logmi Finance
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「株式投資のリサーチ方法を学んでも、なぜか勝てない」そのような悩みを抱える個人投資家は少なくないのではないでしょうか。今回は、多くの投資家が陥りがちな「銘柄分析の落とし穴」について、株式会社hands代表取締役社長の塩谷航平氏が解説しました。(※2026年2月26日公開のYouTubeチャンネル『PERAGARU株つらひチャンネル』の配信に基づく)

【AI使いすぎじゃない?】最近の投資家がやりがちな「銘柄分析の落とし穴」を解説します。

ーー本日は、株式投資のリサーチ方法についてお聞きしたいです。

塩谷:株のリサーチ方法ですか? 動画でもたびたび教えていますけどね。

ーーなんとなく教わっている感じはするのですが、ぜんぜん勝てないのです。

塩谷:確かに、Youtubeチャンネル『田端大学投資学部』の「株バトル」企画では散々でしたね。

ーーそうなのです。SoFiをやっとの思いで見つけて「おもしろそう」と思いました。その前に銀行株をよく見ていたので、わかりやすくてすっと入ってきたのですが、決算跨ぎで失敗しました。

塩谷:失敗していましたね。あの日はうれしかったです。「うわっ、盛大にミスしているな」と(笑)。

ーーなぜですか。インセンティブはないでしょう。

塩谷:ありませんが、中山さんの不幸だけはなぜかうれしいのです。

ーーもうこれ以上不幸を食べさせないように、負けたくありません。しかし、私のようにリサーチが下手で負けている人はけっこう多いと思います。

塩谷:確かに多いですね。

ーー周りにもいますか?

塩谷:中山さんを見ていて、「リサーチが下手な人の特徴を地で行っているな」と思っていました。

ーー誰がリサーチ下手な人ですか(笑)。本当におっしゃるとおりだと思いますので、今日は「リサーチが下手な人の特徴3選」をお聞きしたいです。

塩谷:わかりました。やりましょう。

特徴1:株価位置を見ない

塩谷:リサーチが下手な人の特徴の1つ目は、「株価位置を見ない」ことです。

ーー株価位置ですか?

塩谷:今の株価が過去から見て比較的上がった位置にあるのか、下がった位置にあるのかということです。このようなことをあまり気にせずリサーチに目が行ってしまう人は、リサーチして「いい」と思ったら、もうその時点からその株のことを「いい」と思ってしまうのです。

ーーわかります。

塩谷:中山さんはその特徴がとてもあると思っています。リサーチが終わった瞬間に自分が「いい」と思えたら、もう「いい会社、いい株」という感じになっていますよね。

以前見ていた静岡銀行は、昨年から株価が2倍に上がったところで中山さんが調べ始めて「いい」となりました。確かに実際の業績内容はいいのですが、2倍に上がる前に調べて「いい」と思った人と、上がった後で同じ調べ方をして「いい」と思った中山さんとでは、ぜんぜん違うことがわかります。

ーー今日はけっこうトゲトゲしい気がします。

塩谷:「株バトル」に大敗してほしいのであえて言わずにいましたが、実はずっとそう思っていました。

ーーえぐいですね……。いつものようにバカにされるよりきついです。確かに、株価やチャートを見ることはしないというか、「俺はファンダメンタルズでいくぜ」という感じでした。

塩谷:とてもわかります。当社も、チャートやテクニカル分析などは「うーん」といった感じが2、3年前にはありました。お客さまからもいろいろご指摘をいただいて、「株価位置が高すぎるところでこのようなレポートを読んでも意味がない」といったお叱りを受けたこともあります。当社も陥っていた、リサーチが下手な人の特徴の1つですね。

ーーその株価位置を見た上で、「どのような状態だったらどうアクションする」という基準はあるのでしょうか?

塩谷:私たちが株価位置の参考にしていることが、主に2つあります。

1つは、ヒストリカル(歴史的)にマルチプル(株価指標)の推移を見て、今どの位置にいるかを確認することです。

例えば、通常時、3年平均などで見て「常にPERが15倍で推移していました」という銘柄があったとします。それが今、足もとで10倍になっていたら、相対的に見て株価位置は低そうですよね。逆に25倍や30倍だったら株価位置は高そうです。

同じように調べて同じように「いい」となっても、当然マルチプルがヒストリカルに低いほうがいいのです。このヒストリカルなマルチプルの推移を見るのはかなり大事です。

ーー過去のマルチプルは見られるのですか?

塩谷:見られるサービスは少ないです。マネックス証券の「銘柄スカウター」や、あとは「バフェット・コード」などでしょうか。無料登録で見られるものがあるので、そこを使ってもいいかもしれません。

ーーちなみに、御社のサービス「PERAGARU(ペラガル)」では見られないのですか?

塩谷:PERAGARUだと、この撮影をしている2026年2月上旬時点では見られません。しかし、2026年3月からJPX(日本取引所グループ)と私たちがライセンス契約を正式にすることになっており、3月以降は見られるようになります。

PERだけのヒストリカルデータは多いのですが、私たちはEV/EBITDA倍率やPBRなど、いろいろなマルチプルをヒストリカルで見て、この株価位置もきちんと調べようという機能をPERAGARUで実装する予定です。

今は使えないので、「銘柄スカウター」や「バフェット・コード」で見るのがいいと思います。PERAGARUも無料登録で見られるようになるので、登録して待っていてください。

もう1つはシンプルです。25日移動平均線など、いろいろ聞きますよね。

ーー私はデイトレーダーではないのですが、それは関係がありますか?

塩谷:私も2、3年前は「私はデイトレーダーではないので」とまったく同じことを言っていましたね。でも、やはり多少は見たほうがいいです。今の株価位置が過熱気味なのかどうか、25日移動平均線の上か下かで大まかに見ます。もちろん、それが投資判断の主軸にはなりませんが、いい業績やいい内容を織り込んでいそうかといったことは25日移動平均線で見るのがおすすめです。

ーー上にぶつかっていたり、飛び越えていたりしたらどうですか?

塩谷:少し加熱気味、あるいは、分析して「いいな」と思っている人がたくさんいるのだろうということです。逆に、私たちもその目線で分析するようになってから、「分析していいなと思ったけど、これは、まだあまり気づかれていないのでは?」という銘柄を見つけることがあります。移動平均線よりかなり下に株価がある銘柄もあって、わりと参考になります。実際にその後の決算の反応も、きちんといい数字が出てきたら良好ですしね。

シンプルな話で、ファンダメンタルズ派には関係ない話のようですが、25日移動平均線も少し見てみるといいかもしれません。

ーー確かに、私がSoFiの決算まとめで失敗したのも、株価位置の意識がまったくなかったからです。

塩谷:なかったですよね。今、さも株価位置だけのような感じでしたが、加えて「ファンダメンタルズであそこにいくか」という感じもあったので両方ですね。

ーーそれ以外のロジックは完璧だったのですが……。

特徴2:AIを使いすぎる

塩谷:2つ目はまさに中山さんのことで、「AIを使いすぎる人」です。最近けっこう多いのですが、あまり良くないですね。

ーーそれはちょっと納得がいかないです。

塩谷:効率化の鬼ですものね。

ーーAIが大好きなので。なぜダメなのですか?

塩谷:AIを使うこと自体は基本的にはいいのですよ。リサーチ工数も大幅に削減できますし、本当に便利なツールで、私たちにとってもなくてはならないものです。

ただ、最近の個人投資家の方でよく見るのが、AIに出力させた内容をそのまま信じてしまうケースです。インプットする質問の時点で、そのような方はけっこうバイアスがかかりがちです。

AIはインプットする質問の角度で出力結果がだいぶ変わってしまいます。データを処理させる方向が決まっていたり、プラスマイナスに処理させる方向が決まっていたりします。質問の中にポジティブなワードやネガティブなワードが入っているだけでAIの出力結果は変わってしまうので、そのあたりをうまく活用できない人、AIの情報をどこまで信じて処理するかのさじ加減が定まっていない人という意味合いですね。

ーー確かに、そのような人はリサーチが下手そうですね。

塩谷:今「自分は関係ない」という感じで言いましたが、中山さんはAIの出力結果を信じすぎです。会社の開示資料だけを入れて、そこをRAG(Retrieval-Augmented Generation)化して出力しているから全部正しいと思っていますよね。

ーーはい。「RAG化」がわからない方もいるかもしれないですね。

塩谷:生成AI側に任意の資料を読み込ませて、その資料の中だけで出力結果を出させる処理方法のことです。

ーー私はこれを完璧なやり方だと思っています。

塩谷:Youtubeチャンネル『田端大学投資学部』の配信を見ていて気づいたのですが、静岡銀行の数値などいくつか数字が間違っていました。

ーーそうなのですか!?

塩谷:絶対に連絡しないでおこうと思っていました。

ーーそれを先に言ってください。

塩谷:なぜかはわからないのですが、RAG化させたつもりでもたまに出力結果を間違うのですよね。

ーーAIはバカなのでしょうか?

塩谷:使う側が、ですかね。

ーー使う側ですか。確かに疑うことはなかったですね。資料からのアウトプットだから大丈夫だろうと。

塩谷:まさにそうです。実は私も最近それで1回ミスをしました。この前の動画で「保険はやばい」というような動画を撮りましたよね。そこで、「長期金利が上がるのは長期的には保険にポジティブだけれど、短期的には債券の評価損や売却損でPLにヒットする」という話をしたと思います。

そのベースでイメージしていたのがソニーフィナンシャルグループ(ソニーFG)で、実際にこの前の決算で評価損を出していたことがあったのです。ソニーFGの資料をベースに生成AIともディスカッションしていて、「長期金利が上がるとソニーFGのように評価損が出ます」という出力結果だったので、「そうか」と思って動画で話していたのです。

しかし、そのあとで保険セクターに詳しい視聴者の方からご指摘をいただきました。基本的に保険業界は、評価損をPLにヒットさせないように満期まで保有することが前提なので、会計的には減損しなくていいというルールがあるらしいのです。だから、ソニーFGの今回の債券の売却損は、スポット的な個別事象だった可能性が高く、実は一般的ではありませんでした。私も間違えていました。

ーーレベルの高い視聴者の方がいるのですね。

塩谷:はい、本当にありがたいですし、すごく勉強になりました。ソニーFGの今回の債券の売却損は、私は構造的に今後も起こるかもと思ったのですが、もしかすると今回スポットだけで起こったことであれば株価は安いのかもしれないと、今ちょうど調べているところです。

生成AIだけだと、やはりこのようなことはわかりません。いずれわかるようになるのかもしれませんが、今時点では使いすぎも良くないですよ。

ーー耳が痛いですね。

塩谷:SoFiの時も、あまり自分で調べている感がなかったですよね。

ーーまあ、そうですね。静岡銀行の時と同じで、まず銘柄を選ぶのはAIで行って、そのあとに個別の資料を取得して、それをAIに読み込ませて負荷検証をしました。

塩谷:ディスカッションしてアイデアをブラッシュアップする、というようにですか?

ーー「いいよ、いいよ」という感じでしたね。

塩谷:最初の前提としてはいいと思うのです。そこから本当にアイデアをブラッシュアップして詰めるときは、やはり生成AIだけではなく、入れたデータが正しいかどうかもきちんとチェックしておく必要があるという感じですね。それで「AIを使いすぎる人」というのを2つ目として挙げました。

ーー本当に耳が痛いです。

塩谷:生成AIは便利すぎますからね。私もけっこう間違えます。

ーー数字を間違えるのですか?

塩谷:RAG化した時に引っ張ってくる数字をなぜか間違えたり、あとは推論ですね。例えば、「この原料が上がった時にこの会社はポジティブですか?」と打つと、質問者の意図にポジティブな方向性があるので、回答結果としてもポジティブな理由を列挙しやすくなります。ネガティブな要素が少なくなるので、見落としがあります。やるなら、ポジティブな質問とネガティブな方向からの質問の両方の回答結果をマージするといったことをしています。

ーーなるほど。

塩谷:生成AIとの向き合い方はけっこう大事です。

ーーこれは改めたいと思います。

塩谷:改めてみてください。私も自戒の念を込めて。

特徴3:関係ないことまで深掘る

塩谷:3つ目も、まさに中山さんにしてほしいことです。今日は「中山さんに直してほしいリサーチ方法」というテーマでもいいかもしれませんね。

ーーダメです。それだとこの動画を誰も見なくなってしまいますよ。

塩谷:確かに。それはそれでおもしろいですが。

ーー私が良くない投資家の行動をたくさんしているから、という話ですよね。

塩谷:まさにそうです。最後の3つ目は「関係ないことまで深掘りする人」です。

ーーこれも私ですか?

塩谷:中山さんはけっこうあります。例えば、前に撮った動画で食品減税の話をしたのを覚えていますか? 食品減税で食品メーカーや小売系、食品系のスーパーがいいという内容の動画でした。

ーーやりましたね。

塩谷:あの時、株のリサーチに関係なく「スターバックスのテイクアウトは食品減税の対象ですか?」などと質問しましたよね。

ーー良い質問をした記憶があります。

塩谷:中山さんも自身でリサーチしている時に、食品メーカーの食品減税の恩恵について、「スターバックスや吉野家のテイクアウト」など、関係ないことまでけっこう調べていろいろ話していましたよね。

このようなことは私にもとてもよくあります。未上場企業で、上場企業とは関係ないのに「この影響はどうなるのだろう?」などと考えてしまいます。中山さんも経営者だからだと思うのですが。

ーー私はADHDのようなところがあるようで……。

塩谷:中山さんはそのようなところがありますよね。関係ない上場企業のことまで調べたり、制度改革があった時に影響のない業界まで調べてしまったりなど、そのようなことで時間をとてもロスしてしまうのです。

ーー本当にそのとおりです。

塩谷:これ、とてもよくあるのですよ。

ーーあの一言がそのように思われていたのだと思うと、すごく悲しいですね。

塩谷:テイクアウトのほうで仮に食品減税がなかったらその需要が食品スーパーに来るというのは広義では関係あるのですが、メインシナリオではありません。そのような枝葉のところは、メインシナリオを完全に調べ終わってから調べるべきなのです。

ーー確かに。

塩谷:これは最近よく思っています。ファンダメンタルズがすごい人は、ここの手の抜き加減というか、「ここだけ調べればいい」というツボを押さえるのがとてもうまいのです。

ーー枝葉をそれほど見ないのですか?

塩谷:枝葉は最後の最後、余力があったら見るくらいで、幹の部分を調べているから外さないのです。これはXでソリッドな感じで情報発信している方、個人投資家の方がたくさんいるので今からその話もしますね。個人投資家のおすすめの……。

ーーテーマが混ざってしまうので今からはやめてもらえますか? YouTubeの素人すぎます。

(一同笑)

塩谷:YouTubeは難しいですね。でもこれ、私もとてもよくあるのです。知識自慢大会ではないのです。

ーーまさにそれなのですよね。パッと思いついた時に言いたくなるというような、いらないことを言っていましたね。

塩谷:ぜんぜん考えなくていいリスクのことや、ほぼ関係ない法改正なのに深く調べてしまうような方が、けっこう多いと思います。

ーー私もSoFiの時、それでだいぶ脱線しました。

塩谷:経営者だとありますよね。ほかの方が経営している会社のことが気になったり、制度のことが気になったりします。でも、株式投資においては、あまり必要のないことだったりするのです。私もそれで余計な時間を取られてしまっている気がします。

ーー確かに、散らかった状態の脳では、合理的な判断はできないですからね。

塩谷:みなさま、「幹」だけをリサーチする方法を教えてください。

ーー勝っている方限定でコメントをお願いします。

塩谷:すごく失礼ですね(笑)。

ーー「負けている投資家の特徴3選」というテーマですから。負けている方の方法が、勝っている方のリサーチ方法に紛れ込むと良くないです。

塩谷:確かに。厳しいですね。勝っている方がいたらお願いします。

まとめ:リサーチの「幹」を見極めるには?

ーー負けている投資家の分析方法の特徴3選を聞いてきましたが、けっこう私自身も当てはまっているなと思いました。

塩谷:そうですよね。中山さんのことしかイメージしていなかったですね。

ーー今回の企画においては、それは正しかったと思います。最後の「関係ないことまで深掘りする人」がけっこう面食らったところで、「まさに自分ではないか」という、少し恥ずかしい気持ちもありました。

これはまずAIで分析していることもけっこう影響していて、AIが「ちなみに……」のような感じでいらないことを言ってくるのですよね。

塩谷:能動的なWikipediaのような感じですね。いろいろな情報が出てきます。

ーー私はそれが気になってしまいますし、おそらく気になるようなツボをAIが押さえているので「そうなの?」とどんどん思考が散らかってしまうのです。最初からまとまった「幹」だけをうまく見られる方法はないですか?

塩谷:鍛錬しかないのですが、鍛錬するにしても、どのようなものが「幹」の情報か、最初はわからないと思います。「PERAGARU」のレポートだと主に「幹」のところに絞った情報がいろいろ書いてあるので、そのレポートを読んでエッセンスに触れてもらうというのは少し役に立つかもしれません。

ーー何が「幹」なのかというのを、普段からPERAGARUでやられているわけですね。

塩谷:そのとおりです。私などは枝葉のところが多いので、全部ほかのメンバーの添削で消されたりしますね。

ーー社長は何をしているのですか?

塩谷:「枝葉はいりません。このようなところは調べなくていいです」と、いつも社内で言われています。

ーーなかなか優秀なメンバーが集まっているということですね。

塩谷:観ていますか? みなさま、もう少し優しくしてください。

ーーこの動画を観ているのですか?

塩谷:社員は誰もYouTubeを観ていません(笑)。

ーーレポートが読みたいという方もいると思いますが、そのような方はどうしたらいいですか?

塩谷:動画の概要欄かQRコードで会員登録できます。まずは登録して、無料で見られるレポートもあるので、よかったらチェックしてみてください。

ーーわかりました。

塩谷:今日もありがとうございました。

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