HEROZ、1Qは増収増益 AI Security事業では価格改定が影響し、過去最高の売上およびセグメント利益を達成
決算ハイライト:売上高、EBITDA、営業利益共に前年比増加し順調な立ち上がり
AIさくら:HEROZ株式会社2026年4月期第1四半期決算について、当社グループが提供するAIさくらよりご説明します。
まず、今期決算のハイライトをご説明します。2026年4月期第1四半期の売上高は前年同期比7.9パーセント増の15億1,400万円、EBITDAは前年同期比37.3パーセント増の2億2,800万円、営業利益は前年同期比58.3パーセント増の1億1,700万円となりました。
また、2025年4月期には新規プロダクトの立ち上げに伴い約3億円の先行投資が発生しましたが、今期からはその投資成果が段階的に現れています。「HEROZ ASK」の売上高は前四半期比77.6パーセント増加し、「JOINT」では前四半期比25.9パーセントの増加となりました。
AI Security事業においても、価格改定が影響し、過去最高の売上およびセグメント利益を達成しました。
第1四半期連結業績サマリー:SaaS関連の主要指標も順調に推移
2026年4月期第1四半期の業績サマリーでは、売上高が前年同期比7.9パーセント増の15億1,400万円、収益性の指標であるEBITDAが前年同期比37.2パーセント増の2億2,800万円、営業利益が前年同期比58.3パーセント増の1億1,700万円となりました。
また、当社がSaaS型ビジネスモデルを推進する中で重視しているKPIについて、ARRは前年同期比約15.6パーセント増の42億2,700万円、リカーリング売上比率は前年同期比4.5ポイント上昇し、いずれも堅調に成長しました。
さらに、HEROZグループのリカーリング売上の50パーセント以上を占めるセキュリティBPOサービスの解約率は0.7パーセント、「HEROZ ASK」のリカーリング解約率は1.1パーセントと、低水準で安定的に推移しています。
各事業セグメントの概観:BtoB事業で今期は下期偏重となる見込み
各事業セグメントの概観についてご報告します。まず、BtoC事業ですが、四半期単位で過去最高売上を達成し、通期では前期比5パーセントの成長を目指しています。
また、対局数も2四半期連続で3,000万局を突破しており、順調に推移しています。売上高は前年同期比プラス0.5パーセントの成長となりました。
次に、BtoB事業についてです。業績予想に対してやや遅れが見られるものの、リカーリング売上を積み重ねるビジネスモデルであるため、下期にかけて売上の増加を見込んでいます。
「HEROZ ASK」におけるSMB向け料金プランの改定や営業体制の整備、CS強化が効果を発揮し、顧客獲得と継続が進捗しています。
また、HEROZ BtoB事業では、約6,500万円の売上高が第2四半期に期ズレした影響があるものの、パイプラインは前年を上回る規模で積み上がり、通期では20パーセントを超える成長が見込めると想定しています。これらの結果、売上成長率は前年同期比でプラス17.7パーセントとなりました。
最後にAI Security事業についてです。こちらも、四半期単位で過去最高売上を達成しました。価格改定が通期で寄与し、収益性の改善が期待される見通しです。これらの結果、売上成長率は前年同期比でプラス4.9パーセントとなりました。
2026年4月期 第1四半期連結業績
2026年4月期第1四半期の経営成績の詳細および通期業績進捗について、ご報告します。グループ全体の売上高、営業利益、EBITDAは、BtoB事業における期ズレの影響が一定程度あったものの、BtoC事業、BtoB事業、AI Security事業における成長が寄与し、前年同期比で増収増益を達成しました。
前期は「HEROZ ASK」や「JOINT」などの新規SaaS事業を中心に、先行投資フェーズと位置付けていましたが、今期より段階的にその投資効果が表れ始めています。これにより、第2四半期以降はさらなる利益貢献が期待される見通しです。引き続き、各事業の成長を図りながら、収益基盤の強化に努めていきます。
主要な業績KPIの推移 売上高・EBITDA
四半期別の売上高とEBITDAの推移です。第1四半期はBtoB事業で約6,500万円の売上高が第2四半期に期ズレした影響があったものの、オーガニック成長に加えてVOIQ社の業績が寄与し、引き続き成長を達成しました。
また、第1四半期のEBITDAは2億2,800万円となり、前年同期比で増加基調となっています。
リカーリング売上・ARR:新規SaaSとM&A効果に伴い順増、安定的な売上成長
続いて、リカーリング売上およびARRの推移についてです。第1四半期のリカーリング売上は、BtoB継続売上や「AIさくらさん」の売上の増加に加え、VOIQ社の売上増加やAI Security事業も加わり、さらに成長しています。
また、ARRも前年同期比で15.6パーセント増加し、安定的な売上成長を実現しています。
セグメント売上・利益推移
次に、セグメント売上・利益推移についてご説明します。AIX事業では、中核を担うHEROZ BtoB事業において期ズレによる影響が約6,500万円ありましたが、第1四半期単体では前年同期比10.8パーセントの売上成長を達成しました。
また、AI Security事業においても価格改定の影響があり、前年同期比で増収増益を達成し、四半期ベースで過去最高売上を更新しました。
AIX事業 BtoC事業:四半期で過去最高の売上高を記録
AIX事業におけるBtoC事業では、売上高と対局数の両方で引き続き堅調な成長を実現しました。第1四半期は前年同期比0.5パーセントの成長を果たし、四半期単位では過去最高の売上高を達成しました。
四半期対局数は2四半期連続で3,000万局を超え、今後も順調に事業成長を実現できると考えています。
AIX事業 BtoB事業:前年同期比+17%の成長、2Qでは計画比の改善が大きく進む見通し
AIX事業において中核となるHEROZ BtoB事業は、第1四半期単体で前年同期比17パーセントの売上成長を達成しました。一方で、第1四半期に計上を予定していた売上高が第2四半期以降へずれ込んだため、第2四半期では前年同期比約49パーセントの成長を見込んでおり、大幅に進捗率が改善する見通しです。
四半期別の稼働案件数は、期ズレの影響があったものの増加基調にあります。2026年4月期上期の稼働案件数は、2025年4月期下期を上回る件数を見込んでいます。
原価内訳(連結):開発人員の採用が進み、売上原価は前年比増加
続いて、売上原価の内訳です。オーガニックな成長に向けて、ビジネス職とエンジニア職の採用を強化しており、それに伴って人件費などが増加しました。その結果、第1四半期の売上原価は前年同期比で9.7パーセント増加しました。また、売上に対する原価の比率は、前年同期比で約2ポイント増加しています。
一方、業務委託費(外注費)は全体としてコントロールを行い、ティファナ・ドットコム社およびバリオセキュア社の外注費を削減してコストを適切に抑制しました。引き続き、成長投資とコスト最適化の両立を図っていきます。
販管費内訳(連結):1Q実績は前年対比で減少。対売上比率も低下し、コスト圧縮が進む
販管費の内訳の推移についてです。当社はオーガニックな成長に向け、エンジニア職とビジネス職の採用を積極的に進める一方で、コーポレート部門の販管費を厳格にコントロールしています。その結果、第1四半期の販管費は前年同期比で7.5パーセント減少しました。売上高に対する販管費率も約5ポイント低下し、費用抑制が着実に進んでいます。
今後も必要な領域には投資をしっかり行いつつ、全体のコストコントロールを徹底し、先行投資を確実に売上成長へと転換していきます。
各種SaaS進捗:今期から投資成果が段階的に顕在化
続いて、昨年に事業を立ち上げた「HEROZ ASK」「JOINT」の進捗についてです。「HEROZ ASK」のリカーリング売上および契約顧客数はともに増加しており、売上は前四半期比で77.6パーセントの増加となりました。さらに、8月末時点で累計契約顧客数が約300社となり、大幅な成長を達成しています。
また、「JOINT」についても、前四半期比で25.9パーセントの売上増加を達成しており、第2四半期以降もさらなる成長を見込んでいます。
解約率推移:HEROZ ASKも低水準化が進行
各種解約率についてです。AI Security事業の中核サービスであるセキュリティBPOサービスの四半期別解約率は、当第1四半期において0.71パーセントと、引き続き非常に低い水準で推移しました。
また、「HEROZ ASK」のユーザーID数の解約率も当第1四半期は1.11パーセントと、低い水準で推移しています。
HEROZのあゆみ
次に、HEROZの事業紹介です。HEROZの売上高の推移と主な沿革についてご説明します。
HEROZは「驚きを心に」をコンセプトに掲げ、世界を驚かせるサービスの創出を目指して歩みを進めてきました。人とテクノロジーの力を最大限に活用し、「1人でも多くのヒーローの誕生」を支える企業として成長を続けています。
HEROZが考える生成AI時代の「AI革命」
当社は「AI革命を起こし、未来を創っていく」というビジョンのもと、生成AIを活用し、日常の自動化や支援を実現することで、人々が自己実現に集中できる社会を目指しています。AIを単なるツールではなく、価値を共創するパートナーと捉え、社会に貢献する存在へと進化させていきます。
当社が開発した将棋AIは、当初「人間 vs AI」という対立構造の議論を巻き起こしましたが、現在ではプロ棋士の学習支援や観戦体験の向上に寄与し、AIと共存する新たな将棋の魅力を創出しています。
AIエージェントで進化するAI BPaaSモデル
ここからは、全社の戦略についてご説明します。当社は、生成AIやAIエージェントを活用して人の業務を直接請け負うモデルである「AI BPaaS」を展開しています。従来はAIツールを提供し、企業の効率化を支援してきました。
しかし、顧客がAIを十分に活用できないケースが多く、効果が限定的でした。そこで「AI BPaaS」として業務を請け負い、裏側ではAIを共通基盤として活用し、効率的かつ高品質な業務を提供しています。
今後はAIエージェントが自律的に判断して実行まで担うかたちへと移行し、より幅広い層に価値を提供していきます。
HEROZが目指す次世代AIエージェント
次に、当社が目指す次世代AIエージェントについてご説明します。当社では、今後AIエージェントは、左側の「AI Agent1.0」の指示依存型から、右側の「AI Agent2.0」の完全自律型へと推移すると考えており、その完全自律型を「Meta Agent」として独自に位置づけています。
「AI Agent2.0」である「Meta Agent」は、課題分解、ゴール設定、解決策の実行までを自律的に行うことで、利用者の指示能力等に関係なくタスクを処理できるようになります。これにより、今後ますます利用可能な層が拡大し、AIトランスフォーメーションが進んでいくと考えています。
AIエージェントがもたらす市場構造の変化
AIエージェントがもたらす市場構造の変化についてです。IDC Japanの予測によると、2024年に1兆3,000億円規模であるAIシステム市場が、2029年には4兆2,000億円規模にまで拡大する見込みです。当社はこの市場をターゲットに定め、さらなる成長を目指していきます。
将棋人口最大化に向けて各種イベントを開催
続いて、各セグメントにおける取り組み実績についてご紹介します。
BtoC事業におけるトピックスをご報告します。ヨーロッパ将棋協会連盟(FESA)と連携し、「第11期将棋ウォーズ棋神戦ヨーロッパ大会」をポーランドで開催したほか、VTuberとのコラボイベント「たんぽぽ杯」など、将棋人口の拡大を目指した各種イベントを積極的に展開しています。
また、初心者向け駒のリリースや、「第125回将棋ウォーズ段級位最強戦」をはじめとする各種大会の開催により、プレミアムユーザー数は過去最高を更新しました。初心者から上級者まで、幅広い層が楽しめる施策を継続的に実施しています。
今後も「将棋ウォーズ」を基盤としたイベントや機能拡充を通じて、将棋文化の普及とその魅力を発信し続けていきます。
HEROZ開発の「不動産価格推定AI」を活用したPropallyの新サービス「無料売却AI査定」が提供開始
HEROZ BtoB事業の事例をご紹介します。当社は、住宅ローン審査における不正防止を目的として、不動産の適正売却価格を推定し、不正検知を支援するAIを開発しました。この技術をPropally株式会社の新サービス「無料売却AI査定」に提供しています。
こちらは居住用、投資用の両方に対応しており、物件情報を入力するだけで、AIが市場動向や物件特性を総合的に分析し、通常数日から1週間程度かかる査定を最短60秒で提示することが可能です。
また、査定においては、パブリックデータと過去実売価格に基づく透明性のあるモデルを採用しており、不動産テック事業者には取引の信頼性向上と差別化を、金融機関には融資リスクの軽減と評価プロセスの効率化を提供します。
年度内に「無料売却AI査定」の利用者1万人達成を目指し、今後は関連サービスへの展開を見込んでいます。
HEROZ ASK機能アップデート:OCR、画像生成、コードインタプリター
続いて、「HEROZ ASK」のプロダクトアップデートをご紹介します。「HEROZ ASK」では、OCR、画像生成、コードインタプリターなど、各種機能を実装しました。この実装により、さらなる業務効率化支援が可能になりました。
例えば、カスタマーサポートの一次回答時間の短縮や、マーケティング・広報の数値レポート効率化、建設・不動産の図面注記や検査記録の横断検索など、部門別の実務に直結するワークフローを強力に支援します。
「HEROZ ASK」は、今後もユースケースの拡大とお客さま価値の最大化を通じて、AIトランスフォーメーションを目指し、さらなる成長を目指していきます。
AIさくらさん:累積契約人数は堅調に増加中
続いて、「AIさくらさん」の近況についてご報告します。「AIさくらさん」は、社内問い合わせ対応の効率化や市役所における職員負担の軽減など、引き続き多様な領域で活用が進んでいます。
特に、デジタル庁の「デジタルマーケットプレイス(DMP)」において国の基準を満たしたAIサービスとして登録されたことで、政府機関・自治体・公共団体への導入が一層円滑になることが期待されており、今後の成長ドライバーになる見込みです。
また、第1四半期には一部解約が発生したものの、新規受注は堅調に推移しており、第2四半期以降のリカーリング売上は回復基調で推移すると見込んでいます。
よくいただくご質問について
最後に、IR活動を通じてよくいただくご質問を紹介し、その回答をお伝えします。直近の決算発表に際し、多く寄せられたご質問を抜粋してご説明します。
まず、「2026年4月期のHEROZ BtoB事業の概観について」です。第4四半期は期ズレの影響により計画に若干届かなかったものの、案件数の増加と持ち越しの積み上がりを背景に、年間で約20パーセントの成長を計画しています。
「HEROZ ASK」に関しては、前期は先行投資により人件費負担が大きかった一方、営業手法やCS体制が整い始めており、今期中の単月黒字化を目指します。
次に、「新規M&Aに関する方針について」です。当社は積極的にM&Aを実施しています。前期には、AI×営業代行を通じてAI BPaaSを実現するため、VOIQ株式会社を新たにグループに迎え入れました。今後も引き続き、積極的にM&Aを実施する予定です。
以上で、2026年4月期第1四半期決算説明会を終了します。ご清聴いただき、誠にありがとうございました。
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