アピリッツ、連結売上高が前年比で2桁成長 デジタル人材育成派遣は順調に進捗、ラボ型開発サービスの提供を開始
目次
中館博貴氏:株式会社アピリッツ取締役執行役員CSOの中館です。2026年1月期第2四半期の決算説明をはじめます。
本日は初めてアピリッツのことを知っていただく方も多いかと思いますので、当社がどのような事業を行っているのか、冒頭でご紹介します。
そのため、全体の流れとしてはコーポレートサマリ、直近発生したトピックス、2026年1月期第2四半期の業績発表の順番で進めます。
会社概要
それでは、コーポレートサマリからです。
当社のビジョンは「ザ・インターネットカンパニー」、ミッションとしては「セカイに愛されるインターネットサービスをつくり続ける」を掲げています。
「セカイ」は、グローバルという意味と、それぞれのコミュニティや業界という意味をさしています。そのような「セカイ」に対し、創業から生業としてきたシステム開発やアプリ開発を提供し続け、変革をもたらすという意味が含まれています。
会社概要
会社概要です。2000年に設立しており、現在26期目の会社です。従業員数としては連結で878名在籍しています。
今期グループ会社の動きが新たにいくつかあります。株式会社ムービングクルーを6月に吸収合併しました。株式会社JUT JOY(JUT JOY社)が5月にジョインしました。当社の旧オンラインゲームセグメント、株式会社アピリッツ・ファンカルチャーパートナーが8月に分社化しました。
そして、Bunbu Joint Stock Company(Bunbu社)がジョインし、11月から連結予定で動いています。
会社概要(過去10年の全社売上高推移:連結)
過去10年間の売上の推移です。安定的な成長を続けており、上場以降、M&Aを連続的に繰り返し、成長が加速しています。過去10年のCAGRは17.2パーセントで成長しており、今期はグループ全体で104億円を目指しています。
社員数推移
社員数の推移です。連結で878名と労働人口減少時代に対して、将来的な戦力となる20代が60パーセントを占めています。
成長イメージ
続いて、成長のイメージです。2030年に向けて、売上高200億円を目指しており、M&Aを含めて社員数は1,700名規模まで拡大する予定です。
成長戦略としては既存ビジネスのオーガニック成長に加え、年に1件から2件のM&Aを継続的に実施していきます。直近では規模の拡大・トップラインの成長を最重要視しています。
M&Aの方針
M&Aの方針についてです。当社は年に1件から2件以上の中小規模の買収を実施していきます。上場以降、6件のM&Aを成立させており、計画的に推進できています。
会社概要
当社は3つのセグメントを軸に事業を展開しています。
Webソリューションセグメントでは、大規模なシステム開発やスマホアプリの開発、デジタルマーケティングなどを行っています。グループ会社としてはBee2B社、クエイル社、Bunbu社がセグメントに組み込まれています。
デジタル人材育成派遣セグメントは、開発リソースが不足しているお客さまに対してエンジニアを派遣し、リソースを補うビジネスモデルです。また、独自のカリキュラムと教育専門部隊を保有しており、企業のエンジニア育成のお手伝いも行っています。グループ会社としてはY's社とJUT JOY社がセグメントに組み込まれています。
推しカルチャー&ゲームセグメント(旧オンラインゲームセグメント)では、有名アイドルグループの推し活を支援するゲームサービスやファンクラブサイトの開発・運営などを行っています。グループ会社としては今期分社化した、アピリッツ・ファンカルチャーパートナーがセグメントに組み込まれています。
Webソリューションセグメント 事業概要
それでは、Webソリューションセグメントについて詳しくご説明します。Webソリューションセグメントは、DX市場における新規事業・プロダクト開発をワンストップでソリューションを提供できる強みを保有しています。
クライアントの戦略を理解し、ビジネスデザインの設計、マーケティング戦略の策定、システム要件定義、設計・製造、納品後の保守・運用、また運用を強固にするためのセキュリティサービスやサービスをグロースさせるためのデータマーケサービスなど幅広いサービスを保有しています。
SI事例
一部事例のご紹介です。他にもみなさまが当然のように利用されているサービスもありますが、大手の方々だと「秘密にしてほしい」とのご依頼があり、すべてを掲載することができていません。そのような中、公開を許していただいている企業さまの実績をご紹介します。
こちらは株式会社カプコンさまの事例です。Web開発の経験とゲーム開発の経験を活かして、「カプコン40周年記念サイト」の開発を行いました。
こちらのサイトでは、Webブラウザ上で昔人気のあったファミコンレトロゲームを遊ぶことが可能です。「カプコンタウン」で検索するとすぐに遊ぶことができますので、ぜひご覧ください。
SI事例
続いて、株式会社さとふるさまの事例です。
スマートフォンアプリの開発事例です。ふるさと納税サービスを提供している、さとふるさまのプロジェクトで、ネイティブアプリの開発とWebビューを活用した設計・開発・運用を担当しました。
マイナンバーカードを活用したオンライン申請をスマホアプリで簡単に申請できるシステムにも対応しています。
AI活用事例
続いて、AI活用事例です。AIへの取り組みについては、大きく3つのサービスを提供しています。
生成AIに関するリスキリング支援、AI業務効率化支援、AIを活用した既存のプロダクト強化の3つの軸でサービスを提供しています。引き続きニーズが高まっており、既存のお客さまから導入を進めています。
26期トピックス
具体的には、生成系AIを導入した自社サービスを株式会社ロッテさまに導入していただいています。
Webサイト上にある「よくある質問ページ」で検索したが、検索にひっかからないワードを検知して、自動的に類似語を分析し、生成AIが質問文書を補完します。ユーザーが検索してもヒットしない課題に対し、AIを活用し、解決した事例の1つです。
Webソリューションセグメント 事業概要
DX化のニーズは活況であり、引き続き引き合いは多くいただいています。そのため、大型でかつ長期的な案件の獲得と単価アップ、さらに多様なサービスを提供しながら、LTVの向上(継続力の強化)を目指しています。
デジタル人材育成派遣セグメント 事業概要
続いて、デジタル人材育成派遣セグメントについて詳しくご説明します。デジタル人材育成派遣セグメントは開発リソースが不足しているお客さまに対してエンジニアを派遣し、リソースを補うビジネスです。
アピリッツとのグループ間取引も行っており、アピリッツの開発ノウハウを共有しながら、カリキュラムのアップデートとメンバーへの教育を行っています。
デジタル人材育成派遣セグメント 事業概要
開発サポート・エンジニアを教育する専門部隊を保有しており、独自のカリキュラムと教育手法によって、他社とは人材育成の品質とスピードが異なります。
デジタル人材育成派遣セグメント 事業概要
外部環境としては労働人口縮小の波を受けて、エンジニアの数も減少しています。ただし、DX市場は拡大するため、人材不足が成長の足枷になっています。
昨今、開発におけるAIの導入が進み、人材不足は解消されるとの話が出ていますが、どちらにしてもエンジニア不足は変わらないため、ニーズは高まると予想しています。
推しカルチャー&ゲームセグメント 事業概要
続いて、推しカルチャー&ゲームセグメントについて詳しくご説明します。『けものフレンズ3』や『UNI'S ON AIR』など推し活支援ゲームやファンクラブ運営ノウハウを武器に3つの事業を展開しています。
1つ目がスマホゲームの運営移管・受託開発、2つ目が芸能系のファンクラブサイトの企画・開発・運営、3つ目がゲーム人材に特化した人材派遣です。
この3つの事業を展開しながら、バランスを勘定し、推し活市場向けのサービスを拡充していきます。
推しカルチャー&ゲームセグメント 事業概要
現在、運営しているタイトルの一部をご紹介します。
『UNI'S ON AIR』は、櫻坂46と日向坂46の楽曲やライブ映像を楽しみながらプレイできるスマートフォン向けリズムゲームです。
『乃木坂的フラクタル』は、プレイヤーがプロデューサーとなり、好きなメンバーでユニットを編成し、衣装・楽曲をカスタマイズして理想の乃木坂46を作っていく放置系(オート中心)の育成ゲームです。
『一騎当千エクストラバースト』は、漫画・アニメの『一騎当千』を題材にしたスマホ向けRPG(PC版もあり)です。
このようにリズムゲームから放置ゲーム、RPGゲームの開発・運営ができることも、当社の強みです。
2026年1月期におけるサービス管掌の組み換えについて
それでは、直近のトピックスをご紹介します。今期に入り、オンラインゲームセグメントから推しカルチャー&ゲームセグメントに名称が変更されており、こちらのセグメントは子会社化しています。
また、サービスの管掌組み換えが一部発生しており、推し活業界を支援できるサービスの管掌を1つにとりまとめていますので、ご留意いただけると幸いです。
連結業績ハイライトサマリ
それでは、連結業績のハイライトサマリです。売上高は51億5,600万円、前年同期比122.2パーセントで堅調に成長しています。ただし、営業利益はマイナス1,800万円で着地しており、Webソリューションセグメントでの不採算案件対応で外注費が想定を上回り、利益を圧迫しました。
問題点の詳細については、セグメントの業績発表でご説明します。
Topics 修正予算について
2025年9月5日に修正開示を行っています。売上高はすべてのセグメントで好調に計画どおり推移していますが、Webソリューションセグメントで発生した、不採算案件対応により営業利益以下が未達となっています。そのため、業績予想の修正を開示しました。
Topics 修正予算について
上期業績予想の修正に伴い、通期業績予想の修正も行っています。Webソリューションセグメントにおける不採算案件の収束目処はみえているものの、下期も影響が一定あると想定し修正、推しカルチャー&ゲームセグメントではアプリ外課金を推進しており、タイトルごとの導入時期、浸透度合いに差があるためレンジで予想しています。
個別の業績予想について、大きく期初との差が出ていますが、こちらは推しカルチャー&ゲームセグメントが子会社化したため、個別から除外されたことが差分の大きな要因です。
Topics M&A
続いて、M&Aについてです。ベトナムの開発会社であるBunbu Joint Stock Companyを子会社化しました。連結は11月から寄与する想定で動いています。
今回、ベトナムの企業を選択した理由としては、優秀なIT人材の安定的な確保、コストの最適化、開発の生産性向上を目指すためにベトナム企業を選択しています。
また、当該企業を選択した理由としては、ギア社長は慶應義塾大学出身のエンジニアで日本語が堪能であること、また優秀な人材を多く抱えており、売上の9割が日本企業と仕事をしていることなど、シナジーの効果が高く、双方にとって大きなメリットがあることからM&Aを実施しました。
Topics 出資について
スタートアップへの出資も進めています。SportsTech Japan社への戦略的な出資とサービスの共同開発を開始しました。
当該会社はAI開発を強みとしており、スポーツ業界における部活動や地域スポーツの指導者不足を、AIの活用により解決することを目的としています。
当社は上流工程とエンジニアリングで伴走し、社会的価値と将来的なリターンを目指しています。
Topics 株主還元方針について
続いて、株主還元方針についてです。当社は株主還元の充実を念頭に配当性向30パーセントと方針を定めていました。
今回、利益についてはマイナスという状況ではありますが、株主のみなさまへの安定的な還元を鑑みて、期初配当予想どおり、上期14円、下期14円、通期28円を据え置かせていただきます。
連結業績ハイライト(売上高 四半期推移)
それでは、2026年1月期第2四半期連結業績ハイライトについてご説明します。
四半期ごとの連結売上高のご報告です。第2四半期の売上高は26億8,100万円、前年同期比128.6パーセントと、各セグメントが堅調に成長しています。前年同期比で大きく2桁成長し、当初予算に対して、計画どおり推移しています。
連結業績ハイライト(原価・販管費 四半期推移)
原価・販管費です。原価・販管費合わせて、27億600万円、前年同期比123.1パーセント、直近四半期会計期間比109.3パーセントとなりました。Webソリューションセグメントの不採算案件対応により、想定よりも高い数値で推移しています。
推しカルチャー&ゲームセグメントでは外注費が軽減、デジタル人材育成派遣セグメントでは適正に推移しています。
連結業績ハイライト(営業利益・営業利益率 四半期推移)
これらの原因を受けて、営業利益はマイナス2,100万円、営業利益率もマイナスで着地しています。
Webソリューションセグメントの外注費の増加により、営業利益は減少、今後の見立てとしては、下期段階的に回復する想定です。
連結業績ハイライト(EBITDA推移)
EBITDAです。営業利益の減少に伴って、EBITDAが低減しており、1,900万円で着地しています。
連結業績ハイライト(貸借対照表)
BSです。第1四半期から大きな増減はありません。
社員数推移
社員数の推移です。社員数としては連結で878名、直近四半期会計期間比だと98.8パーセントで10名減少しており、前年同期比113.3パーセントで103名増加しています。採用基準を引き上げ、選択的に抑制しており、キャリア採用に選択と集中しています。
Webソリューションセグメント・業績ハイライト(売上高 四半期推移)
続いて、各セグメントの業績発表です。まずは、Webソリューションセグメントです。
Webソリューションセグメントの第2四半期の売上高は、9億7,700万円、前年同期比124パーセントで成長しています。
Webソリューションセグメント・業績ハイライト(原価 四半期推移)
ただし、昨年と同様に、不採算案件が発生しました。こちらの対応ということで、外注費を投下し費用が大きく増加しました。そのため、8億3,200万円で着地しています。
Webソリューションセグメント・業績ハイライト(セグメント営業利益 四半期推移)
結果的に第2四半期の営業利益は、6,800万円で着地、セグメント利益率は5.6パーセントと、想定よりも下回っています。今後、下期にかけて営業利益率は段階的に回復する想定でいます。
現状の問題点と課題設定
昨年から発生している不採算案件について、問題点と対策についてご説明します。現在の状況をわかりやすくご説明すると、建築で例えるならば、今まで当社は一戸建てを作っていましたが、案件の規模が大きくなり、大型マンションや商業施設の依頼が増えてきました。
難易度と規模が大きくなり、建築の基礎が弱いまま、うわものを立て、納品の際にお客さまの水準を満たすことができず、建築の基礎から作り直すケースが増えてきました。そのため、基礎を作り直す費用とうわものを作り直すため多くの費用が発生しています。
当社の問題点は2点です。1点目は大規模な案件に対応できる設計者が少ないということ、つまりプロフェッショナル人材が少ないということです。2点目は各工程のチェックができていない、気づいた時には手遅れになっているということです。
1点目の対策としては時間がかかりますが、上流工程に対応できる設計士の採用を強化すること、2点目の対策としては横串のMTGをすることにより、検知することはできるようになりましたが、チェックポイントを増やし、より早い段階で検知できるような確認体制の構築を行います。
現状の問題点に対する打ち手
現在、それぞれのプロフェッショナルの採用と社内からの昇格などを行い、改善に努めています。
Webソリューションセグメント・業績ハイライト(問い合わせ数推移)
続いて、問い合わせ状況です。システム開発の問い合わせは堅調に推移しています。受注取引金額としては5,000万円以上の案件が増加しており、特に2億円以上の案件規模も増加しています。
26期トピックス
続いて、直近の実績紹介です。株式会社インフォネットさまの事例です。こちらは次世代型CMSサービスの構築です。Webサイトを作ったことがない人でもノーコードでWebサイトを編集することができ、特にセキュリティにも強いサービスです。こちらは要件定義、設計、開発、運用保守を一気通貫で担当しています。
26期トピックス
続いて、株式会社TRUSTDOCKさまです。こちらはポイ活サイトの構築案件です。オンライン本人認証とデジタルIDウォレットを連携し、従来のポイ活サービスとは異なる安全性の高いサービスを実現しました。こちらも要件定義から開発・保守運用まで一気通貫で担当しています。
デジタル人材育成派遣セグメント・業績ハイライト(売上高 四半期推移)
続いて、デジタル人材育成派遣セグメントです。
第2四半期の売上高は4億9,900万円、前年同期比139.3パーセントと、順調に成長しています。
デジタル人材育成派遣セグメント・業績ハイライト(原価 四半期推移)
原価は3億7,600万円、前年同期比125.7パーセントで着地しています。売上高増加に伴い、費用が増加しています。
デジタル人材育成派遣セグメント・業績ハイライト(セグメント営業利益 四半期推移)
結果的に、営業利益はセグメントとしては2,800万円、Y's社単体で見た時は3,800万円で着地しています。グループ間取引とY's社およびJUT JOY社ののれん償却費用が発生しているため、でこぼこしています。主力であるY's社単体で見る場合、順調に成長しています。
ラボ型開発サービス
デジタル人材育成派遣セグメントとして、ラボ型開発サービスの提供を開始しました。ただ、派遣をするだけではなく、お客さまの状況に合わせた柔軟な開発体制を提供し、ラボとして研究・開発を推進することが可能です。開発スピードとコストの最適化を実現するサービスです。
推しカルチャー&ゲームセグメント・業績ハイライト(売上高 四半期推移)
続いて、推しカルチャー&ゲームセグメントです。売上高の推移としては12億2,500万円、前年同期比で159.7パーセントと、過去最高の売上高で着地しています。
第1四半期で運営移管した新規プロジェクトが寄与し、順調に成長しています。
推しカルチャー&ゲームセグメント・業績ハイライト(原価 四半期推移)
原価としては、10億7,500万円、前年同期比159.1パーセントで着地しています。売上高に伴ってプラットフォーム手数料などの売上連動費用が上昇しています。
推しカルチャー&ゲームセグメント(セグメント営業利益 四半期推移)
営業利益としては、9,900万円、営業利益率は7.4パーセント、前年同期比305.8パーセントで着地しました。
当社が運営しているゲームタイトルは第3四半期・第4四半期で周年記念イベントがありますので、売上と利益が伸びる想定でいます。
また、アプリ外課金の導入を進めており、利益体質に向けてプロジェクトを進行しています。
2026年1月期第1四半期 運営タイトルー覧
運営タイトルについてです。一部クローズ案件があるものの、8タイトルが運営中です。
以上が業績のハイライトでした。
コーポレート
最後に、当社ではIRライブラリにて、質疑応答集・ファクトブックなどの情報を掲載しています。
また、「note」や「X」にて事業に関する情報や補足を発信していますので、ご覧いただけると幸いです。
以上、ご清聴いただきありがとうございました。
中館氏からのご挨拶
当社は小型株で個人投資家の方に支えられています。定期的にIRセミナーに参加していますので、今後ともウォッチしていただけると幸いです。
またここ最近、ありがたいことに直接お問い合わせをいただく機会が多く、個人投資家の方から「他社はこんな取り組みをやっているけど、どうですか?」など、情報をご提供していただき、社内に展開して検討することが増えてきています。
ぜひ、客観的なご意見やご要望をいただけると幸いです。
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