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株式会社クエスト2332

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情報・通信業

2026年3月期第2四半期決算

小泉裕氏(以下、小泉):みなさま、おはようございます。取締役上席執行役員の小泉です。2025年度第2四半期の決算についてご説明します。

お手元のポップコーンは、当社が今年で創業60周年を迎えるにあたり、従業員発案で作られたものです。「従業員こそ自社のファンになってほしい」という思いと、「ポップコーンのように会社が未来に向かってはじけてほしい」という願いを込めた記念品です。ぜひご賞味ください。

当社概要

会社概要をご説明します。スライドで前回からアップデートした部分は青文字で示しています。

従業員数は、4月に子会社のセプトをM&Aしたことが主な要因となり、連結ベースで1,100名を超えました。また、国内の拠点数は現在7拠点となっており、新たに北上に拠点を設けました。こちらは、主に岩手に所在する半導体の大手企業とのビジネス強化を目的としたものです。

四日市については、もともと拠点がありましたが、お客さまのビジネスの成長に伴い、社員数の増加や働きやすい環境を整備するため、駅近の新築物件に移転しました。

また、4月にM&Aした新たな仲間として、秋葉原に所在するセプトが加わりました。これにより、関係会社は2社となりました。

目次

アジェンダです。大きく3つのセクションに分けてご説明します。

1-1.2025年度 第2四半期(累計)実績 業績ハイライト

第2四半期累計実績についてご説明します。業績のハイライトについては、スライドに売上高、営業利益、EBITDAの順でグラフを示しています。過年度との比較もあり、一番右が通期業績予想と第2四半期までの累計実績です。

売上高は約88億円で、通期計画進捗率は約52パーセントです。営業利益は約4億9,000万円で、過去の水準と比較すると進捗率は41パーセントとやや低い状況ですが、これについては後ほどステップチャートで詳しくご説明します。

参考値として、売上高と営業利益の過去5年平均の進捗率もあわせて提示しています。

1-2.2025年度 第2四半期(累計)実績 前年同期比較

P/Lのかたちで詳細にご説明します。売上高は昨年度の72億円から約88億円と、約16億円増加し、増減率は20パーセント超のプラスとなっています。この増加については、セプトを連結したことが主な要因です。

一方で、営業利益の絶対額については、残念ながら前期の実績に約1,000万円届かず、前年同期比でマイナスとなりました。この点については、後ほどステップチャートで補足します。

経常利益、純利益、EBITDAも、営業利益の減少に伴い、前年と比較して若干のマイナスという結果になっています。

1-3.顧客産業別売上高(ポートフォリオ比較)

顧客産業別の売上高です。スライド左側2つのグラフは、今回M&Aを実施したセプトを除いた2社連結ベースでの比較になっています。当社の重点強化領域である半導体、製造がオレンジ、安定成長領域の金融、エンタテインメント、情報発信がパープル、公共・社会および移動・物流等がグリーン系となっています。

2社連結ベースで見ると、重点強化領域の比率は前年同期比で3ポイント増加しています。半導体市場の回復に伴い、半導体関連のお客さまからの新規案件が拡大したことが要因です。

対するセプトを含めた3社連結ベースについてです。セプトは金融および情報通信産業の案件をメインとした構成で、結果として昨年度の2社連結と比率はほぼ同じとなっています。

これはほぼ想定どおりの結果で、現在、両社間で人材の積極的な交流やローテーションを図っています。今後はオレンジ色の重点強化領域を少しずつ拡大していく予定です。

1-3.顧客産業別売上高(ポートフォリオ比較)

絶対額がどのように推移しているかをスライドに示しています。スライドのグラフで、薄いブルーが昨年度の2社ベースの売上高、中央のブルーが今年度の2社ベース、一番下が3社ベースの連結数字を示しています。

売上の拡大要因については、重点強化領域では特にメモリ領域を中心とした半導体の案件が増加しています。安定成長領域は先ほどご説明したとおりです。社会課題解決領域については、金額はまだ大きくありませんが、主に電力関係のお客さまよりインフラサービスの案件をいただいています。

1-4.営業利益の増減要因(前年同期比較)

営業利益の増減をステップチャートで示しています。スライドの左端が昨年度上期の実績で、約4億9,700万円です。中央からやや右には上期の実力値として5億7,200万円、右端には実績として4億8,700万円が示されています。この実力値と実績の差については、大きく分けると2つの要因があります。

1つは、セプトを連結化したことによりのれん代が若干増加したことです。この点において上期は若干苦戦しましたが、ビジネス戦略を共有したことにより、9月からは単体で黒字を着実に計上できる体制に変革しました。下期については増加するだろうと考えています。

もう1つは、創立60周年記念に関する費用です。主な内容はすでに発表しましたが、持株会の強化や一時的な原因による費用を含めて上期で計上しました。これらの要因は下期では発生しない見込みのため、下期は全体的にかなり安定した状況になるのではないかと見ています。

実力値では5億7,200万円となり、前年比では増収効果が約1億円あります。人材投資は前年度より1,100万円ほど改善、すなわち支出が減少していますが、これはタイミングの差で、年間では大きな減少にはならないと考えています。

残りのスライドグラフにピンク色で示した部分は開発投資、および本社機能の強化を通じた体質強化に伴う費用増等です。実力値ベースでは8,000万円弱の増益です。

1-5.従業員数の推移

社員数は、セプトの連結で106名が加わり、全体では153名増となっています。内訳としては、新入社員が50名弱入社しており、経験者採用数とほぼ同数が自然退職を含めた退職による減少で、例年の傾向とほぼ変わりません。

2-1.2025年度 通期業績見通し

2025年度通期の業績見通しについてご説明します。通期の見通しについては、発表済みの売上高168億6,000万円、営業利益11億8,000万円に変更はありません。上期は一時的なコストが発生したため、その部分が解消されることと、もともと下期に利益が偏重する傾向があることから、この数字は着実に達成できると考えています。

2-2.株主還元方針

株主還元についてです。2026年3月期の配当は55円を予定しています。昨年度は記念配当が5円、普通配当は53円でした。株主還元は着実に右肩上がりで計画しています。

3-1.第2期・中期経営計画(2024-26年度)

中期計画の進捗についてご説明します。2024年度から2026年度を対象とした「Phase2」での売上目標については、以前スライドのようにご説明しました。

【補足資料】中期経営計画(2024-26年度)

現在のポジションは、M&Aも実施していることから、売上についてはすでに2026年度の目標を前倒しで達成できる見込みです。利益面については、上期までの結果を見ると若干心配な点もあるかと思いますが、ご説明したような理由から、下期には着実に挽回する見込みです。現在、増益を目指して鋭意進めています。

3-2.事業成長戦略の考え方

5月に発表した事業戦略の考え方については、一切のぶれはありません。当社の強みであるコアサービスとして、リカーリングビジネスの部分を着実に推進し、微増ながらも利益をしっかり上げていきます。

加えて、数年前から進めているソリューションサービスで、高付加価値のビジネスを拡大することに引き続き取り組んでいます。

3-3.事業トピックス

ソリューションサービス拡大の1つの手法として、売上高や利益を維持しながら成長させていくためには、既存の保守・運用サービスの受け皿が必要です。そのため、若くてエンジニアが多いセプトをM&Aしました。

上期に行った施策として、まずは戦略を両社で共有し、どのような顧客をどのように攻めていくのかを明確にしました。これは当然ながら、リソースの補強が目的です。セプトは二次請け、三次請けの顧客が多かったため、クエストの案件においてセプトの社員を活用することで、機会損失の削減と利益率の改善を同時に進めています。

セプトを取り入れることにより、売上高や利益を落とさず、クエストのエンジニアを再教育して、よりソリューションビジネスにフィットするエンジニアを増やしていくという戦略を掲げています。この施策についても現在進行中です。

また、経理や人事システムは親会社や関連会社のシステムに統一を進めています。経理システムについては来年4月までに3社すべてを一本化し、科目体系も統一する措置を講じています。これにより、間接業務の効率化を図ります。また、勤怠システムもできる限り統一し、短期間で社内システムの大幅な改善を進めていく予定です。

人材交流の強化にも取り組んでいます。セプトの社員とクエストの事業部・営業部のメンバーが、さまざまな会議で協議を行っています。その中で、お客さまの状況をきちんと確認しながら、セプト、クエスト、そしてエヌ・ケイの3社で最適な社員の配置を行っており、この点が大きく変化してきている部分ではないかと考えています。

3-3.事業トピックス

当社の重点強化領域である半導体関連のお客さまのニーズに応えるため、北上事業所を新設しました。また、四日市事業所については、バスロータリーからすぐの場所に拡張移転し、お客さま先から戻った社員が気持ちよくオフィスに入れるようなコンセプトも取り入れ、働く環境を大幅に改善しました。

3-3.事業トピックス

事業のトピックスです。ソリューションの強化については、スピードはまだお客さまのご期待に応えられるレベルではないかもしれませんが、現在、確実にお客さまやパートナーとの共創の実績を1つずつ積み上げている状況です。

特に、製造事業所のナレッジ活用において、生成AIの環境を整えたり、コードのリファクタリングを行ったりするお手伝いをしています。また、製造業においては在庫コントロールが非常に利益に直結するため、我々のソリューションメニューを提供してこの可視化を支援しています。着実に実績を上げているところです。

ソリューションメニューを着々と作成しているところですが、メニューを発表しても実績が伴わない場合、お客さまはついてきません。そのため、きちんと実績を示せるかたちで、ある程度準備が整った段階できちんと発表しようという流れになっています。

3-3.事業トピックス

もう1つの目玉であるセキュリティを中心とした伴走型支援サービスについてです。スライド左側の内容は、10月の終わりに名古屋駅前にある愛知産業労働センターで実施したものです。他社を含めて35のブースが設置され、当社はサイバーリーズンとタイアップしてお客さまを招き、さまざまなご説明を行いました。

企業の情報資産を守る当社のSOCサービスや、サイバーリーズンとタイアップしてそこの強化をしていること、また、データエンジニアリングとしてデータ分析ツール「Spotfire」の活用などをプロモーションし、引き合いを少しずつ増やす取り組みを行っています。

New Growth, Go Quest

企業価値を上げるために、スライドの3つの方針に基づき着実に取り組みを進め、選ばれる企業になることを目指しています。

最近では、「IT」「OT」「おもてなし」という3つのキーワードで当社のカルチャーを表現し、多くの「ありがとう」をいただける会社を目指しています。「ARIGATOU ITの未来は『ありがとう』の中にある。」という言葉を会社としてしっかりアピールしながら、受注拡大や利益貢献に向けて取り組んでいきます。

質疑応答:価格交渉の現状について

質問者:同業他社と比べると、売上に対して利益率が若干低く、取引先との価格交渉がうまくいっていないのではないかという気がします。

当然、各社が従業員の賃金を5パーセントなど一律でアップしている動きがある中で、御社もその点を含めた価格交渉を取引先としなければならない状況だと思います。その一方で、利益率が低いというジレンマに陥っているのかもしれないと感じています。この点についてのお考えをお聞かせください。

小泉:売上に対して利益率が低いことについては、課題として認識しています。社員の賃上げも進めていますし、外注先やパートナーとの価格交渉も関連しています。お客さまへの価格転嫁が適切に行われなければ、利益率の減少につながります。

これまで価格交渉においては、長年取引のあるお客さまが多いため、事業部内の営業担当者が対応してきました。ただし、物価上昇や賃上げの流れの中で、ふだんコミュニケーションをとっているメンバーが厳しい話を持ち出しにくい環境にあることは否めません。そのため、現在は横断的に見ている営業部隊が中心となって価格交渉に対応しています。

ガイドラインを設定し、お客さまごとに企業の特性や方針に基づいて個別に交渉を行っているところです。アップしていただいているところもありますし、今年は難しいという状況でも先のある時点で実現しようというお話になっているところもあります。

一部では価格改定が実現し、継続的に交渉を進めています。したがって、100パーセントすべての価格転嫁が実現したわけではありませんが、こちらの希望率を上回る条件を受け入れてくださるお客さまもいるなど、着実に対応を進めている状況です。

質疑応答:2030年度の営業利益目標について

質問者:2030年度の売上高200億円以上という目標が掲げられています。この時の営業利益率はどれくらいをイメージされているのでしょうか?

前期は営業利益率が7パーセントで、良い時期は8パーセントだったと記憶しています。売上高が200億円を超えた場合、営業利益率は5パーセントぐらいに留まることが予想されます。2030年度に向けた営業利益の目標が社内で共有されているかどうか教えてください。

小泉:利益率については、すでに公表しているとおりまずは10パーセントを目指しています。内部的にはもう少しいけるのではないかとも考えています。しかし、ポイントとなる部分として、従来型の保守運用サービスの場合、リソースの確保ができなければビジネスも利益を出せません。

そのため、数年前からソリューションビジネス、つまり人工に頼らないビジネスの割合を増やし、収益率の高いビジネスを拡大することで、2030年にはその比率を30パーセントに引き上げることを目指す戦略を進めています。

現在はちょうど仕込みの時期です。エンジニアを教育し、保守運用ビジネスからローテーションしながら、ソリューションビジネスをいかに早く立ち上げるかが喫緊の課題となっています。今はそこに必死になっている状況です。

質疑応答:採用計画の進捗について

質問者:来年4月の新卒採用計画数は、かなり決まっていると思います。その進捗を教えてください。

小泉:採用計画及び進捗は例年とほぼ変わりません。数年前からおよそ45名を目標として新入社員を着実に採用してきました。昨今は目標値を若干上げ、50名としています。できるだけ早くソリューションビジネスに適応する人材を育てたいという思いがあり、増やしました。

なお、中途採用に関しては、計画規模感は新卒とあまり変わりませんが、目標値の半分程度しか達成できていない部分が課題となっています。その傾向は数年前から現在まで、あまり改善していません。

リクルート方法として、通常のエージェント以外にSNSやその他の手法を取り入れるなど、多様な方法で中途入社の社員を確保していくことが重要になってくると考えています。

質疑応答:大手顧客に選ばれる理由について

質問者:最大手の半導体のお客さまが、他の会社を選ばず御社を使い続ける理由を教えてください。

小泉:端的にいえば、やはり半導体の工程や製造プロセスについて、当社の社員が通常のSIerと比較して、きちんと理解し、共通言語で会話ができているからです。

製造業、特に半導体の領域に関しては、ブラックボックスに近いような領域があります。そのため企業側からすると、あまり複数のベンダーを使いたくないというのが本音だと思います。

その中で、製造プロセスや設計プロセスについてきちんと共通言語で会話ができ、どこに手をつければよいのかを適切にアドバイスできることが、当社のアドバンテージになっていると考えています。

質問者:ブラックボックスに関しては、反対にノンディスクロージャーアグリーメントに反して、御社の誰かが漏らしてしまうというリスクが存在するのでしょうか?

小泉:いわゆるブラックボックスの部分には基本的に含まれていません。ブラックボックスの周り、例えば製造データや設計データなどがありますが、大手製造業のIT部門の方々は、もっと根幹的な部分を担っています。

データのクレンジングやマスターデータの整備といった作業については、誰かに依頼したいと考える部分があるように感じています。その部分については共通言語でしっかりと話ができるエンジニアがいる我々にご依頼いただけるのではないかと考えています。

質疑応答:ソリューションビジネスの内容について

質問者:ソリューションビジネスについてです。何をソリューションとするのか、他社とどのような点が違うのか、どのようなサービスを考えているのでしょうか?

小泉:スライド19ページと20ページの一番右に記載のように4つの領域があります。現時点ではこの4領域すべてに満遍なく対応する体制はまだ整っていませんが、特に力を入れていくのはセキュリティ領域とデータエンジニアリングソリューションの分野です。お客さまと共創の実績を着実に構築しています。

当社の重点強化領域の半導体・製造領域では、エンジニアや製造関係者の知見を共有し、それを財産として持っていく中で、依然として多くの企業でデータが散らばっています。そこに対して、昔は人で対応していたところを、生成AI等を活用することで効率良くお客さまにサービスを提供します。

また、仕様書の自動生成などをサポートしながら、お客さまの主要な課題を少しでも解決すべく、伴走型のサービスを展開しています。

基本的には、4つの軸のうちデータエンジニアリングと、クラウド型マネージドサービスを早い段階で確立することを目指しています。特に4つ目の領域ではセキュリティ分野に注力しているところです。

もともと我々は保守運用サービスを主力としていた経緯があるため、OT(オペレーションテクノロジー)の分野にも重点を置いています。

実際に、お客さまからは、現在契約しているIT業者から当社のサービスに乗り換えたいというご相談が多く寄せられています。特に、OT領域については長年知見を培ってきた分野で、OTとITを組み合わせてソリューションサービスを提供することが、当社の強みを活かしつつ成長を図れるポイントであると考えています。

質疑応答:PBR改善の取り組みについて

質問者:御社のROEは10パーセント前後で、自己資本比率も74パーセントと安定しています。一方で、PBRは現在1倍前後と、まだ改善の余地があるのではないかと感じています。PBRを高めていく上で、現在の取り組みについて教えてください。

小泉:やはりPBRを高めるためには、1株当たりの価格を上げていく必要があります。その際に一番重要なのは、利益を上げることです。そのほか、従来取り組んでいる部分としては、アセットを適正な水準にできるだけ持っていくことです。

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