logmi Finance
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株式会社サンリツ9366

東証スタンダード

倉庫・運輸関連業

本日のご説明内容

柴本守人氏(以下、柴本):サンリツ代表取締役社長の柴本です。みなさま、本日はお忙しい中、当社IR説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。さっそくですが、株式会社サンリツの会社説明を始めます。

まず、本日の説明内容です。会社概要からサステナビリティへの取り組みまで、順を追ってご説明します。

1-1. 会社概要

柴本:初めに、会社概要です。株式会社サンリツは1948年3月に設立され、今年で創業77年を迎えた会社です。

直近年度の連結売上高は201億円です。従業員数は連結で449名、契約従業員の方と派遣従業員の方を合わせると、合計1,000名強の方に従事いただいています。国内拠点は、関東を中心に10拠点あります。連結子会社は国内に1社、アメリカに1社となっています。

坂本慎太郎氏(以下、坂本):質問を挟みながらおうかがいしていきたいと思っています。

この後に事業紹介がありますが、御社は梱包中心の事業ということで、そこに至るまでの簡単な変遷や創業のきっかけなどを含めて教えていただければ、理解が深まるかと思います。

柴本:後ほどご紹介しますが、当社は1948年に、梱包を主軸とした会社を設立しました。設立当時の1940年代は、まだ梱包そのものは事業として確立していませんでした。当時は輸送の際、運転手が運びやすいように簡単な包装を施す程度だったため、輸送中の製品破損や製品へのダメージが非常に多かったそうです。

当社の創業者がそのような状況を見ていく中で、梱包が輸送中の製品を守るためにいかに重要なのか、また、物流というプロセスにおける梱包の事業性にも目を向け、当社を設立したと聞いています。

1-2. 事業概要 セグメント別

柴本:事業概要についてご説明します。当社は開示上のセグメントとして、梱包、運輸、倉庫、賃貸ビルの4事業に分類しています。

事業分類ごとにご説明します。初めに、梱包事業です。こちらは当社売上の全体の7割を占める事業であり、当社の中核を担っています。梱包事業については、後ほど詳細にご説明します。

続いて、運輸事業です。当社の自社所有車両は30台程度と多くはありませんが、全国各地の協力会社と連携しながら、国内全般の輸送対応を行っています。

次に、倉庫事業です。こちらは、自家所有の倉庫と賃借倉庫を合わせて運営を行っています。自家所有の倉庫については、一般的なマルチ型倉庫との差別化を図るべく、全館に空調を完備しています。

また、明るさや照度については、高ルクスの照明設備を設置することで従業員が働きやすい環境を提供するとともに、お客さまの製品に最適な倉庫オペレーションを提供しています。

賃貸ビル事業については、当社本社ビルの運営のみとなっています。

1-3. 梱包とは

柴本:梱包について、少しご紹介したいと思います。まず、包装を大きく2つに分類すると、工業包装と商業包装に分かれます。当社が事業として行っているのは、工業包装です。主に企業向けの輸送時における製品の保護を目的とした包装であり、先ほどご紹介したものにあたります。

梱包を行う上で重要な要素となるのが、設計です。スライド右側には設計を行う上でのポイントを記載していますが、保護性や作業性から最後の廃棄処理に至るまで、お客さまのニーズを聞き取りながら最適な設計を施すことが、梱包にとって非常に重要な要素となっています。

坂本:スライドの図を見る限り、木材で梱包されていますが、木材が中心でしょうか? 紙やプラスチックなどもあるのか、御社のお考えを含めて教えていただけますか?

柴本:梱包を行っていく上で主流となっているのはダンボール、またはこちらのスライドに出ているような木箱梱包です。

ダンボールは比較的梱包そのものが容易にできるため、近年ではメーカーが自社の製造ラインの最終工程で施してしまうケースが非常に多く出てきています。そのため当社では、スライドの画面に出ている木箱の梱包が中心です。

後ほどご紹介しますが、最近では環境問題という側面から、徐々にスチールの梱包のようなものの需要も高まっています。

坂本:リサイクルできるからですか?

柴本:そのとおりです。

坂本:次のスライドでは、小さいものから大きいものまで梱包されるというお話があるかと思います。大きいものは、先ほどご説明のあった最終工程となる梱包のうち、木材やスチールなどメーカーができない梱包を御社が行っているという意味ですか?

柴本:おっしゃるとおりです。大型になればなるほど木箱を、さらに超大型製品に関してはスチールなど、そのあたりを使い分けながら梱包を行っています。

1-4. 当社の提供する梱包形態

柴本:梱包形態についてご説明します。梱包形態のうち、ダンボール梱包や強化ダンボール梱包は、比較的みなさまの目に触れる機会が多いのではないかと思います。そのような形態から、木枠や木箱、スチール梱包など、梱包形態も多岐にわたっています。

当社はこれらの梱包形態すべてを自社で対応できることが、1つの大きな強みとなっています。

お客さまの製品の特性や輸送方法、さらには海外へ持っていった後の現地での保管方法、保管期間などをお客さまから十分にヒアリングし、状況に応じて最適な梱包形態をご提案しています。

また、近年ではお客さまからの環境に対する要請が非常に高まってきています。当社としても、スライド中央にある強化ダンボール梱包と木枠梱包を組み合わせたハイブリッドの梱包のほか、最近はリサイクル可能なスチール梱包といった部分を強化しています。

物流事業者の立場として、梱包という観点から、環境の問題についても十分に取り組んでいきたいと考えています。

荒井沙織氏(以下、荒井):スライドには超大型製品まで記載がありますが、大きいものはどのくらいの大きさになるのでしょうか? イメージしやすいよう、ご説明をお願いします。

柴本:まずは通常の重量でご説明すると、工作機械や大型のプレス機は、1台あたり50トンを超えるようなものがあります。

荒井:50トンですか?

柴本:なかなか大きさのイメージが湧きにくいかと思いますが、50トンあるような製品は、スチールを使って梱包しています。

イメージが湧くかわかりませんが、随分前に、胴回り2.5メートル、高さ6メートルもある、笠間焼で作られた超大型の花瓶をペルーに向けて輸出するということがあり、その梱包を弊社にご依頼いただき、対応したという実績があります。

荒井:陶器もまた、繊細な製品ですよね。

柴本:高さが6メートルあるために、寝かさなければ輸送できませんでした。私は当時、梱包自体は見ていませんが、クレーンでつり上げて箱に入れた後、慎重に寝かせるという作業を行ってから輸送したと聞いています。

荒井:中は、がっちりと固めているのでしょうか?

柴本:固めています。梱包を行う上では、外装部分もさることながら、内部の固定と緩衝の部分が肝となっています。当社が長年培ってきた経験を全集中して注いだ結果、無事にお届けすることができました。

坂本:「この素材はこのようなかたちで」といった要望など、いろいろあるのでしょうか?

柴本:おっしゃるとおりです。

坂本:先ほど、クレーンのお話がありました。この後に工場のお話もあるかもしれませんが、御社の工場内で梱包していくものなのですか?

それとも、メーカーから御社の出先のような場所があり、そこで梱包し、持ってくるところまで行っているのでしょうか? 輸送の話も後ほどあるかと思いますが、概略を教えていただければと思います。

柴本:まさにおっしゃるとおり、両方のパターンがあります。製品を弊社に運んでいただき、当社倉庫で梱包するケースもありますが、特に繊細なものであれば、お客さまの製造工場の中に当社の梱包場所をご用意いただき、出来上がってきた製品をその場ですぐに梱包するケースもあります。

坂本:御社の資材を、製造工場に入れて行うのですか?

柴本:場所だけご提供いただき、当社がそこで梱包するようなケースも比較的あります。

坂本:今のご説明で、おそらくこの後の話がかなりわかりやすくなるかと思います。

1-5. 事業概要 取扱製品群別

柴本:当社の取扱製品群についてご説明します。先ほどからお伝えしているとおり、当社は梱包が事業の中核です。したがって、取扱製品群についても、当社の梱包技術をより活かせる製品群に注力しています。

スライド下部に記載していますが、小型精密機器、大型精密機器、医療機器、工作機械といった製品群に注力しており、これら4つの製品群で、当社売上全体の9割を超える取り扱いとなっています。

また、スライド右上には取扱製品群別の売上高推移のグラフを掲載しています。足元の特徴として、大型精密機器の取り扱いが伸びてきている点が、大きな特徴の1つだろうと思っています。

とりわけ半導体製造装置については、近年の伸びが堅調であるとともに、この先はAIのさらなる進展から、業界全体がより一層伸びると期待されます。

また、最近活況なデータセンターに関連する製品群として、当社が取り扱っている無停電電源装置や電力変換装置なども今後の業界や産業として伸びていくことを期待しています。

当社としては、今後着実に成長していく産業分野や製品群などにアプローチしていきたいと考えています。

1-6. 海外拠点

柴本:海外拠点についてご説明します。今年3月に、中国にあった連結子会社の事業譲渡を行い、中国事業から撤退しています。現在、海外拠点としてはアメリカのみとなっています。

アメリカの拠点については、西海岸ロサンゼルス、東海岸ノースカロライナ、ジョージア州のサバンナにそれぞれ1拠点、合計3拠点の自社倉庫を構えて事業を行っています。

アメリカの主要なお客さまは日系の工作機械メーカーで、これら3つの倉庫はいずれも大型クレーンを設置している点が大きな特長です。

アメリカではクレーン付きの倉庫は少なく、当社のクレーン付き倉庫の希少価値は非常に高いです。お客さまからも、クレーンを用いた作業の安全性や作業品質をとても高くご評価いただいています。

今後のアメリカでのビジネスについては、日系企業を中心としたさらなる取引先の拡大、西海岸・東海岸拠点を起点としたアメリカ全土の輸送獲得、また、アメリカ全体を市場として捉えた際の今後の事業拡大を確実に進めていきたいと考えています。

1-7. 事業概要 当社の強み

柴本:当社の強みをご紹介します。当社は創業以降、梱包を中心に事業を展開してきました。しかしながら、企業として成長・拡大していくためには、梱包のみにとどまることなく、物流という範囲の中で着実に領域を拡大していこうと事業を展開してきました。

実際に梱包を専業として行っている会社は非常に多いのですが、当社のように梱包を中心に据えた総合物流会社はあまり多くありません。そのような中で、当社はこの強みを最大限に活かして事業を展開しています。

強みをいくつかご紹介します。1点目は、国際物流の観点です。当社は、輸出の玄関口である横浜と成田に保税倉庫を構えています。

この倉庫の中に当社の得意分野である梱包工場を併設することで、お客さまにとってワンストップのサービスを提供できます。結果として、リードタイムの短縮やコストの削減といったところで、お客さまに貢献を果たしています。

また、当社は海上輸送と航空輸送のライセンスを保有しています。国内工場の引き取りからエンドユーザーのいる現地輸送まで、国境を越えてすべてを自社で一貫してサポートできる点が、当社における最大の強みではないかと思っています。

2点目は、倉庫内オペレーションの部分です。こちらは、特に小型精密機器および医療機器を中心に展開しています。

従来は3PL(サード・パーティ・ロジスティクス)としてお客さまの物流を一括受託する事業を展開していました。しかし、近年ではそこから一歩先に進み、データを駆使しながらお客さまに物流改革の提案も併せて行う4PL(フォース・パーティ・ロジスティクス)サービスへと事業をシフトしてきています。

引き続き当社は、お客さまのビジネスがいかに機能するか、お客さまの戦略的パートナーとしてベストな物流ソリューションを提供していきたいと考えています。

3点目は、当社の梱包技術を活かした包装設計の分野です。当社は、包装設計の専門部隊を社内に配置しています。お客さまの製品に合わせたオリジナル設計を行っており、当社の設計技術は、世界包装機構が主催する「ワールドスター賞」など、海外の主要なコンテストからも評価をしていただいています。

こちらも、梱包を事業の中核と据える当社にとっては欠かせない重要な役割であると考えています。

1-8. 事業戦略

柴本:事業戦略についてご紹介します。当社は企業間物流、BtoBビジネスに絞った事業を展開しています。品質の高いサービスを提供し、その中で梱包分野での差別化を中心に行っています。

まず、特に工作機械のような大型設備の梱包が可能な大型施設を保有している点です。

さらに、付加価値が非常に高く、繊細な扱いが必要となる精密機器、医療機器などを当社の高い品質で確実にカバーしています。そのようなサービスを提供していくことで、当社の優位性を高めていきたいと考えています。

坂本:大型機械の梱包ができる点が御社の強みだと思っているのですが、このような大型設備が整っている同業他社は比較的多いのでしょうか?

どこまでが大型設備になるのかという話もありますが、御社が一番大きな設備を持っているのかということも含め、もう少し詳細をうかがいたいです。

柴本:冒頭にもお伝えしたとおり、梱包事業を展開している会社は非常に多く、国内でも数千社あるといわれています。しかし、比較的小規模な企業が多い中、梱包を中心とした本当に大きな会社はそこまで多くありません。

そのような中で、当社は先ほどお伝えしたような梱包事業を展開しており、スチール梱包は基本的に超大型製品を対象としています。このようなスチール梱包まで対応できる倉庫施設は、さほど多くないと認識しています。

また、当社はスチール自体、つまり鋼材を購入し、自社の倉庫で溶接や箱作りを行うことも可能です。

坂本:カスタマイズも可能な上に、スチール梱包もイチから対応できるということですか?

柴本:おっしゃっていただいたとおり、カスタマイズも比較的柔軟にできるところが1つの大きな強みでないかと思っています。

坂本:精密機器や医療機器は非常にデリケートであるというお話がありました。これらを梱包する際は、工場内にブースがあり、そこで御社が梱包を担当されるというお話も先ほどあったかと思います。

これは、企業とメーカーが一緒になり、「この梱包はこのような感じでしましょう」というかたちで、最初からコミットして対応するというお付き合いがあるのでしょうか?

柴本:おっしゃるとおり、当社は精密機器や工作機械はもちろん、新製品が出るごとにお客さまと打ち合わせをしています。

製品の特性上注意しなければならない点や、どのようなところをケアしながら対応するのかを、実際に工場で物を見ながら打ち合わせを行うことが基本となっています。

坂本:そこでコストなどさまざまな領域まで踏み込み、「こうしましょう」というかたちになるのですか?

柴本:そのとおりです。

坂本:先ほど小規模な企業を含めて多数の同業があるというお話がありましたが、汎用的な製品や小さなものの場合は価格競争のようなものもあるのでしょうか?

柴本:おっしゃるとおり、実際に汎用的なものには競合が多くなるため、どうしても価格競争の対象になりやすい部分ではないかと思います。

一方、当社の取り扱いとしては、スライドにも掲載しているとおり、精密機器、医療機器など、一品一様のものが比較的多くあります。

坂本:1つのものが高価なために、確実に運びたいということですね。

柴本:おっしゃるとおりです。荷主であるメーカーも、そこに対してはコストではなく品質を最優先される部分が非常に多いため、コスト競争の対象になりにくい業界だろうと思っています。

坂本:そのあたりが御社の強みであるということですね。

柴本:そのとおりです。

1-9. 過去10年間の業績推移

柴本:過去10年の業績の推移です。転換期となるポイントの1つは2020年3月期で、ここはアメリカで初めて自社倉庫を開設したタイミングです。この期を境に順調に売上を伸ばしてきており、2023年3月期には初めて連結売上高が200億円を突破しています。

利益についても、売上の拡大に合わせて順調に伸ばしてきています。前期は中国の子会社の事業譲渡に伴う関係会社株式売却損が発生したことに伴って減益となりましたが、今後は当社全体として営業利益率をさらに高めながら、売上と利益で着実に拡大を続けていきたいと考えています。

坂本:中国事業の撤退理由について、教えていただきたいと思います。

柴本:当社は、中国では日系企業を対象とした梱包事業を中心に行っていました。しかし、コロナ禍以降、当社のお客さまによる中国からの撤退などが起きていました。

坂本:ニュースでも比較的多く出ていた話題ですね。

柴本:お客さまの撤退が続き、当社の中国における取り扱いも縮小傾向にありました。そのような状況を鑑みて、資源の集中と選択というところから、海外に関してはアメリカに集中しようという考えもあり、中国事業からの撤退を決定しました。

坂本:次は中期経営計画のお話となるため、社長就任にあたっての意気込みのようなものもうかがっておきたいと思います。

説明会を見ている方には、おそらく柴本さまのご経歴や得意分野などすべてをご存じの方だけでなく、他社のセミナー動画から来た方など、初めての方もいるかと思います。これまでのさまざまなご経験も含め、今後の中期経営計画への意気込みにつながるお話についても、可能な範囲でお話しいただきたいと思います。

柴本:私は平成9年(1997年)に入社し、これまで本当に当社一筋でやってきました。

坂本:お若いですね。

柴本:入社当時は人事部で会社人生をスタートしましたが、それ以降は管理部門と事業部門の両方を経験している点が、私にとって、まずは1つの大きな強みとなっています。

また、人事を経験していた期間がかなり長いことが、今後の意気込みにもつながっています。人、従業員に目を向けて、従業員がより活発に働けるような会社を目指していきたいと思います。

強い会社、世にある良い会社は、その従業員を含めて非常に活発な印象があります。したがって当社も、従業員一人ひとりに確実に目を向けて、活躍できる場をできるだけ増やしていきながら、まずは活発な組織を作っていきたいです。

全体観という部分では、当社の基本である梱包はもちろん、当社がずっと大切にしてきた安全という部分は確実に守り続けます。

同時に、将来に向けて成長するというストーリーをみなさまに感じていただけるような新しい戦略や施策を、スピード感を持って次々と打ち出していくことが、今の私の一番の課題だと思っています。全力で取り組んでいきたいです。

坂本:そのような考えを含めた、今後の中期経営計画のお話をしていただきたいと思います。

2-1. 中期経営計画の概要

柴本:当社では、2024年3月期から3ヶ年の中期経営計画を打ち出しています。今年度はその最終年度となっており、現時点での進捗についてご説明します。

中・長期ビジョン「オペレーションからソリューションへ」というスローガンを掲げて取り組みを行っています。当社はこれまで77年間、オペレーション力をひたすら磨いてきました。このオペレーション力については、お客さまからも高く評価をいただいているところです。

一方で、今後の業界内の競争に勝っていくためには、お客さまから選ばれる企業になっていかなければなりません。これまでのオペレーション中心の受身のかたちから、自らお客さまの問題に気づいて、それを解決したりご提案したりできるような、真の戦略的パートナーを目指そうという思いのもと、このようなスローガンを掲げています。

2-2. 中期経営計画の概要(経営目標)

柴本:中期経営計画の経営目標についてです。最終年度である2026年3月期には、売上高220億円、営業利益11億円、営業利益率5パーセントを掲げて、スタートを切っています。

2-3. 中期経営計画の概要(国内海外比較)

柴本:最終年度である今期の予想は、売上高が210億円、営業利益が9億5,000万円です。残念ながら、当初掲げた中期経営計画の経営目標に届かない見通しとなっています。

当初は、中期経営計画にヨーロッパへの進出を織り込んでいました。しかし、お客さまの動向に加えて、海外におけるリソースをアメリカに集中するという判断のもと、ヨーロッパへの進出をいったん見送りとしたことが、目標未達予想の大きな要因です。

アメリカ東海岸への投資という戦略に変更し、これが本格的に売上高や利益に貢献を果たすのは来期以降となる見通しです。その部分が、当初計画を大きく下回る要因となっています。

2-4. 中期経営計画の進捗

柴本:個別戦略についての進捗を、いくつかポイントだけご説明します。

まず、収益性の向上が大きなポイントです。現状において、人件費・材料費を含めて、コストの上昇はいまだ続いています。

そのような中で当社は、お客さまに対して適切な値上げ交渉を着実に進めています。また、各現場の業務効率化を進めていく中で、売上原価率は2年前に比べて1.5ポイントの改善を果たしています。

スライドの表の上から3行目に、DXと記載しています。DXについては、倉庫のオペレーションを中心に、いろいろな取り組みを行ってきました。ピッキング分析ツールを用いた効率化により、作業の無駄を徹底的に排除します。また、「ロジメーター」というツールを使いながらのデータ収集を、これまで3年間、倉庫業務において相当に行ってきました。

今後は、このように収集したデータを活かし、次のステップである具体的改善へ進めるタイミングだと思っています。

2-5. 中期経営計画の進捗(府中倉庫開設)

柴本:次に、ソリューションの提案です。主要顧客の外部倉庫を集約化するという目的のもと、賃借の倉庫ではありますが、府中倉庫を開設しました。

こちらの倉庫は、お客さまの製造工場に隣接したかたちで設けているのが特徴です。お客さまの製造工程に対して、Just In Timeで部品を納入します。これにより、工場内でお客さまが本来の製造に特化できる環境を作れたというところが、当社の非常に大きな貢献であったと考えています。

2-6. 中期経営計画の進捗

柴本:先ほどお話ししたアメリカの倉庫です。シームレスな国際一貫物流サービスの推進というところで、非常に貢献を果たしています。

西海岸のロサンゼルスでの新倉庫に加えて、東海岸のサバンナでは、日本の工作機械メーカーの工場とアメリカの工場を、当社の日本とアメリカの双方の機能を用いながら1つにつなげています。今後も、さらにお客さまのサプライチェーン拡充を果たしていきたいと考えています。

成田地区の事業拡大については、今、まさしく建築中です。延床面積が8,100.25坪の倉庫が来年の7月に竣工予定です。

スライドの左下が、今の建設状況の写真です。将来計画されている成田空港の第3滑走路の新設に伴って、貨物の取扱量が1.5倍になることを見越した中での当社の投資です。

現在、半導体製造装置のメーカーを中心に営業活動を行っています。成田地区での保税を中心に、当社が得意とする梱包を織り交ぜながら、確実な収益基盤にしていきたいと考えています。

3-1. 連結業績予想

柴本:今期の業績予想についてご説明します。今期は、府中倉庫の本格稼働に加えて、前年に落ち込んでいた工作機械の取り扱いが復調する影響から、増収を見込んでいます。

売上高については210億円、前年同期比で8億7,800万円の増収の見通しです。営業利益については9億5,000万円で、前年同期比で減益になっています。こちらは前期において、アメリカの子会社で起こった不正の処理で、原価の戻し入れが発生したという特殊要因がありました。その特殊要因を差し引いて考えて、増益という指標です。

3-2. 取扱製品群別業績予想

柴本:取扱製品群別の予想です。今期は、小型精密機器と工作機械の取り扱いが増加することを見込んでいます。大型精密機器については、国内の部分は堅調に拡大を見込んでいますが、先ほどお伝えした中国の撤退に伴って、連結ベースで今期は取り扱いが減少する見込みです。

3-3. 地域別業績予想

柴本:地域別の業績予想です。ポイントとしては、アメリカの動きになると思っています。アメリカは今期、どのようにしても関税の影響が出てきます。日本からの輸出貨物量が一時的に停滞する見込みで、アメリカのビジネスについて今期は減収を見込んでいます。

当社としては今後、既存の主要顧客に加えて、新たな顧客の創出、そして先ほどからお伝えしているサバンナの倉庫を確実に稼働させて、早期の回復を目指していきます。

3-4. 配当性向

柴本:配当です。当社は、収益に応じた株主のみなさまへの利益還元を経営上の最重要課題の1つとして掲げています。連結配当性向30パーセントを目途に検討しており、2026年3月期の配当は1株あたり27円を予想しています。

(参考)株価チャート

柴本:参考資料の株価チャートです。スライドに記載しているのは2025年8月29日時点のデータで、予想配当利回りは3.17パーセントとなっています。また、当社は店頭公開以降、37期連続で配当を続けています。今後も、配当性向30パーセントを目安に、安定的に配当を継続できるように努めていきます。

(参考)2026年3月期第1四半期決算概要

柴本:第1四半期の決算の概要です。参考資料としていますので、詳細は後ほどご覧ください。売上・利益については、概ね計画どおりに進捗しています。

(参考)2026年3月期第1四半期セグメント別実績

柴本:売上高、セグメント利益の状況は、スライドのとおりです。

(参考)2026年3月期第1四半期地域別売上高

柴本:地域別の売上高は、見通しでもお伝えしたとおり、アメリカの荷動きが若干停滞傾向にあるということで、第1四半期においては前年比減収という結果になっています。

4-1. サステナビリティ基本方針の策定

柴本:サステナビリティへの取り組みについてご説明します。サステナビリティ基本方針として、「美しく魅力のある会社サンリツの実現を目指します」という当社の企業理念に沿ったかたちで、スライドに記載した5項目を方針として掲げています。

個別の取り組みについて、いくつかご紹介します。

4-2. サステナビリティ浸透への取り組み

柴本:サステナビリティ浸透への取り組みです。全従業員を対象に「PivottAサステナ」という動画のコンテンツサービスを活用して、2週間に1回の頻度で動画を見る取り組みを行っています。

私を含む全役員も同じ動画を視聴しています。全社で同じ目線、同じベクトルで、サステナビリティ意識を高めていこうということで取り組んでいます。

4-3. ダンボールアートコンテストの開催

柴本:ダンボールアートコンテストの開催についてです。当社の事業軸が梱包であることを鑑みて、梱包に関するテーマで一般的に広くアピールをしたいという思いのもとスタートし、開催に至ったものです。

ダンボールのリサイクルを通じて、限りある資源の有効活用と、持続可能な社会の実現に向けた活動を実体験していただく場を提供するとともに、包装設計をアピールできる場につながったと考えています。

4-4. ダイバーシティ・職場環境の向上

柴本:ダイバーシティ・職場環境の取り組みです。当社では、ダイバーシティプロジェクトを立ち上げています。当初は「物流現場における女性従業員の活躍」をテーマに、プロジェクト活動を進めてきました。

ヒアリングを行ったり、交流イベントなどを開催したりする中で、人事制度や一部の採用プロセスの見直しにつながるなど、プロジェクトの成果は着実に出てきています。

近年では、女性活躍というテーマにとどまらず、男女関係なくアンコンシャスバイアスをいかに払拭するかというテーマのもと、活動を継続しています。

スライドの下部は、毎年、従業員に対して職場環境改善に向けたアンケートを行っているという事例です。当社は、物流現場において職場環境を着実に改善して、働きやすい環境を作るということは、将来の労働力の確保という観点から最重要課題だと考えています。

今後も、職場環境の改善に向けて取り組んでいきたいと考えています。

4-5. サンリツ卓球部の活動

柴本:卓球部の活動についてご紹介します。当社は1979年に卓球部を創設しました。現在は女子のみの活動ですが、日本卓球リーグ1部に所属しています。

昨年度の団体戦では、年間リーグ戦第3位でした。また個人戦では、今年行われた全日本卓球選手権大会で、当社所属の選手がダブルスの部で準優勝という好成績を果たしています。

地域交流活動を積極的に行っており、地域のお子さまを招いて開催する卓球教室も回数を重ねて、現在は25回目までその回数を増やしています。今後も、卓球というスポーツを通じて、地域貢献や社会貢献を続けていきたいと考えています。

以上、株式会社サンリツの会社説明でした。ありがとうございました。

質疑応答:計画の進捗で手応えを感じるポイントについて

荒井:「計画に沿って順調に進んでいるとの印象を持っています。現時点で特に手応えを感じているポイントはどこでしょうか?」というご質問です。

柴本:大きく2点あります。1点目は設備投資で、サバンナと成田の倉庫についてです。

特にサバンナについて、私が実際に現地に行ってお客さまと話した印象では、当社の倉庫に対して、非常に高い評価をいただいています。アメリカは足元で関税の影響もありますが、将来に向けてのいろいろな良いお話も聞けましたので、サバンナを含めて、アメリカでのビジネスの拡大が順調に進んでいます。

成田についても、現在、来年の竣工に向けて、お客さまと具体的な打ち合わせを進めている段階です。この設備投資が確実に成果に結びつくかたちが見えてきているというところが、まず1つ手応えとして感じられている部分です。

もう1点が、先ほどご紹介したソリューションです。府中倉庫を開設したように、当社はお客さまにより密接なかたちでソリューションを提案していきます。府中倉庫の事例では、売上自体がかなり拡大しています。

今回の成功事例を2つ目、3つ目、4つ目と積み重ねていくことで、事業拡大につながっていくと考えています。

質疑応答:為替の影響について

坂本:「御社は海外でのビジネスもあるということで、為替の影響はありますか?」というご質問です。

柴本:当社の売上高の9割以上は、日本円が占めています。当社の業績そのものに関しては、為替の影響は大きくないと思っています。

一方で、当社のお客さまには、輸出を中心に展開している企業が多いです。お客さまの企業業績という部分については、為替の影響を受ける可能性が出てきます。

坂本:外部環境が変わってくるということですね。

柴本:そのような意味では、間接的に当社の物流量というところで、影響が出てくるかとは思っています。

質疑応答:地政学的リスクについて

坂本:「海外事業についてご説明いただきましたが、最近は欧米も地政学的リスクが顕著になっています。地政学的リスクは、御社の事業に影響がありますか?」というご質問です。特に欧州のほうだと思います。おそらく物流部分かと思いますが、いかがでしょうか?

柴本:実際に物流、特に海外の輸送関連では、かなり地政学的なリスクがあります。特に海上輸送です。

坂本:航路が変更するなどですね。

柴本:航路を含めて、そのようなリスクを受けやすくはなってきています。

海外事業を当面アメリカに集中するというのも、ある程度そのような地政学リスクを想定した中での判断です。当然、当社としてもそのあたりは動向をしっかりと注視しながら、都度対応していきたいと思っています。

質疑応答:成田地区新倉庫の商機について

坂本:「御社は成田のほうでも倉庫の整備を進めていますが、成田空港の拡張は商機になりますか?」というご質問です。

柴本:おっしゃるとおりです。当社としては、完全にそこを狙って、新しい倉庫の開設に踏み切っています。

取扱貨物量自体が1.5倍に増えるという見通しもありますし、当社が得意としている半導体製造装置は、航空での輸出が非常に多いです。おそらく今後、さらにその輸出量は増えてくると見込んでいます。

坂本:半導体製造装置は大きいというイメージだと思います。それでもスピード重視で、海上ではなく飛行機でいくというパターンが多いですか?

柴本:比率でいうと、海上輸送も航空輸送も、双方あります。全体量が膨らんでくることによって、航空輸送に載ってくる部分というのも、相当に増えてくるのではないかと見ています。

質疑応答:トランプ関税前の駆け込み需要について

坂本:トランプ関税の影響については、よく聞かれる話かと思います。先ほどお話しいただきましたが、15パーセントに決まる前や、関税がこれからかかるという時に、駆け込み需要はありましたか?

柴本:ちょうど4月に関税の話が出て、その直前には駆け込み需要がありました。

一方で、トランプ大統領によって正式に決定されるまでの期間は、関税がどうなるかが見通せませんでした。見通せないのであれば出すというお客さまと、逆に見通せないのであればステイしようというお客さまがいました。

その二極化がけっこうあったと感じています。当社の取引先においては、少し様子を見ようという傾向が強かったと感じています。

坂本:非常によくわかりました。おそらく、他の会社の分析をされている方も気になるところだったのかと思います。詳しくプロの話を聞けてよかったです。

質疑応答:人材育成やキャリア形成の取り組みについて

坂本:「職場労働環境のところで、整備という話と人という話がありました。人材育成やキャリア形成で、御社の特色がある取り組みがあれば教えてください」というご質問です。

柴本:人材育成では、当社の根幹である梱包を担う人材の育成に力を入れています。梱包は、若手の社員があまり取り組みたがらない仕事群ではあります。当社として、その育成と同時に梱包というものを、社内の中でも魅力のある仕事群にするべく、今さまざまな活動を行っています。

そのような意味で、梱包人材の育成というものを、当社として一番注力して取り組んでいるところです。

質疑応答:社長就任の決め手について

坂本:「柴本さんが社長になられた際、おそらく候補は何人かいらっしゃったと思います。社長になった決め手は何ですか?」というご質問です。

人事のご経験があったというお話もありました。答えづらいかもしれませんが、若返りを狙ったという点を含めた背景があったのでしょうか?

柴本:当社の経営陣の中では、私が一番若かったというところはあります。また、会社として守らなければいけないものはありながらも、変革をかなり求められていました。

今後の中長期的な価値を向上するためにも、会社として変わっていかなければならないといった中で、若さをアピールする意図もあってご推薦いただいたのだろうと思っています。

柴本氏からのご挨拶

柴本:当社は物流業界の中で梱包という、みなさまの印象に非常に残りにくい業界、産業群であろうと認識しています。

しかし、社会経済活動における物流の重要性、そしてその物流の中での梱包の占める役割というものに対して、当社は自信を持って事業を推進しています。

今後もこの梱包という当社の柱を軸に据えながら、従業員、そしてお客さまはもとより、株主のみなさまをはじめとしたステークホルダー、あらゆる方面のみなさまに確実に安心をお届けできる企業として成長を続けていきます。

ぜひ今後のご支援、何卒よろしくお願いします。本日はありがとうございました。

当日に寄せられたその他の質問と回答

当日に寄せられた質問について、時間の関係で取り上げることができなかったものを、後日企業に回答いただきましたのでご紹介します。

<質問1>

質問:PBRが1倍を割っていますが、何か対策はされていますか?

回答:収益力の向上を通じて企業価値の向上を図るべく、中期経営計画においてさまざまな施策を講じています。具体的には今後貨物量の増加が見込まれる成田地区に新倉庫建設として53億円を投資するとともに、利益率の高い米国子会社の事業に対しても投資を行っています。中期経営計画を確実に実行し、市場からも積極的な評価をいただくことでPBR1倍割れも解消していきたいと考えています。

<質問2>

質問:今期は減配の予想ですが、株価を上げるための対策は何を考えていますか?

回答:PBR1倍割れ対策と同じく、中期経営計画を確実に実行し、市場からも積極的な評価いただくことで株価の上昇につなげていきたいと考えています。

<質問3>

質問:資材価格等、コストアップにどう対応されていますか?

回答:主要材料の見直し等に加え、材料費・人件費の上昇に応じた適切な値上げの交渉を進めています。

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