとおり、カカオ価格の変動も含め、CBEの価格および採算の一定の下落を織り込む必要があるため、ご指摘のとおり数量は増加する一方で、一部採算単価の減少を織り込んだ業績予想となっています。

また、CBEの販売に直接関わる部分については、ネット(net)で減益として見込んでいます。

質疑応答:社長就任後の取り組みと挑戦領域の拡大について

質問者:大森社長にうかがいたいのですが、社長に就任されてからさまざまな取り組みをされており、特に挑戦領域について熱心にお話しされている印象を受けています。私は、資本効率の改善を伴いながら、中期的な利益成長率がオーガニックに安定成長していくことを期待しています。また、このようなことを重要視している投資家も多いと思います。

社長に就任されて以降、例えば潜在成長力を高めるためのリーダーシップを発揮されたこと、あるいは予想以上に課題が浮き彫りになり、新たな施策を講じる必要性を感じられたことなどがあると思います。率直に、社長就任後の取り組みについて、マーケットでの少し深掘りした見方を教えていただければと思います。

大森:中期経営計画では、既存の成長領域のさらなる強化に取り組んでおり、これにはコストダウンも含まれています。また、もう1つの柱として、挑戦領域の拡大にも注力してきました。

基本的に、当社はBtoBの中間素材メーカーとして、地球や社会、顧客企業の課題をどのように解決していくかを軸に、課題解決型ビジネスを展開しています。この2025年度を振り返ると、課題解決型や挑戦領域の製品群、その基盤となる技術についてはかなり進展があり、いくつかの製品を市場に投入できたと考えています。

引き続き、大豆加工素材事業は赤字の状態ですが、現在、「タンパククライシス」と呼ばれる問題が強まっており、挑戦領域の拡大で上市した製品群が本中期経営計画、または来期の中期経営計画の柱になると確信しています。

質疑応答:挑戦領域の目標数値に対する進捗状況について

質問者:2024年度において、挑戦領域が全体の事業利益の5パーセントを占め、2027年度にはこれを15パーセントまで高める計画ですが、おそらくCBEコンパウンドがかなりのウェイトを占めると考えられます。ちなみに、2025年度にはどれくらいの割合を占めていたのでしょうか? また、15パーセント達成に対する手応えについてコメントをいただけますか?

大森:この挑戦領域は植物性油脂事業に関連しており、「Melavio(メラビオ)」という動物性油脂の代替となる植物性油脂があります。これは年々品目が増加しており、現状のまま2027年度を迎えるわけではありません。この挑戦領域の拡大に伴い、製品群を増やし続けていますので、拡大していく予定です。

質問者:2027年度の目標である事業利益15パーセントの達成は可能でしょうか? 達成に向けた手応えについて一言お願いします。

大森:引き続き目標として掲げており、必ず実現しなければならないと思っています。そのためには製品群を増やすことに加え、新しい技術を活用する必要があります。

例えば、乳化・発酵素材事業では、新技術の導入により乳代替やチーズ代替といった分野でグローバルに事業を拡大しようと計画していますので、達成できると考えています。

質疑応答:グローバルのマネジメント体制について

質問者:グローバルのマネジメント体制に関するお考えについてです。昨年、マネジメントアプローチを地域別のあり方から事業別のあり方へ変更するとのご説明がありました。

この1年間で、この変更がどのような成果をもたらしたのか、また、従来から課題とされていた「日本の知見をグローバルにどのように活用していくか」について進展はありましたか? 

また、ブラマーに駐在員を増やされるというお話がありましたが、この取り組みについても教えてください。

このような点に関して、今後さらにグローバルでのマネジメントが進化し、改善されるという手応えをお持ちでしょうか? 

大森:2025年度より、事業本部制を導入し、事業本部を日本に置くことに変更しました。人材アセットは日本に最も多く集中しており、生産関連や安全衛生に関わる人材、財務経理を含む機能軸のメンバーも日本に揃っています。

従来のエリア別での管理体制では、各エリアがまず課題解決を行い、どうしても支援が必要な場合にのみヘルプ信号を出すという方式でした。しかし、事業本部制に移行したことで、各エリア、つまりグループ会社の課題を事業本部が把握し、非常にスピーディに対応できるようになったと考えています。なお、田中が事業本部を実際に運営していますので、補足の回答は田中から行います。

田中:事業本部制に切り替えたメリットとして、原料相場を含めた不確実性の高まりを踏まえて対応するため、事業本部ごとに事業環境を考慮したリスクマネジメントを実現できた点が挙げられます。

また、事業本部制を導入することで、原料のポジション管理や事業ごとのリスク分析を網羅的に行うことが可能となり、リスクマネジメントが向上したと考えています。

さらに、ブラマーへの派遣についても、事業本部制を取ったことで経営リソースの配分が、従来から行っていたものの、よりスムーズかつ迅速に進められるようになっていると考えています。

植物性油脂事業については、各エリアの生産能力を活用して、世界全体での最適配分が進んでいます。従来はエリアごとに完結していた需給の流れも、アメリカからシンガポール、ヨーロッパからシンガポールへの出荷といったかたちで最適化が進行しています。

同様に、現在取り組んでいる乳化・発酵素材事業についても、中国、シンガポール、タイの3拠点間での協調が進展しており、課題は残るものの、当初掲げた目標に向けて着実に進んでいると理解しています。

質疑応答:通期業績予想に織り込まれるリスク要因について

質問者:今期のガイダンスについてです。資料の10ページの「その他」の部分について、あらゆるリスク要因を織り込んで35億円の費用を見越していると記載されています。

実際にどのような追加的なリスクが想定されるのかお教えください。すでに植物性油脂事業では一定程度のリスクを織り込んでいると思いますが、中東情勢やアメリカの関税が各事業にどのような影響を与える可能性があるか、具体的にご説明いただけますでしょうか? 

大森:さまざまなリスクを想定した上で、それらを最小化した金額として35億円という数字にまとめています。ただし、それぞれのリスクに具体的にいくらという割り当てがあるわけではなく、リスクを計算するともう少し大きな金額になる可能性もあります。例えば、中東情勢に関するリスクについては具体的に捉えにくい状況です。

また、ナフサ由来の資材に関しては、価格が上昇するといった話がサプライヤーの方々から伝えられています。これについては交渉の余地がない状況であり、フィルムや塗料、その他の生産機能材の価格もどんどん上昇しているのが現状です。

したがって、このあたりの相場の変動やカカオを含めて最小化した額が35億円となります。また、それぞれの額については本日詳細を申し上げることはできません。

質疑応答:業務用チョコレート事業とカカオ相場の関係性について

質問者:カカオ相場が業務用チョコレート事業に与える影響についてです。原料価格が上がった際にはマージンが悪化しましたが、価格が下がった場合でもマージン改善にはつながらないという理解でよろしいでしょうか? 

また、ブラマーの特殊要因が今年から管理可能になったとのご説明がありましたが、ここについて再確認させてください。昨年も同様の状況だったと認識していますが、なぜ今年から管理可能になるのかを教えてください。

田中:業務用チョコレート事業とカカオ相場の関係性に関してですが、いわゆる業務用チョコレート事業には2つのパターンがあります。

1つ目は、特定顧客とバック・トゥ・バックでビジネスを行う場合についてです。この場合、原料相場に基づいた価格設定をしています。そのため、たとえカカオ原料が値下がりしても、採算への影響は大きくありません。

2つ目は、BtoCに近い領域、例えばブラジルや中国で展開しているフードサービス型の業務用チョコレート事業の場合です。こちらに関しては、価格が下がることが若干の追い風となり、進展する効果が期待できると思っています。

当社はメーカー企業として基本的にはロング体制を取っているため、価格が下がった場合、出始めに関してはやや高めの原料を抱えている部分があります。これがいずれにも影響するのではないかと考えています。

次に、ブラマーにおける管理の可能性についてです。この点については、購買部門と販売部門をつなぐ「ミドルオフィス」という仕組みを構築し、契約管理を徹底するシステムを整えたことで、変化に対する迅速な対応が可能となりました。

また、原料の買い付けにおいて、西アフリカを中心としつつ中米を含めた産地の多角化を進めており、その体制が整いつつあります。これにより、従来と比べて相場環境の変化に対する柔軟性が向上しています。

質問者:直近5月にカカオ相場が上昇傾向にありますが、このような場合、コスト高に転じることによるブラマーにとってのリスクはあまり考えなくてもよいということでしょうか? 

田中:はい、カカオ相場そのものの変動に関しては、着実にヘッジを行っていますので、そのリスクは少ないと考えています。

質問者:今のお話を聞いていると、ブラマーの原料安効果は在庫が下がってきている影響で出てきそうな気がしますが、一応そのような前提は取られていないということですね。

田中:おっしゃるとおりです。

facebookxhatenaBookmark